抜きゲーみたいな島に住んでる後輩を攻略スるにはどうスりゃいいですか? 作:米五郎左系アイドル
――恋とは。
特定の相手のことを好きだと感じ、大切に思ったり、一緒にいたいと思う感情である。
あの後、タブレットを使ってwikipediaで調べた。
水引ちゃんが言っていた恋というものが、鯉や濃い、などの同音語でなければこの意だろう。
この誇り高き童貞である橘淳之介が――恋。
A世界でNLNSと共にドスケベ条例を打倒した時も、B世界でSSと共にUSD計画を打ち破ったときも。
彼女達といても決して色恋になびく事がなかった誇り高き童貞である俺が……恋?
「であるからして召し籠むという単語は、召使のような立場の弱い人物を監禁プレイするというドスケベシチュエーションなんですね。逆の立場で、目下の者が上の者をドスケベ監禁逆レイプする場合はまた単語が違ってくるので気をつけてください。」
水無瀬先生の古文の授業では、いつも通り程々に退屈になり授業に集中できなかった。
そのせいで、昼休みの会話が頭から離れてくれなかった。
延々と恋とはなんだ若さとはなんだと考えていたが、結局思考は堂々巡りになるばかりであった。
そして、授業の終わりを示すチャイムが鳴る。
「キリもいいのでここまでにしましょう。みんな今日も気をつけて帰るようにね!」
「起立、礼、ありがとうございました。」
先生の言葉を最後に花丸委員長が号令をかける。今日も一日の授業が終わった。
が、授業中からうんうん悩んでいた所為か、クラスメイトが各々帰宅なり性産的行動なりをする中で席を立てずにいる。
まるで、勃起してしまったイチモツを見せまいとする中学生のようだ。
「まぁ!?こんな所にまで精子が残っていましてよ?専業主夫の癖に、射精がイキ届いてないなんて嘆かわしい!」
「うぅ…うるせぇ!小姑なんて、子宮を下ろしてコツンと突かせてりゃいいんだ!余計な事に口出さずに腰を突き出せ孕めオラ!」
「ま、まァッ…そ、そんなはげしっ、突き方っ、してもダメなっ、モノはっ、やっダメっ、イっクぅ…!」
小姑と主夫で何やってるんだ、嫁はどうした。
廊下からそんないつもの喧騒が聞こえてきて、ようやく気持ちを整理することができた。
(やはり、この感情が恋である可能性は…薄い!)
意を決して立ち上がる。無論ズボンにテントなど張ってはいない。
立ち上がって思い出す。
今日は、妹と俺の二人でご飯を作る日だ。
以前ちゃんこ鍋を失敗なく作ってから、決して早くはないが徐々に徐々に料理の腕を上げてきている。
もちろん複雑な工程を要する食事などは、まだ淳には早いと奈々瀬から忠告はされている。
自分のレベルにあった料理を練習していくことが上達の一歩なのである。
料理のためには食材が必要であるが、我が家の冷蔵庫は食料が少なくなっているのを今朝確認済み。
しかし、文乃やアサちゃんはNLNSの皆と出かけるとのことで、一人で食料の買出しに行く予定だ。
と、この後のスケジュールを考えながら校門まで出てくると、この場所で出会うには珍しい人物と出会った。
「あっ、ばなせんぱい!こんちゃーっす!」
ただいま絶賛頭を悩まされ中の那賀伊波ことスス子その人である。
「おう、――伊波!」
「…あ?」
「…あっ」
間違えた。
夢で見てきたシチュエーションに口がつられて、ぽろっと出てしまった。
いや、違うのだ。そんな名前で呼んで彼氏面してる自分の夢が羨ましいとかではないのだ。
「いや、ちが、これはぽろっと」
呼び間違いを謝罪しようとするも、誇り高き童貞である証――受け答えの際しどろもどろが出てしまう。
そんな俺を見て、ポカンとしていたスス子がいきなりニマーッと悪いことを考えていそうな笑顔になり、
「なーんだ、そういう風に呼ばれたかったなら正直に言ってくれれば良かったじゃないっすか。 ね、淳之介センパイ?」
「は?」
「はっ?」
一瞬理解が遅れた。
そして、二人の間に一瞬沈黙が流れ…
「ぐおぉぁああぁぁっ!」
あまりのキュンキュンさに、心臓に莫大な負荷がかかった。
突然胸を押さえて叫び出した俺を気遣うスス子から…
「えっ、どうしたんすかいきなり叫びだして…体調不良っすか?淳之介センパイ」
「ぐぁあああああぁぁっ!」
追い討ちが飛んできた。
さらに激しくダメージを受けている所に、法則性を理解したであろうスス子からの…
「淳之介センパイ?」
「うぐぁぁぁっ……くっ、いっそ殺せ…!」
ついげきの淳之介センパイでさらにダメージは加速した。
アサちゃんもビックリの死体撃ちだ。
「いや殺せって、アンタが先に下の名前で呼んで来たんだろうがっ。名前で呼んだだけなのに拷問されてるみたいなリアクションは傷付くぞ…そろそろ起き上がってくれないと周りの生徒の目がキツいっすよばなぱいせん。」
「はっ!――ああ、すまない、スス子。」
「どうせ呼び間違えたーみたいなヤツなんっすよね?大体流れは読めるっすよ。」
察しの良いスス子に全面的に同意しておく。
その察しの良さを、大ダメージを受ける前に発揮してもらいたいところではあったが、もう済んだことだ。
「しかし珍しいな。SSの仕事は今日はないのか?」
「ああ、今日はお休みいただいてるんっすよ。それに最近はバイトもOKになって、SSと別に色々な所でお仕事してる子も多いっす。」
「では、スス子もバイトか?」
「あたすはちょっと、メインストリートの方まで食料の買出しっすよ。貧乏人は食事も外食で手抜きができないっすからねぇ。」
スス子が家庭の事情でSSの特別奨学金を目当てに入隊している、というのは確かB世界で聞いた覚えがある。
性産的行動による特別ボーナスがなくなって久しく、バイト等と掛け持ちをして生計を立てる生徒は決して少なくないと、礼先輩との話にもあった。
しかし、ショッピングか。
「奇遇だな。俺もこれから食料を買いにいくところだ。よければ一緒に行かないか?荷物持ち位にはなれるだろうし。」
「おー、すッピングデートってやつっすね!ぜひぜひ!って言っても帰ってくるの学生寮なんで荷物持ちまでは頼めないっすよー」
「なら、話し相手だな。」
こうして、二人ですッピングデートとをすることになったのであった。
メインストリートの大型スーパーに行く道中、スス子が新作ゲームの広告を見て驚いた表情になる。
「あっ、風来のシコレンの新作だ。」
「風来の…なんて?」
また、こう聞いたことのあるようなないような名前が出てきた。
「アサチュンソフトが出してる結構息の長いゲームっすよ。挿れる度に膣内のヒダヒダが変わるエロエローグライクマンコが話題になったやつっすね。
キャッチフレーズは”千回では出し尽くせない膣奥深さ”」
「千回出せるのにシコレンなのか。」
「ああ、その中身が変わるマンコの持ち主、主人公のシコレンなんっす。だからそれでイかされた相手はシコレン以外ではシコれんってことらしいっす。」
「えぇ……親父ギャグじゃん」
スス子がゲームにそこそこ詳しいという事に驚きながらも、目的地のスーパーに到達する。
「今日のメニューは…卵焼きと、後はどうするかな…」
つぶやきながら食料品コーナーを回っていると、隣のスス子が
「ばなさんが自炊するんっすか!?意外っすね」
と、ちょっと失礼な事を言ってきた。
「まあ自炊って言っても初心者同然だがな。自分で満足の行く卵焼きくらい作れるようにはなりたいさ。」
「好きなんすか、卵焼き?」
問いに頷いておくと、スス子はふーんといった様子で割引されているお肉のパックを手に取ってきた。
「スス子も料理はできるのか?」
「失礼な!乙女としての嗜みっすよ!……やっぱり、食費をうまく浮かそうとすると勝手にスキルがついてきちゃうんっすよね」
言い返した時は語気も少し荒かったが、後半になると自嘲気味にスス子は言った。
「チュパちゃんのご飯代もありますし、節約術はその辺の主婦並にはあるかもしれないっすね。」
そう言って照れ臭く笑う姿に。
普段はズボラというか、身長もあいまって中性的なスス子の、普段見られない部分を見た気がした。
その後も下らない話をしたりしながら、無事に買い物は終了した。
「今日は付き合ってくれてありがとうな。」
「いえいえ、こちらこそっすー。」
すっかり日が暮れた帰り道。
片手で持てる程度の量を買った俺に対して、スス子は両手一杯になるほどの袋を提げていた。
一度持とうか?と確認はしたが、重いですし途中で別れちゃうんで大丈夫っす。との言葉を頂いていたのでそれ以上は提案しないようにしている。
「しかし、本当に重そうだな?」
「まあ、この位の荷物程度なら、SS入隊試験の時にやらされていたトレーニングとかの方がスう倍キツかったっす。」
確かに、裏風俗の情報を探る中でSSの訓練を受ける機会はあったが、それはそれは厳しいものだった……。
二人してかつての厳しい訓練にシンミリしていると、後ろから突然チャリンチャリンと鈴の音が聞こえる。
それが自転車のベルで、今俺達が歩いている所に突っ込んで来そうだと気付いた時には、体が反射的に動いていた。
「スス子、危ないッ!」
「はえっ?」
スス子の腰を空いていた左手で抱き寄せ、間一髪でその横を自転車が通っていく。
バイブ付きの青藍島仕様自転車であった事から、あまりの快感に操縦不能状態にでもなったのかもしれない。
「危なかった、やはり美岬クラスの変態でもなければあの自転車を完璧に乗りこなす事はできないか…」
「――あ、ありがとっす。……えーっと、それで分析するのは構わないんっすけど、その、手は、いつまで、触ってるんっすかね?」
自転車が走り去ってから少しの間呆然と立ち止まっていた俺達であったが、スス子に言われて未だに腰に手を回して強く抱き寄せたままであったことを思い出す。
慌てて腰から手を離し、今まで以上に距離を取る。
「悪い…って、何だか今日は謝ってばかりな気がするな。」
「気にしないでいいっすよ。今のはアタシもちょっと浮かれて気が抜けてたっす。」
互いに照れ笑いを浮かべ、再び歩き出す。
その後は、橘家へ行く道と学園への別れ道に着くまで、二人の間の言葉はそれまでよりも少なかった。
「じゃあ、また明日以降っす。」
「ああ、またなスス子。」
結局本人の申し出もあり、学校までは送らなくていいとの事だったので、分岐点で解散となった。
一人家路を行く俺の頭の中には、この後料理をどう作ろうなんてことではなく、今さっきの出来事が鮮明に頭に焼きついていた。
スス子の腰の感触。
抱き寄せた時に密着した、やわらかな胸や、ハリのある体。
寮で使っているであろうシャンプーと汗の混じったような爽やかな匂い。
そして、離れる時に見せた、ちょっと拗ねたような照れたような表情。
校門で会った時にやりとりしたすッピングデート、なんていう茶化しあいが余計に今までの出来事を印象付ける。
これではまるで、本当のデートではないのかと。
家に帰ってからも、どこか上の空で作った卵焼きはちょっと失敗した。
――味が、濃いのだ。
こっちのスス子とスススススッススするのは多分後3、4話位かかるかもしれません。
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