※この作品はR-18です。

抜きゲーみたいな島に住んでる後輩を攻略スるにはどうスりゃいいですか?   作:米五郎左系アイドル

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その10 告白

皆と話している時間や、後片付けの時間も含めるといよいよ日が暮れるまでもう少しというところまで来てしまった。

その最中でも自分の気持ちがハッキリと定まっているからか、スス子との会話がぎこちなくなることは格段に少なくなった。

目の前の少女が何気ない話に笑ってくれたり、些細なボケに全力でツッコミを入れてくれる。

俺にとって、そんな会話や空気が心地よいものだからこそ、この少女の隣にいようと思うようになってきたのだろう。

 

(そしてその気持ちこそが世間一般で言うところの、恋なのだろうな)

 

 

バーベキュー用具の撤収作業が完了し、花火をあげる会場のヌーディストビーチへと向かう。

もう冬も近づいてきたこの時期の夜は、海も冷え込み生ハメ目的の観光客も萎えてしまうことから一般の人間は見られなかった。

 

先頭を歩く礼先輩が振り返り、大きな声で号令をかける。

「えー、もう間もなく花火が上がり始める。場所はちょうどビーチの反対端なのでこの辺りが丁度よく見えるだろう!ここからは自由行動自由解散とする!

 各々、好きな相手とこの後を過ごすように!聞かれたくない話やあえぎ声を出すヤツは、うまく人ごみから離れる事!以上!皆今日はお疲れ!」

事実上のイベント終了宣言に、一同が大きく湧き上がり拍手が飛び交う。

今回のイベントは特に大きな事故や怪我もなく、それぞれが料理を楽しみ歓談に興じるというすばらしい結果に終わった。

その最後の締めとして花火があがるともなれば達成感も一入だろう。

 

 

一人、また一人と、夕方に約束をしていたのだろう。グループを作っていい場所を探しに散らばっていく。

そうして去っていく人ごみの中、一瞬だけ奈々瀬と目が合ったような気がした。

(淳、頑張るのだぞ)

と、そう言われているような感覚になる。

 

多分俺が自覚していないだけで、本当は多くの人に背中を押されているのだろう。

そして奈々瀬もまたそんな情けない俺の背中を強く押してくれる一人。

その目線に対して一つ強くうなずくと、奈々瀬も軽く笑顔を作りながら桐香達の元へと合流し、揃って離れていく。

 

 

 

「ここに残ってるのアタシたちだけになっちゃったっすね。パイセン」

やがて、その場に残るのは俺達だけになった。

「俺達もいい場所を見つけなければ。少し、戻るか」

 

ほんの少しだけ来た道を戻ると、ビーチに下りるために作られた、少し長めの石造りの階段へとたどり着く。

周囲に誰もいないことを確認してから、その真ん中あたりに腰を下ろした。

「スス子、隣来るか?」

「お、おじゃまするっす」

そしてその右隣にスス子を座らせて、二人で並んで花火を俯瞰できる位置取りをとる。

 

「ここなら、眺めがよさそうだな」

少しだけできた高低差でビーチを見下ろすと、さっき別れたグループの幾人かが散見するが、距離が遠いのでその表情までは分からない。

 

 

ピューーーーッ、ドーン!

「始まったみたいっすね」

大きな花火が打ち上がる。え、結構大きいないくらかけたんだあの花火。

などと花火にしばらく見とれていたが、今回やらなくてはいけないことを思い出し隣のスス子を見る。

するとどうやら、スス子も同じように花火を見て惚けていた。

それを言葉で邪魔するのも癪なので、そっと下に置かれたスス子の左手に、自分の右手を重ねる。

 

「あっ」

と、隣から声が漏れたが、自分の手の上に置かれた手を見て、納得したような安心したような表情でまた花火の観賞に戻ったようだ。

 

 

そこから会話も少なに、上がっていく花火を見て互いにわーだのおーだの歓声を上げているとひときわ大きな花火が飛んでいく。

「あっ、ドスジャンちゃん」

なぜか、空に咲いた花火は文乃の顔を描いていた。

そして、その下に添えられた小さな花火には、『文乃LOVE』の文字。

「いかにも仁浦市長らしいな」

文乃が『全く……なんて恥ずかしい人!』と怒っている様子が目に浮かぶようだ。

そして、そんな日常こそ俺の緊張を取り払ってくれる。

 

少し上がる花火が小粒になってきた。

丁度場面の転換、締めに向けての貯めなのだろう。

このタイミングで俺は、聞きたい事を聞くことにした。

 

「スス子ォ!」

「ひゃっ、あ、はい!」

「貴様の所属、階級は何だ!?」

「サー!水乃月学園A等部1年3組、SS五番隊、電子戦闘担当であります!」

 

急に問いかけられ、SSとしてのスス子として返答するスス子。

いつか、別の世界でも繰り広げたような問答。

確かその時は、周りの事が何も分からなかった状態で必死に情報を集めようとしていたんだった。

けれど、今回知りたい事はそこではない。

 

「そうか!では改めて、貴様は俺の事がどれくらい好きなのだ!?」

「サー!多分この人と一緒にいたら、これからの人生楽しい出来事に事欠かないんだろうなー……隣にずっといたいなー位であります!」

 

スルスルと気持ちを言葉にできるスス子。逆に聞いているこちらの方が恥ずかしくなってくる。

だが良かった。これでうじうじと悩む必要もなくなった。

 

「そうか!俺がもしこの場で貴様に告白したらどうするつもりだ!?」

「サー!謹んでお受けした後、しかるべきムードにして後は流れに身を任せるつもりであります!」

「そうか!だが今の答えとは関係なしに、俺は告白するつもりだった!」

 

ひときわ大きな花火が上がる。

 

「那賀、伊波さん……俺と、付き合ってはいただけないでしょうか?」

 

なんのひねりもない、シンプルな告白。

俺には捻った言葉など思い浮かばなかったから、これでいい。

ありったけの気持ちをこめて叩き付けたつもりだ。

 

スス子は、その告白を受けて一瞬呆けていたように見えたが、一連の会話から流れは見えていたようですぐにか細い声で返事を返してきた。

「つ、謹んでお受けする……っす」

ドーーーーーーーーン!

ひときわ大きな花火が咲いた。

耳を裂くような音が、その勇気を出した返事を上塗りしていく。

 

二人の間に、少し気まずいような空気が流れたのを互いに察したのか、スス子が赤い顔をしてもう一回言うべきかと悩んでいる所で。

その空気を払拭すべく、俺はスス子の綺麗な顔を両手で包んでそのまま唇を奪った。

舌を使うなんてテクニックは当然持ち合わせてはいない。

唇と唇が触れ合うだけの子供でもできるようなキス。

 

思えば、俺の方から彼女にキスをするというのは初めてだったかもしれない。

同じ事をスス子も考えていたようで

「淳之介センパイから、キスしてもらったのって初めてな気がします」

と感想を漏らした。

 

 

「えー、以上を持ちましてレッドチブ協賛の青藍島冬の花火大会を終了とさせていただきます。お帰りの際はお手回り品のお忘れないよう十分お気をつけください」

仁浦元知事のアナウンスが入り、ビーチに散らばっていた生徒達が少しずつ出口に近いこちらへと近づいてくる。

俺達は誰かと合流しようか?と聞こうとしたところで、スス子に手を握られ一足先に会場を出る事になった。

 

「アタシ、このまま淳之介センパイの部屋に行きたいっす」

そういって、こちらを見ずに先導していくスス子。

しかるべきムードにして流れに身を任せるなんて言っていたが、これではムードも流れもへったくれもないのでは?

 

そう思っていたところに、シュウ君からメッセージが届く。

『チュパちゃん君の面倒は僕が見ておくから、心配するな淳之介。頑張れよ親友!』

シュウ君の気遣いに感謝していると、直後今度は通話が届く。相手は我が妹アサちゃんだ。

 

「どうした、アサちゃん!?転んで怪我でもしちゃったか!?絆創膏か?」

『小学生か私は……じゃなくて、奈々瀬さんと女部田先輩に誘われてさ。文乃も巻き添えで連れて行くから多分明日まで帰らないよ

 どうせ明日は休みなんだし、たまには兄抜きでパーっと楽しんでくるわこれが本当の兄離れってね。じゃ、兄も楽しんでねー』プッ

 

いつもの調子で間隙無くしゃべったと思いきや、そのまま電話を切られてしまう。

「アーサーちゃん、転んじゃったんすか?」

「いや、今日一日家に帰らないーとプチ家出を宣言されてしまった」

「普通に二次会とかじゃないんすか?ソレ」

「奈々瀬と郁子の所に身を寄せると」

「やっぱり二次会っすよね」

 

いつもの調子で喋っていると、最近二人でよく来るいつもの分かれ道に着いた。

平時であれば、このままスス子は寮。俺は自宅へとそれぞれ歩き出すのだが今回は違う。

「ここから先の道は慣れて無いだろう?ゆっくり並んで歩かないか」

そう言ってつないだ手はそのままに、スス子の横へと体を落ち着ける。

 

「なあ、スス子」

「……せめて二人っきりの時は、伊波って呼ばれたいっす」

「……なあ、伊波」

「はいっす」

「俺達の変な関係は、もしや周りの皆にバレバレだったのか?」

「多分、筒抜けっすよ。恥ずかすうことに」

「そうか」

 

今更ながらではあるが、気恥ずかしい。

この告白をするために、俺は何人から勇気をもらったことか。

だがしかし、それらの補助があってこそ今こうして堂々と手をつないで、恋人同士として隣を歩くことができている。

そうやって仲間に思いを馳せていると、いつの間にか自宅に到着する。

「お邪魔するっす」

家の鍵を開け、家に伊波を上げる。お手洗いや、洗面所等一通りの案内をしてから二階の自室へと二人して入る。

冷蔵庫に入っていたジュースを二人分部屋に持って行ってから、いつの間にかベッドを陣取って座っている伊波にふと気になった事を聞く。

「ここが、淳之介センパイのハウスっすね……。」

「ハウスというよりか、俺の部屋だな。が、ここに来て一体何をするつもりなんだ?」

すると、伊波はなんだこいつ今更ここまで来てと言う表情をした後、ニンマリと笑う。

「恋人同士になった二人がー、お祭りの後に彼氏の家でー、二人っきりってなったらー、ヤる事は一つじゃないっすか?」

 

しかるべきムードも流れも舞台もいつの間にかすべて整っていたようだ。

ああ……付き合ってから二年ほどで性行為に至る俺のスケジュールは、今夜脆く崩れ去ってしまうのだろう。




まさかの、エロなしッ……部屋にたどり着くまでで今まで並に文字数使用ッ……
次回は当然エロです。ドスケベです。
でも、これでようやく二人はちゃんとした言葉をもってして結ばれたのです。
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