※この作品はR-18です。

玲瓏の翼【18禁版】   作:珍歩意地郎_四五四五

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 それからは、「なに」を、「どう」されたかは、わからない。

 気が付けば、『成美』は、両腕を頭上にしたM字開脚。

 あられもない姿で拘束されたまま、リフターらしきもので吊されて。

 ひとけのない、タイル貼りのうす暗い廊下を進んでゆく。

 

 キリ、キリ、キリ……。

 

 車輪の軋(キシ)みが、こめかみに刺しこむように響く。

 完全に自分が“備品”へと洗脳されてしまった心象。

 マスクのせいで見えない視界外の局部が、熱をもって潤む。

 装着する人造(つくりもの)の胸も、乳首が痛いほど勃起(ボッキ)して。

 

 どこかで悲鳴。

 

 断続的な、力のある鞭の音。

 古風な電話のベルが、とおくで鳴っている。

 延々と続く灯りの一部が、かすかにチラついて。

 彼方のT字路に、ストレッチャーを押す白衣の一群……。

 空気がヒンヤリするように感じるのは、自身の裸が火照っているせいか。

 

 背中から、声がかかる。

 

「ずいぶんと、お愉(たの)しみだったようね……3人も相手にして」

「――へぁ……?」 

 

 口を犯すボールギャグは外されていた。

 だが長いこと装着されていたため、アゴや舌がしびれ、まともに言葉が出ない。

 ダラしないフェラ顔のまま、廊下をすすむマヌケな姿。

 ヨダレが胸に垂れ、苛立たしく、そして恥ずかしい。

 口唇が熱をもったように腫(は)れ、ぷっくりと。

 感覚が戻りつつある口腔をさぐれば、舌にまでピアスをされた気配。

 おまけに口の中が、いままで感じたことのない変な味が。

 ノドにも、ゲル状のようなモノがカラんで。

 

「佳(よ)かったこと、貴方(アナタ)、相当な値がついてるわよ……」

 

 またうしろからの声。

 

 ――だれ……?

 

 あたまがボンヤリして、なにもかんがえられない。

 

「イイもの、観せてあげましょうか……」

 

 リフターが、少し停まり、本来行くはずだった廊下のT字路を、逆に進む気配。

 廊下ですれ違う、聴診器を首からさげた白衣の中年たちが、ニヤニヤと見下ろしてくる。

 重い扉を開いたとき、そこは宴のハネた夜会の会場だと分かった。

 

 いまだ空気に残る、人の気配。

 香水の残り香(が)や、料理の油。香辛料の匂い。

 老婦人のアンモニア(尿もれ)臭や、年かさな紳士の加齢臭。

 時として、精液や、嗅ぎなれた愛液の気配も。

 

 物欲と、劣情と、打算と、はたまた安寧(あんねい)と。

 それら思惑(おもわく)の残り香が渾然一体(こんぜんいったい)となった、欲望・劣情の残滓が漂う人肌にナマぬるい、そして儚(はかな)げな雰囲気。

 

 防火用の非常扉から入ったところは、「緑の広間」だった。

 

 うち捨てられた羽根扇(はねおうぎ)、白手袋。

 なせか赤いヒールの片方だけが。

 紙吹雪や紙テープ。クラッカーのなごり。

 酌女(しゃくめ)の面紗(ヴェール)や、アナル・プラグと連結したバニーガールの尻尾(シッポ)らしきものまで。

 

 それらを踏みつけ、あるいは避け。

 『成美』は恥ずかしく吊るされた格好のまま――。

 

 “赤”の広間を通り、

           “白”の広間を横切り、

                      “紫”の広間を抜けた。

   そして、

       最後の“黒”の広間……。

 

 定石(じょうせき)通り、森閑(しんかん)とした広間の壁面には、深紅(しんく)の巨大なステンドグラス。

 むき出しな石張りの床へ、斜めに鮮血めく光彩を投げかけて。

 

 その巨大な血と闇との間(あわい)に、何かがある。

 目を凝らせば木馬がポツンと設置されていた。

 

 リフターを軋(キシ)ませ進んでみると、上にはヒザを曲げ、腕を後ろに拘束された姿の黒い人影。鋲(びょう)のならびが目立つ木馬は、チェスタフィールド調のソファー、その肘掛(ひじか)け部分を連想させる。

 木馬の背からは、垂直に黄金のポールが突き出て、馬上の人影を固定していた。

 

 ――人間……!?

 

 一瞬、『成美』はゾクリとするが、すぐにラテックス(ゴム)製の人形と分かった。

 鼻の隆起の以外は、わずかに顔の凹凸を模した頭部。

 呼吸口が、どこにも見当たらないことが人形と判断した理由だ。

 鏡面仕上げのようにテカらせた身体。

 ところどころに鮮血色を映して。

 

「どう?――美しいでしょう……」

 

 ゆっくりと規則正しい音とともに、背後からの声。

 傍(かたわ)らでは、黒檀(こくたん)で出来た巨大な柱時計が、重々しい振り子を鳴らしている。

 だが、セコンドを刻む音が――みょうに間のびして聞こえるのは気のせいだろうか。

 

「これを、コウすると……面白いのよ?」

 

 背後で、電子音が一度。

 

 すると、黒く照(て)り輝くゴム人形が、拘束された木馬の上で、ミリミリと、微妙な身じろぎをする。しだいに動きは悶(もだ)えるように、ボディを数センチ単位で辛(ツラ)そうによじって。その動作は、どうみても生物が苦悶する容(すがた)。

 

「――へんえ”ん(にんげん)……?」

 

 えぇモチロン、と上機嫌に背後の声。

 

「この子はネ?調子に乗りすぎたの。だからご主人様に、バツを受けているのよ」

「……」

「彼女は、昔アナタがやったのと同じように、身体に管を通しているわ――それも、気管までね。だから彼女、お尻の穴で呼吸をしているの。そして視覚や聴覚はもちろん、頭部にも直接、奴隷教育用のプログラムが流れて……もう一週間になるかしら。どうやら順調な仕上がりぐあいみたい」

「!!ほぁんは(そんな)!」

 

 ――あんなところに、一週間も!

 

 『成美』の悲鳴まじりな驚きに、大丈夫よ、と背後の声が笑いをふくみ、

 

「筋肉は衰えないよう低周波で動かしてるし、それにパルスの鍼(ハリ)で、全身のイヤらしいツボというツボ、いつも刺激されてるの。ア(・)ソ(・)コ(・)なんか、もうトロトロよ?」

「……」

「知能も性格も、それどころか肌の質感や、性器の具合。おまけに人間だったころの『初音』とかいう下賤(げせん)な名前すら忘れ果てて……このラバー・モールドから鋳出されれば、完璧な愛玩品(バービーちゃん)の出来上がりというワケ――どぉ?素敵(ステキ)じゃなくって?」

 

 聞くほどに恐ろしい説明を、背後の声は、淡々(たんたん)とした調子で語る。

 

 だが――どうしたことだろうか。

 

 目の前の残酷な光景に、『成美』は、有りもしない乳房の先端がとがり、下腹部の割れ目が潤(うる)んでしまうような気配を感じている。タイトなゴムの鋳型(いがた)の中で、ゆっくりと自己を“性玩具”へと強制変容されている女性への羨望(うらやみ)――あるいは嫉妬(ねたみ)めく感情。

 回らない口で、この“備品”が、なにか応えようとした、そのとき。

 

 巨大な柱時計が、うなり始める。

 

 やがて、あの聖ミカエルの旋律が、このたびはやけに重々しく、錆(さ)びたような音色をもって、陰々(いんいん)と鳴りはじめた。

 調子がやむと、輪をかけて滅々(めつめつ)とした時鐘が、ひとつ――またひとつ。

 それにつれ、文字盤の下にある小窓がひらき、黄道十二宮を模したものか、一つ鐘が鳴るごとに「羊」「牛」「双子」の黒ずんだ銀色をしたミニチュアがあらわれて、ゆっくりとレールを滑ると、反対側の小窓へ消えてゆく。

 最後の「魚」が姿を消し、これで終わりかと思われた、次の瞬間。

 

 “13番目”の鐘が鳴った。

 

 ――え……?

 

 小窓から、なにか出てきた。

 観れば、ベルと大鎌を持ったガイコツが、小窓から現われると、レールの途中で止まる。そして精巧にもM字開脚で茫然と見上げる『成美』の方を向き、ガイコツの腕が、ふられた。

 

 ベルが――正確に13回。

 

 チリリ……チリリ……チリリ……と寂寞たる印象で。

 鳴らされたあとは、ふたたび反対側の小窓へと消えてゆく……。

 

 そのあとは、すべてが、止まった。

 

 光の血潮が差し込む、漆黒の間。

 木馬に拘束されるゴム人形の赤い照り曜(かがや)き。

 重々しい振り子を凝固させた柱時計。

 まるで、黒檀(こくたん)の巨大な棺(ひつぎ)めいて。 

 空気さえもが停止するような、呪縛する空間と化した、無音の広間。

 黒いラバー人形がいちど大きく痙攣して――動かなくなる。

 

 

 

「ふん、なによ――悪趣味ネェ……」

 

 背後の声が、めずらしく動揺をみせ、

 

「さ、いくわよ……貴方(アナタ)の天国に、連れてってアゲル」 

 

 先ほどのT字路をすぎ、しばらく行くと、通路の両側にいくつもの扉がある区画に入った。

 うしろの人物が、そのひとつの扉を開けると……。

 

 なかは、漆黒の部屋。

 

 小窓から洩れ落ちる深紅の光。

 中央には、先ほどと同じくチェスタフィールド調の革ソファーめく木馬。

 そして丸みをおびた木馬の背中からは、大小あわせて二本の突起(ディルド)。

 横腕が二本突き出る金色のポールが、ひくい天井までのびて。

 何のことはない、あの「黒の広間」の、ミニチュア版だ。

 

 ヴェネチアン・マスクの視野外左右から、艶(つや)やかな黒サテンのマントをまとい、ふたつの人影がヒールを鳴らし、悠然(ゆうぜん)とあらわれた。

 

 もはやおなじみとなった感のある二人組。

 金髪の『ゾーロタ』。

 銀髪の『シリブロ』。

 

「おまえたち!あとは、頼んだよ」

 

 背後からの声に、彼女たちは異口同音(いくどうおん)として、

 

「おまかせ下さい、コマンジュ(隊長)」

「あとは我らが、この仔ブタを」

 

 スッ、と背後の気配が、薄暗がりに溶けるように。

 

 金髪(ゾーロタ)がマントをひるがえし、赤い裏地を見せつけながら腕を上げるのを見て、まるでピアノのカバーのようだなと『成美』がボンヤリ考えている間にリフターのモーター音が伝わると、体がM時開脚のまま、ジワジワと持ち上げられてゆく。

 

 ――え……?ちょっと……。

 

 銀髪(シリブロ)が、冷酷な薄笑いをうかべ、木馬の上へと『成美』の身体を誘う。

 下にはもちろん、黒々とした禍々(まがまが)しい突起がふたつ。

 

「ムリ!ムリれすムリ!」

「あらァ、どこが無理なのかし、ら!」

 

 金髪(ゾーロタ)が、『成美』のヴェネチアン・マスクを剥(は)ぎ取った。

 視野が一気に広くなり、部屋の造作が良くわかるように。

 それと同時に、自分の身体も。

 

「あぁ……っ!」

 

 『成美』は、己(おのれ)の身体をみて悲鳴をあげる。

 

 もはや、褐色(かっしょく)に染められた身体では、なかった。

 

 少年の身体ですら、なかった。

 

 脂(あぶら)の照(て)りをふくんだ艶(なま)めかしい白さ。

 ナヨナヨとした柔らかみに包まれた身体。

 驚くほど豊胸された双のふくらみと、その頂に勃起(ボッキ)するシコりきったピンクな乳首の生々しさは、どう診(み)ても作り物ではない。

 さらに白い連山を超えて、その奥を覗き見れば、先ほどまでソースを来賓(らいひん)にサーヴしていたオチ○ポは跡形も無く、代わりにふっくらとしたツルツルの恥丘が、お股のワレ目から淫露を滲(にじ)ませているではないか。

 しかも、その恥丘にはモルフォ蝶が、あたかもこの個体は、

 

「調教済み・納品可」

 

 ということを証すがごとく、その美しい羽根を誇らしく拡げていた。

 

 ――こんな……こんなことって!

 

 悪夢が、とうとう現実に追いついた……追いつかれてしまった。

 

 黒の広間で覚えた“淫らに濡れる感覚”が、現実となって目の前に顕(あらわ)れる。

 それが、本当に自分のオマ〇コからの淫汁(よだれ)であったとは……。

 

 乳首のボッキが、もどかしかった。

 熱くシコってそれをクリクリとなぶって欲しい。

 巨乳にされたバストを激しくモミしだき、いぢめて欲しい。

 

 そんな『成美』は、自分が全体、どんなメスにされたのか見てみたくてタマらなかった。看れば肌はツルツルに脱毛され、無機質的な光沢が全身を奔(はし)り、まるで本当に人形(ドール)にでもされたかのよう。

 

 過去に仄聞したウワサ話。

 実際に見た無残な光景。

 そんなものが一気に脳裏に浮かび上がって。

 

 すると、そんな“彼女”の心根を察したかのように、

 

「鏡をご所望かしら?……ナルシストさんねェ」 

 

 ごらんなさい、と金髪に示された台車付きの古風な姿見。

 アンティークらしい、銀幕もくすんだその大鏡に見事なフチ飾りに囲われて、『成美』の眼は己の変わり果てた姿に愕然(がくぜん)と見ひらかれた。

 

 豊かに結い上げられた金髪。

 煽情的なアイラインに彩られた哀しそうな眼。

 品のよい鼻筋

 そして、ボッテリとした深紅の口唇。

 

 赤い首輪には、幾つもの環が冷たく輝いて。

 

 両わきから、彼女は女たちにオッパイをグニグニと揉まれる。

 待望の感覚に、不覚にも『成美』は軽くよがり声をあげてしまう。

 それが身体の奥にゆらぐ淫火を、さらに煽りたてるようで、せつない。

 

 シコり切った乳首の根元に――すでに穴が開けられていたとみえ――なんなく飾り輪を通すと、冷たく輝くその輪に小ささのワリには重みのある金色の鈴を取りつけた。

 

 余韻のながい、澄んだ音。

 

 ズッシリとした感触が、麻酔もなく乳首ピアスを施術された時の夢を喚びおこす。恥じらいや、戸惑い。なによりその激しい苦痛も、いっしょに。

 

 ――そんな。それじゃアレは……現実?

 

 キメの細かい、シミひとつない肌。

 見るからに柔らかそうなふたつの丘。

 その豊乳にくらべ驚くほどくびれた胴。

 

 なよやかなヘソを過ぎれば……。

 

 安産型と言ってもいい、ムッチリとした腰つき。

 折り曲げられ拘束される、肉感的な、ボリュームのある太もも。

 

 あまりな肉体改造のされように、もはや半ば諦め、脱力しながらイヤイヤと『成美』は首をふった。

 

「うほへふ(ウソです)!ふぉえは(これは)……うほへふ(ウソです)!」

 




休日だし台風だしやることないんで更新。
シャンパンが切れたので買ってきます。 

壁|ノシ
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