銀髪ロリ巨乳の死神がセックスお誘いしてくる 作:緋枝路 オシエ
「イシュチェ! イシュチェ!」
名を呼ばれる、確立した個として認められる意味。
私は死神でも化け物でもない、一人の女『イシュチェ』として裕矢に温もりを与えられている…………慣れぬ挙動、私との距離を詰め男性の力で包まれる。
泣き崩れる私、今度は裕矢頭を撫でながら首元まで顔を埋めて来てくれた。
あぁ……………………っ、触れ合い、互いの体温を感じ合う…………脈動も同じタイミングで響く…………
こんなに…………良い物だったのだな。
※
「……………………すまない、情けない面を見せてしまった…………忘れてくれ」
「冗談言わないで、もう泣き顔と本音と過去を晒けあった仲じゃん!」
「だろうな……………………!」
彼女から零れる涙、化け物や死神なんかじゃ流せないよ、白銀の六花…………とても神秘的だった。
瞬きが収まれば時計の針は0時を過ぎていた。
女の子抱きしめて…………今まで散々セックスしてたのにドキドキ止まんねぇよぉ…………!
誰だって理解者が欲しい、孤独が嫌なのは当たり前だ。俺だって好きで一人ぼっちな世界で生きてきたんじゃない。
俺もイシュチェもそうやって生きるしか無かっただけ、別の生き方を封じられこの生き方しか残されていなかったから。
「なぁ、イシュチェ?」
「すんっ……………………なんっ、何だっ?」
抱きしめられたのはプシュケテロスとなって初めてだったらしい。
本当に俺もイシュチェも初めて満載だったんだな。666年も生きていて誰からも…………同じ立場になったら死ねる人間が羨ましいと思えてならないだろう、世界から処分扱い認定された俺すらも。
「決めた、死ぬまでの残り9日、イシュチェと一緒に過ごしてみたい」
死にたくない、それだけを想って生きてきた34年。
昼ドラ最終回みたいな幸せな家庭、それはもう叶わないけどいいんだ。
俺が死ぬまで残-9日、やっとだよ、誰かの為に生きたいと想えるようになったの。
「やはり貴様は…………変わっているな。どうしたらそんな発想が浮かぶ?」
「そんなに変かな…………あと9日で俺は死んじゃうけどさ、俺にはイシュチェが必要なんだ。イシュチェの過去を知った上でスゲー身勝手な事言うけど…………――――」
俺が死ぬまで一緒に居て欲しい
甘えたがって承認されたい、生き物は皆そう思っている。
イシュチェは確かに人間では無いけど、性別が女の子、生き物だ。俺よりもずっと諦めているようで…………望んでいた。
生物ピラミッドの頂点に立つ物って、同類に甘えるしか無いけどプシュケテロス同士のエンカウントは、期待出来ないのであって…………
「イシュチェだって甘えていいと思う」
「っ、そんな事言われたら…………また泣くぞ?」
「イシュチェを受け止められるって役得だな。お、俺も…………もっとイシュチェに甘えた…………いんだけどキモいか、34の男がさ」
「そんな事ないぞ、プシュケテロスとしての役割に当て嵌まるからな、私が相手で良ければ気が済むまで甘えていい。……………………甘えられた事が無いから、手探りになってしまうが…………先程だって咄嗟に身体が動いてだなっ…………」
可愛い……っ! 焦ってる焦ってる! 俺も心臓痛くなってきたけど!
互いに本能のまま抱きしめ合ってたけど、理性ある今はちょっと…………まだ恥ずかしいっ…………起きてから頑張るとするか…………って、悠長に構えるなぁ俺、9日経過すりゃ死ぬのに…………
セミが羽ばたけるようになってから、地に墜ちるのと同じくらいの期間のみ。恐怖心はまだあるけど――――
「んっ……………………手を握ってくれっ、そのまま寝たい…………」
「っ~~~~!! 俺も! あれーーイシュチェの手がやっこい! こりゃ安眠出来ちゃうわ! 三、日、ぶ、り…………のっ…………」
「言葉に出さなくていいッ! 冷却グッズ代わりにでもしてくれッ! はァ~~ーーーー…………私も…………今夜はかつてない程に…………眠れそ……………………」
残す者と残される者、共同生活の始まりは一つの布団の中で手を繋ぐミッションの成功、これからの9日が楽しみで仕方が無い。
布団の端と端、遠慮気味に横になっていた俺達の身体――――心も――――甘えていいに従ったのか、確実に距離が縮まっていた。