※この作品はR-18です。

アルベドのお食事   作:dolph

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10k弱
正確には9905字
後に誤字修正したら前後するかも


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 朝早く。日が昇らない時間に男は外に出た。

 天上は深い青。東の空が秒を刻む毎に白んで来る。無限に変わりゆくグラデーションを無心で眺めていると、朝日が目を焼いた。深い青が掃いたように青く変わっていく。

 輝く雲はまばらだ。風も穏やかであり、今日のエ・ランテルは好天に恵まれることだろう。

 

 太陽が東の果てからすっかり顔を出し、朝日は西の果てまで届いた。

 男がそろそろと思えば、昇る太陽を背に小さな黒点が現れた。黒点は朝日が昇るよりゆっくりと大きくなる。形を捉えられるようになれば、上に乗っている姿も見えた。

 大きなドラゴンはお屋敷の上空を一度旋回すると小さな人影を落っことす。

 落下地点の予測などこの男には軽いものである。

 

「おっと」

「もう! わざわざ抱き留めてくれなくても大丈夫だって言ってるでしょ!」

「失礼いたしました。アウラ様と触れ得る機会と思ったら思わず動いてしまいました」

「……すぐそーいうこと言う」

「本心でございますよ。アウラ様が定期的にいらっしゃってくださるのは嬉しいのですが、屋敷には滞在してくださいませんから」

「うっ、まあ、それは、ね?」

 

 ドラゴンから飛び下りたのはアウラだった。男を王都へ送り届けるために、ナザリックからドラゴンに乗ってやって来たのだ。

 無論、男を運ぶためだけにアウラが足を伸ばすことはない。守護者統括相談役と言えど、階層守護者を顎で使えるわけがない。男と共に王国へ向かうのはアウラ自身の目的とも合致していた。アインズの要望でもあった。

 

 アウラは自身の名義で、帝国と竜王国の詳細な地図をアインズに献上していた。実際に地図を作ったのはこの男であるが、ナザリックに貢献したい思いはあれど名誉も手柄も不要としている。アウラが喜んでくれるなら手柄を譲ることを厭わず、どころか押し付けの意味が強い。

 帝国の地図、竜王国の地図とくれば次は当然王国の地図である。

 魔導国はいずれ王国に攻め入る事が密かに決定している。詳細な地図を手に入れるのは非常に優先順位が高い。アウラがこの男を連れて王国上空を旅するのは決まっていた事だった。

 男は所用があって王都へ向かうことになり、いい機会であったためアウラに提案し快く了承を受けた。

 今日は朝早くから一日かけて空の旅を楽しみ、王国の地理情報を得る予定であった。

 

 

 

 本日決行となったのは、二日前にヒルマから準備が整ったと報告を受けたからである。

 連絡手段には人を使わず、ナーベラルにメッセージの魔法の使用をお願いした。ナーベラルが使うメッセージの魔法なら距離が離れても聞き取りにくいといった不具合はない。

 しかしヒルマと聞いたナーベラルは、

 

『ヒルマ……? だれ? モンスター? 人間?』

 

 魔導国のアダマンタイト冒険者でもあるナーベラルは、拠点にしていた黄金の輝き亭が崩壊したため、一時的にエ・ランテルのお屋敷に起居している。

 週に一度報告に来ていたヒルマの顔を何度か見ているはずだったのだが、名前と顔が一致していなかった。

 男がヒルマの似顔絵を描いて見せ、ああこれ、と云った一幕があったりもした。

 

 ナーベラルは冒険者であるため毎日帰ってくるわけではない。三日に一度メッセージの魔法を使ってもらい、三度目で準備完了と報告を受けた。

 アウラのお休みに合わせてその二日後に出立となった。

 

 

 

 朝日が出たばかりの早い時間であるが、屋敷のエントランス前には幾人もの女たちが並んでいた。

 

「お兄様、どうかお気を付けて。叶うならば私もご一緒したいのですが……。今からでも同行をお許しいただけないでしょうか?」

「時々留守をしてる俺なら兎も角、ソリュシャンが急に姿を消すのは良くない。それに王都でソリュシャンは知られてるだろ? 大丈夫、危険な事は何もないよ」

「ソーちゃんがダメでも私は大丈夫っすよね? あーあぁ、アウラ様のドラゴンが二人乗りじゃなきゃよかったんすけどねー」

 

 アウラは100レベルの敏捷性を発揮してルプスレギナと目を合わせることなく顔を逸らした。

 

「マーレ様は同じドラゴンで重いの持って来てくれたっすよ? 一人や二人増えてもへーきだと思うんすけどね~?」

 

 アウラの肩がピクリと震える。ルプスレギナの視線が後頭部に刺さっても振り向かない。

 

「荷物をぶら下げるのと人を乗せるのじゃわけが違うだろ。アウラ様が二人乗りとしてるのは安全を考慮しての事だ。落ちたら危ないからな」

 

 実際落ちた男である。説得力がないようであった。

 ルプスレギナは、ふぅと息を吐いて納得する事にした。ソリュシャンのように男に抱き着いて、気を付けるようにと注意する。

 ルプスレギナに続いて、シェーダにリファラとキャレットが無事を祈り、ソリュシャンがもう一度。

 

 男は王都へ行くと皆に告げてから、危ない止めろと何度も言われた。何とか説得出来た後も、気を付けろと何度も何度も言われる。出発の朝になっても、口を開く者全員が同じ事を言ってくる。気に掛けてくれるのは嬉しいが、少々辟易していた。

 

「そんなに俺は危なっかしく見えるのか? 向こうについたらミラと合流するし、荒事を起こすつもりもない。何度も説明したように、危険は皆無だ。一週間かそこらで帰ってくるよ」

「何事が起ころうとも、私が命に代えてもご主人様をお守りいたします」

「だからそーゆー事は起こらないと言っただろうが」

「ミラ、頼んだわよ。絶対にお兄様を連れて帰って」

「おにーさんてちょっとあれっすから。多分本当に大丈夫と思うっすけど、やっぱあれっすから」

「あれってなんだ、あれって」

 

 記憶力が異常であり、異常に頭が回る。その上ナザリックの者たちに囲まれて目立たないが、意外に腕が立つ。十年も前の幼い頃に、路上生活を一年以上続けた実績もある。生存能力は非常に高い男なのだ。

 

「かしこまりました。皆様のご配慮により、ご主人様が飲食するものは全て確保してございます。湯浴みの準備もございます。着替えも御髪の整え方もシェ-ダさんにご教示いただきました。万事お任せくださいませ」

 

 但し生活能力はなかった。

 十年も監禁されていた男にそんなものが身に付くわけがない。解放された今も、全てにおいて世話を焼かれている。

 男は、俺は子供かと眉根を寄せるが、取り合う者は一人もいない。ミラでさえ顔を背けた。

 

「それじゃそろそろいーい? 暗くなっちゃうとこいつは見えなくなっちゃうからさ」

 

 ルプスレギナの追及を逃れ、話が一段落したと察したアウラが声を上げた。

 

 ちなみにアウラのドラゴンが二人乗りなのは、シャルティアをかわしてこの男を攫うためのでっち上げである。重量的には百人でもへっちゃら。安全においても五人くらいならアウラが目を光らせておける。けども、無駄に弁護されて今更言えなくなってしまった。

 

「お待たせして申し訳ございません。じゃ、行ってくるよ」

「ご主人様! 私は後ほど送って頂きます。どうかくれぐれもお気を付けてお待ちください!」

「わかってるよ。ではアウラ様」

「うん」

 

 アウラが口笛を吹けば、上空で待機していたドラゴンが降りてくる。逆だったら様になるのだが、アウラは男を横抱きにしてひょいとドラゴンの背に飛び乗った。

 ドラゴンの背から男が顔を出し、地上の皆に向かって手を振る。書斎の窓は魔法の加護で中が見えなかったが、深く一礼した。

 アウラが何事かを命じると、ドラゴンは大きな翼を力強く羽ばたかせ遥か上空へ飛び立った。

 

 大きなドラゴンが小さくなって完全に見えなくなるまで、女たちはずっと見送っていた。

 

 

 

 

 

 

 王国の地理情報を得るのが主目的なのだから、王都へ入るのは最後である。日が出ている時間は王国上空を飛び続ける予定だ。闇雲に飛び回るのでは効率が悪いため、予め大体のルートを決めてあった。

 まずはエ・ランテルからまっすぐ西へ山脈沿いに飛んでいく。王国と法国の国境沿いを飛ぶことになる。そのまま飛び続けると聖王国がある半島に入ってしまうため、海にあたったら進路を北へ。海沿いの都市を見付けたら今度は東へ向かい、アゼルリシア山脈が見えるところまで戻ったらそこから西北西にある王都へ向かう。

 上空から観察出来ても王国は広大だ。行きは王国の南部を、帰りに北部を観察する。

 

 作成する地図はアインズに献上し、来たる王国との会戦で利用される。

 本日の情報収集は男の王都行きに合わせたついでのようなものであるが、非常に重要な任務でもある。

 しかし、観察と地図作成を担う男は気楽なもの。以前竜王国を飛んだ時に比べたら遥かに気を抜いていた。

 

「……ちゃんと下見てる? 空とか見てばっかじゃん。あんたがちゃんとしてくんないと困るんだけど?」

 

 男は時々首を伸ばして地上へ目を向けるものの、それ以外を見ている方が圧倒的に多かった。間近に流れる雲を見て目を細め、時にはドラゴンの大きな背中に横たわって上空を眺める。

 竜王国の地理を観察した時はドラゴンの首にしがみつき、ずっと下を見ていたものだった。それを覚えているアウラは苛立ちがこみ上げてくる。

 アインズ様のご要望を軽く扱おうものなら八つ裂きにしても不足である。今はまだ言葉を荒げる程度で抑えていられた。

 

「ちゃんと見ておりますよ。アウラ様は私が王都で生まれ育ったことを覚えていらっしゃるでしょうか?」

「王都だけわかっても意味ないじゃん!」

「仰る通りです。私が王国で正確に把握しているのは王都の地理だけとなります」

「だから今日は一緒に飛んでるんでしょ! 真面目にしないと怒るよ」

「もう少しお聞きください。正確に把握しているのは王都だけですが、大まかでしたら王国全域を把握しております。主要な都市の全て、それらを結ぶ街道、そこから伸びる村落。地形についても同じです。王国南部は平野が多い事もあり、時折眺めるだけで十分なのですよ」

 

 真っ新な白紙に地図を描いていくのと、大まかな形とパーツ全てが揃っている地図を修正していくのでは、掛かる労力が段違いである。

 飛行速度の関係で一時間に一度では少々不安があるため、念には念をこれでもかと入れて十分に一度地上をざっと見回せば必要な情報が集まった。

 上空3,000㍍はとても遠くまで見渡せるのだ。

 

「ただ、王都から北部は南部よりも地形の変化に富んでいます。帰路は今日ほどは空を眺めていられないでしょう。ご安心ください。アウラ様に恥を掻かせる真似は致しませんから」

「……言っとくけど、アインズ様は地図を作ったのがあんただってちゃんとわかってるから」

 

 知られていると知った時、アウラはとても恥ずかしい思いをした。同時にその事に触れなかったアインズ様のお優しさに胸を打たれた。アインズ様賛歌の九番はもっとアインズ様のお優しさを強く押し出していいんじゃないかと思った。

 

 なお、アインズに見破られたと思ったのはアウラの勘違いである。

 しかしながら、後にアインズはこの男が空で地図を描いたのを見て、真の作成者に気付いた。アウラの言葉は一周回って本当になっていた。

 

「そうなのですか? だとしてもアウラ様のお名前で献上していただけないでしょうか?」

「別にいいけど。兎も角ちゃんとやってよね!」

「わかっております」

 

 階層守護者にここまで言わせながら寝転ぶのを止めないのだから神経が太い男であった。ソリュシャンとルプスレギナが「精神は化け物」と呼ぶだけはある。

 

 アウラに言われたからではないが、ある程度の距離を飛んだので男は眼下に目を向ける。

 大きな背中の真ん中にいては見辛いので、観察時はドラゴンの長い首に跨った。

 空を見上げるのに飽きたか、知らない道でも見付けたのか、今度はすぐに顔を上げなかった。

 

「結構見てるけど面白いものでもあった?」

「いえ、私の知識通りの地形が続いております。強いて言うなら荒れた土地が増えたようです。耕作が追い付かないのでしょう」

 

 王国は先の帝国との会戦で万を優に超える兵を失った。

 職業軍人である帝国の兵士と違い、王国の兵士は農民を徴兵したものである。兵の損失は耕作力の減少に直結した。帝国の皇帝であるジルクニフが羨んだ沃土を遊ばせている。吝嗇家のアインズが知れば勿体ないと言っただろう。王国の兵を失わせたのはアインズであるが。

 

「……ふーん」

 

 この男にとって、王国は捨てた国とは言っても生まれ故郷である。生まれた地が荒れている事に思う事があるのかも知れない。しかし、今やアインズも認めた守護者統括相談役だ。立派にナザリックの一員である。それがこれから滅ぼす国を見て感傷に浸るのは好ましくない。

 などと理屈をつけて、アウラは少しだけ面白くなかった。

 

「それに空を見続けるのも飽きました。美しい景色ですが変わり映えがありませんので。王国の没落がはっきり現れ、王国の存在が馬鹿馬鹿しい上に罪深く思えてしまうのですが、これも仕事ですからね。仕方ありません」

「アインズ様にお見せする地図を作るんだから仕方ないとか言わないの!!」

「はっ!? 申し訳ございませんでした!」

 

 踊る心を誤魔化して強く言えば、男は素直に謝罪した。

 

「じゃあたまに下見れば大丈夫なわけね?」

「さようでございます。飛行速度を上げても問題ありませんが、日没前に王都についても困りますからね」

「速くしたり遅くしたりしても大丈夫?」

「ある程度の誤差は修正できますが、出来ましたら一定の速度でお願いします」

「とりあえずはこのまま行くね」

「かしこまりました。…………アウラ様?」

 

 地上を観察する時はドラゴンの首に跨る必要がある。下半身をしっかり固定しないと落っこちるので、後ろを見るには体を捩って振り向かなければならない。

 後ろが見えない男の背中に、アウラが体を押し付け抱き着いた。

 

「この前落っこちたじゃん。だから捕まえとかないとダメでしょ?」

「ありがとうございます。アウラ様のお顔を拝見したく思いますが」

「それは後で」

 

 ダークエルフであるアウラは、歳がそろそろ八十を数えるも肉体年齢は人間換算で十歳弱。男が落ちないよう抱き締めるには腕の長さが足りない。それが足りるようになった。

 

「王都で何するか詳しく聞いてないけど、終わったら帰ってくるよね」

「当たり前です。王国に住み暮らせなどとは、たとえアインズ様のご命令でもお受けしがたく存じます」

「そこは従えっての」

「……………………。かしこまりました」

「すっごい間があった。そんなにイヤなの?」

「当たり前です。私が帰る場所は魔導国、不遜を承知で申し上げればナザリックですよ。おかしな事を仰らないでください」

「……ごめん」

「おお?」

 

 大きなおっぱいが離れるのは寂しい。驚いたのは引き倒された事。

 アウラは男の肩を掴んで後ろに引き、けども男はドラゴンの硬い皮革に頭を打つことなく、アウラの太ももに受け入れられた。

 不思議な青いキャンディーを舐めて大人になったアウラは、細かった太ももにむっちりと肉がつく。枕に十分な高さと弾力がある。

 アウラは男へ厳禁と言い渡した横座りをして、膝枕をしてやったのだ。

 

 どちらも言葉がなく、アウラがゆっくり上体を倒す。

 長くなった金髪が流れる。アウラは掻き上げながら近付いて、男は手を伸ばして頬を撫でた。

 

 上空を高速で飛行しているのだから本当ならば強い風がある。アウラが騎乗する時は魔法の力で風を防ぐ。ドラゴンの背中の上は、一時的に無風となっていた。

 小さな水音でも良く響いた。

 

「今日のルートと飛行時間は、以前竜王国上空を飛んだ時の速度を参考にして出したものです。先ほど申し上げましたように、王国の地理は大まかに把握しております。飛行速度が倍になったとしても地図の作成に問題はありません」

「……聞いてた? 倍の速さで飛んで。そしたら飛んでる時間と同じ時間だけ休ませてあげるから」

 

 休憩の時間は地上に降りた。

 大きなドラゴンが降りても見つからない地形や森は幾らでもあったし、飛んでいる姿を見られないよう魔法も掛けてある。

 野山の獣やモンスターは、強大な存在を恐れて一斉に逃げ出した。

 静かになった森の中で、アウラの叫びは大きく響いた。

 聞いたのはこの男だけだった。

 

 ドラゴンへは、アウラが耳を閉じろと命令した。ドラゴンはそんな事も出来るのかと男を驚かせた。

 なお、本当は出来ない。男が誤解を正されるのはずっと先の事である。

 

 

 

 

 

 

 夕日の残光が消えるのを待ち、男は王都へ降り立った。アウラをとても頑張って説得した。

 

 上空3,000㍍の前例がある。

 男が着ているのは、ペストーニャにこれでもかとお説教されてメイドたちへの慰労を約束させられた代償に新調してもらったナザリック製のスリーピースである。防御力は以前のものより増しているため、着地に失敗して地上に激突しても問題ない。問題があったとしても、ポーションを幾つか持ってきている。

 説得に成功した男は、上空5,000㍍でドラゴンの背から飛び下りた。

 前回飛び下りたのがとても楽しかったのだ。

 

 危険極まりない夜間でのダイビングだが、男は地上までの距離をセンチ単位で捉えているし地形の把握も完璧だ。

 凄まじい風圧と加速度的に近付いてくる大地。重力の枷から解き放たれた浮遊感はドラゴンの背に乗っていては味わえない。

 

 王都のど真ん中に飛び降りたら色々問題があるので郊外を選んだ。目的地までは距離があっても歩くつもりでいる。

 

「あっ!」

 

 男が着地のために体勢を変えようとしたところで、地上から二つの赤光が凄まじい速さで近付いてきた。光は男目掛けて真っすぐに飛び、瞬きの間に激突した。

 が、光の主にぶつかった衝撃はほとんどない。

 痛みも衝撃もなかった代わりに、とても不機嫌な気配が伝わった。

 

「お兄ちゃんを落とすなんて……、アウラは何をやっている!!」

 

 男を抱き留めたのはシャルティアだった。本日二度目のお姫様抱っこである。

 シャルティアは常の言葉遣いを忘れるほどに怒っているが誤解である。反対するアウラを男が頑張って説き伏せた結果なのだ。

 

「シャルティア様! 私がアウラ様にお願いをして上空から落下させていただいたのです。アウラ様に非はございません」

「あア!? 落っこちたら死ぬでありんしょう! お前がアインズ様から不老不死を授かったと聞きんしたが丈夫になったわけじゃありんせん!」

「落ちても問題ないよう三重の安全策がございました。説明いたしますので、まずは下ろしていただけないでしょうか?」

「本当でありんしょうね! 納得出来んせんでありんしたらアインズ様に報告しんす!」

「本当に問題ございません。私が無理を通してお願いしたのです。にもかかわらずアウラ様が責を問われでもしたらアウラ様に合わせる顔がなくなってしまいます」

「それはアウラが…………。くんくん……!」

 

 ぷんぷんしていても少しずつ落ち着いてきたシャルティアは、記憶にある匂いを嗅いだ。発生源はこの男。お姫様抱っこのまま男の首筋に顔を埋めれば匂いが濃い。赤い唇が嗜虐に歪んだ。

 

「ほーほー? 今日のアウラは重要な任務と聞きんしたがやることはやったようでありんすねぇ? お兄ちゃんからアウラのエロエロな匂いがたぁっぷりしんすよぉ?」

「効率よく任務をこなしましたので、時間に余裕が出来たのです。アウラ様は休憩の時間を私と過ごしてくださいました」

「そこはたっぷりセックスしたと言いなんし」

「……ご推察の通りです。三度の休憩で二三度ずつセックスしました。最近のアウラ様は時間を取っていただけませんでしたから、つい」

「………………最低でも八回?」

 

 お馬鹿お馬鹿と言われるシャルティアであるが、本当はお馬鹿ではないのだ。興味がある事にはきちんと頭を使う。答えを言うのに間があったのは回数に慄然としたからである。

 八回も続けてされたら、シャルティアはダメな子になってしまう予感があった。

 

「間にたっぷり時間を空けましたから。始める毎に新鮮な気持ちで楽しんでいただけたかと存じます」

「それでも八回……。私もしんす!」

「えっ」

 

 ようやく男を下ろしたシャルティアは、そんな事をのたもうた。

 男は離れた位置で控えるミラに視線を送るが何も言ってくれない。言えるわけがない。シャルティアは元の上司であるし、仰ぎ見る上位者であり、ヴァンパイアブライドと真祖の吸血鬼と云う越えられない壁もある。

 

「既に日が落ちました。私とミラは目的地に向かうだけですが、シャルティア様のお時間はよろしいのでしょうか?」

「問題ありんせん。あいつらは私の帰りが遅くなっても上手くやりんす」

「心配されるのではないですか? ヴァンパイアブライドの方々はシャルティア様を深く敬愛していらっしゃいますから」

「むぅ……。でも一回くらいなら誤差でありんしょう?」

「………………」

 

 男の顔が難しくなった。誤差と言われるほど早くないつもりでいる。

 

「それとも? お兄ちゃんのおちんぽはアウラには立っても私には立たないと言いんすかぁ? そんな事ありえんと知っていんすから安心しなんし♡」

 

 シャルティアがセックスがどうのと言い出したのはアウラへの対抗心だった。顔も険しく、眼尻を吊り上げていた。

 それが段々と緩んできた。湧き出る愛欲を隠そうともせず、甘い吐息を男に吹きかける。

 

「それにぃ、お兄ちゃんがエロエロな匂いをさせんすからぁ……」

 

 シャルティアのドレスは漆黒のボールガウン。スカート部は大きく膨らんでかなりのボリュームがある。スカートの下にパニエを穿いて膨らませているわけだが、そこはナザリック製でありシャルティアの専用装備。形が崩れなくても硬いわけではない。

 シャルティアがスカートをたくし上げて男の手を導けば、パニエが邪魔をする事はなくシャルティアに届いた。

 

「シャルティアのおまんこはぁ、お兄ちゃんのおちんぽが欲しくてぬれぬれでありんすよぉ……。お兄ちゃんのおちんぽで慰めて欲しいでありんす♡ お兄ちゃんがエロエロでエロエロな匂いをさせんすのがいけんせん♡ あんっ♡」

 

 濡れた股を触らせられて、この男の指が動かないわけがなかった。

 それにシャルティアが穿くショーツはとても小さいらしい。脇から触れるだけで役割を放棄し、ぬめる割れ目に沈み始めた。

 

 王都には秘密裏に潜入する必要があったため、合流場所は王都郊外の荒れた廃村を選んだ。家屋はどれも朽ちかけており、風雨をしのげる場所はない。行くところがなくともここを選ぶ者はいないだろう。周囲は完全な無人である。

 男は目的地への到着を少し遅らせる事にした。

 

「ミラ、問題ないと思うが一応周囲を警戒してくれ」

「かしこまりました」

「うっひっひ♡ やっぱりお兄ちゃんはエロエロでありんす♡」

「……シャルティア様をそのようにさせてしまった責任を取りましょう。ですが、お一人で帰れなくなることまでは責任を取りかねますよ?」

「どんとこいでありんす!」

 

 半時余りが経って、シャルティアは倒れた。

 セックス自体がとても良かったのはいつも通り。凶悪だったのは最後である。

 

 男はシャルティアが伝授した事になってる駅弁スタイルで打ち付けながら、淫らに叫ぶシャルティアへ深い口付けを送った。自分の舌を噛みきった上で。

 シャルティアは上下の口が至福になって体の真ん中で衝突し、心も体も巻き込みながら弾け飛んだ。

 中でどくどくと吐き出された精を留めておくことが出来ず、男が引き抜けば緩んだ膣口からとぷりと垂らした。

 

「おにいちゃんは……、きちくでありんしゅぅ……♡」

「口が利けるならお帰りは大丈夫そうですね。私とミラは王都へ向かいます。シャルティア様は少しお休みになってからお戻りください」

「うぅ……、うごけないわたしをおいていくんでありんすか? おにいちゃんはごくあくでありんしゅぅ……♡」

 

 ふにゃふにゃになってるシャルティアを生き残ってる壁に凭れさせ、男は王都中心へ向けて歩き出した。

 

 

 

「ご主人様、こちらをどうぞ」

「ああ。ありがとう」

 

 今夜のミラは標準装備の白いドレスではなく、ヴァンパイアブライドお仕着せのエロ装束でもなく、フード付きのローブをまとっていた。着用者の装備品を隠す魔法のローブである。装備だけでなく、顔も体型も完全に隠す。加えてアンデッドの気配を隠す指輪をキーノから借りている。

 ミラがご主人様に差し出したのは同じローブだ。暗い部屋が明るくなるとまで言われた美貌は酷く目立つ。

 

 それ以外にミラが持っているのは大きなバスケット。ナザリック製であり、見た目より容量がある。入っているのは、ご主人様の十日分のお食事、シャンプーやボディソープを始めとした入浴セット、身嗜み用品、当然着替えも。

 男は胡乱な目をバスケットに向ける。そこまで揃えなくても全て現地で調達出来るし調達させているのだが。

 

 言葉少なく、じっくりと夜の散策を楽しんだ。

 

 十余年振りに踏み入る王都である。




思ったより話が進まなかったので次話が長くなるか二つに分けるか
アンケートは次かその次に影響するので、24時間で〆る予定

どなたか優しい方、作者の精神衛生と次話作成のために読んだと一言を頂けるととてもありがたいです

アンケートの投票ありがとうございます
ヒルマは唯一の熟女枠
書きたいと思ってたんですが、先を急ぎたいのと健康に悪そうなので見送ることにしました

ヒルマの需要は

  • ある
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