手塚係長「司令まずくないですか?」
花田中将「あぁまずいな。全員伏せろ!今すぐ」
そして………
ビィッ!!
甲板部に備わっていた、全砲門からレーザーが一斉に放たれ。侵入者たちを一人残らず、焼き払った。
「撃ち殺した」のではない。
文字通り「焼き払った」のである。塵一つ残さず。
花田中将「全員無事か!」
手塚係長「はい!司令は」
花田中将「俺は大丈夫だ。しかしなんだったんだあれは?」
憲兵「係長!司令!あれを!」
「…………!!!」
その凄惨な光景に、花田中将たちは震え上がった。
『コレ』はなんだ?
今、『何が』起こったというのか?
あまりの事に思考が追いつかず、情報の整理が追いつかない。
その時、憲兵が司令部より緊急入電を受け取った。
憲兵「司令!ジュラルのバトルドームによる大部隊が、南西より接近中!」
手塚係長「そんな……!つい先日、銚子沖で大規模戦闘があったばかりなのにっ!!」
花田中将「手塚!近くの基地航空隊や艦隊に出動命令をなんとしても上陸だけは阻止しろ!」
手塚係長「はい!司令は」
花田中将「私はここに残る。いけ!」
手塚係長「はっ!」タタタ
花田中将「夏夜月。」
その頃鎮守府では
赤城「提督!!提督、起きて下さい!!」
赤城が夏夜月を揺さぶり、頬を叩きながら懸命に呼びかけるが、一切反応無し。
「………ガオ」
「…て、鉄人…ちゃん?」
鉄人は何かを伝えようとしているのか、夏夜月を指差した後、上空にいる巨大な影を指差した。
赤城「……つ、つまり…?」
赤城は質問するも、鉄人は「ガオ」としか答えなかった。
代わりに答えたのは、初霜だった。
初霜「提督は……今、私たちの声は聞こえていません」
涙を流しながら、言葉を続けた。
初霜「提督は、あの怪物に変わってしまったんです……っ」
その言葉が証明するかのように、巨大な影……【アーク】は肩のブレードの鋒を南西に向け、光を集め始めた。
そして……一直線に放たれた、その光は
『っ!!?な、なんだ!?この光は………ウギャアァァァァッ!!!!』
迫りつつあった筈のバトルドーム部隊を、一撃の下に葬り去った……。
「…………」
電「司令官……さん……」
恐る恐る呼びかける電であったが、アークは一切反応する事無く。
そのまま移動しようとした。
「えっ!?ち……ちょっと!もう敵は倒した筈でしょ!?なのに、なんでっ!!」
「まさか……あの怪物は、『壊す』ことしか出来ない…というのかっ!?」
「そんな!!!」
皆は絶望した。
これまでにも、夏夜月は皆から怖がられることを……嫌われることを……拒まれることを常に意識した上で『バケモノ』になり続け、力になってくれた。
それが、今度こそ心を失って、怪物に変わり果ててしまおうとしている。
それを救うことが出来ないのか………
曙「何よ……いっつもつまらない冗談とかギャグで周りを白けさせといて、いざ必要だって言ってるときに限って聞く耳持たないとか、何様のつもりよ!ちょっとぐらい、人の話を聞きなさいよ!!―――提督ッ!!!」
曙の零した涙が、夏夜月の顔に落ちたとき。
アークの動きが『停まった』。
「…と……停まった……?」
五十鈴「………そうか!みんな、もう一度提督に呼びかけましょう!!なるべく直に触れるようにして!!」
五十鈴の提案により、皆は夏夜月の手を握ったりして、懸命に呼びかけ続けた。
……しばらく経つと、アークの姿が消え。
夏夜月は眼を覚ました。
「…………ん…あ、れ………?あたしは………」
起き上がろうとした瞬間。半泣きのみんな(一部は号泣していたが)に、のしかかられる形で抱きつかれたのは言うまでもない。
花田中将「ったく本来なら一発ぶん殴りたい所だがあの子達に免じて反省文に変更だ。」
手塚係長「司令!ジュラル艦隊が謎の攻撃を喰らい消滅しました。あの化け物は?」
花田中将「消えた」
手塚係長「はっ?」
花田中将「あの後暴走するかと思ったがそのまま消えていったよ。」
手塚係長「そうですか。」
花田中将「人的被害は?」
手塚係長「ありません。」
花田中将「よし我々は帰るとしますか」
手塚係長「はっ!」
花田中将(夏夜月。いい部下を持ったな。)
こうしてこの襲撃事件は人的被害はなく夏夜月提督により撃退し花田中将らNPFに身柄を渡したということで処理したのだった。
続く