クライムは扉の前で息を整えるとコンコンとノックをする。
中から「入れ」と声が返って来たのを聞き「失礼します」と声をかけてから扉を開いた。
部屋の中には数名のメイド達が待機しており、クライムに対して目礼をする。
それに頭を下げて返しながら、奥のソファに腰掛けるこの部屋の主に視線を移した。
1人のメイドを背後に控えさせ、脚を組んで尊大に座っていたのは美しい容姿をした青年だ。
レオン・バチストゥ・オレリアン・ライル・ヴァイセルフ。
リ・エスティーゼ王国第三王子にして次期国王。
いずれこの国の頂点に君臨する予定の人物である。
いや、今現在、彼に逆らえる人間がいない以上、既に頂点に君臨していると言っても過言ではないだろう。
「待っていたぞ」とクライムを歓迎した彼は、対面のソファを勧めてくる。
一瞬躊躇しかけてから、言われた通りに着席したクライムは、緊張から額に薄っすらと汗を掻いていた。
正直に言うとクライムはこの王子の事が苦手なのである。
王族という高貴な位にあるという事も勿論関係あるが、レオンに関してはそれだけではない。
自分の邪魔になると判断した第一王子を罠に嵌めて殺したという容赦のなさ。
周辺諸国最強と名高い戦士であるという事実。
そして、一番大きい理由が彼の悪趣味の所為である。
クライムはさり気なくレオンの背後に立つメイドに目をやり、続いて扉の付近に並んでいるメイド達に視線を移した。
王子の専属になるだけあり整った容姿をしている彼女達は、ブレのない美しい姿勢で待機しており、それだけで使用人としての教養の高さを窺わせる。
しかし、彼女達は普通のメイドではあり得ない格好をしていた。
何故か全員メイド服のスカートをたくし上げた状態で固定していたのである。
その結果、細く美しい脚とその付け根にある下着が惜しみ無くクライムの前に晒されていた。
クライムの視線に気付いたのか、メイドの1人が恥じるように頬を染める。
その反応にクライムも慌てて「す、すみません」と謝罪の言葉を述べた。
彼女達のこの姿こそクライムが忌避するレオンの悪趣味である。
彼は人の嫌がる事、恥ずかしがる事を行うのが好きなのである。
色欲王子と陰で言われている様に、眉目の良いメイド達の下着姿にも興味はあるのだろうが、クライムにはそれよりもメイド達の反応を楽しんでいる様に感じられた。
メイドとしての誇りを持つ彼女達は、来客が訪れる度にその秘すべき場所を目撃されるのだ。
そのプライドは王子によってどれ程汚されて来た事だろうか。
なまじメイドとして一流であると分かるだけに、その姿は余計に憐れに思えた。
苦々しい表情をするクライムにレオンは声を掛ける。
「クライム。やはりお前も興味があるみたいだな」
「…何のことでしょうか殿下」
「コイツらのパンツを舐め回す様に見ていただろう?」
「なっ!私は決してその様なっ…!」
意地悪そうに笑う様子から、ただクライムを
「お前だってガキじゃないんだ。綺麗な女の下着に興味ないなんて事はないだろう?」
「…私は、嫌がる女性から見たいとは思いません…!」
「ふーん。そうなのか」
ニヤニヤと心底楽しそうにクライムを眺めるレオンは、背後にいるメイドを手招きすると自分の隣に立たせた。
そしてクライムに見せつける様にその太ももを撫で始める。
くすぐったいのかピクピクと僅かに震える彼女は、それでも逃げる事もせず王子のセクハラに耐えていた。
「メイドをしているがコイツは伯爵家の娘でな。普段はドレスを着て貴族令嬢らしい格好をしてるんだぜ。本来、お前の様な一介の騎士如きがパンツを見れるような相手じゃないって事だ。しっかり見て楽しんでおけよ」
「いえ、私は…」
「クライム。しっかり見て楽しんでおけよ」
「!…は、はいっ…」
歯切れ悪く答えるクライムを見るレオンの顔は、笑顔でありながら目が笑っておらず、クライムは慌てて返事をする。
レオンはただのスケベなだけの王子ではない。
血の繋がった実の兄であろうと容赦なく殺す様な残虐性も持ち合わせているのである。
その彼が二度も同じ事を言ったのだ、例えどんなに下らない命令であっても従わない訳にはいかなかった。
レオンがメイドの太ももを両手でさすり撫で回す様子を、罪悪感を抱きながら凝視するしかないクライム。
そうすると、出来るだけ見ないように心がけていた逆三角形の布が自然と目に入ってしまう。
レースのあしらわれた水色のパンツは、薄っすらと彼女の大事な場所の形を透かしていた。
そういった物に殆ど耐性のないクライムは、耳まで赤くし、懇願するようにレオンへ視線を向けた。
「で、殿下。そろそろ私を呼んだ要件を伺いたいのですが」
「くはははっ。童貞感丸出しだな。まあ、いいや要件だったな」
「はい」
「お前ラナーの事好きだろ?」
予想外の質問に一瞬「え?」と聞き返してしまう。
幸いそれを不快に思う事はなかった様でレオンは愉快そうに続ける。
「だーかーらさぁ。お前は俺の妹が好きかって聞いたんだよ」
「い、いえっ…自分はラナー様の騎士ですので…そ、そういった感情は、別に…」
行く宛のなかった自分を拾ってくれた純粋で優しい少女の顔を思い浮かべながら必死に否定するクライム。
しかし、初心な少年のその姿を見て彼の気持ちに気付かない者などいないだろう。
当然、クライムの心などお見通しのレオンは「そうなのか」と納得したフリをしながらも、その目は「面白い玩具を見つけた」と言わんばかりに輝いていた。
「ソフィア、脚を開け」
「は、はい…」
クライムと話をしている最中もメイドへの悪戯を続けていたレオンは、ソフィアと呼んだメイドに命令して脚を肩幅まで開かせた。
タダでさえ下着を丸出しにするという淑女にあるまじき姿を晒していた彼女は、更に異性の前で脚を開かされ、恥辱に震える。
会話がいったん止み、逸らしていた目の前の光景に再び意識が行き、クライムは居心地悪そうに視線を彷徨わせた。
それを横目にして、レオンは遂にメイドの下着に指を触れさせた。
クロッチの部分を撫で上げられた彼女は思わず「ひゃっ」と小さく悲鳴を上げる。
そのまま下着越しに恥裂を上下に擦りながらレオンは会話を再開させた。
「ラナーの奴も16歳になっただろ?まだ胸は小さいが充分レディを名乗れるくらいには美人に成長したと俺は思うんだよ」
「む、胸…についてはわかりませんが、既にラナー様は立派な女性です」
「だろ?実際《黄金の姫》とか言われて貴族の男連中からのアプローチも多いみたいだしな」
「そう…ですね」
アプローチを受けていると聞き、愛する主が何処かの男性のモノになる光景を思い浮かべ「ズキリ」と胸に痛みを覚えるクライム。
しかし、次にレオンの口から発せられた言葉は、そんな痛みなど吹き飛ばすほど驚くべき物だった。
「だからさぁ、そろそろアイツを食っちまおうと思うんだわ」
「なっ!…今、なんと…?」
「あん?言い方が悪かったか?ラナーの処女を頂くって言ったんだよ」
「…で、殿下とラナー様は…腹違いとは言え、血の繋がったご兄妹でございますよね…?」
「ああ、そうだな。それがどうした?」
「…狂っている」と言う言葉をクライムはなんとか飲み込んだ。
妹の処女を奪うと宣言する事に全く躊躇がないこの王子の思考がクライムには理解出来なかった。
唖然とレオンを見返していたクライムは、今後起きるであろう最悪の展開を想像し絶望する。
幾ら常識的にあり得ない事でも、この王子が宣言した以上それは実行される事になるだろう。
この国にいる人間で彼を止められる者など誰一人いないのだから。
大きな権力を保有する六大貴族であろうと、裏社会を支配する犯罪組織《八本指》であろうと、そして現在の国のトップであるランポッサ国王であっても彼には逆らえない。
何故なら彼には個人で国を相手取れる程の圧倒的な『力』があるのだから。
冒険者の間で使われる難度で表せば150。
常人を超えた英雄達さえ凌駕する真なる超越者。
神の血を引くと言われる女性から生まれた人外。
それがレオン・バチストゥ・オレリアン・ライル・ヴァイセルフという男であった。
☆
頭が真っ白になっていたクライムの耳に「クチュ…クチュ…」という粘り気のある音が聞こえてきた。
顔を上げてそちらを見ると、いつの間にかレオンの指で濡らされていたメイドの下着が目に入る。
零れた愛液によってペタリと恥裂に張り付いた下着は、彼女の縦線をしっかりと表していた。
与えられる快感に必死に耐えている彼女だが、時折「あっ…」と甘い声を漏らしている。
「凄ぇエロいだろ?こんなんでもコイツ、後輩のメイド達からは真面目な先輩として慕われてるんだぜ?仕事中にマンコ弄られて感じてる姿を見せてやりてぇな」
涙目になり、漏れ出る声を我慢出来ずにいる彼女は、クライムが最初に抱いた『仕事の出来そうなクールな女性』という印象からも外れ、その顔を蕩けさせていた。
あまりに卑猥な姿に、クライムの股間も自然と硬くなってきた。
自分の主である無垢な少女に知られたらどう思われるだろうか、と後ろめたい気持ちを抱いてしまう。
レオンは一度手を退けて、メイドの濡れそぼった下着をクライムに見せてくる。
「お前もラナーの奴のこーゆー姿が見たいだろ?」
どう答えたら良いか分からず沈黙するクライムをクスクスと笑いながら、レオンは下着の横から指を入れた。
下着の中で上下に動かされる指に、とうとう我慢の限界が来たのか「あっ…いやっ…!」と大きな声を出してしまい、咄嗟に口を塞ぐメイド。
直接触られての愛撫に「クチュクチュクチュッ」という水音が秘部から響く。
いつの間にか股布の部分が横にずれてしまっており、レオンの指を根元近くまで飲み込んだ肉壺がクライムの目にも見えていた。
「ぁぁぁぁぁっ!…殿下っ…た、達して…しまい、ますっ……!」
「なーに上品ぶってんだ。この間教えてやったばかりだろうが」
「あぁっ……イ、イきますっ!…殿下の指でっ、お、オマンコくちゅくちゅされてっ…!イっちゃいますっ…!」
最早喘ぎ声を我慢することさえ辞めた彼女は、淫らに言葉を並べる。
その姿を見て、敬愛するラナーも同じ様に善がる事になるのだろうか、と考えてしまうクライム。
限界まで膨らんだと思っていた股間の一物が更に大きくなるのがわかり、自分に嫌悪感を抱く。
「仕上げだ!盛大にイきやがれ」
「はぁぁぁあっ!!…イクッ!イきますぅぅっっ!!!!」
雌の穴をレオンの指がズボズボと出入りするのに合わせて、腰を小さく前後に振ると、しばらくして大きな嬌声を上げながらメイドは達してしまった。
力が抜けたのか床にペタンと座り込んだメイドを見下ろし、レオンは懐から白い布を取り出して手を拭った。
そして、そこで何かに気付いた様に「あっ」と呟くと、愛液を拭った布をクライムに差し出した。
「悪い悪い。そう言えばお前を呼んだのこの為だったわ」
「?このハンカチがですか?」
「ハンカチじゃねぇよ。開いてみろ」
丸まった布を言われた通りに広げると、その正体が露わになった。
逆三角形のそれは縁にレースが付いており、全体に華の形の刺繍が施されていた。
前面にワンポイントで赤いリボンの着いたそれは、どう見ても女性のパンツであった。
「こ、これは…下着、ですか?」
「ああ。代わりに返しといてくれ」
「…えっと、どなたの物でしょうか」
一連の流れから、持ち主に予想が付いていたが、それでも確認の為に訊ねる。
「ラナーのだけど?」
クライムの予想は的中していた。
自分が今持っているのが、敬愛する主の下着であると認識してしまったのだ。
これを彼女がドレスの下に身につけ、大切な場所に触れさせていたのかと邪な想像をしてしまう。
パンツの内側。
ラナー王女の
「どうして殿下がこれを持っておられるのでしょうか」
「洗濯のメイドがラナーの衣服を運んでるのを見てな。つい奪ってしまった」
「…はぁ」
「喜べ。洗濯前の物だから匂いは落ちていないし、よく探せば染みなり下の毛なり付いてるかもしれないぞ」
「そ、それは…」
もう一度手の中のパンツに視線が行き、言われた物を探しそうになって慌てて首を振る。
「こ、これは私が責任を持って洗濯に出しておきます!」
「そうか。任せた。もう帰っていいぞ」
「ハッ!失礼します」
ブツを慌てて懐にしまったクライムは、レオンに背を向けて扉へと進んだ。
途中、下着を晒したままのメイド達に視線をやらない様に意識しながら通り過ぎ、そして部屋を後にしたのだった。
クライムが、手に入れた下着を洗濯に出すのが少し遅れた事は言うまでもないだろう。