銀髪ロリ巨乳の死神がセックスお誘いしてくる 作:緋枝路 オシエ
(私を知りたいだとっ、性の支配から戻るだけでなく…………奇特な男だ)
対話は人間が必要とするコミュニケーション、人間でない私には必要の無い能力。
全てを肯定すればいいだけだったから、この者の奇案をどう対処していいのやら分からない。
(666年…………初めてだからっ、私を知りたいと言い出した人間は)
私を死神と認識したまま性交する、または気色悪がって遠ざける。
そこへ割って入ったのが『お前を知りたい』第三の岐路。
「私の昔話を続ければいいのか? ……………………すまない、初めての出来事でどうすればいいのかっ…………」
生い立ちや過去に興味など持たれない。私は肉欲を解放するだけの玩具、プシュケテロスの役割を遂行するだけの存在だ。
この者、裕矢は私の手のひらを握りながら「俺なんかじゃ想像もつかない軌跡だと思う、けど知りたい」と明らかに動悸を乱し、落ち着こうと深呼吸をする。
(傷だらけの手、貴様こそ辛い人生を歩んでいる…………認められず報われず、理に選ばれてしまった)
初日に追い出された時は手首だった、手のひら、握るの、初めて…………か。第三の目を使役し裕矢の過去を視る。
覗かれていると裕矢も分かっているのだろう、それで「俺の過去視たんだからイシュチェも教えてくれなきゃズルイ」と言い放つ。ズルいのは貴様だ…………
「永遠の命を与えられてしまった私は――――貴様達人間とは相性が悪すぎる。大切で、特別で、情を入れても13日で死んでしまう。例え13日で死ななくとも人間は生きて100年、絶対に先立たれてしまう」
プシュケテロスに成り立てだった時期、死の花に惹かれ現れるこそ変わりないが一人一人、情を持って接していた。
だけどすぐに気づかされた、死んで、新しい対象に惹かれ、死んで、新しい対象に――――
何千、何万、何億回? 繰り返せばいいのだろう?
とある者にも言われてしまった、「別れが辛くなるからもう優しくしないで」
世界から嫌われ、人間と関われば悲しくなる。
「あっ…………………………」
私は誰からも必要とされず、誰の為に生きている訳でも無い。
そう任命され死ねないから――――これからも一人で生きていく事しか許されない。
「貴様は私と同じ、だから…………〝悲しみに触れた〟などと言えたのかっ…………」
愛された事が無く、内面へも興味を持たれなかった者同士。看取る人間の中で『最も自分に近い境遇』因子が呼応し、性衝動の支配から彼は抜け出せた…………のかもしれない。
情など何百年も前に捨ててしまったのに、私は何を欲しているのだろう。
「情が無い、それは違うよイシュチェ。情を本当に捨てたなら最初出逢った時にさ、真実を告げた後に〝横になって休め〟なんて気遣ったりしないでしょ? 捨ててないよイシュチェは、さっきだって俺を撫でて抱きしめてくれて…………今だってさ…………手を……………………」
「これはっ…………!」
淡々と遂行していたつもりだが――――捨て切れていなかったらしい。
「肌、暖かいぞ…………」
「イシュチェだって…………ギョッとする程冷たかったのに今は…………」
止めてくれっ。
優しくするなっ。
思い出してしまうからっ。
命の触れ合いをっ。
「っ、あんっ…………あぁ! 止めてっ…………抱きしめるなっ…………私は人間では無いのだぞっ…………情がうつってしまう、見送るのが辛くなるからっ……………………あぁ…………っぐ…………あ゙、ふぁあ゙あ゙っ゙…………」
「イシュチェ…………!」
「名前…………呼ばなっ…………ひッ゙、んあ゙っ……………………」
「イシュチェ!」
動脈を捌いても、高層ビルから飛び降りても、神経毒を服用したって――――死ぬ事は出来なかった。
同族はこの世の何処かに存在しているが、決して出逢うことは無いので実質的にプシュケテロスは一人ぼっち。理が選んだ対象との僅かな間、それだけが孤独と寂しさを解消出来る夢の時間…………乱暴に犯されようとその13日だけは孤独でなくなる。
「プシュケテロス…………私の罪だとしても……………………辛いよ、苦しいよ…………寂しいよ…………永遠に生きるのは嫌だよ…………死に…………たいよぉ……………………はっ、うあ゙あ゙ぁあ…………ぁぁぐ、ふっ、くしゅ…………はぅぅ…………ぇぇっ゙…………」
私の涙、まだ枯れていなかったのか。
世界滅亡の刻まで死ねない私など〝化け物〟で〝死神〟、裕矢も4日前までは同じ言葉を向けていたけど――――