なんだろう。
身体が、おもい。
寝返りすら、うてない……ッ。
まるで重金属が血管に詰まったよう。
くちびるが、
その口も、何かを強制的に咥えさせられているような。
長い髪の毛がジャマだ。顔を動かすたびサラサラと、ほおを撫でる。
――えっ……ウソ!
気が付くと、身体を大の字に、冷たく硬い台の上で拘束されていた。
――ナニ……ナニこれ!
オエッ!と
咥えた棒から延びるベルトが頭の後ろに回り、固定されている感覚があるのだ。
しかもその棒から柔らかいモノが口のなかに伸び、ノド奥まで犯す気配。
身体をゆすると胸が痛い。しかもそれがフルフルと動く、ような。
妙にせまい視界を精いっぱい下までおろせば、ふたつの山。
頂きには、ツン、と尖った乳首が
山のふもとの両脇に、ふとい管が刺さる。
鼻にも、なにか異物の感覚が。
アタマが
一体どうなって――。
うすいエメラルド色に微発光する天井。
そこから、レーザー光が延び、自分を拘束する
電磁マグネットの通電が切れる音がして、手首と足首の抵抗がなくなる。
――
おなじ姿勢を長いこと続けていたのだろう、腕や脚を曲げようとすると、激痛が。
固まった関節をいたわりつつ、うすいクッション状となっている緑のビニールが貼られた長い作業台から、おそるおそるといった風で、彼は上半身をもたげた。
なにはともあれ自分の
耳が隠れるほど長くなった髪がジャマだ。
カツラじゃ?と思ってイライラ引っ張るが、頭皮がグングン痛いだけ。
ようやく留め具をさぐり当てると、寂しい金属音とともに黒いベルトは外れ、下に垂れたそれを使ってゆっくり引きぬこうとするが――できない。
――なによ……これ。
とりあえず安定した姿勢をとろうと完全に上半身を起こしたとき、尻にも猛烈な違和感。まるでゲシュタルト・スーツを着せられたときにハメられるプラグの何倍も長いものが、自分のアヌスどころか直腸の奥まで届いているような気味がある。思わず肛門の括約筋を緊張させたとき――ズクン!
――おごぉぉォォ。
下腹部に甘い
無意識のうちに尻をはげしく前後させ、感覚をむさぼる。
思わず叫んでしまうが、どんなに頑張ってみても声は出ない。
咥えさせられた棒にある穴から、ヒューヒューと息が漏れるだけだった。
――ふんんn……ぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!
覚悟をきめ、
と――自分の口から、肌色をした、信じられないほど長いシリコン素材とみえる筒が、ズルルルルゥゥ……ッ!唾液とともに吐き出される。
歪んだ二叉の男根めくデザインは、気道を塞がないつくりらしい。
――うえぇ……。
二、三度。苦しみながら、えづいて。
ゼーハーと肩で息をしてしばらく苦しんでいたが、ようやく人心地つくと、改めて身をもたげ、自分の姿をチェックする。
手や腕は、テラテラと光る黒いラテックス風味な、うすいピッチリとした長手袋で二の腕まで
黒曜石めく光沢をはなつ、そんな
作りものであれ、の
頂きには、品の良い乳輪と乳首が、かぎりなく自己主張。
処女峰である、うすピンクな乳輪。
けなげに
──(あっ……!)
大きな高まりが自分を包んだかとおもうと、下腹部がキュン……ッ!
甘いような波が押しよせる、自分をもみくちゃにするのを感じる。
──オシッコ漏らしちゃった……。
なんとか始末しなくては。
乳房の脇に刺さった、ふとい
作業台のふちを廻るステンレスな冷たさ。
それを、うすいラテックス越しに太ももの裏で感じながら腰かけた時、はじめて彼は作業台の横に大きな鏡があるのに気づいた。
その大鏡をじっと眺め、彼は
知らない“少女”が――そこにはいた。
耳が隠れるほどのショート・ボブに伸びた黒髪。
長いまつげと、マスカラ。ごく僅かなアイシャドウ。
鼻孔には、なんと家畜めくクロームの“鼻輪”が下がって。
それが触れる、真紅に染められたグロスの照りを
うすい長手袋をはめられた黒い指でこわごわ触るが――まちがいない、自分の
赤地に黒の首輪には、何かの番号とコードが彫られたチャーム。
そして首輪を起点にして、革のハーネースが、リングを介し、起伏の幼い上半身を、ヒシ形に交差しつつ、
鏡の中の少女が、そんな胸をカテーテルに注意しつつ、両わきからソッと持ち上げると、情けなくも
次いでその顔が、ハッ、何かに気づいたように。
与えられてしまった
オズオズと鏡を向いたまま“彼”は肢体をまさぐった。
大鏡のなかの“少女”が彼の方を見つつ、
――あぁ……。
“少女” の
長いまつげを震わせ、黒い瞳が閉じられた。
うすくチークが刷かれた
やがて、それは
――なんで……なんで。
ハーネースが
そこに見慣れた『
あくまでムッチリとした感触のなかにツルンとした造形。
こんもりとした二つの肉丘と――二つの襞。
――そんな……そんなのって。
もう一度。
確認のため、さらに中指を細い
右手の中指を動かしつつ、左手は哀しい本能にあやつられ、
――ダメ……っ!
半ば
女の哀しさに。
そして気持ちよさに誘われるように。
無意識のうちに、『成美』は愛撫を再開する。
さりげなく左手が己の乳房をソフトに、感触を確かめるように
オズオズと反対側の中指も、ふたたび “おまた” をいじろうと股間に吸い寄せられて。
ツルツルとした人形のような股間に
彼の指は硬くシコった“
ビクン、という今までに無い身体の震え。
その刺激の激しさに『成美』は驚く。
体を激しく|戦かせたとき、カテーテルに強く触れてしまい――痛い。
細い眉をしかめ、管の元を目線でたどってゆくと、薬液パックをいくつもブラさげた点滴棒があった。
・【ヨガールアナル点滴静注液5mg】
・【マゾニナールA・静注タイプ洗脳液】
・【豊胸/豊尻用・浸透型エストロゲン剤:パイジリデカン】
どこかで見たようなクスリの名前。
なにか不吉な印象と、汚らわしい心持ちも、
――(どこで見たのか
蝶番がきしみ、カツカツとヒールの足音。
その背後から複数の気配が、ズカズカと入ってくると、
「あぁ、ホラ。やっぱり起きてた――さ、
感染症を防止するためだろうか。
全頭式のガスマスクをつけた女の声が、同じマスクをつけたガタイのいい背後の二人に命令する。伝声管から洩れ出た声が無機質に、
「もう時間、ないんだから」
どこかで似たような台詞を聞いたような――と思う。
そばで、彼は男の一人が、彼自身の”秘所”となった部分に喰い込んでいたハーネースのロックを解き、下腹部にガッチリと食い込んでいたブーメラン状の皮革ショーツを脱がせる。
ぬろろろろぉぉぉ……ッ!
バラの香りがするローションとともに、彼の尻から驚くほど長いディルドーが引き抜かれる。
――あハァぁぁ……ッ!
抜き出された恐るべき長さの凶悪なディルドー。
あんなモノが自分のなかに入ってたなんて!と『成美』は怖ぞけをふるうが、当の性具は“まだまだ犯し足りないぜ”とでも言うように、施術台の上でイボつきの胴体を無念にクネらせる。
「さぁて この次は、コレよ?」
それにかわって、内側に3本の突起――太い
さすがに『成美』は恥ずかしさのあまり、作業台のうえであとずさりし、
「イヤ!――やめて!」
そう言ってから、彼は自分の台詞と、なにより声の変わりように
ガスマスクの女は、それに気づいたのかフフッ、短く笑い、両側から抑えられた少女の胸わきに刺さるカテーテル・シャントを、
「──女体化
紅い血が流れ、すぐさま止血処置された。
女の手が、邪険にハーネースをズラすと彼の恥丘を確認する。
そこには何かの文様が、惨たらしくもクッキリと刻まれ、自己主張している。
「
――焼印……。
そこで『成美』はハッと気付かされる。
そうだ!思い出した。
自分はあの楽器のケースに入れられ、雑踏の中をアヌスをヌラヌラと、あの忌まわしいギア仕掛けのディルドォで犯されながら運ばれたのではなかったか。
そして――思い出すも憎い“
『成美』は自らの股間を見る。
そこには肉の盛り上がりとなった、紋章めくヤケドの痕が。
力なく自分の身体を確認する彼に向かって、この女は冷たく宣告するように、
「いきなり身体をメス化すると、
いままで自分は何をしていたのだろう、と『成美』はおもう。
強烈なトルクを発生させるエンジンの印象。
銀河鉄道のように夜を疾走するイマージュ。
豪勢なマンション。貧富の差。人の恨み。
シャンパン――毒。
なにか淡い夢のような印象の連なり。
――あれが夢……これが現実?。
「
「女の子……」
言われても、いまひとつピンとこない。
すべての記憶が幾重にも重なり合い、おぼろな輪郭しか浮かばないのだ。
「あらあら。おクスリ効きすぎたかしら。あれからアナタはずっと眠り続けて、脳教導と一緒に女体化手術を受けていたのよ?ようやく変化にもなれて、意識を覚ましても大丈夫だと判断したから、こうして現実を知らせてあげるんじゃないの。しっかりなさい」
「女体化……手術?」
「そうよ?
「声が……」
きれいなトーンの
『成美』がとまどう気配を聞き、アハハと女が全頭マスクの中で笑うと、あたりまえでしょ?と一蹴する。
「お似合いの声に、してあげたもの――さ、早く。内覧会まで時間ないわ」
後半は、うって代わってもとの冷たい声で男たちに命令する。
「まって!あの、あの」
「はァ?まだナニか?」
“女の子初心者”は、蒸れた下半身の圧迫に気付いて焦る。
「あの……お、オシッコ……」
「チッ!これからハメる調教用
「ダメぇっ――でちゃうぅぅ!」
チッ!とするどい舌打ちの気配。
「このメス餓鬼……しかたないわね。アレ、持ってきて」
男の片方が命令を聞いて出て行く。
そのあいだに、残った片方が、“少女”の腕を背中がわで強引に合わせる。手枷と、そして
「うんッ!……ウンッ!……うん……ッ!……あはぁ……っ♪」
ハト目をひとつ、またひとつ編み上げ、拘束されてゆくたび、吐息のような声が出てしまう。
寡黙な雰囲気の中、
手荒い仕事に身体を
それを知ってか知らずか、ガスマスクの女が、
「ねぇ――女の子になった気分は、どぉ?」
「……」
「これからとっても気持ちイイことが待ってるのよ?」
「……」
「いえ、まだ完全じゃないわね。もっとエッチな肢体にならなきゃ」
「……」
「そして、そのうち
女は、拘束作業中の“彼女”に歩みより、キツく閉じて抵抗する
「あらぁ?もうこんな
「……(あぅぅ……)」
「エッチだこと……仕方ない子ねェ」
「……(そんなぁ……)」
「こうすると、女はイッてしまうのよ?ホラ!……ホラ!」
ひゃん!と『成美』は痙攣し、施術台の上ではねた。
可愛い口元からヨダレがたれ、身体は微妙な
そして心ならずもトロン、とした目となるのに自分ながら気づいている。
「
幼いふくらみかけな胸を、毒々しいマニキュアをした指が邪険に持ち上げたとき、はじめて彼女は「痛い!」と抗議の悲鳴をあげた。
「アナタの痛い、はね?もっとシテ、の意味なのよ……今にそうなるわ」
鏡越しに、ガスマスクの女と、かつて少年だった「存在」は、
「えぇ、そうですとも。そうなるよう、アタマの中も改良しちゃったもの……」
扉が再び開き、電動台車のモーター音が近づいてきた。
それとほぼ同時に、腕の拘束作業もようやく終わった。
強制的に胸を突き出す格好が、情欲の処理具となった感を、さらに
鼻輪にリードがつけられ、メス奴隷の哀れさが、いや増しとなる。
「遅いわね!ナニやってるの。さ、「おまる」持って来てあげたわよ」
緑色の手術用ドレープをかけた台車が、“少女”の前に
男が二人、両側からシルクのような太ももをを拡げ、押さえ込む。
昇降モーターで台車のユニットが高くなり、ドレープをかけた処理部が、焼き印の痕も生々しい、無毛な少女の秘部に接する。男がドレープをさり気なくずらし、出来たての秘部周辺と同時に隠すように。
「あっ!」
思わず 『成美』 は腰を引いて小さく叫び、イヤイヤと
だが鼻輪のリードが邪険に引かれ、そんな“彼女”の身勝手な動きを
しかし尿意が引いていったのか、少女の表情から切迫感が無くなってウットリと。
次いで「ペチャペチャ」と、肉感的な音が“できたて”の
「イヤ!こんな――あふ……ッ!」
「フフフ。この
ツン、と突き立つボッキ乳首を女がクリクリと邪険に。
「あらあら、もう
そんな
「あっ!イヤっ!……もうやだ!……なに?これ!――なんですの?」
「フフフ。知りたい?」
「お願い……もうやめ……あハァぁ!……ッ」
『成美』の
台車の上では――。
バイタル維持システムにつながれた女児の生首。
それが“少女”の秘部にうずめていた顔をあげ、ニッコリほほ笑んだ。
「イカガデスカ?オ姉サマ――アタシ、上手ニナッタデショ?」
アタマを鈍器で殴られたようなショック。
フワフワとした思考のまま、
「
今まで感じたことの無い快感の波が、全身を荒々しく駆け巡る。
禁欲が我慢がはじけた、悦楽の末の
腰を激しく前後に、下品に、淫らに。
見栄も、恥じらいすらも無く。
――イクっ!……いくゥゥゥ……ッ!
いやおうなしに目の前が、ホワイト・アウト。
とたん『成美』の意識は、凶悪な快楽のなかに……沈む。