最近ソリュシャンがとても鬱陶しい。
「うふふ、お兄様。お・に・い・さ・ま♪ お兄様が淫らな夢でうなされて苦しまれる前にソリュシャンが楽にして差し上げますわぁ」
ソリュシャンの中では既に貸し借りゼロ。損益分岐点を越えてボーナスステージに突入。命の泉に口を付けてこっそり摘まみ食いするのは悪いことかもしれない。しかし泉から命の素が溢れこぼれて無駄になってしまうのはとても勿体ない。アインズ様も時折勿体ないと呟かれて倹約精神を発揮されるのだからナザリックのシモベであるソリュシャンもそれに倣わなければならないのだ。
「昨夜もあんなに私の中でお出しになったのにもうこんなに。夢の中には私も出てきましたか? 夢の私と今の私、どちらがお好き?」
朝一で人のベッドに潜り込んでくる。ベッドの傍らにはスケスケのネグリジェが落ちている。
男の夜着はナイトガウン一枚で腰紐を解いて前を開けば全裸と変わらない。
「っ!」
逸物が暖かいもので包まれる。薄手の毛布は腰のあたりで大きく丸く膨らんで、耳を澄ませばじゅぷじゅぷと水音が聞こえてくる。
響きわたること数分。解き放つ快感とともに襲ってくる虚脱感。
しばらくして、全裸のソリュシャンが毛布の下から現れた。いつも張り付けている美しい笑みは輝かんばかり。
「お兄様の今日最初のファーストショット、とっても濃厚で美味しかったですわ♡」
精液を飲み込んでも完全に吸収するのか、口から精臭を漂わせることはない。甘く芳しくとても良い匂いがする。ちゅっとキスをするついでにたっぷりとソリュシャン汁を飲ませて唾液をすすって、朝食の時間になるまでお兄様に女の体の柔らかさを存分に堪能してもらう。その間にもう一度大きくなってしまったらこれはもう仕方ない。お兄様ったらとってもお元気なのねと微笑みながらもう一度。
ソリュシャンお嬢様から遠慮がなくなったのは夢精がばれたからです。
お兄様が夢精をしてしまうほど悶々と溜めてしまったなんて私の不甲斐なさが全ての原因です。これからは私が責任をもってお慰めしますわ。
と言う大義名分をもって堂々と、それでも流石にメイド達の前では控えて摘まみ食いをするようになりました。例えアルベド様がいらっしゃっても丸一日でフル装填可能なら数時間休んでいただくだけでご満足なさる十分な量を確保できるのです。もちろんソリュシャンは抜かりなくそのことも確認済みです。
こんなことになったのもシクススがぬちゃあとしたパンツを回収してくれず多数の目に触れてしまったからであり、人の口に戸は立てられずメイドネットワークにより全員の耳に入ってしまったからであり、当然のようにソリュシャンにも知られてしまったからである。
全てはシクススのせいである。シクススのバカもう知らない!
メイド教官は日替わり制。数日おきにシクススがやってくる。
「ちょっと触っただけでもうこんなにして……。どうして若旦那様はこんなに節操がないんですか?」
物陰に押し込まれ体を密着されながらたっぷり30秒も優しく股間をもみもみされればその気がなくても立ってしまうのは男の性。手だとこの前みたいにエプロンを汚してしまいますからと言ってその場に跪き、ズボンを下ろして跳ね出た逸物を口に含む。
口が塞がれているからか頭を撫でても文句は出ない。長い金髪をかきあげ耳を撫でる。耳たぶはふにふにで柔らかい。頭の振り方が激しくなる。たっぷり10分は口淫を続け、吐き出されたものはさもイヤそうに渋面を作って全て飲み込む。
「私が教官当番の時はぬきぬきしてあげますから他の子には手を出さないで下さいね」
色々とシクススのせいだけどシクススは優しいようでやっぱり厳しい。
にっこにこしているソリュシャンとお茶をしてふうと一息吐けば、
「私が仕事している横で覇気もやる気も何もない怠そうなため息を吐かないでいただけますか? そんなところを見習いの子達に見られると士気に関わります。どうか人目につかないところに引きこもっていて下さい」
「………………はい」
シクススはとても厳しい。憂鬱なのはシクススのせいなのに。
シクススのせいで夢精してしまったのが知れ渡ってしまった。そのせいでメイド達が「若旦那様は……夢精されてしまったのですか?」と頬を赤らめながら訊いてくる。人並みの羞恥心は捨て去ったと思った男だが、年若い少女たちからそのようなことを何度も訊かれるのはカリカリと精神を削られる。
しかしそれは理由の一割。真の理由はアルベド様である。アルベド様がいらっしゃらなくなった。
ここ数回は長居されたが短いときは10分足らず。お忙しい時は数日空く時があったが今回はそれ以上の日数が空いている。たった10分の時間もとれないほど忙しい期間がこれほど続くことはかつてなかった。ソリュシャンやメイド教官達から伝え聞くところによるとナザリックや魔導国の運営では何の問題も生じておらず全ては順調であるらしい。にもかかわらずお出でにならない。
考えたくないことだが、アルベド様は足を運びたくないと思っているとの結論が出た。
原因は間違いなく前回の訪問。満足させよとのご命令に誠心誠意応えた。ご満足なされたと感じたのだが直後に帰還。何かが不味かったようである。
指の使い方が荒かったのだろうか。激しくではなく、口中のあめ玉がゆっくりと溶けていくようなやわらかさを望まれていたのだろうか。王城を離れてから女性器に触れたのは初めてだったため勘や感覚が鈍ったのかも知れない。
練習したいと思ったが相手がいない。
メイド、全員不可。シクスス、おっぱいまで。ソリュシャン、お兄様は私の体の隅から隅まで触ってはいけないところはどこにもありませんのよ、なのだけど中身はスライム、全くあてにならない。
はあとため息を吐きながら虚空に手をかざし、エアペッティングに励んだ。
アルベド様の食餌と言うことで特別な立場であり一応はお屋敷の若旦那様。けどもヒエラルキー的にはソリュシャンはもとより一般メイドのシクススより下。現地で雇ったメイド達よりは何とか上。しかしアルベド様のご飯という立場がなくなれば要らない子である。
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部屋にはナザリックのシモベだけ。メイド達は仕事へ駆り立てられた。
「ソリュシャン様……。若旦那様のあれはわざとやっているのでしょうか?」
苦いを通り越して忌々しいと言わんばかりのシクスス。
「それはないと思うわ。アルベド様がお兄様を見つけたとき、右目を除いて面貌の全てが醜く灼き爛れていたそうよ。火傷を負ったのが約10年前。自分がどのように見られているのか全く自覚がないようね」
笑みこそ美しいが微動だにしないソリュシャン。それなりの付き合いがあれば内心面白くないであろうと察せる。
彼の顔が灼かれたと聞いてシクススは眉間にしわを寄せ、はあと色々吐き出した。
「若旦那様の物憂げな様子に見とれている子が多くて困ります」
「お兄様はお顔がとても整っていらっしゃるから。私から見てもそう思うもの。ナザリックには私を含めて美しい女は多いけれど美しい男はいないし」
ナザリックに人の形をした男自体が少ないのもある。セバス様は渋い。デミウルゴス様はジャンルが違う。マーレ様は100年後に期待。アインズ様はとっても偉大なのだけどお骨である。
「人間の女たちが見とれるのも無理はないわ」
「……ソリュシャン様は若旦那様を高く評価していらっしゃるのですね」
「脆弱な人間だけれどアルベド様への忠誠心は本物よ。アインズ様の偉大さもよくわかっている。隔意を抱く理由はないわ」
それにとっても美味しい方ですし、との言葉は口に上らなかった。
「左様ですか。その他にも例の件以降、お相手いたしましょうかと言う子もいます。若旦那様は全く気付いてないみたいですが」
例の件とは夢精の件。お相手とは夢精しないようにすっきりさせましょうかとの申し出である。
「それどころかからかわれていると勘違いしてるようです。顔を赤くして困っている様子がとっても可愛らしくて♡ 止めない私も悪いとは思うのですけど」
「あら、そうなの? 私と一緒に本を要約しているときはとても真剣なお顔よ♡ 報告に上げた文書はとてもよくまとまっていてセバス様にもお褒めいただいたわ」
「………………」
「………………」
静寂が降りることしばし。
「お兄様が恥ずかしい思いをなさらないように私がお慰めしないと」
「若旦那様が見習いの子達に惑わされないように私がお鎮めしないと」
「…………え?」
「…………え?」
真っ正面からぶつかり合う視線と視線。
ソリュシャンとシクスス。ショゴスとホムンクルス。どちらも目から光線を撃てる種族ではない。そもそもそんな種族はいない。
だと言うのに、視線がぶつかる空間は何者も存在できないキリングフィールド。
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ソリュシャンにメッセージの魔法で伝言があり、膠着は途切れた。
あるお方が来訪の意を伝えられた。
遊んでいる場合ではなく、お迎えの準備をしなければならない。
現地で雇ったメイドは使えず、ナザリックに縁あるメイドだけで準備する必要がある。
その前に追い払われたお兄様を引っ張り出さなければならない。まだぼんやりしてるようなら腕の一本や二本溶かして気付けを行うのも止むはなし。
デミウルゴス様がいらっしゃる。