転生者だけど、前世の記憶を喪失している上にジェダイの騎士で指揮官になっています(白目) 作:断空我
マスターヨーダが告げたクローン大戦。
長い年月、続いている戦争は多くのジェダイが戦場で散った。
年配のマスターから若いなり立てのジェダイまでその数は膨大だ。
しかし、戦場に長くいたことで狂ってしまうジェダイも少なくなかった。
しがらみを捨てて、平和の為に己の身を捧げているジェダイが、戦場で多くの敵を殺し、戦っているうちに突然とプッツンしてしまうことがあった。
多くのジェダイが戦場で狂い、暴れて、仲間のジェダイに殺されるという事実もある。
「話には聞いていたけど……」
「もしかして」
瑞鶴がハッとした表情でヘヴィをみる。
「将軍から聞いた話によれば、その時はセイレーンが出現したという事からパダワンの彼とジェダイ・ナイトが一人、艦船と共に戦場へ赴いたらしい。そして」
――狂って、艦船や周りの者達を殺そうとしたジェダイをパダワンの彼が殺した。
「細かい経緯は俺も知らない、だが、将軍はこの話をした後、一言だけ告げたんだ」
「何を?」
震える声でホーネットは問いかける。
「何を、ゼロは告げたの?」
ヘヴィは少し間を置いてから伝えた。
――きっと、僕は最期に地獄へ落ちるだろう。
「そんなの、辛すぎるよ」
顔を上げると瑞鶴は涙をこぼしていた。
それは隣のホーネットも同じである。
悲しすぎると二人は言葉を漏らして泣き続けた。
「俺達、いや、俺は、この戦争が終わってからどうなるかわからないが、あの人だけは幸せになるべきだと思っている」
「私も、同じ意見だよ」
ホーネットが目元を拭って目を見開く。
「ゼロのことは大好きだけど、ちゃんと、ゼロを幸せにするから!」
緑色の瞳は強い決意で満ち溢れている。
「お姉ちゃんがいれば、もっと安心だけど、私だってゼロを幸せにできるって証明してみせる!」
隣にいる瑞鶴も同じように握り拳を作っていた。
「どうやら、余計な起爆剤を点火したかもしれない」
やる気に満ち溢れている二人の姿を見て、ヘヴィはぽつりと言葉を漏らす。
燃え盛る炎を背後に瑞鶴とホーネットはやる気に満ち溢れている。
「ブルッ」
体を震わせて俺はローブを強く体に纏わせる。
「風邪なのです?」
傍で防寒着を着ている綾波が尋ねてきた。
鉄血に近いこの場所は昼夜問わずひんやりとした風が吹いている。夜になれば、氷点下に達しているのではないかというくらいに冷たい。
見張り台から遠くを見渡せるが風が吹いて、寒かった。
トルーパー達も寒冷地装備で、周囲を警戒している。
「これから戦う相手はどんな存在なのです?」
「基地の情報によれば、敵はテロリスト集団、シャドーピープル、夜襲のみで突然、姿を見せることからこういう呼び名がついたらしい」
「夜に攻め込むというのは奇襲を狙ったものということなのでしょうが、優雅さに欠けますね」
ベルファストが冷えますよと言いながら紅茶を差し出してくる。
「いや、紅茶って」
「どのような状況であろうと優雅さを持つべきですよ?それに、体が冷えていてはいざという時に動けません、万全の状態であるべきです」
「いただくのです」
横から綾波が手に取って紅茶を一口。
「何も入っていないのです。暖かいですよ?」
「これから戦うって時に変なものは入れません」
「戦わなかったら?」
「紅茶に不純物をメイドはいれません」
怪しい。
疑うような視線を向けるがベルファストはにこりと笑みを浮かべて顔を近づけようとしてくる。
「ゼロ殿」
「高雄、寒くないのか?」
「拙者たちはフネだ。多少、寒さを感じはするが、問題はない」
「そうか……無理だけはしないでくれ、ほら、毛布」
「かたじけない」
毛布を受け取った高雄は周囲の警戒に意識を向ける。
敵は主に奇襲を仕掛けてくる。場所がわからない以上はこちらから攻めるより待つ方がいい。
他のトルーパー達も周囲を警戒することと、定期連絡を行うことを徹底していた。
「でも、本当に来るのです?」
「来る」
「ご主人様は何か根拠があるようですが?それは」
「この基地所属の艦船とトルーパー達から今までの戦闘を教えてもらった」
「いつの間に」
驚く高雄の横でゼロがあるデータを表示する。
襲撃された基地のデータを調べたところ、シャドーピープルというテロ組織は周期的な動きがみられた。
もしかしたら不発の可能性もあるが、規則的な動きに大きな変動は今のところみられない。何より、フォースが伝えてくれる。
これから何かが起こると。
「貴方はこれから戦闘が起こると思っているのですか?」
「キミは……確か、ニーミだったな」
「はい、駆逐艦Z23と申します……先ほどの話に戻りますが、貴方はテロ組織が攻めてくると考えているのですか?」
「データを見る限り……何より、何かが起こると感じるんだ」
「感じる?直感でものをいっているのですか!」
眉間へ皺を寄せてZ23が叫ぶ。
さて?俺は何か失礼なことを言っただろうか?
「ゼロはジェダイだから当たり前のように言いますけど、他の人達からすれば、不思議ちゃんなのです」
「綾波様の言葉が正しいですね」
「お前達……」
「ゼロ殿、すまない、拙者も否定できない」
どうやら俺に味方はいないらしい。
「ニーミ」
「貴方は綾波ですね」
「はいなのです。ゼロはジェダイなのです」
「それは知っています。それが何か?」
「ジェダイはフォースを操る術を熟知している者達。ゼロ様はこれから何かが起こることをフォースの流れを通して察知しているのです」
綾波とベルファストの言葉にZ23は驚いた表情を浮かべている。
「ここのジェダイはそういうことを言わない?」
「えぇ、そもそも、私達に通信で指示を出してくるのみで直接、顔を見たことはありません」
「え、そうなの?」
「はい、私達は指示通りに戦うだけです」
頷いたZ23の表情からウソではないのだろう。
「指揮官が上から指示を出すことはありえるが……まさか、直接、顔を合わせていないとは……忍ではあるまいし、何を考えているのだ?」
「さぁ、こればかりは何も……」
ここの指揮官、ローンメイルのことについて話をしていると見張り台のところへヘヴィがやってくる。
「遅くなりました」
「別に大丈夫。まだ、何の動きもない」
「そうですか、おや、キミは」
「駆逐艦Z23と申します」
「礼儀正しい挨拶をありがとう、俺はクローン・トルーパーのヘヴィだ」
互いに挨拶を終えたところでヘヴィがこちらをみる。
「その、ゼロ将軍……申し訳ない」
「へ?」
「あ(察し)」
「そういうことですか(察し)」
「ゼロ殿、骨だけは頑張って拾おう(察し)」
「え、なに!?何のこと!?」
「わけがわかりません」
ヘヴィの謝罪に綾波達は哀れみの視線を向けて俺と話が読めないZ23が戸惑いの表情を浮かべた。
直後、聞こえた爆音に俺は顔を上げる。
「将軍!ファイブスから連絡です」
「先に行くぞ」
ヘヴィの報告を聞くと同時に見張り台から飛び降りて、そのまま爆発が起こった場所まで走る。
「え、ちょっと!?人間が何をして」
「ゼロはジェダイなのです。綾波も行くのです」
「メイドもご主人様の為に」
「戦いの時だ!」
次々と見張り台から飛び降りる艦船達。
あっという間に見張り台はZ23とヘヴィだけになる。
「な、なんなんですかぁ!?あの人たちはぁ」
「これが俺達の部隊のいつもの光景だ。ようこそ、アズールレーンへ」
「理解ができません」
頭を抑える彼女の姿を見てヘヴィは苦笑しながらバイザーを被る。
戦闘開始だ。
襲撃を受けた場所は海岸沿いの場所だった。
トルーパー達はブラスターを構えて襲撃してくる相手と戦っていた。
少し遅れて到着したゼロは飛来するブラスターをライトセーバーで弾き飛ばす。
「大丈夫か?」
「将軍!」
「敵の姿は?」
「目視できません、いきなりブラスターの攻撃がはじまりました」
「そうか……ファイブス!先陣を切る、着いてきてくれるか?」
「どこへだってついていきますよ!」
ブラスターを構えながら答えるファイブスにゼロは笑みを浮かべながら他へ指示を飛ばす。
「俺とファイブス、他数名が敵の姿を確認するために先陣をきる!他は敵の姿を確認次第、迎撃をしてくれ!夜だからガンシップによる援護はない!最悪、固定砲台による狙撃を依頼することになる。不用意に前にでないように!」
「了解!」
「行こう」
「はい!」
ファイブスと他のクローン数名と共に闇夜の中へ踏み込む。
「レーダーに反応もありません」
「いや、確実にこの闇の中に紛れている。レーダーをジャミングする機能があるのかもしれない……っ!」
暗闇の中で何かが輝くとともにブラスターの光弾が迫った。
ライトセーバーを起動して光弾を弾き飛ばす。
「来るぞ!」
構えるトルーパー達の前にぞろぞろとシャドーピープルが現れる。
潜水服のようなものを纏った彼らはブラスターを手にぞろぞろと姿を見せてきた。
あっという間にゼロ達の前に三十人程の敵が現れる。
「おいおい、こんなに現れるのかよ」
「可能な限り数を減らして後退するぞ」
「ここらで叩き潰してやりましょうよ!?」
「いや、無駄撃ちはなしだ」
「どうしてです!?」
戸惑うトルーパーにゼロは短く「後で話す」と伝えながら近づいてきたシャドーピープルのブラスターと体を切り裂く。
悲鳴を上げて地面へ倒れるシャドーピープルと入れ替わる形で別の敵が現れる。
「こいつら、どんだけいるんだ……っ」
ファイブスが悪態をつきながらブラスターで敵を狙撃していた時、地面が揺れだす。
「なんだ!?」
「全員!後退準備だ!」
揺れを察知したゼロの指示でファイブス達は基地まで後退していく。
「おいおい、こんなものまであるのかよ!?」
「ミミズの化け物だ!」
トルーパーの一人が悪態をついた。
地面の中から現れたのは細長いミミズを連想させるような機動兵器。
先端に機関銃がついており、そこから弾丸が撃たれる。
「がぁ!?」
「ドロップが負傷した!」
「俺のことはかまうな!」
「バカ野郎!兄弟を見捨てるかよ!」
負傷したトルーパーの腕をゼロが掴んでずるずると引っ張っていく。
「このままじゃ、ハチの巣だぞ!?」
トルーパー達の横を白い影が通過する。
「悪」
走る彼女は腰の刀を構えた。
「即」
ブンと暗闇の中で刀が煌めく。
「斬!」
一刀によってミミズのような機動兵器は両断される。
切断箇所から爆発を起こして倒れる機動兵器。
その傍で高雄は刀を一振り。
「また、つまらぬものを斬ってしまった」
ため息を零す高雄。
「やべ、俺、惚れそう」
トルーパーの一人がぽつりと漏らす。
「高雄」
「ゼロ殿の読みが当たったわけでござるな」
「悲しいことにな」
「他の部隊は?」
「念のため、周囲の警戒をしてもらっている。ここにいるトルーパーと、まぁ、俺達で撃退することになるな」
「そうか……この程度なら、拙者たちだけで十分であろう?」
次々と現れるシャドーピープルと機動兵器の数を確認しながら不敵な笑みを浮かべる高雄。
ゼロは静かに頷く。
「むしろ、過剰戦力だと思う」
「な、何なんですか!?あの人たちは!」
Z23は今までの淡々とした態度から一転して目を見開いて叫んでいる。
艤装を展開して攻撃できるようにしてはいるが、それすら無駄に終わりそうだった。
連携を取っているトルーパー達、ブラスターが通用しないとわかると実弾入りの武器で戦っている。
クローン・トルーパーヘヴィは二丁拳銃型の武器を使用して、シェフィールドと絶妙な連携でシャドーピープルを倒していく。
艦船の高雄は軍刀を片手に走りながら次々と機動兵器を両断していた。その動きは洗練された一振りの刀をイメージさせられる。
何よりZ23が驚いたのは誰よりも先陣をきり、青く輝く剣を片手にシャドーピープルや機動兵器を誰よりも多く、一番速く倒している男。
彼らの指揮官であり、ジェダイの騎士。
ゼロと呼ばれていた男によってあっという間にシャドーピープルの数が減少している。
今までの自分達の戦いが何だったのかと言いたくなるような状況だ。
「綾波も」
「え!?」
大型のブレードを構えながら駆け出そうとしている綾波の姿を見て戸惑いながらも彼女は後を追いかけていく。
不思議と悪い気分はしなかった。
戦闘開始から三時間ほどでシャドーピープルのすべてを撃退したゼロ達。
残骸などは調査の為、基地に配備されているヒヨコ型の謎生物、饅頭たちが回収してくれる。
「へっくし!」
「大丈夫か?ゼロ殿」
「いやぁ、夜だと冷えるなぁ」
ライトセーバーを腰に戻しながら周囲へ確認を取る。
負傷した兵士はいるものの死傷者は0というのは最高の結果だろう。
「ご主人様、夜は冷えます。温めないと、ここはひと肌が一番、良いと言われます」
背後から寄り添ってくるベルファストをやんわりと回避しながらトルーパー達へ指示を出す。
「敵の姿がないか、念のため周囲の警戒は続けてくれ。一時間して何もない場合は三時間後に交代で監視を行う。すまないが、もうしばらく付き合ってくれ」
「了解!」
答えるトルーパー達の姿にゼロは頷いた。
「おい、俺のイブ!」
周囲を警戒していたところで、こちらへやってくるZ1の姿に気付いた。
「Z1、どうしたの?」
「シュペーが目を覚ました。お前に会いたがっている。一緒に来てくれ」
「あぁ、わかった、ファイブス!ここを頼んでいいかい?」
「お任せください!」
ファイブスが拳を握り締めて答えたのを確認してゼロは彼女と共にその場を離れる。
番外編 どの陣営がいい?
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重桜(加賀or長門)
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