※この作品はR-18です。

崩壊した世界で水着ジャンヌに弟にされるだけの話   作:アルテマ

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どうもアルテマです。

今回の話でヒーローショー書ききるつもりが、文字数が12000文字余裕で超え、これは流石に長いなと思い途中で区切ったものを投稿します。


謎の仮面の少年、マスク・ド・ルカン……一体何者なんだ……()


謎の仮面の少年、マスク・ド・ルカン! (前編)

『ななななんとぉ!! キュア☆ドルフィンのピンチに颯爽と駆けつけやってきたのは、過去にもキュア☆ドルフィンと共に戦った謎の仮面の少年、マスク・ド・ルカンだぁああああ!!

 私その時リアルタイムで見てたんだけど、なんか弟子1号と呼びたくなるようなブルマーの似合いそうな幼女もその時舞台に上がっていたから印象深かったんだニャー。

 しかしマスク・ド・ルカン……一体どこのオーナーくんなんだ……』

 

 

『ふむ(華麗にスルー)……どうやら彼、マスク・ド・ルカンは過去にキュア☆ドルフィンを助けるために立ち上がるも、自分の弱さを知りこのままでは力になるどころか足手まといになると思い、大海原へと旅立ち鍛練を重ねて、新たな力を得て戻ってきたようです。

 傍にいるサメであるリースXPも、その鍛練の際に遭遇して絆を育み、共に戦う相棒としているようです。

 ……マスク・ド・ルカンですか……確かに彼は筋が良さそうですね……ヒーローショーの師匠役とかの打診をしてみましょうかね……』

 

 

『コトミネさんの言う筋の良さが何を指しているのかはさておき、キュア☆ドルフィンに心強い味方が駆けつけてくれたようだニャー!

 これで正義の味方が2人! このままキュア☆ドルフィンたちはピンチを乗り越えることが出来るのかぁぁああ!!』

 

 

 スタジアムに現れた仮面の少年、マスク・ド・ルカンに興奮したように実況をするジャガーマンと、その隣で感心したようにしながら手元の資料とスタジアムのマスク・ド・ルカンを見つめるシロウ・コトミネ氏。

 観客・実況ともに興奮する中でマスク・ド・ルカンは背を向けていたジャンヌの方へと振り向く。

 

 

「さあ、今なら大丈夫。

 君も変身するんだ、キュア☆ドルフィン」

 

 

「! はい!」

 

 

マスク・ド・ルカンの言葉を受け、変身するジャンヌ。 光に包まれ、変身バンクを経た後に光の殻を破り現れたのは、白を基調とし、フリフリのリボンであしらわれたドレスに着替えたジャンヌが現れた。

 

 

「海に降り立つ水辺の聖女【キュア☆ドルフィン】!!

 さあ覚悟しなさいブラックバード! 今日の私はいつもの3倍は強いですよ!」

 

 

 変身を終えた後の決めポーズと決め台詞を決めると、会場のボルテージが更に上がる。

 ピンチからの逆転はもとより、ヒロインの変身バンクは何度見ても良いものであるために、いつもよりも何やら気合いの入っているキュア☆ドルフィンの姿もあって常連も初見も大盛り上がりである。

 

 

 対して悪役(ヴィラン)側であるブラックバードは自分の邪魔をする者が現れたことに対して苛立たし気ではあったが、まだ自分の優位を疑ってなかった。

 

 

「ちっ、1人増えたからなんだってんだ。

 数じゃあこっちの方がまだまだ有利なんだぜ。 お前らに勝ち目がないことには変わりはねぇよ!」

 

 

 ブラックバードはそう言った後にスタジアム上から飛び降り、ジャンヌたちのいる中央舞台へと両足でドスンと音を立て着地し、マスク・ド・ルカンへと指を突き出す。

 

 

「お前らはキュア☆ドルフィンを相手しろ。 別に倒せなけりゃ倒せないでいいが、最低限時間稼ぎはしろ。

 その間に、この俺様がこの生意気なガキを潰してイルカ共の餌にし、お前らの相手をした後で消耗しているだろうキュア☆ドルフィンを直々に下してやるぜぇ!」

 

 

「イーッ!!」

 

 

 ブラックバードの指示を受け、キュア☆ドルフィンとマスク・ド・ルカンを取り囲む下っ端戦闘員たち。

 再び敵の包囲網にかかってしまうも、背中合わせに敵と対峙している彼らには危機を感じているような様子は見受けられなかった。

 

 

「キュア☆ドルフィン、君はリースXPと一緒にあの戦闘員たちの相手を。

 その間に、私はブラックバードの相手をしよう」

 

 

「ええ、分かりました! すぐにこの下っ端たちを倒しておと……マスク・ド・ルカン、あなたの助太刀に参りましょう!」

 

 

『どうやら互いの作戦は、片方が時間稼ぎをし、もう片方が速攻で相手を倒して、合流を果たして相手を倒すというものとなったようだニャー!

 両者同じ作戦となったこの戦い、どう見ますかコトミネさん?』

 

 

『まずキュア☆ドルフィンと戦闘員たちのカード、これは分かりやすいですね。 彼らだけの戦闘であれば、まず間違いなくキュア☆ドルフィンが勝利することでしょう。 ブラックバードも負けるのが前提で戦闘員たちに指示を出していることは明白です。

 となると、戦闘員たちは何が何でも防御に徹し、ブラックバードの参戦まで耐えるしか勝ち筋はありません。

 そしてブラックバードとマスク・ド・ルカンのカード、この2人のカードが戦いのハイライトとなるでしょう。

 しかしブラックバードは戦闘員たちに勝ち目がない以上、マスク・ド・ルカンを可能な限り早く倒さなければならない。 対してマスク・ド・ルカンは最低限時間稼ぎをすれば必ず援軍がやってくる。

 結論を述べますと、状況だけを見ればキュア☆ドルフィンたちに分がありますが……マスク・ド・ルカンの力がどれほどのものなのか、注目していくべきでしょう』

 

 

『はい、ぶっちゃけヒーローショーでそこまでガチガチな解説は求めてはいませんでしたが、ありがとうございますコトミネさん!

 さあちびっ子のみんな! キュア☆ドルフィンとマスク・ド・ルカンを応援するんだニャー!

 頑張れキュア☆ドルフィン! 負けるなマスク・ド・ルカン!

 ブラックバードなんてやっつけてしまうんだニャー!』

 

 

『……ニチアサヒーローアニメは子どもたちと見てはいたのですが……なるほど、もっと分かりやすく子どもでもわかるようにと……』

 

 

 若干辛辣な実況と、クソ真面目に受け止める解説を尻目に、同時に動き出した両者はスタジアムの中央で激突した。

 

 

「オラァ!」

 

 

「……」

 

 

 ブラックバードとマスク・ド・ルカンの戦いで、最初に仕掛けたのはブラックバードの方であった。

 ブラックバードはその鍛え抜かれた太い筋肉のついた両腕によるスレッジハンマーを仕掛け、マスク・ド・ルカンは危うげなく最低限の動きだけで躱す。

 ブラックバードはそこから更に組んだ両手を放し、右手のフック付きの手甲で刺突を仕掛けるも、素早く後ろへと下がったマスク・ド・ルカンにその攻撃が届くことはなかった。

 

 

「逃げ足の速いやつだ。

 それとも、俺様の攻撃に対して避けるので精一杯ってか?」

 

 

「まだお前は2度しか攻撃していないだろう。

 そう判断をするのには、些か早いように思えるが?」

 

 

「へっ、その減らず口もすぐに言えなくしてやるよ、腰抜けさんよぉ!」

 

 

 そこから猛攻をひたすら仕掛けるブラックバード。 右手で、左手で、右足で、左足で、サーヴァントの高い身体能力を用いて絶え間ないハイラッシュをマスク・ド・ルカンへと浴びせかける。

 その悉くをマスク・ド・ルカンはするりと躱していく。 最低限最小の動きだけで、相手の手玉を取り余裕を見せながらブラックバードの攻撃をいなしていくマスク・ド・ルカンに、会場の人間の多くは感嘆の声を漏らしていた。

 

 

『す、すごいぞマスク・ド・ルカン! ブラックバードの猛攻に対し、マスク・ド・ルカン華麗に避け続ける! 余裕綽綽とでも言いたげに避け続けているぞ!』

 

 

『ブラックバードは筋力B+と力自慢の海賊ですが、敏捷はEランクと素早い者ではない。 しかしそれを差し引いても、あのブラックバードのハイラッシュを余裕を持ちつつ最低限の動きだけで躱すと言うのは相当な胆力が必要でしょう。

 いくら素早くはないと言っても、一撃でもまともに貰えば恐らくはマスク・ド・ルカンとてただでは済まない筈です。 そうなると、絶対に攻撃を受けてはならないと言うプレッシャーがどうしてものしかかってくる。 そしてそう言ったプレッシャーは多くの場合は自身の動きに悪影響を与えてしまう。

 しかし彼、マスク・ド・ルカンはそんな素振りすらみせず、寧ろ余裕を見せつけてさえいる。

 こうなってくると、プレッシャーを感じるのはブラックバードの方でしょう。 彼は一刻も早くマスク・ド・ルカンを倒さなくてはならないと言う焦りもさることながら、この攻防で最も体力を消耗しているのはハイラッシュを仕掛けているブラックバードなのですから』

 

 

『コトミネさ~ん、長い上に分かりにくいです!

 もう少し分かりやすくお願いしますニャー!』

 

 

『……マスク・ド・ルカンはすごいと言うことです』

 

 

『はい会場のみんな聞いたかニャー? どうやらマスク・ド・ルカンはキュア☆ドルフィンのために以前よりもずっと力を増し、ブラックバードの攻撃を華麗に避け続けている!

 その様、正に大海を体現した水流の如し! すごいぞマスク・ド・ルカン!』

 

 

『……解説とは難しいものですね……』

 

 

 半分以上適当なこと言っている実況のジャガ村の言葉を真に受けて、少し気を落とす解説の天草。

 解説そのものは非常に分かりやすいのだが、いかんせん語彙力の少ない子どもには理解が出来ないのも事実ではある。 しかし、それを差し引いてもジャガ村は割と天草をワザとイジッている節があるのをこの場にいる多くの者が感じていた。

 実際、観客の子どもたちはマスク・ド・ルカンの戦う姿とジャガ村の言葉を受けてすごいすごいとはしゃぎ、かたや保護者などの大人たちは若干解説席の天草に憐みの視線を向けていた。

 

 

 閑話休題(それはさておき)

 

 

お互いに攻撃と防御、片方に徹している中でブラックバードは攻撃を全て躱し続けるマスク・ド・ルカンに苛立たし気に舌を打つ。

 

 

「ちっ、いつまでもちょろちょろしやがって!」

 

 

 額に汗を滲ませるブラックバードは、解説の言った通り体力を多く消耗し、それでいて目の前の敵に有効打すら与えられていないことに苛立ち、同時に焦りを覚えていた。

 と言うのも、ブラックバードはマスク・ド・ルカンと戦いつつもキュア☆ドルフィンに嗾けた下っ端戦闘員たちの方の戦いにも目を向けていた。 向けていただけに、焦りは更に加速していた。

 

 

「イルカ突撃隊のみんな、突撃!」

 

 

「「「イーッ!?」」」

 

 

 キュア☆ドルフィンが頭上へと掲げた光の輪(ハイロゥ)を潜り抜け、高速で下っ端戦闘員たちへと突進するイルカたち。

 1匹が突撃するたびに水しぶきを挙げながら下っ端戦闘員たちをスタジアムの外へと吹っ飛ばしていく。 それが次々とイルカが射出されていき断続的に行われるのだ。 キュア☆ドルフィンの正面にたつ戦闘員たちがこれを突破するのにはかなり無理があった。

しかし、下っ端たちとは言え馬鹿ではないようであり、正面を囮にして背後から不意を打とうとする者たちがキュア☆ドルフィンへと迫る。

 

 

「あそぼ」

 

 

 しかしそれを阻むようにしてリースXPが不意を打とうとしていた下っ端戦闘員たちに体当たりし、イルカたちの泳ぐプールへと跳ね飛ばした。

 そこでキュア☆ドルフィンは背後から迫っていた戦闘員たち存在に気づいたようであり、その不意打ちを未然に防いでくれたリースXPに礼を告げる。

 

 

「! ありがとう、リースXP!」

 

 

「あそぼ」

 

 

『キュア☆ドルフィンとリースXP、圧倒的! 圧倒的な強さだぁ!

 ゴキブリの如く群れ、数の多い下っ端戦闘員たちをちぎっては投げ、スタジアムの外へとふっ飛ばしていく!

 最早無双ゲー! Fate無双の先駆けなのかー!? それともこれはエクステラの舞台だったか!? アプリ版への出張が始まったエクステラシリーズのステマなのかー!?

 ……あ、ちなみにスタジアムの外に飛んでった下っ端たちはここのスタッフ(イルカ)が救出しているから安心して欲しいんだニャー。 だから【役者たちをぞんざいに扱っている】とかってクレーム入れるのはやめてくれよPTA!』

 

 

『(これはツッコミ待ちと言うやつなのでしょうか……いえ、ちょっと今の発言を全てツッコミを入れるときりがなさそうですし、ここは聞かなかったことにしましょう)

 ……ああ、当劇団シルク・ドゥ・ルカンのヒロインショー及びヒーローショーにおいては、サプライズでの登壇も含めて当人の承諾を得ておりますので、ご了承いただけると幸いです』

 

 

 実況と解説の言は置いておいて、キュア☆ドルフィンとリースXPのやり取りは字面では会話が成り立っていないが、リースXPは会話を全て『あそぼ』で済ますために仕方のないことであり、意志自体は伝わってはいるようなので問題はない。

 実際、リースXPはキュア☆ドルフィンの告げた礼に対し、返答こそ『あそぼ』ではあるが、頭を少し下げて『気にすることはない』と言うような意を返しており、互いの意思疎通に大きな問題はなく連携を取って戦闘員たちを相手取っていた。

 その高度な連携の前に戦闘員たちは次々と数を減らしていき、同時にそれはブラックバードの勝利条件を満たす制限時間の超過の可能性も示しており、それを目にしているブラックバードの焦りが大きくなるのは必然と言えよう。

 

 

「くそっ、当たりさえすりゃぁ……一発当てさえすりゃ、てめぇなんて……!」

 

 

 またも振った拳を避けられ、苛立ちからブラックバードの口からはそんな言葉がこぼれ落ちていた。 それだけであればただのブラックバードの負け惜しみであるのだが、それを聞いて反応を示したのはブラックバードの相手であるマスク・ド・ルカンであった。

 

 

「そうか。 ならば試してみろ。 お前のその一撃とやらを受けてやる」

 

 

「なんだと!?」

 

 

『な、なんですとぉ!? マスク・ド・ルカン、ここに来てブラックバードを挑発!

 ここまでブラックバードの攻撃を避け、躱し続けていたマスク・ド・ルカン、まさかの棒立ち!

 ブラックバードの攻撃を受けてはマスク・ド・ルカンとてただでは済まない筈だが、一体何を考えているんだー!?』

 

 

 ブラックバードだけでなく、実況もマスク・ド・ルカンの行動の意図が読めず驚愕する。

 ざわつく会場の中、注目を集めているマスク・ド・ルカンは至って冷静であり、ここを狙えとばかりに自身の胸を指す。 

 

 

「余程自分のパワーに自信があるようだしな。 私はここから一歩も動かない。

 さあ、その手のフックを私へと突き立ててみるがいい」

 

 

 ブラックバードはマスク・ド・ルカンのその挑発ととれる言いぐさに警戒のようなものを示してはいたが、すぐにその顔をゲスな悪役の浮かべそうな笑顔へと変貌させた。

 

 

「へっ、へへ、そいつはいくら何でもこの俺様を舐めすぎだぜ、マスク・ド・ルカンさんよぉ!

 それじゃあ遠慮なくテメェを海の果てまでふっ飛ばしてやるぜぇぇぇええええええ!!」

 

 

「……」

 

 

『た、大変だニャー! マスク・ド・ルカンにブラックバードのフックが迫る!

 しかしマスク・ド・ルカン、宣言通り全く動く気配がない! まさか本当に真正面から受け止める気なのか!?

 大丈夫なのかマスク・ド・ルカンー!?

 ……はっ!? やっぱりこれキュア☆ジャガーの出番では』

 

 

『ないので座りましょうか』

 

 

『おのれ許さんぞ脚本家(スポンサー)!』

 

 

 手を下ろし、その場で立ち尽くすマスク・ド・ルカンにブラックバードはフックを構え、突進を敢行。 迫るフックの凶爪に、マスク・ド・ルカンは全く動じず、何か行動するような様子は見受けられない。

 不安でハラハラしている観客たちが見守っている中、ブラックバードがマスク・ド・ルカンへと引き絞った右腕を突き出した。

 

 

『……』

 

 

 会場内に響き渡る、バキッと何かの折れるような音。 一瞬の静寂の合間に、今の折れた音は何から発せられたのかと誰もが思う中、その答えは次いで響いた金属の甲高い落下音と、スタジアム床に転がっていた物により判明する。

 

 

「……まあ、こんなものか」

 

 

「な、なんだとぉ……!?」

 

 

 驚愕するブラックバードと、余裕を崩さないマスク・ド・ルカン。 両者同士で正反対の反応をする2人の内、観客たちはブラックバードと同じような感情を抱いている者の方が多かった。

 何故ならブラックバードが突き出した右手の先についていた鋭いフックは手甲を残し、根元から折れていたのだから。

 

 

『なん、だと……!? マ、マスク・ド・ルカン、確かにブラックバードのフックによる攻撃を受けた筈なのですがまさかの無傷! それどころか、ブラックバードのフックは根元から折れ床に転がっているぞー!

 こ、これは一体、どういうことなのでしょうかコトミネさん!?』

 

 

『……おそらく、種は彼が身に付けている魔術礼装……いえ、スーツにあるのでしょう。

 彼が装着しているスーツをよく見てください。 先ほどまで着用していたものとは別の物になっています。 恐らく、マスク・ド・ルカンはあのスーツを状況に応じて切り替え、スーツごとに違う機能を使い戦う者なのでしょう』

 

 

『た、たしかにマスク・ド・ルカンの服装が白い制服のようなものから、紫の学者の着そうな服装へと変化しております!

 どうやらマスク・ド・ルカンは戦いながらモードチェンジをして敵に立ち向かう、ニチアサヒーローの鑑のような戦士のようです! 日曜日の戦士たちのお約束をしっかりと守るとは、お姉さん感心だぞ! と言うかもう仮面ラ〇ダーを名乗っても良いと思うんだニャー!

 コトミネさん、解説ありがとうございます!』

 

 

『……なるほど、要点のみを話し、語彙も簡潔なものにすればよいと……』

 

 

 実況と解説の説明した点に注目すれば、確かにマスク・ド・ルカンのマントの下の服がいつの間にか変化しており、その服に合わせてスーツの色も変化していた。

 解説が当初説明しかけた通り、マスク・ド・ルカンのスーツは魔術礼装であり、彼は一瞬で魔術礼装を切り替えてそれぞれの魔術礼装ごとのスキルを用いて戦う。 今彼が起動している魔術礼装は【アトラス院制服】。そのスキルの1つである【オシリスの塵】を用いて、一時的に攻撃を防ぐ無敵状態となっていた。

 先ほどまでの白い服の【魔術礼装・カルデア】を装備している際も、合間おきに礼装のスキルを用いて回避をしていたのだ。

 

 

「チィッ! フックが折れたからなんだってんだ!

 こちとらそんなもんなくったって、まだまだこっちには切り札が……!」

 

 

「いや、もうタイムオーバーだ、ブラックバード」

 

 

 唖然とした様子から立ち直り、素早くマスク・ド・ルカンから距離を取るブラックバード。 強がりを言う彼ではあったが、表情はあまり良いものではない。

 そんな焦りを覚えるブラックバードに、マスク・ド・ルカンは精神に更に追撃するように言い、そんな彼の隣に降り立つ影が2つあった。

 

 

「お待たせしました、マスク・ド・ルカン!

 さあブラックバード、覚悟なさい!」

 

 

「あそぼ」

 

 

「くそっ、やっぱあいつらじゃあ傷どころか碌な時間稼ぎにもならねぇか……!」

 

 

『おおっと、ここでキュア☆ドルフィンとリースXPがマスク・ド・ルカンと合流!

 既に下っ端たちは全滅し、残るはブラックバードのみだニャー!

 いやー、これは勝ったな風呂入ってくるわ』

 

 

『貴方の場合ワザとやってますよね、それ』

 

 

『あ、99.9%勝ちますの方がコトミネさん的には好みですか?』

 

 

『ははは、一体何の話をしているのでしょうか?

 そう言えば、あなたはEランクの狂化スキル持ちでしたね。

 それでは時折会話が成立しないことも致し方のないことなのでしょう』

 

 

 ジャガーマンに数少ない黒歴史を引き合いにだされ、やや辛辣な解答をする天草。 若干実況と解説の空気が悪くなるが、メインのショーの方では一見して勝利の天秤はキュア☆ドルフィンとマスク・ド・ルカンたちに傾いたように見えた。

 

 

 しかし、最も追い詰められているであろうブラックバードの表情は、窮地であることを示すようなものとが対極の、余裕のそれであった。

 

 




実況「ブラックバードを追い詰めた、キュア☆ドルフィンとマスク・ド・ルカン! しかし対するブラックバードはまだ何か隠しているようだ! さあ、まだまだ勝負の行方はわからないぞ、どうするキュア☆ドルフィン! どうするマスク・ド・ルカンとリースXP!
 続きは今週には投稿予定の後編をこうご期待!


  えー、当劇団シルク・ドゥ・ルカンは、【バビロニア運輸】、【ウルク食品】、【バビロニア財閥】他エトセトラの提供でお送りします」


解説「(不満があった割には、楽しそうに実況してますねこの方)」



Q1.フックが折れた? あの魔術礼装そんな効果あんの?

A.フックが折れたのは演出です。 実際はダメージを失くすことはあっても、相手の武器を折るような効果はないです。


Q2.マスク・ド・ルカンの戦い方

A.ぶっちゃけ普段の弟君の戦闘スタイルに若干近接戦闘ができるようになったくらいの変化


Q3.実況と解説がうるせぇ

A.大体このタイガーならぬジャガーのせいである。SSJ
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