クレマンティーヌにまともな男性経験はない。
近隣では文化水準が一番高い法国の生まれなので、それなりの教養はある。所詮はそれなりである。
そんなクレマンティーヌのキスはとても稚拙だ。それ故に、相手と一つになりたい欲求を形にした情熱的な口付け。
唇を強く押し付け、粘膜の接触面積を広くするために舌を深く入れ、相手を取り込もうと強く吸う。抱きしめる腕にも力が入った。
ぷはっと息継ぎするのも一瞬だけ。すぐに唇を押し付け舌をねじ込んだ。
拙いながらも舌を絡ませ唾を啜り、唇から零れた涎が顎にまで伝ったところでようやく離れた。
夢中になっていても、涎を垂らしてしまうのは恥ずかしい。手の甲で拭おうとして、先んじられた。
男の唇が顎に触れ、軽く吸いながら涎の垂れた跡をたどっていく。もう一度唇を重ね、軽く顔を傾けた。
角度が変われば触れ方が変わるし、舌が届く範囲も変わる。何より鼻がぶつからない。
舌を差し込むだけだったクレマンティーヌとは違う。歯と歯茎の境目を舌先でなぞり、唇の裏にも入り込む。
クレマンティーヌの背中に回った男の手は背筋を撫で、腰に回った手は女の体を強く引き寄せる。交差した脚が深くなった。
「んっ」
と、クレマンティーヌが小さく呻く。
目を開けて下を確認したかったが見えるわけがない。感じている事から、そうなっているのだろうと思うだけ。
股の間が押されている。男の太ももが脚と脚の間に入ってきて、股間を圧してる。
尻もそうだ。腰を抱かれていると思っていたら、いつの間にか尻を撫でられている。
反面、背中を撫でる手は子供をあやすようにとても優しい。
キスの味は言うまでもない。クレマンティーヌ自身も知らなかったところを暴かれ、刺激されていく。
高まっていくと同時に、対抗意識が滲んできた。力任せでは駄目だと教えられているかのようだ。さながら膂力だけのモモンをクレマンティーヌが技で翻弄したかの如く。
「……おにーさま、すっごい手慣れてる。さりげなく私のお尻撫でてるし。私なんて……、あ」
「どうした?」
クレマンティーヌが一瞬だけ気まずそうに視線を泳がせた。その上意味ありげに言い淀むのだから、何かあるので聞いてくれ、と言ってるようなもの。
「おにーさまはそーいうの気にしないと思うんだけど」
「内容によりけりだな」
「大したことじゃないんだけど……ね?」
尚も言い淀むクレマンティーヌに、男はイヤな予感がした。
実はおしっこを飲ませるのが大好きなの、などと言われてしまったら一考せざるを得ない。それはラナーで一生分どころか、来世とそのまた来世の分もやっている。アルベド様以外は遠慮して欲しいところだ。
クレマンティーヌは、ふぅっと息を吐き、悪ぶった顔でこう言った。
「私って男どもから目茶苦茶に犯されたことあるんだけど、そーゆーのっておにーさまはどう思う?」
この年まで処女だとは思ってないだろうし、黙っていればわからない。なのに話してしまったのは、クレマンティーヌにもわからない。ただなんとなく、黙っているのは決まりが悪かった。知ったところで汚らわしいと思う男ではないはずだ。
男は険しい顔を見せた。クレマンティーヌはちょっとだけ怯んだが、信じると決めたのだ。
「クレマンティーヌは漆黒聖典の一員だったんだろう? そのクレマンティーヌを捕らえる集団がいるのか?」
「……私が弱っちかった頃のこと。強くなってから全員ぶっ殺したけどね」
「そういうことか」
漆黒聖典の一員すら捕らえる集団があるとしたら、アルベド様にご報告しなければならない。そう思ったのだが過ぎた事だったらしい。
「……それだけ?」
クレマンティーヌは、責めるような目で男を見上げる。遠い昔の話であり、今や何とも思っていない過去。しかし、当時はとても大きく受け止めた。それを話したのだからもう少し何かあって欲しい、と思うのは欲のかき過ぎか。ついさっきのやり取りから、この男はかなりずれてると悟ったばかり。
クレマンティーヌの思う通り、男の中に慰めの言葉はない。
慰めの代わりに頬を撫で、宣言した。
「そんな事はもう起こらない。何かあったら俺が守るよ。そのくらいの権限はあるからね」
「…………うん」
クレマンティーヌは、まじまじと男の顔を見た。その場しのぎの言葉とは思えない。
短い付き合いでも、感情の機微がわかってない男なのは身をもって知らされた。悪びれるどころか恥ずかしそうに千人も殺したと告白する人でなしだ。
しかし、嘘を言う男ではない。何かあったら弁護すると証人も立てて宣言した。アインズの前で期待していると言ってくれた。守ると言ったのも本気で本当だろう。
昨日までだったら、守られるほど弱くないと突っぱねたかも知れない。
今は違う。肩の力が抜けて心が浮ついている。
昨日までのクレマンティーヌは独りで生きてきた。
幼い頃、両親の愛情は優れた兄にだけ注がれた。長じてからもあれの妹扱いばかりされてきた。法国で出来た唯一の友人は死んでしまった。友の復讐もばっちりやったのは言うまでもない。
国を捨てズーラーノーンに入り、そこで何かしらの関係を築く前にモモンに敗れた。
そして今。クレマンティーヌは、生まれて初めて庇護者を得た。
心が浮ついて、柄にもなくはしゃぎたくなった。それでは子供に戻された時と同じだ。唇が緩みそうになり、下唇を噛んだ。
「あっ! ちょっと、手が……」
心を飛ばしてちょっとだけ惚けていた間に、男の手がワンピースの中に入ってきた。
後ろでは服越しに撫でられていた尻を触られている。穿いてるのはやっぱりお子様パンツ。見られたら恥ずかしい。
前では服の中を這い上がってきた。気付いた時には腹まで来ていた。素肌を触られている。ブラジャーを着けられる体ではなかったので、下着にしているスリップの下だ。
魔法が掛かってるワンピースは、強引に捲られたくらいで伸びたりしないようだ。男の手が上るに連れて素肌に外気を感じる。
胸まで来たとき、クレマンティーヌは服の上から男の手を押さえた。動きを止めるためではない。乳房を優しく包む手を強く押し付ける。
「おにーさまだったら私の全部を好きにしていーよ。おっぱいも触りたかったらいっぱい触って?」
思い返せば、夢では胸を触られなかったし見せもしなかった。見せられる胸ではなかったと思う心が反映されたのだろうか。
「そうさせてもらうよ」
「うん。……んっ」
クレマンティーヌの手が離れてから、男は優しく乳房を撫でる。
力を入れて握ったりはせず、輪郭をなぞり、手のひら全体を使ってゆっくりさする。
男は男であるが故に女が犯された時の恐怖や屈辱はさっぱりわからなくても、並外れて倒錯的な被虐趣味でない限り忌まわしい経験であろうとは想像できた。
ならば、記憶を塗り替える経験をさせればよい。
最近はアルベドがナザリックから屋敷に居を移したため、技は尚も磨かれ冴えわたっている。
「え? いつの間に?」
クレマンティーヌの着るワンピースは後ろにボタンがある。
着脱の度に背中のボタンを留めたり外したりが面倒で、クレマンティーヌは頭から潜って着ていた。きちんとボタンを使えば、頭からではなく下から着たり脱いだりが出来る。
そのボタンをいつの間にか外され、襟元が大きく開いた。引っ張るまでもなく、ワンピースはすとんと落ちた。引っかかる部分がなかったわけではない。襟が大きく開いたからだ。
肌着にしていたスリップも、肩紐を外せばするりと落ちる。クレマンティーヌは反射的に胸を抱き、ずり落ちるスリップを止めた。
「おにーさまってばすっごい手が早いね? 私を裸にしたかったら先にパンツ脱がせて。言っとくけど脱がしたの絶対見ちゃダメだからね? 途中から自分でするから」
「わかったよ」
見られたら恥ずかしいお子様パンツである。
男の手がパンツの縁を摘まみ、引っ張った時に剥がれるような感触があった。さっき守ると言われた時、きゅんと来てじわっとしたのは気のせいではなかったらしい。
「そこでストップ!」
太ももを越えて、膝から下は自分の手で脱いだ。スリップが落ちて乳房が見えてしまうのは気にならない。
脱いだパンツがどうなってるか確認したくなったが、見られないようにするのが先だ。丸めてスリップに包んだ。
全裸になり、腰に右手を置いて軽くしなを作った。尻にもちゃんと肉がついてる。
「ルプー様やソリュシャン様ほどじゃないけど、私のおっぱいも揉むくらいはあるでしょ?」
自己申告通りの乳房が形よく上向いている。体には余計な肉がなく、しなやかな肢体だ。ソリュシャンたちとは違う野生美を感じさせた。
男の目を特に引いたのは、乳房の先端だった。
「ああ、とても綺麗だよ」
「嘘つき、っては言わないであげる」
「本当だよ。綺麗な色だ」
「え? ……あれ?」
肩を抱かれながら乳房を触られた。
下から包み絞るような触り方。そのせいで先端が強調される。自己主張するように尖っているのもある。
クレマンティーヌの乳首は、透明感のあるピンク色をしていた。
見覚えがあるけども違和感のある色だった。
黒とは言わないまでも、もう少し茶色がかっていた。
子供の体にされたのでそこの色も薄くなっていたが、大人に戻ったら元の色に戻ると思っていた。
それがそのままだ。子供になっていたボーナスだろうか。なんであれ、綺麗なのは嬉しい。
「ふふ……。でも、これからおにーさまに染められちゃうんだよね?」
「そうなるな」
肩を抱かれたまま、ソファに座った。大きいソファだ。座面が深くて余裕で寝転べる。
男が隣に座った。胸はずっと触られている。
顔と顔が近付いて、互いの吐息が唇を撫でた。
乳房を包む手はどこまでも優しい。優しすぎて触られてるのを忘れそうになる。そのくせ体は張り詰めていく。
乳首が立っているのがわかる。敏感になりすぎて、空気の動きすら感じてしまう。
「んぅ…………」
見つめ合うだけで言葉はない。
唇が唇を掠めても、合わさりはしない。
クレマンティーヌは抱き着きたくなるのを耐えた。自分からキスをしたり抱き着いたりしては、なんだか負けたような気分になる。
もどかしい思いは太ももを擦り合わせ、拙い手で男のシャツのボタンを外す。
全部のボタンを外したところで、全身が痺れた。焦らされて熱が溜まった乳首を摘ままれただけ。
声は出せない。口を塞がれた。
ソファに押し倒され、両方の乳房を揉まれている。右も左も気持ちいい。
勝ち負けを忘れ、男の首筋を掻き抱く。下になってるせいで立ってた時よりも注がれる唾が多い。すぐに飲み込んでは勿体ない。二人分の舌でれろれろとかき混ぜてから、泡立った唾を少しずつ嚥下する。
男が半裸になるなり、クレマンティーヌは堪らずと云った様子で抱きついた。
「ふふっ、おにーさまっ♡ ちゅっ」
今度はクレマンティーヌが上。座る男の脚を跨ぎ、ソファに両膝をつく。
裸で抱き合いたかったし、キスは何度しても飽きそうにない。それ以外の策略があった。
(あはっ、やっぱり来た! おにーさまはエッチなんだから♡)
尻は撫でられた。胸を揉まれて乳首を摘まれた。そっちをもっとしてもらうのも捨てがたいが、それ以上にして欲しい所がある。そのためにわざわざ股を開いたのだ。
狙い通りに、男の手が股の間に伸びてきた。
「んぅ……、ちゅっ、れろ……。んっ……」
キスをしてるせいでくぐもった声しか出てこない。だけども体はちゃんと感じていた。
秘部の上に添えられた手が、小さな円を描いている。触れられてる部分が温かい。奥で生まれた熱がじわりと落ちてくる。
「あんっ♡」
唇が離れた瞬間に、指が割れ目に沈んできた。
なめらかな内側を撫で、隠れていた肉芽に触れる。思わず甘い声が出た。キスの途中なのだから、熱い吐息が男の唇を湿らせる。
美しい男がじっと見ている。
「可愛い声が出るんだな」
「うっ……。つい出ちゃっただけだから!」
クレマンティーヌは赤くなった顔を背けた。
ろくな男性経験がなかった。感じて声を出してしまうのは、一人遊びの時でも稀だった。
男に触れられて声が出るのが初めてなら、気持ち良いと思ったことすら初めてだ。
自分ですら聞いたことがない声を指摘されるのは、経験の少なさをからかわれてるように感じてしまう。
「褒めてるんだよ。もっと聞かせておくれ」
「んっ……、あんっ! あぁっ、そんなつまんじゃ、んぅぅっ♡」
「クレマンティーヌとこうするのは初めてだろう? どこをどうされるのがいいか教えてくれないか?」
「えっ……。でも、そんなの……。あぁ……、はぁ……。それ……イイ……」
「どっちだ?」
「…………こすられるほう……。あぁんっ♡」
クリトリスを探り当てた指は、根本を軽く押して包皮をむき、つるりとした肉芽を直に撫で始めた。
指が二度三度と上下する内に膨らんでくる。湿っていた内側がぬかるみを増してくる。
クレマンティーヌに、キスをする余裕はなかった。男の首筋にすがりついて甘い声で鳴くだけ。足腰が痺れて膝を立てるのすら難しくなっていく。
男の左手に尻肉を揉まれて掴まれ、尻の割れ目を広げられる。後ろから見られたら、肛門が広がってるのを見られてしまう。恥ずかしいからそんな事しないでと言いたいのに、口からは意味のある言葉が出てこない。
「あっあっ、あんっ♡ それっ……、それして?」
「どれのことだ?」
「くっ……、くりの、ほう……。あっだめソっちはぁ……!」
「痛むか?」
「いっ、いたく、ないけど……、ひゃんっ!」
男の長い指は尻の割れ目に届いていた。裸になっていてもちょっぴり汗ばんでる部分だ。
熱気を掻き出すように指先が割れ目を撫で、窄まりで止まった。
右手がクリトリスを撫でるなら、左手は肛門を撫で始める。止めろと言いたいのに言えない内に、圧力が増していった。ダメと言えたのは、指先が入ってから。
感じたことのない異物感に背筋が粟立ち、ぬるりと抜けたときの開放感と気持ちよさは言葉に出来ない上に言えるわけがない。敗北感を噛み締め、恨めしい目で睨むのが精一杯。
「力が抜けただろう?」
「……わたし、そっちでしたことないんだけど?」
「次の楽しみにとっておくよ」
「決定なんだ? おにーさまのヘンタイ!」
「失礼な!」
言葉で応酬する間も右手は蠢き続けている。
割れ目の内側をぬるりと下がっていき、女の穴にたどり着く。
指先で入り口を軽く撫で、
「あれ?」
「なっ、なに? 入れるんじゃないの?」
クレマンティーヌは、指が入ってくるのを期待していた。なのに入り口を撫でるだけで入ってこない。
「わっ!? ちょっとなに!?」
直後、ソファの上に押し倒された。太ももを押されて股を開かされ、女の割れ目を広げられる。
これから何をするか自覚があっても、じっくり見られるのは恥ずかしい。
男という生き物は女が恥ずかしがる様を好むと聞いたことがあったので、そのためかと思ったら違った。怪訝そうな男の言葉に、かなりイラッと来た。
「クレマンティーヌ、処女?」
「……違うって言ったでしょ? それとも素人処女とかって言いたいわけ?」
犯されたと告白したばかりだ。それ以降、男性経験はない。欲求を覚えても殺人衝動にすり替わった。やってやった時は甘美な快感を味わった。
そんなクレマンティーヌに恋人や情夫がいたわけがない。
わかりきった事を聞く場合、言外の意図がある。推測出来る意図は、どれもこれも面白くないものばかりだ。
「そうじゃなくてだな……。見たほうが早い」
「なっなに!?」
「こら、暴れるな。危ないだろ。すぐ済むよ」
クレマンティーヌは、ソファから立たされたと思ったら抱きあげられた。それも後ろから。
男の両手は両膝の裏に入っている。必然的に股を開き、股間を突き出すポーズになった。
「カーテンを開けてくれ」
「はあ!? するわけないでしょ! おにーさまやっぱり変態? 下ろしてくれないなら飛び降りるけど?」
挙げ句、窓辺にまで移動してカーテンを開けろと言う。一体誰に見せるつもりなのか、クレマンティーヌの趣味からは大きく外れる。
かつてはビキニアーマー装備だったが、そこまでさらけ出すつもりはない。
「お前は俺を何だと思ってるんだ。窓を鏡にするだけだ。アインズ様が魔法を掛けてくださってるから外からは見えないよ」
アルベドと窓辺でアナルセックスをしたことがある。覗き見防止は実証済みだ。
「……実は外から見えたってなったら許さないからね」
変態だと思ってるとは言わないでおいた。既に言ってるかも知れないが、それはそれだ。
思い切ってカーテンを開ければ、窓の外は闇が濃い。窓ガラスは鏡のようにクレマンティーヌの姿をくっきり映した。
後ろから両膝を持ち上げられて、大股を開くとても恥ずかしい格好。今度こそ羞恥を煽るため。効果は抜群だ。自分でなければ笑ってやれたが、自分となるとただただ恥ずかしい。子供にされていたからか、無毛なのでなおさらだ。
そこに追い打ちがあった。
「自分で広げてみろ」
「う……うん……」
この格好で、広げろと言われたら場所は一つ。
股を開かされても閉じたままの割れ目に触れ、ふっくらとした陰唇を左右から広げた。顔は背けた。見ていられなかった。
「ほら、自分で見てみろ。処女膜があるだろ?」
「えっ?」
言われ、窓を見る。煽情的な格好をした自分の姿がある。広げた部分に目を凝らした。
割れ目の内側はしっとりと濡れ光り、ねだって嬲られたクリトリスが膨らんでいる。その下には小さな膣口。距離があるので入り口は良く見えない。言われてみれば、小さな肉ひだが入り口を狭めているように見えなくもない。
陰唇を押さえる指を伸ばし、恐る恐る触れてみた。確かに膜が付いている。
そんなところを意識して見たことも触れたこともなかったので前と比べてどうとは言えないが、処女膜としか思えない。
「うそ……。なんで?」
「アインズ様の元で回復魔法を掛けてもらった事はないか? 俺も古傷を癒してもらったし、その効果じゃないかな」
「おにーさまも? でもこれ……ほんとに?」
膜を破かないように指を入れてみた。
濡れているので入らなくもないがきつくて狭い。記憶にない異物感。指を増やして痛みを感じるかどうか試そうと思って、思い留まった。本当に処女の体になったのなら、指で破るのは勿体ない。
腕から下ろしてもらい、男の手を引いてソファに戻る。
自分が上か下か迷ったが、先にすることがあった。
男のズボンをえいっと脱がせば逸物が跳ね上がる。股間が膨らんでいた事から立ってる事はわかっていた。生で見ると凄い迫力だ。
「うわぁ……、おにーさまのちんこすっご。これじゃ子供の私だと入んないよね」
夢で見たのよりずっと大きい。
男をソファに座らせて、股間に顔を近付ければ匂いがあるし熱も感じる。夢を辿るように握って上下に振り、先端だけをぺろりと舐めた。
二人はクレマンティーヌの処女膜を回復魔法で治ったのだと思ったが、実際は違う。若返りの秘薬の効果である。
若返らせ方には二つの方式があった。一つは単に肉体を若返らせる。もう一つが肉体の時間を巻き戻す。
どちらも同じ結果を得られるが、後者だとそこに加えて体で得た経験の全てが消える。いわゆる体で覚えた動きが出来なくなる。そのため、頭ではわかっているのに体が思うように動かない事が多発する。クレマンティーヌは生き返ってから武器を持って戦うことが一度もなかったため、気が付かなかった。
アインズはクレマンティーヌを弱体化させるために若返らせたのだから、より戦闘能力がなくなる時間を巻き戻す方式を選ぶのは必然だった。
クレマンティーヌは何の経験もない十歳児の体にされてから大人の体になったのだ。
不思議の青いキャンディーの効果は子供を大人の体にするだけ。それ以外は何も足さない何も引かない。
十歳のクレマンティーヌが持っていたものを、当たり前のように持っている。それだけである。
クレマンティーヌの舌と亀頭とで糸を引く。拙い技でも熱心にしたおかげで、湯気が立つほど熱くなっている。
「これだけシコシコしたんだから十分だよね? 早く入れて?」
クレマンティーヌは、ソファの上で股を開いた。座面に足を乗せるM字開脚。恥ずかしいポーズでも、さっき窓辺でしてしまったのに比べたらずっと大人しい。
割れ目も広げた。高まった期待が濡らしている。
「もっとほぐした方がいい。そんなに焦らなくてもいいだろう?」
「ダメ。早く!」
触って少しは濡れてきたが、中はまだ触れてない。処女に戻ったというなら良くほぐさないと痛むというのに、クレマンティーヌは聞こうとしない。
男はソファの前に膝立ちとなって、位置を合わせた。
早く早くと急かされて、内側を亀頭で撫でる事もなく入り口にあてがう。
軽く押しても入らない。ただでさえ狭い穴を処女膜が狭めている。
「早く入れて。おにーさまのちんこじゃなきゃダメなの。痛くても平気だから、早く」
「……クレマンティーヌはそのまま広げていてくれ」
「うん」
ゆっくり押しても押し返されるだけ。
クレマンティーヌの細い腰を掴み、動かないよう固定する。前傾姿勢になってクレマンティーヌに軽く口付け、軽く腰を引く。勢いをつけ、押し込んだ。
「いっ…………ぎぃ……!」
引き締まった体。未通の穴。入り口が狭ければ中も狭い。男の逸物がこじ開け貫き、侵入していく。
肉の穴は男が通る部分を開かされ、一番奥まで侵された。
入ってきたものをきつく締め付けるのは処女の固さ。
「ははっ……、あはははっ! おにーさまのおっきいから……、すっごく痛いよ」
クレマンティーヌは虚ろに呟き、結合部に手を伸ばす。
指先で感じるぬめったものは、赤い色が付いていた。
「血も出ちゃってる。わたし、ほんとーに処女になってたんだ」
クレマンティーヌは笑った。痛むのか、泣き笑いのような表情だ。
「ほぐしてからの方が良かっただろう?」
「いーの。痛くしたかったから。でも、わたし処女だったよね? わたしのおまんこに入ったのっておにーさまのちんこだけだよね?」
「そうだな。この固さで処女じゃないってことはない」
「固さとか言わないでよ。何か比べられてるみたいじゃない。これからおにーさまにが育ててくれればいいでしょ?」
「時間はある。じっくり育てるよ」
「あはっ……。おにーさまの色に染めちゃっていーよ? とりあえず真っ白にしちゃうのかな?」
「掛けて欲しいのか?」
「変態。あれの色が白だから真っ白ってこと」
内側から真っ白に、だ。
そうすればいつか子供が出来るかも知れない。おにーさまの子供だったら産んであげるのは悪くない。子供まで作ったらただの使用人や部下扱いは出来ないはず。夢で見たおにーさまのお嫁さんはちょっと行き過ぎな気がしないでもないので一先ず保留。少なくとも愛人かそれ以上の立場を得られるのは確実だ。今より高待遇が見込める。
一瞬でそこまで計算した。絵に描いた餅となるか否かはこれから次第。
「私のおまんこって新品になったけど、おにーさまに早速使われちゃったから。そろそろ痛くなくなってきたし、動いていいよ? 中で出していーからね?」
元々が優れた戦士だったクレマンティーヌだ。処女に戻ったので体を貫かれる破瓜の痛みはそれなりだったが、耐えられないでもない。
言葉を交わす内に、痛みに慣れてきた。今や痛いというより熱いと感じる。
「もちろんそうする。ここまで来て、途中で止められるわけがない」
「うっ……うん……」
体を重ねた状態で、間近で男が囁いた。
赤と青の目に少しだけ嗜虐的な色が混じり、クレマンティーヌはちょっぴり気圧された。怖いとは思わない。何をしてくれるのかと期待がもたげる。
クレマンティーヌは、おにーさまは自分を気遣って全く動いてないと思った。実のところは動いている。
男はクレマンティーヌの呼吸と脈動を読み、体が緩んだ隙に少しずつ動いていた。おおよそにして3秒に1ミリ。アルベド曰く「動いてないのに蛇のように蠢いている」動きである。
クレマンティーヌは全く気付いていない。しかし、体は応えている。狭い穴の内側を少しずつ把握されていく。
「ちゅっ……れろ……。ふふっ♡ んっ……、あんっ」
軽いキス。互いに舌を伸ばして舌先だけで触れ合い、口内に溜まった唾が溢れる前に塞ぎ合う。
挿入が果たせたので、男の手は腰から乳房へ移った。撫でていた時より力が入り、柔肉に指が埋まる。少々強めで暴力的な方がクレマンティーヌの好みに適った。ともすれば、乳房を握る指が体の中に溶け込んできたような。
「あっ……、ちくび、つまんでいいよぉ? おにーさまなら吸ってもいいから……。でも……ぬいちゃだめ」
3秒に1ミリでも、同じ方向に進み続ければクレマンティーヌでもわかる。
キスをしている間に、入っているものが抜けかかっているのを感じた。
痛みはかなり薄れてきた。快感とまではいかないが、一つになってる充足感がある。入ってくれてるだけでいい。
「わかってるよ。中で出していいんだろ?」
「うん……。んっ、あんっ♡ そのこすられるの、つままれるより好きかも……。うぅ……、声でちゃうぅ……。ひゃあぁぁあんっ♡」
固く尖った乳首は、触れるか触れないかの距離で先端だけを擦られ続ける。張り詰めていくのを感じ、キスの合間にそっと下を見れば、見たことがないほど勃起している。
そこへ不意打ち気味に摘ままれた。快感が口をこじ開け、甘い叫びが飛び出てくる。
恥ずかしいと思ったし、自分の体を支配されてるとも思った。だけども、抗おうとは思えない。
折角気持ちいいのだから、委ねてしまった方がいい。
「そろそろ、かな」
「え? あっ……なに? あっ、あっ? あぁっ!? あっ、なにこれ? えっ? あっあっ、うごいてるのぉ?」
クレマンティーヌが気付かないペースで動いていた逸物が、クレマンティーヌでもわかる速さで動き始めた。
あくまでもわかる程度で、注挿はごく静か。ゆっくりと抜けて、ゆっくりと戻る。
動き始めてから、クレマンティーヌは痛みがないことに気が付いた。
体の中を、男の体が往復している。
欠けた部分を満たされた充足感に、快感が絡みつつある。苦痛どころから幸福感が湧いてきた。
体を飛ばされまいと男の体にしがみつく。
「あんっだめぇ……! あっあっ、あんっ♡ あんっ♡ えっ? えっ? なっ、なにしてるの?」
「愛し合ってるんだよ。クレマンティーヌは知らなかったのか?」
「しらないぃっ……。だって、だってぇ……!」
「だって?」
「こんなの……、はじめて♡」
覚醒サキュバス御用達の体と技である。
逸物を膣に馴染ませ内側を把握して、感じるであろうところを的確に擦っていく。
ペースはほんの少しだけ速くなる。クレマンティーヌの締め付けが動きを遮る事もない。処女の固さは取り切れなくても、男が通る道をきちんと開いて受け入れる。
逸物にまとわりついていた破瓜の血は、行き来する度に流れていった。
男が腰を打ち付け先端が子宮口を叩いても、クレマンティーヌに痛みはない。奥から響いて、体全体を駆け巡る。男にしがみついていなければ、自分がどこにいるのかわからなくなったかも知れない。
「すごいっ、きもちいっ♡ あんっ♡ セックスって、こんなにイイの? ああんっ! ……腰振っておっぱい触るなんて、おにーさまってすっごいきよぉっ♡」
さっきと強弱が違うだけなのに、クレマンティーヌには全くの初体験だった。痛いほど尖った乳首は、抓られれば痛いだろうに快感がある。
自分の体を支配する男の体は暴力的で、入って来た時は痛みに呻くほどだった。それがいまや自分から求めている。抜ける時は逃がすまいと締め付けて、戻る時は緩んでしまう。
圧倒され過ぎて、反射的に憎まれ口が出てきた。
向こうはそうと受け取らなかった。
「こんな事で器用と言われても、な」
「あんっ、ぬいちゃだめだってぇ……。あっ?」
大きく開いた脚を、右だけ持ち上げられる。
男は脚をくぐってクレマンティーヌの後ろに入り、ソファに横たわった。
ずっと挿入したままだ。クレマンティーヌもソファに引き倒され、落ちないよう後ろから支えられた。
左脚は下になって、右脚だけ上げられている。
「こっちも反応が良かったな」
「やぁぁあぁあんっ♡ こんなの、あるの? んぅっ……、あはっ♡ やああぁぁぁあんっ♡」
座面が深いソファなので、腰を振る広さは十分あった。
二人とも横たわって、男が後ろから挿入する側位の形。
男の下腹がクレマンティーヌの尻にぶつかり、逸物が膣を深く抉る。
男の手は前に回って、割れ目の上端に指先を伸ばした。勃起したままのクリトリスを圧し、小刻みに上下に擦る。
膣の潤いが増して、きゅうと締まった。
クレマンティーヌは、言葉にする余裕がない。
何もかも初めてで、されるがままに受け入れている。
自分の中に男が入っている実感が心も体も満たしている。
触られる部分の全てが素晴らしいのだから、深く繋がれば繋がるほど満たされる。
あえぐばかりの口からは、たらりと涎が垂れてきた。
「あっ♡ あっ♡ あっ、うむぅ……、んっ……ちゅる、じゅるる……んっふぅ……♡」
無理な姿勢で強引に振り向かされ、唇を奪われる。
舌を入れられたっぷり唾を注がれたのを、喉を鳴らして飲み込んだ。
抵抗できないのはいつかと同じ。けども全然違う、次元すら違う。出来ないではなくしたくない。自分の全てを委ねたい。子供を産んでいいと本気で思うくらいに委ねてしまう。
「あっ、かお見せて……。あぁ、おにーさま……」
夢の中では気取った事を言えたのに、今の自分は蕩けきっている。赤と青の光に溺れたようだ。
いつの間にか体位が変わって、自分がソファを背にしていた。おにーさまは上から包んでくれている。重さが苦しいどころか心地よい。
一体感が素晴らしい。今までの自分は欠けていたのだと思い知らされる。繋がった今こそが正しく完成した形なのだ。
「ああ……、おにーさまがわたし見てる。もっと見て。もっと犯して? おにーさまのちんこなら、どんなに犯されてもいいから」
「犯して欲しいの間違いだろう?」
「ほんとはそうなの♡ ずっと入れてて欲しくなっちゃう♡ あっうぅ……。これ、すごくてぇ♡ チュッ♡」
クレマンティーヌは余裕ぶって男の頬を両手で包み、啄むように口付けをする。
開いているだけだった脚はピンと上に伸ばしてから、男の腰に回して足首同士でロックした。
紫色の目は淫靡に輝く。赤と青に映る自分の目を見ていた。
破瓜の痛みはどこにもない。名残は股を少々汚す血の跡だけ。
挿入されてる一体感はもちろんの事、裸で抱き合ってるだけでも気持ちよい。南の海に浮かびながら、美しい蛇が全身に絡みついているかのようだ。温かく、なめらかで、優しいくせに力強く、自分の体を隅から隅まで這いずっている。
「もう痛まないみたいだな?」
「そんなのとっくに。男なんて腰を振るしか能がないって思ってたのに、おにーさまってすっごく優しいんだもん。じっくりされ過ぎちゃって、おまんこがおにーさまのちんこ覚えちゃった。私の中に、おにーさまの形があるの。嬉しい? もう私のおまんこはおにーさまのちんこじゃないと満足できないかも?」
注挿はずっと静かだ。止まっている時の方が多い。動く時も短い距離を往復して、入り口から奥まで一息に来たのは最初だけ。
「でも、おにーさまも満足しないと不満かな? 出していいって言ったのにまだ全然だよね? 激しくしてもへーきだよ? もう痛くないし、少しくらい痛くてもだいじょーぶだから」
記憶を上書きして処女に気遣った優しい動きは、きちんと成果が出ているようだ。
クレマンティーヌはいやらしく微笑んでいる。
体の反応も上々で、胸板に擦れる乳首がずっと立ったままなら、逸物を締め付ける膣肉は隙間なく密着しながら締め付けに緩急が出てきた。中で動くと、溢れる愛液が流れるのを感じた。
一度抜ける寸前まで引いてから、同じ速さで奥に戻る。侵入を拒もうとする弾力はない。むしろ欲しがっているかのように媚肉が絡む。
そろそろ動いても良さそうだった。
「行くぞ?」
「うん……。ひゃあっ!?」
さっきと同じ動き。速さだけは倍以上。先端は子宮口を叩いて、受ける衝撃も強くなった。体の真芯を打ちぬかれた。
顎が上がって声が出る。瞬間、視界が真っ白になった。
「あっ……あんっ! はっ、あっ、あぁんっ♡ あふぅっ……。んっんぅっ……。あっあっあっ、あっっはぁぁぁああぁああんっ♡」
男は女の体を逃がすまいと肩を抱き、股の間に腰を打ち付ける。
クレマンティーヌの穴を男の逸物が何度も通る。内側の粘膜を全て把握している肉棒だ。乱暴な注挿に見えて、感じやすい部分を重点的に擦っている。
膣肉がきゅうきゅうと締めてきても止まらない。激しくしても、と言ったのはクレマンティーヌ自身だ。知らないから言ってしまった。
「あんっ、あっ、おっおにー、あ゛あ゛っっ! っくぅうう……。いっ……イッて……♡ あ…………、あ゛っっっ、はあぁぁああああぁぁあぁぁああんっ!」
聞く者の耳を蕩けさす甘い声は、叫び声に似てきた。
腰が跳ね、背が弓なりになって顎を反らせる。開いた口からは舌を伸ばし、涎を垂らした。目は大きく見開いてるのに、焦点が合ってない。
覚醒サキュバス御用達の技と体なのだ。それが全力で全てを駆使している。肉体の快楽は言うに及ばず、魂まで侵してきた。
肉体が精神に反映されるなら肉体は精神に応え、何度も絶頂して痙攣しても、健気に男を締め付ける。
いつでも受け入れられるように子宮口は小さな口を開いたままで、膣壁は奥へ取り込もうと蠕動している。
何度も達するどころではなく、絶頂が続いていた。
経験があれば、果ても底もないことに恐怖を感じたかも知れない。
クレマンティーヌはそこまで知らない。知っていたとしても、優れた戦士であるクレマンティーヌは未知を恐れない。我が身を火にくべ禁忌の至福で焼き尽くす。
「そろそろ、出すぞ!」
「うんっ、うんっ! うっ! あっ! あぁん……あぁ、ぁ、あっあっはあんっ……! あ゛っ、ーーーーーーーーーーーーーーーーっっ!!」
クレマンティーヌは訳も分からず頷いた。
股間と股間がぶつかって乾いた音に泡が弾ける音が混じり、子宮口に押し付けられた尿道口がどぴゅどぴゅと熱い精液を吐き出した。
処女の膣は、男の形も味も覚えさせられた。
逸物がぴくぴくと震えるのを、きゅううと締まった膣が感じている。
最奥で出された精液に逃げ場はなく、唯一開いた子宮口へ流れていった。
夢ではない。クレマンティーヌは、男の精液を子宮で受け止めた。
この世の全てを手に入れたかのような全能感。
絶対に逃がさないように、クレマンティーヌは男の体を強く抱きしめた。
入ったままの逸物も締め付ける。果てたのに固いままだ。
クレマンティーヌの呼吸が落ち着いてから男が切り出す。
「もう一度しようか?」
「……うん」
クレマンティーヌは、のぼせた顔で頷いた。
▼
二度目もソファの上で。
クレマンティーヌがソファの背もたれを掴んでソファの上に膝立ちとなり、男が後ろから挿入する。
下腹が尻を打つたびに、尻肉が波打つのが目に楽しい。
続ける内に、クレマンティーヌは背もたれを掴んでいられなくなった。膝立ちだから良かったものの、床の上に立っていたら、立っていられなくなったことだろう。
最後はソファの上に崩れてしまい、男がクレマンティーヌの脚を抱えて腰を使った。
二度目もクレマンティーヌの希望通りに中で出す。
三度目の前に、クレマンティーヌの口を使った。まずは基本のお掃除フェラ。ちゅううと吸わせて吸い出させる。精液の味と、自分の愛液の味も知った事だろう。
舐める以外に口で頬張ることを覚えさせる。舌使いはまだまだでも、しゃぶらせていれば元気になって来る。しなくても元気でいられる男だ。
三度目は上に乗る事を教えた。挿入は男がリードして、腰を振らせる。
男も動きを合わせて下から突き上げ、クレマンティーヌは動けなくなった。ぐったりと男の体に倒れこみ、尻を小刻みに震わせる。
仕方なしに男がクレマンティーヌの腰を支えて下から突けば、クレマンティーヌは鳴いて泣いた。
三度目も膣内で射精した。
「………………わたし、おにーさまのお嫁さんになる」
男の体に身を預け、独白するように宣言した。
体を許したから、処女を捧げたから結婚する。なんて価値観をクレマンティーヌが持っているわけがない。
おにーさまから離れず傍に居続けるのに、それ以外の方法が思い付かなかっただけである。
セックスがとても良くて、今まで抱いていた価値観を粉砕されたが、それだけではない。それだけで選んだらただの淫乱だ。とても大きな部分を占めるかも知れないが、けしてそれだけではない。
自分を信じて、守るとまで言ってくれたのだから、離れたくないと思うのは当然だ。それに、こんなにも濃厚なセックスをしてしまったら、孕んだかも知れない。孕んでなくとも、これから何回もしていればいつかは出来る。
おにーさまは人でなしだが、やり捨てする男ではないと信じている。きっと色よい返事が返ってくる、はずだった。
「俺の妻は六人まで決まってるらしいんだ。クレマンティーヌは七人目になるが、他のがどう言うかな」
「はあ!? 六人!? おにーさまって結婚してたの!? って言うか六人ってなに!? なんで六人もいるの!?」
「結婚はまだだよ。予定が六人ってだけで」
「………………誰?」
物凄い美男で凄まじくセックスが上手くて、ちょっとしたお使いに金貨を千枚も出す財力があり、一国の宰相閣下相談役の地位がある。
これを逃す女は馬鹿だ、と思ったら先約があったにせよ六人である。結婚は一人とするものではなかったのか。クレマンティーヌの想像を越えていた。
「三人はクレマンティーヌも知ってるよ。後の三人はどうかな?」
「私が知ってる三人? …………………………アルベド様、は違うよね?」
「アルベド様が俺と結婚なさるわけないだろう」
アルベド様は、いずれアインズ様の正妃となられるお方だ。
自分が六人と結婚することをアインズ様お認めになっているので、魔導国はともかくとしてナザリックでは重婚が可能。ならば、女性が複数と男性と結婚することも可能だろう。しかし、アルベド様と自分では身分が違い過ぎる。望んだところで叶わない。
実のところ、アインズは重婚を認めたわけではない。姉妹喧嘩の飛び火を恐れて思考停止しただけである。しかしソリュシャンを始めとして、事態はそちらへ動いている。最早アインズであろうと止められない流れになっていた。
「じゃあ誰?」
「一番始めに言い出したのはソリュシャンだよ。ユリさんが続いたけど、クレマンティーヌは会った事がないはずだ。エ・ランテルで孤児院を運営してるしここに来ることもある。その内会う機会があるだろう」
「……美人?」
「ソリュシャンとルプーとナーベラルの姉、って言えば想像つくかな?」
「………………」
あれは姉妹だったのか。似てなさすぎる。何にせよどれも絶世の美女である。見た目で比べられたら勝ち目がない。
そして、ちょうど三人だ。
「その三人が私の知ってるっていう?」
「そうなる」
「くっ!」
予感が的中してしまった。
残る二人は自分でも何とかなる相手だろうか。
「あとの二人は?」
「聞いたことあるかも知れないが……。ローブル聖王国の聖王カルカ・ベサーレスは死んだ。いいな?」
「……? ヤルダバオトってのにやられてアインズ様が助けに行ったって聞いたけど。カルカってのは死んだの? すっごい美人って聞いたことあるよ」
クレマンティーヌが死んで冷凍保存されてた間の話である。
その辺りの事は、お勉強の時間に色々聞かされていた。魔導国が建国してから国際情勢が変わりすぎである。
「その通り。カルカ・ベサーレスは死んだ。だから、カルカは聖王国とは関係ないただのカルカだ」
「…………」
嫌な予感がしてきた。
自分のように、死んでから生き返らされたのかも知れない。
「そのカルカで一人。正式な婚姻関係ってよりは対外的に見せる相手だけどな」
「くっ!」
またも予感的中!
美貌が近隣諸国に鳴り響く女だ。とても分が悪い。
「……最後の一人は?」
「帝国四騎士とか言ってたから聞いたことがあるかも知れないな」
「もしかしてそれって、レイナース?」
元漆黒聖典の一員として、帝国の有力者の名は頭に入っている。
帝国四騎士で女と言えば、レイナース・ロックブルズしかいないはず。
「でもたしか……、顔があれだったとか聞いたけど……?」
レイナースは呪いを受けて顔が醜く変容し、呪いを解く方法を求めて帝国に仕えているのは知られた話だ。
しかし人でなしのおにーさま。価値観はうっすらとわかってきたが、女性の好みまではわからない。
「ペストーニャ様のご厚意で呪いは解けたよ。ペストーニャ様にお会いする機会もいつかあるだろう」
「へえ……。でもレイナース、ね。……よし!」
呪いを受ける前はそこそこ見れる顔だったらしいとは聞いていた。
だが、他の錚々たる名前に比べれば勝ち目がある。自分とてそれなりでいるつもりだ。現に三回も続けてやってもらった。大丈夫悪くないイケてるはず。
そう、たっぷり出してもらったのだ。
「でもでもー、おにーさまってば私のおまんこにいっぱい出したよね? 子供が出来ちゃったらどーするのかなー? 一人で産めとか言わないよね?」
「いや、無理だろ」
「は?」
言下に切り捨てられた。
心と体が言葉を拒否する。
どういうことか問い質そうとして、男がわけがわからない言葉を続けた。
「そろそろだ」
「そろそろって、何が?」
男はソファの上に寝転んで、クレマンティーヌはその上に乗っている。
股は一応拭いてあるが、中に出されたのはそのままだ。量が多かったのでそれなりに溢れてしまったが、わざわざ掻き出したりしない。
それが突然、とぷりと溢れてきた。
「え?」
男の顔が遠くなった。
何が起こったか把握しようと体を起こせば、手足を突っ張ってるのに高さがおかしい。
呆然と、右手を顔の前に持ってきた。
ちっちゃくて可愛い手だった。
「はあぁぁああ!?」
飛び起き、窓辺に駆け寄った。
ガラス窓に映る己の姿は、背丈がなければ太ももも細くなっている。内股をとろつく粘液が流れていく。
なによりも、おっぱいがない。揉むこともできない。触ればふにっとしている程度。
ほっぺを触れば、窓に映る姿もほっぺを触っている。
大人に戻ったはずの自分の体が、小さな子供に戻っていた。
現実を認識すると、体が勝手に震え始めた。
「あんのほねえええええええぇえええ!!! わたしをだましたなーーーーーーーーーっ!!」
「こら、骨じゃなくてアインズ様とお呼びするようにって言っただろ」
「だってアインズ様わたし騙したんだよ!? 元に戻すって言ったのに戻ってないじゃん!」
クレマンティーヌの認識では、子供だったのが一時的な姿で、元の大人の体に戻してくれたと思っていた。
それが、逆だった。子供が本当の姿で、一時的だったのは大人の体だったのだ。
「大人になろうと思えばキャンディーを舐めればいいんだからいいじゃないか。但し、アインズ様から管理するよう言われたのは俺だ。いつでもどこでもってわけにはいかない」
「……もらったのは私なんだけど?」
「自由に使われると面倒な事が起こるかも知れないんだよ。同じ品をアインズ様から頂いた方がいて、その方がクレマンティーヌも同じ品をもらったと知ったら嫉ましく思うかも知れない」
「……その方っておにーさまより偉いの?」
「偉い」
「ルプー様より?」
「……ずっと偉いし、ルプーたちが束になっても敵わないお方だ」
クレマンティーヌの認識では俺よりルプーが上なのかと、男はちょっぴり肩を落とした。
「若返ったと思えばいいだろ? 寿命が十年は延びたんじゃないかな?」
「そうだけど……」
子供のままでは、子供を産もうにもその前の行為が不可能だ。
だったら大人の姿でやってから、と思ったところで子供に戻ってしまったら孕もうにも孕めない。
子供が作れる体になるまで、早くて無理して三年は要る。安定をとるなら最低でも五年は待ちたい。
そうすると男も五年は齢を重ねることになる。五年や十年で衰える美貌ではないだろうが、叶うならば旬の時期に合わせたいと思ったところでピンときた。
「おにーさまって人間だよね? 実は悪魔で、ってか淫魔で年を取らないとか言わないよね?」
「ルプーみたいなことを言うな。ちゃんと人間だ」
ことあらば淫魔淫獣呼ばわりするルプスレギナである。
言葉を区切った男はちょっと得意げな顔をして、
「だが、年を取る事はない。アインズ様から不老不死を授かったんだ」
「それ本当!? お願いすればもらえるの?」
「簡単に頂けるわけないだろ。俺の場合は詳細は話せないが、とある功績をあげたので下賜してくださった。言っておくが、聞いて回るなよ? アインズ様は緘口令を敷かれた」
「…………」
緘口令を敷くほどの情報であるなら、余程重大なものなのだろうと察しが付く。
残念ながら、今のクレマンティーヌでは同じことを出来そうにない。
「どうすればもらえると思う?」
「アインズ様のお気持ちが大きいだろうが……、一つは大きな功績を上げる事」
「もう一つは?」
「代え難い人材であると証明する事。俺はこっちの理由もある」
「それって何すればいいと思う?」
「そう言われてもな……」
魔導国ではなくナザリックとして捉えると、国家として見れば小規模だ。
それなのにありとあらゆる人材が、非常に高度なレベルで揃っている。そこに並ぼうと思えば、生中な事では届かない。
また、男もナザリックのシモベ全てを知っているわけではない。果たして足りない者があるのだろうかと考えて、一つだけ思い付いた。
「俺のギターは楽団員のお一人から習ったんだ。だけどその方の本業はヴァイオリン。クラシックギターが専門じゃないらしい。で、その方が教えてくれることになったのは、クラシックギターを専門とする方がいなかったからだ。俺よりギターが上手くなれば代え難いって言ってもいいだろうな」
「おにーさまより……」
男がギターを弾く姿は、ネックの上で蜘蛛が長い脚を伸ばしてダンスしてるような有様だ。人の指があんなにも動くものなのかと驚いた。それを越えろと言うのか。
しかし、他に道が見えない。
知では絶対無理。
馬鹿なつもりはないが、おにーさまを基準にされたらどうにもならない。大量の書類や地図を、何も見ずに、手元すら見ずに量産していたのを覚えている。あれは人間業ではなかった。
武でも厳しい。
元漆黒聖典の第九席次。英雄の領域に足を踏み入れているが、アインズ様レベルが出てくると吹けば飛ぶ程度でしかない。最低でも番外のアンチクショウレベルは欲しい。自分では絶対に届かないと何度思い知らされたことか。
しかしクラシックギターなら、何とか理解できる。
とても遠い上に、自分はドレミを覚えたところだ。だけども道は繋がっている。
今すぐである必要はない。
この体が十歳だとして、少なく見ても十年は猶予がある。
二十年掛かったとしても、必要であると思ってもらえたら適切な年齢にまで若返らせてくれるかも知れない。
クレマンティーヌは、クラシックギターを極めることを決意した。
綱渡りで何度か落っこちた気がしないでもないCL編終了
次回でもどるを閉める予定
そっからさきはわかんないですね