銀髪ロリ巨乳の死神がセックスお誘いしてくる 作:緋枝路 オシエ
考えないようにしていた。
けど考えちゃうよな、どうしても。
初めて出逢った時と同じ気温、同じ空模様。
残り1日を切った俺と彼女は夏休み中の少年少女がサッカーで砂だらけの、汗だくになってハイタッチしている光景を見下ろす位置で大の字となって寝そべっている。
俺も認識外、あらゆる干渉を受け付けないイシュチェの力を受けたので、いい歳したおっさんが昼間に働きもせず寝転がっても、誰にも声を掛けられず踏まれることだってない。
…………イシュチェの力を借りずとも俺の命は香炉に届いた線香、物理的干渉が行える対象が減っているらしい。それでも茶碗を持つ事くらいはまだ出来た、イシュチェ以外の他人にわざとらしく突進しても――――すり抜けた。
完全にイシュチェ以外との干渉を断つ為に、力を使って貰った訳だ。不安定を安定に、本来は逆なんだけどね。
「子共達さ、元気だよね! あっついのにパスして、守って、シュート成功したら皆で喜んで、俺ってスポーツも出来なかったからさ、ドヘタクソだけどあの中に混ざって遊びたいくらい楽しんでるよ、あの子達」
こんなくたばり損ないが乱入したら、色々な意味で泣かれてお家に帰ってしまうけどな。
あんな少年時代が欲しかったなぁって、そういう事。
「…………送れなかったから、イシュチェと出逢うことが出来た。今までずっと苦しくて死にたくて、だけど死ぬのが怖くて…………」
生きていれば絶対に良い事が待っている。それまでの辛抱だから――
殴られて、罵られ、否定され。
人間だけじゃなくて世界からも見放されて、慈悲として審判を下すまでの13日間、猶予を与えて貰っただけ。
何も遺せなかった、何も出来なかった、人類史上最も〝ゴミ〟という表現が体を成していた俺。
「――遺せたぞ、私に。私に思い出と未来を沢山…………裕矢は与えてくれたぞ」
俺の肌は日焼けしているけど、イシュチェの雪肌は日焼けもしなければうぶ毛も染みも、白以外の色彩を受け付けない。そして今後も変わる事が無い。
「イシュチェがそう思ってくれただけで、この13日間は34年間の人生よりずっと充実していたと改めて実感する」
プシュケテロスは対象となった人間から、後悔や負の要因を吸い取り幸福な気持ちで旅立てるように努める。
イシュチェは「私の為に生きるな」と言ったけど、俺はイシュチェの為に生きて『幸せ』
こういう形の『幸せ』はアリだと思うんだ。
イシュチェの体温以外は感じない、空腹も無くなった、身体が軽くなっていく、穏やかでずっと笑ってる、気持ち悪い顔でイシュチェを見つめてしまっている――
あっ
死んで翅が動かなくなった蝉、落下してきた――