「ああ、その話? あれはもう良くなったわ」
良い方に向かったから良くなった、のではない。どうでも良くなった、である。
ソリュシャンの言葉を聞いてもティアとティナは表情を動かさない。
「お嬢様からの依頼はラキュースを連れてくること」
「依頼は完了した。後の事には関知しない」
「そうね、そうだったわね。成功報酬が必要かしら?」
「必要ない」
「前金でたっぷり貰ってる」
地獄と化したお屋敷だったが、大半の部屋はきちんとドアが閉じていたので問題はなかった。代わりに廊下の密度が凄いことになっている。
ソリュシャンとティアとティナは、無事だった部屋の一つで件の依頼について話していた。
ソリュシャンがラキュースを求めたのは、そこそこに見れる顔をした金髪の女だったからだ。
レイナースやカルカと同じようにお兄様に手を付けてもらって孕ませる。胎に宿った子が人の形になる前に抜き取って自分の体に移す。お兄様と金髪の美しい女との子を、自分の胎で育てるのだ。自分とお兄様との子供として。
ショゴスであるソリュシャンは、どうしたって人間と子供を作れない。しかし、周囲には出来る女がいる。自分には出来ないのに出来る女たちがいる。彼女たちがいつか得られるであろうものを自分が求めて何が悪いのか。
代替手段として、それが為せる金髪の女たちを集めていた。
しかし、どうでも良くなった。機会があるのなら試しても良い。その程度に成り下がってしまった。そんなものは形あるものへの執着に過ぎないと気付いたのだ。
お兄様が健やかな体でずっと傍に居続けてくれるのはとてもとても幸せなことだ。
そうならなくても構わない。一番に考えなければならないのは、自分の幸せではなくお兄様の幸せなのだ。お兄様が幸せでいてくれさえすれば良い。お兄様を想っていられるだけで良い。
たったそれだけで、自分の心は満たされる。
それはそれとして、お兄様に愛されるのもお兄様のミルクを味わうのもとても素晴らしいことに変わりはない。
目の前の双子忍者がそれを狙っているのはとてもよくわかる。
「あなた達にもう用はないわ。後は王国に戻るなり南のどこかに行くなり好きにしなさい」
冷たく言い放ったソリュシャンに、ティアとティナは怯んだ。
ここで縁を切られてしまうと、ボスとの素晴らしい一時を得る機会がなくなってしまう。ラキュースの件はあくまでソリュシャンからの依頼である。ボスは金を出しただけで、依頼内容とは関わっていないのだ。
「と言いたいのだけど、お兄様が仰っていらしたわ。エ・ランテルに戻ったら状況次第であなた達に頼むことがあるかも知れないそうよ。今はつまらない話をしているから、その後で伺いなさい」
「……報酬の話をしたのはお嬢様でボスはいなかった」
「それなのにボス任せ?」
「お兄様が屋敷の責任者なのよ。あなた達には関係ないわ」
丸投げしてる自覚があるソリュシャンである。
しかし問題の半分以上はお兄様が引き起こしたのだから当然の判断である、と自分に言い聞かせてティアとティナから目を逸らした。
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エ・ランテルに戻ってきたばかりでどうしてこんなにも慌ただしいのだろう。
男はそんな事を自問する。色々間が悪かったと答えが出た。
聖王国への出張が終わったエントマが、こちらの帰還に合わせて顔を見せに来るのはおかしいことではない。
メイドたちによる歓迎パーティーは帰還の翌日に行われる予定だったらしい。しかし一日遅れての帰還となったため、当日に行われてしまった。歓迎パーティーは建前で、メイドたちの実戦演習の意味合いが強かったようなので当初の予定を優先したのだろう。メイド教官の判断に大きな間違いはない。
一日遅れたのが問題と言えば問題なのだが、悪戯をしたルプスレギナが悪いのか、一瞬で染み抜きが出来るのにサボタージュしたソリュシャンが悪いのか。どちらも些細なことで、一日の遅れが問題に繋がると予想するのは難しかった。
その結果、エントマとの顔合わせと歓迎パーティーが同日になってしまった。
そこへ王国の冒険者チーム「蒼の薔薇」が訪れたのは、ソリュシャンが呼び寄せたからであるらしい。蒼の薔薇がいなければコックローチの駆除に手間が掛かったろうから、これについては間が良かったと言える。
アルベド様が帰還当日にいらしてくださったのは光栄の至りであるのだが、間が悪かったとしか言えない。
エントマのおやつがナザリックにて召喚した昆虫だったのは幸いだった。たかが虫でもナザリックの虫。守護者統括であられるアルベド様の威光に恐れおののき、アルベド様に触れた虫は一匹もいなかった。だけれども、不衛生の代名詞に使われるコックローチに囲まれるのは衝撃体験であったようで、駆けつけた時は床に尻もちを着いて大いに取り乱されていた。
恐れ多くも、コックローチたちはアルベド様のお食事部屋にまで侵入。しかし、外部の者をお食事部屋へ通す訳にはいかない。よって、エントマが一生懸命駆除している真っ最中である。蒼の薔薇を、特にイビルアイを敵視しているエントマなので、顔を合わせない理由があるのは幸いだった。
イビルアイと同じ建物にいるのをとても不快に感じているらしいエントマであるが、『エントマさんがイビルアイを敵視する気持ちはよくわかります。そのあたりの事情はソリュシャンとルプスレギナから聞かされました。ですが、エントマさんはアルベド様への貢献を無視してご自身の私情を優先するほど子供ではないでしょう?』と言い聞かせたらとてもよく納得してくれた。
後ろでルプスレギナが何かしらのハンドサインをエントマへ送っていたようだが何を伝えていたのかはわからない。重要なことならこちらにも伝えるだろうから無視しても構わないことなのだろう。
その後、別室にて落ち着かれたアルベド様は口付けを送ってくださろうとしたのだが、ルプスレギナが『今の相談役殿に口付けをするのは大きな問題がございます』と進言。
直後、アルベド様のお顔が言葉には言い表せない一度も見たことがないものへと変じ、距離をとってから非接触でのエナジードレイン。意識が遠のく寸前にルプスレギナから回復魔法を掛けてもらう。
アルベド様はお食事部屋を隅から隅まで入念に消毒するようお命じなり、当分ここには来ないと言い置いてお戻りになってしまわれた。
一体何が悪かったのか。
アルベド様の元へ向かう直前、ローストした鴨にたっぷりタバスコを掛けていたので臭った可能性がある。辛いのがお嫌いなのかも知れない。そう言えば食事をご一緒したことが一度もなかった。
結局はエントマが袋を落としてしまったのが一番悪かった。
しかし、プレアデスの一人とは言え幼げを感じさせるエントマである。子供に責任を押し付けるのは良くないことだ。やはり色々と間が悪かったのである。
駆除が終了したコックローチは敷地の隅に穴を掘って放り込み、焼却処分する予定である。メイドたちが総出で掃除を頑張っているところだ。シェーダは卒倒してしまったのに、メイドたちは嫌そうな顔をしながらも手際よく片付けている。
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そして現在。
お屋敷の主人代理であり表向きは若旦那様からご主人様に格上げされたけれども未だに若旦那様と呼ばれ続けている男は、外向きのお客様を迎える応接間にて蒼の薔薇の三人と向かい合っていた。
ティアとティナはソリュシャンが連れて行った。残ったのはラキュースとイビルアイとガガーラン。
開口一番、ガガーランから『石ころに助けられた気分はどうだ?』と問われた男は、『大変感謝しています。石ころにも適切な利用方法があると教えていただきました』と正面から打ち返す。
全ての罵倒を受け流す男なのだから、皮肉が通じるわけがない。それにも関わらず、その気になれば相手が気付かない皮肉を流暢に語り続けられる男である。
男の護衛にして正式な部下となったミラは、我が身をわきまえて余計なことを言わないし表情も崩さない。
もう一人の護衛として男の隣に座っているルプスレギナは、皮肉に反応する精神力が残ってなかった。体力は万全だが精神はゴリゴリと削られ、叶うならばベッドに潜り込みたかったところだ。
「今回の件についての報酬は私からお支払いします。今この場に限るなら、即金で金貨二千枚までお支払いします。一ヶ月後までお待ちいただけるなら五千枚までお出しします」
「それじゃ一年待つとどうなる?」
「公金貨に換算して十万枚お支払いする事が可能です」
金銭感覚が狂ってるルプスレギナでも、公金貨十万枚が大金なのはわかる。そんな事言って大丈夫なのかと男をつつくが、男の態度に変わりはない。何か問題がとでも言いたそうに怪訝な目を返してきた。
アルベド様の危険を払ったのだ。金で片が付くなら安いもの。しかしながら、お給料ではとても追いつかない額である。だったら稼げば良いだけだ。
今この瞬間にも、魔導国、帝国、王国、聖王国で数十万もの金貨が行き来している。一日で移動する金貨は何百万、何千万となるだろう。幾億枚もの金貨が動いている。それに比べたら十万など大したことではない。
今は手元にないだけで、しかるべき手段でそれらを集めればよい。
十万もの金貨を支払っても、魔導国の富の創出を行うのだからアインズ様もお喜びになるはずである。
「但し、即金でない場合は魔導国の冒険者ギルドを通して受け取って頂きます」
「俺たちを王国から魔導国に鞍替えさせようってか?」
「違いますよ。ガガーラン様は冒険者ギルドを冒険者への依頼斡旋所と勘違いしていますね」
「違うのか?」
生粋の冒険者であるガガーランにとって、冒険者ギルドは冒険者への依頼斡旋と報酬を受け取る場所でしかない。
「アインドラ家のご令嬢であるラキュース様ならご存知でしょう」
「私達はお金が欲しくて依頼を受けたわけではないわ。私達が求めるものはもっと崇高なものよ!」
マジかこいつ知らないのか。
男は愕然とした心情を素直に表情に乗せた。
ガガーランは兎も角として、貴族の令嬢であるラキュースは知っていなければならない事だ。それらを教えられる前に生家を出奔して冒険者になったのか、教えられていたのに頭に入ってないのか。冒険者でいるならいいが、貴族としては致命的である。
魔性の美貌に呆れられるのは、誰であれ羞恥を覚えさせる。
ラキュースはソファから立ち上がって冒険者としての矜持を歌ったのに、頬を赤らめ耳まで染めて、静かに座り直すと小さくなって俯いた。
「説明いたしましょうか?」
「…………お願いします」
ナザリックがユグドラシルにあった時代、ギルドは特典を得るための恒久的な集団を意味した。
この地における冒険者ギルドや魔術師ギルドのギルドは全く違う。同業者による組合である。好き勝手に作れるものではない。然るべき筋の公的な許可がいる。
「ギルドは国家もしくは領主からその業種における独占権を与えられた組合です。独占する代わりに仕事の質を保証しなければならない。一番の目的は徴税のためです。ギルドを通すことによって金の移動を捕捉し、徴税するわけですね。貴族であるなら知っていて当然と思いましたが、冒険者であるなら知らなくても構わないことではあるでしょう」
つまり、ギルドを通さない仕事は脱税と同意である。闇経済である。明るみになったら犯罪だ。
魔導国宰相閣下相談役と言うことは公人と言うことで、積極的に脱税するわけがなかった。
簡易な説明を、ガガーランはわざとらしくあくびをして、ラキュースは真面目な顔でふむふむと頷く。最後の一人は右から左へ聞き流した。
「私には関係ない話だ。今回の件で報酬をもらう気はない」
コックローチを駆除したのはイビルアイで、屋敷内のルートを確保したのはティアとティナだ。
ガガーランは見てただけ。蒼の薔薇のリーダーであるラキュースはそれに加えてコックローチの群れに及び腰だった。二人が報酬について主張するのはおかしい事ではないが図々しい事ではある。
「数が多かろうとゴキブリを退治しただけだからな」
皆が皆、協力して悍ましいその名を出さなかったのに、ちびっ子仮面はこともなげに口にする。
「聞きたいことは幾らでもあるが……」
ゴキブリの大群はどこから来たのか。エントマとか言う異形のメイドは本当に危険がないのか。後ろに控えている女はどう見ても吸血鬼でそこに思うことはないのか。吸血鬼を恐れないのか。美しかろうとどうして只の人間が魔導国の宰相閣下に目を掛けられているのか。王国を敵視する理由があるのか。ゴキブリがまだ残っていたのに頑なに入れようとしなかった奥の間とは何なのか。
様々な疑問が駆け抜け、最後に残った一つこそがわざわざエ・ランテルを訪れた目的である。
「モモン様にお会いしたい。是非話したいことがある」
モモン様にお会いすることがイビルアイの至上目的である。モモン様なら魔導国と王国の戦争を防ぐために尽力してくださるに違いない。
二人で力を合わせればきっと良い方向へ進むに決まっている。
二人で共同作業を行っていけば二人の距離が縮まるのは時間の問題だ。
距離がなくなった末にモモン様から愛を告白されたら当然お受けするつもりでいる。
モモン様は偉大な英雄で自分は時を忘れた吸血鬼。身の程知らずとかおこがましいとか、色々な思いが湧き上がるが、長い時間の中で例え一時と言えども共有する事が出来るのではないだろうか。
一応、究極の目的が戦争阻止であることは忘れていない。
「私がエ・ランテルに戻ったのはほんの数時間前です。モモン様にはお会いできていません。イビルアイ様たちがいつから滞在しているのか存知ませんが、モモン様にお会いできていないのですか?」
「お忙しいようですれ違っている。宿にも伝言を頼んだがお戻りになっていないようだ」
冒険者チーム漆黒が常駐しているのはエ・ランテルで一等高級な宿である「黄金の輝き亭」だ。高給取りであるアダマンタイト冒険者の蒼の薔薇も同じ宿を選んだ。
しかし残念ながら、一度も会えていない。宿の雇人に尋ねても答えはなく、冒険者ギルドに問い合わせても教えてもらえない。かと言って魔導国の中枢である城に乗り込むのはハードルが高すぎる。王国の冒険者が迂闊に近寄れば面倒が起こるかも知れない。
「私は先日まで帝国に滞在しておりました。現在のモモン様の動向は存じ上げておりません。以前と同じように私どもを気にかけてくださっているなら、いずれこの屋敷にいらっしゃってくださるかも知れません。時折ではありますが、モモン様はナーベ様とご一緒にいらっしゃることがありました。モモン様だけでいらっしゃることもありましたが、それについてはお聞かせすることではないでしょう」
「っ!」
イビルアイは仮面の下で、ギリと歯を鳴らした。
モモン様はこの屋敷で婚約者の方と逢瀬を楽しむ事がある、と言ったのは目の前の男だ。
見たことも聞いたこともないモモン様の婚約者。名前すら知らない。
自分が知らないのだから、本当は存在していないのではないだろうか。自分を貶めるために寄って集って嘘を吐いているのではないだろうか。
万が一にも本当に存在していたと仮定して、二世紀を超える生で初めての恋なのだ。モモン様を想う気持ちは自分の方が遥かに強いに決まっている。
「わかった。さっきの言葉を撤回させてもらう」
「報酬の件でしょうか? 私で可能なことなら何なりと」
「モモン様にお会いできるまでここに滞在させてもらう!」
「賜りました」
即答する男に、ルプスレギナはうへぇと顔をしかめた。
「話は終わりましたか?」
ティアとティナを伴ったソリュシャンが応接間にやって来る。
ソリュシャンが手にした緑色の瓶を見て、男はあっと声を上げた。
「蒼の薔薇のガガーラン様はお酒がお好きと聞きましたので、どうぞこちらをお持ちください」
「ふぅん? ラベルも何もねーな?」
「お兄様がブレンドしたお酒ですから」
「待てソリュシャン!」
毒じゃねーだろうな、と追撃しかけたガガーランに、男の切羽詰まった声が先んじた。
「それはアルベド様に献上するつもりの」
「何を馬鹿なことを仰りますか。お兄様が隠していた物ですわ」
「いやだってそれは俺が飲もうと」
「ブレンドできるのはお兄様だけですのに、随分と長い間手を休めていらっしゃったご様子でしたわね」
色々問題を引き起こしてくれたお兄様にはこの程度の罰があって然るべきなのだ。
「…………」
試行錯誤して調合している間は面白かった。完成したら飽きてしまった。調合作業は繊細な手順を要するが、手間がかかるだけの単純作業になった。
以降、消費する分しか生産していないお酒である。サボってたから余裕がないと言われたらその通りだった。
男はミラに命じてデカンタボトルを持ってこさせた。
クリスタルガラスのボトルはナザリック製だが、余計な装飾が全くない。ナザリック的には使い捨てして構わないレベルの単なる透明なガラス瓶である。
ソリュシャンが持っていた緑色の瓶の首を切り落とし、中身をデカンタボトルに注ぐ。
無色透明の液体はガラス瓶の底にぶつかるなり幾つもの小さな気泡を立ち上らせ、しかし水面で弾ける前に液体の中で溶け消える。
小さな気泡は赤青緑に紫色をして、光に翳すとキラキラと輝いて見えた。
「気泡を星になぞらえザ・スターと名付けました。レシピは確立しているのですが調合過程が繊細すぎるようで私以外に誰も調合出来ていません。非常に強い酒ですから、最初は必ず十倍以上に割ってお楽しみください」
華奢なグラスへ魔酒を注ぐ。
グラスの中でも小さな星々が瞬いている。
女性ばかりである蒼の薔薇たちがグラスに見入るのは、女の子は綺麗なものが好きだからだろう。ガガーランさえ見入っているのはとても美味しいらしいお酒だからだろう。
男はグラスの中身を一息で呷り、ふうと熱い息を吐いた。
これでしばらく飲み納めである。材料があっても完成するまで一週間も掛かってしまうのだ。
「ボトルには保存の魔法が掛かっています。飲まずに飾っておいても良いでしょう」
「それじゃありがたくもらっとくぜ」
蒼の薔薇のお酒担当はガガーランであるらしい。大振りのデカンタボトルだが、ガガーランの手にあると小瓶に見えた。
終始冷静を失わなかった男が慌てふためく姿を見れて、ガガーランはご満悦である。上機嫌で椅子を立った。屋敷に滞在するつもりはなく、黄金の輝き亭に戻るつもりだ。
ラキュースは座ったままのイビルアイとガガーランを交互に見つめ、ガガーランと一緒に行くことにした。
残ったティアとティナは男を囲む。
「お嬢様から私達に依頼があると聞いた」
「依頼は蒼の薔薇に? それとも私とティアに?」
「二人だけでいい。二人はウィットニーさんを知ってるか?」
「「ウィットニーさん!」」
二人は声を揃えて伝説の名を叫んだ。
「ウィットニーさんの冒険者講習を見た」
「ゴールドとか言うから正直舐めてた」
「ソロなのにアダマンタイトでもおかしくない」
「戦闘力はそこそこだったけど判断が抜群に早い」
「どうして知られてなかったのか謎すぎる」
「英雄として知られてなきゃおかしいレベル」
「二人が知らなかったのは当然だ。ウィットニーさんの本業はパン屋だからな」
「「パン屋!?」」
「俺からの依頼は、ウィットニーさんに冒険者を辞めさせてパン屋に戻すことだ」
とても私欲にまみれて魔導国の国力を落としかねない依頼だった。
双子忍者が男を見る目はとても白い。
「報酬は言い値を払おう」
「受けた」
「期限は聞いてないから無期限でよろしく」
白かった目がキラリと光る。
ティアとティナの未来に輝ける光が差し込んできた。
▼
一通りの話がついた。
イビルアイは屋敷に残り、他のメンバーは黄金の輝き亭に戻る。
ティアとティナは早速冒険者ギルドに向かってウィットニーさんと接触するようだ。
ガガーランはせしめた酒のボトルを一撫でして口角を釣り上げる。
ラキュースは後にした屋敷を振り返り、美しい男の姿を思い描いた。
男の青い右目は、死んだと聞かされた男の右目と似ているように思えた。
エントマと見せかけたイビルアイ編の導入部は接点が全く無かったので弛んだ気がします
次回は登場人物が絞られるので色々締まるはずです、たぶん
ガガーラン退場フラグ
推しの方がいましたが、勇次郎にしか見えんのです(ノ∀;`)