純白のシーツに落ちた赤い花びらを、幼き美貌のダークエルフが呆然と見つめていた。
青と緑の異色光彩は濡れている。体の震えに合わせて頬を伝い、顎に溜まってシーツに落ちた。涙の滴はシーツの染みに溶け混じり、すぐにわからなくなってしまった。
すすり泣きの声が響いた。
『うっうう……、ぐすっ……ひぐっ……。こ、こんなの……ひどい……』
小さな体をきつく抱きしめる。そうすれば何者も自分に触れられないと信じているかのように。しかし細い肩をぽんと叩かれ、小さな悲鳴を上げた。
『ひっ』
『酷いとはあんまりな言いようですね。あなたが望んだことでしょうに』
『なっ……何言ってるんですか! ぼくは……ぼくはこんなことしたいだなんて――』
『あなたは階層守護者だ。本気で抵抗されたら何も出来ませんでしたよ? あなたは抵抗しなかった。それが全てです』
『そんな………………』
美しい瞳が揺れている。それとは対照的に赤と青の異色光彩は喜色を湛えている。
『もう一度しましょうか』
『やっ…………いやです! もう、あんなことっ……絶対にやだあっ!』
『おやおや……、我が儘を仰いますね。それでしたらアウラ様に伺ってみましょう。マーレ様が本当にお望みなのは一体何なのかと』
『え…………。お姉ちゃんには言わないでください!』
『聞かないとわからないでしょう? それともマーレ様のお望みは聞くまでもないということでしょうか?』
『それは…………』
『それは?』
『………………もう一度、お願いします』
『よく言えました』
青と緑の瞳は絶望に陰り、もう何物も映すまいと固く目を閉じた。
幼いダークエルフは再び鳴き始めた。
▼
二人のエルフメイドの脳裏を絶望的な未来妄想図が過ぎった。絶対に避けなければならない。避けるためだったら何でもする。たとえ、自分の体を使おうとも。
頭に血が上った二人は男の両腕を捕らえて連行した。
主人のために献身を厭わぬエルフメイドはシモベの鑑である。シモベとはかくあるべしと、千年の後にも語り継がれるべき。
しかし、ああ、何と言うことだろう。ナザリックの瘴気は善良なエルフを悪に落としただけではなかった。
腐らせてしまったのだ。
男が連行された場所はツリーハウスの三階にあるゲストルーム。
あれよあれよと言う間に服をはぎ取られ、ベッドに寝かされた。寝かされるだけでなく両腕を縛られてベッドの支柱に固定される。抵抗はしなかった。
アルベド様を筆頭に、高い地位にあり配下を使う立場の方は虐げられるような行為を好まれる。反対に、使われる立場の者はこんな時こそ自分が上位に立ちたいものであるらしい。実はシクススもその傾向がある。お姉さんぶるし、ご主人様とメイドになってもいつの間にかリードを奪われる。特に、「好きだよ、シクスス」と言わないと露骨に機嫌が悪くなり、いつだったか生ぬるくてしょっぱい紅茶を出されて辟易したこともあった。ふと、思ってしまった。もしや、生ぬるくて塩気が強い黄金色の紅茶は、シクススの小水ではなかろうか。今度聞いてみようと心にメモする。そして泣き顔でビンタされるのだが残念ながらそこまで思い至れなかった。
エルフメイドにはお世話になったことだし、そもそも慣れっこである。今でこそお優しいアルベド様だが、最初の頃は「動くな」「喋るな」「目を開くな」であった。それに比べたら縛られるくらい大したことではない。
▽
(縛られてるのにこんなに立たせて……。やっぱり変態よ)
(変態でも私たちが何とかしないとマーレ様が……)
全裸の男をちらちとと盗み見る。軽蔑を隠そうともしない表情は段々と赤らんでいく。
股間にそそり立つ男性器は彼女たちの知識からすると余りにも立派すぎて、本当にどうにか出来るのかと考えてしまう。しかし、やらなければならない。
二人は頷きあって、男の様子を注視しながらメイド服に手を掛けた。
「これからあなたが嫌いな女の体を見せてあげるわ」
金髪のエルフが声と表情を強ばらせて言う。
嫌いとは何のことだかわからないが、ここは彼女たちのペースに合わせて黙ってみていることにした。
「!」
メイド服が床に落ちる。緊張からか、震える手でブラジャーのホックを外し、肩紐を外し、華奢なエルフらしい慎ましやかな乳房が露わになった。
エルフの裸身が目に入った瞬間、男は眉間に皺を寄せ、目を逸らした。
「ふ……ふふ…………。ふふふ、ほぉら。これが女の体よ?」
エルフの顔から僅かな脅えと緊張は消え去った。代わりに余裕めいた態度で男に裸身を見せつけ、ベッドに上がった。茶髪のレンジャーのエルフも続いてメイド服を脱ぐ。こちらはベッドの縁へ、男の顔の側に腰を下ろす。
裸身を晒して、もしも男から好色めいた視線を感じれば、かつて体に刻まれた痛みと屈辱を思い出していたことだろう。しかし、この男は美少年に興奮して勃起する変態の男色家なのだから女の体を嫌っているはず。
あちらから手を出されない安心感が強者の余裕となって、女たちへ己の優位を再確認させた。これで安心して安全に搾ることが出来る。
二人の認識とは違って男色家ではない男は、極当たり前に女体に興奮する。
それなのに二人のエルフから目を反らしたのは、屈辱だったからだ。
シャルティアがそうだったように、華奢な体はラナーを思わせる。エルフ達はシャルティアと違って血色がよく、思い出したくもないのに思い出してしまう。
慎ましいのに張りのある乳房とか、華奢な体に相応しく折れそうなほどに細い腰とか、肉付きの薄い尻とか。そして王族であることから良好な食生活による健康的で日に当たらない白い肌。どうしてあんな貧相な小娘を思いだしてしまうのか。
俺はちっぱいよりおっぱいが好きなんだ!
ソリュシャンの爆乳に挟まれて一体何度出したことか。飽きるほど出したせいで、ソリュシャンのおっぱいでは中々興奮出来なくなった弊害もあるが。
心で何と思おうと、エルフの裸身は非常にそそられた。思い出したくもないものを思い出してしまったので咄嗟に目を反らしたが、体は素直に反応している。
もしもこの男が本当に女体嫌いであれば、裸の女が近付けば力をなくしてもおかしくない。
実際には、目を反らしながらも脈打つほどに力強く勃起している。その矛盾にエルフ達は気付かない。裸を見せることが男への嫌がらせになると思って、積極的に見せつける。二人して男の顔の両脇にぺたんと座り、嘲笑を浮かべて男の顔を見下ろしている。男が目を閉じれば手を伸ばして瞼を開かせる。
男が横を向いたときは、無理に正面を向かそうとはしなかった。頬を押さえて顔の向きを固定し、崩して座っている脚を僅かに開いた。脚の付け根までよく見えるように。
「………………わ、私からしてもいいかしら?」
「え?」
口火を切ったのはレンジャー。
「ほら、私はレンジャーだから最初に様子見するのが仕事だしドルイドのあなたより体が丈夫だから何かあっても大丈夫と思うからしたいわけじゃないんだけどこういう時は私が先に行った方がパーティーの為だと思うし…………だめ?」
ジト目で見られ、男の前では繕ってきた強気が崩れて生来の気弱さを覗かせた。
「別に、いいけど……。マーレ様のためなのを忘れないでよね」
「わかってるわ」
膝立ちになって男の体を跨いだ。
「ん……」
股間に指を伸ばし、薄い陰毛をかき分けて割れ目に触れる。いつからそうだったのか、もう濡れ始めていた。何度もしてきたようにクリトリスを擦り、増えてきた愛液を指にまとわせて膣口に差し入れる。二本の指はぬるりと入っていった。
指は五回往復した。
「これだけ濡れてれば……」
そろりそろりと男の股間の上へ移動する。体を支えるために左手は男の下腹に突いて、右手は勃起している逸物に触れた。へそまで反り返っていたのを上を向かせて割れ目にあてがう。
彼女たちは処女ではなく、騎乗位をしたことがあった。誰かさんとは違うのだ。
「あっ……」
ゆっくりと腰を落とす。亀頭が入り口に沈み込み、目一杯に押し広げてくる。
「大丈夫?」
「だっ……だいじょうぶ……。いくわ」
心配そうに見守られる中、肉棒が少しずつ女の体へ埋まっていく。
「きっつ……。でもこれくらい! んっんっ……」
入りきる前に腰を浮かせ、女の体に消えた肉棒が現れた。入ったところまではてらてらと濡れ光っている。
三分の一ほど入ったので肉棒に添えていた手も下腹に突いて、荒い息を数度吐き、前傾していた体を真っ直ぐにして、ひと思いに腰を落としきった。尻が男の太股についた。長い逸物は、根本まで女の秘部に咥え込まれた。
「はうぅっ! ……ふうぅぅ……。すごい……。奥まで届いちゃってる。お腹がすごい圧迫されて……。くぅ……」
凄いと思ったのはされている方もだった。
娼館通いもあってそれなりの人数を経験してきたが、根本まで全て入る女は少ない。入れようと思うと無理をさせてしまう。それにも関わらず、華奢なエルフの膣は逸物を全て受け入れてしまった。包み込まれるような深い膣だ。彼女だけがそうなのか、それともエルフの体とはこのようなものなのか。
考察するに、おそらく後者。
エルフの寿命はざっと人の十倍。もしも人と同じ頻度で妊娠してしまうと、この世はエルフで埋め尽くされる。しかし、そうはなっていない。そのためには人口が均衡する程度に死ぬか、そもそも妊娠しづらいかのどちらか。基本的にエルフは人より優れた種族なので、妊娠しづらいと思われる。
それがこの深い膣なのだろう。深い膣を征服して奥まで到達できる強い胤を選ぶために。
哀れにも短かったり細かったりすると満足できないかも知れない。
「あなたの凶暴なちんこがどこに入ってるか見せてあげるわ」
ゆるゆると、それでも懸命に腰を振る茶髪のエルフを余所に、もう一人は男の顔に跨がった。
顔を逸らせないように両手で固定し、こちらも腰を落としていく。男の顔に、匂い立つ秘裂を近付けていく。指で広げ、目の前で雌の内側を見せつけた。
ピンク色のきれいな内側は淫液に濡れている。内側の雌肉はとても柔らかそうだ。食欲にも似た性欲を、獣欲をあおり立てる。
まさに目の前で、女は膣口へ指を入れた。白い指がピンク色の肉に埋まり、抜かれるときは愛液を伴って男の顔へ滴った。
「女のおまんこを見たことがある? これがおまんこよ。お尻の穴よりずっと柔らかくてずっと気持ちよさそうでしょう? 今度はここに…………って」
後ろを振り返る。
腰の上に跨がっている同僚は、上下運動を諦めて顔を伏せていた。
「ちょっと何してるの。頑張ってよ」
「だっ……だって……。すごくて……」
たれ目が弱気を強調した。
荒い息を吐き出し挿入されたままそんな顔をしていると、気持ち良くなってしまって動けなくなったように見える。男を搾ってマーレ様に手を出させないようにしなければならないのに、それでは男のちんこに負けたも同然。
「支援するわ!」
「…………え?」
ドルイドがかざした手に魔法の光が現れる。
《感覚鋭敏》
ドルイドの支援魔法がレンジャーを直撃した!
同時に浮かせ気味だった女の腰を男が下から突き上げた。雄々しい逸物が女の中をかき分けて最奥に届き、亀頭が子宮口を叩いた。
「ひゃああああああああぁぁぁああああぁああぁぁぁあ!?!?!?」
あられもない叫び声。
女は限界まで背を弓なりに逸らせ、おとがいを高く上げて絶叫した。女の意志によらずして膣壁が蠕動し、体を深く貫く逸物を締め付ける。
二人の結合部から広がる液体は愛液か小水か、精液でないのは確かだ。
女はそのままぱたりと後ろへ倒れ、びくんびくんと体を震わせた。倒れた拍子に挿入されていた逸物が抜けて、限界まで広げられていた膣口は体の震えに同期して口を開いては閉じ、その度に白く濁った淫液をたれ流す。男の逸物は未だ湯気が出そうなほど熱くそそり立っているので精液ではない。深すぎる絶頂がもたらした本気汁だった。
「ご、ごめんなさい……」
「あ…………あぅ……? あ……ああ……」
ドルイドが使った《感覚鋭敏》は知覚を研ぎ澄ませて敵の攻撃を察知出来るようにする支援魔法であるが、今回は裏目に出た。
セックスは男と女の戦闘行為と言えなくもないかも知れないが、感覚が鋭くになれば感度も増す。今まで味わったことがない奥まで届く大きな逸物を受け入れて、初めての快感に悶えながらも頑張っていたところに感度倍増。
これは裏切りなのかフレンドリーファイアなのか。
女は無様な敗北を喫した。
「彼女は負けちゃったけどまだ私がいるわ!」
金髪を靡かせ、ドルイドが必勝を宣言した。
▼
「ただいまーっと」
ツリーハウスの一階では、アウラが恐る恐る扉を潜った。
シャルティアと遊びすぎて大分遅くなってしまった。勝負は勿論完勝。枕チャンバラでは決着つかず、口喧嘩へ移行した。語彙に乏しいちょっとおバカなシャルティアではアウラに勝てるわけがない。シャルティアにべそをかかせ、アウラは気持ちのよい勝利を収めた。
その代償として、朝食の時間をかなり過ぎてしまった。
エルフメイド達は自分たちによく仕えてくれているのだけれど、割と小うるさい。小言を言われるのはやだなあと思いながらただいまの挨拶をするが、応えはなかった。
いつもなら誰かしらが返事をしてくれるのに迎えたのは静寂である。
怪訝に思いながら足を進めて一階にある食堂に来た。大きなテーブルには一脚のティーセット。誰かがいた形跡はあるのだが誰もいない。
これはマーレが飲んでいたお茶だろうか。そのマーレはどこにいる。
マーレが連れて行った筈の男はどこへ行った。
常駐しているはずのエルフメイドがいないのもおかしい。
「これは……?」
エルフメイドより遙かに優秀なレンジャーであるアウラは、床に落ちていた小さな布切れを見つけた。拾い上げて広げる。白い生地に水色の花模様が散らしてある。
「…………………………マーレのパンツ? なんでこんなところに?」
アウラは知る由もない。エルフメイド達も気が付かなかった。
男はエルフメイド達がスカートの中に潜ったとき、膝までパンツを下ろされていた。そのまま連行されると足が動かせなくて転んでしまう。転ばないためにパンツをその場に脱ぎ捨てていたのだ。
「アウラ様、お帰りなさいませ!」
「うぇっ!? ……う、うん。ただいま」
不意の声に驚き、慌ててパンツをポケットに仕舞った。
アウラを迎えたのはエルフメイドの一人。かつてはレンジャーをしていた茶髪のエルフだ。
「お食事になさいますか? 少々お待ちしていただくことになってしまいますが」
「うん、お願いしよっかな。…………ところでマーレはどこ? あとマーレが連れてきた奴も」
エルフの瞳がキラリと光り、意味が分からない決意と覚悟にアウラはちょっぴり仰け反った。
「ご安心ください。マーレ様は私たちがお守りいたします。あの男には絶対に手出しさせません!」
「うっ……うん? えっと、どういうこと?」
「それが…………いえ、アウラ様のお耳に入れるには余りにも汚らわしく、どうかご容赦ください。アウラ様はどうか安心してお過ごしくださいませ」
「…………よくわからないけどわかったよ」
わからないけどわからない方がいいであろうことをアウラは直感した。
ポケットのパンツが何だか重たかった。
▽
「ほ……本当に、キツいわ……。こんなに大きいなんて、信じられない……」
ダウンしていたエルフメイドは衣服を整えて部屋から飛び出ていった。
今度はもう一人が跨がっている。やはり膣が深く、全て包み込まれた。
「お腹がいっぱいになってる……。こんなの初めて。おまんこの奥まで届いちゃってる。んっ……あっ……、そこ……」
彼女は上下に動くだけではなかった。体を前後左右に揺らしている。逸物で膣壁の様々なところを擦って、気持ち良い部分を探っている。前の浅い部分も良かったが、奥の裏側もかなりの快感が得られた。そこを擦るには体を前に倒さなければならない。
先にしていた同僚も前傾姿勢が多かったので、感じるポイントは同じらしかった。
「あっ……あなたも……。マーレ様の為を思うなら協力しなさい!」
「……私から動いても?」
「絶対に手は動かさないで」
「動かせませんよ」
「ふん。……あっあっあっ、そこ、そこいいわ。もっと突いて。もっと私のおまんこかき混ぜて」
下から突き上げられ、ついと男の下腹に突いていた手が崩れてしまった。男の体に倒れ、手の平で包めてしまう慎ましい乳房が男の胸板にぶつかって形を歪めた。
「くっ……うっ、あっ……あんっ。…………こんなちんこに、負けないからぁっ」
体を起こそうにも力が抜けて起こせない。逃げるのは論外。抜けてしまわないように、突き上げられて尻が持ち上がらないよう意識する。自分で動いている時よりもストロークが激しくなり、体の中心を男が我が物顔で行き来しているのを感じてしまう。
あえぎながら男の体にすがりつく。
一突き毎に快感が深まっていく。
耐えるだけではなく迎え撃とうと目を見開けば男の顔がすぐそこに。
ナザリック生まれのシモベ達すら惑わす美貌は、悔しいことに彼女も認めざるを得ない。
そして、青い瞳と赤い瞳。
エルフの世界において、異色光彩は王の証。異色光彩のアウラとマーレに忠誠を誓ったのは、そこへ王の徴を見たことが皆無とは言えない。
「んっちゅっ………………。あむ、んっんっ、ちゅる……れろ……んっ」
高きが低きに落ちる自然さで、男の唇へ唇を落としていた。
何に飢えているのか、必死に男の口内を舐め舌を絡める。貪るように唾を啜って、両手は逃がさんとばかりに男の頬を包んでいる。
何度か喉を鳴らして唾を飲み込み、弾かれたように顔を上げた。顔も体も真っ赤に染めて、怜悧な目は険しく、眉間に深い皺を作る。
自分はいったい何をした。自分から人間の男の唇を求めたのか。
人間の男から与えられた屈辱は未だ忘れられないと言うのに。
「うっうっんぁああっ! あんああんっ! くぅっ、このままっじゃっ!」
体の中で男が蠢き、間断なく快感を与えてくる。
このままでは無様に負けてしまう。気持ち良いところを擦られていってしまう。
体は起こそうにも起こせない。気力を振り絞って腕を伸ばした。
手の平に集う魔法の力。
《感覚鋭敏!》
「うおっ!?」
「あっ………………あああああぁぁぁぁあぁああああっ!!!」
マス・ターゲットを指定したわけではないのに、体を繋げたまま密着しているせいか、支援魔法は二人の体へ降り注いだ。
快感が何倍にもなって襲いかかってきた。
体の中心を貫く男が全身のそこかしこで暴れている。体の内側も外側も敏感な粘膜になって甘く激しい愛撫を受けているかのよう。自分の体が男の体へ溶け込んでいく。男の体全てが自分の中に入ってくる。
世界全てが真っ白に焼かれ、自分もこの男も、肉体全てが粉々に砕け散り、混ざり合って溶け合って。
しかし最後に残された小さな一粒。
ほんの一瞬だけ、愛しき主人のあどけない笑顔が浮かんだ。
「まっ……まけない!」
使命が体を動かした。
肉体の境界すら曖昧な忘我の快楽の中で、腰を僅かに持ち上げる。
「んぁああぁああっ!!」
自分の膣から男の逸物が引き抜かれ、攪拌されて泡だった愛液が淫らな音を立てた。すぐ耳元でずりゅずりゅと粘着質な音が鳴り響いている気がする。まるで体全体が性器になってしまったかのよう。
「で、でも……、これで、私の…………」
止むことがない絶頂の渦の中、虚脱した体はなすがままに任せた。
すなわち、重力に従って落ちていく。
「っ!!」
「あっ……っ~~~~~~~~~~~~~~~~~っ!!!!」
体の最奥が熱い奔流に汚されるのを感じたのを最後に、意識が落ちた。
▼
「今の何!?」
スイートクリームに甘々とろとろシロップたっぷりの出来立てフルーツホットサンドにかじり付いていたアウラは、階上から聞こえてきた叫び声に尖った耳をピンと立てた。
青と緑の瞳は鋭く天井を睨み、一瞬で臨戦態勢となって椅子から立ち上がった。
「何か聞こえましたか? 私にはわかりませんでしたけど」
「絶対聞こえたって! 今のメイドの子の叫び声だよ! 助けに行かなくちゃ!」
「助けに、でございますか? アウラ様とマーレ様の守護階層には何の危険もないと思いますが? 大方タンスの角に小指でもぶつけたのだと思います。アウラ様がお気になされるのであれば私が様子を見て参りますので、少々お待ちくださいませ」
「え、でも危ないことがあったら」
「アウラ様がお留守の間には何もありませんでしたので、そのようなことは何も……。マーレ様!」
「ただいまです。あ、お姉ちゃんもお帰りなさい」
「マーレ! 今までどこに行ってたの? それにあいつは?」
「えっと、あの人の服がないからセバスさんの部下の人たちに借りてきました。僕の服じゃダメみたいで」
「あいつにマーレの服貸したの? 着たの!?」
「ちゃんと着れたよ」
アウラは二人のエルフメイドに視線を向ける。二人はマーレからは見えないように、ぶんぶんと顔を横に振った。
「そ、それは、私は見たくない、かな?」
あははと乾いた声で笑いながらアウラは言った。
そして、気付きたくないことに気付いてしまった。
ポケットに入ってるマーレのパンツは、あの男が履いていたのだ。
男の股間を覆っていたパンツがポケットの中に。
ポケットのパンツが得体の知れない何物かに変わったかのようで、一刻も早く放り出したくなった。しかし、この場で取り出せよう筈がない。
パンツから生じる何物かに体を侵されていく錯覚を感じながら食事を続ける。
アウラは何だか泣きたくなった。
あれな都合によりアウラちゃんは遠征に行かないでお留守番です
とヴァンパイアブライドエリートシックスがシャルティアのサポートを頑張るはずです