※この作品はR-18です。

コンプレックス   作:花木 悠

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思惑

  16-3

スナック「萌」は俊之が菱田に与えた店、週に一、二度は顔を出す。

会社が終わって早い時間に食事を二人でして、七時過ぎには店に入っている。

女の子が店を開ける日も週に一、二度は有るが、今夜は朋子と俊之が早く来たので、女性スタッフは八時に来る。

今度のパーティに来る音楽教師の話をする為に、今夜は早く会ったのだ。

店には四十歳の富田真智子、若い鈴木祥子と本田欄が交代でバイトに入る。

若い二人も二人の遊び相手で、真智子は根っからのサド女のレズ、このスナックは俊之の趣味の店だった。

「今度の音楽教師は、単身でマンション住まいらしい」

「それは好都合ですね、娘さんもお父さんの趣味を理解しているのね」と笑う朋子だ。

「あの子にも、サドの血が流れているのだろう?」

「今度の部長に成る先生は、社長はご存じなのですか?」

「知らないのだよ、三十二歳の独身で生物の教師、絵を描くのが趣味らしいよ」

「今度のパーティで邪魔に成りませんか?」

「今回は、見学するだけにしようと考えている」

「我慢出来ますか?」と微笑む朋子だった。

 

沙織の手下の様な板東典子、小塚恭子、坂田麻代はパーティ迄に、新入生の獲得を沙織に命じられて必死だった。

条件は可愛い子、モデルでも使えれば美術の素養が無くても構わないと、沙織に言われて数人に声を掛けるのだが、殆どの学生は既にクラブに入部していた。

進学コースの生徒は基本的には、勉強中心でクラブ活動には消極的で、入部している新入生は少なかった。

学生寮も完備していて、遠方から入学してくる学生も少なくないのだ。

寮に入って来る学生は殆どが進学コース、八割以上がクラブ活動はしていない。

三人は進学コースの学生を探し始めた。

島田陽奈、森山碧を普通クラスで、工藤梨子、鷲尾舞、堀田優奈の三人を進学コースで合計五人に的を絞って勧誘を始めた。

島田と森山は地元の学生で普通クラス、工藤は進学コース、鷲尾と堀田は進学コースで寮生活。

他にも五人の候補がいたが、既にクラブが決まっている場合と、スポーツ系の学生で美術には入る気配もなかった。

地元の二人は、池尻興産の事もよく知っている。

娘が美術部の主将、自宅でパーティが催すから、参加すれば美味しい料理と素敵な恋人が見つかるかも知れないわよ!が勧誘の言葉だった。

池尻沙織は一組、勿論進学コースだ。

勉強も出来て親はこの学校の後援会長、多額の寄付もしている。

肩で風を切る勢いが判らない訳ではないが、煙たく思っている同級生、父兄、教師も大勢いた。

二年生と三年生で十五名の部員に、新入生最低五名を集めて二十名を集めたのは、パーティの三日前だった。

予め、二十人の予定で準備をしていた沙織、もしも少なかったら恥を覚悟のパーティ企画だったのだ。

 

六月の下旬の土曜日の夜、六時から池尻の家の庭に集まる面々。

父親俊之、スナックのママ菱田朋子と店の従業員富田真智子、鈴木祥子、本田欄の四人も店を休んで参加していた。

二年生、三年生も、自宅でのパーティは始めてだった。

今年から、沙織が主将に成って自分の威厳を見せる為に催したのだ。

 

荻野康正は学園での人気は、結構上位にランクされて生徒の評価も高かった。

これまでは生物の教師の一面しか見せてなかったのに、美術の部長に成った事が意外性を呼んで、新入生の五人の獲得には少なからず康正の影響も有ったのだ。

 

パーティの当日は康正と明日香の紹介を兼ねていた。

一馬の呼びかけで、十人以上の大学生と社会人が集まった。

殆どがバイト気分と女子高生目当てで参加していた。

日当を貰っている手前、池尻沙織の許可が無ければ、部員達にアプローチをしては成らないと命令をしていたのだ。

始めて池尻の家に来た女子学生は家の大きさに驚いて入って来た。

典子、恭子、麻代は沙織の下部の様に準備の為に朝から借り出されて、スナックのママ達と料理の準備をしていた。

勿論本職の料理人も呼んでいるが、中々人数が多いので準備が大変なのだ。

一馬も数人の大学生と早めにやって来て、準備を手伝っていたのだ。

五時半には女子高生が総て揃って、少し遅れて康正と明日香が到着した。

別々に来ても良かったが、みんなの手前二人は駅前で待ち合わせてタクシーでやって来た。

長い髪を後ろで束ねて、白いブラウスに黒のスカートの明日香。

康正は半袖のワイシャツにネクタイで、二人は先生そのものの服装で家庭訪問に行く様な恰好だ。

池尻俊之が二人に挨拶をして、全員が庭に集まった。

俊之は明日香を見るのは始めてで、特に間近で明日香の白い項を目にして、娘が云う事が正しいと納得していた。

「今度の新人の音楽の先生は、お父さんの好みの先生よ」

「そうなのか?お父さんの好みの女性は中々いないよ」と数ヶ月前に話していた。

今、目の前の女性は俊之の好みそのものだ。

知性、美貌、スタイル、清楚が揃って申し分がないのだ。

俊之の挨拶の後、康正の紹介がされて康正が挨拶をした。

生徒には端正な顔立ちで人気が有って、部員達が拍手で新しい部長として迎え入れた。

次に副部長の渡辺明日香が紹介されて、明日香が微力ながら頑張りますと挨拶をした。

沙織が主将の就任挨拶を遅れたが行って、副主将に板東典子を指名して乾杯の音頭を自ら行って、パーティが始まった。

明日香の影に隠れていたが、今年の新入部員の五人の可愛さも際立っていたのだ。

康正はこの時、五人の新入生にも興味を持った。

「社長、お気に召したようね」と朋子が早速耳元で囁いた。

最初はソフトドリンクの女子学生にアルコールを勧める男子達、沙織の命令で適当に遊んで良い、の許可が出ていた。

但し、新入生には手を出すな!の命令も一馬から全員に伝わっていた。

 

 

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