転生者だけど、前世の記憶を喪失している上にジェダイの騎士で指揮官になっています(白目) 作:断空我
多分、メイビー。
「体の方は大丈夫か?ゼロ将軍」
「心配してくれてありがとう、エンタープライズ、俺は大丈夫だ、キミの方は?」
「この程度、艦船にとって傷にすらならない」
無人島にある洞窟。
焚火の前で二人並んでいる状態で俺とエンタープライズはいた。
四時間前。
セイレーン、ドロイド部隊と戦っていたエンタープライズを助けるために俺達の部隊が援軍として駆けつける。
しかし、敵からの砲撃からエンタープライズを守るために俺の搭乗していた戦闘機が炎上。
意識を失ったエンタープライズを抱えながら辛うじて無人島に不時着。
彼女の手当てをするために安全そうな洞窟でエンタープライズの手当てをした。
「ごめん、艦船の応急処置がこれであっているかわからないけれど」
「大丈夫だ。それにしても、貴方は戦うだけでなく手当てもできるのだな」
「違うさ、戦うことにおいて治療することは必須になって来る。必ず学んでおかなければならないことさ」
「……そうだな」
小さく頷くエンタープライズに毛布をかける。
「ゼロ将軍!私なんかよりもあなたが」
「怪我人だから、無理はさせられないし体を治すことを優先としなきゃ、俺も一応、毛布ほどじゃないけれど、体を温めるものはあるから」
ジェダイローブで体を覆いながらゼロは言う。
エンタープライズは困った表情を浮かべながら自身にかけられた毛布を見た。
「ほら、休もう…」
ゼロに言われて渋々という形でエンタープライズは眠りにつく。
翌朝。
二人は海岸沿いに不時着したジェダイの専用機(ファイター)を調べていた。
敵の砲撃を受けたことで動力部の機能は失われている。
「あぁ、R3、救援がきたら必ず修理してやるからな?」
戦闘機の側面にパートナーとして共に戦ってきたアストロメクドロイド、R3-O03は砲撃からゼロとエンタープライズを守ったものの、ダメージが大きすぎた為にシャットダウンしてしまっていた。
専用機の中から必要な道具などを取り出す。
「やっぱり、壊れている……まぁ、信号は生きているからこれに気付いて誰かやってくるだろう」
「それまではこの無人島で動けず仕舞いか」
「幸運にも、食料はある。でも、節約も兼ねて、周囲を探索しよう」
「その必要があるのか?」
首をかしげるエンタープライズにゼロは苦笑する。
「地形を理解する必要があるだろう」
ゼロとエンタープライズは無人島を歩く。
幸いにも無人島内は森林や湖が確認できた。
「将軍は何でも知っているんだな」
「知っていることしか俺は知らないさ、それに、こういう生活は前にやったことがある」
「どういう、意味だ?」
「ん?あぁ、俺がまだパダワン時代だった頃、任務の途中で無人島に放り出されたんだよ。その時にサバイバル技術を身に着けたってところ」
「……す、すごいな」
「そうかな?」
エンタープライズからの賞賛にゼロはなんともいえない表情を浮かべる。
拠点として利用することになった無人島の洞窟。
そこで二人だけの生活をすることになった。
二人だけということでゼロの心臓はこれでもかというほどにバクバクと反応をしているのだが、その理由がわからない。
フォースもゼロに教えてはくれなかった。
何より、エンタープライズと無人島の生活は色々と波乱万丈だった。
「俺は離れたところで見張っているから」
「駄目だ!貴方は人間だ。何かあっては困る!貴方の護衛を私はする必要があるから一緒だ!」
「水浴びで男女一緒は色々と問題がある!」
「たかが水浴びだ。気にすることはない」
「男女だってことを意識しよう!?」
「人と艦船だ。問題はあるまい」
一緒に入ることに抵抗があるゼロに対して、エンタープライズは頑として譲らなかった。
「キミは女の子だ!女の子の裸を見るなんて色々と失礼だ!」
「おかしなことを言う人だ。私は艦船であって、元はフネだ。気にすることはない」
「あぁ、もう!姿が見えるところで交代しながら水浴びしよう!それでいいだろ!?」
「むぅ、仕方ない……」
半ば折れる形で水浴びをする。
湖で生まれたままの姿のエンタープライズ。
後姿だけだが、光や湖の水で輝く姿は一見すれば妖精のようにみえる。
彼女の姿を絶対に記憶しないように目を閉じながらゼロは必死に迷走してフォースの中に沈もうとした。
「む、何をしているんだ?」
呼ばれてつい、目を開けてしまう。
そこにあったのは絶世の美女の裸体。
何も纏っていないエンタープライズの裸を見た瞬間、ゼロの体温は異常なくらい跳ね上がり。
「限界」
鼻血を吹いて気絶した。
「大丈夫か?ゼロ将軍」
「……あぁ、エンタープライズ、エンタープライズ!?」
目を見開いて起き上がろうとしたが彼女に抑え込まれる。
「大量に血を流したんだ。無理はしない方がいい」
「……ごめん、キミの裸をみてしまった」
「あぁ、そのことか、別に気にはしない」
「(それはつまり、男としてみられていないということだろうか?)」
「(少し驚きはしたけれど、私の体など、気にはならないだろう)」
微妙にずれた考えを持ちながらゼロはしばらくして体を起こす。
「もう大丈夫なのか?」
「あぁ」
「将軍」
「エンタープライズ、その将軍っていうのやめてくれない?」
「なぜ?将軍は将軍だろう?」
「だとしても、俺達は共に戦う仲間だ、あまり階級呼びされるの、好きじゃないんだ」
「何と呼べばいい?」
「ゼロでいいよ」
「そうか、では、ゼロ、貴方は変わった人だ」
「……そうかな?」
首を傾げながら体を起こす。
「おぉ、綺麗な夕焼け空…海も光って綺麗だ」
「綺麗……か」
エンタープライズは夕焼けに光る海を見てぽつりと漏らす。
「貴方は海をみて、綺麗というんだな」
「いけないことか?」
「海は戦場だ。そこに綺麗と言われても正直、わからない」
エンタープライズの言葉にゼロは苦笑する。
「そうだよな、キミ達は戦場としての海しか知らないんだよな」
セイレーンが海域を支配して長い年月が過ぎている。元々の戦争の起きていない海を知っている人物はかなり減ってきていることだろう。
「……貴方は戦場以外の海を知るのか?」
「少しだけだ……戦場としての海の方が多いけれど……こういう戦いと関係のない場所の海を綺麗だということを俺は忘れないようにしている」
「なぜ?」
エンタープライズの疑問の言葉は本当にわからないのだろう。
その目は不思議そうに揺れていた。
「姉もそうだ……海を綺麗という。だが、なぜ、そう呼ぶのか私はわからない、戦場だから」
「だったら、見ようじゃないか」
「え?」
エンタープライズにゼロは言う。
「一緒に戦いが終わった後の海をみよう。そうしたら、今までと違うものがみられるかもしれない」
「そうだろうか?」
ゼロは戸惑うエンタープライズの手を握り締める。
それから彼女の小指と自身の小指を絡ませた。
「約束する。戦争が終わった後、平和な海を一緒に見よう。きっと、キミの知らない景色がある……約束だ」
「約束……」
「重桜における儀式みたいなものさ。破ったらダメの約束」
「……私はわかるだろうか?その、戦場ではない海をみたとして」
「絶対にわかる!エンタープライズは純粋だ。きっと、素晴らしいと感じてくれる」
エンタープライズは困った表情を浮かべながらゼロと交わした小指をみつめた。
不思議と温かい気持ちになったがエンタープライズはそれを言わないことにする。
言ってしまえば、その温もりが無くなってしまうのではないのかと不安になったのだ。
「救援が来ることを期待していたが」
無人島の海岸。
そこにぞろぞろと姿を見せるドロイド部隊。
その数は軽く十を超えていた。
ブラスターを構えているドロイドたちは周辺を警戒している。
「反応に引き寄せられてやってきたのか……ここを前線基地にするつもりなのか、どちらにしろ、見つかれば面倒だな」
「ゼロ、どうするつもりだ?」
「戦闘になった場合、こちらの武装はライトセーバーのみ、か……エンタープライズ、キミの艤装は?」
「海上を移動することは可能だ、だが、戦闘は難しいな」
ゼロは考える。
一人だけなら数少ないドロイドを撃退することは可能だろう。
もし、エンタープライズが人質に取られてしまえば、ゼロは抵抗できずに二人そろって捕虜となる。
「ゼロ、私に考えがある」
「却下」
「まだ、何も言っていないぞ!?」
「言わなくても理解できるよ。自分が囮になるからその間に逃げろとかそういうことをいうつもりだろ?」
エンタープライズは責任感が強い。
この状況において人間を守ろうとするだろう。
共に生活をしていてそれはよぉく理解できた。
だからこそ、エンタープライズの提案を認めるわけにいかない。
「しかし、今のままでは」
「別にエンタープライズが囮になることが正解じゃないよ」
ドロイドたちの数を見ながらゼロの頭の中である作戦があった。
「ハンノウハアッタガ、ヒトカゲハナイナ」
「デハ、アチラヲソウサクスルゾ」
「ラジャラジャー!」
ドロイドたちが電子音で会話のようなやり取りをしている中、ゼロは近くの木の上から飛び降りる。
ライトセーバーを起動して真下にいたドロイドの首とボディを切り落とす。
「ジェダイダ!」
「ブタイチョウガヤラレタゾ!?」
「ウテウテ!」
「アァ~」
近距離でブラスター連射するドロイドだがライトセーバーを回転させることで光弾を弾き飛ばす。
ドロイデカと呼ばれるような相手やスーパーバトルドロイドのような面倒の相手がいないからこういう普通の?ドロイド相手ならゼロは楽勝である。
尤も数の暴力に流石のジェダイも勝てるかどうかは怪しい。
「エンタープライズ!」
ドロイドの手の中にあったブラスターを拾って茂みへ投げる。
受け取ったブラスターを構えて背後からドロイド達を撃つ。
「ハイゴカラ!?」
「クローンジャナイゾ!?」
「カマワン、ウテ!」
「オイ、ジェダイニセヲムケテ」
ゼロから背を向けたところで容赦なくライトセーバーでボディを溶かす。
挟撃されたドロイド達はあっという間にスクラップと化した。
ライトセーバーを収めて武器を拾う。
「さて、敵が乗ってきた輸送船があるだろうし、それを奪って無人島から脱出することに――」
エンタープライズを突き飛ばす。
「なっ!?」
顔を赤くして目を見開くエンタープライズ。
地面に尻餅をついた彼女は眉間へ皺を寄せて抗議しようとした。
「ゼロ!」
エンタープライズの目の前で交差する青と赤のライトセーバー。
「おやおやぁ、こんなところで珍しい相手に出会うじゃないかぁ、兄弟子の坊やぁ」
「辺境の無人島に足を運ぶまでそちらはよっぽど、暇なんだぁ、ヴェントレス」
斬りあっていたライトセーバーを戻しながらゼロはエンタープライズを守るように構えた。
「相変わらず女か、女で身を亡ぼせばいいのに」
白肌のスキンヘッドの女性剣士であるヴェントレスは忌々しいものをみたという表情を浮かべながら二本のライトセーバーを構える。
「ゼロ、こいつは」
「アサージ・ヴェントレス、反艦船同盟の主力だよ。暗殺者といえば、知っているんじゃないか?」
「あの人が……」
エンタープライズも名前だけは知っていた。
敵対する相手に賞金をかけて殺そうとするなど、知略に長けているばかりか、持っているライトセーバーで多くのジェダイマスターやナイトを手にかけている。
「一応、付け加えておくと……同門なんだよなぁ、不本意ながら」
「それはこちらのセリフだよ!お前を八つ裂きにしてやる!そうすれば、マスターに認められる」
「やめておいた方がいいと思うけどなぁ、シスは裏切りが基本だし」
肩をすくめながらライトセーバーを構える。
「一応、聞くがどうしてここに?」
「答えるつもりはないねぇ」
二本のライトセーバーを構えて襲い掛かって来るヴェントレスに対してゼロはライトセーバーを巧みに操りながら戦う。
森林の中を蜘蛛のように飛び交う動きを見せる中で、ゼロは冷静に刃を受け流していく。
「腰抜けめ!戦うつもりがないのか!?」
「そんなわけ、ないだろ?」
開けた場所に出たところでゼロは宙を蹴る。
振るわれた二つの斬撃が空を切った。
ヴェントレスの背後へ回り込んだと同時に刃を振り下ろす。
「ちぃぃ!」
舌打ちしながらヴェントレスが片方の光刃で青い光刃を防ぐ。
「さて、これで一対一、邪魔をする相手も止める相手もいない。アンタの望む殺し合いができるぞ?」
ニヤリと獰猛な笑みを浮かべるゼロに対して、ヴェントレスは顔を歪める。
「偽善者!」
「何とでも言えよ。俺は俺の大事なものを守るためにジェダイになった。アンタは敵だ。敵は倒す、シンプルだろう?」
「忌々しい!」
ライトセーバーを振るうヴェントレスを正面からゼロは受け止める。
二刀流に対してゼロは一本のライトセーバーのみ。
振るわれる二つの刃を高速でいなしながら戦う。
「ゼロ!」
ブラスターを構えたエンタープライズが茂みから現れる。
照準先はヴェントレス。
「よせ、エンタープライズ!」
放たれたブラスター。
「艦船か、邪魔だよ!」
ヴェントレスは赤い光刃でいなすと地面を蹴り、エンタープライズに接近する。
刃がそのままエンタープライズに迫るという瞬間。
先回りしたゼロのキックがヴェントレスの腹を抉るように放たれた。
ヴェントレスは地面を蹴り、転がるようにしながらも刃を構えた。
「おい……」
起き上がったヴェントレスの体を冷たい殺意が包み込む。
エンタープライズを守るようにしながら立つゼロの目。
おそろしいほどの闇がそこに広がっていた。
「何だ、お前は」
「俺の大事な仲間に手を出したんだ。覚悟しろよ」
「ちぃぃ!」
ライトセーバーを地面に振るって砂塵をまき散らす。
飛来する砂塵にゼロとエンタープライズは視界を奪われた。
しばらくして、砂塵が消えるとそこにヴェントレスの姿はない。
「逃げられたか」
「ゼロ、大丈夫――」
「ヤバイ、疲れた」
心配そうに声をかけるエンタープライズの方へゼロは倒れこむ。
慌てて抱き留めるも踏みとどまれずにエンタープライズも一緒に地面に座り込んでしまう。
すやすやと寝息を立て始めたゼロの姿にエンタープライズはため息を漏らす。
「本当に、不思議な人だ」
ちらりとみてからエンタープライズはゼロの頭を優しく撫でる。
「貴方のような人が、私の――」
「大丈夫でしたか?将軍」
「あぁ、ヘヴィ、キミ達に会えてとても嬉しいよ」
ドロイド襲撃から二時間も経たずにクローン・トルーパー達の救助部隊がやってきた。
反応をキャッチしたものの、ドロイドの横やりが入って到着が遅れたという。
「そういえば、綾波達をみないが」
「基地で待ってもらっています……その、かなりヤバイ状態だったので」
「ヤバイ?」
「えぇ」
バイザーを脱いだヘヴィは頷いた。
「ヤバイの?」
「とても」
「俺、帰らないという選択肢はない?」
「お願いします。気分を害しているトルーパーがいますから」
ここで誰がと言わない辺りゼロも予想がついているのだろう。
「ゼロ!」
輸送船へ乗ろうとしたところで後ろから声をかけられる。
相手はエンタープライズだ。
「エンタープライズ」
「ここで、お別れだな」
彼女の傍には工作艦のヴェスタルがいた。
ヴェスタルの話ではエンタープライズの傷は浅いから戻って修理すればすぐに戦えるようになるという事らしい。
「あぁ、キミはこれからNYシティへ一度、戻るんだったな」
「そうだ」
「また、どこかで会えるといいな」
ゼロの言葉にエンタープライズの瞳が不安そうに揺れる。
「会えるだろうか?」
エンタープライズにゼロは微笑む。
「会えるさ」
フォースがゼロに伝えてくれる。
「キミと必ずまた会える……誓っていいよ」
「そうか……そうだな、次に会った時に伝えたいことがあるんだ」
「会った時に?」
「そうだ」
「わかった」
歩き出したエンタープライズにゼロは声をかける。
「エンタープライズ」
「なんだ?」
「フォースと共にあらんことを」
驚きながらもエンタープライズは微笑む。
「貴方もフォースと共にあらんことを」
笑顔を浮かべて互いに別れる。
「ゼロ……姉ちゃんともし、関係を結んでいたら……私」
約束しよう。次回はエロパートです。
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