※この作品はR-18です。

アルベドのお食事   作:dolph

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いつか♯2があるかもですがわかりません
あれとこれとそれを詰め込んだのでやや長いです


仮面は不要に ▽レイナース

 パーティー会場を抜け出た男たちと女たちは、会場となった屋敷の一室を借りることがあれば一夜の夢を営む場所を外へ求めることもある。

 魔導国の学士に手を引かれたレイナースは、手を引かれるまま大きな馬車へ乗り込んだ。ナザリック製の豪奢な馬車である。中の広さと格調高い調度に目を見張る。目を見張ったのも数瞬のこと。隣に男が座ってきた。

 極自然に、レイナースは男の腕を抱いた。

 

「誰も彼も大きく口を開いて、見物でした。きっとマスクの下では目をまん丸にしてたに違いありませんわ」

 

 醜いと嘲られ遠ざけられていたレイナースだったが、美貌を蝕む呪いは解けた。

 先のパーティー会場で一番どころか帝国全土で、おそらくは世界で一番美しい男をダンスのパートナーとした。会場にいた女たちは驚愕を顔に上らせると、すぐに羨望と醜い嫉妬をあらわにした。

 男共の視線より、女たちの嫉妬の方が遙かに優越感をくすぐる。

 

「レイナースさんがお綺麗でしたから。呪いが解けたことを知って驚いたのでしょう。……ルプスレギナは解呪出来ないと言ってましたね。特殊なアイテムでも使用したのですか?」

「神官殿はペストーニャ様と仰っておりましたわ」

「ペストーニャ様は高位の神官であると聞き及んでおります。お優しい方ですから、レイナースさんの呪いを見れば解かずにはいられないでしょう。ルプスレギナとどのような話をしたか聞いてはおりませんが、レイナースさんが魔導国にいらっしゃったら必ずや解呪してくださったと思いますよ」

「……さようでございますか」

 

 解呪せずにこのままか、解呪して魔導国の学士殿に近付かないか。ルプスレギナから二択を迫られていたレイナースは後者を選んだ。

 今まで解呪のヒントすら掴めなかったため、突きつけられた選択肢に視野が狭まり、それ以外の事柄が目に入らなくなった。しかし第三の選択として、どちらも選ばず魔導国に入っていたら何の苦もなく解呪がなった様子。

 

「学士殿からペストーニャ様のことを伺ったことはありませんでした」

「ペストーニャ様は魔導国でも高い地位にいるお方。私が軽々に紹介することは出来ません」

 

 嘘である。

 すぐに解けないなら後でいいやと何も考えていなかった。

 

「……さようでございましたか」

 

 女の勘は男の嘘を嗅ぎ取った。しかし、顔が爛れていようと気にしなかった男であり、自分から解呪の方法を熱心に探らなかったのも事実。拗ねて可愛らしさを見せるにはいささか年を重ねていると自己判断し、続く言葉を飲み込んだ。代わりに、男の手に指を這わせる。手のひらに手のひらを合わせ、指に指を絡めてきゅっと握った。

 

「レイナースさんの屋敷に向かえばよろしいですか?」

「……はい。ですが、その……夜も更けて参りましたので少し休まれて行かれては?」

 

 子供ではないのだから、レイナースの言葉が何を意味しているのか互いに了解している。

 レイナースの動悸は激しく、胸に抱く男の腕に伝わってしまうかどうか気にかける余裕はなかった。汗ばむ手のひらも忘れて、上目遣いに男の顔を覗き込んだ。

 

「ではそうさせていただきます」

 

 レイナースの心で、祝砲が鳴り響いた。

 

 

 

 ▼ ▽ ▼

 

 

 

「御者の方は……」

 

 寒空の下で馬車を駆る御者は、白いドレスに身を包む麗人である。御者をするよりも、舞踏会で男たちに崇められるのが相応しい出で立ち。間違っても御者をする装いではない。

 太陽はとうに隠れて夜の帳が下りている。日除けの帽子を脱いだ御者は、十人が十人とも振り返る美女だ。黒い眼球に赤い目を見なければ、であるが。

 

「ミラは待機。朝までだと暇だろうから、これをやろう」

 

 手にしたのは、遮光のために緑色をしている細長いガラス瓶である。

 懐からショートカタナブレイドを取り出し、首を切り落とした。そのまま刃先を指で撫で、ぷっくりと浮かんだ血の珠を、一つ二つと瓶の中へ垂らす。

 

「……恐れ多いことでございます」

 

 シャルティア用に積んでいた魔酒である。それを下賜されるとなればヴァンパイアブライドに過ぎないミラにとっては恐れ多いに違いないが、もっと切実で実際的な問題があった。

 泥酔していたとは言え、守護者統括殿をグラス一つで一発昏倒させた魔酒である。低位のヴァンパイアブライドだったら一滴で忘我の淵に引きずり込む甘美な血である。

 最強と最強があわさって無敵になってしまったお酒は、無惨にも蓋を首ごと切り落とされたために封をすることが出来ない。

 捨てるのは以ての外。しかし開けたままにしておくと風味が落ちて劣化する。朝までに飲みきらなければならない。

 何の前触れも脈絡もなく、ミラに降って下りてきた幸運なのか災難なのかわからない。

 ミラは震える手で酒瓶を受け取った。

 

 血の入った酒を受け取るとは、あの女性はやはり吸血鬼とレイナースは察したのだが、どこか怯えた様子を不思議に思った。

 

「案内していただけますか?」

「はい、かしこまりました」

 

 曲がりなりにも帝国四騎士の屋敷。住み込みの使用人は幾人もいる。

 馬車はそのまま客人はお一人、と。短く言付け、案内する場所には大いに迷った。

 

 食事はパーティーの前にとった。お腹は空いてない。お客様からもそのような要望はない。

 来客なのだから応接間が自然だ。何年も使ってないのでどうなっているかわからないことは不安だが、メイドたちが手を入れているはず。

 最後に行こうと思っていた場所はやはり最後にしようと思っていたのでいきなり誘うのはふしだらが過ぎるというか、レイナースは屋敷に男を連れてきたことが一度もなかった。男どころか客さえ初めてだ。

 

「これからのことを内密に話せるところがいいですね」

「……わかりましたわ」

 

 腰を抱かれて、レイナースは決断した。

 選んだ部屋にはベッドがある。

 

 飾り気のない寝室は、整えられたベッドと一脚の椅子にテーブル。窓には分厚いカーテン。テーブルの上の燭台が、赤い炎を揺らしている。帝国四騎士とは言え、寝室に魔法の明かりを入れるほどの財力はない。

 ひとまず男を椅子に座らせた。

 持て成すにはどうすればいいか。何か飲み物をと思ったが、皇城で寝起きしているレイナースなので寝室にそのような用意はない。使用人に言付けるのを忘れた。呆れられてしまったらどうしよう。

 

 男が椅子から立ち上がり、レイナースは何か不味かったのかと慌てふためいた。またも腰を抱かれて、されるがままに座ってしまった。

 寝室に二人掛けの椅子はない。座ったのはベッドの上だ。

 いよいよとなり、目まぐるしく動くレイナースの心は、つまらない言葉を吐き出した。

 

「学士殿はとてもダンスがお上手でしたわ。奥方様に習ったのですか?」

 

 男が一度だけ顔を出した夜会には、パートナーに輝ける美貌の女を連れてきた。カルカと名乗った。聖王国の聖王と同じ名前なのは偶然であるらしい。

 レイナースは、それは偶然などではなく、聖王国の聖王カルカ・ベサーレスその人であると察した。カルカ・ベサーレスは、政治的に非常に重要な存在だ。存在してはいけないとすら言える。

 しかしそんなことはどうでもいい。今このときは、カルカの美貌だけが問題となる。

 

「カルカはダンスが得意だったので代理パートナーとして連れて行きました。一度も練習しなかったのに合わせるのに苦労しなかったのはよかったです。レイナースさんもお綺麗ですよ。グリーンのドレスがよく似合っています。脱がしてしまうのが惜しい気もしますね」

「…………」

 

 男とは反対の方を向かされて、背中で結ばれている数々の留め紐が解かれていく。

 

「私は綺麗だと。本当にそう仰ってくださいますの?」

「本当です。呪いが解ける前からそう思っていました」

 

 ドレスの締め付けが緩み、楽になった。

 するすると、軽やかな衣擦れの音を立ててドレスが脱がされていく。

 燭台の炎を背にし、壁に映る影が揺れている。

 

「こんなものを着けなくても、レイナースさんの体は整っていますよ」

「……女の嗜みですわ」

 

 腰を締め付けるコルセットもまた解かれる。

 美しいウエストラインを作るためのコルセットであるが、レイナースの引き締まった体には不要かも知れない。

 

「女の嗜みと言えば……。わたし、これでもかつては貴族の娘でした。婚約者もいたんです」

 

 昔語りをしたいわけではない。自分を捨てた生家や婚約者への復讐は、出来るなら知られたくない。話したいのは、もっと違うこと。

 

「いつか嫁ぐために、女は殿方とどのようなことをするのか、習ったものですわ」

「どんなことを習いました?」

 

 立たされ、コルセットを外される。ドレスも床に落ちた。

 まだ振り返らない。後ろから伸びてきた手が腹に回った。引き寄せられ、一歩下がる。ドレスを踏んだが、脱がされている間に靴を脱いでいた。

 

「わざわざ殿方の、その……、あれを模した張り形を用意して。殿方が興奮するとあの部分が大きく固くなってこのような形になって……。私の中に入ってくる、とか。んっ……」

 

 長い金髪は結い上げている。

 うなじに唇で触れられ、思わず声が出た。

 

「入るところはわかりますか?」

「わかりますわ。私の……、ここです」

 

 入れられる場所に、レイナースの手が触れる。

 純白で飾り気はないが、絹で出来た上質なショーツ。

 

「私にも教えてもらえますか?」

「…………はい」

 

 レイナースは、男の手を導いた。

 

 

 

 ▽ ▼ ▽

 

 

 

「んっ! ……殿方にこんなところを触られるなんて。初めてですわ」

「レイナースさんなら引く手数多だったでしょうに」

「私に近付いてくる男なんて、一人もいませんでした」

「魔導国の友好国であるのに、帝国の男は節穴しかいないとは嘆かわしい」

「学士殿だけが特別なんです、わ……」

 

 男の指が、レイナースの柔らかな部分を撫でている。三本の指を揃えて伸ばし、円を描けば上下に動く。

 腰を抱いていたもう一方の腕はそろそろとレイナースの体を這い上がり、乳房に触れた。

 実家から放逐されてしばらくは栄養の足りていない生活を送っていたレイナースだったが、その期間を除けば幼少期から今に至るまで、庶民には望むべくもない上等な食事をとってきた。その甲斐あってか、意外なほど豊かな乳房は鎧姿からは想像も出来ない。

 

「レイナースさんは処女なんですね」

 

 耳元で囁かれ、羞恥に顔が熱くなった。

 

「そうです……。学士殿はずいぶんと手慣れているご様子で」

「あなたを悦ばせるために磨いた技です」

「お上手ですこと。……んっ……あぁっ!」

 

 秘部を撫でていた指が、ショーツの隙間から入ってきた。

 

「初めてがこんな男ではお嫌ですか?」

「そんなこと、ありませんわ。嬉しいです。……とても」

 

 この美しい殿方と添い遂げられるとは夢にも思っていない。

 しかしいつか迎える初めてを捧げられるなら、今だけとは言え体を重ねられるなら。

 

「レイ、とお呼びください。今だけでも構いません。私を恋人のように、妻のように扱ってくださいませ」

「わかったよ、レイ」

「あっ……、あぁっ……、あなたの指が、私の中に……」

「ここに入るって教わったんだろう?」

「はぃ……。殿方に求められると、濡れてくるとも教わりました。私は濡れていますか?」

「自分で触ってみるといい」

「はい……」

 

 白いショーツも下ろされた。

 右足左足と順にあげ、丸まったショーツから足を抜く。

 暗がりに慣れた目に、股間の陰毛が映る。整えてはいないので、少々長いかも知れない。ショーツからはみ出ることはなかったので長すぎるとは思いたくない。

 軽く足を開き、今度は男の手に導かれて自身の股間に触れた。

 柔らかくて、ぬめっていた。

 濡れている。

 

「……濡れていますわ」

「俺が求めているだけじゃない。レイも俺を求めているから濡れるんだ」

「仰るとおりです」

「ここを何と呼ぶかは習ったかな?」

「それは! その……」

 

 未だ妙齢の美女とは言え、帝国では行き遅れと言って差し支えないレイナースだ。

 しかし、呪いのせいで男と恋仲になったことは一度もない。

 恥ずかしがる年でもないだろうに、レイナースは初な処女だった。

 それでも何とか答えようと気持ちを振り絞っているところ、くるりと振り向かされた。

 俯こうにも指で顎を持ち上げられる。

 暗がりにも輝く赤い目と青い目が自分を見ている。

 体だけでなく、心も裸にされたように感じた。

 

「おまんこ、です。あなたに求められて、あなたを求めて、私のおまんこが濡れていますわ」

「よく言えたね」

「はい。あっ……ちゅ……、んん……」

 

 青い目と赤い目が近付いてきたと思ったら、唇に柔らかな感触。

 

「口を開いて」

「はい……。ちゅっ……れろ……、ふうぅっ……あっむぅ……」

 

 言われた通りに口を開けば、すぐさま舌が入ってきた。

 口の中に、自分のものではない柔らかくぬめる肉が入ってきている。尖った舌は口内を至る所をなめ回し、レイナースの舌が見逃されるわけがなかった。

 数度つつかれると、レイナースからも応えた。

 男のシャツを、皺が出来るほど強く握った。

 

「んっ……んっ……、唾が……、飲んでしまっても?」

「もちろん」

 

 口を開いたままでいると、唾が湧いてくる。

 自分の唾だけでなく、差し込まれる舌とともに男の唾も注がれてくる。

 泡立つ唾を、レイナースは喉を鳴らして飲み込んだ。

 唾を飲むようになった頃には、レイナースからも舌を伸ばして、男の口の中へ差し込んだ。

 すると、舌を唇で甘く食まれる。ちゅると吸われて、レイナースからも同じように舌を吸った。

 初めての口付けはとても甘く、ずっと続けていたくなる。

 

 いつの間にか、シャツを握れなくなった。シャツがなくなったからだ。

 レイナースがキスに夢中になっている間、男はシャツを脱いでいた。アルベド様に何着も破かれた末に身につけた特技である。

 

 逞しい胸板に頬を染め、頬ずりしたくなるがキスも捨てがたい。

 選ばされたのはそれ以外。

 男はレイナースの手を取ると、今度は自分の股間に導いた。

 

「これ……は……」

「こっちも習ったんだろう?」

「はい。ですが、張り形より大きくて……」

 

 男の股間は、膨らんでいた。

 全裸のレイナースと違ってズボンを履いたままだが、ベルトは外されている。

 ここからだったら、レイナースでも簡単に脱がせた。

 

「……すごい」

 

 思わず唾を飲み込んだ。

 性器を模した張り形で男女のことを習ったのだから、勃起した男性器がどのような形になるかは知っている。

 形だけは似ている。長さは倍近い。一番の違いは熱気。触れた手が焼けるよう。

 

「こんなに大きいものが……、私の中に入るなんて……、あっ」

 

 ベッドに押し倒された。

 暖炉の熱が屋敷中に回っているので、室内は寒くない。けども、ずっと使われていなかったシーツはひんやりとした。

 

「ちゃんと入るように準備しないとね」

「あんっ! ……急に触られてビックリしてしまっておかしな声を、っ!」

「可愛い声だよ」

「~~~~~~~~っ! ひあ……ああっ!」

 

 後ろから抱かれた時はほんの指先だけだったのに、今はもっと深い。

 下着の上からの愛撫で潤っていたレイナースは、男の指を根本まで受け入れた。処女で異物を受け入れたことがない膣だが、男の指に処女膜らしきものは触れなかった。騎士ゆえに激しく体を動かすので、破れていたようだ。

 

「むっ、むねもっ! くぅ……んぅ……、あっはぁあ……、あぁ……、わたしの胸は、いかがですか?」

「いいおっぱいだよ」

「あんっ……。お好きなように、してくださいぃ……♡」

 

 右手の指が処女地をほぐし、白い乳房へはキスを送った。

 騎士であるのに、レイナースの肌には傷一つない。おそらく、大きな傷を負う度にポーションや回復魔法で癒してきたからだろう。小さな傷も一緒に消えたと思われる。

 その影響なのかどうか、乳首は黒ずむことなく綺麗な赤を保っている。

 弾力ある乳首が舌に楽しい。いつから立たせているのか。後ろから胸を揉まれているときか。吸い付いた時にはもう固く尖っていた。

 吸っても何も出てこないが、勃起した乳首を吸いたくなるのは男ならず人の性。その証拠にシャルティアだって吸いたがる。

 膣に潜らせた指には抽送させず、何も知らない肉ひだをあやすように撫でている。媚肉は安心したように愛液で指を包んだ。

 

「ああ……、こんなに……、こんなに素敵なことがあるなんて。あなたの……これも……」

「これ?」

「……おちんぽ、です。おちんぽも大きくなって」

 

 レイナースと並ぶように寝転がれば、レイナースはこちらを向いてくる。

 何を言わずとも唇を重ね、レイナースからも男の体に手を這わせた。

 

「おちんぽの扱い方も習いました。手で握って上下に動かすのがいいとか。……口でお慰めすることも習いましたが……。あ……指が……、あんっ♡ あんっ……、クリトリス、ですよね?」

「そうだよ」

 

 膣から抜けた男の指は、レイナースの愛らしい肉芽を撫で始めた。

 包皮を剥いて直に触れるのは、処女のレイナースには刺激が強かった。ねばつく愛液にたっぷりと濡れているので痛いと言うほどではなく、刺激は甘美な快感となって、レイナースに女であることを思い出させる。

 

 レイナースも男の逸物を撫でていた。

 初めて見る逸物なので、欲を言えば明るいところでじっくりと見てみたいと思ったのは誰にも言えない秘密である。

 始めこそ撫でるだけだったが、触れているうちにかつての教習を思い出し、おそるおそる握ってみた。

 一番太い部分は握りきれない。張りつめたように弾力がある亀頭の下、竿部を握って上下に動かし始める。固さと、何よりも熱さが男の興奮を物語っているようで、扱いているだけでも恍惚とした幸福感が溢れてくる。

 

「これが……おちんぽが私の中に……。入れてくださいますか?」

「それも習ったのかな?」

「……そうです。ですが入れて欲しいと思ったのは本当ですわ! 私を女として扱ったくれたのはあなただけでした。そんなあなただからこそ抱いて欲しいんです」

 

 男の手がレイナースから離れ、股を開かせた。

 開いたところに男の体が入ってくる。

 太股を抱いて引き寄せ、開き掛かった割れ目に亀頭をあてがった。

 入る場所を探すように、割れ目を上下に撫で始める。

 

 

 

「……入れてくださいませ。私は処女なのであまりお楽しみいただけないかも知れませんが。好きにしてくださって結構ですから」

 

 潤んだ目で男を見上げる。

 夢には見たが、現実になるとは思えなかった。

 呪いが解けるとは思わなかった。解けたとしても、嫉妬してしまうほどに美しい女性を何人も侍らせている方だ。女として扱ってくださったが、ベッドの上でも女として扱ってくれるとは思わなかった。

 それがいまや、一つになろうとしている。

 叶わないと思っていたことが叶おうとしているのだから、抱いてもらえるなら乱暴でも激しくても痛くても、喜んで受け入れるつもりでいる。

 

「私に……傷をつけてください。永遠に消えない証を。私があなたに愛された印を。私の処女を奪ってください」

「レイ……」

 

 レイナースの言葉はどれも心からのもので、けども言葉を口にする度に心が震えて熱くなってくる。

 自分の言葉を聞いて、それが心も体も興奮させて、熱く溺れた心が次の言葉を紡ぎ、処女肉が早く欲しいと訴えている。

 

「私をあなただけのものにしてください♡」

 

 心も体も熱くなって、乞い願う言葉は熱い息を伴った。

 

「んぅっ! ……入ったのですか?」

「少しだけね」

 

 割れ目の中を上下していた亀頭が、少しだけ沈んだ。亀頭の半分ほどがレイナースの膣に潜っていた。

 赤い媚肉がめいっぱい口を広げて、男を受け入れようとしている。狭い入り口を、男は強引に通り抜けようとしている。

 

 

 

 レイナースは騎士で、当然のように乗馬の腕も超一流。馬に乗ったら馬体を太股でしっかりと挟みこまないと落ちてしまう。

 そんな日常を送っているレイナースは、その部分の筋肉が非常に鍛えられていた。率直に言えばとてもきつい。初めてで挿入するのは無謀と思えるほどにきつい。挿入に至るには、日数を重ねて少しずつほぐしていく必要があった。

 だと言うのに、前戯がいささか不足していた。

 

 いつもだったら、手で愛撫した後は口を使う。口を使わないにせよ、女の方から欲しいと訴えても無視してよがらせる。そうして最初はきつきつだったルプスレギナもとろとろにされてしまい、初体験でちゃんと開通できたのだ。

 しかし現状、手で軽く愛撫しただけである。

 レイナースはよく濡らしているが、挿入にはまだ早い。何度もこなしているなら兎も角、レイナースは処女である。

 それなのに事に至ろうとしているのは、レイナースの希望もあったが男の都合もあった。今日は一回も出していなかったのだ。

 

 ソリュシャンからのとても強い要望により何故かレイナースを探すことになり、朝からかかりきりだった。思索以外では使ったことのない遠隔視を用いて自身の屋敷にいることを突き止めたら舞踏会に出るようで、紛れ込むために準備をしていたら何をする暇もなかった。

 これまたソリュシャンの要望があって、「いっそのこと第六夫人にしてみては?」とまで言っていた。第一から第五までの順番は知らない。

 レイナースの爛れた顔を気にしたことはなく、鎧の下はどんな体だろうと想像したことがないでもなかった。

 心も体も裸にしたレイナースは、常の人形めいた無表情と違ってとても魅力的である。

 処女と言えども、とろけた肉は触れているだけでも気持ちいい。

 もう少しほぐした方がいいに決まっているが、本人がいいと言っているのだからいいのではないだろうか。

 

 

 

「あっ……ぐぅ!」

 

 レイナースの背が反った。

 亀頭の一番太い部分が入りきった。

 狭い膣口は限界まで押し広げられ、処女の肉が切り裂かれていく。女の肉はみちみちと男を咥えているのに、男は容赦なく貫いていく。

 レイナースの処女地に男が証を刻んでいく。

 愛液の助けがあっても、レイナースは狭く、男は大きい。破瓜の痛みは、小さなものではなかった。

 レイナースのきつく瞑った目には涙が浮かび、歯を食いしばった。

 

 狭い処女肉は男の逸物を食いちぎらんとばかりに締め付けている。入れている方にも痛みがある。しかし、狭い膣ならシャルティアで慣れているし、高レベルの処女膜を幾枚も破ってきた逸物だ。

 きつさと、侵入者を押し返そうとする弾力を楽しむ余裕すらある。

 

「は……はいり、ましたか?」

「まだ半分。ここからはゆっくり入れるよ」

「はぃ……。入っているのがわかります。私を女にしてくださって……嬉しいです」

 

 痛みを堪え、健気にも微笑んで見せた。

 

 半分まで入れば入りきったも同然。後は腰を進めるだけ。

 男は抱えていた太股を離してレイナースを優しく抱きしめた。

 レイナースも男の背に腕を回す。すがるように、逃がさないように、抱きしめる手に力が入る。

 宣言通りにゆっくりと腰を進め、最奥に届くと、レイナースは閉じた目を見開いた。

 

「これで……あなたと一つに……」

「ああ。レイの奥まで入ってるよ」

「あなたが入っているのを感じます。あんなに大きいのに、本当に私の中に入ってしまったのですね。くぅ……」

 

 前戯不足のところを無理矢理こじ開けたため、痛みが引かないようだ。顎を上げて小さな苦鳴をもらし、きゅっと目を瞑る。

 唇を重ねてもすぐには開かない。下唇と上唇を交互に啄んで、ようやく口を開いた。舌よりも先に苦しそうな声を出す。

 騎士であるので堪えられない痛みではないだろうが、体の真芯を貫かれるのは別種の痛み。

 

 苦しさに耐えるレイナースの仕草は、やたらと嗜虐心を煽ってきた。初めてなので優しく、と言う段階は挿入に至ってしまったのだから今更だ。

 鍛えられた肉体はきつく、処女の固さもある。しかし、動けないほどではない。これで動けないようならシャルティアの相手が出来ようはずもない。

 

「こ……ここから、動くのですよね? 私は平気ですから、お好きなように動いてください」

「そうさせてもらうよ」

「はい……。んっ……んっ……くぅ、うあぁっ! あっ、あっああんっ! あんっ!」

 

 レイナースは男の体にしがみつく。

 動かないでと思っているのか、二人きりの世界で頼れるのは自分を支配するこの男だけと思い極めているのか。

 どちらでもあって、どちらでもない。

 二人は文字通りに一つになっている。レイナースは、自分の体は男の体の一部になってしまったように感じていた。

 

「あっ、あっ、あんっ……。わたしがっ、こんなこえぇっ! ……はしたないと、おもわないでくださ、いっ」

「さっき言ったろう? 可愛い声だ」

「はいっ……、はいっ! あんっ♡」

 

 挿入時こそ痛みは強いものだったが、入りきってしまえば時間とともに慣れてくるし薄れてもくる。

 代わりにこみ上げるものは何なのか。自分の奥深くから湧き出てくるようにも思えるし、高いところから降ってくるようにも思える。

 確かなのは、目の前の愛しい殿方から与えられていること。

 動きも激しくなって、一番深いところを何度も何度も突かれている。粘着質な水音に、肉が肉を叩く乾いた音。そこに自分の嬌声が重なっている。

 出そうと思っているわけではないのに、それどころかはしたないと思って出来るだけ出さないようにと思っているのに、淫らな声が口をついてしまう。自分の声なのに、自分でも聞いたことがない甘えた声。

 可愛いと言われれば嬉しくなって、もっとと思ってしまう。

 

 抑えようと思っていた枷は外れ、レイナースは美しい声で鳴き続けた。

 

「あ………………。なかで……」

 

 いつしか男の動きは止まっていた。

 ぎゅうと抱きしめられ、レイナースも抱きしめ返す。

 膣内に入っている逸物が、ぴくぴくと小さく痙攣しているのを感じた。

 事前の知識から、それが射精であると知った。

 殿方が達したと言うことは、胎の中に子種を注がれたと言うこと。

 精がどのようなものなのかは見たことがないので何とも言えない。

 しかし、体の奥に温かいものを感じている。

 

 

 

「ああっ!?」

 

 抜かれようとした逸物が、抜けきる寸前にまたも奥まで戻ってきた。

 殿方は出したら終わると聞いていたので、まったくの不意打ちだった。

 

「レイが綺麗で好き勝手してしまった。今度はじっくりしてあげるよ」

「そんな……。わたしも、好かったですから……ひあんっ!」

 

 中で絶妙に蠢き、肉ひだをこすられた。

 

「あの程度でいいと思われたら俺が困る。男と女が愛し合うのはもっと素晴らしいものなんだ」

「もっと……すばらしい……」

 

 今日は一度も出していなかったので、レイナースの了承もあって一度目は射精だけを目的に動いてしまった。

 一度出せば落ち着くもので、二度目はじっくりと可愛がるつもりでいた。

 

 レイナースは確かにきつい。その上処女なので固い。しかし、名器の予感があった。

 狭いわけではなくきついので、処女の固さがほぐれれば優しく締め付けてくれるに違いない。

 

 このまんこは俺が育てる!

 

 男はどうしょもない決意を固めた。

 勿論そこだけなく、レイナースは体臭も芳しい。

 ナザリックの女性たちは誰もが芳しいのだが、澄んでいるのだ。

 それに比べると、レイナースの体臭は悪く言えば雑味があり、よく言えば深みがある。

 エンリにも近しいものを感じたが、あちらはゴブリン大将軍であられる覇王にして血塗れのエンリ様。一方的な評価は不敬というもの。

 レイナースなら大丈夫。

 これからのお付き合いを期待して、二度目以降は大いにサービスすべきである。

 幸いにも一度や二度で萎えることはない。

 朝までお付き合いいただこう。

 

 そう思ったのが間違いの元であった。

 

「はぁっ、あっあっ、ひぃ……、ああんっ♡ あっ、あっ、こんなっ、すごっ、ああああぁぁんっ♡」

 

 処女膜は破れていても、初めての出血はあった。

 たっぷりと注がれた精液を膣内で攪拌され、薄ピンクの淫液を結合部から垂らしながら、レイナースは大いによがった。

 何度か体位を変え、身体中を愛撫され、後ろから突かれた時はだらしなく開いた口から嬌声とともに涎を垂らした。

 二度目の射精は一度目の一時間後。

 処女を頂いてから一度も抜かなかったため、後背位で出してから引き抜くと、充血しきった膣口はすぐには閉じず、奥の暗がりを覗かせた。見ている内に、ぴゅるぴゅると二回分の精液が噴き出してきた。

 引き締まった肉体をしているのに、柔らかくて丸い尻が震えている。

 尻を撫で、三回目は最初と同じ正常位でと思ったのだが、

 

「あう…………あ? はぁ……、はぁ…………」

 

 レイナースの顔が虚ろだった。

 失神まではしていないが、意識があるかとても怪しい。

 張り形相手に口ですることを習ったとか言っていたので是非してもらいたかったのだが、この様子では断念せざるを得なかった。

 

「朝までここにいるよ。ゆっくりとお休み」

「はい…………」

 

 頭を撫でてやれば、安心したように目を閉じた。

 寝てしまった。

 寝ている相手に出来なくもないが、育てると決めたばかりなので始めから無理はしたくなかった。

 

 仕方なしに、レイナースの身体を拭いてやる。

 身体を冷やさないよう寝具を掛けてやり、自分の身だしなみも整える。

 部屋を出て屋敷の家人を捕まえ、レイナースは寝てしまったので部屋を用意してもらいたい、との旨を告げれば客室に案内された。

 ドアを中から施錠し、そっと窓から外へ飛び降りた。

 

 

 

 ▽ ▼ ▽

 

 

 

「ご、ご主人様!?」

 

 御者は馬車の中にいた。

 命じればずっと御者台に座っていたかも知れないが、寒空の下で一夜を明かせとは言えない。

 

 今日は移動のための馬車なので、大きな寝台は片づけてある。代わりにソファが数脚。

 ミラは、隅に置いてある一人掛けのソファに座っていた。

 傍らのローテーブルには緑色の酒瓶。三分の一も減ってないようだ。

 どういうつもりか、白いドレスを脱いで、古の巫女装束めいたエロ衣装に着替えている。

 ヴァンパイアブライドだと言うのに、上気した頬が艶めかしい。

 

「レイナースは寝てしまってね。楽しんでもらえたはずだけど俺の収まりがつかないんだ」

「は、はい。……あんっ♡」

 

 シャルティア指定のエロ衣装は裸も同然。

 ご主人様を立って迎えたミラは、生乳を鷲掴みされた。

 尻肉も揉まれている。弾力を一頻り楽しんだ手は、尻の割れ目に伸びていく。長い指は、後ろからでもミラに届いた。

 

 ミラも心得たもので、ご主人様のズボンを脱がしにかかる。女主人たちとは違って破いたりしない。

 脱がせば跳ね上がる逸物は、うっすらと湿っている。

 胸を揉まれて乳首を摘ままれ、濡らし始めた膣に指を突き立てられながら、ミラは両手で逸物を扱き始めた。

 

「ミラはすぐに濡れてくるな」

「はい。いつでもご主人様にお使いいただけるように……」

「嘘を言うな。そう言う体なんだろう?」

「はぃ……。ミラの体は……淫らなんです。浅ましくもいやらしいことばかり考えてしまって、ご主人様の美しいお顔を拝見いたしますと……、逞しいおちんぽも思い出してしまって……」

 

 ご主人様はとっても微妙な顔になった。

 見られるだけで欲情されるのはいいのだが、俺の顔はちんこなのか。

 

「あっ♡」

 

 尻を撫でていた手が、ミラの太股を持ち上げた。ミラは察したようで脚をあげ、反対の足では爪先立ちとなる。

 男は腰を落とし、そそり立つ逸物をミラにあてがった。

 ぬるり、と。抵抗なく入っていく。

 ミラは男の首に両腕を回し、男は太股を抱え、もう一方の手でも太股持ち上げた。

 ミラの両足は床から離れ、男の腰を挟むように回される。

 異本によるところでは駅弁と呼ばれるスタイルである。

 

「ごしゅじんさまぁ。ミラの全部が、ご主人様のおちんぽで支えられてますぅ♡」

「これだと動きづらいから、ミラから締めてみろ」

「はぃ♡ んっ……んっ……、んふぅ……」

 

 根本まで包んだ逸物をリズムよく締めつける。

 そのまま三人掛けのソファに下ろされて、抽送が始まった。

 

 一度や二度では萎えないのだから、三度や四度が必要となる。

 レイナースと違ってミラは十分こなれてきているので、すぐに始めてしまっても大丈夫。

 

 ヴァンパイアブライドの冷たい肉体に、熱い逸物は焼けるよう。

 ろくな前戯もなかったのに、開発されきっているミラは啜り泣くようによがり続けた。

 どぴゅどぴゅと熱い精液を膣内に感じたときは、身も心も溶けてしまったと錯覚するほど。

 

 三度目の後、四度目の前。

 ご主人様の前に跪いて丁寧にお掃除フェラ。

 自分の愛液とご主人様の精液で濡れた逸物を丹念に嘗め、尿道に残った精液もちゅるると吸う。

 

 ご主人様は自分の精液を嘗めるのはお嫌なようで、魔酒で口を濯ぐことを強制された。

 嘗めるようにちびちびと飲んでいたのに、こくこくと喉を鳴らして飲まなければならない。

 強い酩酊感と、意識が拡大するような万能感。何が起こるのかわからなくて、怖くて一歩も動けなくなりそうなのに、ご主人様は平気な顔をしてごくりごくりと飲んでいる。

 この一事をもってして、ミラはご主人様が人間というのは真っ赤な嘘だと確信した。

 

 四度目は腰布をたくしあげられ、後ろから犯された。

 尻の穴が丸見えになってしまうことに僅かばかりの羞恥を覚えるが、後ろからされると支配されている感が強くていつもより感じてしまう。

 けども、丸見えになっている尻の穴を見逃されなかった。ぬるつく液が塗られたかと思うと、指が入ってきた。

 入れられたのは初めてではなかったが、一本から二本、二本から三本を増えていき、最後には挿入もされてしまった。

 

「そこはおしりのっ!」

「ミラは初めてだったか?」

「はいぃ……、ミラのお尻は、処女でした……」

「これからはこっちでも使えるようにしないとな」

「はひっ、んっんっ、くぅ……ひうぅっ……。おまんこより、圧迫感が……。ご主人様の、おちんぽがおおきくて……」

 

 ぱんぱんと尻肉を打つ音が響き、四度目は尻穴に吐き出した。いずれジュネの前で両穴責めを実演するのだから、こちらも育てなければならないのだ。

 そして五度目六度目と続き、力を振り絞ったミラがお掃除フェラを終えると、

 

「そろそろ俺は部屋に戻る。夜明けまでまだ間があるから、それまで休んでてくれ」

 

 愛しいご主人様になんと返事をしたか、ミラには記憶がなかった。

 ご主人様が馬車を降りるなり、その場にばたりと崩れ落ちた。

 

 

 

 ▼ ▽ ▼

 

 

 

 レイナースの屋敷。あるいはロックブルズの屋敷と言うべきか。

 レイナースはロックブルズ家を盛り立てるつもりはないので、レイナースの屋敷と呼ぶのが適しているかも知れない。

 

 魔導国の学士は、朝食を頂いたら魔導国の公館に戻るつもりでいた。

 それがずるずると昼過ぎまで延びたのは、御者が機能不全に陥ってしまったからである。

 

 馬車の扉を開く。

 と同時に漏れ出る性臭。

 床の上にはミラのあられもない姿が。

 

 そっと扉を閉めた。

 レイナースの家人にタオルと桶一杯の水を頼み、馬車の中へ差し入れる。

 そのまま屋敷へとって返し、怪訝さの中に喜びを隠しきれないレイナースと過ごすことにした。

 今日の登城は午後からにしてくれるようだ。

 

 

 

 昼も過ぎてから馬車に戻れば、白いドレスをまとったミラが御者台に待機していた。

 ヴェールに隠れて顔は見えないが、どことなく精彩を欠いているように思えた。

 

 馬車に揺られながら、と言ってもナザリック製の馬車はどんな悪路でも揺れたりしないので比喩ではあるが、男はルプーをどうしようと考えていた。

 

 朝帰りどころか昼帰り。

 ソリュシャンは、レイナースをどうこう言っていたので問題ないだろうが、ルプスレギナの機嫌は多分悪い。

 昨日はソリュシャンに言い負かされてご機嫌斜めになっていたし、最近はソリュシャンが来たせいで回数が減って不満そうだし、その前はソリュシャンに両穴責めをされて痴態をさらし屈辱だったようだし、全部ソリュシャンのせいで俺は関係ないじゃないかと思っても意味はない。

 そこで他の女と良いことをして遅く帰れば、未だに女心のなんたるかがさっぱりわかっていないこの男であっても、ルプスレギナの機嫌が悪くなっているであろうとの推測は可能である。

 

「あーーーっ! おにーさんおっかえりー♡」

 

 果たして、ルプスレギナはかつて見たことがないほど上機嫌であった。

 戦々恐々とは言わないが、ご機嫌とりめんどくせと思っていた男は意外な事態に首を捻った。

 

「お昼食べたっすか? 食べたならちょっちいいっすかね? ソーちゃんも待ってるっすよー」

 

 腕を組んでしなだれかかると、こっちこっちと引っ張ってくる。

 

 屋敷に着くなりダウンしてしまったミラはジュネに任せ、ルプスレギナに引かれるまま足を進めた。

 屋敷のエントランスホールから二階に通じる大きな階段を上り、二手に分かれる階段を再度上って三階へ。

 三階の片隅にあるのは、若旦那様の素人錬金工房。

 ルプスレギナがよいしょと大きな棚を動かせば、たまに使う隠し扉が現れた。

 

 扉の奥にある小さな空間は、螺旋階段になっている。

 階段は二階一階と素通りし、床に足を着けるのは地下階である。

 屋敷の三階を自由に移動できる少数しか知らない秘密の地下空間は、大きな声では言えないことをしてしまう場所であった。

 

「見て欲しいものがあるんすよ」

 

 頑丈な鉄扉を開けるなり、漏れ出てくる異臭は、性臭ではない。

 空気が色づくと思えるほど濃い臭いは、シャルティア様の大好物。血臭だった。

 血の他にも悪臭が混ざっている。どうやら一度以上中身をぶちまけたらしい。

 

「あら? お兄様はお帰りになったのですね」

 

 ソリュシャンがいい顔をしていた。

 することをたっぷりしたシャルティア様のようにお肌艶々である。

 

 ソリュシャンが脇に退くと、ミラに協力してもらって吸血鬼化する条件を調べた部屋の全貌が明らかとなった。

 

 床や壁の血の痕は、掃除が大変そうだがソリュシャンがどうとでもしてくれるだろう。

 目に付くのは二人の女。

 衣服を脱がされた裸の女が、天井から降りる鎖に吊されている。

 力なく顔を俯けているが、同じ顔をしているが見て取れた。

 髪の色は金色。

 

 帝都のお屋敷にて、金髪の双子と来れば奴隷市場で買った双子幼女しかいない。

 幼女であって女ではないが、不思議な青いキャンディーを舐めれば一時的に女の姿となる。

 もしもソリュシャンとルプスレギナが、ウレイとクーの二人をこのような目に遭わせたとすれば、さようなら、としか言えなくなる。

 アインズ様が絶対に罪に問うなと仰った双子なのだ。プレアデスの二人であっても厳罰は免れ得ない。

 

 しかし、吊されている女は双子幼女ではなかった。

 不思議な青いキャンディーは瓶から出したばかりでないと効果時間が激減してしまう。吊されてから十分しか経ってない、と言うことはないだろう。

 よく見れば髪の色も違う。金よりも明るくてオレンジに近い。

 傷一つない裸体はしなやかなもので、双子幼女が成長してもこうはならないと思われた。

 

「お兄様も一度見たことがあるはずです」

 

 ソリュシャンに言われるまでもなく気付いていた。

 エ・ランテルにいた頃、気晴らしにソリュシャンと一緒に外食した店で見た二人。あの時は二人以外に大きいのと小さいのと普通のがいた。

 

「王国の石ころ冒険者。蒼の薔薇の…………なんとかとなんとかです♡」

 

 ソリュシャンは花開くような笑みを見せた。ルプスレギナと一緒にたっぷりお楽しみであったらしい。

 

 ご機嫌な姉妹を見て、男はふうとため息を吐いた。

 瞬時に様々なことへ思いを巡らせ、結論を下す。

 

 よし、殺そう。

 

 アインズ様を驚かせた抜刀術をもって、カタナブレイドを抜き打った。




外泊したら出そうと思ってました
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