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決定するなりミラは素早く施錠した。これまでの経験で色々わかってきている。
窓のカーテンはそのままだ。書斎があるのは二階で外からは覗けない上に、アインズが加護の魔法を掛けてある。覗き見、盗み聞きは不可能だ。書斎の中で何が起ころうと外部には知られない。
ルプスレギナがおしっこをする舞台は速やかに整えられた。
まずとりあえずはソファに座る男の前で、ソリュシャンがはにかんでドレスのスカートをたくし上げた。
今日のショーツは光沢ある純白。被覆面積が小さいのはいつもの事である。ルプスレギナが穿いていたら色々とはみ出ると思われた。
お披露目を済ませたソリュシャンはショーツを下ろすべくスカートから手を離し紐状のサイドに指を掛け、そこで待ったが掛けられた。
「脱いでするのはちょっと……」
前のめりだった男がそんな事を言う。声は沈んで顔も苦い。ソリュシャンは首を傾げた。
「お兄様は穿いたままするのがお望みでしょうか?」
「少し違う。股から噴き出るのを見たくない」
忌まわしき日々に焼き付いてしまったものがあるのだ。
愚妹は、妹であると認めたくないのに何かの間違いで半分血が繋がっている妹は、下着を付けずに兄である己の顔の上にしゃがみ込み、勢いを減じないよう丁寧に割れ目を指で広げて放出した。
その回数、書斎にいる全員の両手両足の指を足して尚も幾つか掛けなければ足りないほど。
悍ましい経験は、本人を除くこの場の全員から精神は化け物と評される男へ、心に深い傷を刻んでいた。
「お兄様は楽しんでいらっしゃると思いましたが……。ルプー姉様は何度も粗相をしていましたし」
前提をひっくり返すようであるが、ルプスレギナを責めて失禁に追い込む男は、ソリュシャンの目からはとても楽しそうに見えたのだ。
「それは違う。俺がさせるならいい。自発的に出てくるのが嫌だ」
ラナーを失禁にまで追い込んだ事は何度もある。その度に掛けられて汚いとは思ったものの、密かに支配欲を満足させてもいた。が、後にその半分は演技による失禁と気付き、心を大いに傷つけられもした。
演技の有無はさておき、自分から働きかけて出させるのなら許せるのだ。
「わかりました。それでは穿いたまま失礼いたします。どうかソリュシャンのおしっこをご覧になってください♡」
なんであれ、ソリュシャンはお兄様が求めるなら応えたい。怪訝に傾げた顔に薄い微笑を浮かべ、改めてスカートを高くたくし上げた。ショーツが見えるどころか包まれてない下腹まで露わにする。
男は前のめりになって頭を低くし、視線の高さをソリュシャンの股間に合わせた。
ルプスレギナは思った。
おにーさんサイテーと。
▽
男の目に映る魅惑の三角地帯はとても小さい。親指と人差し指で輪を作れば、その中に収まってしまうくらいに。
サイドは紐状で角度が付いている。肝心の秘部を覆う幅は指二本分あるかどうか。ふわりとした陰唇を覆い切れず、少し引っ張れば食い込んでしまうだろう。
「それでは、いたします♡ んっ……」
「むっ!」
純白の生地が湿りだしたと思ったのも束の間、クロッチの柔らかく膨らんだ部分で滲み出てきた水滴が膨らんでくる。
透明な雫が滴る寸前、男はトレイに乗った茶器一式から未使用のティーカップを手に取り、ソリュシャンの股下へ差し込んだ。ぴちゃりと落ちてきた。
ティーカップの内側は紅茶の色が映えるよう真っ白である。満たす液体に僅かでも色があればはっきりとわかる。
雫の透明度はとても高かったが、やはりそこはおしっこであるからか、溜まるにつれて淡い金色が濃くなってきた。
ぽたりぽたりと滴っていた雫は、やがて細い筋へと変わり、音もなくティーカップへ注がれていく。静かに量を増していき、男が視線を上げれば察したらしくピタリと止まった。
中身スライムであるソリュシャンに排尿の必要はなく、今しがたのおしっこはおしっこに似せたソリュシャンエキスである。出すのも止めるのも自由自在であった。
「お見苦しいところをお見せしました。ソリュシャンのおしっこは如何でしたでしょうか?」
「そうだな……」
「げ」
男はティーカップを鼻先に近付け軽く揺らす。出したてであるので温かく、湿り気を伴った香りが届く。おしっこらしい臭気はない。フローラルである。
ルプスレギナを呻かせたのはその後だ。
男はティーカップに唇をつけ、傾けた。
喉が鳴った。
「うまい!」
「はい♡ お兄様のために出したソリュシャンの特製おしっこです♡」
中身スライムであるソリュシャンは、体内に取り込んだものを自在に合成出来る。分泌する場所だってどこでも可能だ。
いつもはおっぱいから飲んでもらっているソリュシャンエキスを、おしっこに似せて出しただけである。味が良ければ栄養もたっぷりで、飲用にとても適している。
だからと云って、それを躊躇なく飲んでしまう男に、ルプスレギナは何も思わないではいられなかった。
ルプスレギナがドン引きして、ソリュシャンがこれからはおっぱいではなくおしっこで飲んでもらうのがいいかしらと思案する傍ら、男はソリュシャンエキス改良を検討していた。おしっこと云えばシズちゃんである。
オートマトンであるためシズちゃん専用特製甘々ドリンクしか飲まないシズは、おしっこの匂いがとても良いのだ。
味はほとんど無味で素材を邪魔しない。香りは甘ったるさの中に、ミルクを思わせる芳香が混じる。
シズのおしっこで香りを付ければ極上のフレーバーティーが淹れられるのは間違いない。
それは素晴らしいアイデアと思えたが、ソリュシャンにシズのおしっこを吸収させて体内で調合させれば、もっと素晴らしいエキスが出来るのではと思われた。
問題は、目的を達する過程で必ずや血が流れる事。血を流しても目的が達せられることはけしてない事である。
人前でおしっこをしたと云うのに、ソリュシャンは何事もなかったかの如くスカートの裾を直す。おしっこを透過させたショーツは湿ってすらいない。肌から水分を吸収するのはスライムの基本技能である。
「何見てんすか。しないっすよ」
一番手のソリュシャンが見事に果たし、続くルプスレギナに二対の目が向けられた。ドアの前に控えるミラは瞑目している。見てはいけないし、関わってもいけない事である。
「お兄様、ルプー姉様はどうしてもお兄様のお力になりたくないそうです」
「そんなこと一言も言ってないじゃないっすか! 私はおしっこがいやって言ってるだけっすよ!」
断固拒否の構えであった。
おしっこがどうこう言い出したのはソリュシャンであり、ルプスレギナは終始拒否を示していた。
そのソリュシャンは早速してしまった。それに続くと思われたら堪らない。あれはソリュシャンが勝手にした事であって、自分とは無関係である。
とても理に適っている主張であるが、ソリュシャンは容赦しない。自分を差し置いてお兄様の第一夫人にと妄言を吐いた姉には思い知らせて然るべき。
「ルプー姉さまったらそんなことを仰って……」
「なんすか?」
ソリュシャンが両手を後ろ手にして、ルプスレギナの周りを回り始めた。
ルプスレギナは警戒も露わにソリュシャンの姿を鋭い目で追い続け、何をしているものかと男が呆れた顔をしているのが目に入った隙を突かれてしまった。
「ソーちゃん!? 何するつもりっすか!」
「ふふ……、捕まえました♡」
ソリュシャンは絶世の美女に見えて、中身はスライム。魅惑的な肉体を液状化させ、対象を体内に取り込むことが出来る。
ルプスレギナにしたのはその応用で、背後から近付き、ルプスレギナの腕と背中の一部を体の前面に癒着させた。真っ当な人間であれば脱出は絶対に不可能。
ルプスレギナなら頑張れば可能であるが、お屋敷の書斎で戦闘でもないのにそこまで力を出すつもりはない。何をするつもりであろうと、拒否を貫くまでである。
「今度はルプー姉様の番です」
「何寝ぼけたこと言ってるんすか。しないったらしないっすよ。こんな事しても無駄っすから」
ルプスレギナの背中に張り付いたソリュシャンは、ソファに座る男の前に戻った。
なお、スライムスキルを発動するために、お嬢様ルックのドレスは床に落ちた。瞑目していたミラが素早く拾い、丁寧に畳んで空いたソファに置く。ミラは出来る女になっているのだ。
「ふむ……」
男は何を見せてくれるのかと、ソファに座ったまま静観している。
目の前に来たもとい連れてこられたルプスレギナは、背後から伸びるソリュシャンの手でスカートを捲られた。
ルプスレギナの魔改造メイド服は、スカートの裾が足首まで届く反面、深いスリットが腰まで入る。ちょっと捲ってやればパンツを見せるのは容易である。
今日のルプスレギナはレースの黒。サイドで結ぶ紐パンなのはいつもの事だ。
長いスカートは裏地も黒で、ルプスレギナの肌は褐色だ。そこに黒いパンツを穿くと、スカートが捲れて中を覗かせたら、すわ何も穿いてないのではと思わせる。本当に何も穿いてない事も稀にある。反対に白などの目立つ色にすると、パンツが見えた事がはっきりと確認出来てしまう。つまりパンツは素晴らしい。
素晴らしい光景を目の当たりにする男は、ソリュシャンの時と同じように前屈み。ルプスレギナの股間を凝視する。しかしながら、いつまで経っても湿ってくる様子はない。見上げれば、ルプスレギナは冷めた顔で鼻を鳴らした。
「ソーちゃん、私が大人しくしてる内に早く離せっす。こんな事しても無駄ってわからないんすか?」
「それはこれからです」
「何言ってるんすか。何やっても無駄……!? ソーちゃん!?」
「うふふ……♡」
目と口を大きく開き、何とか振り向こうとするルプスレギナの真後ろで、ソリュシャンが妖しく笑った。
ソリュシャンの右手はルプスレギナのスカートを思い切り捲り上げ、左手はスカートの中に潜り込んでルプスレギナの尻を直に撫で始めたのだ。そこまでだったら三人でする時になくもない。その先があった。
ソリュシャンの手は後ろからパンツの中に忍び込み、尻の割れ目を伝って伸びていく。人の指はそこまで伸びない。スライムであるソリュシャンは、体の一部を自在に変形させることが出来るのだ。
細く長く伸びた指は、尻の穴を通り越し、女の割れ目に沈んで膣口も素通りして更に進み、媚肉に埋もれる小さな小さな穴に辿り着いた。ルプスレギナの尿道口である。
細く絞られ、入っていった。
「ひゃわっ!? なななななにしてるんすか!??! ダメ、やめ……、抜いて…………、あっ…………ああぁぁあぁぁぁ………………!」
ルプスレギナの声に焦燥が濃くなり、絶望の響きと共に黒いパンツが湿り始めた。
スライム秘技「強制排尿カテーテル」である。
幼女クレマンティーヌの子宮を探れるソリュシャンである。
ルプスレギナの尿道口から侵入し、膀胱を刺激するくらいわけもなかった。膣の深さに比べたら、女の尿道はとても短いのだ。
「むむ!」
今度はティーカップでは足りそうになかった。
男はティーポットを取り上げ蓋を開け、ルプスレギナの股の下に差し込んだ。
「あっ……あうぅぅうぅ~~~………………っ!」
ルプスレギナがどれほど泣こうと、始まったものは止められない。
ソリュシャンのように静かに滴り落ちてはくれず、飛沫となって散ってしまう。男は全てを見切ってティーポットで受け止めるが、いささか忙しい。ルプスレギナの股間に押し付けた。自分の体に掛かってしまうのを嫌ったらしくルプスレギナは股を開いており、ティーポットが入る隙間が十分あった。
繊細で品の良い陶器の中から、じょぼじょぼと音が聞こえてくる。硬い冷たさが温かくなってきた。
股間を目視する必要がなくなったので男が顔を上げると、ルプスレギナは目に涙を溜めて今にも決壊してしまいそうだった。男と目が合うと、弾かれたように横を向く。その拍子に、溜まった涙が頬を濡らした。
悶え嘆くルプスレギナは、とても可憐だった。
威勢のいい連続音はすぐに質が変わり、やがてピチャンピチャンと断続的に鳴るだけとなった。
音の間隔が十分離れるようになってから、男は左手を掲げた。
「ミラ」
「はい。こちらに」
「ご苦労」
色々わかってきているミラは、男に未使用のタオルを手渡した。
書斎とは調べものや書きものをする場所であるが、お屋敷で二番目の防諜策が施されており且つ広いため、使用頻度が高いプレイルームになっている。ソファをソファベッドに交換するくらいに。
なのだから、タオルなどが当たり前のように常備されている。
男は耳を澄まし、ティーポットの中で鳴る音を捉える。音の間隔を把握し、必要な動作を終えるまでの時間を割り出し、ピチャンとなった直後である。
ルプスレギナの股からティーポットを離し、タオルを当てがった。動作は迅速であり、一滴も零れない。
ティーポットはそのままミラへ手渡し、ミラは中を確認せず蓋を閉めた。中で茶葉が踊っているのだろうか、匂いも封印された。
「これで大丈夫だろう」
タオルは押し付けるだけにする。下手に動かしてしまうと濡れた部分が広がってしまうのだ。代わりに指を伸ばして、尻の割れ目にまでちゃんと水気を吸い取らせる。
十分と判断してからタオルを離せば、元が真っ白なだけに蛍光に近い鮮やかな黄色が目立った。
「………………」
ルプスレギナは無言でいた。俯いたら男に顔を見られる。頬を濡らしたまま、目一杯顔を背けている。
そんなルプスレギナに、男は心からの抱擁を贈った。
「ルプー、ありがとう。ルプーのおかげでおしっこを克服できそうだ」
こちらを向いてくれないので、頬へ軽く口付ける。ちゅっと涙を吸い取れば、薄い塩気が舌に乗った。
「……………………あ゛?」
一切の感情が削がれた声に、ソリュシャンはルプスレギナの体が小さく震えているのを感じとった。
冬である事だし、排尿によって下がった体温を上げるために震えているわけではない。全身に力が入って、堰が切れる寸前のようだ。
ソリュシャンに発汗機能があったら冷や汗を掻いたかも知れない。
排尿の必要がないソリュシャンだからわからない。
経験者の例を挙げれば、アルベドは放尿を見られて絶望に心を喰われ、その後にテイスティングされたかも知れない可能性を忘れるために我を忘れざるを得なかった。
シズはテイスティング直後に男を狙撃。男が命乞いならぬ射精乞いをしても許してやらなかった。
ソリュシャンは、起きているのに寝言をほざいたルプスレギナの目を覚ましてやるためにおもらしをさせてあげたわけだが、ルプスレギナがここまで怒るとは思わなかった。
もしもルプスレギナを解放してしまうと、人狼パワーが炸裂するのは間違いない。解放しなくても、体内に捉えたルプスレギナの腕は、気を抜いたら抜かれてしまいそうだ。
お兄様に何とかしてもらうしかない。
ルプスレギナの背後から必死の思いでお兄様に視線を送ると、力強く頷かれた。
「ルプー、大丈夫だよ。俺に任せてくれ」
「あ? 何言って……、何するんすか!?」
男は何を思ったものか、ソファから下りてルプスレギナの股下に跪いた。
捲ったままのスカートの内側へ両手を伸ばし、豊かな腰つきをそっと撫でる。
戻ってきた手は、細く薄く、湿った布切れを摘んでいた。ルプスレギナの黒いレースのパンツである。
ソリュシャンの下着は紐状であっても繋がっている。目的は視覚効果で、お兄様の目を楽しませるためだ。
ルプスレギナは違う。すぐ脱げるようにだ。発情に備えているとも言える。紐パンは想定通りの役目を果たし、結び目を引っ張るだけではらりと剥がれた。
「ミラ」
「はい」
湿ったパンツはミラが受け取る。手では触れず、男から返されたタオルに乗せた。パンツはタオルごと畳まれ、封印された。このまま洗い物に出せば秘密は秘密のまま保たれるのだ。
ミラは色々わかってきている。
タオルで水気を取っても濡れたパンツが貼り付いていたので、ルプスレギナの股間はちょっぴり湿っている。濡れた箇所増やさないように股は開いたまま。
顔を寄せずとも陰毛の根元に微小な水滴が確認出来る。ハンカチでそっと拭った。
ルプスレギナはひゃんと鳴くが、作業はまだ終わってない。
「あっ!? ダメ!」
「こら、逃げるな」
「ひゃっ!?」
男の顔が近付き、反射的にルプスレギナは腰を引いた。望まずともしてしまったばかりだ。近付かれたら匂いを嗅がれる。
だと云うのに逃げられない。
ソリュシャンに押さえられたままだし、男の顔は尚も近付く。そこに加えて尻を掴まれた。
不安定な姿勢では力が入らず、剥き出しの股間に男の顔が埋められた。
(ふむ……)
頭上でルプスレギナが喚いても男は気にしない。褐色の肌にも鮮やかな赤毛に鼻を触れさせ、すんと鳴らす。
丁寧に拭いたおかげできつい匂いは全くない。目を閉じて嗅覚に集中すればおしっこの匂いを感じられる。しかし、僅かなものだ。あれだけ忌み嫌ったと云うのに悪いものではないとすら思う。
洗い立てのハンカチが香りづけになったのと、量の問題であると気が付いた。
香水とて原液を被れば刺激臭となる。その反対に、おしっこと云えど微量であればアクセントになり得る。
大きな発見であった。
「あっ……やめっ…………、そんなのしちゃダメっすよぉ……! あぁ……」
ルプスレギナの声が湿ってくるのを気に掛けるのはソリュシャンだけである。
股下の男には為すべきがあった。縮れた陰毛をしゃぶるよう口に含んで舌を伸ばす。涙よりずっと濃い塩気が舌に乗る。舐めて吸って、塩気が取りきれたら他のところへ。ルプスレギナのお股を綺麗にしてあげるのだ。
「ダメって言ってるじゃないっすかぁ……! そんなのしなくて……、うぅ……。んっ…………。そこ違ううぅ!!」
ソリュシャンの制御が良かったらしく、塩気を感じる範囲は狭かった。パンツのクロッチ部に覆われていたところは仕方ないにせよ、前は陰毛の下部までで、後ろの方は尻の割れ目に沿って流れ、と云うことはなさそうである。
ふわりと柔らかい陰唇を舐め、ついでに口付ける太ももからは薄い汗の味だけ。塩気としては、普段の愛撫とほとんど変わらない程度になっている。それでも塩気ばかりは単調である。お茶をしたばかりなので喉は乾かないにせよ、口直しをしたくなる。
割れ目の内側を舌でなぞれば、一度目は薄められた塩味で、二度目はルプスレギナの味となった。
三度に一度は口直しをして、届きにくい部分に差し掛かる。
ルプスレギナの股下にいて腰を突き出させているので、中ほどまでは問題ない。それ以上となると、真上になってしまう。首が曲がる角度の関係で、無理ではないが厳しいのだ。無理をする必要はなかった。
「あっ!? なっ、なんすかっ!?」
「ソリュシャンはそのままルプーを支えていてくれ。ルプーは暴れるな。落っこちるだろ」
「わかりました」
「なにするつもりなんすか!?」
「わかってるだろうが」
ルプスレギナの股下に跪く男は、尻を掴んでいた手を太ももの裏に添えると、えいと持ち上げたのだ。
背中は上部がソリュシャンと癒着しているためずり落ちることなく、両足が床から浮く。必然的に股間が前を向き、男はもう一度口を付けた。
「ひゃっ……だめ……、ほんとに……! あうぅうぅ…………! いつもしないじゃないっすかぁ……! なんでいまするんすかぁ……!」
陰唇と脚の付け根を綺麗にすれば、残すところは後わずか。
尻の割れ目に沿って舌を伸ばせば、ルプスレギナの肛門に届いてしまう。
大丈夫とは思われたが念のためであって、舌に塩気が乗ることはない。代わりに、味とは云い難いぬめりは口直しをした時と同じ味。肛門のすぐ上の穴から溢れているらしかった。
「あっ……、それ、いつものぉ……! そんなの、したら……、っくぅ……! わたしはおこってるんすからぁあぁぁぁあ♡」
湿った声に、隠れようがない甘さが混じり始めた。
怒りを爆発させるどころか新たな責め苦に耐えねばならない。そう思っていたら、いやらしい事になっている。
内側を舐められるのはいつもの事でも、尖らせた舌を入り口に入れられるのは余りない。奥まで来ないし、舌よりも指が来る。
直に味わわれているようで、何もかも暴かれたように錯覚する。
両腕を囚われ足が床につかないのも良くなかった。
自由がなく、不安定で、自分の体を好きなようにされてしまう。
不安であるのに体は反応してしまって、どうされるのかと云う不安に期待が混じる。
背けていた顔は真下を向いて、銀色の頭を見詰めていた。
目が合っても逸らせなかった。
「ルプーをこのままにはさせないよ」
「あ…………。んっ……」
両脚を下ろされる。男はいやらしく笑って立ち上がり、ルプスレギナに口付けを送った。今度は逃げられずに唇へ。但しすぐに離れて、傍らのミラへ手招きをした。
「かしこまりました」
ミラはよくよくわかっている。
ご主人様の足元に跪き、スラックスのジッパーをジーっと下げる。慣れた手付きで取り出せば、逸物には血が通っていた。数度扱くだけで反り返り、一度喉を鳴らしてから、口の中へ迎え入れる。ただでさえ熱いのに、熱い血が通わぬミラには灼けるように感じられた。
少々強引にお願いをしてご主人様直下に配置換えしてもらったミラは、自分の立場が万全とは全く思っていない。粗相があれば容赦なく元のところへ返されかねないとわきまえている。故に旧主へ向けた以上の忖度を発揮して、ご主人様の要望を先取り出来るようになってきたのだ。
ミラの献身は実を結び、たとえシャルティアが強い事を言ってきたとしても、ミラを手放すつもりがない男である。もし万が一にもそんな事になったら、ナザリック全てを巻き込む予定である。
「ルプーには」
「あんっ♡ そんなっ、ついでみたいにぃ♡ んっ……、んぅ……! あぁんっ♡」
「ついでじゃないよ」
「あっ……んっ……。ちゅぅぅ……♡ んっんっ、れろ、ちゅるる……♡ ……んっ♡」
ここに至ればする事は決まっている。ジャケットを脱ぎ捨て、ルプスレギナへ向いた。
ミラに口を使わせつつ、ルプスレギナの股下へ手を差し込む。中指だけを立て、入り口を優しく撫で回してぬめる汁を纏ったら、そのまま中へ入っていった。
媚びるように締めてくるのはいつもの事で、おやと思わされたのは温かさ。
ルプスレギナの体温は高めで、締め付けの良さも手伝って暫定一位の具合であったりする。良さの主因である体温が、いつもより少し高いのだ。
排尿は体温の低下を伴うものだが、その後に怒ったらしいのが良かったのかも知れない。ならばこれからは怒らせてからすれば、と思ったところで熱めの風呂に入れるだけでいいと気が付き却下した。却下しなければ命が危うくなるかも知れなかったのは気が付かなかった。
「んっんっ、じゅぷ、じゅぷぷ。あむぅっ…………、んーー、じゅるる……、んぅ……んっふぅ……」
ルプスレギナの股間では細やかな水音が鳴り、男の股間ではずっと派手な音が鳴る。ミラの両腕は男の下半身に抱き着いて、口だけ使って奉仕を続ける。
かつてはシャルティアの愛妾だったのだから、舌や手指での繊細な奉仕はお手の物だ。それからご主人様に幾度となく可愛がられ、積極的に学んできた。
同僚であるジュネには何歩も先を行かれるものの、けして劣ったものではない。今や口だけで満足いただく事も可能であり、ラキュースに羨望の眼差しを向けられるほどである。
「………………」
そんな二人を、ソリュシャンは微笑を微動だにさせず見詰めていた。
ルプスレギナと代わりたい。ミラとも代わりたい。けれども今の自分はルプスレギナの拘束係。動こうにも動けない。お兄様からの命令である。
半ば以上自業自得であるのだが、羨ましいものは羨ましい。
しかし、今は雌伏の時である。自身の勝利は疑いようがない。
自分から言い出すのでは効力が薄い。ルプスレギナは期待出来ない。お兄様が気付いてくれるのが一番であるが、このような事になってる以上見込みは薄い。ミラの知性が頼りである。
ヴァンパイア・ブライドはナザリックにて強い種族ではないのだが、そこから大きく逸脱して、時として不遜にも思える進言をするミラを、ソリュシャンは高く評価しているのだ。
「んっんっ、ぷはっ……。はい……」
頭を撫でてくれていたご主人様の手で、ついと押される。
ミラは喉奥まで迎えていた逸物から口を離し、艶やかな唇を手のひらで隠した。吸血鬼の白い肌が薄っすらと染まっている。
手のひらの向こうでは舌が蠢き滲む味を楽しんでいると、ソリュシャンは察した。自分もそうだからよくわかる。
「ルプー」
「……おにーさんの変態」
「ルプーも欲しいだろう?」
そう言ってかざす右手は、中指と薬指がべっとりと濡れている。
ルプスレギナは目を逸らし、けども弱弱しく頷いた。
綺麗にしてもらった股が濡れてしまって、受け止めるものがなかったから床に垂れてしまった。太ももにも伝っている。
何よりも、体を熱くされてしまった。
男の濡れた逸物から目を離せない。立たせたのがミラであるのは関係ない。そのくらいはいつもの事で、反対の時もある。
今は自分に入れるために大きくさせているのだから。
「あっ……」
「脚を上げて」
「……わかったっす。あっ!?」
男の濡れた右手が太ももを掴む。言われるがままに左脚を上げた。
体幹が優れたルプスレギナはバランス感覚が抜群で、立ったまま行為に至った事が何度となくある。
片足立ちで入れられるくらいは何の問題もないのだが、先があった。
上げた太ももを男に抱え持たれたらと思ったら、右脚も持ち上げられた。
舐められていた時と同じで両足が床から離れる。思わず宙を掻いた。
「あっ……、はうぅぅぅう~~~っ♡」
不安定に気を取られた間にも、股の間にいる男が距離を詰め、ソリュシャンが絶妙にルプスレギナの体を下げてやり、涎を垂らす雌穴へ、ミラの唾液に濡れた逸物が突き立てられた。
「あっ♡ あっ♡ なんすかこれぇっ♡ あんっ、そこもっとぉぉお♡」
一息に最奥まで挿入され、男がゆるゆると腰を使えば、ルプスレギナは早速可愛い声で鳴き始めた。
欠けた部分を埋められた充足感に快感は勿論のこと、完全に初めての体位が想像以上に心をくすぐる。
両脚を抱え持たれて、駅弁と似ているようで全く違う。駅弁なら男の体にしがみつくところだが、両腕はソリュシャンに囚われたまま。
壁に手を突く立位のようでも、両足が浮く不安定は経験がない。
全く抵抗出来ずに嬲られるのは、これまであったようで一度もなかった。しないのと出来ないのではこうも違うのかと、頭ではなく体で思い知った。
「ルプーが好きなところはちゃんとわかってるよ」
「あはっ♡ あっ、あんっ♡ ルプーのおまんこ、おにーさんに全部知られちゃってるっす♡ あんっ、それ、おくまでぇぇぇえ♡ ひゃあぁんっ♡」
だらしなく笑み崩れるルプスレギナは、始めから深く感じているようだった。
両手両足が動かせないからか、深く繋がる膣だけでしがみついてくるかのよう。奥へ引き摺り込もうと締め付けてくるし、指で感じた通りに温かい。
暫定一位の地位はそのままで、出してしまうのが惜しくなる。こうも感じるのは、アルベド以外だと非常に稀だ。
じっくり楽しもうと腰使いは緩やかで、根元まで突き入れてから奥を揺すってやる。締め付けが甘やかになり、絞るようにもなり、ルプスレギナの声も顔も甘えてくる。
そんな様子を、ソリュシャンは微笑を浮かべて見下ろしていた。
ルプスレギナは己の姉であり、お兄様は未来の旦那様だ。自分がお兄様のお嫁さんになると言うべきか。なのだから、どちらも楽しんで悦ぶのは喜ばしい。
だけれども、自分だって愛されたい。特に今日は昨日の今日なので、朝駆けを遠慮したのでお兄様のミルクを摂取してない。
時計を進めるべく、行動に出た。
「あっ! ソーちゃん?」
「ふふ、お兄様はルプー姉様のおっぱいを見たいのではと存じまして」
ソリュシャンはルプスレギナの両腕を体内に取り込んでいるのであって、掴んでいるわけではない。両手は自由に使える。その手でもって、ルプスレギナの魔改造メイド服の襟ぐりを引っ張ったのだ。
ルプスレギナのメイド服は胸の谷間を大きく出さずとも、乳房の膨らみを僅かに覗かせている。伸縮性抜群のナザリック製メイド服なだけあって、大きな乳房がぷるんと零れ出た。
張りがある乳房はメイド服の襟に絞られ寄せられ、いつも以上に大きく見える。肌は褐色でも、先端の色合いは男が特別に調合した色素吸着材で適切に管理しているため、瑞々しいピンク色になっている。今は固く尖らせ、赤く腫れていた。
「あっ、あんっ♡ あんっ♡ さっきより、ひびくっすよぉ♡ ふあっっ!? おくきてるぅぅう♡」
張りがあっても柔らかいおっぱいであって、男が腰を打ち付ければたぷんと揺れて目に楽しい。
上へ下へと暴れる乳房を握りたくなった男だが、両手はルプスレギナの両太ももを掴んでいる。こちらの肌触りと弾力も素晴らしく、指が食い込むほど強く握った。
「ひゃっ!? ソーちゃんそれダメっす! いまちんちんおまんこにぃぃいぃいぃ♡ そっちダメっすよぉぉぉぉおぉっ♡♡」
「おお!?」
ルプスレギナの顎が上がり、鳴き声が叫び声になった。
何が起こっているのか、男は聞くまでもなく感じられた。深く突き立てた逸物が、ルプスレギナの中で絶妙に揉まれている。
ルプスレギナにこんな事が出来るわけがなく、覚醒サキュバスであるアルベドとて一方向からだけの刺激は不可能だ。可能なのは、中身スライムのソリュシャンだけ。
ソリュシャンがルプスレギナの肛門へ侵入し、薄い肉を隔てた逸物へ愛撫を始めた。
挟まれているルプスレギナは少々刺激が強くなるが、高レベルのルプスレギナは丈夫なのだ。経験済みのプレイでもある。
「ミラ?」
「ご主人様、失礼いたします」
男の背後からは、ミラが抱き着いてきた。
ルプスレギナが叫び始める少し前。ミラはソリュシャンからの視線に頷いた。
白いドレスを床に落とし、ドレスグローブだけを付けた姿となって、男の真後ろに踏み台を置いた。ミラは女性としてもヴァンパイア・ブライドとしても長身であるが、男の方が背が高い。このような時には踏み台が必要となる。
なお、書斎の主は踏み台がいつ用意されてどこに仕舞われているか知らないでいる。
「あぁ……! ご主人様のお体はとても逞しくてとても美しくて、御髪も良い香りがいたします。ミラの体を僅かなりとも味わってくださいませ♡」
「っ!」
寒い季節になったので朝までミラと過ごす事はなくなったが、二日続けて抱かない日はない。冷たい手と唇に驚いたわけではなかった。
それでも、シャツのボタンを外して肌をまさぐられ、耳に息を吹きかけながら甘く囁き、挙句濡れた舌で触れてくる。天性ではジュネに遠く及ばないものの、積み重ねたものがある。
背中に押し付けられる柔らかさも心地よい。
じっくり味わうつもりが逸ってくる。
「ルプー!」
「お゛っ♡ あ゛っ♡ らめっ♡ いまそれらめぇぇぇぇぇぇぇぇぇええぇぇぇっ♡♡」
ソリュシャンの愛撫とは関係なしに、逸物がぎゅうと絞られる。熱い膣内がますます熱く、熱を移して溶け合うために締め付けてくる。
腰を引いてから思う様打ち付けてやれば、結合部からは飛沫が散って、ルプスレギナの声が高くなる。
蕩けていた顔は苦しそうで救いを求めるかのようでもあり、抉られる度に甘く叫んで、愛欲に潤む目が霞んでいく。
「あ゛っ♡ あ゛っ♡ ちんちん、おまんこでぇぇぇぇえ♡♡ あっ……いぎぃっ……、あ゛~~~~~~っ♡ 」
膣内をめいっぱい広げられて一番奥まで蹂躙される。体が勝手に弛緩すれば、抜かれそうになると反射的に締め付ける。どちらも出来なくなって痙攣するだけになっても、体の中で行き来が続く。
前の穴は入っているのが大きいので圧迫感があっても、後ろの方は細やかな太さ。代わりに中で蠢いて、奥の裏から気持ち良いところを擦ってくる。
いつまでも続くようでいて、一瞬が引き延ばされているようでもあり、ルプスレギナにはわからなくなってきた。
ソリュシャンに囚われ自由を失くし、男に捕まり女の穴を使われる。
ルプスレギナは狼の本性を剝き出しにして、与えられる全てを貪っている。
それでも女の本能が呼びかけたのか、体で覚えた予兆を感じたのか、ご馳走を前にした雌犬の顔になった。
下腹に張りを覚えるほどに大きな逸物が、中で脈動し始めた。
「~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~っっ♡♡」
膣口がきゅうと締まって閉じ込める。奥ではふわりと緩んで更に奥へと導いた。
そんな事が為されるまでもなく、子宮口に押し付けられた尿道口から、膣内より熱い精液がどぴゅどぴゅと吐き出された。
「あ…………あぅ………………♡ ふぅ…………♡」
子宮口を熱く打たれ、ルプスレギナの視界は真っ白に染まっているのに、下腹の奥では取り込もうと蠢き続けた。
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射精してもすぐには離れず、男は数度往復してから引き抜いた。
いつになく具合が良かった上にソリュシャンとミラが協力するものだから、中々量が多かった。本日一度目としても、抜いた傍から溢れてくるのは多いと言わざるを得ない。
「あぅぅ…………♡ あえっ……?」
「ルプー姉様、零すなんてはしたないですわ♡」
男がルプスレギナの太ももを下ろしても、両腕をソリュシャンが飲み込んでいる。ルプスレギナが倒れる事はなく、ソリュシャンが後ろから抱え直す。
それはそれとして、深い絶頂で体が弛緩しきったらしく、逸物を引き抜かれた膣口は閉じ切らずに小さな口を開けたまま。そこからとろりと白濁した粘液が垂れてきた。
出したてを零してしまうなんて、ソリュシャン的にとても勿体ない事である。アルベドとソフィーも同意する。きっとシズも同意する。おそらくミラも同意する。美容に効果があると信じているシクススやシェーダらメイドたちも同意する。
ソリュシャンはルプスレギナの股へ手を伸ばして垂れた精液を指ですくい、そのままくちゅりと膣口へ忍ばせた。
「あ……あぁ……、なにするんすかぁ…………」
「ルプー姉様はそのままではいられないではありませんか? 私が綺麗にして差し上げますわ」
中身スライムであるソリュシャンは、口だけでなく体のどこからでも吸収できる。指を伸ばしてルプスレギナの膣内を探り、奥の壁まで届かせて満ちる精液を吸い尽くした。かつては遠慮したものの、今や全く躊躇いがない。尤も、奥の壁の向こう側にまでは伸ばさなかった。
その傍らで、ソファに座った男の股間に全裸のミラが顔を埋めている。
くぐもった声に微かな水音が重なる。頭を撫でられ、尖った耳をもてあそばれ、ソリュシャンの目にはとても気持ちよさそうに見えた。ミラと代わりたいが、お兄様のミルクは無駄に出来ない。
葛藤はあれど、あと少しで裏返る。予定なのだ。
「まったく! おにーさんもソーちゃんも変態っすよ! 二人とも一体何考えてるんすか! 頭の中がエッチだけなんじゃないっすか!?」
ルプスレギナはしばしの微睡から戻ってくると、早速ぐちぐち言い出した。
爆発しそうな怒りは解消しきれず、くすぶっていたらしい。逃がさぬよう男の腕を豊かな乳房の間に収め、赤い頬を膨らませている。
「ルプーのおかげで克服出来るかも知れない。そう思ったらルプーに悦んでもらわないとって思ってね」
「おにーさんのスケベ! 変態! いっつもそればっかりじゃないっすか! 私は怒ってるんすよ!?」
「もちろんそれだけじゃない。ルプーを愛したかったんだ。素晴らしかったよ」
「うぐぐ……! 口ばっかじゃだめっすよ!」
「わかってるよ。わかってもらえただろう?」
「う~~~~~~~っ!!」
ソリュシャンとルプスレギナが率先して仕込んだ成果である。
如何にこの男であっても、ここで「ルプーも良かっただろ」なんて言ってはいけない事を流石に学んでいるのだ。血反吐を吐いた回数は、書斎にいる全員の両手両足の指を足したくらいにある。これで学べなければ頭に泥が詰まっている。幸いにも、それなりに優れたものが詰まっていたりする。
仕込んだもう一人はルプスレギナの反対側で言葉少なく、茶器の片付けで退室したミラを待っている。
男がルプスレギナをあやし、ルプスレギナの怒りが怒った振りになり、退室したミラが新しい茶器を持って戻ってきた。
ちなみに、ティーポットの中身は然るべく誰の目にも触れないよう処分された。男もソリュシャンも摂取しなかった。
茶器を広げるミラの手付きはそれなりである。
戦闘職であるヴァンパイア・ブライドであるが、男が王都へ向かう際にシェーダから徹底的に仕込まれ、本職には及ばないもののそれなりに出来るようになっているのだ。ラキュースが一方的にライバル視するのを、ミラは気付いてもいない。
書斎の空気が淫臭から芳しい紅茶の香りに代わったところで、溜めに溜めたソリュシャンが口を開いた。
「お兄様、ミラが何か言いたそうにしています」
「えっ……。はっ!? 失礼いたしました!」
突然水を向けられたミラは呆けた声を上げ、すぐさま頭を下げた。
行為の最中にご主人様にお悦び頂くのは、ソリュシャンから幾度となく話を持ち掛けられていた。今や視線一つで為すべきを判断出来る。
しかし、今は事前に何も聞かされていない。何かと言われても、思い当たることが全くない。
三対の視線に射抜かれ、必死で思い起こすも何が何だかわからない。素直にそう答えてもご主人様なら何も気にしないと思われるが、ソリュシャンに恥を掻かせることになる。望ましい事ではない。
「先ほどの、おしっこのことのようです」
「あ……」
続いてのヒントに、思い当たることがあった。
お二人は真面目に為さっているようなので口にはしないでいたが、思わし気な目をしてしまったのをソリュシャンに見られたのかも知れなかった。
「なんだ? 気付いた事があるなら言ってくれ」
「……はい。それでは、恐れながら申し上げます」
ミラは自身の心身名誉よりも、ご主人様の利益が一番に来る。初対面時にルプスレギナから「ヤバいほどガチ」と言わせた忠誠はいよいよ硬く、砕けない。
例えご主人様の不首尾を指摘してしまおうと、ご主人様の利益となるなら躊躇う必要はどこにもない。
「ご主人様はおしっこへの耐性をつけるために先ほどの行為へ及んだと存じますが……」
「その通りだ。ルプーが可愛いおかげで何とかなりそうな目処が付いた。……なんだ?」
「ふんっ!」
ルプスレギナが男の太ももを抓るのだが、それで痣になっても気にならない男である。加えて、痛みよりも気付かせる程度の強さだった。
一拍おいて、ミラが口を開いた。
「ですが、ご主人様のお話を伺いますと…………。王女は喜んでおしっこをするのではないでしょうか?」
「…………………………あ」
男とルプスレギナが、異口同音に口を開いてそのままの形で固まった。
先ほどの耐性獲得訓練は、ルプスレギナが恥ずかしそうにおしっこをする事で、おしっこを見られるのはとても恥ずかしくてとてもみっともなくてとてもはしたない事であるのを確認するためであった。
しかし、当の王女が喜んでしてしまうなら、訓練の方向が完全にずれている。
一体誰が言い出したのか。
「ご安心ください! 私がおります。お兄様は美味しいと召し上がってくださいました。私ならお兄様のために喜んでおしっこをいたしますわ♡」
ソリュシャンである。
今日この時から、ソリュシャンのおしっこをテイスティングするのが男の日課に加わった。
ソリュシャンはカルマ-400の「邪悪」である。
ソリュシャンが兄と慕う男は、全ナザリックが同意するカルマ下限。ジャガイモの皮剥きと人類絶滅を同列に並べる極悪である。
ソリュシャンは、そんな男を自身の中心に据えてしまった。影響を受けないわけがない。姉の恥辱を利用してお兄様との時間を確保するほどに。
ソリュシャンのカルマがちょっぴり下がってしまった。
アインズがソリュシャンのステータスを確認したら二度見三度見をして、ない目をひっくり返したかも知れなかった。
これで憂いなく引き籠れます
ーー追記ーー
'26.01.03
お年玉的な感じで絵を足す
この一枚のために50枚くらい生成しました