転生者だけど、前世の記憶を喪失している上にジェダイの騎士で指揮官になっています(白目) 作:断空我
今回はクローンやフネが少し出てきます。
次回更新は明後日を予定。
――エリアX
それはアズールレーンが結成されたと同時にジェダイの騎士の一人であるマスター・サイフォ=ディアスがジェダイ評議会に秘密裏で作り出したクローン製造施設である。
クローン兵士はセイレーンを最初に撃退したと言われる賞金稼ぎジャンゴ・フェットの遺伝子を基にして製造されていた。
既にかなりの数のクローンが戦場で活動している。
クローン製造施設のすぐ隣では兵士としての訓練を積むべく多くの兵士見習いのクローンが戦場へ出るための訓練を受けていた。
クローンたちの訓練を指導するのはアズールレーンのフネである。
「遅い!貴方達の動きなら後五分は短縮できます!」
教鞭を片手に失跡するのは小柄なフネ。
緑色の髪にメガネ、小さな姿を見れば少女と間違えるだろう。しかし、彼女はれっきとしたフネである。
ユニオン最初の空母、ラングレーは鞭を振るいながら指示を出す。
「オラオラ、ちんたらしていると撃ち落とすぞ!」
また別のところでは鉄血の駆逐艦Z1ことレーベがペイント弾を装填された艤装を片手にクローン・トルーパー候補生たちへ砲撃を行う。
そんな彼らの様子を離れたところで眺めているのは重桜の戦艦であり軍師ともいわれる天城、そしてロイヤルのオールド・レディと言われるウォースパイトだった。
「あまり、よくありませんね」
「彼らのことね?」
「えぇ」
扇子で口元を隠しながら成績の悪い小隊のことを天城とウォースパイトは話し合う。
多くのクローンは小隊、中隊、大隊で行動する。ほとんどがクローンによる編成だが、状況によってはフネと行動することもあり、多種多様の状況へ対応できなければならない。
今回は小隊で様々な訓練を積ませていた。
その中で一番、成績の悪い小隊を天城とウォースパイトが気にしていた。
「くそっ、これで何敗目だ?」
クローンの一人ファイブスが悪態をつきながらヘルメットを外す。
「さぁね、数える事すら忘れたよ」
呆れたように答えるのは相棒のような関係のエコーだ。
カタップやドロイドベイトも言葉を発しないが気持ちは同じようだ。
「くそっ、俺は諦めないぞ。必ず勝ってアークトルーパーになる!」
ヘヴィの言葉に仲間は何も言わない。
いつものやりとりということで何も言わないだけである。
「なぁ、教官たち、やけにそわそわしていないか?」
「そういえば、そうだな」
「何だ、知らないのか?今日はこの施設へジェダイが視察へ来るらしいぞ」
エコーの言葉に全員の視線が集まる。
「……ジェダイか、俺達も兵士になればジェダイと共に戦うことになるんだよな」
「噂によればジェダイ一人がいるだけで戦況は大きく変わるって話だ」
「そんな強い人たちと共に戦えるというのは素晴らしいことだ」
「まずはここの卒業だけどな。今のままじゃ、俺達は清掃員になる可能性だってある」
カタップの言葉に全員が沈黙した。
その傍を清掃係の99号が通り過ぎる。
エリアXのゲートに一隻の輸送船が到着する。
周辺をトルーパーが警戒している中でタラップを降りてくるのは二人。
二人とも茶色のコートを纏い、フードで素顔を隠している。
長身の人物ともう一人は小柄でフードの頭部辺りに角らしきものが伸びていた。
「ここがエリアXなのです?」
「そう、クローンたちの生まれたところであり、兵士となるための訓練を積むところだ」
小さな人物の問いかけにもう一人が頷く。
「ここへどうして?」
「新しい部隊のメンバー勧誘だ。歴戦の兵士もいいが、こういう新人のところで掘り出し物を見つけたいと思ってね」
「育成ゲームなら頑張れるです」
「ハハッ、さぁ、行こう」
二人は正面ゲートの前に立つ。
正面の守衛をしているトルーパーへ身分証明を提示する。
「お待ちしておりました!ゼロ将軍!」
「やめてくれ、将軍と呼ばれるのは好きじゃない」
「事実なのです。将軍なのです」
「はいはい」
戸惑うトルーパーへ大丈夫と伝えてゼロともう一人は正面ゲートを潜り抜ける。
「お待ちしておりました。ゼロ将軍」
「天城さん、久しぶりです」
「さん付けなど、私と貴方の仲です。天城と呼んでいただいて構いませんよ」
にこりとほほ笑みながらゼロの手を握る天城。
ちらりと後ろを見ると長い尾がパタパタと揺れている。
「おや、そちらの方は?」
「あぁ、彼女は」
「マスタージェダイ!」
「うん?」
説明をしようとしたところで呼ばれて振り返る。
二人のトルーパー候補がやってきていた。
「あなた達、何を」
「お願いがあります!」
トルーパー候補生、ファイブスとエコーの直訴にゼロは続きを促す。
「俺達を別のチームへ編成替えを希望します」
「チーム編成?」
「彼らは他の三人のトルーパー候補生とチームを組んでいます、ですが……成績は芳しくありません」
「そうか、今のチームじゃ成績があがれないから編成を希望するという事かい?」
「はい!」
「……そうか、わかった検討してもいい」
「本当ですか!?」
「ただし!」
喜ぶファイブスとエコーへゼロは指を一本、みせる。
「ここにいる彼女と戦って勝利すれば、という条件付きだ」
「え?」
「彼女?」
戸惑う二人にフードを被っていた人物が前に出る。
「俺のパートナー、“綾波”に勝てればな」
訓練場。
本来ならフラッグ戦と呼ばれるチーム同士の争いなどで使われる場所。
そこに訓練用の装備を纏ったファイブスとエコー、フードで素顔を隠している綾波が対峙していた。
「ゼロは酷いのです。綾波をこき使うなど」
「まぁまぁ、何事も体験だから」
「むぅ」
不機嫌な声を出しながら綾波はフードを取る。
フードの中から現れたのは美少女、クリーム色の髪に朱色の瞳。
頭部には白と赤の角を連想させるパーツが装着されている。
髪をポニーテールにした少女は綾波。
重桜のフネである。
戸惑う二人の前で身の丈ほどありそうな大剣を握り締めた。
「綾波といいます」
名乗ったことで二人は余計に戸惑ってしまった。
同時に開始のブザーが鳴る。
「いく、です」
開始と同時に信じられない速度で綾波が二人の間合いへ入り込む。
「はぁ!?」
「ウソだろ!」
突然の事態に動揺しながらも兵士候補、彼らは各々の武装を構えようとした。
しかし。
「判断が遅すぎるな」
綾波の振るわれた一撃によって二人は後ろへ吹き飛ばされる。
衝撃で倒れなかったのが救いだろう。
二人はペイント弾が装填されているライフルを撃つ。
綾波は横へ跳びながらペイント弾を回避する。
標的を失ったペイント弾は地面や壁にぶつかって色をまき散らす。
「くそっ、何で当たらないんだ!」
「エコー!あっちを狙え!」
焦るエコーに対してファイブスが指示を飛ばす。
「むむっ」
エコーの射撃を綾波は所持していた大剣で防ぐ。
ペイント弾で刃が汚れるがその程度であり、綾波の移動を少し遅らせてしまう。
「だが!」
ファイブスが綾波へ狙撃する。
狙いは胴体。
今の状態なら避けられないだろう。
そう考えた上の行動だった。
「甘い、です」
「な!?」
「ウソ、だろ!?」
上半身を大きく後ろへ反らすことで標的を失ったペイント弾が壁に直撃する。
「なんて柔らかい体だよ!」
直撃を確信したファイブスが悪態をついた。
「こちらの、番です」
綾波が駆け出す。
二人は迎撃を試みるが綾波はぴょんぴょんとウサギのように跳ねながら弾丸を回避する。
「味わうがいい!」
綾波の振るった剣の一撃がそれぞれファイブスの胸部とエコーの肩部へ直撃した。
二人の敗北が決定した瞬間だった。
「最悪だな!」
勝敗が決まったタイミングでZ1が声を荒げる。
小柄な彼女がどうやって出しているのかわからないくらいの大きな声に二人は直立した。
「戦場だったらお前達はそろいもそろって戦死だ!わかるか?死亡!何も残せずにお前達は海の藻屑になってしまうということだ!」
Z1の言葉に二人は言葉を発せない。
悔しいという気持ちはある、それ以上にZ1の言葉が事実で反論することができないのだ。
「レーベ、そこまででいいよ」
やんわりとゼロがZ1を止める。
「二人とも、確か、エコーとファイブスだったな」
「はい、将軍!」
「どうして敗北したか、そして、キミ達に何が足りなかったのか」
「「え?」」
「俺が出す課題だ。数日はここにいるから次回の演習で答えを聞かせてくれると嬉しいな」
にこりとほほ笑みながらゼロは歩き出す。
「待ってください」
少し遅れて綾波が後を追いかけて去っていく。
残された二人は佇んでいた。
「随分とスパルタですわね」
ぴったりと寄り添うようにしながら天城が俺に言ってくる。
「そうかな?ジェダイの修行に比べればまだまだよ」
「おや、兵士の卵に過激なものはよくありません」
天城の言葉に俺は肩をすくめる。
「ところで、近くない?」
「そのようなことはありません、これは適切な距離――」
「そこまでよ!天城!」
ブン!と剣を振り下ろすウォースパイト。
天城はひらりと刃を躱した。
「久しぶりね!ゼロ!会いたかったわ!せっかくだし、二人っきりでお茶でもしないかしら?」
「ありがとう、ウォースパイト、今は気持ちだけ受け取っておくよ。長旅で少し疲れているしね……ところで、今の一撃、気をつけないと天城に直撃が」
「あら、残念!でも、明日は付き合ってもらうわよ!話によればしばらくはいるんでしょう?女狐は断罪される世の常よ」
物騒な発言に首を突っ込んではいけない。
言えば最後、戦争が勃発する。
「あ、あぁ、例の部隊の編制の関係でね」
「噂では混成部隊ということでしたか?」
天城の質問に俺は頷く。
「四大陣営とクローン・トルーパーの混成部隊、実現するとは思わなかったわ」
信じられないという表情でウォースパイトが告げる。
セイレーン撃退の為に結成された軍事連合アズールレーン。
アズールレーンはユニオン、ロイヤル、重桜、鉄血の陣営のフネが集まり戦っている。
戦っているが実際のところ各陣営同士の行動が多い。
合同作戦等でいくつかの陣営が集うことはある。しかし、俺が立ち上げることになった部隊はクローン・トルーパーを交えた各陣営からフネを募り作戦を行動していく。
そのための部隊メンバーを探すべくここにやってきたのだが。
「前途多難だよ」
「それなら、この天城が」
「抜け駆けは許さないわよ!オールド・レディであるウォースパイトこそが」
目の前でバチバチと火花を散らす二人。
これなんだよなぁ。
俺がフネと話をしようとするとこういう風に争いが勃発する。
何でだろうなぁ?
首をかしげているとくいくいと袖を引っ張られる。
「綾波、どうした?」
「疲れたので部屋に行くのです」
「ン、そうだな」
綾波に手を引かれてエリアXの来客エリアへ向かうことにした。
しかし、この二人を放っておいていいのだろうか?
「無駄な争いは放置しておく方がいいのです…………邪魔者は勝手につぶしあえばいいのです」
「なんだって?」
後半がぶつぶつといって聞き取れない。
まぁ、大したことではないだろう、よくあることだし。
そう思いながら綾波と一緒に用意されている部屋へ向かう。
「おや」
入ろうとしたところで掃除道具を持った老人と出会う。
「99号、久しぶりです」
顔が半分ほど潰れているような形をしているがれっきとしたクローン。
クローン・トルーパーになれなかった奇形クローン。
今は掃除要員としてこの基地で働いている。
「おぉ、久しぶりだな、ゼロ!おっと、今は将軍でしたな」
「やめてくれ、俺に色々なことを教えてくれたアンタに敬語で言われると体がムズムズする」
「ハッハッハッ、こうして会えることをうれしく思うよ」
二人は握手をする。
「そうだな」
「ゼロの知り合いなのです?」
傍に控えていた綾波が俺に尋ねてくる。
「クローンの99号、ここの清掃員だ」
「はじめまして、お嬢ちゃん」
「綾波です。よろしくです」
99号と握手をする綾波。
にこりとほほ笑みながら掃除用具を持っていく。
「また、落ち着いたところで酒でも飲もう」
「えぇ、楽しみにしているよ!」
99号の姿がみえなくなるまでゼロは手を振り続ける。
「嬉しそうなのです」
「え?」
「綾波と話しているいつも以上に嬉しそうなのです」
「まぁ、悪いけど、久しぶりに友と再会したからね」
綾波に俺は答える。
相棒として関係を築いている彼女だが、99号は俺の人生に影響を与えてくれた相手だ。
「中で話そうか」
綾波と一緒に室内へ入る。
そういえば、綾波と同室なのだが、問題にならないだろうか?
疑問に思いながら一緒に部屋の中に入る。
「どうすればいい」
ヘヴィはロッカーの並ぶ部屋で自問する。
今回の訓練の成績も最下位。
このままクローンとして成績が悪ければ、99号のような清掃員の道しかない。
思考が渦巻いてよくない方へ向かおうとしていた時。
「隣、よろしいかな?」
横から声をかけられてヘヴィは顔を上げる。
にこりとほほ笑むゼロがいた。
本当なら綾波との出会い編を書く予定でしたがすっとばして、綾波と相棒になってからの話になります。
天城
重桜のフネ、軍師として優秀だが、体が弱いため最前線には参加できない。ゼロに対しては隙あらば一日中いちゃいちゃかつ食いたいという本能を隠している。二人っきりになれば……。
ウォースパイト
ロイヤルのフネ、オールド・レディと言われていて、普段はロイヤルの女王と共に行動しているが今回は指導係の立場を引き受けていたため、エリアXにいる。いつかはゼロをロイヤルに引き込もうと考えている。
ラングレー
ユニオン最初の空母、教官として優秀だがクローンたちからは恐れられている。頭を踏まれたクローンもいるとか、いないとか?今回は出番少な目だが、次回はあるかも?
Z1
鉄血の空母、小さいけれどある(意味深)。次回、色々とやらかす予定、指揮官をイブにならないかと勧誘してくる。
クローンについては次回くらいで説明。
番外編 どの陣営がいい?
-
ロイヤル(ベルファスト)
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ユニオン(ヨークタウン)
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鉄血(アドミラル・グラーフ・シュペー)
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重桜(加賀or長門)
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その他