※この作品はR-18です。

アルベドのお食事   作:dolph

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調子が悪いと文章が長くなるとバーナード・ショーが言ってた
よかった時も特になかったりしますが


この忍者は縄抜け出来ない ▽ティア

「神官様は『お兄様』のテクなら問題ないと言ってた。神官様とエロいことした? 私にも同じ事する?」

「すぐにわかるよ」

 

 にやりと笑う男だが、内面は外面ほど余裕あるものではなかった。

 

 快楽墜ちさせて調教競争と言うのは、あくまで手段である。目的は屈服させて服従させて裏切らないようにすること。

 この条件でシャルティアを上回るのは生中なことではない。なにせ、シャルティアは吸血鬼なのだ。

 

 もしも自分がシャルティアだったら、ティナを吸血して吸血鬼に転化させる。眷族化した対象は主人の命令に絶対服従となり、場合によっては自死すら受け入れる。吸血鬼化させてもアンデッドの気配を消すアイテムがあるらしいので、それを使えば蒼の薔薇の元に戻しても問題ない。

 つまり、死ねと命じれば死ぬほどの忠誠を得なければいけないのだ。

 滅茶苦茶ハードルが高い。

 いっそミラかジュネに吸血させて、と思わなくもないのだが、アンデッドの気配を消すアイテムを持ってない。残念ながら吸血鬼化は使えない。

 シャルティアが言った通りに快楽墜ちさせる必要がある。

 

 単に気持ちよいレベルでは駄目だ。

 肉体を凌駕し、精神を漂白して上書きしなければならない。

 自分にそこまで出来るのだろうか。

 いや、出来なければならない。出来なければいと尊きアルベド様との時間を奪われることになる。

 

 アルベド様、どうか私にお力を!

 

 男は神に祈った。

 アルベド様が覚醒を果たした時の事を思い出した。

 

 

 

 ▽

 

 

 

「素晴らしい技術です、マイスター。後ほど詳しく伝授してください」

「いいだろう。道は険しいがマスターしてみせろ。でも後でな」

 

 ジュネがキラキラした目で男と、吊されているティアを見る。

 

「……手慣れすぎ。お嬢様や神官様ともこんなのしてるの?」

「してないよ。ティアだけに特別だ」

「嬉しくない特別。でも手枷より楽になった。少し恥ずかしいけど」

 

 ティアは手枷をつけられ、天井からの鎖は手枷を固定していた。

 今のティアは吊されているのは一緒だが、姿勢がかなり違う。全身を縛られていた。

 

 両手首を頭の後ろで縛られているので、つるつるの脇を見せている。

 8の字となったロープが乳房を包み、大きいとまでは言えないがそこそこの乳房を搾って突き出すように強調させる。

 脚が開いているのは両膝をロープで吊っているため。脚の付け根、太股を二カ所、そして膝の四カ所をロープで縛り、その上にある小さな輪をロープが通っているので負荷が分散されており、過度にロープが食い込むことはない。

 背面からのロープでも吊っている。やや後ろに傾いて膝と股間を突き出す形になっている。

 脚を開いて中空に座っているようにも見えた。

 

 一本のロープで織りなす緊縛芸術である。あの日、アルベド様は縛られることをお望みになったのだ。

 ラナーに「痛い! きつい! 下手! バカ!」と罵られながら身に付けた技術は完璧である。文句を言いながらも縛ることを強要し続けたラナーに「だったら縛らせるな」と思ったものだが、こうして役に立つ日が来たのなら、あながち無為な日々ではなかったのだろう。

 

 

 

「全然動けない。後で私も教えて欲しいくらい」

 

 ティアはずっと裸で吊されて、お嬢様と神官から酷い責めを与えられ続けた。裸を見せるくらい今更のことだったが、乳房を強調されて股を開かされるのは恥ずかしいらしい。頬が薄く染まっている。

 それでもティアは、このくらいなら、とも思っていた。

 

(どうせこの後たっぷり犯される。でもお嬢様たちに責められるよりずっとマシ。犯されるくらいで死にはしない。どうせやられるならこの男よりそっちの吸血鬼がよかった。でもまあ……、顔がいいのは認める。右目と左目で色が違うのも凄く珍しい。ずっと見てると吸い込まれるような…………。あっ……)

 

 胸を触るでもなく、股間に触れるでもなく、優しく頬を撫でられた。

 たったそれだけが衝撃だった。

 労るような優しい愛撫。手のひらは暖かく、繊細な手付きで頬を撫で、唇をなぞる。

 不安も恐怖も消えていく。束の間覚えた安らぎが、心を浮き立たせていく。

 まるで、長く思い続けた初恋の人に触られているような。

 

「ほ……ほっぺたを触るだけ? エロい格好させてるのにエロいことしないの?」

 

 焦りが声にも顔にも出た。声は上擦ったし、視線は定まらず揺れている。

 しかし、幸か不幸か、そのような感情の機微を感じ取る男ではない。

 

「女同士でするときは優しくするのが男と一番違うところと聞いてたが、ティアはそうじゃないのか?」

 

 二人のヴァンパイアブライドが思わしげに見合い、互いに首を左右に振った。

 エ・ランテルで若返りの秘薬を売ってるお店の店員に聞いたのだ。高級娼館なだけあって、両刀の娼婦もいる。

 

「それならいつも通りでいい、のか? ……折角だからサービスしよう。ジュネ」

「はい」

「ミラを相手に訓練の成果を見せてやれ。俺たちによく見えるように」

「ヤヴォール」

「え……、かしこまりました」

 

 男はティアから見えやすいよう後ろに回る。

 ティアから三歩のところで、美しいヴァンパイアブライドが体を寄せ合い唇を交わし始めた。

 

「二人とも、どちらかと言えば男より女の方が好きなんだ」

「……いつもあんなことをさせている?」

「させてるんじゃない。自発的にしてる。俺だって二人がするのを見るのは初めてだ」

 

 赤い唇の間を赤い舌が行き来しているのが見える。

 ジュネが横目でちらとこちらを伺い、乳房を覆う帯をずらす。白い肌に鮮やかに生える赤い乳首はミラの胸に押しつけられ、ミラもまた帯をずらして乳房を晒す。

 乳首と乳首が擦れ合っている。擦れ続ける内に勃起してきた。

 

「……、どさくさに紛れて触ってる」

「…………」

 

 一々答えないし許可も求めない。

 ティアの後ろに回った男は、二人の痴態を眺めながらティアの乳房に触れていた。

 小さくはないが大きいとも言えない乳房は、太いロープで搾られて突き出されている。実際より大きく見える乳房は、大人形態アウラのロケットおっぱいを思わせる。

 突き出た乳房を伸ばした五指で包み、柔らかさを確かめる。ロープで搾られて張りがあり、揉み応えは中々。

 あちらの二人から甘い声が漏れ始め、こちらは無言で胸を揉み続ける。

 指は大きく開いているので乳首には触れていない。触れていなくとも、執拗に揉まれれば立ってくる。立ってきた乳首に指が乗った。

 乗せるだけで、押し込んだり転がしたりはしない。先端だけをくすぐっている。

 

「あっちは……」

 

 ティアはそれだけ言って口を噤んだ。

 あちらの二人は、胸を押しつけるのを止めて、互いに揉み始めた。大きな乳房に指が埋まり、乳首を抓るように引っ張っている。

 こちらでは焦れったい愛撫だけ。

 焦れったいだけなら冷めもするし飽きもくるのだが、とても悔しいことに気持ちいいと思えなくもない。

 少しずつだが、確実に高ぶってきている。

 男に、胸を揉まれているだけなのに。

 もしも動けるなら自分で自分の乳首を抓っていた、かも知れない。

 ねだるような事は絶対言わない。どうせ絶対にされて、最後には突っ込まれるに決まってる。

 諦念と意地がティアの口を閉じさせて、強がらせた。

 

「『お兄様』は女の胸を触ることしか、うむぅっ!?」

 

 ミラの脚を撫でていたジュネがちらと視線を向ける。

 すぐにミラに向き直って、股間を覆う前垂れの中に手を忍ばせた。

 

 ティアが途中で言葉を切ったのは、口の中に指を突っ込まれたから。

 入ってきたのは第一関節までだったが、口を閉じられない。指先が舌に触れている。慌てて舌を引っ込めた。けどもずっと引っ込めてはいられず、口を開けたままだと唾が溜まってくる。

 

「ふああほほへる……」

 

 言葉になりきらない言葉には耳を貸されず、涎を垂らして自分の体を汚すのを避けるには、唾を飲み込むしかなかった。

 

「……じゅる……、んっ……」

 

 指を咥えたまま口を閉じ、喉を鳴らして唾を飲む。

 抜かれない指に諦めて、引っ込めた舌を元に戻した。

 舌が指に触れる。指は微かに動いて舌をくすぐり、それが唾の分泌を促してくる。

 

「んっ……、ちゅる……ちゅっ、ちゅう……んんっ……」

 

 向こうでは、少し背が低い方が体を屈めて、もう一人の乳首に吸いついている。舌が乳首をねぶっている。

 ティアは何を咥えているのかも忘れて、同じように舌を動かし始めた。

 

「んんっ!」

 

 カリ、と。思わず噛んでしまった。

 焦れったく擦られていた乳首を、きゅうと摘ままれたから。

 急な刺激に驚いて、痛かったのに痺れるような快感が走ったのに驚いて、反射的に噛んでしまった。

 

「痛かったかな?」

「へ……平気。噛んじゃって……、ごめん」

「構わないさ。それで?」

「……それで、って?」

「乳首はよかったか?」

「べっ……べつに!」

「別に、か」

 

 焦らして熱を貯め、一息に解放させる触り方はアルベド様にもレズビアンでもあるシャルティア様にも大好評だったのだが、ティアにはいまいちだったらしい。

 いつも通りでは駄目なのだろうか。

 ティアの金髪に絡む白いリボンを見ながら、どうしようかと考える。

 アルベド様のお力は、まさかレズビアンには通用しないと言うことはないと思われるが、そう言えば人間の女性相手に使ったことがなかったことに気が付いた。

 最初はアルベド様。次にシズ。続いてユリ。ミラを相手に何度も試して前回はソリュシャン。

 全員美しい女性であるが、全員人外である。

 いざとなったらミラとジュネに全てを託すことにして、ティアの下腹を撫でた。

 

 左手はへその少し下に添え、右手は更に下へ這っていく。

 陰毛をかき分け、更に奥へ。

 ティアの陰毛は髪より色が濃い。髪と陰毛の色が違うのは珍しくはないが、剃り跡があるのは意外だった。陰毛は長いけども整えてある。

 

 ここでのティアは最初から全裸に剥かれているので男は知らなかったが、ティアの服装はかなりあれである。

 胸部だけを覆って肩も脇も鎖骨も見せる胸甲もあれだがいいと言うことにしても、下半身は網タイツに太股が大きく開いているゆったりとしたズボンらしきもの。ズボンらしきものはらしきものであってズボンにあらず、股間の部分は完全に開いてミラたちと同じように前後を帯が垂れて隠している。

 その下は、切れ込みがかなり鋭い下着を着けているのだ。整えないとはみ出るのである。下着が思い切り見えるデザインなので、はみ出るのはとてもまずい。

 まともなのは手甲だけである。

 ティアとティナは忍者であるが、忍者()としたくなるような装備であった。弐式炎雷に師事してストロングスタイルを学ぶべきであろう。

 

「ん?」

「あっ!」

 

 オレンジの茂みをかき分け、奥にたどり着いた指は、ティアに触れた。

 柔らかく、そしてぬめっている。

 

「濡れてるじゃないか」

「くぅ…………」

 

 ティアは唇を噛んだ。さっきのは本気で気持ちよかった

 だけども、素直に感じてると言うことは出来ない。濡れたのも知られたくなかった。

 自分は痛みとともに乱暴に犯されるべきで、気持ちよくなっていい道理はない。

 シャルティア様にされたら快楽墜ちしちゃうとか、手や口で気持ちよくさせてあげられるとか言ったのは男を挑発するため。本心ではない。

 乱暴に犯されて墜ちた振りをして、解放されたら他のメンバーと合流して南方へ行方をくらますつもりだった。

 本当に墜ちてしまうつもりは微塵もない。自分なら耐えられると思っていた。

 だのに、胸をいじられただけで痺れるような快感。

 警報が鳴り始めた。

 

「レズだから男には反応しないかと思ったけどそうでもなさそうだな」

 

 後ろにいた男がぬっと顔を見せる。

 気の抜けた笑みが軽く見られてるように思えて、ティアは睨みつけた。

 睨みの効果があったわけではないだろう。男は眉根を寄せてこう言った。

 

「ミラ、ジュネ。悪いが一時中断してこれから言う物を持って来てくれ」

 

 

 

 ▼ ▼

 

 

 

 ティアと男だけが地下室に残った。

 

「やっぱり期待してたほどじゃなかった。どうせ犯すならさっさとすればいい」

「ずっと女相手だったから男とするときのことを忘れてるのか? 入れる前によくほぐすんだよ」

「濡れてれば入る。でも多分感じない。お前の負け確。大人しくシャルティアの奴隷になれば?」

 

 二人きりになったら急に強気である。

 男は眉を微かに上げた。期待してないので言葉遣いはどうでもいい。それ以前に正すところがあった。

 

「皆の前じゃちゃんと様を付けるように。また痛くされるぞ?」

「っ……。人間なのにどうしてあんな化け物たちに協力する!」

「わかったわかった。それは半月後にじっくり話そう。まずは目先のことだ。シャルティア様と俺は、何故か調教競争することになった。だが、調教ってのは目的ではなく手段だってわかってるか?」

「…………」

「目的はけして裏切らないよう忠誠を得ること」

「こんなことして忠誠とか笑える」

「……王国にいると本当に頭が悪くなるんだな。よく考えろ。シャルティア様は吸血鬼だ。対象の人間から絶対の忠誠を得るにはどうするのが一番効果的だと思う?」

「……まさか」

 

 快感と怒りに上気していた頬がさっと青ざめた。

 

「吸血して吸血鬼化させる。そうすれば対象は絶対の忠誠を主人に捧げるようになる」

「………………ティナ」

 

 ここにはいない姉妹の名を呼んだ。

 ギリ、と。歯が擦れる音がした。

 

「そして俺が負ける。俺は週に一日だけシャルティア様に仕えることになるが、ティアは違う。シャルティア様は躾がなってないティアを見て、ご自身が躾てやろうと仰るだろう。ティナと同じ道を辿ることになる」

 

 吸血鬼すなわちアンデッド。

 転化の手段やその後の種族がなんであれ、アンデッド化してしまうと人間に戻る手段はない。

 永遠に隷属するか、消滅するか。

 

 勿論、シャルティアにそんなことをするつもりはない。思い付きもしない。二人の杞憂なのだが、ティアは首筋に冷たい牙が迫るのを幻視した。

 

「俺に協力しろとは言わないし、上辺だけ合わせられても絶対に見破られる。ティアをちゃんと調教できるかどうかは俺の腕次第で、ティアに出来ることは何もない。大人しくしていろ、と言っても動こうにも動けないだろう?」

 

 腕も脚も封じた芸術的な緊縛である。

 ティアは拘束されているために動けないと思っているが、本当はエンゲージリボンの効果だ。

 動けないことを不自然に思わせないがために緊縛したのである。それとは別に縛ればちょっと興奮するかも、とも思っている。

 昨夜はレイナースと、今朝方はミラとしていたので、刺激が必要なのだ。

 実際にやってみたら、興奮する以前にレズのティアがどうすればその気になるか考えてばかりで、今のところ効果は今一つであった。

 

「持って参りました!」

「ご苦労様」

 

 ミラとジュネが戻ってきた。

 ミラは三角フラスコを二本。ジュネは小瓶と小皿を持っている。

 

 まずはミラからフラスコを受け取り、栓を開けて中身を左の手のひらへ順にこぼす。

 次はジュネが持つ小皿。小皿には白い粉が盛ってあり、一摘まみ二摘まみして、左手の液体の上へ。最後に小瓶。琥珀色の液体に満ちている。蓋を開けさせ、右手の中指を突っ込めばねっとりと指に絡みついた。相当に粘性が高い。

 何かしらの粘液がついた指で左手の諸々をかき混ぜる。

 混ぜる度に粘性が緩くなり、白く染まっていった。

 

「ひっ……」

 

 白い粘液がついた指で、ティアの勃起した乳首に触れる。

 丁寧に塗り伸ばし、乳輪まで真っ白な粘液に覆われた。

 右の次は左。同じように塗っていく。

 そして、股間へ移った。

 ティアは大股開きをしているので、陰部も尻の割れ目までよく見える。

 こちらではふにっとした秘唇に塗り、少々はみ出ている内陰唇も忘れない。それ以上の内側へは塗らないよう気を付けて、徐々に下へ。

 膣口と肛門の間である会陰から、肛門は皺の一本一本にまで染み渡るように。

 そのまま、つつつと尻の割れ目へ塗り伸ばす。

 指に残った粘液は、右手をかざすだけでミラが丁寧に舐めとった。

 左手はジュネがペロペロと舐めている。

 

「…………媚薬? エロくなる薬?」

 

 乳首も陰部も性感帯だ。内側には塗られてないとしても、そう思うのは無理もない。

 

「そんなんじゃないよ。と言うかそんなのあるのか? 媚薬として出回ってるのは効果のない出鱈目ばかりだと思ってたんだが」

「それじゃなに?」

「下が見えるか?」

「?」

 

 言われた通りに下を見る。

 突き出された乳房の先端を白く塗られている。

 真っ白だったはずだ。それが、見ている内にうっすらと色づいてきた。純白だったからこそ、僅かな変化もよく目立つ。

 白の中に薄い茶色が滲んできている。

 

「んっ!」

 

 声が出ないよう歯を食いしばって、見ないよう固く目を閉じた。

 乳首に吸いつかれた。

 乳輪ごと口に含まれ、舌が上下左右に乳首を舐めている。

 

「見てみろ」

 

 恐る恐る目を開けた。

 今度は下を見るまでもなく、鏡を用意された。

 縛られている己が映る。目立つのは、白く塗られている部分。

 

「こっちだよ」

「きゃうっ!」

 

 吸われていた方の乳首を弾かれた。

 鏡に映るそこは。

 

「え? ……色が」

「ティアの乳首は茶色かったからな。色んな女たちに吸わせてきたのか? 折角だから綺麗にしたんだ」

 

 ティアの乳首は生娘のように透明感あるピンク色になっていた。

 白い粘液は断じてエロい薬ではなく、色素吸着薬だったのだ。

 

 ■ ■

 

 本薬の開発に至るには大変な経緯があった。

 ある日、これから張り切っちゃうぞ、と服を脱いだルプスレギナを見て、この男はこう言った。

 

『最近のルプーは乳首が黒くなってきたな』

 

 三度生死の境を彷徨った。

 男をぶちのめして最低限の怒りを治めたルプスレギナは、

 

『おにーさんがいっぱい吸うからこうなったんすよ! 責任! どうにかしろ!!』

 

 乳首が黒くなってくるのは、吸っても切れないように色素が集まって丈夫になるからである。乳首のみならず、きわどい下着を履いていると股間もそうなりやすい。言うまでもなく、肛門の着色も同様の理由だ。

 着色を避けるには丹念なスキンケアが必要となる。

 在りし日のラナーが蜂蜜と鳩麦を挽いた粉を混ぜてパックしていたのを思い出し、そこへ魔法のローションの原材料を適宜配合して作ったのである。なお、パックしたのを舐めとるのも仕事だった。

 無造作に混ぜてるように見えて、配合比率の誤差はコンマ1パーセント以下。

 大量生産すれば高貴な夫人はもとより町娘たちからも競って求められるだろうが、現時点では予定は皆無である。

 

 ▼ ▼ ▼

 

 主成分は蜂蜜なので舐めても甘いだけ。色素を吸着させた後だと、知っていなければわからない程度の苦みが出てくる。

 

「ほら、こっちもこんなに綺麗になった」

 

 もう一方の乳首も舐められ、処女の清らかさを取り戻す。

 

「ここは……」

 

 股間は濡らしたタオルで拭った。

 舐めてもいいのだが、甘いので量が多いと胸やけを起こす。

 肛門には丹念に塗ったため、入念に拭き取る。ティアは微かに呻いた。

 

「見てみろ。タオルがこんなに汚れた」

「っ!!!! そんなの見せないで!」

 

 白いタオルが薄黒く染まっている。

 まるで自分の汚物を見せられているかのよう。

 羞恥で顔を真っ赤に染め、顔を背けようにも出来ないので目を瞑った。

 しかし、目を瞑ると何をされるかわからない。

 

「ああっ!」

 

 そっと触れただけではない。

 今度こそ、男の指が潜ってきた。

 

 

 

 ▽ ▽ ▽

 

 

 

 往年の色素を抜いたそこは何も知らない処女のよう。黒かったり茶色かったりより白くてピンクがいいに決まっている。肌が綺麗だからこそ、内側の淫靡さが際立つ。

 

 まずは中指だけを折り曲げ、潤い始めたティアの雌穴へ忍ばせる。

 冬季の地下室であろうと室内は温かく、ティアの中は更に熱い。肉が熱を持ち、なめらかな愛液が絡んでくる。

 腐ってもアダマンタイト冒険者なので肉体は鍛えられ、締め付けは上々。ただし、女とばかりしているから指以外のものを入れていないのかも知れない。肉ひだの絡み具合はなんとか及第点で、総合して中の上。

 もっとほぐせば具合が良くなってくるのを期待して、二本に増やした。

 中指に薬指を添えて肉壁を撫で、ここだと言うところで折り曲げる。

 親指をクリトリスの根本を押さえて包皮を剥き、柔らかで頼りない小さな肉芽を撫で始めた。

 

「ぅっ…………、くぅ…………!」

 

 ティアは、歯を食いしばって耐えた。

 頬を撫でられただけで幸福感が溢れたのに、今は女の一番敏感な内側を擦られている。

 ともすれば、自分はこの男に心から愛されて、自分もこの男を愛していると錯覚してしまいそう。情熱的な恋の果てに結ばれつつある望外の快感。

 女の本能が悦んで、理性を犯そうと躍起になっている。

 

「あひぃっ! んっ……あぅ…………!」

 

 指の入り方が変わった。

 第二間接で曲げていた指を真っ直ぐに伸ばし、根本まで突き入れる。

 抽送は激しく、ほどなくしてくちゅくちゅと卑猥な水音が鳴り始めた。手指を伝い、床に滴り落ちた。飛沫となって宙を舞った。

 勃起させた肉芽も忘れない。人差し指と薬指で体の奥に隠れる茎の部分を扱き、中指は肉芽の上で小さな円を描き続ける。

 

 男が両手を使って愛撫している様子を、ミラとジュネの二人は顔を近付けて観察している。

 顔つきは真剣そのものだ。

 特にジュネは、手マンのマスターをシャルティアから命じられているので気の入り方も一入である。

 

「うっ、うっ、うぅ……。やっ、まって! まってだめぇ! ……やっ、あああぁぁぁぁああああぁぁあーーーーーーっ!!」

 

 待ってとか止めてはもっとやれと言うことである。アルベド様から教わっているのだ。

 右手と左手の動きを同期させ、内側と外側から同時に責められたティアは、あっけなく果てた。

 入っている指を膣がきゅうきゅうと締め付け、奥から溢れる愛液が指に絡みつつ溢れていく。

 肉芽に触れている中指は、小さな痙攣を感じ取った。

 

「はぁ……はぁ……。まって、だめ……。イったばかり……、あんっ!」

 

 羞恥や怒りは溶け消え、興奮と快感に頬を染めている。

 顔には困惑があった。

 申告通りに達したばかりだ。それなのに、疼いていた。

 あれだけ深い快感ならそんなことは考えられないはずなのに、体はもっと欲しいと訴える。

 

(ヤバい、きもちい。本気でイカされた……。それなのにどうして……。おかしい。あの香炉のせい? 煙を吸ってから思考が雑になってる。帝国では禁制と言ってた。この感じ、多分ライラの粉末。でもライラの粉末でこんな……。あっ……)

 

 指が抜かれて惜しいと思った。

 思っただけでなく、反射的に締めていた。逃がさないように。

 間違いなく気付かれている。

 真っ直ぐに見つめられ、見返す瞳は大いに揺れた。

 見られるのが恥ずかしい。達してしまったのも恥ずかしい。もっとして欲しい。絶対言えない。なけなしの敵意を絞り出そうにもどこを探しても見つからない。

 淫乱だと見下げられるのが怖い。見捨てられるのが怖い。ここに味方は一人しかいない。

 さっき殺されそうになって、間違いなく敵方の男なのに、どうしてそんなことを思えるのか。何が正常で何が異常なのか、境界がわからなくなってきた。

 

「あ………………、んっ……」

 

 男の形をした美が真摯な顔をして近付いてくる。

 ティアは、赤と青の瞳に自分の顔が映るのを見た。

 唇にキスをされた。柔らかな唇が押し付けられ、上唇を食み、下唇を食む。口が開いたのに合わせて、ティアからも口を開いた。

 口内に忍び込むぬめる舌に、ティアからも応えた。舌で舌を舐め合い、舌の舌や唇の内側に、隅から隅まで刺激される。そそがれる唾には小さな気泡を幾つも感じられ、互いの舌で味わってから飲み込んだ。

 全身を縛られて出来ることは何もない。せめて舌技を味合わせて、男を虜にしなければならないのだから。

 僅かに残った理性は、愚にも付かない理由を捻り出した。

 

「あんっ……、んっ、ちゅるる……、っふう、んっんっ……」

 

 ティアの真下には、ポタポタと垂れた滴が乾かずに追加され続けている。

 秘部をなぶられている。長い指がゆっくりと行き来して、内側のいいところを擦っている。

 

 吊されているティアが揺れないよう、後ろから押さえられている。

 背中に柔らかな感触が二つ。その中央に突起が二つ。同じところを摘ままれ、指で転がされる。

 乳首が痛いほど勃起して、ひんやりとした指で摘ままれるのはとても気持ちよい。

 

 ティアの掠れた喘ぎと密やかな水音に、衣擦れの音が重なった。

 キスが中断されて離れたとき、もう一人の吸血鬼が男の服を脱がせていた。

 逞しい裸身を鑑賞できた時間は短く、唇が重なってくる。

 今度は触る場所を交代して、前からは胸を揉まれた。両の乳房を鷲掴みされ、ティアが最初に望んだように乱暴に揉まれている。乳肉に指が食い込むほど強い触り方なのに、痛みより快感が勝った。

 後ろからの手は股間へ向かい、優しく陰毛を引っ張って、ほっそりとした指が肉芽の上で小さな円を描く。溢れているのを感じた。

 

 衣擦れの音は尚も続く。

 女吸血鬼が男のズボンを脱がせると、唾液をたっぷり交換したキスが終わった。

 男の前に女吸血鬼が跪いた。両手を添え、口を開き、赤い唇でキスを送った。

 

「マイスターのおちんぽが大きくなるのを見ていなさい。とても逞しくて、固くて大きくて。私は何度も挿入していただきました。これからお前のおまんこに入れてくださるのです。泣いて喜んで然るべきでは?」

「ちんこ……でかい……。あれが私に……」

 

 現れた時は半立ちだった逸物が、ミラの口淫で見る間にそそり立っていく。

 長い黒髪をなびかせながら頭を前後に振り、じゅっぽじゅっぽと小気味よいリズムを響かせる。

 

 これまでの勤めの甲斐あって、ミラの口は上達してきた。

 ここからイラマチオに移行するのもいいし、ミラの献身を微笑ましく思いながら身を任せるのもまたよい。

 今は出すまでさせるわけにいかない。

 十分に楽しんでから、止めさせた。

 

「マイスター、どうぞ」

 

 鎖に留めてあるロープの結び目をずらし、ティアの体を更に後ろへ傾ける。一層股間を突き出す形になった。

 真後ろからでは遠いので、ミラは左にジュネは右に。両側から指を伸ばし、ティアの割れ目を優しく広げた。

 褐色に染まっていた陰唇も、茶褐色がこびりついていた肛門も、今は澄んだ薄ピンクになっている。

 広げられた内側はてらてらと濡れ光り、膣口が仄暗い奥を覗かせる。

 

 ティアの股の間に入っていく。

 こちらでも二人がアシストして、逸物の位置を合わせた。

 

「あ……ああ、……はいって……」

 

 ティアは男の顔を見た。真っ直ぐこちらを見ている。しばし見とれ、我に返って視線を切った。

 左右には自分を押さえている女吸血鬼たち。

 下を向けば、結合部が見える。肉の棒が入ってきている。入ってきているのを感じる。肉を押し広げ、ゆっくりと埋まっていく。埋められていく。

 

「んっ……、おっ……きい……!」

 

 処女ではないし色事は好きなティアだ。しかし、交わってきたのは女ばかり。指より太い物が入ってくるのは久し振り。

 単に快感を得るためではない。二人が一つに繋がって、欠けた物が埋まっていく崇高な儀式。

 膣が目一杯広がって、隙間なく密着している。間違いなく自分ではない異物が入ってきているというのに、入ってきたそばから自分の中へ溶け込んで、或いは自分が彼の一部になって。

 

「あ……、おくまで……、きてる……」

 

 自分の体の一番奥まで、子宮口に触れられているのを感じた。

 本当なら感じられるわけがない。奥を突かれて痛むなら兎も角、子宮口は敏感な部分ではないのだ。

 ティアはそれを知っている。不思議なことが起こっている。

 しかし、二人が一つになったのが確かな事実で、それ以外は全てが些事だった。

 空虚を埋められた充足感は幸福感となり、ここに生きている実感を確かに感じる。愛されている実感は多幸感となって、肉体だけではなく心まで満たし始めた。

 

「あっ!! …………なん、で?」

 

 ティアの奥まで制覇した男は、出て行ってしまった。

 欠けていることを知らなかったら何とも思わなかったろうが、欠けたものを満たされて、そこから失ってしまうのは体の半分を奪われたかのよう。喪失感は悲哀すら伴った。

 

「ジュネ、こっちに来て尻を向けろ」 

「ヤヴォール! マイスター、どうぞお使いください♪」

 

 女吸血鬼の一人がティアの目の前で男に背を向け、腰を折る。背を反らして尻を突きだし、男は真っ白な尻を撫でた。

 

「あんっ♡」

 

 甘い声に肉が肉を打つ音。男の下腹が女の尻を打っている。

 ティアは呆然と、目の前の光景を見続けた。

 男が自分以外の女と交わっているのを理解したその時、体の奥底から湧き出てきたのは嫉妬と恐怖。

 まさかこれで終わりなのか。自分は満たされないまま放置されるのか。悔しさと悲しさで涙が滲む。

 女の声が高くなり、涙が頬を伝ったとき、そっと耳打ちされた。

 

「ご主人様はとてもお優しいお方です。あなたが心を込めてお願いすれば、きっと満たしてくださいます。どうお願いすればよいかはご主人様が仰っておられました。まさか忘れてはないでしょうね?」

 

 何を言って何を言われたかを思い出す。

 色々挑発したつもりだが、全て流されている。

 閨事の訓練を受けたと言った。手や口は使えない。使えるのは入れられるところだけ。

 それは自分が言ったこと。言われたことを働かない頭で一生懸命振り返り、思い出した。

 

「愛してる! 愛してるから入れて欲しい!」

 

 二人の動きが止まった。男が首を傾げてこちらを見てくる。

 

「……誰が、誰を?」

「私が……、あなたを」

 

 男が女から離れ、女はその場に崩れ落ちた。

 ティアの脚の間にもう一度入ってくる。

 頬を撫でられ涙を拭われ、それでもティアの不安は拭いきれない。

 

「何を入れて欲しいんだ?」

「……ちんこを。私のおまんこに」

「愛してると言ってくれたが、本当に?」

「本当。先のことはわからないけど……、今だけは本当に愛してる。愛して欲しい。あなたを愛してるから、つながりたい」

「今だけでなく、これからもにしてやろう」

「ああんっ♡ はいってきたぁ♡」

 

 太股を掴まれ引き寄せられ、最初の十倍の速さで入ってきた。

 同じ速さで引き抜かれ、すぐに奥まで帰ってくる。

 

「あっあっ、すごいぃっ! こんな、はじめてっ♡」

「閨事の訓練をしてきたんだろう? どんなことが出来るんだ?」

「うんっ、締めるからっ、ちんこをいっぱい気持ちよくするからっ」

 

 奥へ来るときは迎え入れるために締め付けを緩めて、抜かれる時にはきゅうと締め付ける。緩急つけた締め付けで逸物を刺激する。

 締め付けられないときもある。視界で火花が散り、全身の力が緩んでしまう。吊されているのもあるだろうが、精神がどこかへ弾け飛んで幸せな世界を漂っているかのよう。

 

「あんっ、あんっ、あっ、そこすきぃ♡ あん……キスもして。んっ、ちゅぅ……れろ、んっ……、ああっ♡」

 

 キスの間も腰の動きは止まらない。

 結合部が鳴らす卑猥な水音は、じゅるじゅると唾をすする音にかき消される。

 体の真芯まで受け入れるのが幸せなら、互いの陰毛が擦れ合うのもこそばゆくて心地よい。打ち付けるために乱暴に尻肉を掴まれるのも凄くいい。

 どこを触られても何をされても快感で、何もかもを受け入れたくなる。もっと自分を奪って欲しい。もっと自分を支配して欲しい。

 何度絶頂を迎えたか数え切れない。

 絶頂は終わりではなく次の始まり。

 淫らな交わりがこんなにも素晴らしい物だったとは。自分が知っていたのは頂を仰ぎ見る麓に過ぎなかったらしい。

 

 

 

 もしもティアに理性が残っていたら、こんなことはあり得ないと断じていた。

 出したら終わりの男と違って、受け入れる性である女には奥深い物があるのは確か。だとしても、際限なく高まっていくわけがない。

 それこそ違法な媚薬を嗅がされたかのよう。

 

 あり得たかも知れないティアの推測は的を外れ、媚薬などは使っていない。

 精神を弛緩させ多幸感をもたらすライラの粉末を使ったとしても、曲がりなりにも元暗殺者であったティアが泣きながら愛を叫ぶことにはなりはしない。

 全てはこの男が自覚なくしたことだ。

 長い年月をラナーに奉仕して技を磨き、覚醒を果たしたサキュバスの寵愛を受けた。

 肉体のみならず高次元から精神すら愛撫するその技は、ナーベラルが看破したように心身へ及んでくる。性の何たるかを全く知らない幼い双子が、ただ添い寝しているだけで不可解な熱に浮かされるほど。

 それに加えてシャルティアとの競争。負けないために神に祈った。

 美神にして主神であられるアルベド様の名を汚さないためにも、絶対に負けられないのである。

 意気込みだけは十分だった。

 

 

 

「~~~~~~~~~~っ!!」

 

 ティアのあえぎは、もう声にならない。

 泣いているようにも叫んでいるようにも聞こえる。

 

「ぁ………………」

 

 掠れた声を最後に、弛緩した。

 中で出された。

 どぴゅどぴゅと噴き出る熱い精液が子宮口を打ち、体の中も精神の真芯も、真っ白に染め上げられた。

 呆と開いた目は天井を映し、精神は深い海を漂っている。

 下半身はピクピクと痙攣し、膣は蠕動して精液を奥へ奥へと導いた。子宮に届いた。

 

 

 

 ▼ ▼ ▼

 

 

 

「ふう……」

 

 一息ついて男が離れる。

 忘我の向こうにいるティアの体は緩んだままで、開ききった膣口から白濁した粘液がとぷりと溢れ、床の上へと滴った。

 ティアの真下は、失禁したかのように濡れている。

 

「ジュネ、ソリュシャンを呼んできてくれ」

 

 ジュネが扉の向こうへ消えてから、ミラがティアの髪に絡むリボンを回収する。

 白かったリボンはピンク色になっていた。

 衣服を整えてリボンを仕舞おうとしたのだが、仕舞う場所にとても困るエロ衣装である。とりあえずはリボンを小さく丸めて畳み、手のひらに隠し持つことにした。いずれシャルティア様の許可を得て、衣装に小物を入れるポケットを付けてもらおうかと考える。

 吊されている女は、目を開いているので意識はあるらしい。しかし、顔を覗かれているのに反応しない。遠い世界に行ってしまって、まだ戻ってこれないようだ。

 

「これは……墜ちたようですね」

「ミラ」

「はっ!」

 

 涙を流して愛してると何度も叫び、自分が何者なのかを忘れる深い絶頂を与えられた。これは成ったと思ったのだが、冷たい声に背筋が凍った。

 ご主人様の目は、馬鹿を見る目ではない。利口だと思っていた者が馬鹿だったと気付いた目。失望している目だ。

 

「俺は誰と競ってる?」

「シャルティア様でございます!」

「覚えてるようだな。シャルティア様が相手だというのに、こんな簡単に終われると思うか?」

「仰る通りでございます。シャルティア様の調教スキルはSランクであると申し上げたのは私でございました!」

「わかってるなら軽々しいことを言うな」

「申し訳ございません!」

 

 何とかお許しを得たようである。

 

「終わったのですか?」

 

 ジュネを付き添いに、ソリュシャンがやってきた。

 

「さわりだけね。ソリュシャンにはティアを綺麗にして欲しいんだ。俺がアルベド様から授かったお力は精液が残ってると使えない。膣内なら何とかなっても子宮の中はどうにもならない」

「………………お兄様は私をなんだと思っていらっしゃるのですか?」

「それは……」

 

 便利な掃除係と答えたら不味いことくらいわかった。

 

「いずれ俺の妻になってくれる美しい令嬢、かな?」

「賜りました♡ 石ころ冒険者で大して綺麗でもない強くもない取り柄もないこんな女にお兄様の子を孕ませるわけに参りませんもの。お兄様の精液は一滴残らず吸い取って差し上げますわ」

 

 よっしゃ勝ち確ユリ姉様ルプーにナーベラルごめんなさいお兄様は私を妻にと仰いました♪

 

 ティアは痛い思いをすることなく、ソリュシャンにきれいきれいされた。

 ソリュシャンが上に戻り、ジュネの目が逸れるのを見計らって、もう一度ティアの髪の中に白いリボンを結びつける。

 

「夕食までに5回、は大変だから3回やる。俺は見てるから、今度はジュネがやってみろ」

「ヤヴォール、マイスター。ですが、意識があるか怪しいです」

「始めたらちゃんと反応するよ。そうだろ、ミラ?」

「……はい。例え意識を失っていても肉体は反応し、ご主人様を求めることでしょう」

 

 何度も実験されたミラである。

 

 

 

 ミラが遠回しにここまででよいのでは、と進言したのは、まさかティアの身を慮ったのではない。人間の女など生きていようと死んでいようと構わない。

 しかし、やりすぎたら壊れてしまうのではないだろうか。

 壊れてしまったらシャルティア様との調教競争で負けとなってしまうのではないか。

 そう思ったわけだが、ご主人様の視野は狭く近視眼的だった。

 せめて理由も含めて進言していれば聞く耳を持ったろうが、そこまで言える度胸がなかった。ルプスレギナに脅されていたのである。

 

『おにーさんは怒るとかなり怖いっすよ。どんな手を使っても絶対に破滅させてやるって覚悟満々になるっす。ミラなら絶対にやらないと思うっすけど、おにーさんの前でアルベド様の批判は絶対に絶対に本当に何があっても絶対にやっちゃダメっすからね。……終わるから』

 

 アルベド様が絡まなければとても温厚なのだが、ルプスレギナによってご主人様には怖いところがあると刷り込まれてしまった。

 

 人間の女の味方をするのはごめんこうむるミラであるが、ご主人様の未来を思って、せめて自分くらいはティアの身を案じることにした。

 案じるだけで具体的に何かするかはわからない。

 

 ティアはもう同じところへ帰れないが、素晴らしい未来が待っているかも知れなかった。




次回、聖母アルベド
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