花田少将「転生者だと?」
飛龍「えぇあるブラック鎮守府の提督が事故にあい目が覚めたら自分は提督ではあり提督ではないとか訳の分からない事を言ってたり行動もこれまでの事とは真逆の行動をしているようね」
花田少将「であまりに変わりすぎて転生者という意味か」
飛龍「えぇその鎮守府の名は尾張鎮守府」
花田少将「現在我々が調査している鎮守府か」
瑞鶴「その鎮守府で動きがあったわ」
飛龍「瑞鶴。」
花田少将「何が起きた?」
瑞鶴「二日前その鎮守府の提督が憲兵らを木刀で粛清したそうよ」
花田少将「ほぉあの鎮守府の憲兵らはブラックだったはずこれを自ら粛清するとは、なるほどどうやら噂は本当のようだ。飛龍一係に出動命令を出せ私も行く」
飛龍「了解。」
あきつ丸「自分もついて行ってもいいでありますか?」
花田少将「おぉあきつ丸。どうした」
あきつ丸「蒼龍殿から言伝を頼まれてまして」
花田少将「そうかそれは後で聞くとして何故査察を?」
あきつ丸「面白そうだからであります」
花田少将「フッ相変わらずだな。よしついてこい」
あきつ丸「了解したであります」
尾張鎮守府
飛龍「……刀治郎?此処、尾張鎮守府で間違いない…よね?」
花田少将「ああ……言いたいことは分かる。偵察部隊からの報告にあった、ブラック鎮守府を立証する物が殆ど無い」
「それは当然。手前自らが、清算を致しました故」
声がする方へ向くと、潮を連れた当鎮守府の提督―――織田信孝が出迎えた。
織田信考「海軍省査察局、花田刀治郎少将とお見受け致しまする」
花田少将「織田信孝中佐ですな。……以前、総司令部で顔を合わせたときと雰囲気が違うような?」
織田信考「折角の客人相手に、立ち話は無礼というもの……茶室を設けましたので、話の続きはそちらで」
(茶室……?)
花田少将「分かりました。ではここに部下を待機させても?」
織田信考「構いませんよ」
花田少将「では一係はここで待機。」
査察局員「了解しました」
織田信孝「ではこちらへ」
花田少将「あぁ」
不審に思いながらも、花田少将と飛龍たちは通された。
飛龍「わぁ……」
あきつ丸「これは…また……」
そこは、立派な「茶室」だった。
敷地内の片隅にひっそりと佇む、質素ながらも風格のある落ち着いた室内。
華美なものを取り払い、心を鎮め、穏やかに過ごせる場所だった。
織田信孝「では、失礼して……」
軍帽を取り、座して茶を点てる信孝……もとい信長。
織田信孝「粗茶に御座います、どうぞ……」
客人3名、それぞれに茶碗を差し出す。
飛龍「ど、どうも……」
花田少将「では、ありがたく」
あきつ丸「いただきまする…」
飛龍、花田、あきつ丸の順に挨拶して、(一部うろ覚えながら)茶道の所作を行い、戴いただいた。
織田信孝「お上手ですな花田少将殿?」
花田少将「小さい頃家で母から習いましたからね」
織田信孝「なるほどそれで」
花田少将「では話してもらえませんか?一体何が起きたのか」
織田信孝「はい」
数日前
……おかしい。
「どうしました?提督」
「何なのだ…これは?」
儂は、全く覚えの無い寝床に横たわっていた。
視線を移せば、これまた覚えの無い女人が「傷の具合はどうか?」と問うてくる。
何の事かと疑問を抱いたが、すぐ理解した。
儂は戦に備えた鍛錬(娘は『演習』と云っていた)の最中、大砲の暴発に巻き込まれ、頭を強く打ったのだ。
しかし……しかしだ。
儂が記憶している最期の光景と、まるで話が合わぬのだ。
ましてや……歳嵩としかさの違いこそあるが、家・臣・の尽くが女おな子ごだと?
「お…おい!お主!」
「はい?」
「今一度、我が名とお主の名を答えてくれぬか!?」
少々面食らった様子であったが、娘―――翔鶴は応えてくれた。
翔鶴「私は艦娘、翔鶴型航空母艦1番艦【翔鶴】です。そして…貴方は私たち【尾張鎮守府】に所属する艦隊の指揮官、【織田おだ信孝のぶたか】少佐です」
「なッ……、なんだとォ―――オッ!!?」
儂は耳を疑った。
いや、普通疑うでしょ?
だって……だって、儂は…儂はッ!!
「我が名は『織田信長』じゃあァ―――ッ!!!!」
ーーーーーーーーーーーー
現在
花田少将「でそこにいる潮ちゃんに鎮守府の事情や艦娘たちが受けていた仕打ちを知りは、腐敗した軍部を浄化し、その第一歩として、まず自身が受け持つ鎮守府内の大々的な組織改革から着手することにしたと」
織田信孝「はい。以上が、我が身に起きた事の次第に御座る」
信長の点てた抹茶と間宮・伊良湖の二人による和菓子を戴きながら、刀治郎と飛龍、あきつ丸は話を聞いた。
飛龍「……どう思う?刀治郎…」
あきつ丸「提督殿……」
花田少将「《転生者》…と言う奴か………」
飛龍たちは勿論だが、刀治郎さえ初めは信じ難いと思いながら聞いていた。
現在『本能寺の変』として知られる奇襲事件にて自害し、そのまま死を迎えた後、眠り続けていたところに爆音が轟き。
目覚めたら見知らぬ場所に居て、しかも己が知る時代よりもはるか未来の世界だった……
普通なら、まずデタラメ話として相手にしないところだ。
報告にあった《織田信孝》の人格についても、傲慢不遜、自身を絶対王者か何かと勘違いしているような振る舞いが大いに目立つ…とあった程だ。
『査察をやり過ごす為に嘘をついている……その可能性も十分有り得る。
しかし……そう考えるのは些いささか早計ではなかろうか?』
意外なことに、刀治郎はそう思い始めていた。
断じて言葉の全てを信じた訳ではないが、彼が目の前の男……織田信長を名乗る、信孝の言葉が真実であるかを確かめてみようと決断した最大の要因は、信孝の秘書艦として同席した、潮にあった。
花田少将「……分かった。とりあえず、今回は通常査察のみを行って、一時様子を見ることにしよう」
あきつ丸「!」
花田少将「刀治郎!?」
織田信孝「なるほど。今回は一先ず、我が言葉に嘘偽りが無いか?様子を窺おう、という訳ですな?」
花田少将「そうなるな。流石、察しが良いですな」
織田信孝「カッハッハ!かつてのような、武や権謀術数など、力のみで戦う時代は去ったことは承知しておる!情報で情報を欺き、互いの腹の探り合いに化かし合い、騙し合う舌戦こそ現世の戦術!そして、それを悪用する古狸や妖怪めらを討ち滅ぼし!この国の為に命を投げ打って戦う艦娘たちに応えることこそ、我ら提督の務め!それを心得ぬ者に、あの者たちの命を背負う資格が何処にあろうか!!」
立ち上がり、笑いながら声を張り上げる信孝を前にして、刀治郎は納得した。
花田少将『なるほど……これは確かに別人だ。
私利私欲にまみれたブラック提督が、たった数日で考えを改められるとは到底考えられないし、何より、あらゆる点において、一般的な海軍将校と考え方が大きくかけ離れている。
試してみる価値はあるかも―――。』
その後一係と共に鎮守府内を廻り、資料の記録などを徹底的に検分し終えた時。
刀治郎の思いは確信に変わった。
花田少将「織田中佐。いや……信長公」
織田信孝「うん?」
花田少将「貴方は、この尾張鎮守府の主として艦娘たちと共に治め、提督として戦うと約束してくれるか?」
それは、刀治郎の軍人としてだけではない、一人の提督としての願いだった。
無論、信長もその真意に気付かぬほど鈍くはない。
織田信孝「然り。この織田信長、謹んでその願い…否、誓いに背くことなく。身命を賭して、提督の任を全う致すとお誓い申し上げ候」
花田少将「……ありがとう。それから最後にもう一つ。―――お茶、美味かったよ。ご馳走さま今度は、妹や娘たちも連れてきていいかな?」
織田信孝「―――ウム!いつでも来られるが良い!」
こうして、織田信長転生の件は海軍省人事局長・土方 龍と海上特別警備隊総司令・徳川成光元帥とごく一部の者たちのみに伝えられ、最高機密扱いとなった。
そして、信長は徳川・土方両元帥より招かれ、名簿及び戸籍上は今後も『織田信孝』を名乗ることとなり、「信長」の名は極力口外せぬようにと告げられた。
執務室
花田少将「いやしかしこんな事もあるんだな」
飛龍「本当ね」
花田少将「そういえばあきつ丸?」
あきつ丸「はい?」
花田少将「蒼龍からの言伝って?」
あきつ丸「あぁそれでありますが手紙を預かっているであります。」
花田少将「これがそうか?」
あきつ丸「はい。では確かに渡したであります」
花田少将「なんだ帰るのか?」
あきつ丸「えぇではまた」
ガチャン
飛龍「蒼龍はなんて?」
花田少将「あぁ読むか」
飛龍「刀治郎!」
花田少将「あぁついにこの時が来たか」