※この作品はR-18です。

アルベドのお食事   作:dolph

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残る二人と誓う二人と励む二人

『明日はアルベド様がいらっしゃいますのでその翌日。ナーベラルさんが満足行くよう心をこめてお持て成しいたしましょう』

 

 10日間の休日が早速一日減ってしまった。

 不満ではあるが、プレアデスの己を守護者統括であられるアルベド様より優先しろとは口が裂けても言えない。

 仕方なく、この日はこれまで通り偽モモン様と過ごすことにした。

 

 ナーベラルは不満であるものの、実を言うと無為な過ごし方ではなかった。偽モモン様が相手だと、噛まずに「モモンさん」と呼べるのだ。

 この一ヶ月弱の間にこっそり成長してるナーベラルである。

 

 

 

 

 

 

 そしてナーベラルが待ちに待ったその翌日。

 お屋敷3階の貴賓室は極上のベッドで爽快な目覚め。窓の外はナーベラルを応援するかのように快晴である。

 問題は眠る前に閉じたカーテンが開いていること。

 寝起きの頭が答えを出す前に解答が現れた。

 

「おはようございます」

「……どうしてここにいるの?」

 

 窓辺に立つ男が、ベッドのナーベラルへ笑みを向けてくる。

 

「今日は丸一日掛けてナーベラルさんをお持て成しいたします。一日はもう始まっていますから。朝の準備もお手伝いしましょうか?」

「いらないわ。外に出てて」

「わかりました。お待ちしていますから朝食を一緒にとりましょう」

 

 男が部屋の外に出るなりベッドへ突っ伏した。

 寝起きの顔を見られた。おそらく寝顔も見られている。

 男女間の一通りをしてしまった相手であるが、無防備で隙だらけの顔を見せたことはなかったはず。

 花も恥らう乙女としてとても恥ずかしかったが、朝起きて初めて目にするのがあの美しい顔と言うのは中々。

 幸せの収支報告はかろうじて黒字。

 恥ずかしさとは違う熱が頬を染めてくる。言語化出来ない微妙な含み笑いが漏れてしまう。

 

 顔の熱が引くまで、ナーベラルはベッドから起き上がれなかった。

 

 

 

 

 

 

 朝食は賑やかなようでいて厳かになるのは、女たちが牽制しあっているからである。

 細長いテーブルの一端にお屋敷の若旦那様。若旦那様の両隣にお屋敷のお嬢様と若旦那様の愛人兼護衛兼薬箱の神官。若旦那様の遠い対面の穏やかそうな男性は鎧装備を解除した偽モモン様。その隣にナーベ様。お嬢様から一席空けて若旦那様の外で見せる用のパートナー。

 食堂は一階にある。広いお屋敷なので大小の食堂が五つもあるのだが、わざわざ一階の食堂を使うのは使用人達に姿を見せるため。ずっと上階に引きこもりきりであらぬ噂を立てられては堪らない。

 

「今日はナーベ様を色々なところへご案内しようと考えています。モモン様のお相手はソリュシャンにお願いするよ」

「……わかりました」

「ナーベの相手をお任せしますね」

「はい、お任せください」

 

 偽モモン様は緊張しきっているのに、若旦那様は呑気なもの。空気を読む能力に欠けているのだ。

 いつぞやシクススが「若旦那様はもう少し空気を読んでください」と苦言を呈したことがあるのだが、「ははは、シクススはバカだなあ。空気は読むものじゃなくて吸うものだよ」。ポカリ、イテェッ!

 馬鹿なことを答えてしばかれた。意識してスイッチを入れれば何とかなるらしいのだが、楽しい朝食の時間に余計な気を遣いたくないのだとか。

 

「カルカはお付きと一緒にシェーダから色々教わるように。今日も頼んだよ」

「かしこまりました」

 

 カルカは無言で頷き、給仕をしているシェーダが凛と答える。

 

「私には何かないっすか?」

「モモン様がいらしてからの報告書をまとめて欲しいな」

「うげぇやぶ蛇ぃ……」

「書記の仕事も出来ないなんて、ルプー姉様は何のためにいらっしゃるのかしら?」

「出来るけど面倒だって言ってるんすよ。ソーちゃんがやってくれてもいいんすよ?」

 

 空気が緊張するのは、ほとんどの場合ソリュシャンが火花を飛ばすから。

 最近のソリュシャンはどうにもご機嫌が斜めであるらしい。ルプスレギナが面倒に思うくらいで、メイド達は大層きつく当たられているとか。

 若旦那様にどうにかしてくれと視線が集まるも、当の本人はどうして見られているのかわからない。にっこりと微笑み返して皆の希望を打ち砕く。

 

 カルカが胃を痛くするような朝食が終わればそれぞれに過ごし始める。

 基本的には若旦那様を中心に動く。今日の予定はナーベ様の接待である。

 食休みを終えたら屋敷の外へ。屋敷の広大な敷地は、エ・ランテルにあるアルベド様のお食事処の8倍近い。かつてのカルネ村よりよほど広い。

 先日のモモン様とナーベが剣を振っていた演習場があれば乗馬訓練が出来るほど開けた場所もある。庭師が手入れをする庭園以外に鬱蒼と木々が生えている場所もある。

 これだけ広ければ隅々にまで目が行き届かなくなるところ、そこはナザリックのシモベがひっそりとフォローしているため、敷地内での犯罪はあり得ない。発生しそうになった瞬間に然るべき処置が施される。

 

 若旦那様はナーベと連れだって敷地内を散策し始めた。

 遠くからソリュシャンとルプスレギナが目を光らせる。二人の姿が木々の中へ消えても、見えぬ姿を追い続ける。

 偽モモン様は放置されているが、不満を言える立場にない。自分もさっさとナザリックに戻りたかったと思ってるかどうかは定かではない。

 

「遅いわね。ルプー、ちょっと見てきてくれないかしら?」

「自分で行けばいいじゃないっすか」

「モモン様を置いていける訳ないでしょう」

「……ちょっち見てくるっす」

 

 木立の中に消えたルプスレギナは、すぐに戻ってきた。

 

「いないっすよ!」

 

 屋敷の中に戻ってないのは確か。

 朝食を終えて今に至るまで、門は一度も開かれていない。人を使って敷地内を捜索するもどこにもいない。

 

「ソーちゃんが覗きたがるから逃げちゃったんすね」

「ルプーだって覗いてたじゃない!」

「しーっ! ソーちゃんはソリュシャンお嬢様なんすからお淑やかにしてないとまずいっすよ」

「……わかってるわよ……」

 

 

 二人が木々に紛れて歩くこと数分。

 高い石壁が現れた。成人男性の背丈の倍はある石壁は、もしかすると皇城の城壁よりも堅牢だ。

 男が小石を拾って石壁の向こうに放り投げると、上から白いロープが垂れてきた。

 

「行きましょう」

 

 驚いて目を丸くするナーベラルと共に壁を越えれば、ナザリック製の豪華な馬車が停まっている。

 飛び降りた男は白いドレスに身を包む麗人に抱き止められ、ナーベラルは問題なく着地する。

 

「出せ」

 

 二人が乗り込むや否や、御者が手綱を引く。六頭の馬が足並み揃えて駆けだした。

 

 

 

 

 

 

 ナザリックの女性を持て成すのはとても難しい。

 食事・服飾・芸術等々、あらゆる文化はナザリックが最高であり、それ以外は全てナザリック以下だからだ。

 アインズであれば知らない街を面白がって歩くかも知れないが、それはアインズの探求者としての側面がそうさせるのであって、間違ってもナザリックより優れているからと思うわけではない。

 ナザリックの女性を持て成すにはナザリックのロイヤルスイートが一番である。しかし、その手は使えない。

 ソリュシャンやルプスレギナだったら一緒に過ごすだけでいい。ナーベラルはそうもいかない。

 そこを何とかすべく、一日措いてもらった。

 昨日はアルベド様のお食事日であったが、アルベド様は丸一日いるわけではない。滞在時間は長くて4時間。大抵は2時間前後。

 それ以外の時間を使って、ナーベラルを持て成すための手配をしていたのだ。

 

 ナーベラルの手を引いて、豪華なソファに座らせた。

 

「ソリュシャンとルプーがいたらナーベラルさんはくつろげないでしょう。帝都から移動しますから、ゆっくりとくつろいでください」

「…………さんはいらないわ」

「そうですか? それではこれからはナーベラルと」

 

 ナザリックでの公的な場では「ナーベラル」。それ以外では「ナーベラルさん」。魔導国を始めとして人の目があるところでは「ナーベ様」と呼んでいた。

 空気は読まないが場はわきまえる男である。

 

 ナーベラルの目は大きなベッドに釘付けになっている。

 豪華なベッドだ。二人以上が優に横たわれるベッドだ。女である自分と男がいて、何をするのか決まっているベッドだ。

 シャルティアがあつらえさせたベッドは、未だに使われたことがない。

 

 ベッドで行える様々なことを連想したナーベラルは、頭を振って妄想を追いやった。

 二人きりだ。聞いておきたいことがあった。

 

「私の取り柄が黒髪だけってどういうこと?」

 

 この男との結婚に手を挙げた四人。名が上がったナーベラル。その理由というのが、黒髪ロング。

 艶のある黒髪をナーベラルは誇りに思っている。しかし、それしか取り柄がないと思われるのは甚だしく心外である。あの時は姉妹の絆が砕かれそうになったほど。

 答え如何によっては今後のことを考え直す必要がある。

 

「それは誤解ですよ。ナーベラルの数限りなくある魅力の中で、黒髪が特に好ましいと言う意味です」

「……それならいいわ」

 

 ソリュシャンとルプスレギナとシクススたちに扱かれて、口が巧くなってきた。

 

「あっ」

「ナーベラルの魅力はいくらでも。たとえばこの手だって、こんなに綺麗だ」

 

 隣に座り、ナーベラルの手を取った。

 細い指をなぞり、くすぐるように手の平を掻く。

 

「見た目だけでなく肌触りだって」

 

 手の平に手の平を合わせた。指を指の股へ。ナーベラルからも手を握る。

 ナーベラルは、赤と青の瞳に自分の顔が映っているのを見た。

 映った顔が近付いてくる。

 距離がなくなり、唇が合わさった。

 

「あ……ん……、ちゅ……、あむっ……」

 

 ナーベラルが先に口を開き、男の唇を甘く食む。

 唇で唇の柔らかさを感じ、やがてしっとりと濡れてきた。濡らしているのは互いの唾液。

 

(キスするのも久し振り。どれくらい振り? この前はアインズ様が遠征に赴かれた時だったから…………半年、は経ってないけど。私のこと忘れていないわよね。保留になったけどあの時は私を選んだのだし。あっ……、舌が。くすぐったいようなのに気持ちいい……。私からも入れないと。キスで舌を入れるなんて知らなかった。私にこんなことを教えたんだから責任をとらせないと)

 

 主導権を争うように舌を絡め合う。

 ナーベラルが久し振りのキスに夢中になっている時、キスの相手はソリュシャンの課題図書を思い出していた。

 

 課題図書として渡された幾多のロマンス小説には濡れ場も相当にあった。

 今のように激しい口付けは何度も出てきた。

 その際、女性側が快感を得たり性的に達することを「敗北」と称していた。気持ちが良いのなら勝利なのではないだろうか。

 

「んっ……くふぅ、んっんっ、ちゅっちゅるぅ、……はあっ! まっ、んむうっ! んぅ……!? 何するのよ!」

 

 熱心に唾液を交換していたところ、突然ナーベラルが怒り出した。

 それもそのはず。ロマンチックなキスをしていたのに、鼻を摘ままれたのだ。

 

「ちょっと変わったキスをしよう。ナーベラルは鼻でも口でも呼吸しちゃいけない。吸っていいのは俺が吹き込む息だけ」

「何よそれ」

「さっき思い付いたから他の誰ともしたことがないよ。ナーベラルが初めて」

「…………」

 

 初めてとはとても優越感をくすぐる言葉である。

 ナーベラルは神妙な顔をして頷いた。

 息を吸って吐いて止めた。

 男の方は深く息を吸う。

 唇を合わせて口を開き、口移しに熱い息が吹き込まれてきた。ナーベラルは吹き込まれた息を吸い込み、肺腑の隅々にまで行き届かせた。

 

(な、なにこれ。息が熱い。熱いのに甘い。熱い息が、彼の吐息が私の中に入ってる。これって人工呼吸、よね? 人の息ってこんなに熱いものなの?)

 

 ナーベラルに息を移すと、素早く離れた。

 唇が離れただけで顔は間近。

 息を吸ったら吐かなければならない。息を止めているナーベラルは、段々顔が赤くなっていく。

 

「ほら、吐かないと」

「………………はあぁああ~~……、うぅ」

「いい匂いがするよ」

 

 男の顔に息を吹きかける羽目になった。

 男の吐息をナーベラルが吸って、ナーベラルの中で混じり合った息を吹きかける。

 間違いなく異常な行為。しかし、異常は正常を知らなければ判断できない。

 ナーベラルは異常を異常と知らなかった。

 

「今度は私の番よ」

「もちろん」

 

 ナーベラルからも息を吹き込む。

 互いの吐息が混じり合い吹きかけられた息を、ナーベラルは芳しいと思った。

 

 息を交わし合う遊びに、情熱的なキスも混じる。

 ナーベラルの頬は紅潮して、自分から男の頬を包んで唇を合わせるようになった。

 

 目的地までへの道程は百を超えるキスで埋められた。

 

 

 

 

 

 

「ここで昼食をとろうと思います」

「へえ……」

 

 馬車を降りたのは森の入り口。しばし歩けば湖の畔。森に囲まれた湖のため水面は波打たず、鏡のように青い空を映している。

 

 帝都から北に望む山を越えて更に北へ。

 夏であれば、帝都の貴族ですら避暑に訪れる風光明媚な土地である。

 当然のことながら、冬季は誰も近付かない。

 時期が時期なら賑わうであろう美しい景色を、今は二人と二人が独占していた。

 

「私が火を起こすから二人は準備を頼む」

「かしこまりました」

「……ヤヴォール」

 

 ヤヴォールとは、男が弟子に仕込んだ言葉である。「かしこまりました」「仰せの通りに」を意味する。パンドラズ・アクター様直伝だ。

 

 二人の一人は、白いドレスに身を包み、頭にはベール付きのハット。つばが広く、ベールがなくとも顔の半分を隠す。手にはドレスグローブで、素肌を晒す部分がどこにもない。

 もう一人は同じ意匠のドレスとハットだが色は黒。一人が白だからもう一人は黒だろうとシャルティアが安直に考えた結果である。

 この男唯一の直属の部下であるミラと、シャルティアから研修のために派遣され男をマイスターと仰ぐジュネの、二人のヴァンパイアブライドである。

 馬車を屋敷の外に回していたのもこの二人。

 

「それくらいなら私がするわ」

 

 火起こしにナーベラルが名乗り出た。

 さすがにドラゴンライトニングは使わなかった。

 

 火を起こして湯を沸かし、お茶の準備。

 その間にヴァンパイアブライドたちは木々の間にロープを張わせハンモックを作る。簡易テーブルを出して、お屋敷のシェフが腕によりをかけたサンドイッチがたっぷり入ったバスケットを脇に置く。

 一通りの準備を終えたら二人の邪魔をしないよう馬車へ戻った。

 

 ハンモックに腰を掛けると、自然と中央に寄る。

 腰掛けた二人は、ソファの上にいた時よりも密着していた。

 

「静かで、よい景色ですね」

「……ええ」

 

 ナザリックの女性を持て成すには如何にすべきか。

 ナザリックにある以上のものはこの世に存在するのか。

 目を付けたのが自然であった。

 満天の星空を宝石箱とアインズが称えたように、自然の美しさならナザリックより優れた場所が幾つもある。

 帝国の書物を読みあさる内に各地の名所を覚え、帝都から近い場所として森に囲まれた湖を選んだのだった。

 

「いい景色だけど…………。寒くない?」

「寒くはありませんが、もう少し暖かいと嬉しいですね」

「仕方ないわね」

 

 ナーベラルは馬車を降りるときに着けたマントを外す。

 一端を男の肩に回し、もう一端を自分の肩に。一人用のマントに二人でくるまった

 マントの中で二人の体温が混じり合い、こもっていく。

 吐息が白く曇ろうとも、体は暖かかった。

 

「他にもこんな景色がいっぱいあるそうですよ」

「……そう」

「もしもアルベド様とアインズ様が遠き地へ赴かれてしまったら、二人で色々なところを見て回りませんか?」

「!」

 

 それはナザリックのシモベの誰しもが恐れる最悪の未来。

 ナーベラルも例に漏れず、硬直した。

 固まった体と心が、二人の体温に溶けていく。

 

「そんなことは絶対にあり得ない。絶対にあってはならない。……でも、そんな事が起こってしまったら……、約束よ。破ることは絶対に許さないわ」

「ナーベラルとの約束は絶対に破らないよ」

「本当の本当に絶対に破っては駄目よ」

「わかってる」

「んっ……」

 

 体温が溶け合って、吐息が混じり合って、言葉が重なり想いも重なる。

 二人は頭までマントに包まり、ハンモックに横たわった。

 ゆらりゆらりと揺れながら、視界は真っ暗でも互いの体を感じている。

 上に下にと交互に入れ替わり、飽きることなく口付けを交わし合った。

 

 果たす必要がないロマンチックな約束はとても効果がある。

 課題図書で覚えた技であった。

 

 

 

 

 

 

 二人は夢を見ているのに、残る二人は現実を見ていた。

 

「暇ですね」

「ご主人様の待機命令を暇ですって?」

「マイスターはミラのご主人様であっても私にとってはマイスターです。マイスターの指示に従うのはあくまでもシャルティア様から課せられた研修をつつがなくこなすためです」

「それは、そうかも知れませんが」

「かも知れないではなくてそうなのです。私は怠惰に暇を潰す事なくシャルティア様からの使命を果たす義務があるのです」

「シャルティア様からのご命令は確かに優先事項です。ですが、ご主人様のご命令に優先しろと言いますか? 私はシャルティア様から、あの方を我が君とせよと仰せつかっているのです」

「ミラがマイスターから命じられた事柄とシャルティア様からのご命令が相反する時は相応の判断が必要でしょう。では今は? いつになったら解除されるかわからない待機命令をシャルティア様からの課題を果たすために有効に使うことは対立する事柄ですか?」

「……しないかも知れません」

「かも知れないではなくてしないのです」

「待機命令が解除されたときに素早く行動する必要があります。それはどうしますか?」

「時間を見ておけば大丈夫です。マイスターは早いですが、回数が多いので……」

 

 早い? ミラの脳裏を疑問符が埋めた。

 

「それに、ナザリックのヴァンパイアブライドはすべからくシャルティア様のご命令に従う義務があります。異論はありますか?」

「……ありません。それでは……、お二人は昼食を取られますから、太陽が中天に差し掛かるまでなら。身だしなみを整える時間が必要ですから!」

「ミラは乱れますからね」

 

 ジュネは御者台から降りて場所の中へ。

 赤い敷布を持って出てきた。

 いつぞや月下の草原でシャルティア達が使ったものとは違う。いくら何でも守護者が使う品をシモベが使えない。

 それより劣る品だが、あれが最上級なだけである。ジュネが手にしている敷布も手触りがよく、敷いた場所の影響を受けにくい。

 

 周囲の警戒はアンデッド馬がしている。

 二人は馬車から離れて森の奥へ入っていった。

 クイーンサイズのベッド並の広さがある空間を見つけると敷布を広げる。

 ミラは帽子を取り、ドレスグローブを外し、ドレスすら脱いでいく。

 

「下着も脱ぐのですか?」

「汚れたら困るでしょう」

「それもそうですね。私も脱ぎます」

 

 冬の森に浮かぶ白い裸身は朧気な幻のようで、風が吹いたらかき消されてしまいそうで、現世のものとは思えない儚さと美しさがあった。

 

 ヴァンパイアブライドであるミラは、胸も尻も豊かな肉惑的な美女である。

 それに比べると、ジュネは幾分小柄だ。背丈も差があり、背伸びしないとミラに届かない。

 ジュネは背伸びをして、ミラに口付けをした。

 

 二人は抱き合い、豊かな乳房は互いに押し合って柔らかく潰れていく。パイ合わせに挟まれたいと思うか尊いと思うかはその人次第。

 

 合わさった唇からは、クチクチとかクチュクチュとか、粘着質な水音が鳴り始める。

 口付けに敗北したのはミラ。立っていられなくなり、敷布の上に崩れ落ちた。

 倒れるミラを追うようにして、ジュネが覆い被さる。

 

「今日は口でしましょう。ミラからもしてください」

「わかり、ました」

 

 ジュネがシャルティアから命じられているのは、あの男からフィンガリングを学ぶこと。

 フィンガリングは手段であり、目的は快感を与えること。ならば舌遣いもその範疇。

 

 マイスターはアインズ様との修行のため、長いこと屋敷を不在にしていた。

 残念なことに、ジュネは指導らしい指導を受けていない。

 そこでジュネは自主学習に励むことにした。

 相手は専らミラである。

 ジュネは帝都のお屋敷に派遣されてから、ミラと違うベッドで寝た夜は一度もなかった。

 

 二人は待機命令中の時間を有効に活用すべく、舌技の訓練を始めることにした。

 

 二人はヴァンパイアブライド。

 ヴァンパイアブライドとはシャルティアの愛妾でもある。

 美しくも恐ろしい愛しき女主人からの薫陶は、二人の中で生きている。




アンケートに協力ありがとうございます
セバスにSEKKYOUは本作から独立して投稿した後にリンクを貼ろうと思います

私事ですが、世間に遅れること10年弱、3G回線終了に伴いようやくスマホを入手しましたがこんなでかくて重いのどうやって持ち運ぶん?

続けてのアンケートは見ての通りです
プロットとかないので迷走しながら話数だけ進む気がします
ネメル入れようかと思いましたが断念
3p以上は組み合わせがありすぎるのでアンケートに入れられず

やっべソリュシャン入ってなかった!
特別枠と言うことでナーベラルの次の次あたりに

優先して欲しいのは

  • アルベド
  • シャルティア
  • アウラ
  • ユリ
  • ルプスレギナ
  • シクスス
  • シェーダ
  • カルカ
  • 帝国のチョロイン
  • その他
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