※この作品はR-18です。

崩壊した世界でステゴロ聖女と旅をする   作:nibiiro

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皆様こんにちは。
nibiiroと申します。

だいぶ間があいてしまったこちらの作品。
マルタ好きの方、待ってくれている方々、すみません。

今回は旅を共にするある2人と今まで登場したキャラに関してとかのお話です。

前置きはこれで。

それでは、いってらっしゃいませノシ


ステゴロ聖女と隠れ里

どうしてこうなった。

 

「ウェヘヘ……♡マスター……♡」

 

「うーん……」

 

右を見れば、サーヴァントのブラダマンテとそのマスターが目を回して潰れている。

 

「主殿……」

 

「んにゅ……小太郎、君……」

 

左を見れば、風魔小太郎君とマスターの菜子ちゃんが仲良く寝息を立てている。

 

「お館様っ♡はぁ♡んっ♡もっと♡もっと千代女にっ♡」

 

「し、死ぬ……」

 

耳を澄ませばいつまにか姿が見えなくなった2人、望月千代女とマスターの尾上由明の声が聞こえる。

 

そして────

 

「ちょっとぉ♡」

 

「っ」

 

「手が止まってるわよぉ? 飲みなしゃいよぉ♡」

 

酒に呑まれたマルタに絡まれる俺。

 

どうしてこうなった(2回目)

 

「あのー、マルタさん? そろそろ寝た方が……」

 

「あぁん⁉︎ 私のしゃけが飲めないっていうろ⁉︎」

 

(言ってねー!!)

 

ダレカタスケテー。

ダレカー。

 

 

●

 

 

数時間前────

 

「……ふぅ。そろそろ休憩するか?」

 

「そうね。後ろの2人もバテてきたみたいだし」

 

世界が崩壊してから様々な出来事を体験し旅をする俺達は今、緑が生い茂った山中を歩いていた。

 

「ふたりともー!休憩するぞー!」

 

「ハ、ハイ!」

 

「ぜぇっ! ぜぇっ! はいぃ!」

 

後ろへ呼びかけると返事が2つ返ってくる。

ひとつは女性の声でもうひとつは青年の声だ。

 

「お疲れ様。身体冷やさないよう汗は拭いて、水分はしっかりとろうな」

 

「あ、ありがとうございます。はぁ……」

 

「大丈夫ですか、マスター?」

 

「う、うん。大丈夫だよ」

 

手渡したスポーツドリンクに口をつけ休む2人。

女性の名はブラダマンテ。青年は森永 千歳(もりなが ちとせ)君。

 

とある諸事情で、一緒に旅をしている。

 

「それにしても、ここは空気が澄んでいますね。身体にいい気がします」

 

「自然が豊富だからなー。もう少しで目的地だから頑張ろうな」

 

「う、ウッス」

 

とある出来事がきっかけとなり旅を共にすることになった俺達4人。

自由気ままに4人で各地を旅をし続けて2か月は経つかもしれない。

 

「それにしても、ブラダマンテと千歳は強くなったわね」

 

「ほ、本当ですか⁉」

 

「えぇ。ブラダマンテは技のキレが見に見えて上がってるし、千歳は体力ついて逞しくなったわよ」

 

「マルタさんにそう言って貰えて……嬉しいです!」

 

「いつも言ってるけど私もまだまだの身だから、いいアドバイスとかあんまりできないけど」

 

「そんなことないです! マルタさんは私にとって良き師匠です!」

 

「……ありがとね」

 

「えへへ♪」

 

はしゃぐ女性陣。

目の保養になる光景を千歳と俺は眺める。

 

「僕って体力つきました?」

 

「おう。この山道についてこれてる時点で中々だ。自信もっていいぞ?」

 

標高までは詳しくはわからないが、この山は道のりが中々険しい。

迷いやすい、という点もあるが。

 

「ところで、僕らはどこに向かっているんですか?」

 

「っ! そうだ。それを聞こうと思っていたんでした!」

 

「あぁ、悪い。言い忘れてた」

 

「私としては、言わずに楽しみにしてくれた方が嬉しいけどね」

 

『……楽しみに?』

 

疑問形で声が重なる森永ペア。

気の合ったあった仲の良さに俺とマルタは苦笑を浮かべる。

 

「そう。このご時世にはとても似つかないいい場所よ」

 

「あまり期待されても困るけどな。…………お?」

 

ふと、視界の片隅に何かが映る。

 

「あ」

 

「え」

 

「あら」

 

つられて、3人もそちらに目を向けた。

 

[ポケー……]

 

そこにいたのは、小さな妖精。

手のひらサイズで頭から葉っぱを生やし、緑色をしたゆるい顔が特徴。

 

ポケ~っとした顔で此方を見上げていた。

 

「えぇ⁉ 何ですこれぇ⁉」

 

「か、可愛いです!」

 

[ッ⁉ じわぁ……]

 

大きな声に反応してビクリと反応する妖精。

怖く感じたのか、目には段々と涙が……。

 

「ふ、2人とも声抑えて! この子泣きそうだから!」

 

「よ、よしよーし、怖くないぞー? ほら、お菓子食べるかー?」

 

カバンからじゃ〇りこを取り出し、1本差し出す。

 

興味を持ってくれたのか小さな手を恐る恐る伸ばして受け取り、ポリポリと食べ始めた。

舌に合ってくれたのか、ニコニコと食している。

 

「こいつはこの山で暮らしている森の妖精でさ。普段はひっそりと隠れてるんだけど……」

 

「私達の気配に惹かれたのかしら」

 

「かもなぁ」

 

「妖精がいるなんて……。いくら今のが神秘で満ちているとしても、珍しいですよね」

 

「それくらい、ここが凄い山ってことなのかな」

 

お菓子を食べ終わった妖精が差し出した手に寄って来る。

 

[トテトテ……。ヨジヨジ]

 

懸命に登った先で胸を張り、ドヤ顔。

何とも愛らしい奴だ。

 

「懐かれちゃったわね」

 

「みたいだな」

 

[モットチョウダイ]

 

「はいはい。ほいよ」

 

[ワーイ!]

 

独特なゆるさに和んでいると、あることに気づいた。

 

「あ、マスター。肩に……」

 

「え? わっ、いつの間に……って、ブラダマンテも足元に」

 

「わっ。わっ。いっぱいです」

 

千歳の両肩に妖精二匹がそれぞれ座っていた。

ゆらゆらと楽しそうにしている。

 

ブラダマンテの足元にも何匹かおり、ぴょんぴょんと跳ねている。

 

で、マルタにはというと……。

 

「……ねぇ」

 

「お、おう」

 

「何で私には誰も来てくれないのかしら」

 

「あー……」

 

一匹も近寄らず、ポツンとしていた。

 

「聖女なのよ? 私、聖女なのよ? なのに、妖精に好かれないなんて可笑しいじゃないのよぉ……」

 

(本能的にヤベーってわかるんだろうなぁ)

 

「お取込み中のところ、失礼致しまする」

 

『ッ!』

 

突如、上から声と共に誰かが降り立つ。

その人物は、女性のサーヴァントでありながら絡繰り人形。

 

「野中殿、マルタ殿、お久しぶりございます。そちらのおふたりは初めてお顔を合わせます」

 

黒を基調としたボディスーツに身を包んだその人物は跪き、礼儀正しい言葉で話す。

 

「サーヴァント、加藤段蔵。以後お見知りおきを」

 

「久しぶりね段蔵。元気だった?」

 

「はい。段蔵もマスターも健やかに過ごさせて頂いております」

 

マルタと段蔵が談笑を始める中、妖精を抱えたブラダマンテと肩に乗せた千歳が寄ってきた。

 

「野中さん、彼女は一体……」

 

「段蔵はここら一帯の警備担当でさ。俺とマルタは会うのは2度目なんだ」

 

「警備ということは、何かを守っているんですよね?」

 

「はい、その通りです」

 

会話を終えた段蔵が、話の腰を戻す。

 

「この森を抜けた先には村がございます。そこへ不埒者が入らぬようするのが段蔵とマスターの役目です」

 

「村、ですか……」

 

「えぇ。では、ご案内します」

 

 

●

 

 

¨神薙村(かんなぎむら)¨

 

世界が崩壊した影響により神秘が満ちたこの世界で、妖精や木霊といった類と共存している村。

入るための山道から含めて自然が豊富で緑も豊か。

野菜や米も採れるため食べ物には困らず、酒も美味しいといった隠れ里である。

 

「凄い……!」

 

「なんて和やかなとこ……!」

 

森を抜けた先に出て見える景色。眼下に広がるは多くの田んぼに畑。昔ながらの住居に大勢の老若男女。

まさに田舎と言った風貌だ。

 

「なんか前に比べてだいぶ豊かになったなぁ」

 

段蔵とそのマスターが警備をしているがこの山自体が生きているようなもので、地上からと空からでの侵入は不可能に近い。

道順や案内が無ければ辿り着けないほどの迷い森。敵意を持つ者には容赦しないトレントにアルラウネ。

草花に関わった魔物、妖怪達がのびのびと生きていける環境故に、彼らもこの村の人達と繁栄している。

 

「今では稀に観光客が来られるほどです」

 

「平和そうで安心したわ。前に来た時は色々あったから……」

 

村の中を案内されるがまま歩き、着いた先は味のある見た目をした宿だった。

 

「あらあら、聖女様方! お久しぶりです~!」

 

「どうも、女将さん」

 

「すいません。またお世話になります」

 

「いいんですよぉ! おふたりにはお世話になりましたし!」

 

以前も泊まらしてもらったこの旅館。

女将さんは40代らしいがとてもそうは見えない。

 

「後ろのおふたりもご一緒で?」

 

「お願いします。お代はちゃんと支払うので……」

 

「構いませんよ! サービスで2人価格でいいです!」

 

なんとまぁ、相変わらず気前の良い優しい人だ。

 

女将さんの言葉を聞き、千歳とブラダマンテは頭を下げる。

 

『ありがとうございます‼』

 

「これを機に此処の宣伝をしてくれるならいいんですよ~!」

 

(商売が上手いなぁ)

 

「それじゃあ、30分後に外の入り口で集合な」

 

 

●

 

 

 

「いやいやいやいや、聖女様と野中様、久しゅうございます。またお顔が見ることができて感激ですぞ」

 

「村長さんも元気そうで何よりです」

 

「ほっほっほ! あと何年生きれるかもわからぬ老いぼれですがな!」

 

場所は変わり、神薙村で一番偉い村長さんの家。

 

如何にも村長ですと丸わかりの長い白髭に光る頭。

そこ。ハゲって言わない。

 

「そうじゃな。ワシが死んだら聖女様方に葬儀をしてもらいたいのぉ」

 

「あらあら、おじい様。縁起でもないこと仰らないで下さい?」

 

「冗談じゃ冗談。スマンのぉ」

 

マルタは聖女モードで接している。

 

「それで、えーっと……? そちらのおふたりさんはお弟子さんかの?」

 

「ま、まぁ、そんなところです」

 

閑話休題。

 

「それでですね、また村にお伺いした要件何ですけどいくつかありまして……」

 

「物資なら必要な分持ってってよいぞ? 満足するまで休んでいってよいしな」

 

「ありがとうございます」

 

「かまわんて。他はなんぞ?」

 

「あのふたりの様子が気になりまして。上手くやっていますか?」

 

「お陰様で期待以上にやってくれていますぞ。故に、この村も、山そのものも活気づいております。神社に行けば会えますでしょう」

 

「……良かった」

 

心の底からの安堵。

気に掛けていたことが晴れ、気分がスッキリした。

 

「だから、言ったでしょう? あの子達なら大丈夫だって」

 

「そうは言ってもよ……」

 

俺達が旅の中で出会い、この村へ紹介したサーヴァントとマスターの2人組。

今回のように人材を募集している場所への紹介は初めてではないが、到底慣れることはない。

 

引き連れた人物達を紹介した責任と立場諸々が付き纏う。

そもそも、俺には仲介人みたいなことが向いていないからあんまりやりたくないことでもある。

 

(携帯で連絡は取りあってたけどほぼ無視されてたしなぁ)

 

マスターには余り良い印象は持たれていなかったみたいで。

 

「最後の要件は……情報かの?」

 

「さすが。抜け目がないですね」

 

一応、この村は電波も通じインターネット回線も繋がっている。

しかし、外界の危険度は誰にでもわかるほどで、進んでここを出る者はいない。

 

「さて、聞かせてくれんかの? 外の様子を」

 

この村へ来たのは世界崩壊当初ぶり。

蓄えた情報があり過ぎる為、俺達は必要な情報を掻い摘んで話した。

 

「なるほどのう……」

 

湯呑のお茶を一口啜り、白髭を撫でる。

 

「複雑じゃのう。よもや、世界が崩壊する前以上の面倒な世の中になるとは」

 

「村長さんの世界崩壊前っていつの話ですか」

 

「はて? いつになるのかのう?」

 

「コホン。とゆうことで、あらゆる組織が私利私欲の為に動いています。ここも今では立派な戦力を保持する場所。ましてや、神秘と魔力の恩恵が大きいここは格好の標的です」

 

「…………」

 

村長さんは目を閉じ、静かに話を聞いてくれている。

 

「神薙……。今では珍しい事ではないですが、文字通りの神様がここにはいます。ご心配は無用だと思いますが……」

 

「わかっておるよ。どんな世になろうとも神薙様(かんなぎさま)を、村を仇名す者は許さんて。おふたりのお陰で要となる巫女様が居てくれておるしの」

 

この村に伝わる神様。

それが、神薙様(かんなぎさま)。

 

彼女は確かに存在しこの村を守っている。

ただ、神様という存在であるため敬意を払い、巫女が奉納の舞を祭事に納めなければいけない。

それが、神薙村において絶対に変えられないルール。

 

崩壊当初に本来いた巫女が亡くなり、さらにはワイバーンやファヴニールといった魔物が村の一部を巣にしていた時期に、俺とマルタは訪れた。

魔物はどうにか殲滅したが、肝心の巫女の不在に頭を悩ませていた。

 

「行き場を無くしたはぐれサーヴァントも何人かここにおる。ツライ思いをした者の心情は計れんのが大変じゃ。お弟子さん方も何かあったのじゃろう?」

 

「は、ハイ! その……ハイ……」

 

「ぼ、僕らは人間同盟で教祖の都合のいい道具でした……」

 

「そうかそうか。大変じゃったのう。ゆっくりしていきなされ」

 

さて、話は一通り終えた。

 

「それじゃ、ここで失礼しますね。旅立つときにまた来ます」

 

「気を遣ってくれてすまぬな。神社に行くのかえ?」

 

「えぇ。神様には顔を出しとかないと」

 

「おぉ、それは大事じゃな! 機嫌を損ねると面倒じゃからのう」

 

神様相手に面倒って……。

村長さんだから言える軽口だな。

 

「行くか」

 

 

 

 

●

 

 

子供が走って横を通り過ぎる。

顔見知りの人に挨拶をし、手を振る。

 

坂道を4人で歩いていくとあるものが見えてきた。

 

「あれが、この村の……」

 

「あぁ、村長の言ってた神薙神社(かんなぎじんじゃ)だ」

 

微かに見える朧げな社。

歩を進めると段々と全貌が明らかになる。

 

「か、階段多くないです?」

 

「神社にはお約束だからな!」

 

「頑張りましょう! マスター!」

 

「みんなー! 早くしなさーい!」

 

石造りの階段を何段か上がった先には、由緒正しき面持ちの社。

 

「こんなに立派なモノが今の世の中にあるなんて、信じられません」

 

「そうだね。村もそうだけど、ほんと凄いよここ」

 

「楽しみする価値ぐらいはあったろ?」

 

「ありきたりな感想しか言えないですけどね。あはは……」

 

本殿を前にた大きな広場。

観光客だろうか、それっぽい人やサーヴァントがチラホラと映る。

 

「っ! 千代女!」

 

マルタが走り出す。

走り寄るさきには、竹箒を手にしている彼女の姿と傍らには青年が。

 

「マルタ殿!」

 

「ゲっ⁉」

 

「よっ、由明。そんな顔するなって」

 

マスターの尾上 由明とサーヴァントの望月千代女。

神薙村に紹介した元盗人コンビが仲睦まじくする姿が、そこにあった。

 

 




登場人物紹介

神薙村の警備サーヴァント 加藤段蔵
江戸時代初期の仮名草子、軍学書などに名前が見える窃盗(しのび)のもの、水破(すっぱ)───すなわち、忍者。
初代・風魔小太郎の協力を元に形作られた人造の女忍者であり、命のある人間ではなかったが、幾つもの務めを成し遂げ、後世の文献にあってもよく語られた結果、その存在は英霊として人類史に刻まれた。
神薙村の警備担当で山奥の人が寄り付くことがない場所でマスターと共に暮らしている。稀に村へ降りることはあるが、マスターは根っからのインドア好きなので外出するのは段蔵のみ。
段蔵本人はマスターが大好きなので、不満も文句も何一つないらしい。


はい。いずれマルタでやろうと思っていた展開でした。
次回も村での様子を描写するので、設定紹介は次回で。
相変わらずのガバガバ要素は許してくらはい・・・。

区切りが悪くなるとあれなので、なるべく早めに投稿できるように頑張ります。

それでは皆様、タラスク!
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