場面転換したら何書けばいいかわからなくなってました
帝都のお屋敷で起きた事を知らない男は、充実した時間を過ごしていた。初日こそシャルティアに捕まったものの、二日目はとても平和であった。
日中は借りた本をひたすら頭に叩き込む。夕方になったら疲れて帰ってきたソフィーをあやし、夜になったらアルベドに一日の疲れを癒してもらう。まさに至福である。
音楽室へも足を運び、黒猫楽団長に挨拶する事も出来た。先日の子供用ギター生成に用いた金貨の余りは楽団の資金にプールしたと報告してもらった。男としては迷惑料込みなのでどう使ってもらっても構わない。
生憎セシルは外していたので会えてない。貰った譜面の件で物申したい気持ちが大いにあったが、貴重な読書時間を削るわけにはいかないのでいつかの機会に後回しである。
しかし三日目になると、早くも平和な時間を乱す者が現れた。
「君はシズにもあれな事をしたんだろ!? それなのにずっとほったらかしにするなんてどういうつもりなんだ!」
「ユリ姉、私はあの男にもてあそばれた。飽きたらポイってされた。とても悲しい。シクシク」
援軍を手に入れたシズである。
シズはユリの背に隠れシクシクと泣いている、つもりらしい。
男は「シクシクと言いながら泣く奴がいるか!」と思ったのだが、怒っているらしいユリがいると言い辛い。
ユリが怒ってる程度で怯む男ではないのだが、ユリの言葉はその通りなので反論が難しい。しかもセックスした責任がどうのと言われてしまうと、先日ユリに実践したばかりなのでますます何も言えなくなる。
「お言葉ですが、飽きて捨てたわけではありません。ユリさんの言葉通りになってしまっているのは、他に優先する事があるからです。けして放置しようと思っているわけでも、忘れているわけでもありません」
「だったらちゃんと時間を取ってシズにそう言ってやりなよ。シズは君に忘れられたんじゃないかって不安になって泣いてたんだぞ!」
「ナザリックに来てるのに会いに来てくれなかった。すごく悲しい。えーんえーん」
だからえーんえーんって言いながら泣く奴がいるか! と男は凄く言いたいのだが、仁王立ちするユリが立ち塞がってシズには何も届けられない。姉を盾にするとは、やはりシズも極悪集団ナザリックの一員である。
それにユリの言葉は少々刺さるものがあった。
帝都のお屋敷からエ・ランテルのお屋敷に移ったばかりの事である。色々あって忙しく、帝都には毎日行くつもりだったが連絡を入れる事なく間が空いてしまった。それがソフィーの家出に繋がり、色々な方面から怒られたものである。
「私にどうせよと仰せですか?」
「どうもこうもないよ。ちゃんとシズの相手をしなさいって言ってるんだ」
「私は待ってたのに邪険にされてる。うえーんうえーん」
「わかりましたよ。シズさんのために時間を作ります。これでいいですか?」
「ダメ」
「何が駄目なんですか、何が。私は暇じゃないんですよ?」
要求に応えるというのに即座に否定。下手過ぎる泣き真似にも苛立たされ、男は少々カチンときた。しかし、続いた言葉には耳を貸さないわけにはいかなかった。
「アルベド様は我慢しなくていいと仰せでした。だから私も我慢しない。いっぱい構ってもらう」
過日、皆で一緒にスパリゾートナザリックの露天風呂に入った時の話である。アルベドは確かに、シズの言葉通りの事を口にした。
アルベドの言葉を出されては全面降伏である。
「わかりました。日中はシズさんにお付き合いします。ですが私にもしなければならない事がありますから、ずっとシズさんを構っているわけにはいきませんよ?」
「ん、それでいい」
シズがようやくユリの後ろから出てきた。とことこと男に近付き抱き着いて、むっふーと鼻を鳴らした。
「じゃ、ユリ姉、バイバイ」
「……うん。またね」
シズのためにナザリックの滞在を延長したのに、何という雑な言葉であろうか。それがシズと知ってるユリであるが、釈然としない気持ちにさせられた。
昨日は一日中男を探し回ったが見つからず、今日は朝からソフィーの謹慎部屋を見張ってようやく会うことが出来た。掛けた労力に対して感謝の気持ちが足りないのではと言いたくても言えない立場である。
ユリがシズのために頑張ったのは、事の直後をシズに見られてしまったからだ。
パンツを穿いてないだけでなく、液状の動物性たんぱく質を拭ったハンカチも見られてしまっては言い逃れ出来ない。
何をしてたか黙っていてもらう代わりに、協力する羽目になった。
尤も、その件がなくてもシズに協力した可能性大である。結婚云々は措いておくとして、する事をしたのに放置するなんてユリの倫理観が許さない。
過程がどうであれ、結果としてシズが気持ちよく過ごせるのならユリとしても喜ばしい事である。する事をして気持ちいいのは別の話だ。これについてはシズと少々議論した。
男が少々時間に追われるのは必要な犠牲である。自業自得とも言う。
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読書の場所をソフィーの謹慎部屋にしたのは、シズやシャルティアに捕まらないためであった。
しかし、シャルティアには一昨日捕まり、週一のお手伝い契約を結ばされた。目的は果たしたろうから以降は大人しくしてくれるはずである。
そしてシズにも捕まった。以前、二度も監禁してくれたシズである。警戒して然るべきであったが捕まってしまった。
「お前をセーフティルームに連れていったのは不審があったから」
マジックアイテムで拘束したり、シズちゃん専用1円シールを破って捨てたりした罪があったからだ。結局、どちらも誤解や勘違いである。今回はそのような事がない。理由がないのだから監禁する事もない。
「読書の邪魔をするつもりはない。でも後でちゃんと構って欲しい」
「承知しました。但し、読書を優先させていただきます。シズさんにはこちらの本を運んでもらいたいのですがよろしいでしょうか?」
「ん、わかった」
ソフィーの謹慎部屋にシズを連れ込むのは色々アウトである。よって読書の場所は図書館の閲覧室にした。同じ階層にあるシズの部屋も候補に挙がったが、読み終えた本を返却したかった。
絵や写真が多い図鑑を最初に消化したので、たった一日でもそれなりの量がある。男が一人で運ぶなら台車が必須だし大階段を3往復はする必要があった。小さくて可愛くても力持ちなシズちゃんなら一度で全部運びきれる。
返却には謹慎最終日にソフィーを使おうと思っていたが、読み終えてすぐに返せるならそれが一番良い。司書長の厚意に甘えてばかりではいけないのだ。
貸し出しカウンターで返却手続きをして閲覧室の使用許可を取る。わざわざ許可を取る必要はないが、自分がどこにいるか報告しておくのは大切だ。最早逃げなければいけない相手はいないのである。
図書館の閲覧室には大部屋と小部屋がある。
どちらも長机が並んでいるのは同じで、違いは部屋の広さだけである。大部屋は読書のためだけに使われ、小部屋は読書会や会議に使われる事もある。
二人が選んだのは大部屋である。理由は単に近いから。とても広いのに他に利用者はおらず、独占状態である。
手近な場所に陣取り、借りた本をドサドサと机に積んだ。
男は早速読書を始めた。内容の理解は後回しにして書いてある事を頭に叩き込む。
邪魔すると思われたシズは意外にも静かである。さすがのシズちゃんも図書館ではちゃんと出来るようだ。隣の椅子に座ってくれるならもっと偉かった。
初めて最古図書館に案内された時、蔵書量に感動してシズの好きにさせたのがよろしくなかった。今日も当然の権利と言わんばかりに躊躇なく男の膝上に座る。
男が初めてシズを背負った時は小柄なのに随分重いと感じたものだが、あれから少しは強くなった。膝に乗られるくらい大したことではない。
「そろそろ降りてもらえませんか?」
「ん」
少しは強くなっても、一時間も膝の上に乗られると脚が痺れてくる。一定時間経ったら休憩時間が必要であると予め言い含めていた。
シズは読みかけの本にスピンを挟んで閉じ、素直に膝から降りた。
「休憩するなら何か飲む?」
「いえ、私は結構です。シズさんが何か飲むならどうぞ。私はここで待っていますから」
「じゃ、飲みたいものを飲ませてもらう」
「どうぞご随意に」
閲覧室から出て何か取ってくると思われたシズは、何故かその場に這いつくばった。
「何か落としたのですか?」
「違う。脚が痺れたならマッサージする」
シズはそう言うなり机の下に潜って男の足元から顔を出す。
図書館の閲覧室で相応しい行為ではないが、シズの厚意は無下にし難い。それに早速太ももを擦り始めてしまった。始めたのを止めさせるのはなんだし、閲覧室は他に誰もいない事であるし、男はシズがするに任せた。折角なので、擦り易いように浅く座り直す。
シズの小さな手が太ももを軽く圧したり揉んだりするのは中々気持ちが良い。
「うんしょ、うんしょ」
小さな掛け声はさっきの泣き真似と同じく口で言ってるだけだろうが、小さなシズがしてると頑張ってくれてる感が高まって健気さに頬が緩む。やっぱりシズちゃんはとっても可愛くて最高である。
男はシズの頭を一撫でして読書に戻った。集中すると外部を忘れる男である。ゆえに、気付いた時には手遅れだった。
▽
男は順調に一冊読み終え、次の本に手を伸ばす。そこでシズがいない事に気が付いた。記憶を辿ればマッサージすると言っていた。思い出すと同時に下半身が気持ち良くなってくる。シズはマッサージがとても上手いらしい。このまま続けて欲しいが、こんなところでマッサージを続けさせるのも申し訳ない。
一先ず中断してもらおうと視線を本から机の下に移したところで目を剥いた。
「シッ……」
危うく叫んでしまいそうになった。ここがどこであるか思い出して、何とか留まる。
シズは机の下にいた。男が開いた脚と脚の間だ。ずっとマッサージを続けていたのはいいのだが、マッサージしてるところが問題だった。
「シズさん何してるんですかっ」
「んっ…………、ぷはっ。見ての通り。立たせたのはそっち」
「私が聞いてるのは、どうしてここでするのかって事です。したいなら場所を移りますからここでは止めてください」
「ふっ」
シズは鼻で笑うと、顔を下げた。
太ももをマッサージしていた手は根元を握っている。うんしょと健気な掛け声を上げていた口は唇を突き出し、先端に口付けした。
「うっ」
唇で触れたまま舌を伸ばし、レロレロと舐め回す。舐める前からシズの口にあった先端は、とっくに唾液で濡れている。
「ぬるぬるしたのが出てきた。ちんこが気持ち良くなってる証拠」
シズは口角を上げてニヤリと笑った。
机の下に潜って太ももをマッサージしていたシズは、フェラチオに移行していたのだ。
男が考え事などをして虚ろになっている時、こっそりトロトロして気付かれる前に回復させるのはソリュシャンが何度もやって来た事だ。ある時期からトロトロを止め、レロレロちゅぷちゅぷになった。今のシズがしている事と同じである。
それ以外にも読書中などでふとそんな気分になった時、ソリュシャンの口を使うことが多々ある。その様子をルプスレギナが胡乱な目で見ていたりするのは別の話だ。
「大きくなったから私が気持ちよくしてあげる。あむっ」
「場所を考えろバカッ」
男が小声で止めてもシズは止まらない。既に勃起した逸物をあーんと頬張り、ちゅるると吸いながら頭を下げた。
唇で強めに挟んでいるので、竿が適切に扱かれる。口の中は温かくぬるついて、その状態で舌を使うものだから思わずシズの頭を押さえてしまった。
シズの唇に男の陰毛が触れ、長い逸物は全て口の中に収まった。サキュバスであるアルベドとソフィーを除けば、中身スライムであるソリュシャン以外では難易度が高いディープスロート。先日させたユリは苦しそうにしていた。シズは精液を搾るために生まれた搾精人形だからであろうか、まるで問題がなさそうだ。
「んんっ……、止めろって言ったのにちんこはして欲しいって言ってる」
「くっ!」
昨晩はソフィーに栄養補給してから、アルベドとたっぷり愛し合った。しかし、寝て起きて美味しいご飯を食べれば回復する。これがエ・ランテルのお屋敷ならソリュシャンを筆頭に誰かしらがおはようフェラをして朝からすっきりさせてくれる。
ナザリックではそうはいかない。アルベドは前の夜にたっぷりしているので必要ない。ソフィーに朝からさせるとトロンとしてしまって使い物にならなくなる。
それでも昨夜の情熱を越えない限り簡単にはその気にならないのだが、直接されては話は別だ。回復して溜まったものが出口を求めて訴えてくる。
「お前は気持ちいい。私は動物性たんぱく質が飲める。一石二鳥。好きなのを飲めと言ったのはそっち」
「確かに言いましたが……」
股ぐらの間から上目遣いで言葉を交わす間も、シズはしゅっしゅと逸物を扱く。何度もしてきたことだから力加減を覚えている。握る力はそれほど強くない。出させるよりも焦らす手付きだ。たっぷり焦らしていっぱい出させるつもりでいた。
「それに本で読んだ。禁忌を破壊するほど気持ち良くなる」
「!?」
知的だ! まさかのバタイユである。
バタイユは、エロティシズムとは単に肉体的なものであるだけでなく、規範や禁忌が関わっていると洞察した。禁忌を犯す事は緊張やスリルを伴い、特別な快感を齎すのだ。
本来は隠すはずの裸体をいつも見せつけるソリュシャンが駄目なのも、行為の最中に「ダメ、やめて!」とアルベドが叫ぶのも、恋に障害があるほど燃えるのも、全てこの理論で説明が付く。
さすがのシズちゃんは見識が深かった。
と言うのは男の誤解である。
シズは異本で学んだのだ。以前、男からそれらで学ぶよう言われた事をシズは覚えており、ちゃんと遂行したのである。
異本には今と全く同じ状況が、図書館で机の下に潜ってお口を使う場面が描かれていた。
「やめて欲しくないのはそっち。もしも止めさせようとしたら大声を出す」
「くっ!」
シズの温情である。
逸物をいきり立たせ、尿道口から先走りの汁を滲ませる男が、このまま放置を良しとするわけがない。しかしここは最古図書館の閲覧室。もしも司書たちに見つかったら厳しいペナルティを負う。続けて欲しいが止めて欲しいと願う男に、続けざるを得ない理由を与えたやったのだ。
「ちんこがピクピクする。気持ち良くなってる? 私の口に出していい。全部飲む」
「うおっ」
シズは竿を握って扱きながら、口はその下に。玉袋にはあと息を吹きかけ、舌を伸ばす。袋の中に丸いものを感じ、あーんっと口を開いた。
唇は閉じ切らない。舌に乗せるだけの優しい扱い。それを少しずつ吸う力を強くして、金玉を口に含んでしまった。逸物より繊細な部分と履修済みなので、舌は押し付けない。舌の腹で形を確かめるに留め、もごもごとしたら隣の玉へ。ここで精液が作られるのだから丁寧に愛撫してから口を離す。
玉と玉の間の袋へ舌を這わせ、舐め上げる。すぐに根元に辿り着いた。
竿を握っていた手が邪魔にならないよう上へ動かしつつ舌で舐め上げ、根元から裏側を通って裏筋へ。
竿と亀頭の合わせ目である裏筋は、特に敏感な部分だ。レロレロと小刻みに舌を動かせば、すぐ近くの尿道口から粘つく汁が滲んでくる。唾より粘性が高い汁を舐めとれば、シズの口は先端に戻ってきた。
膨らんだ亀頭に沿ってシズの口は大きく開く。鋭角なエラに唇を引っ掻け口内では舌を使って舐め回す。男の味が薄れてきたら、唇で強く挟みながら頭を下げた。
「んっんっ、じゅぷぷっ。ちゅぱっちゅぷっ……。じゅるる、んっふぅ……♡」
赤金の長い髪をなびかせてシズの頭が上下する。
強く吸っているので頭を上げ下げする度に卑猥な水音が鳴る。静かな閲覧室で大きく響いた。もしも誰かが入って来たら間違いなく気付かれる。
「んっ♡ んっ♡ ちゅるるるっ、んぷっ……んんっ、じゅぷっ……ちゅうっ……、んんっ♡」
オートマトンなので呼吸が必要ないシズは、休むことなく口を使い続ける。その割には鼻息が荒く、男の下腹をくすぐった。
口淫で興奮しているのはもちろんある。男の手で搾精人形にさせられたシズは、男の逸物をしゃぶれば興奮するようになっていた。
それともう一つ。シズの右手だ。
左手は男の太ももに乗せ、前傾になってる体を支えている。元よりバランス感覚に優れているのだから、支えは片手で十分すぎる。
床の上にペタンと座っているシズは、座る時にスカートを踏まないよう注意した。なので、捲ろうと思えば捲れてしまう。シズの右手はスカートの内側に入っていた。
女の子座りで脚はやや開き、尻は床から少し浮かせている。どこかが引っかかったり狭かったりすることはない。右手が仕事をする空間は十分あった。
シズの右手は白いパンツ越しに、ふにふにと柔らかい陰唇を揉んでいた。
「んっ♡ ちゅうぅっ……、んふぅ♡ んーーーーぅんっ♡ れろれろ……じゅぷぷっ♡ んっ♡」
異本を履修してもエッチなメイドたちとは違うシズは、一人で慰めた事が一度もない。それなのに、今のシズは快感を求めて自身の秘部を愛撫していた。
パンツの下では割れ目が開き、膣で受け入れるために潤滑液が分泌されつつある。
さすがのシズでも、図書館で最後まで出来るわけがないと承知している。けれども自然と手が伸びた。してはいけない場所での口淫はシズにもスリルを与え、体を熱した。
指を揃えて揉みほぐす内に、段々と中指が沈んでいく。強く押し付ければぬめった汁が滲む。そうして前後に動かすと、薄布越しに小さな突起を見付けてしまう。
今までされてきたように指先で突起を押さえ、小さな円を描いた。
「シズさん……、そろそろ……」
「んっ」
自分を慰めながらもフェラチオを忘れない。しゃぶっているから興奮できてる。
ちゅうっと強く吸って頬の内側を逸物に密着させ、頭の上下を加速させる。
「んんっ?」
しかしそれでも不足があったらしい。男の手がシズの頭を掴み、振り始めた。
喉奥を容赦なく突かれても、シズは苦しく感じない。力を抜いて男の好きなようにさせた。シズがするのは吸い付くだけでいい。れろぉと舌を伸ばして、逸物を柔らかく滑らせてやる。
口の中の男が震えている。熱さと固さが増してきた。
シズはどのタイミングで出されても良い様に、出されても零さないように唇の圧を強める。
それが引き金になったのか、
「いたっ!!」
「ふぁっ!?」
突如響く第三者の声。
シズが最後に締めたのが良かったのか、それとも驚いて緊張の度合いが閾値を越えたのか。男はシズの口内に、どぴゅどぴゅと射精した。
シズは口の中に温かい精液が放たれるのを感じて満足したが、満足して然るべき男の方はそうもいかなかった。
「アウラ様!?」
閲覧室に入ってきたのは、肩をいからせ眼尻を吊り上げたアウラだった。
▼
アウラはつかつかと男が陣取る机に近付いてきた。幸いなことにわざわざ男の側に回ることなく、机の反対側から男を睨み付ける。
もしも回り込まれたら、机の下のシズが見つかってしまう。射精したばかりなのでシズの口はまだ離れず、ちゅうちゅう吸ってお掃除中なのだ。
「わざわざ私を探してくださったのですか? 何か御用でしょうか?」
貸し出しカウンターで自分の居場所を告げていなければ、シズがお掃除する時間があったかも知れない。しかし、アウラが来てしまった以上、過ぎた事をあれこれ言っても意味がない。何とかシズがお掃除する時間を稼がなければならない。
それにしても不思議なのは、どう見てもアウラが怒っている事だ。
一昨日はアウラに会う事が出来なかったため、今回ナザリックを訪問してから会うのは初めてとなる。会ってないのだから、アウラを怒らせるわけがない。どうして怒っているのか不明である。まさか異次元から電波を受信したわけでもあるまい。
「ご用も何も、あんた! マーレになに教えたの!」
アウラが怒っているのはマーレの件であった。
一昨日のマーレは、就寝前にアウラが持つ不思議な青いキャンディーを求め、ポルカと一緒に自室へ向かった。昨日のマーレは、やはり就寝前に不思議な青いキャンディーを求め、ベルと一緒に自室へ向かった。
今までずっと一人で寝ていたマーレが、メイドを伴って就寝する。しかも、一時的に大人の体になる不思議な青いキャンディーを使って。アウラの知識は答えを出してしまった。
勿論、当人たちに確認はしてない。そんな事出来るわけがない。間違っても弟のそんな事は聞きたくない。だが、それしかない。自分も寝起きしてるツリーハウスの別の部屋で、双子の弟と自分たちを世話してくれてるメイドの誰かが、そんな事をしている。
アウラは自分の感情を処理出来なかった。もやもやした思いをぶつけるべく、犯人を捜した。心のどこかで八つ当たりに近いものだと自覚していたが、吐き出さずにはいられない。
「マーレ様に? それはシャルティア様と私が一昨日訪問した際の事でしょうか?」
「それしかないでしょ!? 二人してマーレに何教えてんのよ!!」
アウラは図書館の閲覧室であることを忘れているらしい。魔獣たちを統べる王に相応しい勢いで男を怒鳴りつけた。
「男子であればいずれ必要になることです。アウラ様にも同じことを教示致しましたのをお忘れですか?」
「そんなの関係ない! 私が言ってんのは、どーしてマーレにさせたのかって事よ!」
女の体の不思議と、そこをどのように扱って男はどのようにするかを、アウラも目の前で実演されていた。それはそれとして、マーレの振る舞いは確実にマーレ自身もしたのだと察せられる。幼いマーレにはまだまだ早過ぎる。
「マーレ様が興味を抱かれた様子でしたので。それを仰るならアウラ様も」
「私のことはいーの!」
アウラはその場の勢いだとか協力者の選定を間違えたとか色々あったが、結局は自分も不思議な青いキャンディーを使用して最後までしている。
しかし、自分の事は棚に置く。姉にとって、弟はいつまで経っても弟なのだ。それが双子であっても。
「私にマーレ様のお望みを阻めと仰せで? それは難しい相談です。私には出来ませんと断言致しましょう」
マーレ君とは仲良しなのだ。そのマーレ君からお願いされては断れない。お願いされたわけではなく興味がありそうだっただけだが、似たようなものだ。
加えて立場の違いがある。方やナザリック守護者統括相談役だとしても、外部から来た人間である。方やナザリック生え抜きの階層守護者。男はアルベド直下なのでマーレからの命令を受ける必要はないが、お願いされたら出来る限り応える義務がある。
尤も、頭で考え出来ないと判断したらあっさり断るだろうが。
「あんたがマーレに変な事教えたからでしょ!」
不味い!
話がループしてきた。これは大分頭に来ているらしい。女性がこうなると長くなるのを、男は身をもって知っていた。
「それはアウラ様がいらっしゃらなかったからで」
「そんなの関係ない! だからってマーレに変な事吹き込むな!」
本格的にループを始めた。これはアウラの気が済むまでサンドバッグになるしかない。男がそう覚悟した時である。
「こほん。アウラさま、どうかなさいましたか?」
「っ!?」
机の端からシズが顔を出した。
シズの顔を見た事で、アウラはここがどこであったかを思い出した。場に相応しくない振る舞いだったと気まずそうに顔を逸らす。
お掃除を完了したシズは男のあれをスラックスの中に仕舞ってやってから机の下を這いずりまわって、男から遠い位置で顔を出したのだ。閲覧室の机は横にとても長い長机であることが幸いした。
「そんなとこで何してたの? ……今の聞いてた?」
静かな閲覧室で大声で怒鳴っていたのだ。聞こえないわけがないの聞いてしまうのは、アウラにも疚しい事をしてしまったとの自覚があった。
「椅子を机の代わりにして本を読んでいました。机の下にいたのでアウラ様が話しているのは聞こえましたが何を話していたかまではわかりません」
「……そう」
気勢を削がれたアウラは、シズから顔を背けたまま、恨めしそうにちらちらと男を見る。
この場での追及は良くないと思っただけで、男を恨めしく思う気持ちは変わってないのだ。
「いずれにせよここで話し合いを続けるのは好ましくありません。アウラ様にお時間がございますようでしたら場所を移しませんか?」
「……わかった。逃げないでよ?」
「逃げられませんよ」
「私は失礼いたします」
シズは二人にペコリと頭を下げて、閲覧室の出入り口に向かう。開架エリアに出る寸前、アウラの背後で振り向いた。口をパクパク動かし、四つの音を男に伝えた。
(カ、シ、イ、チ)
「なっ……」
「なに?」
「いえ、何でもございません」
シズは反論が出来ない場で貸しを押し付け、閲覧室から立ち去った。
小さくて可愛いシズでも極悪集団ナザリックの一員。やはり邪悪が宿っている。
ハーメルンが負荷軽減のため連続アクセスに403を返すようになる
アプリで拙作を保存してたら見事に403もらって一日アウト
翌日手動で保存しなおしたらこれがもうとても疲れて何も出来ず
なんでこんなに話数があるのだ