転生者だけど、前世の記憶を喪失している上にジェダイの騎士で指揮官になっています(白目) 作:断空我
俺の転生した世界は酷く危険な状況らしい。
世界は戦火に包まれている。
それはすべて、セイレーンという正体不明の外敵が現れているためである。
セイレーンの猛威は止まることを知らない。
今までの兵器の類は全て通用しない為に人類はどんどん敗北の数を刻んできていた。
その中で天啓ともいえるキューブとクローンの存在は人類にとって救いだっただろう。
ただし、幼い俺にとって、そのことはどこか遠い話の出来事のように感じていた。
八歳のころ、俺は重桜で生活をしていた。
両親はいない。セイレーンの攻撃によって死んだらしい。
らしいというのは俺が転生とやらをした時は既に両親が死んでしまっていたからである。
今の俺は重桜の聖域ともいわれているところの近くで生活をしていた。
作物の具合を確認して、家へ戻る。
ボロボロの家屋。
戦時中で、浮浪児の俺をこんなところに住まわせてくれているだけ感謝している。
尤も、重桜の軍連中に対してではなく、俺の〇のような人に対してだが。
「あ、ゼロ!」
「陸奥、来ていたのか」
作物を抱えながら中に入るとそこには一人の活発な少女がいた。
巫女服を纏い活発な少女は俺を見ると駆け寄って来る。
「陸奥様がお前に会いたがっていた」
「江風、アンタもいたのか」
「うむ」
畳の上に腰かけて刀を傍に置いている少女の名前は江風、ここにいない重桜の巫女である長門と陸奥を護衛しているフネ。
彼女達は人間ではない。メンタルキューブを用いて戦時中のフネの力を宿している者達、KAN-SENと呼ぶ者もいれば、フネとそのままいう者もいる。
そして、江風は俺の剣の師匠でもある。
「お前があれから上達したかどうかもみにきた」
淡々と江風が伝えると俺に軍刀を投げてくる。
「表に出ろ」
「もう!江風はせっかちなんだから!」
「陸奥、後でね」
「陸奥も縁側で見学する!」
頬を膨らませる陸奥も縁側で観賞するという状況の中で俺と江風は向かい合う。
表情の読めない瞳の相手は静かに黒い刀を抜く。
呼吸を整えながら刀を横に水平へ向けるようにして構えた。
最初に動くの当然のことながら俺。
江風相手に焦らすということは通用しない。その気になれば何時間でも様子を伺うことができる。それが武人江風だ。
開始して数分経たずに俺は地面に倒れている。
「前よりも太刀筋はよくなっている、無駄な動きもない。だが、躊躇することが多すぎる」
反省会という名の説教。
そこで俺は江風の話を静かに聞いていた。
前に眠気がきたことをばれて額にこれでもかというほど後頭部を殴られてしまったことがある。
「お前は人を殺す覚悟があるか」
江風の問いに俺は少し悩みながら答える。
「覚悟は、ない……けれど、俺を大事にしてくれる家族に何かがあるっていうのなら俺はきっとこの手を汚すことに躊躇いはない」
俺は孤児だ。
おまけに転生者という厄介な存在だ。
あの爺ちゃんの話によれば転生者がこの世界を滅茶苦茶にしてしまったという。
そんな危険な存在である俺を家族と言ってくれる人の為なら戦えると思う。
「いや、これは汚い言い訳だ。長門達を盾にして逃げたいだけのようなものだ。俺は殺すことはできる。でも、出来るなら」
――殺したくないなぁ。
先の言葉は江風からの殺意で告げられない。
「お前の命は神子様のものである。それを忘れるな」
淡々と、絶対零度の視線で言われた俺は頷く。
「難しい話、終わったぁ?」
縁側で横になっていた陸奥がとてとてこちらへやってくる。
俺と同じくらいの身長のため、正座をしていると陸奥が少しばかり高い。
「ゼロ!長門姉が会いたがっているからいこう!」
「いこうって、俺は」
ただの平民で好き勝手に訪れて言い訳ではない。何より俺がくることをよしとしない連中が多すぎる。
「いいから!うるさい連中は知らないから!陸奥は長門姉の笑顔がみたいの!」
「あ、待って、マジで待って、足が痺れて、痛い、痛い、痛いからぁ!」
足が痺れて満足に動けない状況で陸奥に引っ張られていく。
抵抗できないまま重桜にある社につく頃にはボロボロとなっていた。
「何故、お主はボロボロになっておる?」
対面で腰かけるのは俺と同い年くらいの幼い少女。
長く艶やかな黒髪、そして頭部に伸びる狐の耳。
彼女の名前は戦艦長門。
この重桜という神樹がある社の神子で、俺を助けてくれた恩人。そして、民を守るために奮闘しているフネ。
「いやぁ、陸奥に」
「そうか、よい、それだけでわかった」
「……あははは」
陸奥の破天荒を知っているからこそ長門は小さくため息を零す。
「でも、陸奥も長門を喜ばせるためにやったことだから怒ることはしないであげてほしい」
「すまぬ」
謝罪する長門に俺は首を振る。
「その、生活に不便はないか?」
「大丈夫だよ」
「申し訳ない。本当ならもっと悠々自適に生活できるようにしてやりたかったのだが……」
「いいよ、今は戦時中だし、俺みたいなゼロのことなんか、それに護身術とか江風に指導してもらっている。何より」
少し間を置いて、周りの気配を探る。
誰もいない。
監視の目がないことを確認して長門へ向き直る。
「大好きな家族の長門や陸奥とも一緒にこんな形でもいられるのは幸せだから」
「そ、そうか」
俺の言葉に長門は顔を赤くしながら俯いた。
「長門?」
「な、なんでもない、そうか……、よ、余も、嬉しく」
「失礼します」
話を遮るように神主の格好をした男が現れる。
男の姿を見た長門は表情を硬くした。
「神子様、時間です」
「わかった、すぐ行く。ゼロ、今日はすまなかったな」
「いえ、失礼します」
こちらをみようとしない男と視線を合わせずに部屋を出る。
少し歩いたところで俺を囲むように男達がはだかった。
「おい、能無し、こっちへ来い」
「……」
「おい、何か、いえよ!」
話すために近づいてきたと思えば殴って来る。
抵抗することもできないまま狭い部屋に押し込まれて殴る、蹴る。
臓器を傷つけられないように、顔や目立つようなところへ傷をつけられないように細心の注意をはかりながら男達は俺を攻撃する。
理由などない。
連中はただの憂さ晴らし。
重桜という国を守るために粉骨砕身している自分達と比べて長門の傍にいるだけの役立たず。
俺の名前がゼロというのも能無しという意味を含まれていた。
もし、長門や陸奥がいなければ?
それを考えただけでどす黒い何かが生まれそうになった。
振るわれる暴力から身を護るようにしながら必死に蓋をする。
暴力が振るわれるのは当たり前の日常。
けれど、俺にとって大事と言える長門や陸奥がいるというのなら頑張れる。
必死に我慢すればいい。
長門だって神子として崇められながら民の為に頑張っている。
民の為に奮闘しようとする長門に対して周りの連中は良い顔をしない。
お飾りの神子であることを望んでいるのだ。
誰かの為に頑張ろうとしている長門のことを思えば頑張れる。
振るわれる暴力から必死に我慢して終わることを待つ。
時間にしてニ十分。
暴力はかなり振るわれた。
満足したといいながら去っていった男達。
開かれた扉の向こうから誰も来ないことを確認して廊下へ出る。
全身が痛い。
ふらふらと社を後にしてゆっくりと小屋に向かう。
小屋の扉を開けたところで限界がきて、そのまま倒れる。
あぁ、傷の手当とかしていないし、明日、腫れないといいなぁ。
そんなことを考えながら眠りについた。
江風は長門の傍に控えながら思案する。
あの者はいつまでもつだろうか?
長門が戦中に生き残っていたあの者を哀れに思って引き取った。
そのことで神子を崇める連中は猛抗議をしたがあの時の長門は珍しいくらいに了承しなかった。
そのことの苛立ちがあの者へ向けられてしまっている。
江風はドアを開けて中に入った。
「まだ、生きているな」
死んだように寝ているゼロ。
服の上からはわからないだろうが、あっちこっち腫れている。
骨も皹が入らないように徹底されていた。
「くだらない」
クズの連中の行動を阻害する気は江風にない。
江風にあるのは長門と陸奥を守ることのみ。
その事以外に興味などありはしない。そう、今は。
「あぁ、お前はいつになったら堕ちるのだろうな」
寝ているゼロの頬を撫でながら江風が小さな笑みを浮かべる。
力を持ちながら底辺にいる存在、唯一縛り付けているものが無くなった時。
「神子様も喜ぶだろう、邪魔な連中がいなくなればずっと傍にいられるのだから」
江風は役目のためだけに活動している。
自身はフネであり、神子様の護衛なのだ。
目の前で死んだように寝ている少年に魅入られ始めたのはいつからだろう?
出会った時は少なくとも興味はなかったはず、剣術を教えて、殺し合いに近いことをやった時だろう。
彼が周りのしがらみ全てを叩き潰して、長門と陸奥の為だけに傍にいる姿をみてみた。
「だからこそ、お前は死ぬことは許さない」
江風は顔を近づけて。
ぺろりと血のついているゼロの頬を舐めた。
「我が弟子よ」
「はい、マスター」
「お前に指示を出す、重桜を襲撃せよ」
「仰せの通りに」
薄暗い空間の中で黒衣に身を包んで素顔を隠した者達が行動を起こす。
江風
重桜のフネの一人であり白露型九番艦であり改白露型・海風型の三番艦。
武人であり長門や陸奥の護衛を務めている。
ゼロに対しては当初、興味を持っていなかったのだが、彼と殺し合い(仮)をしたことで愛情と似たような歪んだ感情を持つようになる。もし、ゼロが大人になった場合、野戦(意味深)を行う可能性が高い。
番外編 どの陣営がいい?
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ロイヤル(ベルファスト)
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ユニオン(ヨークタウン)
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鉄血(アドミラル・グラーフ・シュペー)
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重桜(加賀or長門)
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その他