うにゃあお腹いっぱいでありんすぅ、と幸せそうに呟くシャルティアを丁寧に拭き清める。色々な匂いをさせているのでタオルには香水を一滴だけ垂らした。こんな時ソリュシャンがいるとシーツの染みまで奇麗にしてくれて便利なのだが。
ふにゃふにゃになってるお顔は耳の裏まで奇麗にする。ベッドシーツの交換はシャルティアが寝転んでいるため後回し。
一仕事終えて夜着に着替えた。裸身にガウンを引っ掛けるだけである。
窓辺の椅子に腰かけ外を眺める。まだ月が高い。
見下ろせば月光に照らされた庭園が美しい。おそらくは見えないところにナザリックからの護衛が数多配置されているのだろう。
何度も精を絞られた気怠さから呆然と物思いに耽った。自分の体は一体どうなってしまったのだろうか。
シャルティアは何度も達した。それは自分もだ。堪らずに達したわけではない。男であれば射精はある程度コントロールできる。ただし、男の射精は女の心を満足させる。飲むわけではないのにシャルティアがそう望んだのだ。
何度射精を繰り返しても量は変わらなかった。
アルベド様からお力を頂いてからは目に見えて回復力が増したし一日にこなせる回数も増えていたが、ある程度の時間を置かない限り回数を重ねる度に量は確実に減っていった。それが今日は明らかに違う。
心当たりはやはり一昨日の事。
一日中生死の境をさまよっていた。それが何の影響もないとは考えられない。
しかし、死に掛けた原因は夢精である。夢の中でアルベド様にもてあそばれていたとは言え、夢精である。夢精で死にかけたのだ。
昨日はあえて考えなかった。デミウルゴス様からの課題があったし考えたくなかった。しかし思い返せば凄く酷い。
これはあまりにもあまりにも言葉を尽くそうにも言葉にならずあんまりにも酷過ぎる。
「ぐっ…………」
こみ上げるものを押さえようと目頭を押さえた。あまりにも馬鹿らしすぎてちょっぴり涙が出てきた。
アインズが知れば男の身に何が起こったのか気付いたことだろう。男はレベルアップしたのだ。
古来より、弱者が強者を打ち倒すと経験値がっぽがっぽと決まっている。高レベルの処女膜を幾つも破り、アルベドのアルベド汁を浴び、ついには100レベルサキュバスの処女膜を貫いた。これでレベルが上がらないわけがない。
もう一つ。
古来より、死の縁から復活した者はパワーアップすると決まっている。死にかけた原因がなんであれ、見事試練に打ち勝った男へ美神の恩寵がないわけがない。
更に一つ。
古来より、イメージの力は本当に重要であると伝わっている。筋トレする際に目標とする肉体をイメージするか否かで結果に有意な差が出てくる。アルベド様にお悦び頂こうとエアペッティングに励む男が精力増強を思わないわけがない。過程は色々酷かったが。
涙が出ちゃうくらい辛い経験ではあった。それもアルベド様のためと思えば大したことではない。快感より痛みが勝ったシャルティアとの一時も楽しめるようになったことであるし。
再度月を見上げる顔からは陰りが消えていた。
「お前はナザリックに来るつもりはないんでありんすか?」
ベッドでぐったりしていたシャルティアは快感と多幸感に全身を浸らせていただけで動けなくなったわけではない。曲がりなりにも100レベルである。むしろお肌艶々気力満タンの絶好調。
「近々訪問する予定です」
住まいを移さないかとの問いであるとは察せられたが、素直に答えると色々と面倒である。
「シャルティア様もお聞きになっておられた通り、アインズ様からナザリックの大図書館の利用許可を頂きました。明日にも申請を出そうと考えています」
「申請?」
「ナザリックの訪問についての申請書です」
立場的にはアルベドの配下であり、ナザリック所属と言える。しかし、ナザリックで生まれたわけではないため、明確な線引きがある。高い地位にいるわけでもないので自由に出入りすることを許されたわけではない。地下大墳墓ナザリックへ訪問するには幾つもの手順を踏まなければならない。
まずはエ・ランテルのアインズ様の居館へ「ナザリックに行きたいです」と申請書を出す。申請書は然るべき方のサインをもらってアインズ様へ。アインズ様が「いいよ」と言うとその旨が記された書面が返ってくる。アインズ様がいらっしゃらない時は然るべき方のサインでOK。それをもって出発である。
エ・ランテルから馬車に揺られてカルネ村へ。カルネ村で一泊してからナザリックへ。「いいよ」の書面を見せてようやっと訪問することが出来る。
申請書を出してから三日以内に訪問できれば御の字である。
「面倒でありんすね……」
「大した手間ではありません。必要な手続きと愚考します」
「でもアインズ様はお前が来ることをお許しになったでありんしょう?」
「はい。ありがたいことです」
「だったら問題はありんせん。私が連れて行ってあげんす」
「え?」
反論する時間はなかった。
ベッドから飛び降りたシャルティアは魔法のマントを掴み、もう一方の手で男の腕を掴んだ。変な方へレベルアップした男に吸血鬼の怪力に抗う力はない。シャルティアが唱えるのはゲートの魔法。暗がりが球形に広がり闇の門が生成される。
シャルティアは壁に隠された覗き穴へ向かって妖艶な笑みを向け、男を捉えたまま闇の門を潜り抜けた。
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「ソーちゃん起きろーーーーーーっ!!」
「ピギィ!」
ソリュシャンの部屋に駆け込んだのは改造メイド服を乱したルプスレギナである。駆け込むなり、未だベッドの上でぽけーっと虚空を見つめるソリュシャンへ全力のぐーぱん。
ソリュシャンはショゴスであり、物理攻撃に耐性がある。しかし、愛のこもった拳がゴム人間に効くように、愛のこもったルプーパンチは妹を正気に戻す効果があった。
「な、なに!? 何するのよルプー!」
「それどころじゃないっすよ! おにーさんがシャルティア様にさらわれたっす!」
「シャルティア様に? どうして!?」
ルプスレギナがどうしてそんなことを知っているのか。ずっと覗いていたからである。
おにーさんとシャルティア様がいいことしていたのを最初から最後までずっと覗き見ていた。シャルティア様のテクニックを学ぶためであり、本日の甘えん坊モードはとても参考になった。
それはそれとして、二人の交わりを見て聞いて、ずっと一人で慰めていた。さっきまでメイド服の襟ぐりを引っ張っておっぱいを出していたし、スカートの下はパンツを履いてない。ソリュシャンの鼻ならルプスレギナから雌の匂いを感じたかも知れない。股間や太ももを拭う暇もなかった。
幸いなことに飛び込んできたニュースが大き過ぎてソリュシャンは気付かなかった。
「どうしても何も突然だったんすよ! おにーさんがナザリックの最古図書館に行きたいって言ってそれなら自分が連れてくって」
「……………………まずいわね」
「まずいっすよ。だからソーちゃんのとこに来たんじゃないんすか」
人間の男が吸血鬼のねぐらに囚われて、ぐっちょぐっちょになるならまだしもぐっちゃぐっちゃになりでもしたら目も当てられない。
生きてさえいればあのお兄様の事だからなんとでもなるだろうが、もしも吸血されてレッサーヴァンパイアに転化してしまったら。
ないとは言えない。
お兄様の血はシャルティア様が我を忘れるほど美味しいと聞き及んでいる。
「私たちの手には余るわ。至急アルベド様にご連絡をして」
「あーーーー、アルベド様はちょっち不味いっす」
「どうして?」
「ソーちゃんが寝てる間に色々あったんすよ」
「寝てたわけじゃないわ。ちょっとぼんやりしてただけじゃない」
「そーっすね」
ソリュシャンはアルベド様に隠れてお兄様の精液を絞ってきた。今は公認となっているが、ソリュシャンはまだ知らないでいる。
一日最低1回。最大5回。平均3回。アルベド様がいらっしゃる前日と当日の二日間は禁欲日。週に五日は絞ってきた。月に約二十日と言う事は大体計60回となる。
それが一昨日は一日で100回以上。二か月分を一日で。
ソリュシャンは急性精液中毒になってしまったのだ。アルベド様にお見せすればたちどころに回復したかも知れないが過ぎた話。愛のこもったルプーパンチで元に戻ることが出来た。
「アインズ様に…………、駄目だわ。アインズ様は遠征の準備に掛かりきりになっていらっしゃる。このようなことでお手を煩わせるわけにいかないわ」
「でもアインズ様もおにーさんのことは割と気に掛けていらっしゃって…………うーん、やっぱだめっすよね」
アインズ様が御手隙で暇を持て余している時なら一考してもよいが、今はお忙しいと知っている。それにシャルティア様に拉致られたのは確かでも、まだ問題らしい問題が発生したわけではない。発生する可能性はそれなりに高いと思われるが。
「気に掛けていらっしゃるとなると……、マーレ様ね」
「それっす!」
先にナザリックを訪問した際、マーレ様を肩車してナザリック見学をしていたと聞いていた。
マーレ様はアウラ様の双子の弟であられ、アウラ様はシャルティア様と喧嘩するほど仲が良い、と聞かれようものなら双方からどうしてそう思ったのかと詰問されると思われるので口にはしないが暗黙の了解である。
アウラ様ならシャルティア様を抑えることは十分可能と思われた。
「あっ…………」
「どうしたんすか早く連絡するっすよ!」
ソリュシャンは胸元、というか胸から体の中へ手を入れて顔を歪めた。
「メッセージのスクロールがないわ……」
「なんでないんすかーーーーーっ!」
お兄様殺人未遂事件の折にアインズ様へ連絡したのが持っていた最後である。
補充要請はしていたが、在庫がないのか緊急ではないので後回しにされているのか、ソリュシャンに詳しい事はわからない。確かなことは、メッセージのスクロールを持っていない事。遠く離れたナザリックにいるマーレ様へ連絡する手段がないという事。
「一体どうすれば……、走ってナザリックへ? そんな時間ないわ。ああどうして私は魔法が使えないの!」
「魔法! 魔法ならナーちゃんっすよ! ナーちゃんは今どこっすか? エ・ランテルにいるはずっすよね?」
「そうよ、ナーベラルがいたわ。黄金の輝き亭にいるはずよ」
アインズ様が遠征に行くという事は、英雄モモンは影武者が勤める。故に大きな活動はせず、エ・ランテルの近郊でぼちぼちやってるはずなのだ。
外は未だ暗い。人の身に扮しているのだから黄金の輝き亭でドッペルゲンガー談義にでもふけっているかも知れない。
「急ぐわよ!」
「いくっすよーっ!」
ルプスレギナはメイド服を着崩したまま。ソリュシャンは透け透けのネグリジェのまま、では流石にまずいのでガウンを羽織った。
二人は窓を開け放ち、飛び出て行った。
エ・ランテルの夜道を美女姉妹が駆け抜ける。
果たして二人は間に合うのか。
一方その頃、二人が助けようとしている男はヴァンパイアブライド達の凍てつく視線に晒されていた。
知る人ぞ知るかつての5万文字チャレンジが今は27万文字
そろそろ届きそうだけどR18で申請する度胸も勇気も根性もない