銀髪ロリ巨乳の死神がセックスお誘いしてくる 作:緋枝路 オシエ
イシュチェは死神――――なんかじゃ無かった。
『葬前添者-プシュケテロス-』
「私に命を狩る力は無い、理が審判を下した相手に13日間付き添い、負の要因をその者から引き受ける。私が持ち得ている力などそれだけだ」
イシュチェ以外にもプシュケテロスは存在する。これまでも、これからも、プシュケテロス同士がエンカウントする自体は皆無らしいのだが…………
イシュチェは男性担当だから、情欲を刺激する格好をしているらしい。見事に興奮してハメ犯していた俺は、イシュチェが言う『いつも通り』の術中に嵌まったのだ…………
「私と交わる事が無くてもだ、負の要因を強制的に吸い取っているからその者は徐々に幸福へ、極楽浄土となり旅立てる。そういうシステムだ」
皿洗いをしながらイシュチェの話を黙って聞く。お茶を飲むのも数ヶ月ぶりらし、安い銘柄だけど雪解けな表情で「気遣いは無用だが…………ありがとう」って、口癖みたいにさせちまったな。
これだけロリで巨乳で美人で、合法的に中出しし放題なら殆どの男性は死ぬまでヤリまくる。稀にイシュチェが惜しむことなくセックス誘惑しても、性欲がピクンとも動かない者はイシュチェが近くに居ればいいだけ。同じ空間でなくとも役割は果たせるのだそうだ。
まぁ、ヤらないよりもヤって死ぬ方が男としては幸せの度合いが深いらしいけど、そりゃそうだよな。
「布団、イシュチェが使っていいよ。俺はなるべく離れた床で寝てるから」
三日三晩、体液容認してくれた敷き布団はベランダ行き。予備を取り出したけど俺一人がギリギリ収まる安モンだ。小柄なイシュチェなら問題ない、横向けばおっぱいははみ出すかもしれないけど…………
「持ち主は貴様だろう? 貴様が布団に入ればいい、私はアパートの屋根の上でも問題は無い」
「それはちょっと…………じゃ、じゃあさ! いっ………………………………しょに、とか…………で、いい…………かなっ…………?」
初日で「出てけよ化け物!」と追い出した俺のセリフとは思えないな。
俺は務めて自然な流れで――――結果キョドっているので童貞だった頃と何ら変わず女慣れしてない――――提案。
やましい気持ちはなく、イシュチェは引かないだろうから間を取った意見。
…………………………やっぱ止めた方が良かったぁぁぁッ!! 童貞喪失しても童貞のままだよ俺! こんな奴と一緒の布団に入りたい女の子なんて――――
「わっ、分かった、私が右に入るから貴様は左に…………それでいいか?」
いいっ、のかっ…………お前の頭抑えて角を握って、都合のいい肉オナホとして扱っていた俺と…………
「おおおう! じゃそそっ、それでゴホゴホッ! フッ、えほほっ! ハッーハッー…………それで異論無し…………」
ハイ、ここ童貞ポイントです。交わった関係なのに恥ずかしいったらありゃしない。
三大欲求の睡眠欲、イシュチェを犯している最中は消失していたのに…………くっ、アァ~~…………こうやって…………戻って来た…………
その理由も俺の勘違いじゃないと思う、寂しさと悲しみに触れたからって。
「っ…………………………!」
「どうした? やはり私が入ったからスペースが厳しいか?」
「そうじゃないよ…………」
子共の頃は誰だって父親でも母親でも、家族と一緒の布団で眠った経験があると思う。
「無い、これも初めてだ…………どんだけだよ俺の人生」
不幸自慢大会ならチャンピオンの座を譲らないって自信湧くわ。俺よりもっと不幸な人は居る、そうやって保ってきたけど――――
「イシュチェ……………………」
「…………何だ?」
「俺の人生34年間、いい事って一つも無かった」
「……………………………………………………」
第三の目を使えば俺の過去を暴くなど造作も無いだろう。
にも関わらず俺は34年間を振り替え始めた。中学時代の内容が終わってから、また涙が止まらなくなったけど嗚咽を多大に含ませながら、話し終わる事が出来た。
イシュチェは何も言わずに傾聴してくれた。「もう過去を視た、その話は不要だ」と遮断する事も出来ただろう、でも全部受け止めてくれた。
「俺なんか…………産まれない方が良かった…………他の精子達に申し訳ないっ…………何も残せず役立たずの俺より恵まれない子共達の方がずっと生きるべきだよっ…………」
死にたくないから生きてきた。
生きていればいい事は必ずあるからって。
「無かったけどな…………――――イシュチェに出逢うまでは」
「なっ……………………っ゙!?」
いつの間にか彼女は俺を抱きしめてくれていた。特大バストも反発せずに、俺の肌と同調するかに沈み込んでいる。
泣きじゃくる俺は顔を上げながらさっきの言葉を復唱、面食らったのか視線を逸らしながらアワアワしている…………かっ、かわいい…………
「イシュチェはわざと死神と勘違いさせるように振る舞っていた。それって砂時計…………イシュチェと出逢ってからカウントが聞こえるようになっちゃうから『いっその事嫌われ者になればいい』『嫌われたまま役割を全う出来ればいい』って思っていた…………違う?」
「…………………………そうだ、私が死神となればいいとな。理が奪うのも偽りの死神が狩るのも同じだろう、その者の砂時計が止まる事は無いのだから」
視線を背けたまま、今度はイシュチェ自身の過去…………あくまでも知っている物限定だが俺なんかに明かしてくれた。それが…………嬉しかった。
――――対象となった男が望み、満足するのであれば首も締められた。包丁で全身を切り裂かれた、海に沈められたのは本当だった、乱暴されるのは何時もの事、それ以上の――――人間であれば生命を絶たれる殺害行為すら彼女は受け入れて…………600年以上。
「今の私は死ねないだけのゾンビ、世界が滅亡しない限り生き続ける。…………私も生前は人間であった…………他の記憶は思い出せない、思い出せないようにされているのかもしれないが、人間であった事だけは確かなんだ」
理に任命されプシュケテロスとして転生した。選ばれた明確な理由は不明のままだが『生前に大罪を引き起こした永遠の罰』かもしれないと、彼女は憶測している…………
「不老不死、灰燼魂焔、古来から憧れて止まない、森羅万象に抗う反逆行為。もしかしたら生前の私も求めていたのかもしれない」
真意は誰も教えてくれないがな。自らを貶す声色、俺を抱きしめている腕がちょっとだけ震える。
不老不死…………映画とか小説で黒幕が最大の目的として掲げている生死観。
憧れる気持ちは分からないでもない、人間だから死ぬのは怖い、どんなにお金を貯めてもどんなに有名人になっても――――必ず死ぬ。
だから人間は子孫を残そうとする、絵画や建物などを作る、『自分は確かに生きていた』証を刻もうとするんだよな。
……………………俺は、何も、刻めなかったけど。
「念願が叶ったのか、知らないが私は不老不死になってしまった。……………………大いに痛感した、こんな物っ、求めるのは間違いであるとっ…………!」
無感情なのは俺が捉えた第一印象に過ぎなかった。ちょくちょく感情の波は生じていたが、今のイシュチェが最も波を荒立てるいる。
「まだ……………………聞きたいのか?」
「聞きたい、イシュチェには悪いかもしれないけど俺は…………イシュチェをもっと知りたくなった…………ゴメンっ…………」
もう意識が朦朧として来ただろうと前置きし、彼女は中断させるつもりだったかもしれない…………けど――――