それは表現の範囲と言うことでお一つと言うのからこんなん読み返しても絶対気付かんというものまで
ありがとうございます(ペコリ
ナザリックツアーは順調である!
とりあえずナザリック第九階層ロイヤルスイートは物凄く広い。
アルベド様の執務室を始めとして、会議室となる円卓の間などのナザリックの運営に必要不可欠な機関。二度連れ込まれた衣装部屋の他にレストランやショットバーやスパリゾートにシアターに劇場に教室にクイズルームとかまで来ると訳が分からないが幾つもの娯楽施設。アルベド様からメイドたちの居室に、今やお隠れになった至高の御方々の私室。
兎にも角にも物凄く広い。栄華の限りを尽くしたコンパクトシティーと言った様相である。
それらの施設を一つ一つ見ていくのは時間的に不可能なので、通りを歩きながら簡単に説明してもらう。
レストランだけには寄らせてもらった。夕食は済ませているが、美味しい物は別腹である。
オーダーしたのは骨髄のスープ。料理長の話によると、ドラゴンの骨からとったブイヨンに、コクを足すために骨髄を用いているとか。バゲットも供された。割と強めの歯ごたえなのに中はもっちりしっとり。そのまま食べてよし、スープに浸して食べてよし。どちらもシンプルに見える料理だからこそ、素材の良さと調理の腕が光る絶品である。
そしてついと、聞きたかった事を聞くことができた。
「オーガの骨髄を使用した料理は作ったことがありません。作る予定もありません。どうしてそんなものを食べたがるのか理解出来ません。他に美味しく食べられる物が無数にあります」
「他に食べる物がなかったら食べるしかないのではありませんか?」
「そんな事はあり得ません。様々な食材を扱ってきた経験から断言します。絶対に美味しくありません。率直に言えば間違いなく不味いです」
けんもほろろであった。
たまたま居合わせたメイドたちがくすくすと笑っている。そしてイバルが背を見せるとぶふっと吹き出す。
どうして笑っているのか不思議な顔をするイバルに、威張るんじゃないぞと注意してから移動する。
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第九階層からとてもとても広い階段を下ると第十階層。
一度だけ入ったことがある玉座の間や、パンドラズ・アクター様の守護領域である宝物殿がある。後者については、案内することは愚か移動方法すら秘密であるとのこと。
どちらにもさして興味がある男ではなく、第十階層の目当ては蔵書数無限の最古図書館だ。
前回借りた本は、司書長のティトゥス様から返却期限内の返却を求められたため、遊びに来たアウラ様に持って行ってもらった。
とりあえず飛ばし読みしてしまった
42巻から61巻まで借りて行きたいところをぐっと我慢してきりが良い50巻までにする。残りは数学読本を数冊。最近は円周率の計算に凝っているのだ。
円周率は真円の円周を直径で割った数値である。これだけ聞くと円が関わる時しか現れない数値に思えるが、何故か様々な計算方法がある。幾つかの計算式を編み出して、それぞれ50桁以上を算出してみた。
以前借りた数学事典には20桁までしか載っておらず、計算結果を確かめたかった。自分が編み出した数式以外の計算方法にも興味がある。
集合論も気になってる。自分の頭の中にだけあると思っていた考え方が、偉大な先人の手によって確たる理論になっているのだ。新たな知見を得たくもあり、己の考えは間違っていなかったのだと自信にも繫がることだろう。
貸し出し限度数までの残りは、近くの書架から適当に抜き出した。
ずっしりと重い本をイバルに持たせ、貸し出しカウンターへ。ここでティトゥス様から少々お小言を頂いてしまった。
なお、ティトゥス様はお骨であるため、イバルの姿を見てもイバルの背中を見ても、表情は変わらなかった。
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借りた本は帝都へ帰る際に受け取ることにして、ナザリックツアー再開である。
「……上にも行くんですか?」
「ええ、勿論。シャルティア様の守護階層まで案内してもらうつもりです」
アルベド様のお顔を拝見できた。
オーガの骨髄料理については残念だった。
最古図書館で本を借りることができた。
アルベド様の次に重要なのは、仮装してるシャルティア様を多数の目に触れさせることであって、これについてはナザリックにて人口密度が特に高い第九・十階層を練り歩くことで目的を達した。
後はもうおまけである。折角だから、と言う奴だ。折角なので、時間が許すなら前回のリベンジと思わなくもない。
「第八階層は原則立ち入り禁止です」
第九階層の高い天井を透かし見る。赤と白の装束を着た少女を幻視した。
「私が立ち入りを許された場所だけで構わないよ」
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と言うわけで第七階層へ。
第七階層はデミウルゴス様の守護階層「溶岩」である。名前に相応しい灼熱の地だ。ペストーニャ様から頂いたブレスレットがなければ、即死はしないだろうが十分と生きないだろう。
生憎、デミウルゴス様は聖王国へ出張中。アインズ様とのハードダンスがいよいよ佳境とのことで、配下の悪魔たちも相当数が出張中。
顔見知りとなった悪魔が数名いたので、威張らないイバルは今日だけの命と紹介する。
アルベド様の相談役に抜擢されたのは身に余る光栄であり全身全霊全命を掛けて尽くす所存であるがデミウルゴス様のお側に仕えるのも憧れる、などと軽い雑談。
悪魔たちがちょっと悪そうに笑う。今は威張らないイバルに扮したシャルティア様がいるので不可能だが、機会があったら試してやろうと画策。彼ら彼女らにとっては期待はずれなことに、グロ耐性抜群の男である。主に自分の体を犠牲にして鍛えられた。その上、冷凍保存された王国民を見て「衛生的」と感心する倫理観を持っている。
再会を約束してさらに上層へ。
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第六階層はアウラ様とマーレ様の守護階層「ジャングル」。以前、マーレ様に連れてきてもらった事があった。
ナザリックにて一番広い敷地面積を持つのは伊達ではない。円形闘技場にリザードマン達の村やドライアドによる果樹園など、見所はいっぱいある。それらは全部パスして、アウラ様とマーレ様の住居であるツリーハウスへ。
「あっ、お兄ちゃん!」
「マーレ様!」
マーレが男に飛びつき、抱き上げられたと思ったら上に放り投げられ、男の肩に着地と言うか着股。肩車完成である。マーレ君とは何度も合体しているのだ!
「二人とも部屋の中で肩車しない!」
「「……はい」」
お姉ちゃんに怒られてしまった。
ナザリックに訪問したのは夜であったため、アウラ様とマーレ様はお仕事から戻っていた。勿論、皆がナザリックに戻っているのを見越して昼間ではなく夜を選んだ。
「こっちは私を案内するためにシャルティア様が召喚したインスタントヴァンパイアガールのイバルです。威張っちゃ駄目だぞ」
「はい、威張りません。イバルです」
「シャルティアが召喚?」
直立不動のイバルを、如何にも胡散臭いと言いたげなアウラが前から後ろからぐるぐる回って見定めようとして、激しく咽せた。
「まっ、まっまっ、まぁいいんじゃない? 威張らないイバルね。まあね」
アウラの声は裏返っていた。
純粋無垢なマーレ君は、シャルティアさんはシモベを召喚出来るんだと感心している。純粋である。
「ちょっといい? 時間とらせないから」
アウラが男だけを別室に連れ込む。
バタンと音を立ててドアを閉め、大丈夫だろうけど一応施錠。
「最近ちょっと練習してるんだ」
「練習ですか? 何の練習でしょう?」
「えへへ……、口とか舌の使い方。ちょっと上手になってきたと思うよ?」
大人びていてもまだまだ子供のアウラちゃん。
こっそり練習して巧くなって驚かせたくもあるが、練習を頑張っているのを褒めてももらいたい。乙女心と子供心のせめぎ合いは後者に軍配が上がった。
「そんな練習は必要ありません」
「…………なんで?」
褒めてもらえると思ったのに、練習の必要性すら否定。
聞き返すのに数秒の間があった。
「アウラ様にそのようなことを求めておりませんから」
「……へえ?」
アウラの目が危険に細まり、声からは温度が消えた。
あなたの為に頑張ってるのに、そんな物は必要ない、求めてすらいない。つまりはそう言うこと。
男への情が裏返る。
アルベドの相談役なので殺すことは出来ない。しかしもう、顔も見たくない。
部屋から、ツリーハウスから、第六階層から叩き出そうとして、
「お気持ちは大変嬉しく。ですが、私は自分が悦ぶよりもアウラ様に悦んで頂きたいのです」
「…………………………うん」
上げて落として、最初より高いところに引っ張り上げられた気分である。
アウラの頬が染まる。男を直視できず、目が揺れている。
「練習したいと仰るなら私として頂けませんか? こう言っては不遜かも知れませんが、育てる喜びと言う物もあるのです。作物を栽培していると言うドライアド達も共感してくれると思いますよ」
開発して自分色に染める喜びとも言う。
「それと、これは以前シャルティア様のお付きの方々にも申し上げたことなのですが、一番大切なのは技術よりも気持ちです。尽くす相手のことを思い、どうすれば悦んで頂けるか考えることが重要なのです。アウラ様のお気持ちは大変嬉しく思いますよ」
「……べ、べつに……そんなんじゃないんだけど……。あっ!」
「折角練習したというのなら、少しだけ味あわせていただけませんか?」
「…………………………いいけど。んっ……あむぅ……」
男の腕がアウラの小さな体を抱き寄せる。
身長差が大きいので立ったままでは出来ない。手近で座れる物はアウラのベッド。
ベッドに座った男の膝をアウラが跨ぎ、それでも少し距離があるので腰を浮かせた。
アウラは男の頬を両手で包む。男の手はアウラの背中と小さな尻に。夜が深くなっているのでアウラもマーレもパジャマ姿だ。厚いズボン越しではわからなかったろうが、パジャマの薄い生地だと下に穿いてる下着の線を感じ取れた。
アウラの舌に応えながら、薄い尻をさわさわと撫でる。
「んぅっ♡ んっ……ん…………」
背中に当てた手はパジャマの内側へ入り込んで背筋を撫でた。ぷにぷにと柔らかい幼い肉は好い感触で、子供特有の高い体温も心地よい。
二人が部屋から出てきたのはそれから五分後。
アウラは赤くなった顔を隠すために浴室へ駆け込み、冷たい水で顔を洗った。
長時間こもってると怪しまれるので下着は換えられない。触られたのは尻と背中だけだったのに、キスだけで好くなってしまっていた。
「このような時間に失礼いたしました。機会がありましたらまた伺いたいと思います」
「僕たちがいる時ならいつでもいいですよ。お姉ちゃんもいいよね?」
「まあ、いいけど。今度は明るい時間にしてよ。見せたいところとかあるし」
「かしこまりました」
エルフメイドたちに睨まれながらツリーハウスを後にした。
「アウラと……」
「アウラ様。今はイバルなんだから威張っちゃ駄目だぞ」
「アウラ様とどんな話をしたんですか?」
「シャルティア様のお付きにしたのと同じ話だよ」
「ふーん」
アウラはシャルティアとの訓練の中止を決断。
シャルティアは大人アウラとのレズックスの機会が失われたことを、今はまだ知らないでいる。
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「ドウイウ了見ダ貴様アァッッッ!!」
「先の展開がどうしても気になってしまったのです! ドラゴニオの清々しいまでの悪逆非道、精妙にして無敵のラウンドムーンキリングテック。今度は何万人斬り殺すのか先の読めぬ息も吐かせぬ怒濤の展開。だからこそコキュートス様も魅了されたのではありませんか?」
「グギギ……、相変ワラズ口ガ上手イ男ダ。シカァシ! 先ノ展開ヲ口ニシタラ絶対許サヌ!」
「はっ、かしこまりました!」
コキュートスもネタバレ否定派であった。
第五階層はコキュートスの守護階層「氷河」である。例に漏れず氷河も広い。散策するだけで楽しいだろうが、一直線にコキュートスの元へ向かった。先ほど訪れた最古図書館にて、ティトゥスから「連続小説を飛ばし読みしたことをコキュートス様が気に掛けておられた」と伝えられていたのだ。
コキュートスは余程気に障っていたようで、男の顔を見るなり大いに吼えた。
しかしそこは同好の士。わかってもらえたようである。
「アインズ様ガ開眼為サレタト云ウラウンドムーンキリングテックヲ越エル剣術ノ秘技。貴様ハ何カ知ッテイルカ?」
男の顔が、ふふんと得意げになった。
「先だって帝都にご訪問なさった時に少しだけ開示していただきました。アインズ様はモモン様として振るわれるブレイドテックにモモンズブレイドアーツの名を与えるそうです」
「オ、オ、オ! モモンズブレイドアーツ……、何ト格調高イ響キデアルコトカ! ドノヨウナブレイドテックナノダ?」
「それは私の口からはお話しできません。アインズ様はもうじき聖王国からご帰還為されると聞き及んでおります。アインズ様ご自身からお聞きになるべきでしょう」
「グヌヌ………………! 少シクライ良イデハナイカ」
「そう言うわけにも参りません」
「ソコヲ何トカ!」
「アインズ様からお見せ頂いた方が感動も大きいかと」
「グウウウ! 確カニ…………」
真面目なカタナテックの話であっても、知らない者が聞けば単なるオタク談義と変わらない。
威張らないイバルとコキュートスの親衛隊の如き雪女郎たちを置き去りにしてしばし話し込み、一段落ついたところでナザリックを訪問した目的を話す。メインは威張らないイバルの紹介だ。
「辛イ事ガアルカモ知レヌ。シカシ、イツカ良イ事モアロウ」
「?」
コキュートスはイバルの肩に優しく手を置いてしみじみと語った。
ヴァーミンロードの凶相にも関わらず、コキュートスはナザリック内で相当に善良なのである。
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第四階層は、いつぞやシャルティアの元から逃げるときにマーレ君に手を引かれて訪れたことがあった。
「地底湖」である。名が示す通りに大きな暗い地底湖が横たわっている。とても静かでデートスポットに最適だろうが、多分おそらく見えないところにモンスターが配置されていると思われた。
「地底湖にはガルガンチュアが沈めてあります」
威張らないイバルの説明によると、とても大きなゴーレムであるらしい。
ゴーレムと来ればお城を守るものだが、このゴーレムはお城を攻めるための物だとか。
ガルガンチュアは階層守護者であるらしいのだが、基本的にずっと地底湖に沈めたままであるようだ。
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そしていよいよナザリック上層部、シャルティアの守護階層である「墳墓」にまでやってきた。
第四階層から第三階層に上がると静謐な地下聖堂に出る。外にはボロボロの吊り橋があって、これを渡り終えればシャルティアの住居である屍蝋玄室に到着する。
男はポンとイバルの背を叩いて先を促すように見せかけて貼り紙を回収。くしゃくしゃに小さく丸めて口の中に放り込んだ。証拠隠滅である。
「シャッ……」
「こちらはシャルティア様が召喚したインスタントヴァンパイアガールのイバルです。名前はイバルですが威張りません。今日は私にナザリック内を案内してくれています。あと数時間で消滅してしまうそうですが、それまではよろしくお願いしますね」
「そ、うですか……。わかりました」
さすがにシャルティア直属のシモベであるヴァンパイアブライドたちは一目でシャルティアの仮装を見抜いた。
「歩き通しで疲れました。休ませてもらえませんか? イバルも休みたいだろう。威張らないように答えるんだぞ」
「はい、休みたいです」
シャルティアの言葉ならヴァンパイアブライドたちは拒否できない。
とは言ってもシャルティアの私室を使わせるわけにはいかない。シャルティアは変装しているつもりらしいのだ。
威張らないイバルの反応を伺いながら応接間はどうかと提案した。
階層守護者であるシャルティアが賓客を迎える応接間はとっても豪華。
豪奢なソファの向かいに肘掛け付きの椅子を移動させ、威張らないイバルを座らせる。
男はジャケットから赤い紐を取り出し、軽く振ればチリンと涼やかな音。鈴付きの紐をイバルの両手首に結び付けた。
「イバルはもうすぐ消滅してしまう。これが最後になるから、そこでこれから起こることを動かないで見ているように。威張るんじゃないぞ」
「はい、わかりました。威張りません」
今日だけで三十回は威張るんじゃないぞと言われてきたイバルは素直だった。
「手が空いてるヴァンパイアブライドの皆はどれくらいいるかな? 多分交代で階層内を警邏してるのだろうから、良かったら警備シフトを教えて欲しい。全員の時間を少しずつ捻出したいんだ」
イバルが頷くならヴァンパイアブライドたちに否はない。
警備の話はシャルティアがしたかった事でもあってちょうど良かった。
聞かされた警備シフトを男はパズルのように組み直し、と言ってもヴァンパイアブライドたちのほとんどはシャルティアの世話もあって屍蝋玄室内にいるようだ。あっさりと終わった話にイバルが、シャルティア様が警備についての話をしたがっていた、と話すのを男は快く了承。
話を通したヴァンパイアブライドが部屋の外へ出て間もなく、ぞろぞろと多数のヴァンパイアブライドが中に入ってきた。顔ぶれは前回と変わらない。減ったり増えたりはしてないようだ。
広い応接間でも47名は多すぎる。ソファーと威張らないイバルが座る椅子を取り囲むように、所狭しとヴァンパイアブライド達が整列した。
仮装してるシャルティアに皆が目を剥き、男が軽く紹介する。
シャルティアの仮装をシャルティアのシモベたちに見せつけたくて集まってもらったわけではない。
リベンジである。
「俺が前回ここを訪れた時は疲れもあって不甲斐ない姿を見せてしまった。だが、今回は違う! 今回こそ最後の一人までやり抜く。これは命令でもお願いでもない。俺からの提案だから拒否したい者は元のところへ戻ってくれて構わない。イバルは威張らないように見ているだけだから気にしなくて良いよ」
「私は見てるだけ!?」
「見てるだけ。手を動かしたら鈴が鳴るからすぐにわかるぞ。わかったな?」
「わかりん……、わかりました……」
「と、言うわけだ。どうだろう?」
「「「「「是非お願いいたします!」」」」」
47名全員が見事に声を揃えた。
同僚と、そして勿論シャルティア様と。互いに愛し合うのは日課であるが、一度だけ堪能したこの男はやはり別格。あれは好かったと話すことも希ではない。
肝心要なシャルティア様は何故か滑稽な仮装をして見てるだけであるらしい。多分おそらく、内心を荒れさせて睨まれる。それもまた良いスパイスと思えるくらいにヴァンパイアブライドたちは高レベルであった。シャルティアの愛妾を勤めているのは伊達ではない。シャルティアがシモベを大切に扱うようになってきたからこそ甘えられるのである。
「この前は一人ずつだったけど今日は三人ずつにしよう。順番はイバルの真後ろの君から時計回りに。全員の名前は知らないけど、顔と立ってる場所は覚えたから前に割り込んだりしないように。もしも順番を交代したいなら今のうちに。……今の順番でいいようだな。それじゃ早速始めよう。……来い」
「「「はい♡」」」
「うぎぎ…………」
威張らないイバルの前で乱交が始まってしまった。
かつて己を消耗させ尽くした苦難に自ら身を投げ入れるのは愚行に思えるが、100%以上の勝算があった。
前回は、前夜にアルベド様からたっぷり絞られたのは、その後死んで復活して瀕死になって回復して瀕死になって回復して顔を吹っ飛ばされて回復したので体力万全になったが直後にシズちゃんに監禁された。
ベッドに縛り付けられ何時間も好き勝手に弄くり回され挙げ句に「どうかシズ様のお体に射精させてください!」と惨めったらしく懇願させられたのは屈辱の記憶である。いつか復讐してやろうと思っている。
その後は夜まで休めたわけだが、ぐっすり眠れたわけでもないので体力満タンとまでは言えなかった。
今回は、朝方はいつも通りソリュシャンにちゅぱちゅぱされた。けどもそれから夜に備えてたっぷりお昼寝したので万全である。
その上、ナザリック最下層から歩いてここまで来たのに、不思議なほど力が滾っている。おそらく、魔法的な加護を与えられているのではと推察した。
男の想像通りである。魔法的な加護は、ロイヤルスイートのレストランでの食事で与えられた。ナザリックで供される食事には一時的ではあるが魔法的効果があるのだ。
レストランで食べたドラゴンスープとバゲットには、体力向上・疲労軽減の効果があった。ナザリックツアーに赴くなら長時間歩くことになるだろうと察した料理長による厚意である。
威張らないイバルに動くんじゃないぞときつく命令したので、シャルティア様御乱入がないのも良い。
一番勝算を上げているのは、ジュネがいないことだ。
あいつはたった一人で、48名もいるヴァンパイアブライドの平均レベルを二つも三つも上げていた。まさに異常個体。とても重宝している。しかしシャルティア様からテックの研修として派遣された身分。先日両穴責めを覚えたので、そろそろ戻ってしまうかも知れないのは惜しい限りである。
広い応接間には、あっという間に淫臭が立ちこめた。
男によがらされている最初の三人が乱れるのは当然として、今回は前回と違って動かないように命じられているのは椅子に座るイバルと言うかシャルティアだけ。
ヴァンパイアブライドたちは繰り広げられる乱交に胸も股も熱くして、自分を慰める者がいれば隣と愛撫しあう者もいる。
エロ衣装の如き白いドレスは胸も股も大いにはだけ、白い女たちの淫らな海と言った様相だった。
三人同時なので前回より効率がいい。
挿入している間も両手は二人をよがらせて、口はどちらかを貪っている。
それぞれの順番が回ってくる時には自慰によって出来上がっているので、すぐに始められるのも時短に繋がる。
それでも47名はやはり多い。時計の長針がくるくる回る。
時間を見て、半周に一度は射精した。口に出す時があれば中に出す時も。口の時は出された女がごっくんしてしまうが、中に出した時は蜜に集る蜂のように、女たちが群がって啜っていた。
啜られる方は腰が抜けていて、抵抗するどころではないようだった。
頻繁にチリンチリンと鈴が鳴る。
目の前で凄いことを見せられて、我慢が出来ないらしい。動くなと命じると、でもでもと反論してくる。その度に威張るんじゃないぞと叱りつける。ぐすんと涙ぐむシャルティアの前でヴァンパイアブライドに咥えさせる。
その間にも前から後ろから豊満な乳房を押し付けられ、返礼とばかりに尻を揉んでやった。
今日はアルベド様のお顔を拝見できたのだ。アルベド様のご加護が宿っているに違いなかった。
始めたのは日付が変わる頃だった。
前回より時間を掛けたが、日の出までまだ二時間はあるだろう。
合計で九回も出してしまった。もしも女の体が欲しいだけだったらこんなにも頑張れない。体力と精力が保っても絶対に途中で飽きる。
ここまで来れたのは、これが単なる乱交ではなく、男のプライドを掛けた決闘だったからだ。
床の上には12名のヴァンパイアブライドが倒れている。胸や尻をあらわにして、股は小水を漏らしたかのように濡れている。
前回、力尽きてちゃんと相手をしてやれなかった者達だ。そのため、今回は前回の分も合わせてたっぷりと愛してやったのだ。
特に、一番最後は三人ではなく二人だったので両方に挿入してやった。とても悦ばれたようだ。他のヴァンパイアブライドたちが羨望の目をしていたのが印象に残っている。
「勝った……!」
満身創痍ではあるが、自分の足で立てている。
男はプライドを取り戻し、ヴァンパイアブライドたちは大いに悦んだ。
シャルティアだけが、目に涙を溜めてギリギリと男を睨みつけていた。
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「イバルはそろそろ消滅してしまう。俺は見送りに行ってくるよ」
裸にジャケットだけを肩に引っかけて、仮装シャルティアを別室に連れ込んだ。
濡れタオルでささっと滑稽な化粧を落とし、カツラを外してから衣装に付けてる余計な装飾品を手早くはぎ取る。
それから分厚い面白眼鏡を外した。
この眼鏡は、付けると面白い顔になるだけではない。レンズが分厚いので像が歪む。それに加えて、赤系統の光を通さないようになっていた。
お屋敷の書斎の鏡は一つ残らず隠したが、ナザリックではそうもいかない。鏡の他にガラス窓など、姿を映す物は幾らでもある。シャルティアは吸血鬼だが、光に忌み嫌われて鏡に映らないなんて事はないのだ。
そこをどうにか押し通すための面白眼鏡である。赤系統の光を通さないのでまん丸頬紅やはみ出た口紅は見えなくなり、全身を飾り立てた統一感のない色彩も落ち着いた色合いに還元されてしまう。
像が歪むので自身のスタイルが面白いことになっているのもわからない。
それでは不自由すぎて動けなくなりそうなところ、吸血鬼の超感覚は視界が多少不自由でも何の問題もなかった。
「イバルは消えんしたから、次はシャルティアに色々してくれるんでありんすよね?」
ドレスを脱がされ下着姿になったシャルティアは、下着をぐしょぐしょにしていた。
手を動かせないので、鑑賞中はずっと太股をもじもじさせていた。ヴァンパイアブライドたちの痴態と嬌声にあてられて、何度も浅くイってしまった。
それで満足できるわけがない。今度こそ自分の番だ。ジャケットを羽織っただけの男の股間に、熱い視線を注ぐ。
「あれだけ威張らないように言ってきたイバルはいなくなりましたが、シャルティア様への一日命令権はまだ有効時間内ですよ。一日だけとは言え、今の私はシャルティア様のご主人様です。今日のシャルティア様からは、命令もお願いもされる謂われはありません」
「本当になしでありんすか!?」
「なしもありも……。さっきあれだけやったんですから立ちませんよ。申し訳ありませんが、お預けです」
「そんなぁ………………」
「私はシャワーを借りて体を清めてきます。後はヴァンパイアブライドの方達に頼みますが、いやらしいことをするのもさせるのも禁止です。シャルティア様にはもうしばらく禁欲していただきます。汗を流して着替えたらすぐに来るので、そんな事をしてたら絶対にわかりますよ」
「えぇぇぇぇえええぇぇぇえええーーっっ!! だってだってシャルティアのおまんこ濡れ濡れでありんすのにぃぃい!」
「禁止です。それとも? シャルティア様は? ご自分の言葉をそうも簡単に翻すのですか? 階層守護者のお立場なのに? アインズ様からの信頼を得ているのに?」
「ぐぎぎぎぎぎ…………………………。わかりんした……」
シャルティアはがっくりと肩を落とした。
男は宣言通りにシャワーを浴びて身を清める。
体を洗うのは前回と同じくヴァンパイアブライドたちがしてくれた。全裸で、おっぱいや股に舌を使って。たっぷり出したばかりなので反応しない。それでも彼女たちに落胆はないようだ。
唇は遠慮してるようでも、舐めて咥えたがるのは苦笑を誘われた。
手伝ってくれたお礼に、全員へキスを送った。
シャワーを終えて着替えてもシャルティアはまだお着替え中。
メイクの残りを綺麗に拭き取って、お股もさらさらタオルで綺麗にする。お顔と御髪を整えてから下着を替える。
ブラジャーとウエストニッパーが一体化したビスチェ。ガーターベルトは装備せず、ストッキングは太股で押さえるタイプのガーターリングを使用。
色はドレスに合わせた紫を基調としたもので、シャルティアの美意識が光った。
ビスチェのカップ部に胸パッドをいっぱい詰めるのも忘れない。
いつもだったらお喋りに花が咲いたり着替えに注文を付けたりと賑やかなシャルティアであるが、今日はお人形のように静かだった。
シャルティアの着替えが終わるのを見計らって、男が声を掛ける。
「それではシャルティア様、もうしばらくお付き合いをお願いいたします」
「……………………わかりんした」
充実のナザリックツアーは終了した。
後はもう帰るだけである。普通に帰るのならこのまま表層部に出ればいい。けども帰る前に最古図書館で本を受け取らなければならない。一旦第十階層に戻る必要がある。
直接第十階層には移動せず、二人は第九階層に降りたった。
「どこに行くんでありんす?」
男の足は第十階層への大階段とは反対に向かっている。そちらはメイドたちの部屋がある居住エリアだ。
小首を傾げながらも、男の長い足に追いつこうとシャルティアはひょこひょこ追いかけていく。
辿り着いたのはシャルティアも来たことがない居住エリアの一番隅っこ。白い大壁が聳えている。
「私の手を握ってください。良いと言うまで離さないように」
わけがわからなくても言われた通りに手を握る。
ずっと威張るなと言われ続けた成果が出てきたようだ。今のシャルティアにはちょっぴり素直になるバフが掛かっている。
男がその場に屈み、壁を構成する煉瓦の一つに手を触れた。
上上下下LRLRBA。
「これは!?」
転移の光が二人を包む。
光が消えると、シャルティアは見たことも聞いたこともない場所に移動していた。
▼
「シャルティア様はご存知ありませんでしたか? ナザリックに事あった際に避難するセーフティルームだそうです。シズさんに教えてもらいました」
「ナザリックにこんな場所が……」
シャルティアは呆然と周囲を見回した。
飾り気皆無の白く細長い部屋には、寝るためだけ簡素なベッドと白いボックスが何十と並んでいる。
部屋の一番奥には白い扉が見えた。
「向こうの扉はシャワールームとトイレに通じています。出口はありません」
「出口がない!? なっ……、それは!?」
シャルティアが身構えたのは、男がジャケットのポケットから取り出した物を見たからだ。
細工も美しい瓶に入っているのは神の血の如く赤い液体。ナザリック製ポーションである。もしも吸血鬼であるシャルティアに掛けられたらダメージ必至。幸いにもシャルティアの記憶にはないが、同じポーションを投げつけられて痛手を負った事があった。
自分に掛けるわけがないとは思うが、出口のない密室に連れ込まれそんな物を取り出されたら、警戒してしまうのは吸血鬼の本能である。
とっておきのポーションをシャルティアにぶっかけるなんて勿体ないことはしない。蓋を開けて中身を飲み干す。失った体力精力が一瞬で全快にまで回復。たっぷり出して虚脱しきった気力に活が入った。
実を言うと、ヴァンパイアブライドたちに負けそうになったら使おうと思っていたポーションである。負けはしないだろうが念のために用意してあったのだ。
ポカーンとしているシャルティアを放置して、冷蔵庫型ボックスからナザリック製レーションを二つ取り出す。
ポリポリ齧りながら、透明なボトルに入った水を煽る。前回は気付かなかったが、ボックスの中には飲料の用意もあった。
体力精力を回復させ、お腹もいっぱいになった。
「出口はなくてもご心配なく。一定時間経つと出られるようになっています。本日のシャルティア様のご予定には十分間に合いますよ」
「そうでありんすか……。私をこんなところに連れ込んでどうするつもりでありんす?」
「おわかりになりませんか?」
男からグイと迫られ、シャルティアはトゥンクと来た。
「シャルティア様は階層守護者です。また、ヴァンパイアブライドたちの主人でもあります。彼女たちの前では出来ないこともあるでしょう?」
「それは……、でもでもあいつらの前でお兄ちゃんとセックスしたことがありんしょう?」
「それ以外の事ですよ」
ヴァンパイアブライドたちの前でお兄ちゃんとセックスしたことがある。その前には首締めされて服を脱がされてもいる。
お兄ちゃんと呼ぶのはアウラの前でもしているので、出来ないことではない。
それ以外のこと。
二人きりの部屋に誰も入らないよう命じてからしたことが一度だけあった。
「もしかして、お兄ちゃんは、シャルティアを…………苛めてくれるんでありんしょうか?」
シャルティアの目が期待に潤んでくる。
男は柔らかく笑い返した。
「シャルティア様をシャルティアと呼んだり、頬を張ったり罵ったりは彼女たちの前ではしない方がいいでしょう?」
「そうでありんすね! シャルティアをいっぱい苛めるのはお兄ちゃんと二人だけの秘密でありんす!」
「そうでしょう。ところが、そう上手くはいかないようです」
「どうして!?」
「さっきまでのことを思い出してください」
「さっき? …………あ」
47名のヴァンパイアブライドとたっぷりしたばかり。
ポーションで全快しても気分というものがある。
「あれだけすれば当分はそんな気分になれません。ですが、お預けだったシャルティア様はそうでもないでしょう?」
「お兄ちゃんにいっぱいいっぱい可愛がって欲しいでありんす!」
「だからそんな気分になれるよう、シャルティア様に頑張って欲しいんです。これがシャルティア様への一日命令権で最後の命令になります」
シャルティアとしないでもいいのだが、シャルティアの頑張りによって充実したナザリックツアーを行えたのは事実。お礼をしたい。
けどもリベンジを果たしたばかりでそんな気分には中々なれない。
故にそれそのものを直接与えるのではなく、チャンスを与えたのだ。
「わかりんした!」
シャルティアは真剣な表情で頷いた。
「お兄ちゃんがエッチな気分になってシャルティアにいっぱいハメハメしてくれるように全力を尽くしんしょう!」
ペロロンチーノがシャルティアに詰め込んだエロゲーエッセンスの真価が問われようとしていた。
本年度中にあまるを終わらせようと思いましたが無理でした
それでも三月は更新頑張った、えらい!