「う゛わ゛あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛あ゛あ゛あ゛ぁ゛あ゛あ゛ーーーーっん!!」
キーノは逃げた。耳孔以外の頭部の穴から色々な汁を垂らして聞き苦しい大声で喚いて。
アインズ様のお城へ向かうために屋敷の門で追い抜かれたエントマは、「……あれはない」と小さく独り言ちた。
▼
それから半日後。
「これからの事を話す必要がある」
黄金の輝き亭の一室にて、キーノは真剣な顔で仲間たちに告げた。
仲間たちが驚いているのは、みっともなく喚いていたキーノが深刻振った雰囲気でいるのが可笑しいからではない。
「イビルアイ……、あなた……、仮面は?」
「イビルアイかわゆすくんかくんかしたい、ハアハア!」
「後にしろ」
「後なら可!? イビルアイがデレた!?」
「そういう問題じゃないでしょう!」
エ・ランテルで一番高級な宿である黄金の輝き亭は顧客のプライバシー保護のために取りうる限りの防諜策を施してある。この場にいるのは蒼の薔薇の仲間たちだけだ。それでも頑なに仮面を被り続けてきたイビルアイが素顔を晒しているのは、ラキュースに小さくない衝撃を与えた。
「イビルアイはもう辞めだ。これからはキーノに戻る」
「辞めだ……って」
話し合いの始めから飛んできた不意打ちにラキュースが絶句している一方、ティアとティナは二人からは見えないようハンドサインを送り合う。
(これはボスにやられたね)
(それしか考えられない。モモンの言葉でもイビルアイがこうなるとは思えない)
(次にイビルアイは「魔導国に残る」と言う)
(イビルアイじゃなくてキーノ)
(キーノ。やっとイビルアイの名前が呼べる! 後で絶対くんかくんかする!)
(あっそう)
訳がわかってる二人とは違って、ラキュースはイビルアイが仮面を外す事によって生じる問題を考えていた。
声を変える効果がある仮面を外したイビルアイは、可憐な少女に見える。見た目というのは重要なもので、これからのイビルアイは色々なところで可愛がられることだろう。それはそれで良いことだが、冒険者としては上手くない。小柄な少女が冒険者をしていたら、どうしたって軽んじられる。
これまで通りに実績を重ね続ければこちらの問題はいずれ解決するだろうが、もう一つの問題がある。
今はまだアンデッドの気配を隠す指輪を嵌めているので気付かない者も多いだろうが、白い肌に赤い目、そして唇から覗く鋭い牙を見れば吸血鬼であると看破する者が必ず出てくる。
吸血鬼が王国の冒険者でいられるわけがない。
イビルアイが仮面を外すと言うことは、冒険者を辞める。つまりは蒼の薔薇から離脱することを意味する。
「色々聞きたいことはあるけど順番に行くわ。モモン様にはお会いできたの?」
「残念ながらまだだ。長期の依頼でトブの大森林の調査に向かっているらしい。お帰りは未定と聞いている」
「帰ってくるまで待つつもり?」
「少し違う。待つのは同じだが待ち方が違う」
「どう違うのよ?」
「……話す前に言っておくことがある。私はお前たちが嫌になったわけではない。このまま蒼の薔薇の一員であり続けたいと思っている」
キーノは椅子から立ち上がって仲間たちの一人一人に目を合わせた。
なお、ガガーランは朝方に回復魔法を受けて目を覚ましたが、食事をとってラキュースが止める間もなく酒瓶を一本空けたらまた寝入ってしまった。今も隣室で寝息すら聞こえない深い眠りに就いている。
「私は王国の冒険者を辞め、魔導国の冒険者になるつもりだ」
「なっ…………!」
「「おおー」」
ラキュースはまたも絶句し、ティアとティナは歓声を上げた。
「だがお前たちと離れるのは心苦しい。私と一緒に魔導国の冒険者にならないか?」
「異議なし」
「右に同じ」
「ティアとティナも何言ってるの!? そんな事出来るわけ無いでしょう!」
ラキュースは椅子を蹴って立ち上がった。到底受け入れることなど出来ない提案なのだ。
キーノに王国への帰属意識はない。そもそも吸血鬼でありアンデッドであるキーノが、人間の国家である王国を自分の国と思うわけがなかった。
ティアとティナも似たようなもの。二人は広義の意味では帝国生まれ。元は暗殺集団イジャニーヤの一員であって、王国以前に国家へ帰属する意識が全くない。
そんな三人が蒼の薔薇の一員として王国の冒険者であり続けたのは、ラキュースがいたからだ。
ティアとティナはイジャニーヤとしてラキュースの暗殺に失敗して返り討ちにあい、仲間になることを受け入れた。
キーノはラキュース率いる蒼の薔薇に挑まれ、敗れたことで仲間になった。その時の蒼の薔薇にはキーノの昔馴染みがいて全力を出しづらかったのもある。
蒼の薔薇の中心はラキュースだ。「蒼の薔薇」と名乗るのは、ラキュースが青薔薇のコサージュで髪を飾っているからだ。
蒼の薔薇にはラキュースがいなければならない。
三人は是非にもラキュースに魔導国の冒険者となって欲しいのだが、ラキュースの拒絶は固かった。
「私は冒険者よ。国家の縛りを受けてるわけじゃないわ。それでも王国の冒険者を辞めるなんて出来るわけない。王国を捨てるわけにはいかないわ!」
ラキュースのフルネームは、ラキュース・アルベイン・デイル・アインドラ。王国貴族アインドラ家の令嬢である。冒険者に憧れて出奔した身の上ではあるが、生家との縁は完全に切れたわけではなかった。
それを王国から魔導国へ移るとなれば、生家との縁が完全に切れてしまう。まして王国と緊張状態にある魔導国。魔導国の冒険者になったら裏切り者呼ばわりされてもおかしくない。
「どうして急にそんな事を言い出したの? イビルアイが……いいえ、キーノが魔導国にと言うのはわからなくもないけれど」
吸血鬼であるキーノが、アンデッドの王が治める魔導国に籍を移したがるのはラキュースにも理解できる。しかし、魔導国に来たのは今回が初めてではない。
顔を見なかった数日で一体何が起こったのか。急過ぎる話だった。
「そんなのわかりきってる」
訳知り顔のティアが右手の指を二本立て、一拍遅れて三本にした。
ティアの左隣に座るティナは左手の親指と人差指で輪を作る。
ティアが立てた指を、ティナが作った輪に抜き差しした。
「何だそれは?」
「キーノは知らなくていいから!」
純粋無垢なキーノの心を守らなければならない!
ラキュースの心に使命感が燃え盛ったのだが、容赦のない追撃があった。
「これがちんこ」
「こっちはおまんこ」
「それをこうして」
「入れたり出したり」
「二人共何言ってるのよ!!」
「…………邪魔が入った」
「邪魔!? なにそれ途中まではしたってことなの!?」
混沌としているように見えるのはラキュースが猛っているから。
他の三人は冷静なもの。からかい半分のティアとティナと違って、キーノの顔はどこか苦い。
「リーダー少し落ち着いて」
「キーノの顔を見れば嫌がってないのはわかるはず」
「だって二人共何言ってるの!? キーノも落ち着いてないで何か言いなさいよ!」
「だから落ち着け。無理やりされたわけじゃ…………、無理やりだったかも知れないが」
「無理やり!? されたってどこまで!? やったのは誰!? あそこの若旦那様!?」
ラキュースは一旦放置して、キーノはティアとティナの目を見た。
二人は軽く頷く。
それで大凡を察した。この二人もあの男にあれなことをされたのだ。
一人喚いていたラキュースは、露骨に無視をされて空回りに気付く。内心は大いに荒れていたが、深呼吸をして外見上は冷静を取り戻した。
「それで、キーノは、あの人に、え……え、え、え…………っちな事をされたから魔導国の冒険者になりたいと言うの?」
口にするには抵抗がある言葉らしく、ラキュースの頬は薄っすらと染まっていた。
「それは、だな」
「待った。ここからは私が引き継ぐ」
「リーダーはよくわかってない。キーノもまだ処女で途中までって言うなら私達の言葉の方が説得力がある」
「一体何がわかってないって言うつもり? そんな事で王国の冒険者を辞めるって言う方が理解出来ないわ」
ティアとティナはそろって溜息を付いた。
カチンときたラキュースだったが、ひとまず二人の言葉の続きを待つ。
「まず実際的な問題。ガガーランをどうする?」
「いつか回復するかも知れないけど今は一人じゃ生活できない」
「それは王国に連れて行って」
「こっちならお屋敷の神官様に回復魔法を掛けてもらえる」
「王国にはあの神官様以上の信仰系魔法の使い手はいない」
「…………」
それを言われると口を噤まざるを得ない。
同じく信仰系魔法の使い手であるラキュースをして、お屋敷の神官が行使した回復魔法は伝説の域にあると思わされた。
「ガガーランは体力バカだからその内元通りになるとして」
「あの若旦那様とあれな事が出来るのは王国じゃ絶対無理」
「だからそれが何だって言うのよ!」
ティアとティナはまたもそろって溜息を付いた。
「リーダーは想像力が足りてない」
「お屋敷の若旦那様の顔を思い出して。あんなに綺麗な男を他で見たことある?」
「それは……」
貴族の令嬢であるラキュースは、王国の貴族社会を知っている。何代も続く貴種を見続けてきた。自身がそうであるように、美しい女がいれば美しい男もけっして珍しくない。
しかし、あの男と比べれば全てが見劣りする。
美とはあれを指すと言われたらやっぱりそうだったのかと納得してしまう。自分たちが知る美とはあれの陰に過ぎなかったのだ。
「若旦那様がいると暗い部屋が明るくなるレベル」
「帝都じゃ若旦那様に見とれて魂を抜かれたみたいになってるメイドが幾らでもいた」
「その度にメイド長から人目につかない所に押しやられてたけど」
「あれはちょっと笑えた」
「綺麗な人だっていうのは私も認めるわ。でもそれが何よ?」
「少しでいいから真剣に想像して欲しい」
「若旦那様の顔を思い出した?」
「……思い出したけど」
脳裏に美麗な男を描く。
サファイアの右目とルビーの左目。それなら輝く銀髪はプラチナか。通った鼻梁に艶やかな唇はやたらと艶めかしい。
蒼の薔薇崩壊の危機に直面して固く結んでいた唇が綻ぶ。
思い描くだけで幸せになれる男だ。
「あの顔でおまんこを舐めてくれる」
「っ?!?!」
ラキュースは反射的に股間を押さえた。
性器は排泄する所でもある。女の嗜みでいつも清潔にしているが、見た目もあわさって綺麗なところとは言い難い。それ以前に誰かに見せるところでもない。厳重に隠している大切なところだ。
そこを、あの美麗な男が、舌を這わせる。
羞恥と罪悪感と背徳的な愉悦と、正とも負とも言えない感情が頭を熱した。
「舐めるだけじゃない。舌も入れてくる」
「ヤバい……。濡れてきた」
「後でする?」
「賛成せざるを得ない」
「バカなこと言わないで!!」
恍惚と顔を緩めた二人を、ラキュースが一喝した。
蒼の薔薇の未来について話し合っているのに、どうしてそんな猥談になっているのか。
理解出来ないし、真面目に取り合ってるとも思えない。
怒って然るべきなのに、二人の目は笑っている。
「リーダーは知らないからそんな事言える」
「女に生まれてあの男を知らないのは人生の9割9分9厘損してる」
「それは違う。女に生まれた意味がない」
「そこまでか……!」
キーノが食いついた。
彼女はそこまでしてもらっていないのだ。
「キーノはどこまでされた?」
「舐められた?」
「そこまでは……、まだ。性器を指で触られたくらいだ。胸は舐められたぞ」
威張れることではないのだが、シャルティアに圧勝している胸を張る。
「そこは性器じゃなくておまんこと言うべき」
「いやらしい言葉の方が向こうも興奮する」
「おまんこ、か。クリトリスはクリトリスでいいんだな?」
「それでいい」
「ハアハア……、キーノがおまんこって言ってる。ここは私がキーノのおまんこに異常がないか確かめるシーン!」
「そんなシーンがあるか!」
「あたっ!」
「でもくんかくんかはしていいって言ってた」
「あーーーーっ!? ティナずるい私もする!」
「こらまとわりつくな!」
女同士の猥談は時に生々しい。
その内の一人は筋金入りの同性愛者だし、もう一人も女の良さをこれでもかと教え込まれている。
キーノは二人に左右から抱きつかれ、吸血鬼の聴覚が遠くでドアが閉まる音を捉えた。
「……ここまでだ。真面目な話に戻るぞ」
「私はずっと真面目。私にはキーノの性感帯を把握する義務がある!」
「ない! いいから早く椅子に戻れ」
二人は渋々と椅子に座り直すが、内心ではほくそ笑んでいる。
あのお固かったイビルアイが、キーノになったらかなり柔らかくなった。これは押し続ければいつかは行けるかも知れない。
二人はそんな事は微塵も感じ取らせず、真面目な顔を繕った。
キーノが先ほど捉えたドアの音は、ラキュースの部屋のドアが閉まる音。
猥談に怒ったラキュースは席を立って部屋に戻ってしまったのだ。
「ラキュースをどうするか」
キーノはラキュースには聞かせられない本題を切り出した。
キーノが魔導国に移るのは決定事項。
ティアとティナはもとよりそのつもり。加えてエ・ランテルでは姉妹と再会してしまった。二人の姉妹はイジャニーヤの頭領。その頭領がエ・ランテルにいたのは、イジャニーヤが魔導国に取り込まれたことを意味する。今更家族の繋がりがどうこう思う二人でなくても、同じ陣営にいるなら頼もしくはある。
「聞く耳持たなかったね」
「処女はこれだから」
「……それを言うなら私もまだそうなんだが」
「そこのとこもっと詳しく」
「ティアステイ。エロい話ばっかりじゃ進まない」
「そうじゃない。キーノはボスにお触りされただけで魔導国に入ることを決めた?」
二人は徹底調教されて身も心も屈服してしまった。
キーノはまだ処女と言うならそこまでではないと思われる。半ば無理やりだったそうだから近いことではあるのだろうが、この短期間で処女のままで、あれに匹敵する何かがあったのか。
ティアはそうじゃないと言いながらも、エロい話から離れていなかった。
「それは、だな」
ティアの内心を見通せなかったキーノは真面目な話だと察し、思う所をまっすぐ答えた。
自分が元人間であったこと知っていた。苦労した過去に共感された。苦労はここまでで、これからは幸せになるべきだと言われた。
今までは自分の力を利用したがる者たちばかりだった。言葉は悪いがラキュースも自分の力を当て込んでいる。しかし、あの男は違った。自分を見た目通りの少女と扱い、女の喜びを教えようとしてくれた。
美化された記憶による捏造が少々入ったが、キーノの言葉はモモン様へ向ける思い以上に重いものがあった。
「私の知ってるボスと違う」
「ボスはもっと鬼畜などすけべ」
「ご主人を悪く言うな!」
「「ご主人?」」
「あ、いや、それは、ご主人様ご主人様言うやつがいて移ったんだ! お前たちもボスってなんだ!?」
「ボスはボス」
「奥でふんぞり返ってるのがボス」
脱線しつつも話はラキュースのことに戻る。
王国への帰属意識を全く持ち合わせてない三人と違って、ラキュースは王国貴族の生まれ。簡単に祖国を捨てることが出来ないのはよくわかる。
しかし、三人ともラキュースと分かち難い絆を感じている。出来るならば共にあり続けたい。
自分たちが王国の冒険者でいる選択肢がない以上、ラキュースを魔導国に残らせるしかない。それが難しいのだ。
▼
「出てったと思ったら雁首揃えてこんな時間に何の用っすか?」
「一度お帰りなったのですから私達があなたを持て成す理由はないわ」
「待ってくれ。緊急で相談したいことがある。ご主人はいるか?」
三人がいくら唸っても解決策は見つからない。
ならば頼れるものに頼るのが一番の近道。自分たちが魔導国に入るきっかけになった男へ相談しようとやってきた。
「お兄様はお忙しいわ。出ていった者を構うほどお暇ではないのよ」
「そーゆーことっすね。あ、キーノちゃんがまた泣いてくれるならいいっすよ? あれは笑えたっすからね〜」
「う……」
「キーノが泣いた?」
「なにそれ見てみたい」
ルプスレギナはキーノが泣いて逃げ出したのを間近で見ていた一人だ。
ティアとティナは怯んだキーノを援護するどころか追い打ちを掛ける。今後の関係性を覗わせる一幕である。
「待って。話だけは聞いて欲しい」
「お嬢様とも無関係じゃない話」
「どういうことかしら?」
「相談はラキュースについて」
「そもそもラキュースをエ・ランテルに連れてきたのはお嬢様の依頼」
「そうだったんすか?」
「そうだったのか?」
ルプスレギナとキーノには初耳の話だ。
ラキュースたちは、いずれ起こるとされる魔導国と王国の戦争を防ぐためにモモン様を頼ろうとエ・ランテルにやってきた、と思っている。それはティアとティナが誘導したからだ。そして二人がそんな事をしたのは、ソリュシャンからラキュースを連れてくるようお願いされたから。
元を辿ればソリュシャンに行き着く話である。
「その事はもう良くなったと言ったでしょう。私には関係ないわ」
「お嬢様の狙いはわかってるつもり」
「ラキュースをボスに喰わせる予定と違った?」
「そうなんすか?」
「そうなのか!?」
「うるさいわね。だからその話はどうでも良くなったと言ったでしょう!」
「まあまあソーちゃんちょっと落ち着くっすよ。どうでもいいなら聞くだけ聞いていいんじゃないっすか?」
声を荒らげたソリュシャンに、ルプスレギナが口角を上げた。
感情的になるのは、突かれたら痛いところがあるに違いない。
基本的には仲良し姉妹であっても、からかえる所があるならとりあえず突っ込んでおく性悪姉妹でもあるのだ。
「私はキーノよりお嬢様と神官様との付き合いが長い。だから私が話をさせてもらう」
三人の代表をしてティアが相談を口にした。
「つまりラキュースをおにーさんにやらせろってことっすね」
ルプスレギナが身も蓋もないまとめ方をした。
「殺るなら私がしてもいいわ」
「そっちのやるじゃなくて犯す方のやるっすよ」
「そう言われるとそうなのだが……」
自分たちで提案しておきながら、キーノの顔は難しい。
一般的に女を犯すのは罪なのだ。
羨ましそうな顔をしているティアとティナがおかしいのである。
「リーダー羨ましい」
「出来るなら代わりたい」
「そっちの二人は滅茶苦茶やられてたっすからねー。むしろ私のほうが羨ましいっすよ」
「そ、そこまでなのか……!」
キーノが知っているのは序章まで。
幕が上がった或いは膜が破られたその先を、三人の女たちがこうも言うのだから、素晴らしいことは間違いないのだろう。
「それにリーダーは蘇生魔法も使える。取り込めば魔導国の力になるのは確実」
「二人から見れば雑魚かも知れないけどアダマンタイト冒険者。王国の戦力弱体化に魔導国の強化。一石二鳥」
「そうなのか?」
ソリュシャンとルプスレギナの化け物っぷりを知ってる二人と違って、キーノにとっては美しい女に過ぎない。
「その話は後で」
「今はリーダーのこと」
「リーダーを手に入れればボスも相手が増える。これで三鳥」
「私達も今後に繋がる。これで四鳥」
「でも私との時間が減るわ。青い鳥をどうしてあなた達に差し出さなければならないのかしら」
「今更一人二人増えようが同じじゃないっすか。おにーさんの相手って十人くらいいるんじゃないっすかね?」
「ルプーは誰の味方なのよ!」
「そんなのおにーさんの味方に決まってるっす♪」
「十人……そんなにいるのか!」
「あの顔じゃ仕方ない」
「女の方から幾らでも寄って来る」
「で、一回寝たら逃げられない」
「お嬢様の焦り方を見たらよくわかる」
話が進むようで進まない。
女同士の話し合いは際限なく脇道に逸れると決まっている。
キーノは新たな情報に驚き続け、ティアとティナがラキュースを売り込む。
ソリュシャンは提案に否定的で、ルプスレギナは積極的中立。
お仕事の最終確認を終えたエントマもやって来てイビルアイもといキーノに因縁を吹っ掛けるが、キーノは潔く謝罪する。エントマを傷つけたのは両者ともに戦闘者であるので思う所はあれど一旦飲み込むことにして、戦闘中にキーノがエントマを挑発したのはそれとは別。
「あの時は一秒でも早くエントマを退けて王都に向かわなければならなかった。挑発したのは平常心を失わるためだ。戦闘の駆け引きとは言え詭道ではあった。ヤルダバオトに操られていた時のことを覚えているかわからないが、謝罪する」
「うう……、でも仲良くなんて出来ないんだからぁ!」
ヤルダバオトに扮したデミウルゴスがナザリックのシモベたちを連れて王都を襲撃したゲヘナ作戦の折、エントマが蒼の薔薇と対峙したのはヤルダバオトに操られていたからだ、と言うストーリーになっている。
ここであれこれぶっちゃけてしまうのはよろしくないのをエントマはわかっている。謝罪を突っぱねて攻撃を仕掛けるのは流石に不味い。
エントマが加わったことにより、話し合いは更に混迷を深めた。
エントマがキーノに突っかかり、キーノはいなす。
ルプスレギナは油を注いでソリュシャンはどうやってこいつらを追い払おうかと思考する。
ティアとティナは男の指遣いを語ってキーノとエントマの興味を引いて時間稼ぎ。
ソリュシャンの専従メイドであるシェーダがティーセットを持ってきたのは良いが、次に現れたメイド教官は遅い時間に何を騒いでいるのかと小言を繰り出す。
そして日付も変わろうかという時になって、お屋敷の若旦那様がやって来た。
「こんな時間に皆揃って何してるんだ?」
今夜は一日遅れでアルベド様がいらしたのだ。
エントマがお食事部屋の掃除を完璧に完了したと報告。ならばということでアルベド様が訪問なされ、男とエントマを使ってお食事部屋の隅々まで確認させた。
その後はいつものようにお食事をされ、狩り場直行君の使用制限のために日付が変わる前にお帰りになった。
日を跨いでも使用に問題はないのだが、そうするとその日は使用できなくなる。連日使用することは稀でも皆無ではない。念のためである。
「キーノとエントマさんがいるなら丁度いい。キーノ、こっちに」
「はい!」
名指しされたキーノは嬉しさと誇らしさで胸いっぱいだ。どうやら朝方の痴態は消化できたらしい。
しかし、男から言われたことに眉をひそめた。
「ちょっと俺のことをお兄ちゃんて言ってみろ」
「……は?」
キーノは、ソリュシャンとルプスレギナとエントマを見る。
三人の美女美少女から兄と呼ばれている男だ。自分もその中に加えたいのだろうか。
キーノは困惑しても、兄呼ばわりしている三人はピンときた。
「…………お兄ちゃん?」
「違う!」
「何が違う?」
男は大仰に頭を振る。
「もっと甘えたように言うんだ」
「………………お兄ちゃん?」
「全然変わってないじゃないか」
「そう言われてもな」
男は、先ほどアルベド様からエントマとキーノの因縁について聞かされていた。
エントマは自分を傷つけたキーノを酷く恨み、キーノを殺す際はその声をぜひ私に、とアインズ様にお願いしたようなのだ。エントマの地の声はコキュートスのように硬質で、現在の声は口唇蟲を使って出しているとか。
キーノの身柄についてはアインズ様から一任されたため、アルベド様から命令されない以上殺処分は考えてない。だけども声くらいなら多少痛かろうとも我慢してもらうつもりだ。
キーノの声がいずれエントマの声になるなら、事前に試してみるのは当然である。
「いいか、目を瞑って想像するんだ。
俺とキーノは二人だけの兄妹だ。生活は慎ましいが平穏な毎日を送っている。ご飯もお風呂も寝る時も一緒でとても仲良しの二人だ。キーノはそんな俺が大好きで、いつだってくっついて離れない」
「う、うむ……」
目を閉じたキーノの唇が緩んでいる。
「キーノが俺を大好きなように俺もキーノが大好きだ。
しかしある日から俺の帰りが遅くなるようになった。キーノは俺のために食事を温めて待っているのに、俺が帰ってくるのは冷めきってから。
一緒にお風呂は変わらないが俺はすぐに上がってしまう。寝る時だって俺はさっさと寝てしまい、朝はキーノが起きる前に出かけてしまう。
そんな日が何日も続き、俺の行動を不審に思ったキーノは俺のあとをこっそりつけることにした。
そこでキーノが見たものは、女と会って笑い合ってる俺だった」
「…………」
キーノの瞼が少しひくついている。
キーノちゃんはお話にとても感情移入しているらしい。
「俺が他の女と付き合って結婚すると思ったキーノは不安で堪らない。生活を支えているのは俺の稼ぎで、キーノはお荷物だって自覚があったからだ。
それ以上に俺のことが頭にきた。
ずっと俺のことが好きだったのに、俺もキーノが好きだとあれほど口にしてきたのに、俺は他の女を選ぶんだ」
「………………っ!」
「そしてついにその日がやって来た。
俺はいつもより早い時間に、泥だらけになって帰ってきたんだ」
「一体何が起こったんだ!?」
「俺は泣きながらキーノに謝る。
最近朝が早かったり帰りが遅かったりしたのは金を稼ぐためだった。
稼いだ金で、キーノに誕生日プレゼントを買おうと思ったんだ。
キーノが俺の恋人だと思った女はプレゼントの相談をしていただけの仕事仲間。俺の一番はいつだってキーノなんだ。
しかし、プレゼントを手に入れたその帰り道。俺は悪い奴らに絡まれてプレゼントを取られてしまう。挙げ句川に叩き込まれて泥だらけになって帰ってきた。
正直に話した俺に、キーノは自分が感じていた不安や怒りが全くの見当違いだったと気付くんだ。
俺にとってのキーノはやっぱり一番でいつだって大切にしてくれて自分のことを考えてくれていると確信できた。
間抜けな俺をキーノは許してやることにした。
キーノにとっての俺は、とっても大好きなお兄ちゃんだからな。
お兄ちゃんが好きな気持ちと、自分のために頑張ってくれた嬉しさと、怪我をしないで良かったっていう安心と、色々な思いを込めて。
キーノ、目を開けてみろ」
キーノは目を開けた。
目の前に大好きなお兄ちゃんが柔らかく笑っている。
「えへへ……、おにーいたん☆」
「ブフォオッ!!」
ルプスレギナが噴き出した。
ソリュシャンは顔を背けてスライムらしくぷるぷるしている。
エントマは表情を変えず、無言で首を振った。
「えへへって言った……」
「おにーいたんって言った……」
「ご主人が言えって言ったんだぞ!!」
ティアとティナは名状しがたいものを目にしてしまった恐怖に互いの体を抱き締めあった。
「キーノは可愛かったじゃないか。何がそんなにおかしいんだ? エントマさんだって可愛いと思うでしょう?」
「…………これじゃないぃ」
「あれ?」
肝心のエントマから拒否されてしまった。
これは一体どうなるのだろう。兎にも角にもアインズ様にご報告して判断を仰がなければならない。
「それでこんな時間に何の用だ?」
「それは……」
ひたすらに遠回りをしていた話がついと本題に切り込んだ。
「つまりラキュースを奴隷にしちゃえって話っすよ」
ルプスレギナが強引に話をまとめる。
「奴隷か。奴隷を手に入れるには命を助けるか金で贖うかと言うな」
英雄譚にはお姫様の命を助ける英雄の話が頻出する。
助けられたお姫様は英雄の奴隷となるのだ。奴隷との言葉を使っていないだけで、実質的には同じである。
「じゃー誰かがラキュースを襲っておにーさんが助けるんすね」
「魔導国でそんな事を出来るわけがないだろう」
「それではお金で買うのですか? 魔導国に奴隷制はありませんが」
「待ってくれ! ラキュースを魔導国に残らせたいと言ったのは私達だが奴隷にしたいわけじゃない」
王国では撤廃されたが、長く奴隷制があった。
王国での奴隷がどのように扱われてきたか、蒼の薔薇の三人はよく知っている。自分たちの仲間をそんな目に合わせるわけにはいかない。
この男が暴力を好むとは思えない。きっと自分たちに賛同してくれると思ったのに、眉間に皺を刻んでいた。
「それはお前たちに奴隷についての誤解がある。そうだな……、ルプーは時々大きな杖を使ってるだろう?」
「使うっすね」
ルプスレギナの創造主である獣王メコン川が持たせてくれた大切な装備だ。
ちなみに、ひとまとめに杖と言うが、杖とは形状や大きさや使用目的によってスティック・ワンド・スタッフ・ロッド・ケイン・ポール・バトン・タクト・セプター・メイス・クラッチと様々な呼び名がある。
ルプスレギナが持っているのは、その中で言うとメイスである。
「少し面白くないことがあったから杖をへし折って捨てた。ソリュシャン、どう思う?」
「気が狂ったと思います」
「そんな事するわけないじゃないっすか!」
「つまりそういう事だ。奴隷とは主人の大切な財産であって、無闇に消費するものじゃない。虐待なんて以ての外だ。王国の奴隷が酷く扱われてたのは安かったからだ。あいつらは人を攫ってそれを売り買いしてたわけだからな。今でも奴隷制がある帝国はちゃんと扱われてるぞ。奴隷が自由を取り戻す手段を用意するのも大切だ」
かつて、アインズ様に魔導国で奴隷制を取り入れるべきと進言した男である。
奴隷とは痛めつけて消費して使えなくなったら捨てると思ってる王国が異常なのだ。それを言うと、エルフを攫って奴隷にしている法国もその類になる。
「ボスはリーダーを、ラキュースを奴隷にしても痛めつけない?」
「しないとは思うけど、もしもするなら賛成できない」
「理由もないのにするわけ無いだろ。ソリュシャンやルプーと一緒にするな」
わーわー喚くお嬢様と神官様を視界から外し、ティアとティナはハンドサインを送り合う。
(理由がなければしない)
(あればする)
(お嬢様と神官様はあれだけどボスからされたことはなかった)
(だけどラキュースが素直に奴隷でいられるか難しい)
(アルベド様へ敬意を払う限り問題ないよ)
((!?))
男が無言の会話に加わってきた。
ティアとティナがハンドサインで意思を交わし合うのは公然のことだが、サインの詳細は二人にしかわからない、はずであった。
(帝都でもそれをやってたろう? 見て覚えたんだ)
「ちょっとちょっと内緒話はよくないっすよ? ともかくラキュースとか言うのを奴隷にするってことで本決まりっすね。ソーちゃんもそんなに拗ねなくていいじゃないっすか。おにーさんの相手が増えるなんて今更っすよ。どーせ十人くらいいるんすよね?」
「今週は四人だけだ」
「今週だけじゃなくて、この一年で……、おにーさんがアルベド様に助けられてからはどうなんすか?」
「そう言われてもな。馴染みの娼婦は11人いる」
「娼婦!?」
「金もらってボスとセックス!?」
「羨ましすぎる妬ましすぎる!」
「私というものがありながらお兄様は!」
「待てお前ら! 俺は遊びに行ってるわけじゃない。技術の研鑽に行ってるんだ」
身をもって知ってる女たちである。唯一何も知らないエントマは小首を傾げた。
「それじゃ娼婦以外に十人くらいっすか?」
「俺がアルベド様に救われてからと言うと……」
それ以前のラナーは除外していい。むしろ二度と遭わないはずだと思いたいがアインズ様のお言葉があるので一度は会う必要があっても、以降はクライムに押し付けるつもりでいる。
筆頭に来るのはまずアルベド様。
順にユリ、ソリュシャン、ルプスレギナ、ナーベラル、シズのエントマを除いたプレアデスの姉妹。
シャルティア様、アウラ様。
シャルティア様から遣わされたミラとジュネ。ここにSVB47を加えて数が跳ね上がる。ヴァンパイア・ブライドたちが合わせて49。
アウラ様のところのエルフメイドが二人。
ナザリックのメイドでは、シクススとシェーダ。シェーダの同僚であるリファラとキャレット。
カルネ村ではエンリ大将軍。妹のネムちゃんは除外していいだろう。
帝国ではレイナース。カルカはいまだ手付かずだが一応数に入れておく。
ここにいるティアとティナ、キーノはいずれが確定している。
実の娘であるがアルベド様のご意向もあるのでソフィーも含めておく。
「丁度70人だな」
ざわ・・・
ざわ・・・
「淫魔か淫獣だと思ってたっすけど……」
「私が知らない間にどこでそんなに……」
「さすがボス……」
「さすがとしか言えないボス……」
「ご主人の愛は凄まじいのだな……」
「70人って何が凄いのぉ? 食べた人数?」
「エンちゃんは知らない食べ方っすよ」
「知らない食べ方ぁ?」
「エントマにはまだ早いわ」
「また二人して仲間外れにするぅ!」
「お前らうるさい。言っておくがほぼ全員から迫られたんだ。俺からどうこうしたわけじゃない」
「うわぁ…………」
誰かが漏らしたうめき声は、誰もの心も表していた。
「俺のことよりラキュースだろう。キーノ、ティア、ティナ、それでいいのか?」
三人は顔を見合わせ、力強く頷いた。
「わかった。それなら……」
▼
翌朝、ラキュースは黄金の輝き亭の一室で目を覚ました。
頭が重い。眠気を振り払おうと頭を振ったら痛くなった。寝酒が多かったのかも知れない。
昨夜は就寝直前に、仲間たちからとんでもない話を聞かされてしまったのだ。気を紛らわせたくて酒に手が伸びてしまうのは仕方ない。
それとは別に、お屋敷の若旦那様から持たされた星々の酒を飲んでからは酒量が増えている。
月面世界に帰りたくなった。まだ宇宙大魔道士から悟りを授けられていないのだ。あなたにはすべき事があると仰っていた美しい人ともお会いしたい。
「はぁ……、こんなのじゃダメね」
あれが夢に過ぎなかったとわかっている。それなのにもう一度と思うのは重症だ。ラキュースたち蒼の薔薇が焼き払ってきた黒粉の中毒者たちも同じだったのだろうか。
気怠い頭と体に活を入れ、ベッドから出る。
顔を洗って髪を整え、着替えようとしたところで服がないことに気が付いた。
服だけではない。数々の装備品に、貴重品を仕舞っておいた袋もない。
「どういうこと? ティアかティナが何かしたの? ……これは?」
部屋の隅々まで見て回り、最後にベッドの枕元に一枚の紙片が置かれているのを見つけた。
『ラキュース、すまない』
キーノの文字でそう書かれていた。
「すまないって……。本当に、イビルアイは……」
書き残された謝罪の言葉。
キーノは自分を置いて、魔導国の冒険者になることを選んだのだ。
苦しいことも嬉しいことも共に分かち合った仲間だと思っていたのに、こんな書き置き一つで別れを告げられる。それが悔しくもあり、悲しかった。
紙片を摘む指に力が入る。
感情的にくしゃくしゃにしてしまいたくなるのを堪え、裏返した。
『少し大変かも』
『すぐに解決するから』
裏にはティアとティナの文字。
大変と言われても何のことだかわからない。
隠された装備の事だろうか。すぐに解決するなら、直に戻ってくると言う事か。
そう思った瞬間である。
「きゃっ」
紙片がぽっと光ったと思ったら炎を上げた。
ラキュースの手から落ちた紙片は、床に落ちる前に灰すら残さず消えてしまった。
「いったい――」
考える時間はなかった。
紙片が燃え尽きたと同時である。轟音を立てて部屋の壁が吹き飛んだ。
「え?」
ラキュースがいた部屋だけでなく、キーノとティアとティナとガガーランがいる部屋の壁まで大穴が空く。
「え?」
キーノ、ティアとティナ、ガガーランは昨夜の内に宿を引き払っていた。残っていたのはラキュースただ一人。
「え?」
誰かがマジックアイテムが暴発したのではと言っている。
爆発した部屋にいたのはラキュースだけだ。原因と責任をラキュースに求めるのは当然である。
「え?」
黄金の輝き亭はエ・ランテルで一番高級な宿である。
それが半壊。怪我人が一人も出なかったのは幸いであるが、ここまで壊れてしまうと建て替えたほうが早いだろう。
「え?」
建て替え費用。
働き先を失った雇人たちへの休業補償。
宿泊客たちへの賠償。
爆発したのは事故であって故意ではないと思われるので行政からの罰金はなし。
「え?」
着の身着のままのラキュースへ、諸々を合わせた費用として金貨二万五千枚が請求された。
「……………………え?」
非現実的な事態に直面して現実を受け入れられないラキュースの頭へ具体的な数字が刻まれる。
ラキュースは着の身着のままである。金貨二万五千枚なんて大金を持っているわけがない。
アダマンタイト冒険者であってもちょっとやそっとでは稼げない大金だ。チーム全体で頑張っても年単位の時間がかかる。
その上、ラキュースはたった一人。他のメンバーは姿を消している。
嫌な汗が流れてきた。
何年も掛ければアダマンタイト冒険者であるラキュースなら何とかならない額ではない。
しかし、頼りにしてきた装備品は一つもない。全て誰かが何処かへ持ち去ってしまった。
キーノたちに間違いない!
それに自分は爆発するアイテムを持ち込んでいない。これもキーノたちの仕業に間違いない!
爆破した原因を厳密に調査することを求める!
訴えてごねて喚けば減額された可能性は高かった。
金貨二万五千枚とは、絶対に不可能とは言わなくても非現実的な金額なのだ。ラキュース個人でどうにかしようと思うと、生家を頼る必要が出てくる。それをしたが最後、冒険者に戻ることは絶対に出来なくなる。アインドラ家の令嬢として相応しい振る舞いを求められ、いずれは何処かへ嫁がされることが確定する。何が何でも絶対に避けたい事態だ。
ここは何としても戦わなければならないところだったのに借金が確定しまう。
立て替えられてしまったのだ。
3日くらい前まではアルベド憧れの睡眠姦にしようと思ってたんですが気付いたらこうなりました
アンケートはまだ生きてますが出しておくのは本話までにします
結局どうすればいいのだこれは
エントマは
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可愛いので癒やし枠
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きっとぴゅあなので癒やし枠
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肉食なので(性的に)食べに来る
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可愛いので(性的に)食べられる
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まかせる