※この作品はR-18です。

アルベドのお食事   作:dolph

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お食事じゃなくて栄養補給的なあれだからセーフ!

 ナザリックの全階層よりも遥かに広大となった記憶の宮殿には、エ・ランテルの大きなお屋敷が寸分違わず再現されている。

 宮殿内部にある全ては見ることが出来る。触ることも出来る。対象によっては味に臭いも感じる。五感の全てに反応する。

 しかし、存在しない。記憶の宮殿が在るのは頭の中なのだ。つまりは想像の産物である。

 

 誰しも頭の中に物事を思い描くことはあるだろうが、この男が構築した記憶の宮殿は精度が次元を越えていた。

 

 心をエ・ランテルのお屋敷のお食事部屋に飛ばす。アルベド様がお食事をなさる豪奢なベッドルーム。

 アルベド様の姿がある。初めてお会いしたときの白いドレスをまとい、物言わず静かに佇んでいる。

 つま先から頭の天辺まで、じっくりと観察する。実際にしてしまえば非礼この上ない行為であるが、想像の中でなら誰に非難される謂われもない。

 完璧に再現されたアルベド様のお姿は真なる美の光を放ち、仄暗いお食事部屋を照らしているのはいつものことであるが、違和感があった。何かが違うと感じている。

 おもむろにドレスの胸元をずり下げ、豊満な乳房を曝け出させた。

 ブラジャーなどで支えていないのに、支えなければ自重で崩れてしまいそうな大きさなのに、至高の美巨乳はつんと上向いている。

 誰に断ることなく、正面から鷲掴みにした。

 

(うーむ……)

 

 豊満な乳房はふんわりと柔らかく、大きさ相応の確かな重量感。滑らかな肌触り。ひんやりとしているのに、揉み続けると熱を帯びてくる。

 揉みながら思考を漂わせ、違和感の正体に感づいた。

 

 次の瞬間には帝都のお食事部屋にいる。記憶の宮殿と例えようと、想像の中だ。移動に時間がかかるわけがない。

 こちらにもアルベド様のお姿が。先と同じ白いドレスをまとっており、先と同じようにドレスを脱がせた。

 つんと上向く美巨乳は、先ほど見たものより明らかに大きい。触れれば柔らかさの中に、以前は感じなかった張りがある。

 

(どういうことだ? アルベド様のおっぱいが大きくなってる)

 

 女として成熟なさっているアルベド様のおっぱいが成長するのだろうか。

 大きくなっても形が崩れたりはしていないので、美の光が衰えることはない。それどころか以前よりも輝いていらっしゃる。

 それはそれでいいのだが、変化の原因が気になった。

 

(変化と言えば……、服をお脱ぎにならなくなった)

 

 今までのお食事すなわちセックスは、全裸が基本だった。それが今は、着衣のまま。

 胸をはだける事はあっても、スカート部はめくりもしない。腹部から下をお見せにならなくなった。

 性器に触るときはスカートの中に手を入れるのが常で、最近は全く目にしていない。口を付けることもなくなった。

 

 いつぞや気の迷いか何かで仰った「しばらくセックスしない」宣言からの変化だ。

 結局は次のお食事日に普通にセックスしたので、発言の真意はいまだに全くわからない。

 

(明らかに大きくなった胸。見せなくなった体。仮に人間の女性だとするとこれらが指すものは………………、まさか妊娠? 俺の子か?)

 

 女性が妊娠すると乳房が張るようになってくる。

 新たな命が宿るのだから、腹部が大きくなってくる。

 

(それはないか)

 

 たどり着いた結論をあっさり放棄した。自説に固執しないからこそ斬新な発想が生まれるのだ。

 

 放棄した理由としては、守護者統括であられるアルベド様がこの時期に妊娠出産できる訳がない。魔導国の統治もあり、とてもお忙しいはずなのだ。

 アルベド様はサキュバスであるため、注がれた精液は一滴残らず吸収してしまう。ご自身が、サキュバスは子宮から精液を吸収すると仰っておられた。

 吸収されきらなかったとして、誰の子かと言えば自分以外に見当がつかない。しかし、己は美神アルベド様の忠実な信徒であり、主神が一信徒の子を孕むわけがないと思われる。

 自分以外の誰かの子と仮定しても、乳房が張るほどに妊娠期間が進んでいるならお腹が大きくなってるはずである。しかし、兆候すらない。

 

(今度お会いしたときに聞いてみよう)

 

 考えてもわからないことを考えても意味がない。わかる人に聞くのが一番である。

 

(それよりも……)

 

 お食事部屋を見回してから、すっと壁を抜けた。見えるし触れるが、存在しない壁なのだ。

 そこはアルベド様のご命令で作られたシークレットルームである。

 中に入ったことはある。それはアルベド様を部屋へ案内する前のこと。建設してる最中のことだ。記憶の宮殿にシークレットルームがあってもおかしくない。

 おかしくはないのだが、室内の様子が記憶と違った。

 

 キッチンには様々な小道具だか食料品が置かれている。衣装棚も開かれた形跡がある。デスク周りの棚は、空っぽだったはずだが今は様々な書類や書物が埋めている。テーブルには茶器が。ベッド周りには見覚えのないクッションや衣類が。

 

 記憶の宮殿とは、見聞きした物を宮殿に模した場所に保管する記憶術だ。置いた覚えのない物が置いてあるのは異常である。

 これらが想像の産物なのだとしたら、いったいどこから来たのだろうか。

 

 その時である。

 ベッド付近に転移の光が輝き、光の中からアルベド様が現れた。

 アルベド様を思わない日はないが、今ここに登場させようとは思っていなかった。しかし、現れた。

 純白のドレスは太股を見せていないので、いつもとは違うドレスと思われた。どのようなドレスでもよいが、問題は、見たことのないドレスだと言うこと。

 このアルベド様は、本当に己の想像による物なのだろうか。

 

「ふう……」

 

 アルベド様は大きく息を吐くと、背中へ手を回した。

 ドレスは背中が開いており、そこで両サイドから伸びる紐を結んで留める作りになっている。アルベド様の手が伸びたのは、その紐であった。

 すっと引かれればするりと解け、ドレスは己が役割を終えたとばかりに床に落ち、とっさに目を見開いた。

 

 

 開いた目が映すのは書斎の大きな机である。

 今し方見たアルベド様が想像の産物であろうとなかろうと、アルベド様の着替えを覗き見して良い道理はない。自分が望んだなら兎も角、そうではないのだから。

 アルベド様が、けして入るなと仰ったシークレットルームでの出来事だ。アルベド様が隠そうとしている秘密を暴くなど言語道断。

 

 記憶の宮殿にて、以前のアルベド様と現在のアルベド様を比べていたはずであった。

 しかし、思いも寄らない物を見てしまった。帝都に来てから、意図しないことが増えてきた。

 アウラ様の不思議な青いキャンディーを味見してからは、見えないはずの物が見えているような気がする。見ようと思わなければ見えないのは幸いである。

 遠視か透視か、遠隔視とでも言うのだろうか。見たことも聞いたこともない症例なので全く判断が付かない。けども、これと言って困っていないので誰かに相談しようとも思わない。

 特殊スキルかと思ったら単なる妄想に過ぎなかったとしたら目も当てられない。

 

 妄想ではなかったとして、このような事情がアルベド様のお耳に入った場合、シークレットルームを覗いたことを咎められるかも知れない。

 単に室内を想像していたと思っていたのだが本当のところは覗いてしまっていた場合、過失とは言え罪は罪。己に連なる血縁・地縁・職縁の全てが抹消されてしまう。

 血縁はどうでもいいが、地縁と職縁はどこまでが適用されるのか。ソリュシャンとルプスレギナは確実にアウトと思われる。

 

 このような時、とっておきの解決策があった。

 

(見なかったことにしよう)

 

 である。

 そして以降はシークレットルームを想像しないように気を付ける。これで万事解決である。

 

 目下の問題は無事に解決した。

 それはそれとして、今し方のアルベド様が自身の想像の産物ではなかった場合、ナザリックにいるはずのアルベド様がお屋敷を訪問なさっていると言うことになる。

 今日はお食事日ではないため、ご来訪の予定はない。

 もしもアルベド様がいらしているなら、拝謁するチャンスである。

 椅子から立ち上がろうとしたところで、

 

「お兄様、物思いが一段落なさったのならお茶にしませんこと? お兄様の心がお戻りになるのをずっとお待ちしていたのですよ?」

「奥の間を掃除しようと思うんだ」

「お兄様に掃除なんて出来ないでしょう。今はシクススがきちんと掃除をしているはずです」

「それなら……お茶だけ、ね」

「私が給仕いたします」

 

 シェーダが名乗り出て、ソリュシャンは肩をすくめた。

 あわよくばと思っていたけれど、シェーダの前ではやりづらい。

 

 お茶に色とりどりのお菓子が用意されるのを見て、お食事部屋の様子見は後にすることにした。

 アルベド様が本当にいらしているのかどうかは激しく気になるのだが、行ったところでシクススに叩き出されるのがオチである。

 

 

 

 

 

 

「ふう……」

 

 一日の仕事を終えたアルベドは、帝都のお屋敷を訪れた。

 転移先は自室から屋敷のシークレットルームになっているため、自分がここにいることは誰にも気付かれていない。

 

 ほんの少し前までは夜を徹してこなさなければならない仕事が幾らでもあったが、今は教育を施したエルダーリッチたちが使えるようになっている。負担が大きく減り、日が昇っている時間から休むことが出来るようになってきた。

 この調子で行けば、一日の始めに命令を出すだけで済むようになるだろう。

 それとは別に、きたる王国攻略に向けて為さなければならないこともある。本格的に始めるのはアインズ様が聖王国からお戻りになってから。まだ余裕がある。

 余裕がある今だからこそ出来ることがあった。

 

 大きな姿見の前に立つ。映る己は、マーメイドラインの白いドレスに身を包む。背中が大きく開き、肩と胸元を見せながらほっそりとした腰つきを強調する。

 背中の留め紐を解くと、ドレスは抵抗なく床に落ちた。

 

「ああ……、こんなに大きくなってるわ♡」

 

 アルベドは、ドレスの下に何も着けていなかった。

 大きく張ってきた乳房。人間の女は乳首に着色が出るようだが、アルベドは前と変わらない綺麗なピンク。

 そして、お腹。

 大きく膨らんでいる。一抱えもありそうなほど膨らんでいる。

 ドレスを着ていたときはほっそりとした腰つきだったのに、全裸になったアルベドは、腹部が大きく膨らんでいた。純白のドレスには、視覚と触覚を誤認識させる効果がある。

 妊娠しているのだ。新たな命が、愛の結晶が、愛しい男の子供を胎に宿している。

 

「人間の女だと受胎してから出産まで42週と言ったけれど……、その半分も経ってないのよね。きっと栄養がいいのね」

 

 サキュバスと人間の生理が違うのは当たり前。

 アルベドは、妊娠直後から何度も激しいセックスをしてきている。外出しは一度もない。口に出させることはあっても、それ以外の射精は全て下の口で飲み干してきた。

 中に出された精液は子宮に導かれ、子宮で吸収するのがサキュバスである。

 ところが、妊娠してからは子宮で吸精出来なくなっていることに気がついた。幾ら中に出されても、糧になっている実感が全くないのだ。それなのに、中に出された精液が外へ溢れてしまったことは一度もない。

 いったいどこへ消えたのか。

 考えれば結論は一つ。子宮に宿った命が吸収している。

 

「生まれる前からパパのおちんぽみるくを飲んでるなんて。ふふ、私の娘だけれど、羨ましいわ」

 

 サキュバスの子はサキュバスである。

 サキュバス的に栄養たっぷりの精液を注がれ続け、人では不可能な急激な成長を遂げていた。

 

「色も大分戻ってきたわね。妊娠するのって初めてだけど、これってそろそろって言うことかしら?」

 

 アルベドの腹部はへそを中心に大きく膨らんでいる。その下側。下腹部に神秘的な紋様があった。

 由緒正しきサキュバスエンブレム、股間から子宮までを彩っていた淫紋は少しずつ上に移動してきている。

 妊娠直後はほとんど白に近い桜色になっていた。それが今は、乳首の色より濃い鮮やかな深紅に戻りつつあった。

 

 アルベドは、ほとんど夢見心地のようなうっとりとした笑みを浮かべ、愛おしそうに膨らんだお腹をさすり始めた。

 

「あなたは私とあの子が愛し合った証しなのよ? 私があの子を愛して、あの子が私を愛してるから生まれたの。うふふ……、本当にあの子との赤ちゃんが出来ちゃうなんて。赤ちゃんが出来ちゃうようなことはいっぱいしたけど、本当に作っちゃうなんて。わたし、サキュバスなのに……、赤ちゃん作っちゃった♡」

 

 淫紋が妖しく明滅した。

 まるで、お腹の子が何かを訴えているかのよう。

 

「お腹が空いたの? ご飯が欲しいの? ご飯の量はあんまり増えてないけれど、あなたは私が絞ったおちんぽミルクを全部飲んじゃってるでしょう? あれは特別なお食事なのよ。本当ならママが全部欲しいのにあなたにあげているのよ。わがまま言っても今日はお食事の日じゃないから、パパが来ることはないの。私も残念だけど…………、でも……、そうね。ちょっとだけお隣を覗いてみましょう? もしもあの子がいたら……。私の想いが届いたという事よね!」

 

 

 

 

 

 

 お屋敷にて奥の間と呼ばれるアルベドのお食事部屋は、基本的に誰も立ち入らない。

 お食事の直後はナザリックのメイドが隅から隅まで掃除し、それ以外は二日に一度軽く掃除をする。軽い掃除なので所要時間は30分と掛からない。

 自由に立ち入ることが許されているのはアルベドの給仕係だけである。しかし主人に忠実であるが故に、主人の私室をみだりに侵さない。

 アルベドがシークレットルームから隣室に移動しても、誰かがいる可能性は低い。

 そこから更に移動して彼の男を捜したことはなきにしもあらずだが、今のアルベドはまだそこまで考えていなかった。

 自分から会いに行く必然も良いが、約束もしていないのに偶然出会うのは運命の必然めいて、乙女心が高ぶってくるのだ。

 

 床に落ちたドレスを拾うのは面倒だ。

 アルベドは、壁に引っかけてあったマントをまとう。着用者の正体を隠す魔法のマントは、体形もきちんと隠す。マントの上からなら触られても問題ない。

 想定外の誰かに出くわした事を想定し、フードを被る。これで誰が見ても自分とわからない。

 

 室内に唯一のドアは内開き。

 ドアの向こうには天幕が掛かって外からドアを隠している。

 天幕は透ける素材ではないのだが、アルベドはドアを開いた瞬間にわかった。分厚い天幕越しに存在を感じられた。

 

「あら? 今日はお食事の日ではないのだけれど、あなたは何をしているのかしら?」

「アルベド様!」

 

 会いたかった男がいた。

 会いたかった素振りを見せず、ゆっくりと歩み寄る。男はぎりぎり見苦しくない速度の早歩き。

 手を伸ばせば届く距離で、アルベドはフードを上げた。

 

「アルベド様を想っていたら自然と足が向いておりました。アルベド様はいつこちらに?」

「たった今よ」

「たった今……」

 

 たった今と言うのなら、長くても数分以内と言うこと。

 しかしあくまでもアルベドの体感時間である。実際には、その数倍の時間を鏡と向き合って、愛し子を撫でていた。

 

「今日の仕事は終わったから、少しここで過ごそうと思ったのよ」

「かしこまりました。何かご用意いたしましょうか?」

「いらないわ」

 

 マントから伸びる手が、男の頬を包む。

 アルベドの力に男が抵抗できるわけがない。出来たとしても抵抗するわけがない。

 アルベドが導くままに、二人の顔は吐息を舐める距離まで近付いた。

 

「あなたがいればいいわ」

 

 アルベドは艶やかな唇を開き、男の唇を包んだ。

 上唇を唇で食み、次は下唇を食み、赤い舌が唇を割って入った。

 

 精気は吸わない。効率よくお腹の子に栄養を与えるには、直接注ぐ必要がある。

 それにその方が、アルベドとしても満たされる。

 

「今日はお食事の日じゃないけれど……、どう?」

「勿論でございます」

 

 答えはわかっていた。

 アルベドは婉然と笑い、男と手を繋ぎながらベッドの上へ足を掛けた。




一年延期した禁煙を始めなければ

優先して欲しいのは

  • アルベド
  • シャルティア
  • アウラ
  • ユリ
  • ルプスレギナ
  • シクスス
  • シェーダ
  • カルカ
  • 帝国のチョロイン
  • その他
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