◯月◯日
明日が楽しみ過ぎて眠れない。
明日俺は憧れの冒険者になるのだ。
モンスターを剣や魔法で薙ぎ倒し、古い遺跡の中から財宝を見つけ、かけがえのない仲間達と友情を育む。そんな冒険を前世から夢見ていた。
あ、俺前世持ちの転生者ね。
◯月◯日
なんだかんだあって陰毛ハンターになった……。
いやおかしいでしょ!
なんだよ陰毛ハンターって!
◯月◯日
一晩寝て少し落ち着いた。
とりあえず経緯でも説明していくか。
俺は昨日の朝、村を出発し王都リ・エスティーゼに入った。
近場の街にも冒険者ギルドはあったんだが、せっかくならアダマンタイト級冒険者も所属するという王国最大のギルドに入って見たかったんだ。
だけど今考えるとそれが間違いだったんだな。
王都だけあってめちゃくちゃ広かった。
冒険者ギルドが中々見つからず、ようやく見つけたと思って入った建物が犯罪組織の拠点だったなんて。
で、まあ、そこで危うく殺されかけた俺は、自分のタレントをバラす事で有用性をアピールして生き残る事に成功した。
その犯罪組織《八本指》に入る事になったけど…。
母さん…こんな息子をお許しください…。
◯月◯日
今日が俺の初任務だ。
そういえば陰毛ハンターの事について全く書いてなかった。
俺は《八本指》の中の窃盗部門ってとこに配属された。
貴族が欲しがる物を入手して高く売りつける事で資金を得ているらしく、その中の1つに女性の陰毛を主に取引してる部隊があった。
なんで陰毛?パンツとかのが需要あるんじゃない?と思ったんだが、なんでも陰毛はパンツと違って《鑑定》の魔法で誰の物なのか知る事ができるらしい。それもあって陰毛マニアって言う奴がかなりいるとの事。
まあ、誰のか分からなきゃ、おっさんの毛を美少女の陰毛と偽って渡されても分からんしな。
◯月◯日
初任務達成!
今回のターゲットは鉄級の女冒険者さんだったんだけど、難易度的には中の上くらいらしい。
同僚達から期待の新人とか褒められてしまった。
初めて犯罪を犯した訳だけどあんまり罪悪感ないな。
まあ、被害者もパイパンになっただけで被害らしい被害は与えてないからね。
俺的にも冒険者の採取系の依頼を達成したような、そんな程度の気分だわ。
◯月◯日
《八本指》に入ってから一カ月経った。
既に俺は5つの依頼を達成している。
つまり5人の女性をパイパンにしてやったって事だ(ゲス顔)。
いやーどうなることかと思ったけど天職だわ陰毛ハンター。
他の奴隷部門とか暗殺部門とかはヤバイことを普通にやってて嫌悪感も感じちゃうけど、今俺がやってるレベルの犯罪なら普通に許容範囲だわ。
村にも仕送り出来たし、同僚とも上手くいってるしな。
明日は同僚に誘われて陰毛屋ってとこに行くんだが、ちょっと楽しみだ。俺が採取した陰毛も売られてるかもな。
◯月◯日
良かった。
陰毛屋良かった。
店の中に何百人分もの陰毛が展示されてる光景は、最初こそドン引きだったんだがあっという間に惹き込まれてしまった。
一人一人に簡単な説明文と写真ばりに上手い絵が付いてて、美術館にいるような気分になったしな。
絵を見て「あ、可愛い」と思ったら側にその子の陰毛が置いてあって、名前も書いてある。最高か。
何より記憶に残ってるのが一本白金貨10枚で売られていたラナー王女の陰毛だ。
マジで黄金で出来てるんじゃないかって思ってしまうくらい美しい金色で、しばらく凝視してしまったくらいだ。
毛一本が日本円で大体1000万だぞ?やべーだろ。
ラナー王女と言えば辺境の村人でも知ってる王国一の美少女だし、俺もいつか会ってみたいと思っていた。それがまさか本人より先にその陰毛と対面する事になるとは…。
店主に聞くと、ラナー王女の入浴の世話をするメイドが身体を洗う時に抜いたのだとか。
え、王女様のアソコをメイドが洗ってるって事?
それ妄想するだけでヌけるんだけど。
◯月◯日
今回のターゲットはかなり難敵だなぁ。
貴族の令嬢とか街中で会う事が出来ないし普通に無理ゲーなんだが…。
俺のタレントは会わなきゃ使えねぇもん。
上司からは「10日以内に手に入ればいい」って言われてるけどもう5日目ですよ…。
今まで余裕で達成してたから考えもしなかったけど、これ依頼失敗したらどうなるんですかねぇ?え?奴隷として売る?お前のタレントは高く売れる?
あ、そうですか、へー………。やっべぇ…。
これ絶対人選ミスだろ。
もっと、こう、貴族の屋敷に忍び込める技能持った人に回せよ!
◯月◯日
なんか変な仮面に会った。
「どうするべー」とか言いながら広場のベンチに座って空を眺めてたらいきなり話しかけてきた。
よっぽど絶望した顔をしていたようだ。
「ちょうど暇をしていたところだ。話くらいなら聞いてやるぞ」とか10歳くらいのチビっ子に言われる18歳俺(前世含めれば39歳)。
絵面的に情けないとは思ったんだけど、素っ気ないフリしてる癖にやたらしつこいチビ仮面に負けて「奴隷にされそうなんだよねー」と言ってしまった。
その後やたら事情を聞いてきたけど流石にこれ以上は話せんわな。そそくさと退散させてもらった。
すまんなチビ仮面。
心配してくれてるお前を見て俺は「コイツの陰毛持ってったら奴隷落ちは許してくれねーかなー」とか思ってた。
はあ…こんなチビにそんな価値ないか。
◯月◯日
さて上司が「まだかまだか」と煩くなってきたし覚悟を決めないとマズイな。
大きな屋敷とそこに滞在する30人弱の私兵に守られた貴族令嬢の陰毛を入手する。
難易度:上の中のこの任務を達成するにはどう考えても俺一人では無理だ。かと言って上司は力を貸してくれる気配がない。
陰毛入手出来なきゃアンタも依頼主から文句言われるんじゃないの?ってそれとなく聞いてみたら、俺が失敗したら他部門の協力仰いで速攻で達成させるって言われた。
いや、最初からそうしろよ。
え?他部門に借りは作りたくない?それでも同じ組織ですか。
◯月◯日
依頼達成!!!!
うおおおおおおお!!!!!!
どうやったかと言うと屋敷放火しました。ふへへへ。
慌てて飛び出して来たところに近付いてタレントを使ってクリア。
やっぱり俺のタレント最強だわ。
しかし、ついに放火という重罪にまで手を染めてしまったな。
いや、まあ、死者どころか怪我人いないみたいだし?全財産燃えたみたいだけど平民を苦しめてたって話だし自業自得じゃないかな、うん。
………すまん!罪なき令嬢さん。
全財産失い、俺にパイパンにさせられ、借金返す為に豚みたいなおっさんに嫁入りさせられる事になった令嬢さん。
俺は自分の身が一番可愛いんだ。許してくれ。
あ、貴女の奥ゆかしく生えていた銀色のお毛々は一本1万円の価値がついたみたいですよ。
補足:
陰毛屋は隠れた場所にあります。ラナーもその存在に気付いておらず自分の陰毛が売られている事を知りません。