舞鶴海上基地 中央作戦室
花田中将「まだ見つからないのか!」
オペレーター「見つけました!」
花田中将「どこだ!」
オペレーター「ポイントU-1です!」
高雄「映像をメインモニターに!」
オペレーター「出します!」
蒼龍「海風!」
花田中将「あの二人組は!」
ヒィッツ提督「あぁ間違いない。ウェイカー兄妹だ!」
花田中将「まさかそんな近くまで来ていたとは」
蒼龍「海風。」
海風「あなた達を、拘束します……!」
海風はウェイカー兄妹に主砲を真っ直ぐに向けた。
「へぇ~…お姉さんあの基地の艦娘さんなんだぁ~」
「拘束します!だって!キャー♥こわぁ~い♥」
主砲を向けられているにも関わらず、兄弟は余裕そうな態度を見せる。そのふざけた態度にかつての因縁の相手の姿が重なる。
「そんな物騒な物を僕たちに向けるって事は、お姉さんは僕たちと戦うって事だよね……?」
「くすっ…♥」
笑みを浮かべたまま兄妹は海風に握り拳を向けた。武器らしい物は認められない。だが海風は直感的に危険を察知しその場から飛びのき、それとほぼ同じ紙一重のタイミングで海風のいた場所を見えない何かが弾丸並みのスピードで通過していった。そこから間髪入れず次の攻撃が飛んで来るがこれも辛うじて回避する。
ヒィッツ提督「ほぉ今のを避けるとは」
花田中将「さすがは私の娘だ。あの特訓の成果が出ている」
「へぇ~、お姉さんカンが良いんだね」
「でもいつまで避けてられるかな♥」
攻撃が止んだのも束の間、再び兄妹からの攻撃が先程よりも苛烈に襲い掛かる。どうにか避け続けられている海風だが、その顔には疲弊の色が浮かび始めている。正体の掴めない攻撃を躱し続ける為には普通の戦いで敵からもたらされる様な攻撃を回避するのとは比べ物にならない集中力と反射神経が必要になり、そしてそれは戦いが長引くにつれてより大きな疲労や負担となって海風に襲い掛かる。
海風はどうにかしてこの攻撃の正体を掴めないか考えた。『どんな場にあっても冷静に状況を見極めて自身の打つべき最善手を打つ』。これがかつて隼鷹や那智、コルサック達の協力による麻雀修行で海風が受けた
教えである。今必要なのは闇雲に攻撃を避け続け消耗する事では無い。ほんの僅かでも敵の正体を掴む糸口を得る事だ。
思考を切り替えた海風は主砲を辺り一面に発射した。それら発射された砲弾は全て兄妹の立っている場所とは全く違う位置に着弾した。着弾地点の地面が巻き上がり土煙が立ち上る。
高雄「海風さん。一体なにを」
花田中将「なるほど考えたな 海風」
蒼龍「どういうこと?」
花田中将「見てたら分かる」
「なにそれ、全然でたらめじゃん?」
「へったくそ~♥」
狙いを外したと思った兄妹は海風を嘲笑する。だが、
海風「これで、いい……!」
海風の表情に焦りの色は無い。むしろまさに狙い通りと言う様な顔をしていた。そして程なくして兄弟は海風の狙いを理解した。
「こ、これはッ!土煙で『弾』の『軌跡』が浮かび上がっているッ!」
「これが狙いだったの!?」
蒼龍「なるほどね。これが狙いだったのね」
花田中将「あぁ」
先程の海風の砲撃は兄妹への攻撃が目的では無かった。周囲に土煙を立ち上らせる事で二人が放つ見えない攻撃を可視化させる事が目的だったのだ。そして見事にそれは功を奏した。
兄弟の攻撃の正体は所謂『指弾』の一種で、透明な弾を高速で打ち出していたのだ。攻撃の正体とその軌跡が分かってしまえば後は簡単である。海風はいつも海戦で敵艦の砲撃や雷撃を回避する様に軽々と兄弟の攻撃を躱していった。
「……ふーん、やるじゃん」
「お姉さん、エリートの艦娘さんなんだ」
兄弟が攻撃を止め、低く冷たい声で言う。ウェイカー妹が懐から小さめのハーモニカを取り出した。
高雄「ハーモニカ?」
花田中将「一体何をするつもりだ?」
続く