王国に巣食う堕落した貴族達。
領内で眉目の麗しい娘を見つければ誘拐同然に屋敷へと連れ込み、飽きればゴミの様に捨てて新しい標的を探す。
そんな彼等と第三王子レオンとの違いは何か。
そんな物は数えきれないくらいあるだろうが、特に大きな違いをあげるとするなら、それは標的となる女の身分である。
いくら愚かで色に狂っていようと普通の貴族であれば、他の貴族や高価な衣服に身を包んでいる女性には手を出しはしない。
しかし、この
平民だろうと貴族だろうと彼にとっては等しく自分の獲物に過ぎないからだ。
むしろ、綺麗どころの多い貴族の令嬢こそ彼の好物であるとも言える。
現在、そのレオンはある女性に声を掛けていた。
「ラキュース。前も聞いたが俺の妾になるつもりはないか?」
「殿下。私はまだ冒険者として人々の役に立ちたいのですわ。ですので、まだ誰の物にもなるつもりはありません」
「ククク。この俺の誘いに「否」と答えられるのはお前やラナーくらいのものだろうな」
殆どの者が逆らう事の出来ないレオンに対し、しっかりと自らの考えを述べる金髪の女性。
王城にいる為、今は桜色のドレスに身を包んでいるが、普段はいくつもの装備で身を固めている。
彼女は王国で知らぬ者のいない最高位冒険者であった。
アダマンタイト級冒険者チーム《蒼の薔薇》のリーダー。
英雄の領域に踏み込んだ人類の切り札。
それが彼女、ラキュース・アルベイン・デイル・アインドラである。
王国どころか他国からも一目置かれる彼女だが、しかし、そんな事など御構い無しにレオンは行動する。
ラキュースは自分の胸へと伸ばされる手を、一歩下がる事で回避する。そして「お戯れが過ぎますわ」と完璧な作り笑顔で返した。
「従順でない女は珍しいからな。俺を二度も拒否したその不敬は見逃してやろう」
「…ありがとうございます」
「だが」
瞬間、レオンはラキュースの視界から消え失せた。
冒険者として目の前で会話していた人物の動きを目で追えなかった事に敗北感を抱きながら、ラキュースは辺りに視線をやる。
その直後、彼女は自分の胸と下半身を触られる感触を覚え、慌てて逃れようとした。
しかし「動くな」という威圧感のこもった一言だけで、その場に釘付けにされる。
「…だが、俺を簡単にあしらえると勘違いされては困るぞ。お前を含めこの国の全ては俺の物なのだからな」
ドレス越しに胸と大切な場所を撫でられ、頬を染めながら「…はい殿下」と返事をする。
貴族という身分も、最高位冒険者としての力もこの王子の前では無意味な物だとラキュースは再認識した。
結局、自分は多少の反抗をして彼を楽しませる事だけを期待された、他の令嬢達と同じ彼の被支配者なのだ、と。
「楽しみは残す
「は、はい。失礼します殿下」
「あ!そうだ。やっぱり待てラキュース」
「…何か?」
足早に去ろうとしていたラキュースは顔を強張らせながら振り返る。
それに悪戯を思い付いた子供の様な笑顔をしたレオンは一言「パンツを脱いで行け」とのたまった。
「それは…どういう…」
「今日は自分でヌきたい気分でな。お前のパンツを使ってやると言っているのだ」
「なっ…」
どうしようもない程意味が分からなかった。
この男は女性を何だと思っているのだろうか。
しかし、いくら
何とか諦めて貰えないかと言葉を探す。
「私はこれからラナー王女の所に用事があるのですが…」
「そうか」
「ですので、下着を殿下に渡してしまうと…」
「なあ、ラキュース」
普段の彼女ではあり得ない程、オドオドと臆した様子で拒否しようとするラキュース。
そんな彼女の名前を、いくらか低くした声でレオンが呼んだ。
「はい…」
「これで三度目の拒否だな」
「なっ…す、すみませんっ」
「四度目は許さん。早く脱ぐが良い」
笑顔の消えたレオンに英雄たるラキュースが心底怯える。
これ以上不機嫌にさせては不味いと判断した彼女は、頬を赤らめ、一瞬だけ躊躇した後、ドレスの中に手を入れた。
無表情を作りながらも内心で高笑いしているレオンは、その様子を腕組みして眺めていた。
場所は王城の廊下。
時間が経てば誰かが通りかかってもおかしくない。
そんな場所でラキュースは自らの下着に指を掛けた。
スーっと下りていく下着が太ももに達し、大切な場所が空気に触れるのがわかった。
そのまま膝、足首と下げ終わると、脚を浮かせて下着を脱ぎ取る。
「ほう。ピンク色か」
ドレスの中から現れた下着を確認して、レオンは口笛を吹く。
あまりの恥ずかしさに耳まで赤くなったラキュースは、下着を小さく丸めると「どうぞ」と小さな声で差し出した。
強い女が自分に屈服する姿ほど唆られるものはない。
レオンは彼女から下着を受け取ると、仄かに感じる体温を掌で堪能し、そして彼女の目の前でそれを広げた。
直前まで自分が履いていた下着を廊下のど真ん中で晒される形になったラキュースは、しかし、その蛮行を止めることも出来ずに顔を伏せる。
王都でも女性に人気の店で購入しただけあり、彼女の下着は可愛らしい装飾を施されていた。
花柄のレースがついたローライズのパンツは、堅いイメージのあるラキュースが履くには少々可愛らし過ぎると感じるが、そのギャップがレオンを大いに興奮させた。
その後、下着を裏返してクロッチの部分を確認する。
「おや?小さいが染みが出来ているぞラキュース。俺と話していて興奮していたのか?」
実際はそんな物ありはしなかったが、ラキュースを辱める為に嘘を吐く。
そんな筈はないと思いながらも「もしかしたら…」と脳裏を過ってしまったラキュースは、レオンの両手を包み込む様にして下着を隠し、弱々しく懇願する。
「これ以上は、どうかお許しください…」
目を潤ませて頭を下げる。
それはラキュースが冒険者になって以来初めて取った無力な女の仕草だった。
この王子にはただただ低く出て慈悲を乞うしかないのだと、ここまでのやり取りでラキュースは理解していた。
それが功を奏したのかレオンは満足そうに笑うと、ラキュースの下着を懐にしまった。
ラキュースは無意識に漏れそうになる安堵の溜息をなんとか堪える。
「そう言えば、昨日初めてを迎えさせてやった子爵家の娘も似たような物を身に付けていたな」
初めてを奪った、の間違いではないだろうか。
そう内心で思いながらも、まだ下着の話を続けるレオンに笑顔で答える。
「今の流行りだからでしょうか」
「ほう。冒険者はもっと地味な物を履いていると思っていたぞ」
「他の子は分かりませんが、私は淑女の嗜みとして常に身だしなみに気を付けていますので」
「なるほどな」
何かを納得した様子のレオンは続けて爆弾を投下する。
「お前の仲間は女揃いだったな。次会う時までにそいつらの下着を用意しておけ。冒険者の下着に少し興味が湧いた」
「っ……わかりました」
咄嗟に拒否しそうになるのを、何とか飲み込むことに成功したラキュースは、表情を曇らせながら了承の返事をした。
「時間を取らせたな。下着の替えは洗濯をしているメイドに言って新品の物を貰うが良い」
「…そうさせて頂きます」
「うむ。今度こそ行って良いぞ」
「はい…それでは」
スカートを抑えながら歩いていくラキュースの背中をしばらく眺め、レオンも反対方向へと歩き始めた。
☆
クライムは自らの主人であるラナー王女と共に王城の廊下を歩いていた。
少しお転婆なところのあるこの王女は、友人を呼んでおきながら「クライム、散歩に出掛けましょう」と彼を連れて庭に出ていたのだ。
そして約束の時間が近付き、慌てて部屋へと戻っている最中である。
「あら?あれはお兄様かしら」
前を歩く主人が発した言葉に、思わず顔を歪めるクライム。
それを見てクスクスと笑ったラナーは「そんな顔をしてはダメよクライム」と指を立てて優しく叱る。
「すみませんラナー様」
「クライムはどうしてそんなにお兄様を苦手にしているのかしら」
「それは…」
毎日の様にメイドや貴族の令嬢を無理やり部屋に連れ込み、また、不正を成した貴族を容赦なく殺すレオン。
この無垢で穢れない王女は、自分の兄王子のそんな恐ろしい面を知らないのだ。
レオンを優しい王子と信じて疑わない彼女は、今も嬉しそうに手を振っている。
「やあ、ラナー。それにクライム奇遇だな」
「はい。お兄様もお散歩ですか?」
天然なところのあるラナーの発言に、レオンは可笑しそうに笑う。
「ふふふ。ラナーは城を散歩していたのか。まだまだ子供だな」
「まあっ!私はもう立派な淑女ですわ」
「そうなのか?先程アインドラ嬢がお前に会いにいくと言っていたが、まさか淑女のお前が客人を待たせてる、なんてことはないよな」
「あっ!そうでした。お兄様、私急いでいるのでした」
レオンの遠回しな揶揄いに気付かず、慌てて去ろうとするラナー。
その様子を見てレオンは優しく微笑んでいた。
「待てラナー」
「何でしょうかお兄様。ラキュースを待たせているので早く戻らないといけないのですけど」
「そのアインドラ嬢から伝言だ」
「まあ、そうでしたか。それでラキュースはなんと?」
「ククッ……なんでも下着を履き忘れて来たらしくてな、メイドに借りにいくから遅れるそうだ」
心底可笑しそうに伝言とやらを伝えるレオン。
その言葉をそのまま受け取って「ラキュースどうしちゃったのかしら」と不思議そうに首を傾げる主人を見て、クライムは苦々しく思った。
この色欲王子と会って下着が無いとなると答えなんて分かりきっている。
と言うか、先程からラナーの見えない位置でクライムに見せつけているピンクの布こそ、ラキュースが履き忘れた筈の下着に違いない。
「ラナー。お前はちゃんと下着を履いているか?なんなら俺が確認してやるぞ」
「…お兄様、流石に冗談が過ぎますわ」
あんまりな台詞に流石のラナーも不快感を露わにする。
その後ろではレオンが何を企んでいるのかと、ハラハラしながら見守るクライムがいた。
それで諦めてくれないかと僅かに期待するが、それは甘い考えだった。
レオンはいきなりラナーを抱き寄せると、彼女の肩を抱いた。
いつもの優しい兄とどこか違うと気付いたラナーは不安気な表情で抵抗を試みる。
「お兄様、やめてっ」
「殿下!ラナー様がいやがっています!」
慌てて近付くクライムをひと睨みすると、レオンは妹の慎ましい胸に手を伸ばした。
そしてクライムに見せつける様にゆっくりと揉みしだき始めた。
「キャッ!お兄様、やめて下さいっ。冗談が過ぎますっ」
「小さいと思っていたが、少しはあるな」
「やめないとお父様にっ…お父様に言いますよ」
「あの老いぼれに何が出来るんだか」
必死に逃れようとするラナーをガッチリと捕まえたまま、遂にはドレスの上から手を忍び込ませる。
誰にも触れられた事のない胸を直前撫で回され、その頂きの敏感な部分まで触られたラナーは顔を赤くし、目の端から涙を流し始めた。
「お兄様…やめっ…」
「喜べラナー。胸は合格点をやろう」
「んっ…そんなものいりません…」
「仕方ないな。最後に下だけ確認したら終わりにしてやる」
愛する主人の痴態を努めて見ない様に目を閉じていたクライム。
大切な人も守れない無力な己を悔やみながらただ時間が過ぎるのを待っていた彼にレオンは声を掛ける。
「クライム。もっと近付いて見ていろ。ちなみにこれは命令だ。従わなくてもいいが、その場合ラナーの貞操は保証せんぞ」
「くっ……わかりました。見ていますので、これ以上は…」
「クライム……いやっ、見ないでっ…」
「すみませんラナー様…」
イヤイヤと首を振るラナーに罪悪感を抱きながら、その目前まで近付く。
それを確認すると、レオンはラナーのドレスを一気にたくし上げた。
「キャァァッ」と言うラナーの悲鳴をどこか遠くに感じながら、クライムの目は露わになった下着に釘付けとなった。
フリルのついた総レースタイプの下着は、薄い紫色をしていた。
緩やかに盛り上がった土手の部分にピタリと張り付き、その形を下着越しにも教えてくれている。
その下へと視線をズラすと羞恥に震えている白い太ももが目に入った。
普段ドレスに隠れて見る事の出来ない美しい脚は、内股気味に閉じられ、クライムには下着以上に煽情的に感じられた。
ドレスがまくられていた時間は何秒だろうか。
クライムには永遠にも感じられた究極の光景は、ハラリと重力に従って落ちていったドレスによって隠されてしまった。
クライムが気付いた時にはラナーは泣き崩れており、レオンは彼女を見下ろして「良い物見たぜ」と笑っていた。
慌てて主人に駆け寄ったクライムは、嫌がる彼女の下着に夢中になってしまった自分を心の中で罵倒した。
レオンはそれで満足したのかいつの間にか消えており、後には1組の主従が残された。
ちなみに鎧の下で膨らんでいたクライムの一物を確認し、ニヤリと口元を歪めたお姫様がいた事には誰一人気付く事はなかった。