転生者だけど、前世の記憶を喪失している上にジェダイの騎士で指揮官になっています(白目) 作:断空我
この話を進められなくて悔しい。
番外編はあくまで可能性の話、頭を空っぽにして見てもらえると嬉しいです。
今更になって、この話というのは私の精神的な問題です。
アズールレーン学園
四ヶ国が集まって人工島に作られた学園。
そこに平々凡々代表の僕、零が入学できたのは奇跡に近い。
奇跡で通ったのだから、頑張って無事に卒業して幸せな生活を送ろう。
そう考えていたんだけれど、天国の父さん、母さん、それは叶いそうにないかもしれません。
「あらぁ、起きちゃった?」
「……あのぉ、オイゲンさん、何をしているんですか」
朝、目を覚ますとこちらを見下ろして妖艶な笑みを浮かべている女性がいる。
流れるような銀髪を左右に結って、赤い瞳が妖艶な笑みを浮かべていた。
これだけなら別に問題ないだろう。
彼女が下着姿で僕の腹の上に跨っていなければ。
女性らしい体をこれでもかと強調している下着をみただけで、僕の顔は真っ赤になっているはずだ。
確か彼女は鉄血クラスのプリンツ・オイゲンさんだったはずだ。
「今日は何の日か知っているかしら?」
「え、今日?」
僕の質問へ答えずにオイゲンさんが体を揺らして尋ねてくる。
朝から体を揺らされると少し気分が悪いんだが、答えないと退いてくれそうにない。
「二月十四日……でしたか?」
「そうよ、正解~だから」
箱から何かを指で掬い取って口の周りへ塗る。
口周りがチョコ色に変わった。
「だから、御褒美にチョコをあげるわぁ」
「あ、ちょっと、待って」
「いーや」
笑顔を浮かべながら両手を頭上で抑え込まれてしまう。
暴れようにも逃走手段がない。
このまま唇を奪われてしまうのだろうか。
「何をなさっているのですか?プリンツ・オイゲン様」
救いの手……じゃない。
「あら、メイドじゃない」
「何をなさっているのかと尋ねたのですが?」
「今日はバレンタインデーよ?私のチョコをあげるの。同時にハジメテをもらうつもりで」
「させませんよ?」
ニコリと笑みを浮かべながら乱入者、ベルファストさんがモップを構える。
いつの間にか僕のことをご主人様と言いだして、毎日のように家へやってきて家事全般をしようとしてくる。
何度、断わっても引いてくれることがない。
最早、諦めているのだが、こういうところで助けてくれるのは嬉しい。
モップでオイゲンさんを追い出すつもりなのだろうか?
「あのぉ、バトルをするようでしたら、部屋の外で」
僕の話を聞かずに二人の戦闘が始まった。
部屋はぐちゃぐちゃになった。
「はぁ、帰ったら憂鬱だなぁ」
隙を見て用意しておいた制服に着替えて逃げる様に部屋を飛び出した。
正直、戻ってきた時のことを考えると憂鬱になるけれど、仕方ない。
「どうして、こうなったかなぁ」
平々凡々代表の僕がアズールレーン学園で美女、美少女に囲まれているのか、本当に謎だ。
「おっはよう!零!」
独りになる時間が欲しい。
そう思っていたところで、後ろから肩を叩かれる。
「あ、クリーブランドさん」
ニコニコと金髪をサイドテールにして、太陽のように輝く笑顔を向けてくる美少女。
彼女の名前はクリーブランドさん、クラスメイトで人気者。
バスケ部で誰とでも仲良くなれる人、ただし、男勝りなところがあるから女子たちから「兄貴」と慕われている。
後、アイドルでバンドもしているらしい。
僕が彼女と会話をすること自体、信じられないくらい、高嶺の花だと思う。
「あ、おはよう」
「元気ないなぁ、どうしたの?」
「いや、その、大丈夫だよ、うん」
「駄目だぞ!朝は大事なはじまりなんだから元気だしていかないと!」
「クリーブランドさんは元気だね」
「当然だよ!それで、朝から元気がないなんてどうしたの?」
「いや、そのぉ」
「話せばすっきりするよ!それに」
もじもじと手を動かしながら彼女は僕を見上げてくる。
「こ、恋人なんだしさぁ」
「……えっとぉ、」
小さくて聞き取れなかったけど、答えたらまずい気がする。
一瞬の動きを止めた隙にイヤホンを耳にはめ込んで歩きだそうとした。
「おい、姉貴を無視しようとするな」
去ろうとしたところで回り込むようにクリーブランドの妹であるモントピリアさんが回り込む。
僕は彼女が苦手だ。
モントピリアさんは姉であるクリーブランドさんが大好きなんだけど、僕のことを酷く敵視していて、前にボコボコにされたことがあった。
苦手意識が強い。
「聞こえていないのか」
「す、すいません」
「ん?」
モントピリアさんに気付いたのかクリーブランドさんがこっちへやってくる。
「そういえば、零!今日が何の日か」
「失礼します!」
嫌な予感がして振り返ることなく学園へ逃げることにした。
「姉貴から逃げた……後でお仕置きだな」
「勝負は放課後!待っていろよ!零!」
ぞっとするほどの冷たい瞳のモントピリアさんとクリーブランドさんが握り拳を作っていたことに僕は気づかなかった。
校門を潜り抜けてアズールレーン学園へ入る。
早朝ということで人の姿は少ない。
せいぜい、グラウンドで一人歌っているサンディエゴさんがいるくらいだ。
下駄箱の中を見ると。
「ウソぉ」
収まりきらないくらいに詰まっているチョコの山がある。
バレンタインデーということはわかるけれど、早朝からこんなにたくさん、あるってどうなんだろう。
「まぁ、このままじゃ、ダメだよなぁ」
ため息を吐きながら靴箱から一つずつ、ラッピングされている箱を取り出す。
「エコバッグ持ってきておいてよかった」
鞄の中から取り出して、一つ、二つとチョコを入れていく。
それにしても、バレンタインデーだからって、こんなにもらえるようなものなのだろうか?
中学生時代はもらえなかったんだけどなぁ。
エコバッグに入れ終えてそのまま教室へ向かおうとした時。
「おや、こんなところにいましたか」
「神通先輩?」
扇子で口元を隠しながら狐耳を揺らしながらやってくるのは一つ上の学年の重桜出身の神通先輩だ。
「チョコですか」
「あぁ、今日はバレンタインデーのようでして」
「人気者ですね」
「多分、ほとんどがお礼とか、そんなものです。もしくはホワイトデーか、悪戯か何かですよ」
扇子で口元を隠したまま、神通さんがこちらへ顔を近づけてくる。
「神通さん?」
「人気者ですが、そのチョコはロイヤルやユニオン、鉄血ばかり、重桜が少ないことに疑問を抱きませんか?」
「え、あ、そういえば……そうですね。えっと、何で?」
「何故かと思います?」
笑みを浮かべる神通さんに嫌な予感を感じながら後ろへ下がろうとする。
けれど、回り込むように神通さんが後ろから抱きしめてきた。
「より、貴方にチョコを刻み込むためにですよ」
「え?」
「楽しみにしていてください。重桜のチョコは他のクラスより重たく、気持ちがこもっていますよ?」
ニコリと微笑みながら神通さんが口の中に何かを放り込む。
「これは、クッキー?」
「ハッピーバレンタインというものです」
にこりとほほ笑みながら神通さんが僕の頬に触れる。
「では、私はこれで」
にこりとほほ笑みながら神通さんが去っていった。
残された僕は口の中に広がるクッキーの味をしばらく噛みしめる。
教室に入ると生徒の姿はない。
この時間帯なら自分の趣味に没頭できると思う。
タブレットを取り出してイヤホンを耳へはめ込む。
選択して表示されるのは大好きな『スター・ウォーズ』の映画。
その中でもなぜか、思い入れのあるアナキン・スカイウォーカーのストーリーをみていく。
初めて見た時から何故か思い入れのあるスター・ウォーズの映画。
短い時間だけれど、みているだけで不思議と心がわくわくするのだ。
「何をしているんですか?」
「うわっ!?」
イヤホンを外されて思いっきり大きな声で尋ねられて椅子から体が少しだけ浮き上がる。
「じゃ、ジャベリンさんか」
「おはようございます!零君!」
クラスメイトのジャベリンさん。
誰に対しても笑顔で接して、料理もできる人気者の女の子。
クラスの男子達も密かに狙っているらしい。
まぁ、僕に無縁の話でとにかく会話をすぐに終わらせよう。
「おはようございます。何か、用事?」
「えへへ!お昼休み、時間あります?」
「えっと、ごめん、食事の約束が」
ウソである。
昼休みは決まってジャベリンさんはクラスメイトのニーミさん、ラフィーさん、綾波さん達と仲よく食事をしていた。
昼休みということでおそらく彼女だけじゃない、他の三人もいる可能性がある。
「えへへ、ウソは駄目ですよ!」
「う、ウソ?」
笑顔を浮かべながらもなぜか瞳は光を灯っていない。
後ろへ下がろうとしたが椅子を掴まれていて、物凄い近くに彼女の顔がある。
「そんなことは、ほら、僕だって」
「いませんよね?」
表情を変えずにジャベリンは遮る。
「知っていますよ?零君は普段、一人で寂しく食べていること、あ、あ、別に悪口じゃないですよ?ただ、ジャベリンは心配なんです。いつも一人で、寂しいじゃないですか、偶には、はい、こういう素敵な日には可愛い女の子たちと一緒に食事をするのはアリじゃないですかぁ?」
「そんなこと」
「えへへ、ウソは駄目ですよぉ、ジャベリンはお見通しです」
「ひぃっ!」
ぺろりと舌で耳元を舐められる。
小さな笑みを浮かべながらジャベリンさんが離れた。
「お願いです。今日はお昼、一緒に食べましょう?」
「……わ、わかった」
これ以上、拒絶すれば何が起こるかわからない。
最悪、前みたいに……。
ブルリと体が震えだしたからブンブンと無言で頷く。
「ありがとうございます!じゃあ、お昼に!」
ジャベリンさんはそういうと離れていく。
残された僕は呼吸を整えながら映画へ意識を向けようとした。
暗黒面へ堕ちたアナキン・スカイウォーカーがジェダイ聖堂を襲撃するという場面になっている。
おぉう、何か不吉な暗示か?
何とも言えない表情を浮かべつつ、俺は映像へ意識を向けることにした。
その時、ジャベリンさんが笑顔で携帯端末を操作していることに気付いていれば、あんな未来は阻止できたかもしれない。
HRや授業を終えて、問題の昼休み。
生徒達はバレンタインデーの件でとてもそわそわしている。
その中、僕は捕まる前に教室の外へ退避しようとした。
「確保」
外に出ようとしたところで腕を掴まれる。
横へ視線を向けると着崩した制服で眠たそうな表情でこちらをみている少女がいた。
「ら、ラフィーさん」
「逃がさない。ラフィー達と一緒」
「えっと……僕は」
「あぁ!ラフィーちゃん!見つけた!」
「ここにいたんですか、おや、零を捕まえていたのですね」
「では、お昼に行くのです」
あれよこれという間に綾波さん、ジャベリンさん、ニーミさんに包囲されてしまう。
「いこ」
にこりと小さな笑みを浮かべるラフィーさんに手を引かれて僕は中庭へ連行される。
中庭はどういうわけか人の気配がない。
逃げられないようラフィーさんに腕を掴まれている間に、三人でシートが敷かれて弁当箱が用意されている。
「これは没収です!」
「え、あ!」
隙を突かれて昼として用意していたゼリー飲料と菓子パンをニーミさんから没収されてしまう。
「ここへ座る」
いつの間にか僕を中心として包囲網のようなものが構成されてしまう。
逃げる暇もないまま、お昼がスタートした。
「あの、僕の昼は」
「じゃじゃーん!用意しましたよ!」
可愛い動物がプリントされた弁当箱を開いておいしそうなご飯とおかず。
見ているだけでお腹が鳴る。
「体は正直ですね。はい、食べましょう」
「えっと、箸は」
「あーんです」
綾波さんが箸を片手におかずを差し出してくる。
「あの、自分で」
「あーん、です!」
赤い瞳を細めてこちらをみてくる。
それだけで体が震えそうになった。
大人しく食べる。
「はい、次はこちらですよ」
ニーミさんが差し出してくる。
これで拒否すれば、僕の命はない。
足もとにナイフが置かれているのを目撃した僕は大人しく食べることにした。
「はい、あーん!」
「次はラフィー、あーんして」
不思議とご飯などの味を全く感じないまま、弁当箱は空になる。
「じゃあ、僕はこれにて」
「え?何を言っているんですか」
立ち上がろうとした僕の腕をジャベリンさんが掴む。
え、まだ、何かあるの?
包囲していた四人は一列に並ぶと手の中にある小さな箱をそれぞれ差し出してくる。
「ハッピーバレンタインです!」
「バレンタインですよ」
「ラフィー、頑張った」
「食べてください」
四人から差し出されるバレンタインのチョコレート。
ここで拒否するほど、僕は愚かものではない。
「えっと、いただきます」
「ここで」
箱を手に入れてそのまま帰ろうとしたところでラフィーさんに腕を掴まれる。
「え?」
「ここで、食べて」
「え、でも、お腹いっぱいで」
「じゃあ、綾波が食べさせてあげます」
「へ?」
事態を理解する暇もないまま、綾波さんにシートの上に押し倒されてしまう。
「あの、何を」
「綾波が食べさせてあげます」
「綾波ちゃん!名案だよ!」
「えっと、恥ずかしいですが、食べてもらうためです」
「ラフィー、やる気十分」
逃げる暇もないまま、箱からチョコを取り出して綾波さんは口の中に放り込むとそのままキスをしてくる。
手足をじたばたして抵抗を試みるもジャベリンさんやニーミさん達に抑え込まれてしまう。
「じゅる、ちゅっ、ちゅっ、じゅ」
口内を綾波さんの舌が蹂躙していく。
甘いチョコの味が広がっていくけれど、同時に奇妙な感覚に体が包まれていく。
「次、ラフィー」
綾波さんが離れると入れ替わるようにしてラフィーさんがチョコを口に含んでキスをしてくる。
けれど。
「む!」
これ、ウィスキーボンボンではないだろうか?
口の中に広がる苦みに顔をしかめてしまう。
「ラフィー、むらむらする」
これは、ヤバイ!
ラフィーさんが離れた隙をついて蛇みたいにするすると脱走する。
「あ、逃げた!」
「待ってください!まだ、私とニーミちゃんの分がありますよ!」
後ろから聞こえる声に振り返ってはいけない。
振り返ったら最後、後戻りはできない!
そんな気持ちで逃走する。
逃走という選択によって休み時間ギリギリまで逃走することで助かった。
教室で涙目のニーミさんとジャベリンさんに後ろから重圧的な視線を感じたことで授業は全く集中できなかったけれど。
それにしても、少しフラフラして、気分が悪いなぁ。
この話のキャラクター設定は
-
必要
-
不要
-
もっとヤンデレを増やせ、本編はよ