「……フルフル、ですか?」
「あぁ」
あるクエストのため雪山へ行くとことなった前日、私は先輩に呼び出された。
「知っての通り最近はその話で持ち切りだろう? リンも知ってはいるだろうが一応な」
「まぁ知ってますけど……ここ1ヶ月はその話を耳にしてますし。楽しみの情報誌だって毎月それですし……」
『雪山のモンスターの減少! フルフルの奇妙な行動との関連性は!?』
先輩の部屋の本棚から今月の情報誌を勝手に取りページを開く。1ページ目からその見出しが大きく書かれており、専門家やらなんやらの意見が載っていた。先輩が私を呼んだ理由は“これ”についてだろう。
2、3ヶ月前から起きている雪山の異常。
原因は不明、突如として雪山からモンスターの数が極端に減ったという出来事。その代わりと言うのも変だがフルフルが雪山各地で見られるようになった。そしてそのフルフルも奇妙な行動をとっている。
各エリアに頻繁に出現し周囲を見渡しては飛びさり、また別エリアで見かけたと思えば周囲を見渡して飛び立つ。そんな行動を繰り返しているという。
……まぁ、あれに“見”渡しと使うのが正しいのかは分からないが。
「前の定期調査で俺も見かけたが別に襲ってくる様子でもなかったから大丈夫だと思うが、この世界何があるか分からないからな」
先輩が口にした定期調査というのはこの村で腕のあるハンターが交代制で雪山を調査するというものだ。その時その時の様子を村に帰ったら記録に残し次の人に回す、その繰り返し。
「でも特に変化がないですよね。言葉は違えどみんな似たようなことを書いてますし……。あ、ひょっとして面倒だった──あたっ!」
私は予め渡されておいた記録を眺める。その最中思ったことを口に出してしまい先輩から頭を叩かれてしまう。
「アホか。そんなことするわけねぇだろ」
「いてて……。もう! 冗談に決まってるじゃないですかー!」
「俺は昔からお前の冗談がどこまで冗談なのか見分けれないからな」
口ではそう言いながらも全て知ってるかのように微笑む。
これは先輩が昔からする表情。何度も何度も見てきた表情。だけど、私は慣れていない顔。
「ふ、ふん! 明日には先輩や村のみんなが驚くようなことを持って帰って来ますからね!」
帰り際にそんな捨て台詞言い放つ。
扉を閉め終わる最後に見えた先輩の表情はやっぱり私が慣れていない表情だった。
そして翌日。天気は晴れ、絶好の散歩日和となった。
「(散歩しに来たわけじゃないけど)」
支給品箱から地図やアイテムを取り出しながら自分にツッコミを入れた。1人で若干悲しくもあるが、地図を見つつドリンクを飲みながらいつものルートで回ることを考える。
「(1、2、7、8、6、5、3、4……うん、行こう)」
身体が芯から温まったことを実感しつつ私は静けさに包まれた山に足を踏み入れた。
行動を開始してすぐに思ったのは前来た時よりも音が聞こえないということ。聞こえるのは少し強い風と私が着ている防具の揺れる音だけ。私以外の生き物がこの場に存在していないという事実だった。
草木はそれを主食としてる生物が存在していないからか生い茂ってさえいる。
そして特に変化がないように1、2、7、8と先へ進んで6番へ入ってから少し経った頃だった。
「(! 見つけた……)」
雪と同化してパッと見た感じだと分かりにくいが私の視線の先にフルフルがいた。何かを探すようにキョロキョロしている最中だった。
「(それにしてもあの行動は何だろう? ここにはもうフルフルしかいないようなものなのに)」
記録にあったような行動。そしてこの後は私に気付いたとしても飛び立つ、とそう私は思い込んでいた。
「────!!!!!!」
「な──っ!」
目が合った。
私はその時そう思った。
フルフルは私の方を向くや否や咆哮。そして電撃ブレスを放つ。
「(何で……いや、これが普通なんだけど!)」
幸い距離が離れてたので回避は簡単だった。
てっきり戦闘は無いと思いこんでた思考を逆転させ武器を手に持ち意識を切り替える。
何か行動を起こす前にフルフルに向かいダッシュしすれ違いざまに斬りつける、常に距離を取りつつ地道にダメージを重ねる。それが私のスタイル。
距離が離れると飛び付きか先程のブレスをしようする。近付いたら近付いたで放電。戦う度に思うが姿も相まって面倒なモンスターだ。
「おっと」
繰り返し接近しようとしたら放電が見えたため動きをキャンセルし体勢を整える。そして再び咆哮……なのだが先程と少し違っていた。
「「────!!!!!!」」
「2匹目!?」
記録に載ってない2匹目のフルフルがいつの間にか背後にいたのだ。目の前に集中しすぎて全く気付かなかった私はその2匹の咆哮に挟まれてしまった。
私が怯んでるのを逃すはずなく最初対峙してたフルフルが3方向への拡散ブレスを放つ。辛うじてそれは回避したものの2匹目の飛び付きには対処できずに吹き飛ばされてしまう。
「が──ぁ」
雪の上を転がる。そして壁にぶつかりようやく止まることができた。
「(2匹いるのは知らなかったなぁ……)」
応急薬を口にしながら2匹を視界に捉える。
こんなことになるなら色々持ってくればよかったと遅すぎる後悔をする。
「(でも何で急に攻撃を……。何か理由でもあるの……?)」
ここ2ヶ月の間フルフルはハンターを攻撃してないという。逆にハンターが攻撃するとすぐさまそのエリアを飛び立ってしまう。
そんな情報しかなかったからか完全に油断をしていた。
「………………?」
私が応急薬を飲みつつ考え事をしてる間、何故か棒立ちになっている2匹のフルフル。
「(警戒を解いてる? 敵意が全く感じれない……)」
この隙に場を離脱しよう。全部のエリアは回れてないが村に戻って報告しないと。
武器を戻し5番の方へ移動しようとしたその瞬間だった。
「えっ……な、なに!?」
「────」
謎の浮遊感に襲われたと思ったら身体に何かが巻き付いていた。そしてその何かは私を巻いたまま発光し──。
「────!!!!!!」
「うぐッ……あ、あああぁぁぁぁああああッ!!!!」
身体が痙攣する。意識が遠のいていく。
「あ……ああ、ぅ……」
落下し力が入らない私は雪に倒れ込んだ。
動けない、視界がぼやける、感覚が消える。そして、考えることすら出来なくなる。
「(あぁ……ダメだ……。暗く、な──って──)」
肌寒い。第一に思ったことはそれだった。
「────っ、んんっ……」
意識が戻った、気を失ってた間に何があったのかは分からない。しかし1つだけ分かることがあった。
「(フルフルに連れてこられた……)」
目の前にいる“3匹”のフルフル達がそれを認識させる。
意識を失う前のあの痙攣は3匹目のフルフルの電撃だろう。お得意の音を立てない移動で背後に近付いて首を伸ばし拘束、そして電撃で獲物の動きを完全に止める。といった感じだろう。
今すぐこの場を逃げ出したいが身体がまだ思うように動かない。その上、今の私は不思議なことに纏っていた防具と持っていた武器が手元に無いのだ。なのでインナー姿という無防備極まりない状態だ。
寒いのはインナーで冷たい地面に横になってるからだったのだ。
──今から待つのは“死”のみ。
意識は戻ってもこんな状態だ。もういっそ、楽にしてほしい。それが今の願いだった。
フルフルが近付いて来ると共に目を閉じる。思い出すのは今までのこと……そして、先輩のこと。
ハンターという常に死と隣り合わせに生きている職業に着いた時から死というのを覚悟していたが実際に目の前にすると怖い。そりゃそうだ、生き物は死が怖い。
誰かが死ぬのも怖い。自分だと尚更だ。
口が開く音がする。気味の悪いねっとりとした音。その音は徐々に近付いて来て、私を──。
「──え? な、何を……」
食べることはなく、インナーを器用に破いた。
「────」
勿論だが私の言葉に返答するわけない。
秘部が顕になった私は反射的に両手で隠そうとするも動かない手ではどうしようも出来ず、ただフルフルにさらけ出すしかなかった。
その後私に跨るように上に来て再び止まる。何をしようとしてるのかが全く分からない私はただ行く末を見ていた。
──そう、フルフルがある行動をするまでは。
「(き、気持ち悪……)」
毎回電撃を放つ時に吸盤のように変化する尻尾を私の秘部に擦り付け始めた。ヌルヌルしてる体の一部であるため、妙に滑り刺激される。
「やめ……っ! っんん……!」
なんとも言えない感触にクリトリスが刺激される。敏感な部分を刺激され嫌でも感じてしまう。
「う……ううっ……。ぐす、っ……ぅ……」
様々な感情が入り交じる。
どうしてこんなことをするのか、どうして私を食べないのか。どうして私を。
「やめてよ……もう、やめて……。殺してよ、
「────」
反応は返ってこない。それが更に私の中の感情を膨らませる。
しかし反応は返ってこないが尻尾の動きに変化が、最悪の変化が起きた。
「──っ!? や、やめて……それは、それだけは……!」
尻尾を、先端から秘部に押し付けられる。ぬぷ、ぬぷ……くちゅ、と身体の中に異物が入ってくる。
「やめ……」
進む。私の意思に関係なく。
「ぃ──! いぎッ……ぁ」
奥に、奥に。膜を破き。膣内を拡げ。
「んっ。ぁッ、は……。い、あっあぁ……」
変に動き。膣内から刺激し、声が漏れ。
「抜いてっ、お願い……だか、らァ!」
子宮口に到達した。
「はァ……っ、あ、あっ……。いた、い……」
ズキッ、ズキッと一定間隔で痛みが走る。しかしフルフルは先に進もうとし続ける。
子宮口を押してこじ開ける。
「ぇ……ダメ、っ。それ以上は入らな──」
本能が拒否する。それ以上はいけない、と。だがそれは無意味に終わる。
「ひぃ! ぁああ……入って、っく──ぎィ!?」
お腹の奥に何かが触れたと思うと急に圧迫感が身体全体を内側から襲う。尻尾を小さくして子宮に侵入させ、無理やり拡げたのだろう。
当然その痛みは尋常じゃなかった。ただでさえ身体の小さい私には耐えようもない痛みが身体を襲う。
「い゛っ──!!!! やめ、ッ……ぁが! いだぃ、ィ……い゛い゛い゛ッ!!!!」
痛みに反射しガチガチと歯が震える。目が見開かれ血管の浮き出た体が視界を改めて覆い尽くす。
「ぃ……だァ……ぁ────」
痛みで意識が遠の──くことは無かった。
バチッ……バチッ! バチィ! !
「────ァぁあぁぁあアアあア!?!?」
フルフルは帯電し私の意識を無理矢理繋げた。
「ぁ、ぁ…………」
意識が戻るや否やフルフルの尻尾が膨らみ子宮に何かを流し込まれる。
ごぷっ、ごぽっ……ごぽっ、ごぽ、っ。
お腹が徐々に膨らんでいくのが見えた。そしてフルフルはその何かを全て出し切ったのか尻尾を私から抜いて離れる。
「(あは……。やっと、解放され────)」
お腹の膨らみを感じつつ、私の意識は今度こそ暗闇に落ちていった──。
次に目を覚ます。
わたしは膣内に違和感を感じていた。
「…………な、に……?」
わたしの膣内で何かが動いてる。それは1つじゃなくて、恐らく多くの……。
「出る……なに、か………んんッ」
ちゅぽっ。
白い小さな物が私の身体から飛び出した。それは動いていて、わたしから出るや身体をよじ登ってきていた。
既に動くようになっていた手でそれを掴み顔の前にやる。それを視認した瞬間に、わたしは何か
「フルフル、ベビー……。あはっ、あははははっ」
わたしの膣内で動くものはフルフルベビー。そう、フルフルの幼体だ。
わたしは植え付けられたのだ、卵を。そしてその幼体は植え付けられたものの内側から肉を喰らい、成長する生物。
「い゛ぎッ──は、は……お腹がいだ……ィ……──────」
視界が反転する直前にわたしが見たのは、お腹から飛び出した1匹のフルフルベビーだった。
──次の日、リンが定期調査から帰ってきてないということで調査隊が組まれた。エストを中心とした4人のチームだ。
その調査隊は2つの物を村に持って帰ってきた。
1つはリンが使っていた双剣、雪に埋もれてたのをアイルーが見つけたらしい。そしてもう1つは誰かの腕、エリア3でエストが見つけたものだ。
腕の周辺にはフルフルベビーが多くいたらしく、この腕にも数匹噛み付いていたという。
「リン……リン……っ!」
その出来事以来、この村ではフルフルを狩る時には毎回祈りを捧げるという──。
『雪山からの警告』
先月号まで特集していた雪山の異変は1人の少女の命と引き換えに幕を閉じた。フルフルは結局何をしたかったのか、そして雪山から何故モンスターが減っていたのか、それを今月号では話していこうと思う。
・モンスター減少の理由
これは実に単純なものでハンターが無造作に狩りを行い続ける故にモンスターが危険を感じ生殖行動をとらなくなったため、だという意見がある。
見なくなったモンスター達は住み慣れた雪山を捨て、別の場所へ移動し暮らしていたようだ。
・フルフルの奇妙な行動
ただでさえ謎の多いフルフルの不可解な行動をこの期間で見たハンターは多いのではないだろうか? そう、周囲を何か探すようにキョロキョロとし飛び立つのを繰り返すというものだ。
一部の専門家によるとこれは「卵を植え付ける相手を探していたのではないか?」と言っている。不幸にもそういう結果で幕を閉じているのでその可能性も捨てきれないというのが現状でもある。
・今後の雪山について
このようなことが起きたあとでもあり雪山は侵入制限区域が設けられ、狩猟制限すらも上層から指定された。(下の制限についてを参照)
【制限について】
「雪山の生態系の回復まで決められたエリアでの採取のみを許可する」「狩猟においては1ヶ月は禁止する。モンスター達に妙な刺激を与えないように注意してほしい」
1番最後は何となくその後の雪山について少し触れてみました。
ノリと勢いで書いた作品、モンハンにそこまで詳しくない自分が自己満だけで書いた作品をここまで読んでくれた方には感謝です。
ありがとうございました。