※この作品はR-18です。

花田提督と艦娘達の日常   作:花田司令

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連邦統合海軍省人事局長『土方 龍』元帥から

重要な連絡があるとの呼び出しを受けて、花田少将は
秘書艦の『飛龍』と共に出頭していた



第二十七話「因縁」

土方大将「花田刀治郎。本日付で貴殿を中将に任命する。」

 

花田中将「ハッ!」

 

土方大将「しかしスピード出世だな。」

 

花田中将「それだけ皆が頑張ってくれたお陰です」

 

土方大将「相変わらずだな。お父上にそっくりだ」

 

花田中将「からかわないで下さい。で要件は?これだけではないでしょう?」

 

土方大将「さすがだな。実はな」

 

花田中将「『ドルヴェンシュタイン公国』‥‥ですか?」

 

土方大将「聞き慣れないのも無理はない、そんな国家は

もう公式には存在しない

『地球連邦政府』の誕生と共にそういった従来

の国家システムは解消されてしまったからな」

 

飛龍「それって100年以上も前の事ですよね?もう

無くなってしまった国がなにか?」

 

大淀「公式には無くなりましたが、その地域には

概念としては残っています

そこに住んでいる人達の心中には『ドルヴェン

シュタイン公国』が未だに存在している人達も

居るんですよ、歴史的にも文化的にも」

 

飛龍「概念‥‥ねえ」

 

 

『ドルヴェンシュタイン公国』‥‥‥

かつて欧州に存在した独立国家‥‥‥

最終的な国土面積は本州と北海道を足した面積

に匹敵する

北には寒冷の海に面する海岸線

南は比較的温暖な山岳地帯、隣国と国境を接して

いた中世の頃から大規模な城塞や要塞が数多く

作られ、増設されてきた

所謂『ゲルマン人の大移動』で国家の土台である

地域コミュニティーが形成され、『十字軍』で

登場したかの『テンプル騎士弾』の一勢力によっ

て独立国家にまでなった

『テンプル騎士弾』の軍事力と財力を受け継いで

早い段階で比較的強力な軍事国家となった、一方

で『テンプル騎士弾』本体とは早くから距離を

置いた事で、『カトリック』の影響は時代と共に

薄れ、宗教に関しては(あくまでキリスト教の

宗派内で)比較的自由な風潮が生まれた

 

公国となった『ドルヴェンシュタイン』は、独立

を守る為に周辺国より一歩抜きん出た軍事力と

『傭兵派遣』を国家の生業としてきた

『地球連邦政府』に吸収されるまで独立を保ち

続けていたこの国の国民性は(全てではないが)

血の気が多く好戦的、一方で策略好きで粘り強く

しつこい、そして独立心が強い‥‥という性質を

持つ人が比較的多い‥‥‥と言われている

 

土方大将「連邦政府の議員や官僚の中にも、この国の出身

の末裔が少なからず在籍している、その影響力

は決して少なくない」

 

大淀「この地域は現在、欧州(ヨーロッパ)自治ブロ

ック政府の行政下にありますが、連邦内の

旧ドルヴェンシュタイン勢力が、旧同国を盟主と

して周辺の旧隣国を吸収して新たな自治ブロック

として独立させよう画策しています」

 

土方 大将「当然、欧州自治ブロック側としては面白くないだろう、だが今のところ連邦はこれを容認する

可能性が高い」

 

花田中将 「‥‥でしょうな、連邦としては上納金を納める勢力が一つ増えるだけだ、欧州ブロックには

これを阻止する力はない、両者の間で争いが

起こっても連邦は仲介役として返ってこの地域

に影響力を強める事が出来る、どちらにしても

損はない訳だ」

 

土方大将「欧州ブロックは、深海棲艦への対策では常に

後手に回っていた、ジオンとザンスカールが

地球に進攻して来た時も支配地域を容易に

蹂躙されている、それを奪い返し彼等の土地を

取り戻して来たのは連邦軍だった、細かい

見方は色々あるがな

だから欧州ブロックには負い目がある、連邦に

は逆らえん

今後余程の事が無い限り、欧州ブロックはこれ

を認めるしかあるまい

我々としてはこの地域で紛争が激化しない様に

対応していく他はない」

 

飛龍「お偉方にはお偉方の都合があるんでしょうけ

ど、ややこしい話よねぇ~振り回される人達は良い迷惑じゃないかしら?」

 

大淀「私もそう思います」

 

花田 中将「土方長官、ドルヴェンシュタインの事情は分かりました、それで自分と飛龍を呼んだ理由は何

でしょうか?自分達は軍人です、政府や行政の

案件に我々が口を挟むのは筋違いかと存じます

が?」

 

飛龍「うわ~‥‥長官にズバズバ言っちゃった」

 

土方 大将「花田、貴様の言う通りだ、新たな自治ブロックを分離独立させるのは行政と住民の選択だ

我々軍人には、それに口を挟む余地はない

問題はここから先だ!」

 

花田 中将「問題?」

 

土方 大将「貴様や我々が動向を追っているあの狂人‥‥‥

三木之 苗夫(ジャギ)についてだ、奴が

この件に係わっている‥‥としたらとうする?」

 

花田 中将「三木之の居場所が分かったんですか!?」

 

飛龍「‥‥‥あの男!‥‥」(ギリッ!)

 

へたれ夫妻にとって因縁深い『三木之 ジャギ』

花田少将ら査察局の関係者にとっても決して

忘れる事の出来ない輩、不倶戴天の敵と言って

いい『海風』が傷付いたのも、『蒼龍』が今でも

苦しみ続けているのも、元はと言えばこの男の

逆恨みが原因なのだ

 

土方 龍「先週までダカールに居た事が確認されている

それ以後の詳しい情報については彼女に説明

して貰おう」

 

 

(コンコン‥‥)

 

「失礼します」

 

土方のその言葉が終わるのを測っていたかの

様にドアをノックする音が‥‥‥

 

土方大将「入ってくれ」

 

(ガチャッ)

 

あきつ丸「例の件、報告にあがりました」(敬礼)

 

花田中将「あきつ丸!?何故お前がここに!?」

 

飛龍「六本脚に居たんじゃなかったの?」

 

大淀「彼女には特別に、情報収集のご協力の為に

来て頂きました」

 

あきつ丸「自分が提督殿と土方元帥閣下殿にお願いして

志願したのであります、あの男の情報収集は

自分達の鎮守府にとっても重要であります」

 

土方大将「こちらの情報機関と連携して情報を集めて

貰っていた、あきつ丸、早速だが報告してく

れ」

 

あきつ丸「了解であります、結論から申し上げて、あの

男は現時点で旧ドルヴェンシュタイン領内に

在駐して、自分の部隊の増強を進めている

ところであります」

 

 

 

花田中将「自分の部隊だって!?奴は海軍から追い出された筈だぞ!?」

 

あきつ丸「軍籍そのものは辛うじて残っていたであります、奴は自分の父親にねじ込んで自分だけの部隊

‥‥‥の器を作らせたのであります」

 

飛龍「何よそれ!?まるで子供が親に箱庭を買って欲

しいって駄々こねたみたいじゃない!?」

 

土方 龍「現実もそれと大差ない、もっともまだ器だけで

まともな戦力は揃っていないのは不幸中の幸い

だがな」

 

大淀「部隊名称は『サイドリッツ部隊』‥‥‥あの男

がダカールに滞在いていた期間に突然誕生した、

しかも連邦政府直属の外部独立部隊です」

 

飛龍「何ですって!?」

 

花田 中将「連邦政府直属とはどういう事です!?地球連邦軍とは別組織の部隊‥‥‥という事ですか!?」

 

土方大将「その通り、連邦軍の指揮下には入らない、別の軍隊だ、まだ実態はないがな」

 

飛龍「‥‥‥そんな横暴が許されるの!?連邦政府は

一体何をしていたんですか!?」

 

花田中将「よせ!飛龍!」

 

飛龍「でも!!」

 

土方 龍「良いんだ、飛龍の憤りはもっともだ、しかし‥

これも現実だ、奴は入れ物だけとはいえ、父親の

権力をフル活用してそんな代物を作ってしまった

名目上とはいえ、奴は連邦軍と対等の立場に

なった訳だ、こちらからそう簡単に手出し出来る

相手では無くなってしまった事になる」

 

軍から追い出されたただのチンピラ‥‥‥

たちの悪い悪党‥‥‥

大切な者を傷付けた不倶戴天の敵‥‥‥

必ず逮捕しなければならない対象‥‥‥

 

 

 

我々にとって『三木之 ジャギ』とはその

程度の相手であった

それがこんな事態になるとは‥‥‥

 

花田中将「奴が係わったとされる数々の事件‥‥‥それら全て、今回の為の陽動だったとしたら‥‥‥‥

どうやら自分はあのチンピラを甘く見ていた様

です」

 

土方大将「いや!部隊の設立は恐らく急に決まった事だ

ろう、前から動いていればこちらの情報網にも

何かしら引っ掛かった筈だ

それにこの策、奴の‥‥三木之の発案ではある

まい、あの男にそんな頭があれば奴はチンピラ

に成らずに済んだ筈だ」

 

飛龍「それは納得出来るかも‥‥‥」

 

土方大将「俺の勘だが、今奴には『戦術アドバイザー』、つまり『参謀』か『軍師』の様な存在が

着いている、それもえらく悪知恵の働く奴がだ

三木之はそいつの手の平で踊っているだけ‥‥

の可能性もある」

 

花田中将(『参謀』『軍師』の可能性‥‥‥

あの我が儘男が軍師の忠告などに耳を傾ける

ものか‥‥‥と思わなくも無いが、その軍師にも腹に一物あると言うの

なら可能性が無くもない

そいつは単に三木之を利用しているだけ‥‥と

いう事だ‥‥‥‥そう言えば‥‥‥

蒼龍』が言っていた‥‥‥)

 

娘(養女)の『海風』を救う為に我々達を

裏切らざるを得なかった『蒼龍』を敵方から

取り戻した、そして精神を病んだ蒼龍を治療の

為、六本脚に送り出そうという時、蒼龍は搾り

出すように言葉を発した‥‥

 

蒼龍「少将‥‥三木之は‥‥奴は‥‥一人じゃない

‥‥恐ろしい奴が側にいる‥‥‥ジュラルよ」

 

花田中将(あの時、蒼龍が発した言葉を思い出した

奴の側には『蒼龍』を嵌めたジュラル星人が

いる、私にとっては三木之以上に許せ

ない相手だ、奴が三木之の軍師なのか?)

 

あきつ丸「三木之の目的は、連邦軍の縛りを受けず

我々に対抗出来る戦力を根拠地と一緒に手入れる事にあると推測するであります」

 

土方大将「それは間違いないだろう、奴には何の地盤

も無かった訳だからな、しかしそれでも疑問

が残る」

 

飛龍「疑問‥‥ですか?」

 

土方大将「奴はドルヴェンシュタインで何をしようと

している?根拠地を作るにしてもそんな戦力

を何処から持って来る気だ?

今のドルゥェンシュタインは独立派の動向

が騒がしい、奴はそれに乗じて何か行動する

のかも知れんが、今の奴にそんな戦力は無い

奴の父親がいかに連邦政府の高官と言っても

やれる事には限度がある筈だ」

 

大淀「今は相手の動向に注意するしかないと思います

私達に今出来る事はありませんから」

 

あきつ丸「自分は一旦六本脚に戻ります、提督殿や謎提殿にも報告する必要がありますから、情報収集に

ついては今後も留意するであります」

 

土方大将「分かった、忙しいところを済まなかった

あの二人にも宜しく言っておいてくれ、今後も

貴艦には世話になると思う

花田、貴様のところも用心しろ、奴と奴の軍師

が近く何かを仕掛けてくる可能性もある

アジア・オセアニア自治ブロックの正規軍の中

にも、帝国海軍の中にさえ、三木之と考えを

同調する輩も少なくない、奴らが三木之と結託

する可能性もある、嫌な現実だがな‥‥‥

今後の対応はこれから検討していくとして、

今日はそれだけ伝えておく」

 

花田中将「御配慮、感謝します、閣下」

 

飛龍「了解しました、閣下」

 

土方大将「あぁそういえば査察局を大きく再編するみたいだな」

 

花田中将「えぇ昇格によって仕事と人と部署も増えましたからね。今新拠点を建設中です。」 

 

土方大将「そうか。下がっていいぞ」

 

花田中将「ハッ!失礼します。」

 

飛龍「失礼します。」

 

 

廊下

 

花田中将「さてと私は建設現場に行ってくる」

 

飛龍「護衛は。」

 

花田中将「大丈夫だよ憲兵隊がついてるから」

 

飛龍「そう私は査察局に戻るね」

 

花田中将「あぁ後を頼む」

 

飛龍「了解。」

 

 

しかしこの時花田中将に魔の手が迫っている事を誰も知らなかった

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