ヒルマがエ・ランテルに戻ってきた。ヒルマだけが先行し、集めた女たちは数日遅れた。
注文した男は女たちへの接触禁止が言い渡されている。代わりにもう一人の注文主であるアルベドが正体を隠して確認に赴いた。女の数は三で、アルベドの目からは若さ以外に取り柄がないように思えた。
これが使えるのかと疑問をヒルマにぶつければ、対象の性格や立場を考慮して、女たちには美しさや気品よりも、愛嬌や行動力を重視したと答えが返ってきた。自分から自分の身を売った女だけを選んだようだ。大当たりを引いた女たちを、ヒルマは内心で激しく嫉んだ。
三人の中から最終的に一番適切と思われる女を使う。使わなかったのは適当に娼館に放り込んでよし、放逐するのもよし。ヒルマの差配次第である。
女たちがエ・ランテルの大きなお屋敷に来ることはない。お屋敷の若旦那様に会わせないこと以外に、誰の客となるか勘違いさせないためだ。
若旦那様は自分の目で女の仕上がりを確認できないので、ヒルマに定期報告するよう求めた。シズちゃん専用甘々ドリンクを提供する関係で、報告は週一である。
ヒルマが一度目の報告を終えた後、男はナザリックを訪問した。ビーストマンの毛皮を献上するのだ。
つまらないようで割と面白かった献上品はアインズを喜ばせ、褒美を下賜される流れになった。が、男はこれを辞退。何かが欲しくて献上したわけではない。ナザリックの財源の候補を提案したかっただけである。
その際、毛皮を剥いだ残りを有効活用すべく食用にならないか研究を、と言いかけたところで同席していたアウラに却下される。そしてアインズは聞き流した。しかし、ネムちゃんについては耳を傾けてくれた。
カルネ村にあるナザリック関係者専用宿泊施設の管理をネムちゃんに任せることについては、ネムが望むなら、と言うことで検討してくださる様子。現在はメイドたちが定期的に通って管理しているらしい。
後日、ネムちゃんはメイドたちから、タオルやシーツの洗い方・干し方、掃除の手順や使う洗剤などを厳しくレクチャーされ、抜き打ちのチェックを危うげなく潜り抜け、管理者の称号を手に入れる。報酬として、使っても減らないものなら持ち出し可。カルネ村の生活環境を大いに改善させることになる。
アインズ様への謁見を終えた男はいつも通りに最古図書館へ赴き
その後は音楽室へ。ギターの師であるセシルではなく黒猫楽団長との面会を求め、新しいギターの提供をお願いした。
実は若旦那様、ギターを壊してしまったのだ。
どこかが損壊したわけではないので、正しくは故障したので修理中と言うべきか。
ギターとは、弦が張られている。ネックは常に弦によって引っ張られているわけだ。そのため、使わない時は弦を緩めて保管する。また、木製であることから高温や湿度に弱い。使わない時は除湿剤を入れたギターケースにしまうのである。
そこをわかっていながら、若旦那様はギターを出しっぱなしにしてしまった。せざるを得なかった。ギターを聞かせていたら、ソリュシャンが盛り上がってしまってベッドに拉致されたのだ。そうして一回戦、二回戦。
ギターが出しっぱなしであるのを忘れて翌日。夏の日差しに照らされたギターは、ネックが反ってしまった。
ギターの教本にはネックの反りの直し方が書いてあったので早速分解して修理を始めた。反ってしまったのだから、反対方向へ力を加えて反りを元に戻すのである。この時、急に力を加えると破損してしまう。時間を掛けてゆっくりと戻さなければならない。当然のことながら、修理中はギターを弾けない。つまりは予備のギターを求めたのである。
楽器を大切に扱わない男に、黒猫楽団長は露骨に機嫌を悪くし、新しい楽器を与えてよいものかどうか判断しかねた。そこでアウラがギターの生産コストを出してくれることになった。アウラにとっては金貨の数十枚くらい軽いものである。
それに男が献上した毛皮を、アウラもアインズ様から数枚もらっていた。金貨に換算すればギターのコストを上回る枚数となる。
アウラが顔を出したのは、男の顔を見てセシルに何か聞かせてもらおうと思ったのを思い出したからだ。
そのセシルの耳にも、男が新しいギターを求めたことが聞こえてきた。
ギターの新調を望む男は、折角もらったギターを故障させたことに痛切な表情を見せたが、それ以外にはこれと言って思うところはないようだった。守護者統括相談役に取り上げられようと根は単純、と見たセシルには聊か意外だった。
「相談役殿はようやく譜面を見たのですね?」
セシルは男へクラシックギターをプレゼントする際に、多数の譜面をつけた。教本やコード表をセシルや楽団長の名義で借りて後日返しに来させる作戦は全てを丸暗記されて不発だったが、こちらは発動したのだろうか。
「いえ、まだ見ておりません。今のところは覚えた楽曲を弾きこなすだけで精一杯です。早く見たいとは思うのですが、以前コキュートス様から少しずつ大切に楽しめと訓示を頂いたことがありましたので、それに倣っております」
コキュートスからはGDMHの読み方についてだった。
書物であれば、ほぼ一瞬で読み取る男である。しかし音楽とは絶対に時間が必要となる。譜面は一瞬で読み取り覚えられても、頭の中でそれらの音色は再現できない。実際に演奏しなければならない。
現在でも覚えた楽曲は数多くある。現在は、それらを弾いて聞かせて満足している。
満足できなくなったら、いよいよ新しい譜面に手を出すのだ。
コキュートスがGDMHを読む際は、そのようにしてじっくり楽しんでいるのだろう。
「そう、ですか。折角お渡ししたのにまだ見てもいないと言われるのは少々不快です」
「そこにあるだけで嬉しいのです。楽しみが約束されている、とでも言いましょうか。申し訳ありませんが、もう少し今のまま楽しみにさせていただけませんか?」
「既に相談役殿のものですから、どのように楽しまれようとご自由に」
「ありがとうございます」
セシルの罠はまだ発動していない。
ナザリックからの帰り道ではカルネ村で一泊する。この時はミラがずっと一緒にいたため、おかしなお泊りが発生することはなく、ネムちゃんの教育も先送りである。代わりにネムちゃんにはお土産話があって、ナザリック関係者専用宿泊施設の管理を任せることになるかも知れないと伝えた。ネムちゃんはとてもやる気を出したようだ。髪もお肌も磨かれて、天使のような可愛いネムちゃんが大天使のようにとても可愛いネムちゃんになる事が確実となった。
ンフィーレアから分けてもらう予定の薬草は、採集したばかりで乾燥が不十分であるらしく、持って帰ることが出来なかった。後日、エンリ大将軍が直々に届けてくれるとか。
ヒルマが二度目の報告に来る。
最初に見た時は骨に皮が張り付いている様だった。それが僅かな間で随分と肉がつき、まだまだ痩せすぎではあるものの何とか生きた人間に見えるようになった。体調も大分良いらしく、候補たちの教育も順調なようだ。
時々、ティアとティナがウィットニーさんのパンを配達に来る。
世界広しと言えど、アダマンタイト冒険者をパン屋の売り子にして配達をさせるのはウィットニーさんだけである。さすがは伝説のウィットニーさんである。
ウィットニーさんがパン屋を開くのは精々週一なので、今のところはティアとティナが手を貸せば何とかなる。しかしながら、ティアとティナにずっと売り子をさせるわけにはいかないだろう。是非にも売り子を雇うべきである。とはいえ、メイド村のメイド族のような種族の悪魔は未発見である。売り子を普通に雇おうにも、ウィットニーさんは職人気質でかなりの頑固であり、メイド族やアダマンタイト冒険者くらいの根性がないと怖く感じてしまう。
ウィットニーさんが本格的にパン屋を再開した時のため、お屋敷のメイドから売り子を選抜することにした。ソリュシャンからいびられても泣かずに働けるのが条件である。
ティアとティナの配達にはキーノも同行する。理由をこじつけて若旦那様に会いに来るのだ。が、どういうわけかキーノが来る時に限ってエントマがいたりする。
「ガルル!」
「グルル!」
と唸る二人は毎回何かしらの勝負をする。
戦闘行為は禁止なので、あっち向いてホイなどのお手軽なゲームになる。対決する二人の様子を、皆は微笑ましく見守っている。
馬鹿らしい対決だと当の二人も思っているのだが、勝者は若旦那様が盛大に称えるので熱が入ってしまう。
なお、若旦那様は二人を煽ってるつもりはない。子供たちが頑張ってるのだから褒めてやりたくなるのが人情。若旦那様は人情味に溢れているのだ!
そしてとある日、アルベドは昼過ぎにエ・ランテルの屋敷に戻った。
▼
お休みでも半休でもない。一休みしたら魔導国の行政機関である城に向かう予定だ。
アルベドは、ナザリック守護者統括であると同時に魔導国宰相閣下であるため、エ・ランテルの城には休みを除いて毎日赴いている。いつもなら、ナザリックからアインズやシャルティアの魔法で直接転移する。
今回、お屋敷を経由したのはただの気紛れである。たまにはお屋敷から歩いて城に向かうのも良いと思ったのだ。
今日は朝からいつもとは違う時間に戻るつもりでいたため、帰還を知らせる鈴は機能させていない。アルベドはお屋敷の誰にも知られずこっそりと戻り、愛しい男の顔を見てから城に向かおうと思っていた。
長い廊下でミラと会ったのは偶然である。
「アルベド様! お帰りでございましたのですね。すぐにご主人様に報告してまいります」
「すぐに城へ向かうから構わないわ。リファラとキャレットのどちらかに供をさせるから呼んで来てくれるかしら? ああ、一応彼の顔も見ていくからどこにいるかだけ教えてちょうだい」
「かしこまりました。ご主人様はアトリエにいると思われます。ご案内いたします」
ローションや美容品や強壮剤やら魔酒やらを調合したり、何かしらの細工をしたりと、頭より手を動かす場所である。今は修理中のギターを微調整しているところ。
アルベドが寝起きする場所をエ・ランテルのお屋敷に移してそれなりの日数が経つが、一度も入ったことがない。アルベド様がいらっしゃるような場所ではありません、と止められている。
丁度良い機会と思った。
「場所はわかるから一人で行くわ。それよりもリファラとキャレットをお願い。急いではいないから」
「かしこまりました。お二人にお伝えしてまいります」
ミラは品よく右手と左手を下腹の上で重ね、一礼した。
日中の屋内であるため、帽子やヴェールは被っておらず吸血鬼の素顔を見せている。服は全身を隠す白いドレス。胸元が空いているようなことはなく喉元まで覆い、スカートは足首まで届く。腕には白いドレスグローブ。
肌の露出はどこにもないがドレスは体の線を主張する作りで、豊かな胸と括れた腰を強調する。
「あら?」
アルベドが気になったのは、ドレスグローブである。
守護者統括相談役の配下であるミラは、以前はシャルティア直属の側近だった。
シャルティアの部下であるヴァンパイア・ブライドたちは、それぞれが様々なアクセサリを身に着けている。大半は大きなイアリングを着ける。額を飾るサークレットを着ける者もいる。サッシュベルトの飾りは同じようでいて微妙に違う。
なのだから、指輪を着ける者がいてもおかしくはないだろう。おかしくはないが、ミラが指輪らしきものを着けている事に今初めて気付いたと云う事は、今までは着けていなかったと思われる。
おかしい事はまだある。シャルティアから与えられたアクセサリなら、誇示するように見せているはず。しかし、ミラはドレスグローブの下に指輪を嵌めているらしい。ドレスグローブの左手の薬指に指輪らしきものの節が浮かんでいるのだ。
「それ、指輪よね。今まで着けていたかしら?」
「っ! …………はい、指輪でございます。ご主人様が試作したものを私にくださいました」
「あの子が? へぇ……、どんなのを作ったのかしら?」
彼が手慰み程度に細工をしているのはアルベドも聞き知っていた。
「それは……」
アルベドからの言葉だというのに、ミラはすぐに答えられなかった。本来なら無礼を咎めても良いところを、アルベドは淡く苦笑する。
愛しのご主人様から与えられたものなら、何であれ大切だろう。誰にも渡したくないと思うのは想像に難くない。
「シャルティアじゃないんだから取り上げたりしないわ。あの子が作ったんでしょう? どうしても欲しくなったらあの子にお願いするもの。心配しなくていいわ」
「……かしこまりました」
ミラが手を上げ、左手からドレスグローブを外す。
白い薬指に嵌められた指輪が何であるか認識した瞬間、アルベドは時間を忘れた。
■
サラマンダーの鍛冶師たちから彫金道具一式を届けられた男は、早速試作を始めた。素材は金にした。
銀を選ぼうものならルプーブローを食らう。人狼であるルプスレギナは銀が大嫌いなのだ。カトラリーだって銀製は触ろうともしない。
それ以外の希少金属、ミスリルやオリハルコンにアダマンタイトだと硬いので加工が面倒な上に量が少ない。
その点、金なら金貨がいっぱいある。柔らかいため、加工も容易だ。耐蝕性が高いのも良い。
それならばプラチナでも良かったのだが、褐色肌のルプスレギナはともかく、ソリュシャンとユリとナーベラルたちの肌には白いプラチナより、金の方が映える。特にソリュシャンなら金髪との相性も良い。
公金貨をくり抜いて指輪にできれば楽だったが、生憎鋳造である。
鋳造とは、金属を溶かして型に流し込み成型する作り方であり、大量生産に適している。但し、一旦溶かすので金属内に微細な隙間が発生してしまう。隙間があると脆く柔らかくなってしまうのだ。指輪を長く使うなら不適である。折角作るのだから使い捨てにはされたくない。
そのため、鍛造する必要があった。
素材を溶かすのは鋳造と同じ。そこから叩いて形を整える。叩いて鍛えて成形するから鍛造と言う。
トンカンしたのはミラだ。
真っ赤に熱した地金を叩いて伸ばし、炙っては叩き、叩いて伸ばし、四方から叩き固めて細長い板を作る。まさに鍛錬。ここでの仕事が指輪の質に直結する。
ここまでがほぼミラの仕事。ここからがご主人様の仕事である。
板が出来たら適当な長さに切断。指輪と同じ太さの棒に板をあてがい、叩いて丸く成形する。
切断面をロウ付け。隙間に純金ロウを挟んで溶接するのだ。ロウ付けが出来たら純金指輪の完成、と言いたいところだがまだまだ先がある。
このままだと素材は金でも板を丸めただけである。
再びハンマーを持ち、リングの角を叩いて丸みを付ける。これが硬い金属ならやすりを使えたが、純金は柔らかいのでここでも鍛造となってしまうのだ。
そうしておおよその形が出来たらやすりを掛けて形を整えつつサイズを微調整。
ここまで来たらいよいよ完成、と言いたいところだが本当はまだ先がある。
やすりの痕を消し、光沢を出すためにひたすら磨かねばならない。
磨き作業はひたすらに時間が掛かり、本来なら何段階にも分けて作業する必要が出てくる。が、そこは何でもあるナザリック。彫金道具セットには一発で磨き作業が完了する魔法のヘラが付いていた。
ヘラを端的に言えば細い金属棒である。ヘラを加減しながら押し付けて磨いていく。魔法のヘラは、力加減によって素材を光らせることも、鏡面仕上げにすることも可能である。
リングがピッカピカに光って顔が映るくらいにまでなって、今度こそ本当に完成である。
「指輪とはそのように作るのですね」
アトリエまでお茶の用意に来てくれたシェーダが物珍しそうに言う。
「とりあえずの試作品だね。シェーダが着けてみるか?」
「そう仰って下さるのなら喜んで」
何も言ってないのに、何故か左手の薬指に嵌める。やや大きいようで、簡単に抜けてしまいそうだった。
折角なのでサイズ調整の練習である。
大きくサイズが違うなら一部切断して縮めるが、ほんのちょっとなのですり鉢状の穴に入れて叩いて締める。叩いた痕がついてしまったらもう一度磨き直し。
「シェーダが着けるならこうするか」
輝く純金の指輪は良いものだ。
もっとよくするために、男は指輪の表面に紋章を刻んだ。至高の御方の一柱でありシェーダの創造主であるヘロヘロの紋章を縦に長く引き伸ばした意匠である。
シェーダは大いに喜び、お仕事時間中なのに男へ情熱的なキスをした。
シェーダは喜び、キスをされた男も喜び、ご主人様の力になれたミラも喜ぶ。
めでたしめでたしで終わりそうだった話には、続きが出来てしまった。
「シェーダは若旦那様から指輪をもらったようですね」
「若旦那様にははっきり言わないと伝わらないわよ? だからはっきり言いますね。私の指輪も作ってください」
「私もお願いします」
キャレットが切り込み、リファラが突っ込む。シェーダが同僚に話さないわけがなかった。
「まあ、材料はいっぱいあるし、俺よりミラの方が仕事量が多いし」
「私はご主人様の言葉に従うだけでございます」
「……まだ練習中だし構わないが、左手は止せ。せめて右手にしろ」
あらぬ誤解が増えては堪らぬと思う男だが、指輪を贈る時点で今更である。
試作品その2とその3も練習である。ヘロヘロの紋章を刻むのは同じでも、指輪の幅や形状を変え、同じデザインとは見えないように仕上げた。
そしていよいよ本命製作、の前にもう一つ試作する必要があった。
ソリュシャンたちへ贈る指輪には宝石を乗せるため、その練習でもある。尤も、そちらは石のカットが肝。石のカットを始めたら、上手くいったものはそのまま指輪に使う。赤い鋼玉を使う予定だ。
作るものが決まっているのは、手を動かすだけで退屈でもある。
よって、試作品その4は持てる知識と技術の全てを注ぎ込むことにした。
板を丸めてリングを作るところまでは同じ。今度はリングの表面に溝を掘る。
そこで数日考えた。デザインは決まっているので、石をどのように配置するかだ。
「ミラは好きな数字があるか? 100以上で頼む」
「好きな数字ですか? それは……ええと……、151を好ましく感じます」
「由来がある数字なのか?」
151は回文素数。回文数とは151や1221のように逆から並べても同じ数になる数。素数は1と自分自身以外で割り切れない数。151の逆数となる1/151は循環小数となって同じ数列が繰り返され、循環節は75。男はそこから更に、151が結果となる数式を幾つか思いつく。
ミラが思い浮かべたことはどれとも違った。
「それは……、私どもとシャルティア様とご主人様を合わせた数に100を足した数になります。このようなことにご主人様を加えてしまい申し訳ございません!」
「そんなの気にすることじゃないだろう」
書斎でぼんやりしてるご主人様から突然聞かれたため、この時の答えが何になるか、ミラには全くわからなかった。
リングを磨いたら、掘った溝に151の石を配置する。
石は小さな宝石だ。大きさは砂粒大から砂粒三つ分程度。このような石があったら欲しいと伝えておいたら、鍛冶師たちが彫金細工セットのおまけにつけてくれたのだ。ナザリック的にはクズ石以下の廃棄物。山のようについてきた。彫金細工セットが入ってたボックスがやたらと重たかったのはこれのせいでもある。
溝に接着剤を塗り、上から石を振りかける。
プレイングカードを撒いただけでトランプタワーを作れる男だ。雑な仕事に見えて石は計算通りの位置に収まる。
そしてここからが知識を駆使して知恵を振り絞ったところだった。
宝石は光を反射する。だから光って見える。
透明なので内部にも光が通り、石の内部でも光が反射する。だから内から輝いて見える。
そこへ、石の上から硬化液を塗った。物体がどれほどの光を透過するか、その割合を透過率と呼ぶ。石の透過率と同じ透過率に調整した硬化液だ。
石は種類によって透過率が異なるため、全ての石の透過率を計測し、同じ透過率の硬化液を調合し、151の石一つずつに丁寧に塗っていく。
表面に厚く塗られた硬化液と内部の宝石は光の透過率が同じになるため、硬化液と宝石の境界が見えなくなり、石の色だけが見える。
また、硬化液の効果で内部に届く光が少なくなり、暗く奥深い色合いを醸し出す。
完成品を目にしたミラは、この指輪は生きている、と直感した。
「着けてみろ。色々ごちゃごちゃ入ってるし髪や目の色と合わせたわけじゃないけど試作品だからいいだろ?」
「……………………………………………………なんと仰いましたか?」
ミラは、何と言われたのかわかったがわからなかった。
「ミラが指に嵌めてみろって言ったんだ。……割と頑張ったつもりなんだが、攻め過ぎたかな?」
「いえ、…………いいえ! とても素晴らしい作品でございます! このように素晴らしい指輪を私が嵌めてしまうのは余りにも恐れ多く余りにも身の程知らずで私とは到底釣り合いが取れておりませんので」
「自分には似合わないから要らないってことか?」
「違います断じて違います!」
「ちゃんと聞こえてるから声の調子を落とせ」
「……申し訳ございません」
固辞するミラだが、最終的に指輪を貰い受けた。
どうせ試作品だし要らないなら溶かして金を再利用する、などと言われてしまっては貰わないわけにはいかなかった。
以前からご主人様は形あるものへの執着が薄く、何かを作っている時は楽しそうでも完成してしまうと興味を失う傾向があった。
だからといって、このような指輪を簡単に作って簡単に下賜されるのはとても困る。
指輪を貰えてしまったミラは、死ねなくなった。
ご主人様のためなら、アインズ様のご命令であれば、いつだって命を捧げる覚悟が出来ていた。が、自分が死ぬとこの指輪が自分以外の誰かの手に渡る。それを受け入れることが出来ない。ならば死ぬ直前に指輪を破壊しようにも、自分の手で命なき命を剪むことは出来そうにない。
とても困ってしまった。
しかし、全身を歓喜に包まれ続ける。
▼
ミラが嵌める指輪を見たアルベドは、最初は陶器かと思った。
表面が平坦で色とりどりに輝いている。焼けばガラス質になる釉薬を工夫すれば多彩な色合いを表現できる。
そう思った次の瞬間に、色合いが動いていた。
青、濃い青、藍色水色に白い光も混じり、ところどころに赤や黄色もある。それぞれが流れるように動いている。
一瞬たりとも同じ色を見せず、ほんの少しでも光の加減や見る角度を変えると、全く違う表情を見せる。
魔法を掛けて幻術で光を投影しているのかと思った。逆を言えば、魔法が掛けられた品だとしか思えない。
全くの無意識でミラの手を取り、顔に近付ける。
指輪を真横から眺めると、光の底に無数の宝石が精緻に配置されているのが見えた。まるで宝石の海のよう。
「……………………これを、あの子が? あなたに?」
「はい。ご主人様は試作品としてこの指輪をお作りになりました」
アルベドは、このように幻惑的に輝く指輪を見たことが一度もなかった。
作り手は魔法の才能が皆無なので、魔法が掛けられた品ではない。宝石の大きさはどれも小さく、指輪なので使われている金の量も少ない。エクスチェンジボックスに放り込めば、金貨が一枚出てくるかどうかだろう。
しかし、宝飾品として見ればどうか。
ナザリックの宝物庫にあってもおかしくない。宝物庫が相応しい時点で、金貨にすれば数千から数万の価値が確実にある。
「あくまでも試作品でございます。ご主人様は完成品の練習のために作ったと仰せでした。完成品はソリュシャン様たちの指輪となります。ご主人様はユリ様、ルプスレギナ様、ソリュシャン様、ナーベラル様の結婚指輪を作成する練習のために試作為さいました」
「…………………………………………は?」
ミラの口から聞き捨てならない言葉が零れ出て、アルベドはようやく指輪から目を上げた。
「結婚指輪でございます。ご主人様はユリ様、ルプスレギナ様、ソリュシャン様、ナーベラル様と結婚するご予定でございます。始めは指輪になるのか他のアクセサリになるか不定でございましたところをソリュシャン様が結婚指輪をご所望となりご主人様は快くお受け為さいましてナザリックの鍛冶師たちから彫金道具一式を融通していただき結婚指輪を作成し始めたところでございますところを私は力仕事などを手伝う事が出来ましたので気紛れの試作品を一つ下賜していただきましたのはあくまでも皆様への結婚指輪を作るための練習でございます」
ミラの舌がかつてなくペラペラと回る。
アルベド様からご主人様に頂いた指輪を羨ましがられるのはとても居心地が悪く、何かの間違いで欲しいとでも思われたら堪らない。この指輪には、自分のために151の宝石が使われているのだ。
アルベド様の関心を指輪から逸らすべく、あれこれと話してしまうのはご主人様を生贄に捧げるようではあるがアルベド様に隠し事が出来るわけがないので裏も表も全て話すのはナザリックの一員として太陽が東から上って西に沈むのと同じ絶対の法則であるのだから当然である。けっしてご主人様を生贄にしたわけではない。
「あの子が、結婚?」
「はい。アルベド様がお認めになり、アインズ様からのお許しも得たと伺っております」
▼
話を聞き、ミラと別れたアルベドは真っ直ぐにアトリエを目指した。
自分の給仕係が結婚をどうのとは一度だけ聞いたことがある。許した覚えはない。しかし禁止した覚えもない。その話を聞かされた直後に、ラナーがどうのと聞かされたため、記憶から吹き飛んでしまったのだ。
それが何がどうなってアインズ様のお許しに繋がったのか。
ふと思い出せば、セバスがナザリックのシモベたちと現地の人間たちとの結婚がどうのという意見を集約してアインズ様へ上奏していた。あれは彼が発案だと聞いていたはずなのに、どうして今になるまで放置していたのか。
「入るわよ!」
考えがまとまらず、ノックもせずにアトリエの扉を開いた。
「アルベド様! お帰りでございましたか! お出迎えが出来ずに」
言い募る男を手で制す。
男はギターの指板を磨いているところだった。男が弾くギターを、アルベドは聞いたことがある。見事な腕前と思うと同時に、ギターよりも自分を鳴らして欲しいと思ったものだ。
今はそれよりも指輪のこと。
「聞いたわよ。ソリュシャンたちに指輪を作るそうね。どんな指輪を作るつもりなのかしら?」
「まだ取り掛かっておりません。デザイン画はございます。こちらです」
デザイン画も設計図も、全てを頭の中に収めている男だ。
この指輪に関しては、パンドラズ・アクターと相談しながらデザインしたため、絵に落としていた。
男がスケッチブックを開く。
見せられたアルベドは、ガガーン!と来た。
仮定の話として、アルベドがアインズからこれと同じデザインの指輪を貰ったらとても困る。
結婚指輪として貰ったら、真意を疑う。本当に自分と結婚するつもりなのか、それとも悪質な冗談なのか。本当に結婚指輪としてくださったのなら、相手がアインズ様であろうと心に修羅を宿して物申さずにはいられない。
「こっ……………………これを、ソリュシャンたちの、結婚指輪、に?」
「結婚はまだ先になりますので、ひとまずは婚約指輪になる予定です」
「婚約指輪に、これを? ソリュシャンたちは何か言わなかったの?」
「もちろん話してあります。私にも同じ指輪をつけるように求めてきましたので、デザインは私に一任されました」
「だ、だからといって、これは…………。いくらなんでもこれはないでしょう……!」
アルベドは、絞り出すような声で言った。
デザインの衝撃が余りにも大きく、結婚やら婚約やらの話はまたも頭から吹き飛んでしまった。
「お言葉ですが、彼女たちに好みのデザインを聞いたところ、私の好きなようにして欲しいと言ってきたのです。パンドラズ・アクター様と相談してこのように素敵なデザインを得ることが出来ました。それなのに、どのような根拠をもってこれはないと仰るのですか?」
男の声はやや鋭い。自分はカッコイイと思ってるのに、いきなりダメ出しされるのはちょっとあれである。ソリュシャンたちも自分の好きなようにして良いと言っていた。
理屈っぽく、変なところで頑固な男である。そんな面があるから、職人気質のウィットニーさんを贔屓しているのかも知れない。
「そ……そうね……」
アルベドは、諦めた。
この男は、こうと決めたらやり通す意志の強さがあるのを知っている。自分に関わることではないため、問答しても得るものはない。時間の無駄である。
「……私は城に行くわ。リファラかキャレットを連れて行くから見送りはいらないわ。あなたは…………頑張りなさい」
「はい! アルベド様の応援を胸に一層励みます! ありがとうございます!」
「…………ええ」
肩を落としたアルベドがアトリエを去り、程なくして扉が乱暴に開かれた。
「お兄様はどのような指輪を作ってくださるのですか!?」
「デザインは出来てるって聞いたっす。見せてもらうっすよ」
血相を変えたソリュシャンとルプスレギナが飛び込んできた。
二人は、どんな指輪が出来るのか心から本当に楽しみにしていた。
シェーダに贈られた試作品を見た。シンプルなゴールドリングだが基本は押さえているようだ。
リファラとキャレットに贈られた試作品を見た。最初の試作品よりずっと洗練されている。
ミラに贈られた試作品を見た。魔法を使わず神ならぬ人の手でこのような指輪が出来るのかと驚愕した。
試作品であれだったのだ。自分たちに贈られる指輪はそれ以上に素晴らしいものだと信じて疑っていなかった。
が、つい先程。とても気まずそうなアルベド様が目を逸らしながら、「指輪のデザインを確認したほうがいいわ。絶対に」と仰った。
とても嫌な予感を覚えた二人は真相を知るべくやってきたのだ。
「アルベド様から聞いたのか? これだよ」
男が無造作に開いたスケッチブックを見た二人は、アルベド以上にガガガーン!!と来た。
男に相談されたパンドラズ・アクターはこう言った。
『4つを1つにするのが難しいなら、1つを4つにすればよい』
ユリの指輪は┓型の石を乗せる。ルプスレギナの指輪は┛型の石を乗せる。ソリュシャンの指輪は┗型の石を乗せる。ナーベラルの指輪は┏型の石を乗せる。
4つの石が合体して作る形はスワスティカ。
マンジとも呼ぶ。形は鍵十字だ。口にすることすら憚られ、忌み嫌われるその名はハーケンクロイツ。
アインズが創造したシモベであるパンドラズ・アクターは、とある時代に存在したドイツ帝国の軍服をモチーフとした衣装を着ている。
設定は外見のみならず内部にも反映され、パンドラズ・アクターはドイツ語を使える。
ならば、パンドラズ・アクターの中にあのシンボルが刻まれているのは道理。諸々の事情があってパンドラズ・アクターの外装には取り入れていないし、使おうものなら一発でBANされても不思議ではないあのシンボル。
パンドラズ・アクターが提案したシンボルを見た男は、一目でかっけぇ!と思ってしまった。
指輪にして身につければ間違いなくカッコいい。素敵である。みんなの憧れ間違いなしである。
婚約指輪には、卍を分解した各パーツの石を乗せることにした。
スケッチブックを見た二人は、わなわなと震え始めた。
言うまでもなく、感動しているわけではない。言語能力を喪失するほどにキレている。
結婚指輪なのだ。
試作品はどれも素晴らしい出来だった。
それが、どうして、こんなジョークアイテム染みた指輪になるのか。
何もかも間違っている。世界の法則が崩れてしまう。太陽が西から上って中天に達したら落っこちて世界が滅んでしまう。
間違いは、正さなければならなかった。
「なんですかこれは!!!!」
「巫山戯てるんすか? 巫山戯てるんすよね? マジじゃないっすよね? おにーさんは時々頭おかしいと思ってたっすけどここまでおかしくないっすよね? 何かの間違いっすよね? 間違いって言え」
「何だ二人とも。俺が好きなのを作ればいいって言ったじゃないか」
心外だと言わんばかりに眉根を寄せる男に、二人は声が出なかった。
デリカシーとか女心の理解に乏しいところを見せること多々な男であると知っていた。
しかし、限度がある。
女の一生を華々しく飾る素敵なアイテムを、どうして悪質なジョークアイテムにしてしまえるのか。
頭が理解を拒む。
言ってわからないなら体で教え込むべきか。
いいや、それは何度もやってきた。何度もやってきた結果がこれなのだ。
最早矯正は不可能なのだろうか。
いいや、これから長い時間を共にするのだ。何とかしなければならない。
今までだって少しずつ色々なことを教え込み、素敵な愛の言葉を息をするように紡ぐようになってきた。
好みのセンスをどうにかするのは難しくても、贈り物のセンスはどうにかさせなければならない。
ソリュシャンは、指輪のデザインをお兄様に任せたことを心の底から後悔した。せめて同じ指輪をつけるように言わなかったらこんなことにはならなかった。
いいや、まだ間に合うはずである。
完成してしまったなら兎も角、まだ作り始めてない。
「どうしてこれを選んだのですか! 以前見せていただいたデザインにはもっと素敵な指輪があったではありませんか!!」
スケッチブックを掴む手は強張って、紙を破って貫通してしまいそうだ。
ソリュシャンは理性の力を総動員して力を緩め、前に見たデザインを確認しようとしてスケッチブックをめくり、
「いいっすか? おにーさんがカッコいいって思っても私は違うんすよ。私はおにーさんでもパンドラズ・アクター様でもなくてルプスレギナ・ベータっす。このデザインは絶対に嫌っす! 大体なんのマークなんすか。十字なら変に尖らせないで普通の十字とか太陽十字にすればいいじゃないっすか。ダメっすよこれ。もう色んな方面からダメって言われるっす。間違いないっすよ」
「……そこまで言わなくていいじゃないか。カッコいいだろうが」
「ダメっす。本当にダメっす。冗談でもなんでもなくて本気でダメっす!」
本当にダメである。
作ったのを身に着けたが最後、有無を言わさずアインズに破壊されるのが確定している。
シンボルの意味を知っていようが知らなかろうが兎も角絶対にダメである。
「ソーちゃんももっと色々言わなきゃダメじゃないっすか。おにーさんはボケボケでも言ったらちゃんとわかるお利口さんなんすから、ダメなことはちゃんとダメって教えないと」
ソリュシャンはスケッチブックを開いたまま固まっていた。
スケッチブックを握りつぶさんばかりに掴んでいた手からは力が抜け、表情からも険が抜けている。口は半開きで目は大きく見開き、呆然としているように見えた。
「他のデザイン見てるんすか? 結構いいやつがあったの覚えてるっす。今度はおにーさんに任せないでちゃんと選んで……」
ソリュシャンの隣からスケッチブックを覗いたルプスレギナも、妹と同じように時間を忘れた。
瞬時に色々な疑問が過ぎったが、言葉に出来ない。ただただ見入ってしまった。
ソリュシャンがめくったページには、絵が描かれていた。自分たちの絵だ。自分たちが絵になっていることがとても不思議で、どうして自分がそんなところにいるのかと思ってしまう。
絵の中の二人は、紙束を見ていた。華やいだ笑顔を浮かべている。
どうしてそんなに喜んでいるのかと思ったら、紙束に描かれているものに覚えがある。様々なデザインの指輪だ。結婚指輪カタログの絵を、絵の中の二人は見ている。
あの時、とても楽しくて嬉しかったのを思い出す。絵の中の二人はとても楽しそうで、その時の喜びを追体験する。
本当にとても嬉しくて楽しくて心が華やいで、幸福感がこみ上げてくる。
蘇った幸せが、怒りを忘れさせた。
「あの……、お兄様? この絵は?」
数分間の追憶から戻ってきたソリュシャンが、絵から目を離さずに口を開く。
ルプスレギナは絵の中に入ったままだ。
「二人がとても楽しそうだったからね。思い出して描いてみたんだ」
「そう、ですか……。はい。……とても楽しくて幸せでした。この絵は、頂いてもよろしいでしょうか?」
「構わないよ」
「ありがとうございます。劣化しないよう保護処置を施してから額装をしませんと」
「そこまでのものじゃないだろう」
気紛れの手慰みで描いた絵だ。実物と見紛うアルベドの絵と比べたら、線は太く荒い。それが写真などではなく絵であることを教えてくる。着色は淡い色で施され、線をはみ出している箇所も多い。それが手書きの味わいとなっている。
字は下手でも絵はとても上手い男なのだ。
「いいえ、私にとってはそこまでのものなのです。……お兄様、ソリュシャンはとても嬉しいです♡」
ソリュシャンはスケッチブックを胸に抱き、男の頬に唇を押し付けた。
「あっ、あっ、わたしも欲しいっす!」
絵が視界から消えたことで、ルプスレギナも現世に戻ってくる。
「1つしかないから交代で飾ればいいだろう?」
「うーーー」
お願いすれば描いてくれるような気がする。
しかし、1つしかないから価値があるとも言える。
「あっ、こら! ソリュシャン待て!」
「いいえ、待てません。お兄様には私の想いを感じ取っていただかなくては」
「私もっすよ?」
ソリュシャンが男の服を脱がせにかかる。ルプスレギナも便乗した。
「だから待て! この前はそのせいでギターがおかしくなって、ナザリックじゃ楽団長に怒られたんだぞ。同じこと繰り返したら音楽室が立ち入り禁止になる。片付けるから少し待て!」
「お手伝いいたします」
「……分解したギターの組み立てなんて出来ないだろう? すぐ終わらせるから待っててくれ」
「はーい♡」
「ルプーもちょっと待て。くっつくな」
ピンク色の瘴気を漂わせる二人に見守られながら、男はギターを組み立てる。
完成してケースに収めた瞬間、押し倒された。
アトリエの床は他の部屋と違ってカーペットを敷いてない。尻もちをついてちょっと痛かったのだが、二人は気にしないどころか気付いてもいなかった。
なお、二人は結婚指輪のデザインについて細かく注文することを完全に失念した。
とてもカッコいいデザインについて散々ダメ出しされた男は制作を中断。二人からの注文待ちとなる。
そしてアルベドは、結婚するとはどういうことかを問い正そうとしたのを忘れてしまった。色々な思い全てをぶっ飛ばすくらいにあのシンボルの威力は凄かった。どの道、アインズからの許可が出ているため、アルベドがどうこう出来る段階を超えてしまっている。
やはりあれは、忌まわしきマークであった。
近々迷走して二進も三進もいかなくなる可能性が出てきました
だったらそっちに行かなきゃいいんですが、そっちに道が見えてしまったんです
どんな道かは多分次々回