舞鶴海上基地 執務室
花田中将「すまないな急に呼び立てて。」
玄田課長「いえそれより」
望月課長「お体は大丈夫ですか?」
花田中将「あぁ問題ない。とりあえず近況報告してもらおうか?」
玄田課長「はい。あの後すぐに追跡しましたがやつらの仲間に妨害され逃げられました。確保した仲間に聞いても何も答えず現在防犯カメラから逃走ルートを割り出しています。」
望月課長「内偵も現在無事に潜入成功し現在監視中です。」
花田中将「そうか引き続き監視を続行し何か動きがあったら逐一報告しろ」
望月課長「はい!」
玄田課長「で司令?我々は一体何をすれば」
花田中将「そうそう君たちには重要な任務を頼みたい。」
玄田課長「重要な任務ですか?」
花田中将「あぁ心してあたって欲しい」
玄田課長「はい!でどんな任務ですか?」
花田中将「君らにはある人物を探してもらいたい。」
玄田課長「ある人物ですか?」
花田中将「あぁ今の私には必要なお方だ。心して探して欲しい。頼めるか?」
玄田課長「お任せ下さい!必ず見つけてみせます」
花田中将「その意気だ頼むぞ」
「「はっ失礼します」」
ガチャン
花田中将「はてさて見つかるかな師匠?」
数日後
玄田課長「失礼します。司令お探しの人物見つかりました。」
花田中将「本当か!」
玄田課長「はい間違いありません。」
花田中将「そうかよくやった。後はこちらでご苦労様」
玄田課長「はい!失礼します」
ガチャン
花田中将「ふぅようやく見つかったな師匠。なら」
瑞鶴「どこに行くの?」
花田中将「ちょいと特訓に行ってくる。しばらく帰らないので特に照月の事よろしく」
瑞鶴「はいはい気を付けてね」
花田中将「はいよ!」
とある山中、滝の見える川辺にて……。
道着姿に真剣を携えた、一人の男が静かに佇んでいた。
心静かに、前を見据え。聞こえてくるのは川のせせらぎと滝の流れる音、そして風に吹かれる木の葉が擦れ合う音のみ。
瞬間
「ってえぇぇぇあっ!!!」
抜刀、縦一文字に振るう。
すると、男の足下に、筋に沿って真っ二つに切られた葉が一枚落ちていた。
「……フゥー…」
刀を鞘に納め、深く息を吐く。
これは男にとって、日々の習慣の一つであった。
若い頃から、肉体と精神の両方を鍛えるべく、よほどの悪天候でない限りは、茹だるような暑さの真夏日だろうと寒さの厳しい真冬だろうと一日も欠かさず通い、汗を流した。
そんな彼が、連邦統合軍から忽然と姿を消し、鍛錬を日課とする一般人として暮らすようになってから、早いもので10年が経過していた。
だが……それでも唯一、変わらないものもある。
「隊長さぁ〜ん!」
「藤岡隊長!お迎えに参りました」
「ん?おお!おかえり阿賀野、朝潮。今日の演習は終わったのかい?」
先程までの鬼気迫る表情が一変、穏やかで朗らかな笑顔となり、二人の艦娘を迎えた。
朝潮「はい!隊長が手配して下さったお陰で、大変有意義な時間でした!」
阿賀野「朝潮ちゃんは勿論だけど、阿賀野も頑張ったんだよぉ?」
藤岡「そっかそっか。いや〜……そういう事ならいっそ、トレーニングは休んで演習を見に行った方が良かったかなぁ?はっはっはっは」
朝潮「い、いえ!!隊長の貴重なお時間を割くようなことは、この朝潮には勿体無いですっ!!」
藤岡と呼ばれた男の冗談混じりな言葉に、朝潮は照れ臭さと申し訳無さからオロオロしだす。
阿賀野「もぉ〜、隊長さんてば。朝潮ちゃんがこう言うことは分かってる筈でしょ?」
藤岡「あっはっは…ゴメンゴメン。でも、みんなの活躍を見たかったっていう気持ちは本当だよ?」
すると、今度は金髪の眩い美少女や和装の美女など、国際色豊かな顔触れがやって来た。
「Daddy〜〜!」
「Papa〜!」
藤岡「おお?金剛、ジャーヴィス。みんなも来てくれたのか」
金剛、ジャーヴィスの二人が駆け寄ってきたので、それを抱き止める藤岡。
リシュリュー「ええ。ほら、ハマナミ?お父様に顔を見せてあげなさいな」
浜波「う…うん……」
金髪の美女・リシュリューに促され、駆逐艦・浜波が前に出る。
浜波「えと……えっと、ね?私……演習…みんなと、頑張った……の。それから……MVP…もらって……。ジャーヴィスジャ美子ちゃんが、おとうさんに……教えてあげよう…って………」
もじもじしながら、小声であるものの懸命に報告。
勿論、《父親》である藤岡はきちんと耳を傾けてくれた。
藤岡「そうか〜。浜波は今日、みんなの為に一生懸命頑張ったんだなあ!偉い偉い!」
ジャーヴィス「Of corseもちろん!ジャーヴィスも負けないくらいfightしたのよ?」
浜波とは対象的に、ジャーヴィスはグイグイとアピール。
藤岡「はっはっはっ、ゴメンゴメン。ジャーヴィスもみんなが大好きだもんな?いつもありがとうジャーヴィス、浜波」
藤岡の大きく暖かな手で撫でられ、二人の少女は幸せそうに目を閉じ、微笑んだ。
藤岡「金剛やリシュリューもお疲れ。みんな、お腹ペコペコだろう?帰ったら、すぐご飯を作るからな」
金剛「Oh!Daddyの作ってくれる料理は、和食でも洋食でも全部最っ高ネ!!♪」
リシュリュー「私も。ヒローシの手料理のお陰で、すっかりla cuisine japonaise日本料理に魅せられちゃったわ」
阿賀野「じゃあ決まりね!ほら、隊長さん?早く帰ろ〜!」
藤岡「おいおい?阿賀野、そんなに押すなって!あーコラコラ、ジャーヴィスも引っ張りすぎだって!
次の瞬間何かの気配を感じたのか先程までの穏やかで郎らかな笑顔から一変、鬼の気迫る表情に変わった
朝潮「隊長?」
藤岡「誰だそこにいるのは?」
花田中将「さすがですね気配に気づくとは?」
阿賀野「あなたは誰なの~?」
朝潮「待ってください。その軍服の階級章は中将ですね。」
花田中将「いかにも私は中将だが?」
朝潮「中将閣下がどうしてこんな所に何のご用でここに来るんですか?」
艦娘の全員が身構える
花田中将「そう身構えなくてもいい。ようも何も私はそこにいる方に用があって来ただけさ。」
朝潮「中将閣下が隊長に何の用ですか?」
藤岡「待て朝潮。そのアザと気配といいまさか君は刀治郎か!」
花田中将「ようやく思い出しましたか。ご無沙汰してます。藤岡 弘師匠?」
「「「「「「えー!」」」」」」
男の名は《藤岡 弘》。
かつて国防軍に所属し、迎撃部隊の大隊長として前線に立ち、多くの武勲を立てた『不屈の義将』……その呼び名は、未だ多くの人々から尊敬を集めている。
だが……それはあくまで“今”を生きるための仮の名に過ぎないことを、誰も知らない。
事実上、退役軍人扱いである藤岡を隊長と呼び、尊敬している朝潮や、彼を父と呼ぶジャーヴィスたちさえも。