「やっ!」
ラキュースは素早かった。乙女の秘密を暴かれまいと咄嗟に自分の体を抱きしめる。
男に肌身を晒したことは一度もない。覚悟が出来ているわけがないし、何よりも恥ずかしい。
「キーノは見せてくれたのにラキュースは隠すのか?」
「無理やりしたんでしょう! イビルアイから聞いたわ!」
「まさか。見せろと言ったら素直に見せてくれたよ。それも自分で服をたくし上げて」
「ウソよ!」
「本当だ」
ラキュースが険しい目で睨みつけても男は全く怯まない。
ひとまず胸は諦めたようで、ソファに手をついた。ラキュースは真っ直ぐに見下され、目を逸らしたくなった。心の中を見透かされるようだ。それに目を離したらその隙に何をされるかわからない。
しかし男の顔が近付いてくるにつれ、意思とは別に目を離せなくなった。間近に迫る美貌から目を逸らすのが惜しいと思ったのか。見られる羞恥より見る快感が勝ったのか。
「俺に噛み付いただろう? ちゃんと確認してくれ」
「さっきしたばかりじゃない!」
「結果を聞かせてもらってないよ」
口付けを交わして舌を這わせ、ラキュースが感じた限りでは傷はなかった。しかし、患部を確認しても伝えなければ意味がない。
「傷はぁ――っ!」
口を開いた所で唇が降ってきた。
四度目のキスも最初から舌が入ってくる。
一度目のキスは不意打ちで、二度目三度目を受け入れてしまったのは噛んでしまった負い目があったから。
とはいえ、敵兵を入れるために門を開く砦はない。拒絶するなら貫くべきだった。招き入れたのは世界一の精鋭なのだ。
侵入を許せば内側から崩される。
「んっふぅ、……っぷはぁ! んちゅぅっ……、んっんっ……ちゅるる、れろ……、んん……」
舌を入れるのは三度目で覚えた。ラキュースからも舌を伸ばし男に応える。
合わさった唇の内側でぬめる舌が絡み合い、互いの唾液を撹拌した。混じり合って泡立つ唾は、組敷かれているラキュースの口内に流れ込む。
「じゅるる……、んっんっ……」
男の唾を、ラキュースは喉を鳴らして飲み込んだ。匂いも味もない。ぬるついて泡立って温かくて。
吐き出すわけにもいかず反射的に飲み込んだ血とは違って、飲んでいる意識がある。
男の体液を飲んでいる。
喉を通って胃の腑に落ちた。
体の内側に入られたように思った。
(あっ! 手が……。でも彼が手を離したらもう一度押さえればいいのだし)
キスの最中に、胸を押さえている手を取られた。
ナイトローブはまだ開かれてない。開くには手を使う必要があって、男の両手はラキュースの両手を押さえている。これなら胸が出てしまう心配はないと自分を慰める。
「あ…………」
男の顔が離れた時、ラキュースは目一杯舌を伸ばして唇を突き出していた。
まるでキスを惜しむようだったのが悔しくて恥ずかしくて、下唇を噛んだ。
男は軽く笑い、軽く口付けた。
上唇を唇で甘く食んで引っ張り、次は顎へ、首筋へ。
ちゅっちゅと唇を落としながら下がっていき、厚手の白いローブに阻まれた。
「え!? 待って!」
「何を待つんだ?」
ラキュースの胸に頬ずりをしている。
ナイトローブは少しずつずらされ、ラキュースの肌が現れ始めた。しかし、ずらすだけでは山を越えられない。
ラキュースの胸は蒼の薔薇で一番大きいと言いたいところ、胸囲的な意味ではガガーランが断トツとなるがあれは大胸筋であって雄覇威と呼ぶべき。
乳房の大きさはティアやティナよりラキュースの方がある。
越えられない壁を超えるべく、男はナイトローブを咥えて引っ張った。
ラキュースの左の乳房がさらけ出された。
「綺麗な胸だ。それに思ったより大きいな」
以前会った時は全身鎧を着けていたラキュースだ。今回はナイトローブ一枚だが、生地が毛布並に厚くて内側がわからない。
ラキュースの生乳は仰向けになっても崩れずつんと上向いて、先端が愛らしく色付いている。未使用の綺麗なピンクだ。
ティアとティナもそうだったが、ラキュースの肌にも傷一つない。冒険者をしてよくぞこうも綺麗な体でと思うが、ラキュース自身が治癒魔法の使い手なのだ。傷はその都度消しているのだろう。
「みないで!」
「見るだけで済むわけ無いだろう?」
揉みたがる手はラキュースの手を握っている。
始めは手首を掴んだが、今は手のひらを合わせて指を絡めあう。手を離してもラキュースは邪魔をしないと思われたが、せっかく口が空いているのだ。
キスをしていた時のように唇から舌を出し、先端をつついた。
触れる度に艶を増していくのは、唾を塗られて照り光るのと、充血していくのと。
舌を尖らせ強くつつけば突起が乳肉に押し込まれる。開放してやると、押し込む前よりも膨らんでいた。
「立ってきたな? キーノは立ってきた乳首を触ってくれと言ってたぞ」
「そんな……、イビルアイが……」
呼び慣れないキーノより、イビルアイの名が出てしまうのは余裕がないから。
左の胸の奥では心臓が激しく脈打っている。頬ずりをされたら鼓動を聞かれてしまいそう。
動悸を知られるのが恥ずかしければ、手のひらに汗をかいているのを知られるのも恥ずかしい。そう思ってようやく手を握り合っているのに気が付いた。
慌てて外し、ローブで拭う。
「ひゃあっ!? だめ、さわっちゃダメっ……!」
ラキュースの手が離れたと同時に男はローブの中に手を忍ばせきた。
右の乳房は男の手指がまさぐっている。鷲掴みにして我が物顔に揉みしだき、柔らかな乳肉の形を歪めている。これは自分のものだと言わんばかりの身勝手さだ。
「やぁ……、舐めるのもだめだからぁ!」
左の乳房には男が口付けている。
口へされたように尖った突起を唇で挟み、軽く引っ張る。乳房がたゆんと小さく揺れた。
再度の口付けは口を大きく開いて乳輪ごと包まれた。吸われるよりも、口内で蠢く舌を強く感じる。歯を立てられた時は体が痺れるようだった。
(わ、わたしのおっぱいに……。わたしのおっぱいなのに勝手に揉んだり舐めたりして。誰にも触らせたことなかったのにぃ! でもこんなの、こんなのって。ドキドキしてるのはどうしてなの? あぁ、乳首噛まれてる……。乳首潰れちゃうよぉ。おっぱいも乳首も乱暴にされて痛いのに、どうして? こんなことされちゃったら……、ダメ! 私はラキュース。アインドラ家のラキュースなのよ? 体の自由を奪われても心までは絶対に奪われないんだから!)
ラキュースは口から甘い声が出ないよう歯を食いしばって、自分の胸を自由にする男を睨みつける。自然と自分の体も目に入った。
ローブは捲られ右の乳房もあらわになって、男の手指に合わせて揺れている。握られ絞られ突き出された乳首は真っ赤に充血して、何かを訴えているようだ。
左の胸では男の顔が離れた所で、乳首と赤い舌とを唾液の糸が繋いでいる。男の口の中に隠れていた間、何をされていたのかは体が知っている。たっぷりとされたのに、濡れ光る乳首は寂しがっているようだ。
「ここまではキーノにもしてやったんだ。とても気に入ったらしい。ラキュースはどうだ?」
「いいわけ、ないでしょう……。あんなこと……。あんっ!」
両の乳首を同時に抓られ、声が出た。
「その割に可愛い声で鳴くんだな?」
「お、おどろいただけよ! それに痛かったし。気持ちよくなんてなかったわ!」
「そうか? だとしてもお前を悦ばせたいわけじゃない。俺のしたいようにしてるだけだからな。だがお前の準備も必要だろう?」
「じゅんび?」
ラキュースはオウム返しに男の言葉を繰り返す。準備とは何に備えるものなのか、処女のラキュースにはわからない。
大きなソファでも二人が寝る広さはない。ラキュースの背は背もたれに押し付けられ、その前に男が向き合って横たわる。ソファから落ちないようラキュースに体を押し付け、逃さないよう頭を掻き抱いて。
男の手がラキュースに触れ、ラキュースはわからないままなのに、体は一瞬で悟った。
「どどどどどこを!?」
ラキュースの手が男の手に重なっても、蠢く指遣いは止まらない。
それどころか下に手を伸ばしたせいで、手の甲に男の股間が触れてしまった。押し倒される前、下腹に押し付けられた男の欲望。
「これからここに俺のを入れるんだ。ほぐしておかないとキツいし痛い」
「いれる……って、本当に!?」
「お前、処女だろう? 処女でもそれくらいわかるんじゃないか?」
「う〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!」
わかるともわからないとも言えるわけがない。ラキュースに出来るのは唸るだけ。
答えようと唸ろうと、男の手は止まらない。
見せるためのものではないので被覆面積が多く生地は厚いが、下着なのだからたかが知れている。男の指をはっきり感じる。
男が触れているのは、股間だった。それも下から触れている。
脚を閉じようにも股の間に膝を差し込まれ、閉じることが出来ない。触られるがままだ。
男は三本の指を揃えてラキュースの股間にあてがい、小さく円を描いていた。
柔らかな女の肉は心地よいふわふわの手触り。続ける内に、じっとりとラキュースの熱が伝わってくる。
ラキュースの目が潤み、時折ビクンと体を震わせる。その度に睨んできた。
「こうしてると内側までほぐれてくるのがわかるだろう?」
頭を抱き寄せ、耳元で囁く。ついでに耳朶へ息を吹きかける。
ラキュースの頭が軽く上下したのは、問いかけに頷いたのか吐息に反応したのか。
「心はお前のものだ。代わりに体は俺が犯す。わかったか?」
ラキュースの頭がもう一度上下する。
顔が見えると意地を張るが、見えないとしおらしくなるらしい。首筋にかかるラキュースの吐息がやたらと熱い。
「俺のシャツを脱がせろ。ボタンを外すんだ」
今度は頷かない。無言でボタンを外し始める。
ボタンを一つ外す度に中指を沈ませる。生地が厚い部分だが、ほぐれつつあるラキュースは開き始めているらしい。
全てのボタンが外れた時には、中指がパンツ越しに沈みきった。指に感じる湿り気が強くなり、薄布にシミが出来つつある。
「今度はズボンのベルトだ。外し方はわかるか? これから何回も外すことになる。ちゃんと覚えろ」
「…………」
体が密着して動かしづらい中で、ラキュースは四苦八苦している。
その間に上着とシャツを脱ぎ捨て、ラキュースの体を抱き寄せた。
ベルト外しを邪魔しないよう愛撫は一時中断し、尻を撫で始めた。しっかりと肉がついた丸い尻。パンツの隙間から忍ばせて直に触りたかったが、実用重視のパンツは被覆部がかなり多く尻を全て包んでいる。
下からが駄目なら上から。
「ひぅっ!」
生地が伸びるのも構わずパンツの縁から手を突っ込んで、ラキュースの尻を掴んだ。
ずっとソファに尻をついているので汗ばんでいる。しっとりとした湿り気になめらかな尻肉は指に吸い付く。
「生地が、傷むでしょう……」
「だったらどうする?」
「っ!」
鼻が触れ合う距離で見つめ合うラキュースは、頬を上気させ赤い唇を薄く開き、翠の目は揺れている。
「脱ぐから……どいて!」
「おっと」
男を押しのけてソファに座り直した。
すらりとした脚をピッタリと閉じ、上目遣いに男を睨んでから目を閉じた。
軽く尻を上げ両手を腰に添える。手は太ももを滑って膝まで来ると一旦動きを止め、ローブの前を閉じた。
爪先までまっすぐに伸ばし、膝で挟んでいたものをするりと抜き取る。
手の中にある下着へ複雑な顔を向けて、ローブのポケットのねじ込んだ。
「これでいいんでしょ? あなたの言うとおりにしたわ」
愛撫を受けていた時はしおらしかったのに、途端に反抗的だ。それはそれで興味深い。
態度はどうあれ、ラキュースが感じているのはわかっている。それでいて反抗的でい続けるのは新鮮だった。
今までそんな女を抱いたことは一度もない。全てが双方の同意、どころかあちらから迫ってくるほうが大半だ。
例外は拘束して犯したティアくらいである。それだって最後は積極的に挑発してくるまでになった。
ツンとしたラキュースの態度がいつまで続くかわからないが、出来る限り保っていて欲しいものである。
「脱いだ次にどうするかは処女のラキュースにはわからないのか? 股を開け」
「くっ!」
ラキュースは真っ赤な顔で上目遣いに睨みつける。視線がぶつかっても男はいやらしい顔で笑うきり。
「こっちもよく見えるようにしないとな」
「あっ!」
折角閉じたローブを開かれる。そのまま肩を抜いて脱がされた。
ラキュースが身にまとうものは何一つなく、最後の砦は固く閉じた太ももだけ。それも開けと命じられたばかり。
せめてもの抵抗で胸を隠し、焦らすようにゆっくりと股を開いた。
「………………」
「……?」
女の大事な所を晒している。
きっといやらしい事を言われて辱められる。その後はズボン越しに触れてしまったあれを突き立てられ、処女を奪われるのだ。
そう覚悟していたラキュースだったが、男は無言。
横目で男を覗き見ると、嗜虐でいやらしく歪んだ顔は真顔になっていた。
「ひゃっ!? な、なに!?」
「…………」
開いた股の前に男が屈む。
そこでそんな格好をされると見られてしまう。
男がラキュースの膝に左手を置き、右手が股間に伸びてくるのを見て、ラキュースはいよいよと思ったのだが、さっきとは反対に下からではなく上から触れてきた。
「お前なあ…………、これはないだろう…………」
呆れたような落胆したような、興奮からは程遠い沈んだ声。
「なんのことよ?」
「これだ。見せる相手がいないからって手入れくらいしたらどうなんだ?」
「!?!?!」
男が触れたのはラキュースの下生え。指に巻きつければ優に三周する。
ラキュースの陰毛はとても長かった。
豪奢な金髪がとても豊かなラキュースである。
髪を巻いているのはソリュシャンと同じでも、あちらは前髪でいわゆるお嬢様ロールにしている。対してラキュースは後ろ髪も巻いている。巻いてなお腰まで届く長さ。まっすぐにすれば太ももまで届くだろう。
不老であるキーノは例外として、カルカにレイナースも髪が長い。髪は女の命と言ったのはルプスレギナだったかソリュシャンだったか、女達が髪に掛ける執念を窺わせる。
髪が豊かで陰毛も豊かといえば、かつてのアルベドがそうだった。髪よりも太くて濃いため、下着がこんもりと盛り上がるほどだった。しかし、丁寧に手を入れて形よく整え、際どい下着を着けようともはみ出ることは一度もなかった。
手入れをしない自然派と言えばエンリがそうだ。陰毛に隠れた淫裂を探り当てるのは興奮した。結婚してからは手入れをするようになったろうか。
そしてラキュース。あの時のエンリより長い。エンリより多い。エンリより生えてるエリアが広い。
髪よりも細いのでモサモサとまで言えないが、とても豊かであるのは確かである。
湯を浴びたラキュースの陰毛から水滴が滴っているのはとても興奮する情景だろうが、ともかくとても豊かである。
「ここまで長いと下着からはみ出るだろう……」
「そんなの履かないもの! ティアたちと一緒にしないで!」
「……まあ、さっき触った時はわからなかったからはみ出てなかったのかも知れないが」
「ちゃんと仕舞っているわ!」
「長いのは認めるんだな」
「くぅ…………!!」
ラキュースの釣り上がった目に涙が溜まってきた。
ラキュース自身も長いとは思っていた。
普段は全身鎧を付けるために全身タイツを着る。一応は貴族の令嬢なのでドレス姿になることもあるが、スカートはとても長いし、スカートのボリュームを出すために色々と着けることもある。見られる可能性は皆無だ。
ずっと貴族のお嬢様をしていれば、ある程度の年齢になった時に然るべき教育を受けただろう。女官たちに風呂を手伝わせ、進言された可能性もあっただろう。
しかし、冒険者になりたくて世家を出奔してしまったラキュースには、どちらも無縁であった。
せめて異性に興味をもって秘め事を空想していれば、あるいはティアに寝込みや風呂を襲われていれば。
いずれかがあったら手入れの必要性を知ることが出来た。
不幸にもラキュースは知ることなく、今日この時を迎えてしまった。
「う……うぅ…………、ぐす…………」
涙が珠になって溢れた。
いやらしい事をされる覚悟は決まりつつあった。恥ずかしいし納得しているわけでもないが、受け入れる道しかないのだ。
しかし、こんな事で辱められるとは思っていなかった。知らなかったのだ。知らなかっただけなのに、女の大事な部分を嘲られている。
屈辱だし、悔しかった。女としての価値がないと言われたようだった。
泣き出したラキュースを見て、男はふうと息を吐いた。
驚きもしたし呆れもしたが、ここで止めるつもりはない。かと言ってこのままだと挿入時に巻き込みそうだ。
ラキュースの濡れた陰毛は後の楽しみにとっておくとして、今は適切な処置が必要だ。カットすると散らばるのでそれは次回。
「なによ……。まだ何かするつもり? ……そんな物出して何するつもり!?」
恨めしい声は、男が手にしたものを見て裏返った。抜身の短刀を持っていたのだ。
「とりあえず今は剃ってやる。もっと浅く座って股間を突き出せ」
「い、いやよ止めて!!」
「まさかとは思うが、陰毛を切ってはいけないって家訓や信条があったりするのか?」
「あるわけないでしょう!!」
「だったら早くしろ」
「うぅ…………」
不思議なことに、見るからに切れ味良さそうな刃物への恐怖はなかった。それが自分を傷つけることはないと、ラキュースは心のどこかで確信していた。
再三命じられ、ラキュースは言われたとおりに股間を突き出す。
股を大きく開いて、見ていられなくて両手で顔を覆い隠して。
「つめたっ!」
何かしらの液体を塗りつけられた。
下腹から恥丘に淫裂の周囲まで丁寧に塗り広げられ、ピカピカに光る短刀がきらめいた。
冷たい刃先が肌に触れ、ショリショリと根本から刈り取られる。刃が触れた後はタオルで拭われ、染み一つない柔肌が現れた。
男が使っているのは、コキュートスからもらったショートカタナブレイドである。
ショートカタナブレイドの用途は料理、ディルド作り。そしてここに剃毛が加わった。
コキュートスが料理に使ったと知ったら不機嫌になる。ディルド作りに使ったと知ったら「何ヲシテイルカア!」と怒鳴りつける。剃毛に使ったと知ったら無言で真っ二つにするだろう。
この男は聞かれたら何でも答えてしまうが、余計なことは言わない。「ショートカタナブレイドで陰毛を剃りましたか?」と尋ねる者は絶対にいない。ラキュースも剃られたなんて言うわけがない。
秘密は永遠に保たれるのだ。
「やあっ、広げないで!」
「危ないからじっとしてろよ。もっと股を開け」
男はラキュースの股間に顔を寄せ、陰唇を引っ張り割れ目の周囲も丁寧に剃る。一通り剃ってからショートカタナブレイドをタオルで拭う。
ラキュースは少女の無垢を取り戻した。
しかし、まだ終わりではない。
「今度は尻だ。こっちに突き出せ」
「そこもするの?」
「生えてるからな。それとも抜いてやろうか?」
「いたっ……。や、やめて。引っ張らないで……。言う通りにするから」
男の指が長い毛を摘んでいる。髪よりも細く、色も淡い。縮れておらず、髪と同じで素直な毛質だ。
ラキュースはナイトローブを踏んでソファの上に膝立ちとなって、両手は背もたれを掴んだ。膝を折り曲げ背を反らす。
ピシャリと尻を叩かれ、揃えていた膝を肩幅に開いた。
剥き出しの尻を男に突き出した。
(ああっ、やだぁ。お尻ひろげてるよぉ……。お尻の穴が見られちゃってる! 大丈夫よね? 綺麗にしてるものきっと大丈夫よね! あっ、つめたっ……。お尻にも塗られて……、剃られちゃってる! お尻の方はそんなに生えてなかったし、長くもないし……。こんなことされちゃって。わたし、わたし……。誰かに知られたら……。誰にも話さないようにお願いしないと……。それくらい聞いてくれるわよね? わたしの……しょ、処女を、あげちゃうんだし。……あっ、なに!?)
鋭い刃は柔肌に毛ほどの傷もつけずに離れた。
尻を触られていたのは動かないよう押さえるためで、いやらしい意味はなかったと思う。
それが、突然変わった。
尻を押さえていた手が内側へ滑り落ち、右へ左へと開かれる。内側に外気を感じたと思った瞬間に柔らかい何かが触れてきた。
おそらく親指を使って広げているので手は違う。
唇よりはぬめっている。
股間から幽かな水音が鳴った。
「え? え!? ええっ!! やだ、うそ、舐めてるの!?」
振り向いても、男の顔は自分の尻に隠れて見えない。しかし、位置的にそれ以外考えられない。
股間に顔を埋められ、性器を指で開かれ、内側を舐められている。あの美貌が自分の股を舐めている。
陰毛の長さを笑われ毛を剃られて、青ざめていた顔が火を吹くほどに赤くなった。
「あっ、だめぇ、舐めないでぇ……! きれいじゃないからぁ……。やぁ、ダメなのぃい! ああんっ!」
下半身が溶けて自分の制御から離れたようだ。
体が熱い。下腹の奥が疼いている。
胸をいじられた時や下着の上から触られた時も、じわっとかじゅんとか、そうなっているのを自覚していた。
今はそれどころではない。溢れているのを感じている。
「ひっ……。入れないで! おまんこの穴まで舐めちゃだめぇえ! んっ……ぁあああぁぁあっ!」
昨日ティアかティナから聞かされたばかりだ。
あの顔でおまんこを舐めてくる。舌も入れてくる。その通りになっている。
舐められているのは股間なのに、どういうわけか胸が張り詰めてきた。触らなくても見なくてもわかる。触られていた時はずっとそうだったのだ。
「あっあっああっ!? いまだめっ、ダメっていってるのにぃっ……、ひゃあああぁあんっ!」
見透かしたように胸を触られた。
ソファに両膝をついた四つん這いなので、乳房は下へ垂れている。中央の突起は腫れきって、摘まれ引っ張られた。
手指には力が入って乳首が取れてしまうと思うくらい痛いのに、痛み以上の刺激があった。
背筋が弓なりに反って一層尻を突き出してしまう。
それが男の顔へ股間を押し付けていることになると、ラキュースは気付かない。もっと深い所にと体が訴えている。
体が溶けてしまいそうだった。
頭も溶けているかも知れない。性器を嬲られ乳首を抓られ悦んでいるのだから。そうでもなければ、自分がこんなことになるはずがない。
初めて漕ぎ出す快感の海に身も心も蕩け始めようとして、想像だに出来ない刺激が現世に呼び戻した。
「あ? え? どこに? え……、うそ、うそよ……!」
あってはならない場所に異物感がある。
熱に依らない熱が体の真芯を貫いて、全身が緊張に固まった。
引き抜かれる時は体の中を引きずり出されるようだった。
「どこかわからないのか? お前の尻の穴だ」
「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!!」
ラキュースは声になりきらない声で絶叫した。
剃毛する前に塗った液体は肌の保護と刃の滑りをよくするため。
しかし、本来の用途はアナルセックス時の潤滑液である。
指先に付けただけの微量でも全身に塗りたくれるほどよく伸びる。老廃物を分解して無味無臭にして無害な液体に変えてしまう。
ラキュースの尻毛を剃るには尻の割れ目に塗る必要があって、ラキュースの肛門にはローションが塗られていたのだ。
挿入までするなら入り口からよくほぐす必要があるが、指だけならいきなり入れても問題ない。指の一二本は通るように出来ている穴だ。
「やめてぬいてそんなところに入れないでぇ……」
「お前からは見えないのが残念だな。入ってるのは俺の左手の中指だ。根本まで簡単に飲み込んだぞ? こっちの素質があるんじゃないか?」
「やああぁぁ!! ぬいてよぉ……。入れるなら…………、違う方に……」
「こっちか?」
肛門のすぐ下にはたっぷり舐めてやった膣口がある。
舐める前は閉じていた割れ目が、今は薄く開いて肉色を覗かせた。内側は潤って艶かしく濡れ光っている。
広げてやれば媚肉に埋もれた小さな穴がある。入り口を薄い肉ひだが狭めているせいで、愛液が垂れきらずに溜まっている。
「ラキュースの処女膜が見えるな。膜に触ってるのがわかるか?」
「わ、わからない……。入れていいか、らぁああっ! あっ、あっ、なにしてっ!?」
処女膜を破らないよう気を付けて、膣へも指を突き立てた。
処女であっても両穴を責められるのはとてもいいものであると、ユリで実証している。
個人差はあるだろうが、ラキュースも悦んでいるようだ。
言葉では如何に拒否しようと、尻の震えと指の締付けは正直だ。
とても近い位置にあるのに、上の穴と下の穴とでは感触が大分違う。
今は位置的に上にある肛門は指の根本に食いつき、下の雌穴は柔らかくて隙間なく包んでくる。
淫らな肉壁を挟んで指を擦り合わせた。
あひぃ、とラキュースが鳴く。立てていた膝は折れてへたりこんだ。
ひっくり返してソファに座らせ、太ももを肩に乗せて股間に口付ける。
「そこだめ! だめだめぇ! そこすごいのぉおお!」
柔らかな太ももの肉が顔を締めてきた。
クリトリスを舐められるのはよほど良かったようだ。こちらの頭を押さえるのは自分の股間に押し付けることになるとわかっていてしているのかどうか。
顔と言わず胸と言わず全身を上気させ、乳首だけでなく淫裂の内側も充血している。
指で感じる熱が明らかに高くなってきた。
「あ…………あぁ…………。んっ……んっ……」
息も絶え絶えなラキュースを抱き上げ、口移しで水を飲ませる。
消耗具合から、達したのは十や二十ではないだろう。
ラキュースに言った「お前を悦ばせるためにしてるわけじゃない」との言葉は売り言葉に買い言葉。第一に来るのはキーノたちからの要望でラキュースに女の喜びを教えることだ。
娼館通いをしてまで培った技術は処女のラキュースにも十分すぎるほどに通用した。ここまでほぐせば処女であっても問題ない。
こちらの準備も整っている。抱き寄せたラキュースに逸物を握らせ扱かせていた。
立たせるだけだから技術も熱意も不要とは言え、思い出補正もあってギンギンにそそり立っている。
水を飲ませ終わっても唇はすぐに離れず、ちゅっちゅと軽い口付けを何度も繰り返した。
ラキュースの目からは反抗的な色が消え、愛欲に潤んで恍惚としている。
ちらちらと下を向いて、自分が握っているものを見ては物言いたげな目を向けてくる。
何を期待しているのか丸わかりだった。
「ラキュースは何度もイッてたろう? そろそろ俺の番だ」
「イク? ……わからないわ。あなたの番、って。いれるの?」
「そうだ。俺がたっぷり舐めて指を入れてやったところに入れるんだ。ラキュースがずっと扱いてるそれをな」
「あ、あなたがやれって、言ったんじゃない!」
言葉を交わす間もラキュースの手は止まらない。
「ラキュースの穴にはちゃんと処女膜があったぞ。これから俺が破ってやろう」
「いやらしいこと言わないで……。あっ♡」
俯いたラキュースをソファに押し倒す。
股を開かせれば未通の処女なのに小さく口を開いた。
脚を押さえていろと命じれば、素直に太ももを抱えて股を開いた状態を維持する。
反り返った逸物を開きかかった割れ目に潜らせ、何度か上下に動かす。温かい愛液が亀頭を濡らし、先走りの汁と混じり合った。
「たっぷりしてやったから痛みは少ないだろう。お前は処女なのに最初のセックスから悦べるんだ」
「そんなこと言われたって……。本当に入れちゃうの?」
「ああ」
処女の雌穴にあてがえば媚肉が吸い付いてきた。腰を進めて処女膜を押しやり、強い弾力に跳ね返され、もう一度押しやって押しのけられ。
男が入ってこようとしている一瞬一瞬に、ラキュースは胸を高鳴らせていた。
ここまで来てしまってはもう後戻り出来ない。確実に入ってくる。ラキュースの奥底へ至ろうとしている。
今更になって拒絶の心は湧いてこなかった。女の悦びを教えられ体を開かれ、より深いものへの期待すらある。
それなのに入り口に留まって、入ってこない。
自分の準備は出来ているのに、入ろうとしている男はすぐそこにいるのに、至ってないのだ。
焦れてきた。
下腹が疼いて熱を持ち、早く早くと急かしてくる。
言ってしまった。
「もしかして……、入れる場所がわからないの?」
男の動きがピキリと固まった。
娼婦とラナーを除いた経験人数は、先日数えたところによると67人。その内のティアとティナ、二人のエルフメイドを除く63人が処女だった。
最近では、ナザリックのメイドであるリファラとキャレットの処女を散らした。
入れる場所がわからないわけがない。現に亀頭を膣口にあてがって処女膜に触れている。すぐに挿入しないのは、処女のラキュースを思ってゆっくり入れてやろうと思ったからだ。
それをわからないのかと言われるのは、僅かに残る男の矜持を逆撫でした。
「え? なに?」
ラキュースと抱き合って体を密着させていたが、上体を起こす。
太ももを抱えて引き寄せ、逃さぬよう腰を掴んで、
「いぎぃいいっ…………。ったぁ、い……」
打ち付けるように腰を押し進めた。
怒張はラキュースの処女膜を破って未通の膣を抉る。
貫かれた女は血に濡れながら男を包んで、一番奥に来ることを許してしまった。
太い逸物を突き立てられ、ラキュースの股から鮮血が流れ出る。内股を汚し、下に敷いたナイトローブに吸い取られた。
「あ……あ……、入ってる……。私の処女が……。ずっとヴァージンだったのに……」
「いつかはなくすだろう? それが俺だっただけだ」
「そういう意味じゃ……ないわ……」
「それならどういう意味だ?」
「…………」
ラキュースは答えない。
破瓜の痛みと自分の中で主張する存在感に、本当に処女を奪われてしまったのだと実感する。
ラキュースが昔から使っている全身鎧は、銘をヴァージン・スノー。名のごとくヴァージンしか装備出来ない。
ヴァージンでなくなったラキュースは、もう装備出来ない。
失った処女はけっして取り戻せない。
そんな大切なものを、目の前の男に奪われた。視線を鋭くして睨んでしまっても仕方ない。
「入れる場所はちゃんとわかってたろう?」
「ぅ…………」
ラキュースが挑発したから入ってきたのだ。
「ゆっくり入れてやろうと思ってたが大丈夫そうだな?」
「……痛かったわ。今だっていっぱいになって、きつくて、それで……」
「それで?」
「それで…………。何でもないわ」
数秒前まで処女だったラキュースの媚肉は、みちみちと男を締め付けている。
優れた剣士であるラキュースの肉体は鍛え上げられ、締付けも相応に強い。
初体験なので固いのは仕方ないとして、この締付け具合はレイナースを思い出させた。つまり、育てれば名器になる予感がある。
そう言えばレイナースとは一度きりだった。近い内に時間を作ろうと心に誓う。
「…………他のこと、考えてた?」
ラキュースはちょっぴり唇を尖らせてそんな事を言う。
男の心を見抜く超能力を、女は生まれながらにして備えているのだ。ラキュースも例外ではないらしい。
「今はきついけど使ってれば良くなりそうだって考えてたよ」
「変なこと言わないで! ふあっ……!? う、うごかないで……」
「痛むか?」
「そうじゃなくて……、あっ、ああんっ。なか、こすられるの……、はあっ!? あんっ、だめぇ……」
暴力的に腰を振るのは何年も前に卒業した男だ。
ラキュースのリズムに合わせて小さく腰を前後する。愛液と血に塗れた膣を逸物が行き来して、肉ひだに隠れた性感を探り出す。
甘い声を上げ始めたラキュースに覆い被さり、左手はラキュースの右手を握って、右手はラキュースの頬を撫でた。
あっあっとさえずる唇を軽く吸う。ラキュースは閉じていた目を開いて舌に応えた。
「んっんっ、じゅるじゅる……、ちゅうぅ……、あんっ! あっ、あっ、スゴい……、わたしっ! ……セックスしちゃってるううぅ♡」
男の唾をすすりながら、ラキュースは歓喜に鳴いた。
体の中に入ってきている異物は男の体。
指や舌ではない。女性器に挿入されているのは男性器。
知識として、性交は知っている。貴族の子女として初歩的な教育は受けていた。本格的な教育になる前に世家を出奔し、蒼の薔薇は女だけのチームなだけあって男とは縁遠かった。
言い寄ってくる男はいたが他のメンバーが追い払うし、ラキュース自身が歯牙にもかけない。異性を想う気持ちは書物の中の遠い物語。
そう思っていた自分がセックスしている。
自分の体には男性器を受け入れる穴が本当にあって、本当に入れられている。
穴が埋められているのは、自分に足りなかったものを補われているようだった。
「してよかったろう?」
「バカ言わないでっ♡ セックスなんて、セックスなんてぇ♡ あああんっ♡ あんっあんっ!」
口では何と言おうと、体は完全に屈服していた。
処女膜を破られた時こそ痛みはあったが、時間とともに薄れていった。と言うよりも、痛みを痛みとも思わなくなった。
入っている逸物は太くて膣が目いっぱいに押し広げられ、圧迫感があってキツく感じる。
太いだけではなく長さもあって、一番奥まで突かれると鈍い痛みがある。
体は確かに苦しさを訴えた。
それをかき消して余りある快感が狂わせる。
「ふぁっ……、あっあっはうぅっ! あっ、ひぃ……。きてるっ、おくまできてるのぉ♡」
レイナースの時とは違って前戯はたっぷり。
ラキュースには腰を振るだけに思えるだろうが、リズムを変え角度を変え、弱いところあるいは好むところを確実に刺激している。
ラキュースよりも初心な田舎娘のエンリをよがらせた実績もある。
ラキュースは快感を掘り起こされ突きつけられ自分の体に抗えない。
ゆるゆると動いて微かだった水音がじゅぷじゅぷと鳴るようになった。
亀頭のエラに膣内の愛液が掻き出され、結合部から飛び散った。
「ラキュースの中も良くなってきたよ」
「ほんとう? わたしのおまんこきもちいい?」
「ああ」
「うれしい♡」
ソファに座る男にラキュースが跨っている。キーノがやろうとした対面座位だ。
何度か体位を変え、今はラキュースが上になって腰を上下に振っている。ラキュースに合わせて男は腰を突き上げ、二人は深く繋がった。
男の目の前でラキュースの乳房がぷるんぷるんとリズムよく揺れる。ラキュースはわざと体を倒して乳首を男の唇に掠めさせる。期待通りにしゃぶってくれて、男の頭を抱きしめた。
「わたしもとってもきもちいいわ♡ あなたのおちんこでおまんこがきもちいいの……♡ あん、あんっ♡」
上になって男の顔が見えなくなるなりいやらしい言葉を口にする。
淫語を口にすることで興奮が深くなるようだ。平素のラキュースからは想像できないほどに乱れている。リーダーとしての重責から解き放たれたからか、乱れる素養があったのか。
「あっ!? あ、やさしい……♡ 後ろからする? お尻はダメおまんこにして! ひゃぁぁああん♡」
座った状態から持ち上げられ、入っていた逸物がずるりと抜ける。
立たされたラキュースはローテーブルに突き倒された。しかし肌に冷たいテーブルが触れることはなく、倒れたのは男が脱いだジャケットの上。
突き出した尻を開くまでもなく、抜けた逸物が帰ってきた。
「あっ、あっ、あっ! あ゛♡ あんっ、あんっ! あはぁんっ♡」
男の下腹がラキュースの尻を打ち、乾いた音がパンパンと響く。
可憐な唇には男の指が伸びてきた。舌に触れた指をちゅるると吸った。
行き来する男が熱い。頭の後ろで荒い吐息を感じる。
ラキュースはジャケットをぎゅっと握った。
男が口にした「いく」が何を指すか、言葉には出来なくても悟っていた。
行くなのか逝くなのか、こことは違うところへ何度も行ってしまった。
全身を満たす多幸感はこれまでに一度も感じたことがないほどに深い。
男性器が入ってきているだけなのに、どうしてこんなにも気持ちよくて幸せなのか。自分が作り変えられたようにも、知らない自分を暴かれたようにも思った。
それ以上の予感があった。
知識として性交を知っている。最後に男がどうなるかを、一応は知っている。
「きて♡ 出して♡」
後に思い返して散々に悶苦しむ言葉を、ラキュースは躊躇なく口にした。
「はあぁぁぁん!」
何度も何度も達している。
その度に迎えている男をきゅうきゅう締め付けて、今度もそうなった。
長い逸物は一番奥に届いて、先端を子宮口に押し付けている。太い逸物とラキュースの膣肉は隙間なく密着して、どくどくと脈打った。
どこにも行き場がないラキュースの最奥で、どぴゅどぴゅと熱い精液が迸った。
「はうぅううっ! あっ、ああぁぁぁあああああぁああああーーーーーーーーっ♡」
ラキュースは仰け反っておとがいを上げ、高く叫んだ。
男の欲望が胎の中で爆発している。
子宮口を熱く打たれたラキュースは、精神が肉体から離れたように感じた。
感じたのではなく、きっとその通りだった。
自分はこのために生きてきたのだと気付いてしまった。
真理の体得を、悟りと言えなくもない。
天高くそびえる月桂樹の果に至る悟りはこれだったのだ。
「はぁ……はぁ……」
深すぎる絶頂が体の自由を奪っている。幸せの余韻に浸りたくて体を動かしたくない。
しかし、ラキュースにはしなければならないことがあった。
体を捩って振り向けば、繋がったままの男が見えた。
薄っすらとかいた汗が煌めき、比喩ではなく輝いている。輝ける美しい男だ。月面世界で自分を迎えに来てくれた美しい殿方はこの方だったのだ。
大いなる旅路の終着点は、この男の胸だった。
▼
二人並んでソファに座り、ラキュースは男に肩を抱かれている。
髪を撫でられるのが心地よい。男の股間が目に入るのは恥ずかしい。
ラキュースの中にたっぷり放った逸物は、萎れてはいないが角度が下がっている。濡れているのはラキュースの唾だ。
事を終えた後は口で綺麗にしろと教え込まれた。実践させられた。
どうして私がそんな事を、と口では反発しても丁寧に舐めて、尿道に残る精液をちゅるると吸い取った。
「それで幾らにする?」
「は?」
ラキュースは何を言われたかわからなかった。
男は答えを待ってるようだが、考えても何のことだかわからない。
「一時金を出すって言ったろう? その事だ」
「は?」
発した言葉は同じでも表情は天と地の差。
ラキュースの心境も天国と地獄の差。
この男は、あんなにも素晴らしかった交合を金のやり取りで片付けようというのだ。
頭に血が上って男の首を絞めたくなった。さきほどの一時があれほどに素晴らしくなかったら張り手くらいは浴びせたかも知れない。
「勿論限度はある。二万とか言われたらそれきりになるからな。最大で200まで出そう」
「………………」
鈍い男でもラキュースの表情が変わったのはわかる。
それでもラキュース相手に気を遣うつもりはなく、言葉を続けた男はやはりバカだった。庇護者がアルベドでなければ十回以上は死んでいる。
ラキュースはキレそうだが、男なりの誠意であった。
公金貨200枚は、最高級の娼婦であってもその十分の一以下。一夜の夢どころか買い取れる額である。
ラキュースへの借金云々は、ラキュースをエ・ランテルに留めるための方便なのだ。
200なら百回で二万。週一で抱くとして百週、約二年。それだけの期間があれば、魔導国の王国攻略が完了する。
その間、ラキュースには不自由なく生活させるつもりでいる。
「あなたは私に値段を付けようというのね……」
「一人の女に金貨二万も出す男はいないぞ」
「だからなに?」
「だから、幾らか聞いてるんだ」
「………………」
ソリュシャンやルプスレギナはよくよく知っていることである。
この男は女心とかデリカシーとかが全くわかっていないことを、ラキュースは初日にして痛感した。
金貨二万枚は大金だ。
ラキュースの生家だって簡単には出せない額である。だからといって、乙女の体に値段を付けるのは乙女の矜持が許さない。
高い安いの問題ではない。ラキュースには受け入れられない事なのだ。
「私は娼婦じゃないわ。体を売ってお金をもらうなんて絶対にしないから!」
「ふむ……」
つまりは何度やってもタダということである。
「それなら食事をとったらもう一度やるか」
「えっ♡」
「……したいのか?」
「違うわ! 今のは驚いただけよ。あんなにしたばかりなのにまたするなんて……。私は初めてだったのよ? 体は重いしまだ入ってるような気がするし」
「ラキュースは治癒魔法を使えるだろう? 自分に掛けておくといい。血も出たしな」
さすがに股間は拭ってあるが、下に敷いていたナイトローブには赤い染みが出来ている。
「食事は俺の部屋に運ばせよう。マントだけ羽織ってついてこい」
「裸にマント!?」
「すぐ脱ぐことになる」
昨夜はアルベド様がいらしたため、ソリュシャンの朝駆けを受けてない。
溜まりきってないからしないのではなく、アルベド様と比べられたくないからしないのだ。
夜半に色々工作したが、男は回復しきっている。
ラキュースはその全てを注がれた。
次話で蒼薔薇のエピローグ的なのを書いてその次に金策の話をして、あとは未定です
二百話が見えてきてしまった
本話(185話)の文字数(16.4k字)は
-
長い
-
短い
-
ちょうどいい
-
気にしない