※この作品はR-18です。

コンプレックス   作:花木 悠

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浴衣の優香

 16-15

翌日、渡辺姉妹が康正の自宅の前に来て、優香が「大きな家ね、お金持ち?」

「多分そうでしょうね」

「ここに一人で住んでいるの?何だか訳あり?画家は変わっているから、普通か?」

そう言いながらチャイムを鳴らすと、庭に康正が出て来て二人を出迎えた。

「お邪魔します」と会釈をする優香を、康正は驚いた様に見ていた。

明日香よりも少し背が高い、モデルの様なスタイルで美人だ。

髪はストレートに下ろして、黒髪で清楚で活発なお嬢様と云う感じだ。

見とれていると「妹の優香です、厚かましく寄せて貰いました」と明日香が会釈をした。

我に返って「どうぞ、むさ苦しい処ですが」と招き入れた。

「丁度、今料理が届いた処です、食堂にどうぞ」と案内すると、料理人が一人テーブルに吸い物を用意しながら会釈をした。

「お昼から、こんな豪勢なお料理を用意して下さったのですか?」

「お口に合いますかどうか心配ですが、お召し上がり下さい」

「お姉ちゃん折角だから、頂きましょう」と椅子に腰掛ける優香。

テーブルには懐石料理が並んで、板前が会釈をしてその場を去った。

「ビールでも飲みませんか?暑いですから」と康正が言うと「はい、飲みます」と優香が嬉しそうに言った。

「優香、調子に乗らないの!」と嗜めた。

「まあまあ、夏休みですから、妹さんも二十歳は過ぎてらっしゃるでしょう?」

「はい、充分過ぎています、三回生ですから」と言って笑った。

優香はお酒が好きだったから、この様な豪勢な料理にはビールは絶対飲みたいのだ。

康正がビールを二本持参して「さあどうぞ」と優香のグラスに注いだ。

「有難うございます」と嬉しそうだ。

「渡辺先生にはウーロン茶を」とグラスに自分で入れて差し出した。

「それでは、美しい妹さんを歓迎して、乾杯!」と康正が言って、優香は一気に飲み干した。

「強いですね」

「大好きですから」と笑った笑顔は、明日香には無い若さが感じられた。

半分酔っ払って上機嫌の優香、顔は中々の容姿の康正を気に入ったのか色々と喋る。

「酔っ払って、絵画描けますか?」の優香の質問に「酔った方が大胆に描けます」と答えると「じゃあ姉の、ヌードも描けますね」の一言にドキッとした康正だ。

食事が終わって、コーヒーを飲みながら「今から、見せて下さいね」と甘えた様に言う優香に「何を?ですか?」と聞く康正。

「今までの描いた作品と姉の絵です」

「はい、良いですよ」と隣の部屋に案内すると、部屋の明かりが灯る。

「わー、素晴らしい、上手ですね」と人物画と風景画をゆっくりと眺める優香だった。

隣のアトリエの椅子に明日香は既に座っていた。

「これが、今描いている学生の絵です」と見せる康正、一枚は普通の服装の絵でもう一枚は、浴衣の色っぽい姿が描かれていた。

「素敵、これ良いわ」と優香が言うので、立ち上がって見に来る明日香。

「わあー、胸が半分見えているわ、鷲尾さんこんな絵を描いて貰ったのね」と顔を赤くする明日香だ。

「これが渡辺先生の絵です」と見せると「姉ちゃんもこの様な絵を描いて貰えば良いのに」と微笑みながら言う優香だ。

明日香の絵を描き始めるのを眺めていた優香が「私も描いて貰おうかな?」と言う。

「ご迷惑ですよ」と明日香が言うと「良いですよ、綺麗な方は歓迎します」と微笑む康正。

「色っぽい浴衣姿が良いわ、その絵程大胆な姿は無理ですが、浴衣に団扇の有名な絵が有りましたでしょう、それお願いします」

「はい、いつでも夏休みで暇ですから」と微笑む康正。

「じゃあ、お姉さんの浴衣着ます、髪もアップにしてきます、八日迄にお願いします」

「はいはい」

「やったー、決まり何日で描けます?」

「三~四回来て貰えば大丈夫ですよ」

「毎日美容院行けないな」

「突貫で描きますか?」と笑う康正だった。

五日に用意して十一時にここに来る事を約束すると、優香は康正の後ろで筆の運びを見て感動していた。

二時間で明日香の絵画が完成して「これで完成です」と水彩画を明日香に見せた。

「本当に上手よね、私側で見ていて感動したわ」と優香が言うと「私でないみたいに、綺麗に描いて頂いてありがとうございます」と喜んだ。

しばらくして、二人は帰って行った。

華やかだった康正の家の明かりが消えた様な静けさに成った。

優香とは何故か気が合う気がした康正。

同じく優香も帰りのタクシーで「良い先生ね、お姉ちゃん好きに成らないの?独身で顔も美男子でお金持ち、最高よ」と言いだした優香。

「私は少しタイプが合わないかも、変な事学校で言わないでよ」と言う明日香に「じゃあ、私が先生を好きに成っても良いわね」と冗談とも本気とも言えない言い方をした。

 

翌日学校に向かった二人、部室に行くと主将の沙織が来ていて、優香を見て「こんにちは、いつも先生にはお世話に成っています、美人の姉妹だったのですね」と感嘆の声をあげた。

それは、早速夜には父俊之の耳に入って「妹がいたのか?そんなに美人か?」と嬉しそうに尋ねたのだ。

既に俊之の頭には次の獲物だとの認識が芽生えていたのだ。

その日の夜に、町村医師が今度の調教の見学をさせて欲しいとの電話をしてきたのだ。

前回世話に成っていたので断る訳にもいかず、承諾をしたのだ。

交換条件に、色々医療用の道具、薬を持参するから、面白くなると言う。

実は妹も綺麗な美人なのだと教えて、捕らえる方法を考えて欲しいと逆に尋ねたのだった。

 

五日に成って近所の美容院に浴衣を持って、朝早くから駆け込む優香に「何だか楽しそうね」と明日香が冷やかした。

明日香が学校に出掛けてから、美容院から浴衣を着付けして貰って戻って来た優香を、俊之と沙織が丁度見に来ていたのだ。

「パパ、あの人よ」と車の中で指を指す沙織の視線の先に、浴衣で着飾った優香の姿が目に入った俊之が「本当だ、これは絵画から抜け出た美しさだな」と感嘆の声をあげた。

自宅のマンションに入るのを見届けると、その場から走り去った。

「パパ、写真は写したからね」

沙織は一眼レフの望遠カメラで撮影していたのだ。

「これは、姉妹を捕まえて調教したいな」

「好きね」と半ば呆れ顔の沙織だが、サド親子の楽しみが出来た事は間違い無かった。

 

優香がタクシーで康正の自宅に着いたのは、十一時過ぎだった。

家政婦の柴田には今日は食事の片付けが終わったら、帰って良いと話していた康正だった。

 

 

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