※この作品はR-18です。

トップスタァの一方通行な愛し方   作:左場


原作:Fate/
タグ:R-18 逆アナル
ラムダリリス様のキツすぎる調教で快楽墜ちした彼女持ちのマスターが、メスイキ我慢で散々焦らされた挙げ句にトコロテンで惨め射精させられて、自分の精液を飲まされてドライオーガズムを迎えるお話です。

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トップスタァの一方通行な愛し方

 ――斯くして、ラスベガスに舞い降りたひと夏の水の女神、ラムダリリスの引退公演は幕を閉じた。

 仙女を自負する水着剣豪はその凄絶なる美の前に膝を折り、トップスタァの最終目標は遂に達された。

 魂が海へと溶けてゆき、自分と他人との境界が混ざり合い、ひとつになってゆく恍惚。

 自我が薄れ、希薄な粒子に還りゆく俺を繋ぎ止めたのは、気紛れに発された彼女の提案で。

 誘いに乗ればこの敗北をなかったことに。誘いに乗らなければただ消えるのみ。

 抗う余地はなかった。それが猛毒であると分かっていたとしても、避けられぬ滅びを先延ばしするために。

 己と仲間と、そして、ずっと俺を支え続けてくれた、愛する恋人――マシュを守るために。

 そうして、俺は――――

 

☆

 

「――――ねぇ、感想を聞かせて。だってこれは、貴方のために用意した、とっておきの衣装なのですから」

 

 

 水天宮インヴィディア・セルペンス内、スタァの私室。

 ガラスケースに収められたドール達による無数の視線に囲まれた俺は、すべての着衣を禁じられた姿で毛足の高い絨毯に膝を沈めていた。

 腿の上に掌を載せた、正座の姿勢。目の前に佇むのは、ランウェイを切り裂くショーモデルがそうするように肢体をくねらせ、フレアを翻らせ、誇るように喉を反らす彼女――ラムダリリス。

 呑み込まれんばかりの美貌を誇るその偉容を、俺は畏怖とともに見上げていた。

 

 医療用メスを想起させる、磨き抜かれた精緻なシルエット。

 胸元と腰とを囲むギャザーの丈は短く、そこから這い出るように伸びた腹直筋のラインと鼠径部の陰影は、さながら新雪のゲレンデに刻まれたシュプールだ。

 抜けるような白い肌に纏うボディパウダーは細氷の如くに煌めいて、その輝きに目が眩みながらも、しかし視線を逸らすことはできなかった。

 

「――――――――――――っ、はぁ、っ…………!」

 

 釘付けになるとは、こういうことなのだろう。

 絶世の名画が一流の額縁を生むように、着飾る彼女こそを主役として、それを讃えるために誂えられた一張羅。

 彼女が愛した構造的な美しさを、主である彼女自身とのマリアージュによって体現するそのあり方は、まさに芸術品と呼ぶほかはない。

 審美眼など持ち合わせない俺にさえ、否応なくそう理解させてしまうほどの、至極の一品。

 言葉にできず、しばし呆然と見つめるしかできない俺に、ラムダリリスはくっくっと、からかうように笑いかける。

 

「気の利いた賛美のひとつでも聞きたいところだけど、まぁ、いいわ。美の概念そのものを間近で目にしてしまったのだもの。スタンダールなら即死モノの体験をしてもなおその程度で済んでいる己の凡庸な美的価値観に感謝することね」

 

 

 ――――この私の愛玩物となりなさい。私にとって価値あるモノである限り、あらゆる災禍から貴方を保護してあげるわ。

 

 

 素粒子の世界へと回帰する俺を繋ぎ止めた、ラムダリリスの誘い。

 温情とも脅迫ともつかぬ気紛れによって掬い取られた俺は、あの日以来、彼女に愛玩される玩具として、その役割を全うし続けていた。

 ただし、彼女の愛玩物となるということは、彼女に虐げられるということを意味していて。

 

「――だけど、お気に召したのは確からしいわね。あぁ浅ましい、そんなに屹立させて生殖能力を誇示したって、私と交尾できるはずもないのに。それとも、きょうは前を責めて欲しいってことかしら。だとしたら輪をかけて愚かね。だって、そんなに期待されたら、思わずお預けにしたくなってしまうでしょう?」

 

 振りまかれる芳香さえも嗅ぎ取れる至近距離で見せつけられる、蠱惑的な少女像。

 毒気に当てられたように過敏に反応してしまった俺の雄部分は、俺自身の意思とは無関係に、陰茎を硬く強ばらせ、痛いほどに勃起させていた。

 

 霊基の変容によって幾分か加虐性が収まった彼女が主に愉しんだのは、快楽による虐待であった。

 開発されて、焦らされて、おかしくなるくらいに虐げられて。

 ただ気持ちいいという範囲で収まるレベルの責めなどでは、絶対に終わらせてはくれない。

 彼女から与えられるものは、いつだって気が狂うと思わずにはいられないほどの、常軌を逸した官能なのだ。

 

 そして、その犠牲者である俺は、敗北しすべてを奪われたあの日から、一度たりとも射精を許されていなかった。

 何度も何度も射精寸前まで追い詰められては、それを直前で取り上げられるのを繰り返し、

 もう今すぐ出さなければ、ほんとうに頭がどうにかなってしまうとまで精液を練り上げられて。

 だから、そんな極限の飢えに苦しんでいるところに、天上の美貌を見せつけられなんかしたら、どう足掻いても勃起を我慢することなんて叶わない。

 

 

「――――決めたわ。貴方、きょうは後ろで奉仕なさい。けれど勝手に果ててはダメよ。かといって中途半端もダメ。私の手指でも感じ取られるくらいに熱く蕩けるまで、自らを追い込みなさい」

 

 

 天蓋付きのベッドの片隅に腰掛けるラムダリリス。彼女のバルーンスリーブに包まれた腕が掲げられ、水平に伸ばされる。

 内心は暗澹たるものだった。後ろでの奉仕――これまでに彼女から受けた虐待の中でも、その辛さは一層に際立つものだったからだ。

 それは肉体的な苦痛だけではない。彼女の動かない指により、嵐のような淫欲の渦に狂乱させられる、というのがあまりにも惨めすぎて、苦しくてたまらないのだ。

 だけど、逆らうことは許されない。そうすれば、ほんとうにすべてを失ってしまう。

 忸怩たる思いを抱えながら、しかしそれでも歩みを止めることはできない懊悩に正気を焼かれ、ただ意を決してそれに従うしかできない境遇が、呪わしい。

 

 そうして俺は立ち上がり、巾着のように窄まった袖口に手を添えて。

 プレゼントの包装を解くようにリボンの結び目を緩め、その内側に収まった彼女の手指を曝け出した。

 砂糖菓子めいた、白く艶めくか細い指先。それは触れるだけでほろほろと崩れてしまいそうに繊細で。

 息を呑むほどに美しいその指を、俺は宝飾品を持ち上げるようにそっと摘まみ、一本ずつ丁寧に曲げ束ねてゆく。

 デッサン人形にそうするよう関節の根元から順に折り曲げて、組み上げるのはミドルフィンガーのサインだ。

 

「これから貴方を苦しめるものを、貴方自身の手で形作らなければならないって、どういう気分なのかしら。ねぇ、教えてくれない?」

 

「……っく、い、言わない……で…………っ!」

 

 覗き込むような上目遣いに、思わず目を逸らしてしまう。

 中指を立てたハンドサイン。それが「お前をブチ犯してやる」という意味であるくらい、分かっている。

 それはあたかも、自らの眉間を狙う銃に弾丸を込めさせられているようで。

 この指に、今から俺はよがり狂わされるのだ。そう思うと、情けなさに息が詰まる。

 

「ふふっ、いい顔を見せてくれるわね、たまらないわ。まるでドロローサの道行きのよう。ねぇ、貴方はただ痛いだけよりも、こう自尊心を傷つけられるほうが辛いのよね?」

 

「…………っ、はい、っ……! そう、です……っ!」

 

 身体を痛めつけられるだけなら耐えられる。数多の旅路で、傷つくことには人並み以上に慣れてきたつもりだ。

 だけど、心はそうじゃない。悲しかったり、恥ずかしかったり、惨めだったり。

 そして、気持ちいいことだったり、それを求めてしまう欲深さであったり。

 そういう柔らかい部分は、どうにも鍛えることなんてできなくて。

 

「――――そう、指のほうはそれでいいわ。さぁ、そのまま跨がって」

 

 綺麗に形作られたミドルフィンガー。掌を上にして中指を立てた状態が崩れないよう、折り曲げられた四指を覆うように手を被せて固定する。

 そして、ちょうどその指先が股下に来るように、俺は一歩だけ、ラムダリリスへと歩み寄った。

 

「ふぅ……っ…………く、ぅぅぅ…………っ!」

 

 上を向いた中指の延長線上に、ちょうど俺のアナルが位置している。

 お腹に力を込めて、腿を少しだけ広げて、肛門括約筋を広げるようにいきむ。

 腸内には内容物は存在しない。事前に浣腸をして、綺麗に洗浄したためだ。

 それでも中身を出そうとすれば、必然として入り口だけが緩む。

 みちり、と張り付いた粘膜が剥がれ合う音がして、冷たい空気が直腸を撫でる。

 不意の冷感に背筋が震え、ぴくりと陰茎が跳ねてしまう。

 

「…………っ! ぅ、うぅぅ…………!」

 

 恥ずかしい、恥ずかしい、恥ずかしい。恥ずかしすぎて、消えてしまいたい。

 こんな、目も眩むほどの美女の前で、アナルを広げてペニスを震わせているだなんて、あまりにも滑稽に過ぎる。

 耳の先まで真っ赤に火照っているのが分かる。視線の動きから、それがラムダリリスにバレてしまっていることも。

 

「ひくひくと震わせて、そんなに待ちきれないの? 堪え性のないことね。まぁいいわ。さぁ、そろそろおねだりの許可をあげるわ。せいぜい可愛く鳴いて、私を愉しませなさい♡」

 

「――――ぁ、あ、あぁぁぁ……っ、く…………は、ぃ……っ!」

 

 目を細め、獲物を捉えた蛇のように舌なめずりをするラムダリリス。

 意を決して目を瞑り、顔を背け、歯切れ悪くおねだりをする。

 

 

「……う、麗しきご主人様…………どうかこの卑しき肛門に、か、快楽を……っ…………お恵み……く、くだ……さい…………っ!」

 

「ふふ、上出来よ。いいわ、さぁ、銜え込みなさい」

 

 

 その言葉を合図に、ぐっと下腹部に力を込めて括約筋を押し広げ、突き立てられた中指をそっと呑み込むよう腰を落とす。

 

――――ちゅく、っ…………♥

 

「うっ! あ、うぅぅっ……♥」

 

 冷たい指先が熱く火照った襞に触れ、甘い痺れが細波のように広がる。

 左右に広げていた股に力が籠もり、緩めた肛門が締まりそうになるのを必死で堪えて、彼女の手を抱え込むように引き寄せ、奥まで迎え入れる。

 そうして、角度を調整するように掴んだ腕をくねらせて、俺自身の最も弱いところを彼女の指が捉えるように、神経を集中させて腰をしゃくり――――

 

――――こりっ♥

びくんっ♥びくびくびくぅぅぅぅ――――――~~~~っっっ♥♥♥

ぎゅううううううっ♥♥♥きゅっ♥きゅうぅぅぅぅ――――――――~~~~っっ♥♥♥

 

「くっ――――!? ぅぁ、ああああぁぁぁっっっ♥♥♥」

 

 含羞の躊躇いが吹き飛ぶほどの激感が、身体の芯を貫いた。

 腰が砕け、膝が笑う。

 がくがくと震えて崩れ落ちそうになるのを必死で堪えるが、それが余計に銜え込んだ指を奥へと引き込んでしまい、 鮮烈な快楽の波が次々と湧き上がってきてしまって。

 

「ふふっ、うふふふふっ。貴方のいちばんイイところに当たったのね。すごい力で締め付けてきて、鈍い私の指でもそれが分かるくらいよ」

 

「ふっ゛っ――――♥ っっ…………♥♥♥ っ、あぎぃ゛ぃぃっ……………♥♥♥」

 

 ラムダリリスの指先が捉えたのは、腸壁を隔てて向こう側にある、前立腺だった。

 本来は閉じられた性感帯で、快楽を感じ取るには入念な開発が必要な部位であったが、ラムダリリスの度重なる虐待じみた性拷問によって花開いたそこは、軽く撫でられただけでもたちまち発火するほどに鋭敏にされていて。

 現に今だって、指先がこりっ♥と一度当たっただけで、こうまで淫靡な鳴き声を上げさせられてしまっている。

 男の尊厳なんて、ほんのひと掻きで消えてしまうほどの、暴力的な喜悦。

 一度味わったが最後、最奥から這い上がる堪えがたい疼きに、もうそれを貪るのを我慢なんてできない。

 

「はっ♥ は、ぁ――――ぁ、うぁぁぁ…………♥ ひぃ、んっ…………♥ んん゛ん゛っっ…………♥♥♥」

 

――――くちゅっ♥くちゅ♥くちゅ♥ちゅぷっ♥

きゅぅぅっ♥ちゅく♥くちっ♥くちゃぁ♥

ぞくっ♥ぞくぞくぞくぞくぞくぅぅっ…………♥♥♥

 

 ラムダリリスの指に前立腺をこすりつけるみたいに、痺れる腰をくねらせる。

 くにくにっ♥こりこりっ♥と弱いところをこねて、娼婦のような嬌声をあげる俺を、ラムダリリスは満足げに微笑んで眺めていた。

 彼女自身の意思ではぴくりとも動かせない指をディルド代わりにしたアナルオナニーを、特等席で鑑賞される。

 それが、敗残者たる俺に課せられた、お役目なのだ。

 

「挿れたばかりなのに、こんなに水音が激しいのはどうしてかしら。もしかして、期待して股を濡らしてたのかしら。ああいやだ、貴方ってほんとうに変態ね。恥ずかしくないのかしら」

 

「そん――――っ♥ にゃ、のぉ……ふぅぅううう――――――――~~~~っっ♥♥♥ お゛っ、ぉ……ぉぉ゛ぉお゛お゛おお――――~~っ゛っっ♥♥♥」

 

 ――そんなの、恥ずかしいに決まってる。

 恥ずかしいに決まってるのに、あまりにも流れ込む快楽が強すぎて、それを言い切るだけの呂律さえ回らない。

 ねっとりとした陶酔感が思考を押し流して、頭の中を真っ白に染めてゆく。

 夢中になってしまう。お尻で気持ちよくなることだけがすべてで、それ以外、なにも考えられない。

 

――――ぽたっ♥ ぱたたたっ…………♥

ぷぴっ♥とろぉぉ――――っ♥とくとくとく…………♥♥♥

 

 放置されたペニスの先端から、我慢汁がとろとろと溢れ出る。

 とくとくと糸を引くそれがラムダリリスの腕を汚していく。その、粘つく水滴を、彼女はれろぉっ♥と見せつけるように、舌で掬い取って口に含む。

 

「こくん……しょっぱいわね、貴方の我慢汁。でも、精液よりはマシかもしれないわね。ええ、悪くないわ。今度、我慢汁だけを延々と絞らせてあげようかしら。そのペニスをしごき続けて、射精はさせずに我慢汁だけ。うふふ、きっと地獄よ。貴方に耐えられるかしら」

 

 れろり、と唇に付着した我慢汁を舐め取るように舌を這わすラムダリリス。その扇情的な仕草に、びくりとペニスが跳ねた。

 

「――――――――っ゛っっ♥♥♥ ぅあ、ああああ゛っ゛っっ♥♥♥ イっ、く…………っはぁっ♥ はぁ――――っ゛っ♥♥♥」

 

 それが引き金となったのだろうか、ペニスの根元にある前立腺がぐにっ♥と指先へと押し込まれ、下腹部の低いところから煮えたぎった熱いモノが爆発的に膨らみ始める。

 内側から炙られるみたいに重たい疼きが巻き起こって、ぶるぶると腰から下が震える。

 ドライオーガズム――メスイキの予感に、脳内麻薬がどぱどぱと分泌され、頭蓋が満ち満ちてゆく。

 射精とは質の違う、全身が幸福の海に包まれるような、女性的な絶頂。

 鳥肌が止まらない。すべての感覚が鋭敏になって、そよ風さえもが極上の愛撫に変わる、理性が蕩けるような恍惚の一瞬が――――

 

 

「――あら、なにを勝手に絶頂しようとしているの? 誰がイッてもいいだなんて許したのかしら。ペットのくせに生意気ね。ほら、さっさとイクのを我慢しなさい」

 

 

 咎める声に、反射的に腰が止まる。あともう少しでも刺激があれば果ててしまうくらいの、極限の快楽のさなかで、しかしそれに身を任せるのは許されない。

 陸上なのに溺れそうなくらい、胸の奥に切なさが充満する。息苦しい。心臓が破裂しそうだ。

 ちかちかと視界に星が散って、悲鳴が裏返る。身体は気持ちよくなりたいと叫んでいるのに、それを求めるのを自らの意思で我慢しないといけないなんて。

 

「――――――――~~~~っ゛っっ♥♥♥ ぅぐぅう゛う゛う、っっ♥ ぅあ、あっ♥ あ、ひぅ゛ぅぅっ……♥♥♥ はっ、は――っ♥ は――っ♥ ひっ、ふぅぅぅ…………♥」

 

 荒々しく腰をヘコつかせて、ぐぽぐぽっ♥と淫猥な水音を迸らせて、下品にピストンしたいのを必死に堪えて。

 前立腺の弱いところを指先がこすらないように、肛門が勝手にひくひくと食いついて奥へと引き込まないように、ぷるぷる膝を震わせて耐える。

 本能と相反する行動を強要されるのが、きつくて仕方がない。

 本当はもっと気持ちよくなりたい。イキたい。

 射精を取り上げられ、代わりにすっかり覚え込まされたメスイキをキメたくて、もうどうしようもないのに。

 それでも、彼女のお許しが出るまでは、我慢、我慢、がまん、しなきゃ。

 

 

「――――理解力の足りないペットね。私は我慢しろと言ったのよ。腰を止めることは許可してないわ。ほら、ちゃんと動きなさい」

 

「ひぃっ、ぅ――――!? そん、なぁ゛ぁっ……む、り…………ぃ゛ぃぃ♥♥♥」 

 

 

 死刑宣告にも似た彼女の言葉に、理性がひりつく。

 ご主人様の命令は絶対で、それに背くことは決して許されない。

 イッてはいけないのに、前立腺を虐めるのはやめさせてもらえない。

 耐えられるワケがない。それでも、襲い来る快楽に怯えながらも、再び彼女の腕を握る手に力を込め、指先がアナルを突き込むよう、腰を沈める。

 

――――ちゅぷっ……♥

ぐちゅっ♥じゅぷ♥じゅぽっ♥ちゅぽっ♥ぐぽぉぉっ♥♥♥

 

「――――~~っぐぅぅ♥ ん゛ッ――――――――ん゛ん゛ん~~っ゛っ♥♥♥ う゛ぁ、っ……お゛っ、ごぉ゛ぉ゛ぉぉ――――~~っ゛っ♥♥♥ ぅ゛ぅぅっ…………♥♥♥」

 

 意識が白むほどの、壮絶なる悦楽。頭の中が蕩けて、脳みそがぐちゃぐちゃに攪拌されるみたいで、もうなにも考えられない。

 情けない喘ぎ声が止まらない。快楽に堕ちて、淫欲に狂わされてゆく。

 ぶちゅ♥ぶちゅっ♥と白濁した腸液が尻穴から零れ、彼女の白磁の手をはしたなく濡らしている。

 俺の身体の最も熱いところから溢れ出た雄の愛液がとろとろと絨毯へ滴って染みこんでゆくのを、彼女はうっとりとして眺め、嘲るように笑う。

 

「あらぁ、随分といやらしくなったものね。こんなに涎を垂らして、随分と幸せそう。ねぇ、貴方の恋人は、こんなにも貴方を気持ちよくしてあげることができたのかしら?」

 

 ちろりと舌を唇に這わすラムダリリス。

 ジョビ器官を励起させる爬虫類じみた仕草に蠱惑され、俺の中の更なる劣情が喚起されてしまう。

 俺の恋人――マシュの醸す魅力とは、全く別種の妖艶さ。

 ラムダリリスから与えられる、文字通りに身も心も溶かされるほどの圧倒的な法悦は、マシュと身体を重ねたときの、不慣れな男女の営みで得られるものとは到底比べられようもない。

 

 神経ごとに作り直されるみたいな、苛烈な調教。

 未知の感覚をいくつも植え付けられて、もうなにも知らなかったあの頃へと戻ることなんてできない。

 だって、普通じゃ味わえないような異常な快感を何度も何度も体感させられて。

 精神が真っ白に焼き尽くされるほどの、頭がブッ飛ぶメスイキの味を覚えてしまったら、もう普通のセックスなんかじゃ満足できるはずがない。

 

――――ぐちぃっ♥じゅぷ♥くちゅ、ぐちゅっ♥

びくっ♥ぴくん♥びくぅっ♥ふるっ……びくんっ♥びくびくぅぅぅ……♥♥♥

 

「ふふっ、酷い顔をしてるわ。ねぇ、アナルで感じてるときの自分がどんな顔をしてるか、貴方知ってるかしら? 耳まで真っ赤に火照らせて、鼻の下をだらんと長くして、半開きの口からは涎がだらだら垂れてるのよ。目も蕩けて瞳孔開いちゃってるわ。うふふ、貴方の恋人にだって、こんなにだらしない顔は見られことないでしょう?」

 

「ひぃ、っ――――ぅ゛ぅぅ……………♥ っは、あ゛――――っ♥ あ゛っ♥ はっ♥はっ、はっはっはっ♥ は、ひっ♥ ひぃ――――っ♥ ひぃっ♥ ひぃ――――♥♥♥」

 

 すっかり解れてふやけきったアナルが、彼女の指を食い千切らんばかりに締め付けて、奥の気持ちいいところへと強制的に引き込んでゆく。

 収縮しては緩み、また収縮しては緩み。

 その反応はもう俺の意思ではどうすることもできず、等間隔で前立腺をぐりゅぐりゅっ♥と抉られる衝撃に、まともに息をすることさえできない。

 腰が勝手に動いてしまう。交尾に熱中している獣のように、本能だけに支配された低俗な動き。

 下腹部に渦巻くどろりとした重い情動に突き動かされて、へこっ♥へこっ♥とがに股に広げた膝を揺らし、そのたびに陰茎がぶるんと震え、先端から滲み出た我慢汁がぽたぽたと糸を引いて堕ちてゆく。

 

 そんな、あまりにも無様な醜態を最前列で鑑賞するラムダリリスは、どこまでも愉しそうに唇を歪め、卑猥なダンスを踊り続ける俺に、更なる残酷な命令を突きつける。

 

 

「なんてみっともない、まるで盛りのついた犬ね。そんなにも息を荒げて、もう耐えられないかしら? そろそろご褒美が欲しい? いいわ、特別に、射精することを許可してあげる」

 

「はっ――――ぁ、あ゛あ゛あ゛あぁぁ゛ぁ゛ぁ゛あ゛ぁぁ゛っ゛っっ♥♥♥ 射精っ♥しゃせ゛え゛えぇ゛ぇ゛ぇっっ♥♥♥」

 

 

 ずっとずっと待ち焦がれていた解放が、ようやく許される――――

 何度も何度も寸止めを繰り返され、延々と焦らされ続けていた射精が、やっと――――

 言葉で伝えられただけでも意識が吹き飛びそうなくらいに嬉しくて、一瞬で理性が溶け落ちて、自分が抑えられない。

 甲高い嬌声をあげ、歓喜に髪を振り乱して泣き噎ぶ。メスイキ我慢の辛さが激しすぎて忘れかけていた射精欲求が、一瞬で罰発寸前まで膨れ上がって、もうほかのなにをも考えられない。

 ぱんぱんに張り詰めた金玉がずくんと大きく疼き、たまらない掻痒感が脊髄を駆け上がってくる・

 一色に塗りつぶされる。思考が白滅する。射精、射精、射精射精射精射精射精射精射精射精射精射精!!!

 

 

「――――ふふっ……♡ でも、おちんちんには触れちゃだめ。後ろだけで出しなさい」

 

「――――――――へ、っ…………? ぁ――それ、いや……いや、です…………やだ……だって、あ、あ゛ぁ゛ぁぁ…………それ……って――――」

 

 

 続いて告げられた宣告に、燃え上がるように昂ぶっていた身体の熱が、一瞬にして凍り付く。

 アナルの刺激だけで、精液を搾り出せ――――

 それはつまり、ペニスへの刺激や絶頂感の伴わない、単なる精液の抜き取り処理を強要されているのと同義で。

 

 

「ええ、貴方の大嫌いなミルキングよ。貴方がここまで射精を必死に我慢して我慢して、自慰行為さえも禁止されて絡み合うくらいに溜め込んできたどろどろの精液を、快楽の伴わない残酷な方法でゴミのように吐き出すことを、特別に許可してあげるわ。もちろん、メスイキ我慢は続けたまま、ね」

 

 

 粘着質な汗が額から噴き出して、背筋が凍るほどの寒さに身を震わせる。

 脊髄に氷柱を通されたような悪寒。乾いた笑いがか細く漏れて、びくっ♥とペニスがわなないた。

 許可されたのなら、それを拒否するという選択肢は用意されてはいない。

 トコロテン射精をお許しくださってありがとうございますと、心にもない謝辞を述べて、その苦しみを享受するしかないのだ。

 

「――あぁ、いい顔ね。もっとよく見せなさい、私は貴方のその顔が大好きで、そばに置いているのだから♡」

 

「……あ゛ぅ…………ぁ、りがとう、ございます…………っ♥ しゃ……せい…………ひっ、ぐ♥ ぅぅぅ……♥ させ、て…………いただき、ます…………っ゛っ゛っ♥♥♥」

 

 悔しさを噛み締めて、精一杯媚びた声で、感謝の言葉を継ぐ。

 呼気はいつの間にか浅く荒いでいた。おそらく恐怖によるものだろう、と思った。

 だって、イキたいのに。ひと思いに楽にして欲しいのに、そこへ逃げることは許されず、あくまで自分の意思で、精液を無為に搾り出さないといけないという拷問。

 

 入念な愛撫によりほぐれて鋭敏になった前立腺は避けて、その少し奥にある精嚢だけをピンポイントに押し込まなければ、トコロテン射精は達し得ない。

 ポンプの中身を物理的に押し出すため、潰れそうなくらいにぎゅっ♥と強く、彼女の指先に押し込まなければ。

 同じ強さと深度で前立腺を押し込めば、絶叫、失神が避けられない、天国のような大絶頂が得られると分かっているのに、そちらは許して貰えないままで。

 快楽の水でいっぱいになったコップをそっと傾けるように、ただもどかしさだけが募る方法で、精液を吐き捨てなければいけない、なんて。

 

「はっ、はっ、はっ、はぁぁぁ…………♥ ひっ、ひ――――――――ん、ん゛ん゛んっ゛っ゛っ♥♥♥」

 

――――ぎゅっ♥きゅぅぅぅぅっ♥♥♥

ぷしっ♥ぴしゃぁっ♥ひくっ♥ぴくぴくぴくぅぅぅ…………♥♥♥

 

 くいくいっ♥と腰をしゃくり、ラムダリリスの突き立てられた指を奥深くへと銜え込む。

 前立腺に少しでも触れてしまえば、もうきっとメスイキを耐えきることはできない。

 だから、慎重に、細心の注意を払って、そっと奥へと迎え入れる。

 前立腺のちょうど奥に位置する精嚢を、か細い指先が過たずに穿ち抜けるように。

 

 じんと重く響く精嚢からの快感に、ぴりぴりした静電気でずっと脳内をくすぐり続けられるような甘い快感が止まらない。

 それに身を任せて動きを大雑把にしてしまえば、きっと手元が狂って前立腺を刺激してしまう。

 そうなれば、絶頂はもう避けられない。緊張に口内が乾いてゆく。

 

 絞首台の階段を進む死刑囚とは、こういう気持ちなのだろうか。

 あるいは自らの眼球をくり抜こうと、ナイフの切っ先を見開かれた目に突き立てる者の気持ちは。

 それがもたらすものが解放の悦楽でもなんでもなく、ただ苦しいだけの拷問だって分かっているのに。

 なのに、開発されきった身体は嫌になるほど正直で。

 彼女の指先がきゅっ♥と精嚢を捉えるたびに期待してしまって、ぱくぱくっ♥と鈴口がわなないて、ぷしっ♥と我慢汁が吹き出るのが、あまりにも滑稽すぎて涙が零れた。

 

 

――――きゅっ♥くちゃぁっ♥ちゅぷっ♥

ぴちゃっ♥くちっ♥くちゅ…………ごりっ――――――――♥♥♥

 

――――――――ぴゅるぅぅぅっ♥びゅっ♥びゅぅぅぅぅぅぅっ……♥

びゅるるるるるぅぅっ♥とぷっ♥ぴゅっ♥ぷしぃっ♥

 

「――――――――――――――――っ゛っっ♥♥♥ っは、あ……♥ あ、出て……る――――のに…………っ♥ ぜんぜん、きもち……よく、ない゛ぃ゛ぃぃ゛ぃ゛っ゛っ♥♥♥」

 

 

 ――――ごりっ♥と。

 がに股に開いた腰をラムダリリスの腕に押しつけて、前立腺の奥のスイッチを強く圧迫したその瞬間、硬く反り返った陰茎の先から、溢れ出るように精液が飛び出した。

 歯磨き粉のチューブを思い切り握りしめたみたいな、激しい水勢と量。

 ミルキング特有の前立腺液を多量に含んだ水気の多い精液は勢いよく迸って、眼前のラムダリリスの顔を、胸板を、とっておきの一張羅を白濁で汚していく。

 普通の射精と変わらない、激しい欲望の奔流。しかしその見た目とは裏腹に、快楽と呼べるものは一切伴わず、出せば出すほどに焦燥感が増してゆく。

 

「あ、あああぁぁぁ……♥ ひどい、こんなぁ……っ♥ きもちよく、なりたいのにぃぃぃ…………♥♥♥」

 

 PC筋の脈動に依存しない搾精は、ただ尿が流れるのとほぼ同じ程度の快感しかもたらさない。

 しかし肛門の奥に突き立てられた彼女の指先による精嚢圧迫に連動するようにびゅくっ♥びゅるっ♥と零れ続ける精液は、

 思い切り竿をしごいて絶頂に至ったときのソレと見た目は全く変わらなくて、その目に映る光景と実際に体感した感覚の不一致が、満たされない切なさを増長させる。

 

 こんなに勢いよく射精できているのに、どうしてなにも感じないのか。

 ほんとうは、気を失うほど気持ちよく射精できていたはずなのに。

 寂寥感と悲しみとが心を満たす。頭がおかしくなる。

 脳みそが誤作動してるみたいで、目の前の現実を、認めることができなかった。

 

――――ぴゅっ♥ぴゅぅっ♥とくとくとくっ……♥

とぷっ♥とくっ……♥ちょろぉっ……♥ぽたっ…………♥

ぽとっ……♥ ぽたっ……………………♥

 

 

 そうして、何度かの放出を経て、遂に精液が空っぽになってしまったようだった。

 精嚢をぐりぐりと圧迫しても、出がらしのように前立腺液が垂れるだけ。

 全身を包む虚脱感に膝が笑う。快感はないのに倦怠感だけはしっかりと襲ってくるのが皮肉すぎて、なにも言えなかった。

 言い知れない喪失感に襲われ呆然とする俺に、彼女は口許へと迸った精液をぺろりと舌先で掬いながら、ふふっ♥といたずらに笑った。

 

「ほんと、精液って苦くて臭くて不味いわね。そんなものをよくもまぁこの衣装に、なにより、この私にぶちまけてくれたものね。おかげでベタベタだわ。顔にも思いっきりかけてくれて…………んれろっ……ちゅぷっ…………ふふっ、いいことを思いついたわ」

 

 長い舌を自在に伸ばし、口回りに付着した精液を舐め取ってゆくラムダリリス。

 頬を歪めるのは嗜虐的な笑み。細められたまなじりが不吉な色を湛えていて、俺は思わず、ぶるりと身震いをした。

 新たな企みが浮かんだであろうことは明らかだった。そしてそれが、俺にとってこの上なく不吉であることも、感覚的に理解できてしまっていた。

 

 

「喜びなさい。これから後ろで達するのを許可してあげるわ」

 

 

 ラムダリリスは立ち上がる。

 ヒールブレードが外れたため、軽く見下ろす身長差。精液の雫が付着した鼻頭をつんと上に向け、にたりと唇を吊り上げる。

 眼前で見れば、やはり寒気がするほどの美貌。しかしその実態は、魂を溶かす劇物だ。

 絶世の美少女があたかもキスをせがむように細首を反らしている、固唾を呑むようなシチュエーションであったが、このとき俺が感じていた感情は、ただ背筋が凍るほどの戦慄のみであった。

 

 

「――――ただし、貴方自身が出した精液を味わいながら、ね。ふふっ、精液を飲まされながら、お尻を虐められて絶頂するだなんて、まるで女の子そのものね♡ ねぇ、そんなことを貴方の恋人が知ったら、ふたりの関係はどうなっちゃうんでしょうね」

 

「はっ……♥ は……♥ ぁ、ぅ…………♥ っは、は、っ……♥ やめ、て…………マシュ、には……言わないで…………っ♥」

 

 

 くちゅくちゅと口に含んだ精液を攪拌する水音が、ラムダリリスの口許から響く。

 それだけは、許して欲しかった。マシュに幻滅されたら、俺はもう頑張れない。

 マシュだけが俺の心の支えで、この狂ってしまいそうなほどの責め苦を耐え抜く原動力なのだ。

 そんな彼女に、軽蔑され、見捨てられたら、俺は――――

 

 

「ふふ、そんなこと、するワケがないじゃない。恋人に見放されたら、貴方の心はもう保たない。すぐに壊れておしまいだなんて、つまらないわ。私、壊れた玩具に興味はないの」

 

 

 ラムダリリスの片腕が、俺の首に絡むように回され、抱き寄せられる。

 もう片方の手は未だミドルフィンガーを崩さず、アナルの中で異物感を主張し続けている。

 まるで、捕食者と獲物。がっしりと拘束され、逃げることなんて叶いそうにもない。

 

 

「私が好きなのは、必死に苦難に立ち向かう貴方。けして折れず、くじけず、勝算がなくたって絶対に諦めない貴方だからこそ、虐め甲斐があるんじゃない。だからこそ、手に入らないものだからこそ、私はこうまで貴方に執着してしまうの♡」

 

 

 薄桃色の唇を割り開き、中から這い出てくるルビーレッドの舌先。

 紅玉の如くに艶めくそれがデギュスタシオンとばかりに俺の唇の亀裂をなぞる、それだけで――――

 

「――――ふぃ、っ♥ っひ、ぃ゛ぃ゛ぃぃ……………………♥♥♥」

 

――――ぞくっ♥

ぞくっ♥ぞくぞくぞくぞくぅぅぅぅぅっ♥♥♥

 

 唇が快楽中枢であるかのように、快楽の稲光が迸る。

 頭の中に直接響く、甘美すぎる官能。

 暖かく湿った舌先が俺の唇を離れても、じんじんと脈打つ痺れは離れてくれなくて。

 キスにも満たない、触れるだけの粘膜接触。それだけで、腰が砕けてしまっていた。

 

 

「――――だからね、貴方は私の敵で居続けなければならないの。たとえ、キスのひとつで達してしまうくらいに、心がドロドロに溶かされてしまっても。ええ、だから駄目よ。絆されてはいけないわ。少しくらい優しくされたからって、絶頂を許可されたからって、心まで私のものにはならないで」

 

 

 身体はもうすっかり開発されきって。

 心も、彼女が与えてくれる快楽なしでは満たされないくらいに狂わされて。

 きっと、彼女がいなくなってしまったら、胸の中にぽっかりと穴が空いてしまう。

 そう言い切れるくらいに、彼女は俺の中で大きな比重を占めるものになっているのに、

 なのに、その快楽に溺れて、彼女のもとに堕ちることは、許されない。

 

 

「貴方にはもう恋人がいるのだから、彼女を裏切っちゃいけないわ。私は貴方の敵で、世界の敵。貴方が抗わないと、世界は溶けて消えちゃうの。立ち向かえるのは世界でただひとりだけ。それが貴方よ。人理の守護者、人類最後のマスターさん。世界を、貴方の大切なひとを救えるのは、貴方だけ。ほうら、戦うには十分な理由でしょう?」

 

 

 ――――そうだ。

 それが、俺の役目で、人類最後のマスターである、俺の責務だ。

 俺の個人的な欲望なんて、到底この使命には優越しえない。

 だから、どれだけ身体が屈しても、心が屈しても、絶対に、戦える限り、折れては、いけないんだ。

 

 

「そう、だから、これから行われることは、貴方にとってほんとうに屈辱的で、耐えがたいことであるべきなの。汚らわしいものを口に注ぎ込まれて、男としての尊厳を奪われて、雌のようによがり狂わされる。さぁ、口を、開きなさい」

 

「――――ぅ、あ……………………♥」

 

 

 言われるがままに、口を開く。

 これは、俺の意思じゃない。こうしないと、彼女の命令に従わないと、世界が海に呑み込まれるから。

 まったくの不本意。一片も望んではいない、屈辱的な仕打ち。

 なのに、どうして、こんなにも。

 彼女の指の感触をほのかに感じる下腹部。そこから発せられるじくじくとした疼きが秒刻みに増大して、今にも頭が焼き切れそうなくらいに、期待させられてしまっているのか。

 

 

「――――さぁ、貴方の精液、味わいなさい。大丈夫、私のウィルスとカクテルされて、きっと、天にだって昇れるわ♡」

 

 

――――つぷっ♥

ぐちゅっ♥れろぉっ♥ちゅっ、ぷ♥

えろぉっ♥じゅっ、くちゅ♥じゅるるるっ♥

 

「むっ、ぅ♥ えっ、ぉ♥ じゅる、むっ、ぅぅぅ゛う゛うう…………っっ♥♥♥」

 

 開け広げられた口の中央でふるふると震えて座する俺の舌に、彼女の長い舌が絡みつく。

 まるで野鳥の給餌のように無遠慮に差し入れられた舌が口腔を蹂躙し、隙間を塞ぐように唇を被せられて。

 そして、じゅるるっ♥という水音とともに、精液まじりの唾液を流し込まれて、むわりとにおい立つ臭気に鼻腔を突き刺された。

 まるで、鼻から脳みそにかけて、何本もの長く鋭い針を一気に突き立てられたようで、あまりの衝撃に、眼球がぐるんと裏返る。

 

 苦いような、鼻に沁みるような、つんとした臭気。それがきっと、俺の精液の味なのだろう。

 嫌悪感を喚起させる味だが、しかしラムダリリスの、とろとろの唾液と混じり合ったそれだけで、理性が溶け落ちるほどに甘美なものであると、錯覚してしまう。

 これが、ウィルスが含まれている意味なのだろう。精液の香りに性的興奮を喚起されるよう、感覚器を侵す猛毒が。

 それを、口腔内の粘膜にくまなく塗りたくられて、ナメクジの交接みたいに激しく舌を絡め取られて、否応なく、焼きつけられる。

 

 頭が沸騰していた。全身、指先に至るまで、どこもかしこも熱くてたまらない。

 神経を作り替えられるのが怖い。知らない感覚を呼び覚まされるのが怖い。

 そして、なによりも、俺の懐で目を瞑り、頬をほのかに赤く染めて耽美な鼻音を漏らす彼女に。

 大切なものを守るために、立ち向かわざるを得ない身でありながら、

 それでも、彼女にならば、この身を捧げてもいいと。

 ――――そう思わされるほどに、心を侵されていることが、なによりも恐ろしかった。

 

「んっ、ふぅ……っ♡ ちゅぷ――――っ……♡ ふふっ、自分の精液の味はどうかしら。そのまましばらく、吐いたり飲んだりせずに楽しみなさい。そう、くちゅくちゅ噛み締めて、味と香りを覚え込むの」

 

 ちゅぷり♥と離れてゆく彼女の唇を名残惜しく追いかけようとして、窄まった袖口に機先を制される。

 そうして、教え込むようにわざとらしく、目の前で見せつけられる、もごもごと咀嚼する動作。

 俺はそれを、親鳥の所作を真似るように、彼女に倣って噛み締める。

 

――――くちっ♥

くちゃっ♥じゅぷ♥ぐちゅっ……♥

 

「んんっ゛っ……♥ っふ、ぅ……♥ むぅ、ん゛ん゛んんぅぅ…………♥♥♥」

 

 酒精の強いリキュールを口に含んだような、目も眩む酩酊感。

 頭はぽうっとして、自我のふわふわと揺れるのが、言い得ない心地よさだ。

 鼻を抜ける青臭いにおいとラムダリリスのフェロモンが混ざり合い、脳髄がつんと痺れて思考が纏まらない。

 どぱどぱと脳内ホルモンが滲み出た、違法薬物でも打たれたかのような強い恍惚。

 オピオイド系脳内麻薬による病的な多幸感と、精液の臭気とが深く関連付けされてしまって、もう、戻れないんだって、実感させられる。

 

 

「そんなに白目を剥いて、汗もだらだらで、ほんとうに酷い顔ね。そろそろ絶頂したい? ふふん、もう限界かしら?」

 

「っ゛っ…………♥ ん゛んんっ…………ぅぐっ、ぐ、ふぅぅ゛ぅ゛う゛う゛う……………………っ゛っ♥♥♥」

 

 

 必死に首を縦に振って、絶頂を懇願する。

 止めることを許されていない腰の動きは、もはや亀の歩み寄りも遅く、微少なものとなっていた。

 そうでもしないと、たちまち絶頂に達してしまうのを耐えきれなかったからだ。

 身体の芯に渦巻く煮えたぎった絶頂欲求は、ごぽごぽと泡立つ溶岩の如くに内側からその身を焦がし続けていて。

 心臓がばくばくと跳ねるたびに、張り詰めた前立腺がずくんずくんと強烈に疼き、呼吸のひとつだけでも血流の巡るのが分かって、もう収まりがつかない。

 

 それなのに、最後の一線を越えることは、許されていなかった。

 あとほんの少しでも腰を動かしてしまえば、意識も吹っ飛ぶほどのメスイキの奔流に身を任せられるのに。

 なのに、それを自らの意思で抑制して、最高にじれったい絶頂寸前の、ぶちぶちと脳細胞が弾けるような焦燥の一瞬を維持し続けなければならない、なんて。

 ウィルスと精液の相乗作用で変性した意識をも侵食する、おかしくなりそうなほどのもどかしさ。

 異常な切迫感、鮮烈な苦痛に容貌は歪み、情けない泣き顔で嘆願することしかできなかった。

 

 

「――――いいわ♡ 絶頂を許可してあげる。いまままで咀嚼した貴方の精液を飲み込みなさい。そうしたら、思う存分に尻穴をほじくってもいいわ♡ ほら――――――――飲み込め、変態♡」

 

「――――――――っ゛っ゛っ♥ んっ、ぐ…………ぅ、う、ぅ゛ぅ゛う゛ううう゛う゛う゛うううう♥♥♥」

 

 

――――こくん、っ♥

びくっ♥びくんっ♥びくぅっ♥がくがくがくがくっ♥♥♥

ぞわっ…………ぞわ、ぞわぞわぞわああぁぁぁ――――――――~~~~っっっ♥♥♥

 

 福音の如くに響いたラムダリリスの慈悲に、俺はようやく、口内に溜め込んでいた精液を嚥下した。

 途端、全身が燃え上がった。通り抜ける食道を熱く焼き焦がして、胃までどくりと滑り落ちるとともに、散々と溜め込まれてきた官能が、一気に爆発した。

 同時に、激しく腰をしゃくりあげる。がに股で、がちがちに勃起したペニスをぶるんぶるんと震わせて、とんでもなく情けなく、本気で前立腺を刺激する。

 

「ん゛っ♥ ふっ、ぐ…………ううう゛う゛ぅ゛ぅぅ――――――――~~~~っ゛っっ♥♥♥ ぎっ、ぐ……♥ ぃ、ぐっ♥ イク゛っ゛っ♥♥♥ イキます゛ぅ゛ぅ゛ぅうう゛う゛うう゛っ゛っっ♥♥♥ お゛っ、ごぉぉ゛ぉ゛おおお゛お゛お゛っ゛っっ♥♥♥ イク゛……っ゛っ♥♥♥ イ゛キ゛ます゛、っ゛っっ……ぅぅ゛ぅ゛ううう゛う゛う゛う――――――――~~~~っ゛っっ♥♥♥♥♥♥」

 

 銜え込んだ彼女の指が折れそうなことも考えられないくらいに、激しく腰を揺らして前立腺の快楽を貪る。

 膨れ上がる絶頂衝動にぎしぎしと全身が軋む。限界以上に空気を注入された風船のように、もうどこを触られても弾け飛んでしまいそうだ。

 焦点が合わずに虚ろに霞む視界には、もうなにも映っていない。

 それでも、朦朧とした意識の中で、その瞬間がひたひたと近づいてくるのだけは、明確に認識できた。

 

「あ゛っ――――♥ あ、あ……あ゛あ゛あぁ゛ぁ――――――――っ♥ ひっ、ぐ――――♥ イク゛、っ♥ いっ、ぐぅぅ゛ぅう゛う゛うう♥♥♥♥♥♥」

 

 今までなんとか持ちこたえていた、絶頂へのブレーキ。それが、みしりと音を立てて、決壊した。

 暴れ始めた快感がまったく言うことを聞かず、全身を駆け巡るように暴れ回る。

 びくん♥びくんっ♥と、手足から首に至るまで、がくがくと病的に痙攣して。

 もうひとりで立っていることすらできず、彼女の腕を両の太股でがっちっりと挟み、

 上半身を彼女に枝垂れ抱えられ、それでようやく倒れずにいるのがやっとだった。

 

 それでも、この瞬間、俺の表情は恍惚に支配されていた。

 頭の中で天使のラッパが響き渡る。待ち望んだドライオーガズムが、もうすぐそこまで来ている。

 この世のすべてが俺のことを祝福してくれていると、そう錯覚さえしてしまうほどの、破滅的なまでの多幸感。

 この瞬間、脳細胞が焼き切れて廃人になっても構わないと、そうとさえ思えてしまうほどの、あの、至福の絶頂が――――

 

 

「――――これでフィニッシュよ。ほら、イキなさい……マスターさん♡」

 

 

 ――――瞬間、すべてが消え失せた。

 光が、音が、においが。すべてが一瞬のうちに消え失せて、やってくる快楽の津波に、飲み込まれて。

 そうして、気持ちいい以外のすべてのことを一切考えられないくらいの、豊穣の海に、溶けて、ゆき――――――――

 

 

――――ぐりぃっ♥

 

 

「ぃ゛っ――――ぎぃぃぃ゛ぃ゛い゛い゛いいっ゛っっ♥♥♥ ぎぁ゛あ゛あっ゛っ♥ あ゛っ♥ ぅぁぁ゛あああ゛ア゛ア゛アアア゛アッ゛ッ♥♥♥♥♥♥ がああ゛ァ゛ァァっ゛っ♥♥♥ き゛もち゛い゛いっ゛っ♥♥♥ きも゛ち゛よすぎる゛う゛ぅ゛ぅう゛うう゛ぅ゛ぅぅー―――――――――~~~~ッ゛ッ゛ッ♥♥♥♥♥♥ あた゛ま゛…………おか゛し゛く、な゛――――っひ……………………ぅあ゛あ゛あっ♥ わ゛あ゛ああ゛ぁぁ゛ぁ゛っ゛っっ♥♥♥♥♥♥ ぉお゛ォオ゛オ゛オアア゛ア゛ァ゛アア゛ァ゛ァぁ゛あ゛ああ゛あ゛あ――――――――――――~~~~~~~~っ゛ッッ゛ッ゛ッ♥♥♥♥♥♥♥♥♥」

 

 

びくんっ♥ びくびくびくびくびくびくぅぅぅううううっ♥♥♥♥♥♥

 

びくっ♥ がくんっ♥ ぶるぅっ♥ びくっびくっびくんっ♥♥♥

 

ぶるるうぅっ♥ びくっびくぅぅっ♥ がくがくがくっ♥♥♥

 

がくうぅっ♥ びくびくびくんっ♥♥♥

 

びくっ♥ びくびくびくっ――――――――がくんっ!

 

 

 抗うことのできない、快楽神経を直撃する強制絶頂の波。

 現実感の失われた至高の楽園で、背筋を反り返らせて、涎混じりの嬌声を叫び散らして。

 今まで抱え続けていたもどかしさのすべてが一瞬のうちに消え失せて、あるのは涙が出るほどの底なしの恍惚のみ。

 理性と感情とが残らず蒸発し、真っ白な眩い光が、ちっぽけな俺の存在すべてを飲み込んで。

 ――――そうして、数十秒に至る極楽の解放ののちに、俺の意識は、呆気なく吹っ飛んだ。

 

☆

 

 もたれ掛かるように気を失った彼を、少女は背後のベッドへと優しく横たえ、顔をしかめる。

 指先がしくりと痛んだためだ。神経障害により感覚の鈍った指先の痛み。

 しかし、それは彼女にとって、忌まわしいものではなかった。

 

 そこに視線を向けると、脱臼により根元からあらぬ方向に曲がった中指。

 彼女はそれを躊躇うことなく咥え、ばきり、と整復した。

 そして、正常に曲がるようになった中指をすこしだけ見つめたのちに、

 彼女は、その中指を、ぺろりとひと舐めした。

 

「…………暖かい、わね」

 

 呟く少女の頬が、小さく綻んだ。




※pixivからの転載。

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