「その綺麗な顔をふっとばしてやる」
「それはさっきアルベド様にやられました。いてっ」
つまらないボケに付き合うつもりはない。男の頬に銀色に光る細長い棒を押し付けた。
シズが持つのは一抱えもある金属塊。幾つもの溝が走り、大小の凹凸が飾る。様々な形状の部品が組み合わされ、如何にも複雑な機構を思わせる。本体から伸びる同色の棒は、中央に指が入るほどの穴が空いて円筒となっていた。
これぞナザリックにてシズだけに許された武装、魔導銃である。シズの魔力を弾丸に精製し、射出する事が出来るのだ。先ほどは非殺傷の弾丸で男を狙撃した。現在込められているのは殺傷力バリバリだ。宣言通りに綺麗な顔を木っ端微塵に吹っ飛ばすことが可能。
「理由をお伺いしても?」
生殺与奪を握られているのに、呑気なものである。
魔導銃については知らなくても、一応銃器の存在は知っており、シズが持つのはそのたぐいと判断していた。銃については日本語辞書に載っていた。
「……一応、聞いてやる」
男の顔を睨みつけていたシズは、視線を下げた。
「それ……どうした?」
「それとは何のことでしょう?」
「これ。ジャケットの裾。どこにやった?」
シズが見ていたのは男の腹部。服は千切れてへそ出しになっている。割れた腹筋が僅かに覗く。
上半身に着ているシャツとジャケットは、本来なら股の近くまで裾が伸びている。それが今やヘソ出しルック。
アルベド様からバルディッシュの横薙を受けて、スパッと綺麗に切断されたのだ。千切れた裾部をどうしたかは知れたことである。
「捨てました」
バタン。シズさん!?
シズは倒れた。
平衡感覚が突然失調した。視界も失せた。聴覚も消えた。頬に触れる床の冷たさも感じない。シズの中の全リソースが一点に集中したからだ。
ややあって、立ち上がったシズの瞳は虚無だった。靴を脱いでベッドに上り、男の体を跨いで仁王立ちする。銃口を男の額に突きつけた。
「判決死刑。死刑執行。死ね」
「罪状は!?」
ようやく男は焦った。
アルベド様から勝手に死ぬなと言われたばかり。命令で死んだにも関わらず強いお叱りを受けた。それを、アルベド様の目の届かないところで死んでしまえば何を況や。
「……ジャケットを破った」
「ジャケットを?」
男が着ているスーツは、ペストーニャが陣頭指揮をとって仕立てたナザリック製超高級スーツである。それを破った。
「それを、捨てた」
「それはまあ、破れましたから」
シャツとジャケットの千切れた部分は捨て置かれたままで、ペストーニャが退室時に回収していった。
「私の、シールを……」
「シール?」
繰り返されるおうむ返し。シズが何を言っているのか未だにわからない。
「私が貼った、1円シールを、捨てた罪。死んで償え!」
とても珍しいことに、シズが言葉を荒げた。
1円シールとは、シズがお気に入りに貼るシールである。シズが履くスカートの裾にも貼ってある。本当に本当のお気に入りにしか貼らないシールだ。
それをシズは、この男が着るジャケットの裾に貼っていた。それを、捨てられた。
ナザリック製の超高級スーツを破ってまでして捨てたのだ。ナザリック製の衣服を破る禁忌を犯してまでして捨てたのだ。ナザリックのシモベ達なら到底許すことなど出来ない禁忌を犯して、捨てたのだ。そこまでして、シズが貼った1円シールを捨てたかったのだ。
屈辱である。
シズは表情の変化に乏しいことから感情の起伏が小さいと思われることがある。
色々な方向へ情動豊かな他の姉妹と比べれば、小さいかも知れない。小さくてもないわけではない。喜ぶことがあれば怒ることもある。
現在感じている情動は、いまだかつて味わったことがない。余りに大きくて比較のしようがない。正負が逆ではあるが、絶対値で見ればアインズ様がナザリックに残ってくださった事への喜びを凌駕しうる。
感情の名を、怒りと呼んだ。
シズは、爪先から髪の毛一本に至るまで、全身の全てを怒りに支配された。
トリガーに指がかかり、軽い引き金を引く寸前、
「そんなシールをいつ貼ったんですか? そもそも何のシールなのですか?」
「む……」
罪人は己が罪を知らないらしい。
地獄で罪の深さを噛みしめさせるため、シズは言葉少なく語った。
ジャケットの裾に1円シールを貼った。1円シールは自分がお気に入りに貼るシール。そのシールを、ジャケットを破って捨てた。ナザリック製のジャケットを破った。よって死刑。
聞き終えた男の目は胡乱だった。
「まず、ジャケットを破ったのは私ではありません。アルベド様です」
「……」
「アルベド様も私も、シールの存在を知りませんでした」
「……」
「私は、シズさんがお気に入りにシールを貼ることを知りませんでした」
「……」
「そもそも私に何も言わず、どうして勝手に貼るんですか」
シズは銃を下ろした。
シズの顔は凪いでいた。
「酌量の余地を認める」
「いやそこは無罪でしょう。むしろ一方的な思い込みで私をこんな目に遭わせてるシズさんが罪に問われるべきです」
「うるさい。だから過失は認める。でも私の心は傷ついた。その罪を償うべき」
「いいえ、私には過失もありません。いったいどんな罪で裁くおつもりですか?」
「……過失侮辱罪」
「なんですかそれは」
ナザリックの法に、そんな罪状はない。
ないであろうことを男は察した。目を逸らしながら言うシズがその証拠だ。
ここはもう一押しして解放を訴えようとした時、空気を読まずに腹の虫が自己主張した。降って湧いた危機を脱して緊張が緩み、体が欲求を訴えた。食事に行くつもりだったのに、今になっても果たせていない。
シズはベッドから飛び降りると、側に置かれている冷蔵庫を模したボックスから細長い銀色の包みを取り出した。非常食なのに割と美味しいナザリック製レーションである。包装を破いた。
シズは中身を男の顔に近づける。クッキーのように甘く、しとやかな匂いが男の鼻をくすぐった。
男が口を開いたので、シズは食べさせてやろうと近づけて、閉じる寸前に引き抜いた。
「……ください」
「謝ったらあげる」
「ごめんなさい」
「ん。許す」
怒りの深さに反比例して、あっさりと和解がなった。
「水もください」
「わかった。少し待つ」
シズは素直に頼まれた。シズはプレアデスであり、プレアデスは戦闘メイドであり、戦闘とついていてもメイドである。シズの心には奉仕の精神が宿っていた。
グラスに酌んだ水を横たわる男に飲ませてやった。
「ぶへらっ!?」
そして、思い切りせき込んだ。
寝たままでは水を飲めない。せめて体を起こす必要があるのだが、両腕は拘束されたままだった。
「ほどいてください」
「まだ駄目。どっちにしても、後三時間はここから出られない」
一度入ると三時間は退出不能のセーフティルームである。
▽
「私が飲ませる」
シズは、手にしたグラスから水を呷った。
グラスはテーブルに戻し、シズはベッドによじ登る。男の体を跨いで膝を突き、両手は顔の隣に突いた。
手首を肘がゆっくりと角度を変えて、鼻がぶつからないように少しだけ首を傾げてから、小さな珊瑚の唇を、男の唇に押し付けた。
「んっ…………」
合わさった唇は互いに薄く開き、水は高きから低きへ流れ、シズの口内から男の口内へ、冷水はシズの口で少しだけ温められ、男の喉が数度鳴った。
口内の水を飲ませきってもシズの唇は離れない。薄く開かれて重なった唇の間を、シズの舌が通った。目一杯伸ばして男の舌に触れる。求めに応じて、男の舌も伸びてきた。
ファーストキスで舌を入れられたシズは、キスとはこう言うものだと思っていた。
舌と舌が絡み合って、シズの頬を男の鼻息が舐めた。
「れろ……ちゅっ……ちゅる……、ん……」
シズはもう手を突いてない。左腕の肘を男の頭の上に置いている。立てた膝も曲がって、男の腹に尻を突いている。
右手はシャツのボタンを外していた。シャツを開いて手を差し込み、胸板を撫でている。無駄な肉がなく、細身のくせに胸筋は固い。自分がされて気持ちよかったので、小さな乳首を摘まんでやった。
「乳首、立ってる」
「触られれば男も立ちまっ」
「あむぅ……、キス、好き?」
「好きですよ」
「……良かった」
ちろちろと、男の唇を貪りながら乳首を責めた。
シャツのボタンを全て外して上半身を裸にさせ、下半身へ。
キスをしながらなので手探りで手を伸ばし、ベルトを外すのは後回しにして股間に触れた。
シズの眉間に、皺がよった。
「……男性器が立ってない」
「それは、まあ」
言葉を濁した。
シズはプレアデスだ。姉たちに比べれば幼くても希なほど美しい少女である。
唇を重ねて舌を絡ませ、体をまさぐられるのは心地よい。
ついさっき何度も瀕死になり、そのたびにペストーニャから完全回復されたので、血液も体液も、ついでに精液も万全の状態に戻った。
立たせようと頑張れば不可能ではないが、頑張らないとその気になれなかった。
シズは美しい少女であるのだが、淡泊なのだ。
表情は変わらないし、言葉は平坦だし、有無を言わさず閉じこめられて上になっているし、興奮する要素に乏しい。
最大の理由は、アルベド様と濃厚セックスをたっぷりしたばかりだから。
(わたしにぃ…………、あなたの赤ちゃん孕ませて♡)
そんなことを言われてしまった。
赤ちゃん云々は幾ら何でも雰囲気を盛り上げるための虚言だろうが、かつてなく興奮したのは事実だ。
シズがアルベド様を越える媚態を見せられるかどうかと言えば疑問の余地なく無理としか言えない。
つまりは、アルベド様とのセックスの余韻が強くて、シズから迫られようとそんな気分になれなかったのだ。
「……刺激すれば勃起する」
「ちょっと待ってください。立たせてどうするんですか」
「む……」
シズはズボンの上から股間をさすり始めた。
「シズさんはセックスしたいんですか?」
「……………………違う」
唇を離し、ぷいと横を向く。
拘束されているので、横を向かれると顔が見えない。
「違うなら何ですか?」
「……精液。……精液の味は濃厚だった」
同時に、苦くて不味いとも言っていた。
「濃厚な飲み物が欲しければ、レストランでスープをどうぞ」
料理長にオーガの骨髄スープはないですかと訊いて呆れられて怒られることになるのは予定調和である。
「む……。お前はしたくない?」
「私がしたいと思ってもシズさんがしたいと思わなければ無理ですからシズさん次第です」
「したいならしてあげてもいい」
「シズさんがしたいのでなければしたくありません。いえ、シズさんはセックスしたいわけじゃないんですよね?」
「むう……」
シズは、セックスをしたいわけではないと言ってしまった。
濃厚な精液を味わいたいと言ったら、レストランのスープをお勧めされてしまった。
シズは、本当にセックスがしたいわけではなかった。
セックスは手段である。目的ではない。目的を果たすのに、セックス以外の手段を知らないだけだ。
「……セックスしたいわけじゃない」
「それなら何ですか?」
「…………気持ちよくなりたい」
目的は、快感を得ることだった。
この男とのセックスは、繋がってる女性器だけでなく全身が気持ちよかった。あんな気持ちよさを、他で味わったことは一度もない。他の手段は想像も出来ない。おそらくは存在しない。
だから必ずしもセックスしたいわけじゃないけれど、気持ちよくなりたいからセックスしたいと思わなくもない。
「わかりました。それなら尚の事解放してください」
「……鎖を解いてもまだ出れない」
「わかってますよ」
「…………逃げない?」
「逃げる場所もないでしょうに」
「わかった」
手枷を外され、拘束されていた手首を撫でた。
咽せて吐き出した水に濡れたシャツが冷たく不快で、ジャケット諸共脱ぐ。
上半身が裸になった男を見て何を思ったか、シズもメイド服を脱いでいた。
ボタンを上から順に一つずつ外して、魔法の服なのだから乱雑に扱っても生地が傷むことはないというのに丁寧にゆっくりとワンピースにブラウスに、と脱いでいく。
勿論下着も。ブラジャーを外して、パンツの前にソックスを脱ぎ、パンツも下ろして足を抜く。
男に見られながら、シズは眼帯とヘッドドレスだけの姿になった。
服を脱ぐ動作は淀みなく、まるで服の脱ぎ方の作法やマナーでもあるかのよう。しかし、躊躇いと恥じらいは全くなかった。
シズちゃんの裸はとても綺麗なのに、これだからいまいち興奮できないのだ。
「……こちらに」
「わかった。あっ……」
男に近付くなり抱きすくめられ、ベッドに押し倒された。さっきとは上下が逆になった。
シズは、自分がしたのと同じ事を仕返された。
唇が合わさる前に舌が触れ合い、たっぷりと唾液を交換しながら体をまさぐられる。
ただでさえ小振りな乳房は、仰向けに横たわると一層小さく見えてしまう。それでも触ってみれば膨らみを感じられ、乳肉の柔らかさがあった。
数度揉み、焦らさずに突起を摘まんだ。
「シズさんは乳首を触って欲しいって言ったことがありますよね。乳首を触られるのは好きですか?」
「む……。あんっ!」
顔を背けようとしたのに、出来なかった。
乳房の中央から、刺したような刺激が広がった。痛みは全くない。
「好きじゃないならもうしません」
「あ…………」
シズの声には惜しむ響きがあり、している方は惜しむことなく手を離した。
なだらかな乳房の中央で、乳首が物欲しそうに尖っている。ピンク色だったのに赤みが強くなって張りつめている。体の内側から淫欲が顔を出しているかのようだ。
「あんっ、……乳首、好きじゃなくない。だから、触っていい。……ペロペロもしていい」
尖った乳首を一舐めする。
濡れ光った乳首は食欲をそそった。口に含んで舌で転がし、弾力を楽しんでから強く吸った。
シズのおっぱいは小振りで、アルベド様のおっぱいを吸った時のような満足感はないし、ソリュシャンと違っておっぱいを出せるわけでもない。
だけどもとても綺麗な乳首だ。プレアデスで勃起乳首の綺麗度ランキングを付けたら相当な上位に食い込む。
「んぅ……、吸って、いい。いっぱい、して、……いい」
乳首を吸われて摘ままれて、指で舌で転がされ、甘噛みされて引っ張られる。
その度に、シズは幼い声で甘く鳴いた。
自分で触ったときとは何もかも違う。
自分で触っても乳首は立つが、声までは出ない。今だって出そうとして出しているのではなく、勝手に出ている。
乳首を触られて、気持ちよくなって、抑えようとは思っているのに可愛い声で鳴いてしまう。
触ったり舐めたりする許可を与えている形なのに、本当はして欲しいと思ってる。
触って欲しい、舐めて欲しい、噛んで欲しい、摘まんで欲しい、吸って欲しい。色々な事をして欲しい。もっと感じたい。単に気持ちよくなりたいのとは少し違う。
感じたいのは、手と口。指と舌。この男の体。
もっともっと求めて欲しい。そして一緒によくなりたい。
「あ………………、女性器?」
「……そこはおまんこって言ってください」
「女性器もおまんこも同じ意味」
「同じならおまんこの方で。そっちの方がシズさんをより可愛く思えるんです」
「わかった」
シズの股間は全くの無毛で、秘部は無垢な一本筋。
伸ばした中指を筋に合わせれば、温かなぬるみがまとわりついた。
ぴたりと閉じているのに濡らしているらしい。
「濡れてますね」
「おまんこが濡れてる? ……潤滑液」
「潤滑液って教えたのは私ですけど、そこはせめて愛液って……!」
はたとろくでもないことを閃いてしまった。
シクススやメイドたちは、様々な淫語や行為を知っていた。誰もが処女だったのに、どうしてそんなことを知っていたのか。
シクススは、異本に書いてあると言っていた。異本があるのはナザリックの最古図書館であると思われる。シクススの言によると禁書指定らしいが、メイドたちが閲覧できるならプレアデスであるシズも閲覧可能であるはず。
シズには異本で自主学習してもらおうと考えた。
「潤滑液は愛液って言う?」
「愛液とも呼びます。後で参考資料を教えますので、そこから色々学習してください」
「……わかった。んっ……、おまんこも、こすっていい。あっ……、あっ……んっちゅう……、こっちのキスも、好き」
シズの割れ目に潜った指は数度往復した。
まだふにふにしているクリトリスを責めるのも良かったが、前回できなかったことをしようと考えた。
処女だったときのシズは、膣が処女膜で完全に塞がっていた。
指を入れるのは拒否されて、逸物で破ったのだ。
破った後は、両手をシズに拘束されてこちらからは何も出来なくなった。
その後にシズと作った時間では、濡れやすいのをいいことにすぐに挿入したがった。
手指でシズの内側を愛撫したことがなかったのだ。
今回はそれを果たす。
手マンの時間である。
シズには騙されていいようにされたり、今回は一方的な勘違いでまたも閉じこめられたりしている。だけども、最古図書館に連れて行ってもらった恩があった。
シズは気持ちよくなりたいと言っているのだから、恩返しをするべき。
この男は、手技に自信があった。
アルベドに初めての敗北を覚えさせた魔技である。
技は絶え間なく磨かれ続け、美神アルベドの恩寵もあって高次元の悦楽を与えることが出来るのだ。
「あっ?」
シズの体から離れ、頭側に腰を下ろした。足は開いてシズの体を包むように伸ばす。
そして、シズの脚を引き寄せた。
「苦しいですか? 苦しいようなら姿勢を変えます」
「……平気」
「それでしたら、脚が倒れないように持っていてください」
「わかった」
シズは自分の膝裏に腕を通した。自分の手で大股を開く姿勢。脚をぐいと引かれたので、尻は浮いている。
横たわったままで、開いた股間を天に突き出すこの姿勢を、まんぐり返しと言った。
常と違うのは、男の位置がシズの足側ではなく頭側にあること。シズの股間と正対する位置である。
シズは大きく股を開いているのに、秘部は一本筋のままだ。
「おまんこを広げてください」
「…………」
無言で従った。
股間を突き出す異様な姿勢で、シズは閉じた陰唇をぴらと開いた。濡れた内側が露わになった。
しとどに濡れている。
処女膜を破かれた膣口には透明な液体が溜まっている。指も入りそうにない小さな入り口に、中指を突き立てた。
「っ!」
ぬぷりと指が入っていく。愛液が押し出され、無毛の股間を伝って流れた。
穴は小さくてきつそうだったのに、指への締め付けは柔らかで肌触りはなめらかだ。
薬指も追加した。シズの穴は抵抗なく受け入れた。
「あっ! そこっ、そこぉ、どここすってるうっ!?」
内部で指を折り曲げて、男の精液を搾り取るためにある淫らな膣壁をこすり始めた。
オートマトンであるシズは妊娠しない。それなのに女性器がある。
シズが悟ったように、男性器を受け入れるためだけにある。挿入された性器を咥えて締め付け、射精に導くためだけにある。
それに付随して、どちらが優先されているのかは誰にもわからないが、シズ自身も快感を得る。挿入されて気持ちいい。中で出されると満足感がある。サキュバスであるアルベドとは違うやり方だが、子宮に送られた精液はシズのエネルギーになる。
挿入されて気持ちいいのだから、男性器以外でも。
「あっあっあっあっ、ああっ! ゆびっ、ゆびがっ! おまんこにはいってる! おちんこじゃないのに、ゆびなのにっ!」
シズの顔が艶めいて来た。
男の股に頭を押しつけて、幼い美貌を雌のものにして鳴いている。
抽送はペースを保って、飛沫を上げながらシズの中を行き来した。
(こっちもしておくか)
「!?」
シズはまんぐり返しをしているのだ。
これがベッドに寝ころんでるなら兎も角として、股を突きだしている。
性器がよく見えるなら、尻の穴もよく見えた。
「そっちちがうっ! そこは肛門で出すところだから入れるところじゃなくて入れるのだめっ!」
「まさか。シズさんのここは入れるところですよ」
「!?」
シズに天啓が降りてしまった!
シズはオートマトンなのに女性器がある。偉大なる創造主であられるガーネット様から与えられた体に不要な器官はないため、女性器は挿入されて快感を得るためにあると悟った。
では肛門はどうか。
シズはオートマトンの種族ペナルティとして、固形物を消化吸収することが出来ない。シズの食事は高カロリー甘々ドリンクなのだ。そのため、肛門から排泄する事がない。なのに、ついている。
(おまんこは挿入するためにある。でも肛門は違う。そこは排泄するところ。でも、私はオートマトン。うんちは一度もしたことがない。肛門は必要ない器官。それなのについてる。私にも肛門がある。なんのために? 出すものがないなら入れるため? ああ……、肛門にも指が入ってる。見えないけど入ってるのがわかる。……どこまで入ってるのかわからない。広げられてるのはわかる。う……、ちょっと、苦しい)
「……入れていい、から、ゆびへらして」
「いきなり三本は多かったですかね?」
着色のない綺麗なアナルは、幾本もの皺が伸ばされきっていた。
膣同様に小指すら入らないように見えたくせして、指を突き立てればぬるりと飲み込んだ。調子に乗って中指に人差し指と薬指を追加したのだが、さすがに苦しかったらしい。
穴があったら入れたいお年頃でも、シズに苦しい思いをさせたいわけではない。
指を抜かれたアナルはぽっかりと広がって奥の暗がりを見せ、すぐに閉じてしまった。
入れていた指を嗅ぐと、不快な臭いは全くない。愛液と似た甘ったるい匂いだけがある。
「それでは改めて、いきますよ?」
「うん。……気持ちよくして。あっ……あっ……ああああっ!」
両穴に差し込むのは中指と、パートナーの薬指。シズの小さな体は、都合四本の指を飲み込んだ。
出し入れする度に愛液を掻きだして、シズのおつゆは下腹を伝って形良いへそに溜まった。
「あっあっあっ、はあっ! んあっ、はあっ、ああっ! あんっ! あんっ♡」
シズは鳴き続けた。
翠玉の瞳は愛欲に潤んで、知性の欠片もない。
脚を広げていた手はシーツを掴み、皺を作った。
「いいっ、おまんこいいっ、きもちい♡ おまんこしてっ♡」
「お尻の穴はどうですか?」
「お尻もっ……いいっ、中でぐりぐりぃ、ああんっ! わたしのあながっ、どっちのあなもぉ♡」
知性がなければ理性もなかった。
幼い美貌を愛欲の炎で溶かし、ユリにすら見せたことがない蕩けた顔でどこでもない所を見つめている。
もしも今のシズに理性と知性があり、ユリのように気を感じるスキルがあれば、男の手指から鮮やかなピンク色の光が迸るのを目にしたことだろう。
二つの意味で内側を激しく嬲られ、シズの自我は砕け散った。
とても大きくて優しい存在に体も心も包まれて、シズは何もかも手放してしまった。
「おお!」
「ああああああああああああああああぁぁぁあああああぁーーーーーーーーっ!」
感嘆の声はシズの絶叫にかき消された。
気配を感じてシズの穴から指を引き抜いたと同時である。
シズのおまんこの、正確に言えば尿道口から、無色の液体がプシャーっと噴出した。
飛び散るおつゆは、さながら噴水の如し。
甘ったるい匂いが周囲に満ちた。
明滅する視界を呆と眺め、顎をがくがくと震わせて、シズは涙を流した。
▼
シズの愛液は甘い匂いがする。味はなく、舐めれば僅かなとろみがあった。
今し方噴出した液体は、甘ったるさの中に、どこかミルクのような匂いが混じる。味は無味。注意深く味わえば、酸味があるような気がしなくもない。とろみはなく、さらっとしていた。
シズのおしっこだった。
潮吹きと言うのは、つまりおしっこである。
性交によって強い快感があれば催すものであり、それが我慢できなくなって勢いよく出てしまったのだ。
「シズさんのおしっこはいい匂いがしますね。この香りは捨てがたいです。シズさんのおしっこでお茶を入れたらきっといい感じのフレーバーティーが出来ますよ。味はほとんどないからお茶の味を邪魔することもないでしょう。でも加熱すると香りが飛んじゃうかな? そうだ。香り付けにちょっと入れればいいのかな。お茶を入れる際にシズさんにおしっこしてもらって、ギャン!?」
男は気絶した。
シズのおしっこをテイスティングしている間に、またも頭部を撃たれたのだ。
「うわっぷ!」
顔に冷たい水を掛けられて、反射的に拭おうとしたがガチャガチャと鳴るだけで腕が動かせない。
目を開けば見知った天井。またも両腕を拘束されて寝かされているらしい。下半身に開放感がある。下を脱がされている。
「どうしてまた縛ってるんですか、解いてください」
「だまれ!」
とても珍しいことに、シズが声を荒げた。
本日二度目だ。シールを捨てられたと勘違いしたのと同じくらい深い激情に駆られているらしい。
今度は、怒りだけではなかった。
過日、アルベドは男の前で放尿してしまったとき、絶望に心を喰われた。
おしっこの色を褒められたときは羞恥の余りに涙した。
おしっこを飲まれてしまったかも知れないと思ったときは、過去を忘れるために我を忘れて快楽の海に溺れきった。
シズは、男の前で潮吹きをしてしまった。
潮吹きだろうとなんだろうと、おしっこであることに変わりはない。固形物を食べられないシズなので大きい方はしなくても、小さい方は普通にあるのだ。
おしっこの匂いを褒められてしまった。おしっこでお茶を淹れたら美味しいとも言われてしまった。お茶を淹れるときはおしっこしてと言われてしまった。
高レベルであるアルベドでさえ絶望に心を喰われる羞恥の極地。
「……あの、シズさん?」
表情に乏しいシズだ。
しかし今のシズを見れば、誰であれそんな評価を一笑に付すことだろう。
シズは眉間に深い皺を刻み、目を吊り上げていた。
歯を固く食いしばり、真一文字に結ばれた唇は端がひくひくと。唇に釣られるのか、頬も痙攣したように震えている。
誰もが目を疑うのはシズの頬。白い頬は、真っ赤に染まっていた。
恥ずかしくて恥ずかしくて堪らなくて、向こう側へ行ったきりだったら良かったのに帰ってきてしまったシズは、もう本当に堪らなかった。
「豚のように……鳴かせてやる!」
「!?」
シズは怒った。
セーフティルームから出られる時間になっても、シズの怒りは治まらなかった。
寸止めに加えて根本を縛られ、命乞いならぬ射精乞いをさせられた。
男の言う生物にとって、射精に至らない快感がどれほど狂おしいものであるか。
三時間以上入れっぱなしで、初めての射精を許されたときは、アルベドに中出しした時よりもずっと多かった。
快感も相応に深いものだったが、そこへ至るまでの苦痛と釣り合っていない気がしてならない。
どうしてシズが怒ったのかさっぱりわからないが、シズのおしっこでお茶を淹れるのは諦めざるをえなかった。
マイペースでいいよって言われたので甘えたら間があいてしまいました
次はもちょっと早く出来たらと思ってます
なお、本話は10,700字ちょい、長いですかね?