16-44
次の瞬間三人の男が次々と「うぅ」と声をあげながら倒れた。
明日香が起き上がった目線の先に沙織の姿が、見られたと思って逃げる沙織。
「大丈夫」と女性が声をかけた。
三人の学生は、倒れて顔を押さえて逃走して行った。
二人の若い男と二人の女が居て、二人の女が明日香を抱き起こして「何者?」と尋ねた。
「判りません」と話したが明日香に、もしかして沙織が手引きしていたのか?の疑問がわき上がっていた。
「助かりました、ありがとうございます」と丁寧にお礼を言った。
明日香の服が汚れて、歩くのには気の俗そうに成っていた。
「自宅迄送りましょうか?」近くに高級車が止まっている。
「その服では帰れないですよね」昨夜の雨で水溜まりが出来て、明日香の服には泥が付着していた。
「すみません」と遠慮がちに車に乗り込むと、後部座席に女が明日香を挟むように乗り込んできた。
車が発進すると「そこを右です」と言う明日香の言葉を無視して車は高速の方向に走る。
驚いて尋ねる明日香「貴女方は?」恐怖の顔に変わった。
「渡辺さんを迎えに来たのよ」女が答える。
「えー、私を知っているのですか?何処に行くのですか?降ろして下さい!」と言う明日香だが「大人しくするのね、もう逃げられないからね」と微笑みながら言う。
「どう言う意味ですか?」と怯えた様に尋ねる明日香。
「それはお楽しみよ」
「スカートが汚れて無くても乗って貰ったのよ」と笑う星野と工藤。
「いや!降ろして下さい」と大きな声をあげる明日香。
「手荒なまねをしたくないので、静かに願おうか」と前の助手席の男が言った。
賢造はビデオを見て、愕然と成った明日香の恐ろしい映像。
「この画像は何処の病院だ」
「町村美容整形から届いた物です」
「もう一箇所男が話しているのは?何処だ」
「望月婦人科です、まだ画像は届ていません」
「これは頂く、住所を教えろ」もう賢造の怒りは爆発していた。
神戸の警察に恥は曝したくないので、直ぐさま今泉と他の刑事を呼びつける賢造だった。
急に明日香が気に成って電話をかける賢造。
小さく鳴る明日香の鞄の中の携帯、指で着信ボタンを押して取り出して「たすけてー!」と大声で叫ぶ明日香。
驚いて携帯を取り上げる工藤、直ぐさま電源を切る。
星野が明日香の頬を平手打ち「バシー」と飛んだ。
「あっ」と頬を押さえる明日香。
「大人しくしていろと、言っただろう」と恐い顔に成る。
誰にかかったか誰も知らないが、いきなり電源を切ったからだ。
その後は、静かに高速に車は上って東に向かった。
何だ?明日香の叫び声に異常を感じた賢造は、再び電話をしたが連絡が取れない。
マンションの管理人に電話をすると「学校に行くと出られましたよ」との答え。
胸騒ぎを覚えて賢造は学校に向かいながら、兵庫県警に応援を要請していた。
もう岡山県警では時間的に間に合わない気がしたからだ。
娘が誰かに誘拐された可能性が有りますと話して、強姦暴行事件に巻き込まれていると話した。
詳しい話は霞ヶ丘女学園高校でと連絡していた。
岡山県警の捜査一課係長の唯ならぬ連絡に、緊急配備が高速道路の料金所、一般道路に張られた。
霞ヶ丘女学園に行ったが、職員室に居た先生は明日香を見ていなかった。
そこに兵庫県警の刑事が数人駆けつけて、詳しい事情を話した賢造は必死だった。
バス会社に尋ねる県警の刑事が「バスの運転手が、覚えていました」と話した。
「それで?」
「確かに学園前でバスを降りられたと覚えていました」
「バス停から、学校までの間に何かが起こった」
刑事達が痕跡を捜しに学園を出て行った。
数百メートルの間を探し廻ったが何も痕跡がない。
「取り敢えず、町村美容整形と望月婦人科を引っ張りましょう」
県警と一緒に手分けして二箇所に向かった。
町村美容整形外科は日曜で休み、隣の自宅も留守に成っていた。
「何か有ったのですか?」と近所の人が赤色灯の明かりで出て来て、口々に色々な事を話した。
「患者に悪戯したのでしょう?」と言う初老の女性が「噂が前から有ったわよね、時々女の声が聞こえる時も有った」と証言した。
「何処に行ったかご存じ無いでしょうか?」
「独身だからね、お手伝いの事務所に聞けば何か判るのでは?」
「ご存じで?」
「確か、山本家政婦紹介所の車を一二度見ましたよ」
兵庫県警が早速連絡をすると、家政婦の安芸が今日は自宅に居ると聞いて急行する。
賢造は必死で捜そうとした時「神戸に到着しました、係長はどちらに?」と今泉からの連絡に「少し待機してくれ、直ぐに連絡をする」と答えた。
賢造達は家政婦の安芸の自宅に向かうと「先生のプライベートな行き先は、存じませんね」と言葉を濁している。
県警の刑事の電話が鳴って、高校の学校関係の男が関与していると、望月が臭わしましたとの報告に「安芸さん、学校関係で町村が付き合って居る人は知りませんか?」と尋ねると「最近、高校の後援会長とかの自宅に時々行って居ますね」と話した。
「誰か知っていますか?」
「判りません」と答える安芸だった。
「もしかして、娘の学校では?」
「おい、霞ヶ丘の校長の自宅を至急調べてくれ」待つ時間が長く感じる。
その頃沙織が自宅に戻って「失敗した」親父に伝える。
「何故だ?」俊之が怒ると「変な邪魔が入って、逃がしたわ」
「何者だ!」
「高級外車に乗った男女四人だったわ、高木君達が簡単に倒されたわ」
「渡辺先生に見つかったのか?」
「私の顔を見られたと思うわ」
「それは大変だ!感づいたか?」
「少し離れていたから、仲間と思ったかは判らないわ」
「残念だな、準備をして待っていたのにな」と町村が残念そうに言うと「みんなで残念会でもしますか」と俊之が言いだした。
智美、敦子、朋子、欄、祥子、沙織、町村、そして俊之八人は、ヤケ酒を始める準備に取りかかった。
「その、四人は何者だ?」
「通りがかりには見えなかったわ」
「学生三人が一瞬で倒されるなら、喧嘩慣れしているな!刑事?」
「外車に刑事は乗りませんよ」
「暴力団?」
「可能性が有りますね、喧嘩慣れしていて外車なら」
「しかし、暴力団が先生を狙わないだろう」
「偶然通りかかったのか」
沙織と俊之、町村は意味不明の自体に困惑していた。
車は名神高速を京都に向かっていた。
「先生も諦めて、大人しくしているわね」
「。。。。。。」
叩かれたショックで反抗心が無く成った明日香は、逃げる機会を狙っていた。
「でも美人ね、狙われる筈だわ」
「襲われたのでしょう」
「。。。。。。。」
「今回も危なかったわよね」
「病院で襲われるとは思わなかったでしょう?」そう言われて「えー、私病院で襲われたのですか?」と驚きの声を出した。
「病院から、貴女の卑猥な画像が流出しているわよ」
「えーー、そんな」明日香はようやく、あの町村美容整形と沙織が結びついた。