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月末に成って母咲子が「優香、一度病院に行きましょう、検査薬だけでは心配よ」と言い出した。
「病院恥ずかしいな」
「何を言っているの、子供が生まれるのに、順調に育っているか?奇形は無いのか見て貰わないと駄目でしょう」
そう言われて、生理も来ないし、駄目なら流産で仕方無いわと覚悟を決める優香だが、病院に向かう足取りは死刑台に上がる気分だった。
病院での尿検査の後「おめでとうございます」と医師に言われて「ほんとうですか」と一気に明るく成った優香に母の咲子は驚きの表情に成った。
内診の後「順調です」の言葉に再び大喜びで、来る時と帰る時の態度が大きく変わって、もう天にも昇る気分に成っていた優香だ。
家に帰ると早速メールで康正に伝える優香。
来月には結婚式が待っている嬉しさ一杯の優香だ。
明日香は九月の末に成って、憂鬱さと同時に身体が求める気分に成っていて、それは生理が終わると同時に襲って来たのだ。
妹の幸せな事を聞く度に、自分の惨めさを感じていた明日香に、新しくSEXを求める身体の登場にも戸惑いを感じる。
明日香を捜し求めるトム、ニクソンは、自分が出演したビデオが出ているのではないか?暴力団関係にも手掛かりを求めていた。
京都の銀狐会の会長金子銀次も、表の顔は暴力団で裏の顔はSMマニア、それも相当過激なプレーが好きで、最近では素人を相手に楽しんでいる。
金子銀次は町村が売った明日香の二本目の映像を持っていて、とても気に入っていたのだ。
トムが探し求めて銀孤会に問い合わせに来た事が、金子の耳に入って金子に呼び出された。
女の特徴を聞いて、映像を見せる金子が「この女か?」
「はい、この女です」と嬉しそうに答えるトム。
「お前はこの女を知っているのか?」
「神戸で一度この女とSEXを撮影しました。とても良い女私気に入りました、探していますご存じですか?」
「名前は?」
「渡辺明日香、音楽の先生と聞きました」
「判った、探したら教えてやる」神戸の望月婦人科の名前は言わなかった。
一応は契約のポルノ男優なので、派遣先と派遣の人は別人だと知っていた。
撮影場所のみを教えられて行くのが裏の撮影のルールだから、それを破るとこの世界では生きて行けない。
金子は意外な男から、情報を聞いて探し始めたのだ。
金子が持っていたのは俊之の家の地下室の映像で、病院の画像を中心に探していた賢造の目には入らなく出回っていたのだ。
金子は過激なSMマニアで、遊び飽きると女を海外で処分する事も多々だった。
ペニスには複数の真珠を入れて、その道でも超過激で女を眠らせない男だと有名だった。
翌日から調査を始めた金子は、自分の遊び仲間の工藤美弥子、星野京子、緊縛師で暴力団員庄司為吉の三人に、ビデオの女が見つかったと話していた。
名前と音楽の教師の二つの大きなヒントは、外人のトムとは異なり探すのに時間はかからなかった。
一週間後顔写真も有ったから、写真を持って確認に向かう工藤と星野の二人は、霞ヶ丘女学園に京都から向かった。
翌日調査の結果を持って帰った二人が「中々の美人です、映像よりも素晴らしいと思います」
「親分さんがお好きな黒髪の長い、縄が似合いそうな女性でした」と隠し撮りの写真も数点持って来た。
「これが、渡辺明日香の履歴書です」と金子に渡すと、しばらく見ていた金子が笑い出した。
「親分どうしたのですか?」と工藤が尋ねると「世の中は面白い、俺を務所に放り込んだ男の子供だとは驚いたよ!」と笑い転げる。
「えー、親分が刑務所に入ったのは、この女の親父に捕まったからですか?」
「そうだ、忘れもしない、俺がまだチンピラの時だ、兄貴分と一緒に居ただけで同じ罪に成ってしまって、何度も何もしていないと弁明したが、同犯にされてしまった憎い刑事だ!」と悔しい過去を振り返る。
「刑事の娘だったとは意外でしたね、あの様なビデオに出るとは思いませんがね」
「あのビデオも誰かに捕まって無理矢理だろう、リアルな筈だ!」
「美人に生まれたのが不幸でしたね」
「だが俺には、復讐と楽しみの両方が舞い込んできたな!」
そう言って笑いながら酒を飲み干した。
「殆ど自宅のマンションと学校の往復で、時々本屋に行く程度らしいです」
「でもあれだけ責められていたら、もう身体が覚えているだろう、後ろも前も開発されている」
「誘拐してきますか?」
「早く連れて来い、責めてみたい!親父に復讐も出来る!」と嬉しそうな金子だ。
十月十日の土曜日、神戸の結婚式場で康正と優香の結婚式が行われて、岡山から優香の両親と親戚、康正の親戚学校関係の人達を招待して結婚式が行われた。
結婚式が終わって、新郎新婦がグァムに旅立つ為に、空港に向かって一息ついた賢造の元に電話がかかった。
忘れかけていた事件の電話を志方組の会長が賢造に珍しく電話をしてきた。
「刑事さんが探している病院なのか判らないのだが、近日中に面白いビデオが入手出来ると、病院の院長が電話をしてきた」
「何処だ、美容整形か?」
「違う婦人科だ、ここは最近の売り込みが無かった病院だから、リストには書いてない」
「名前は?」
「望月婦人科だ、もの凄く美人の映像が手に入るから買って欲しいと言われたが、唯不思議なのは別の病院からも先日全く同じ電話が有ったので、変な話しだと思って電話したのだ」
「もう少し詳しく教えてくれ」
「その病院の院長は、この前買ってくれた女の続編だから、気に入る筈だと言うのだよ、この前の物は病院物では無かったが今回の物は病院物だと話していた」
「そのビデオはそこに有るのか?」
「そう言われて探したら有ったよ、中々清楚な美人のSMビデオだったな」
「明日、見に行くから見せてくれ」賢造は急に現実に引き戻された。
今日はこれから帰る事にしていたが、明日香のマンションに泊まって明日志方組の事務所に行く事にした。
まだ見てないビデオの事を、明日香に聞く訳にもいかない賢造は、寂しそうな明日香に「明日香も良い人を見つけて結婚しなさい」と言うと「まだ若いから、優香の様に結婚迄一気に行ける子が羨ましいわ」と投げやりに言った。
「子供が出来たから仕方がない、大学も休学して実家に預けて最後の学年を行くらしいよ」と賢造は話した。
「凄い頑張りね」と笑ったが顔は笑ってなかった。
翌日、昼前に賢造は志方組に向かった。
明日香は学校の部室に、沙織に相談したい事が有ると呼ばれていた。
再び町村と俊之が遊びたく成ったので、沙織に連れて来いと頼んでいたのだ。
バス停を降りて向かう明日香を狙う一馬の友人、普段なら校門までは賑わうが今日は日曜日で木陰に隠れて、待ち構える三人の男達、突然背後から引きずり込まれる明日香。
「あぅー」と言う間に三人に引っ張られた。