まだ二話なので実質的には初投稿
IS学園は湾内に人工的に作られた島に建っている。本島との連絡手段はモノレールのみで全寮制の学校だ。
世界中の国が出資した学校なだけあって1つ1つがかなり豪華だ。これにはきっと各国のエゴが絡んでいるんだろう。俺が一番金出したから学校の管理すると某厚顔無恥な米の国が言ったそうだが当のIS開発者が「日本人に管理は任せる。それが嫌なら全てのISの機能を停止してデータを削除する」と脅したから学長を始めほとんど全ての職員が日本人だ。
その話を千冬さんから聞いた時、束さんが年中逃げ回っている理由が分かった気がした。それと束さんに好感が持てた。
入学式後は教室に戻って担任を待っている。説明では千冬さんが担任なんだけどちょっと遅れている。
教室は喧騒に包まれ、廊下には俺と一夏くんを見に来たミーハーが押し掛けている。
女子校の雰囲気は知らないからいろんな想像をしてここに来た。
以下、俺の妄想
「おほほ、御機嫌よう」
「御機嫌よう」
「今宵の月はお美しいですわ」
「誠、美しいですわ」
「お姉様…///」
「初めてなのでお手柔らかに…///」
以上、俺の妄想
これじゃあ女子校じゃなくてお嬢さま学校だな。
以下、現実
「ゲッ!ナプキン忘れちゃった」
「あたしの貸したげる」ポイッ
「やっぱ俊葵さんのお腹最高よね」
「同じクラスになれるなんて人生最良の日だわ」
「これ見て。今日発売の俊葵さんのグラビア」
「それどこで手に入れたの?」
「私の姉さんが編集社で働いてるの。デモ版の冊子を送ってもらっちゃった」
「あんたどこ中?さっきからガンくれて何様?」
「貴女みたいな頭の悪そうなギャルでもこの学園に入れるのね。金?」
以上、現実
よくよく考えたら貞操感が逆転してるわけだからここは男子校みたいなもんだ。
ナプキンが飛び回るのも、教室後ろのロッカーに汗臭いジャージが置いてあるのも、エロ本を持っている生徒がいるのも、ヤンキーが喧嘩しているのもそう考えると頷ける。
しかし年頃の女子が汗臭いジャージをロッカーに放り込むのは如何なものだろうか。俺が匂いフェチじゃなかったら完全に冷めた目で見ていたぞ。
と言うか入学式が終わって早々になんで荷物が溢れてるんだよ。もしかしてみんなは春休み中に前ノリしてたのかな。
教室を見回すと一人の男子生徒に目が止まる。
一夏くんはとても賢い。特に何もすることなくボーッとしている俺と違って寝たふりをしている。
「ちょっとよろしくて?」
教室がいきなり静かになる。俺が話しかけられたのだと気付くのにそう時間はかからなかった。
「はい、大丈夫です」
「私はセシリア・オルコット。もちろんご存知ですわよね?」
セシリア…セシリア…どこかで聞いたことある。なんだっけな。入学前にISについて調べてた時にどこかで……あぁ!あれだ、代表候補ってやつ。
「イギリスの代表候補だっけ」
「そう、エリートなのですわ」
「すげぇ、エリートに話しかけられちゃった」
「それはとても喜ばしいことですわよ」
「それでスーパーエリートさんが俺に何か用?」
「俊葵さん、私が貴方にISとは何か教えて差し上げますわ」
「それは私たち教師が行う」
いつのまにか戻っていた千冬さんがセシリアさんの後ろに立っていた。
そのなりは正に鬼の形相だ。背後のゴゴゴゴゴゴと効果音が見えそうだ。
「お、おほほ、では御機嫌よう」
千冬さんは逃げようとするセシリアの肩をガシリと掴み耳打ちした。
「新入生が勉強熱心そうで良かった。放課後、私のところへ来い。補修してやる」
美人な先生と補修なんて羨ましいと思ったけれど、そこはそれこの世界。男の教師と二人きりの補修なんてクソだ。俺ならふけるね。
「諸君らの担任になった織斑千冬だ。私の仕事はお前たちを半年で使い物にすることだ。文句は言ってもいいが逆らうな。それと男子に手を出したら退学以上のひどい目にあうからな」
俺としては手を出してくれても構わないんだけど。むしろ年下の女の子が童貞っぽくエロ本知識で迫ってくる不慣れな感じを楽しんでみたい。
「それでは出席番号順に自己紹介をしろ」
「相川清香。中学ではハンド部でした。高校でもハンドをやる予定です。よろしくお願いします」
「リゼッタ・イシュミール。インド出身です。日本語はまだ苦手ですが頑張ります。よろしくお願いします」
国際色豊かな学校なのでウチのクラスは4分の1は外国人だ。他のクラスはもっと多いみたいだけどきっと俺と一夏がいるから日本人を多く回してくれたんだろう。
人の名前と顔を覚えるのが苦手な俺は人一倍真剣にみんなの自己紹介を聞く。
「織斑一夏です。趣味は特にありません。一人暮らしが長かったので家事は得意です。よろしくお願いします」
一夏さんの挨拶はとても当たり障りのないものだった。この世界の男っていうのはこんなものなんだろうか。
何を言おうか考えていたらすぐに俺の番になった。クラス中の視線が俺に集まる。
「松崎俊葵、20歳です。趣味はゲームと料理、好きな食べ物はラーメン。これから三年間よろしくお願いします」
俺も当たり障りのない自己紹介にとどめた。どうせ休み時間になったら質問攻めになるのがオチだ。
……
…
休み時間になったらさっそく囲まれた。廊下には別のクラスからも俺や一夏を見学に来ている。きっと動物園のパンダやホワイトタイガーはこんな気分だろうな。
質問責めは人生初の経験なもんで一人一人にしっかりと答えているから大変だ。
そんな俺を救ってくれたのはスーパーエリートのセシリア・オルコットさん。
「俊葵さんは専用機をお持ちですの?」
「多分持ってる」
「多分?」
「束って人が俺のためにISを作ってくれるんだって」
「束博士が!?」
「うん、入学前に俺に会いに来てさ。それでISを作るって。断る理由も無いし二つ返事でお願いしたよ」
「すごい、束博士に会ったんだ」
「しかも専用機を作ってもらえるなんて」
「やっぱ男は良いよな〜。男ってだけで専用機持ちじゃん」
「うらやまー」
「どのような専用機ですの?」
「とりあえず音楽再生機能は付けといてって言っといた。あとはカッコよくとか」
俺もISには必要そうのない機能ばかり要求したと思っているが元は戦闘用に作られていないから問題ないだろう。
「兎に角、俺の専用機はまだ届くまで時間がかかりそう。早く乗り回したいぜ」
これ以上、話を長引かせても面倒臭いので席を立ってトイレへ向かう。
俺たち男子生徒は教員用のトイレ及び身体障害者用のバリアフリートイレしか使えない。ぶっちゃけ女子トイレでも良いけどそれはそれで問題だよな。
職員用のトイレを使うってなんだか禁忌って感じがするのは気のせいじゃないと思う。大学に入ってからはそんな事なくなった訳だけど小学校の時なんてすごく気にしてた。
職員用の扉を開けると上半身裸の山田先生とばったり会ってしまった。
「あの…何してんすか」
「胸が大きいと汗がたまってしまって。こうして休み時間に拭いておかないと汗疹になっちゃうんです」
片手でスイカみたいなオッパイを持つ様は凄まじい。きっとアレ片方1キロ以上ありそう。
「ちょっと手伝ってもらえますか?胸が重いと大変で…オッパイを持ち上げておいてもらえますか?」
これはきっと女子に汗を拭きたいからシャツをめくっててと言うのと同じだと思う。思いたい。
山田先生のおっぱいはとても柔らかくて指が沈んでいく。このまま触り続けたいけど逆セクハラとか訴えられそうなので泣く泣く手を離す。
「ありがとうございます。……少し濡れちゃいました(ボソ)」
バッチリ聞こえてしまった。聞こえたからには山田先生の股を気にしてしまう。
「そ、それじゃあ俺も用を足しますんで」
「それでは次の授業で」
山田先生が出て行ったのを確認してから個室トイレに入る。さすがIS学園というべきか。ウォシュレット付きトイレだ。当たり前だけどビデも付いてる。
しかも排便の音を消すためのBGMまである。こんな高級なトイレは初めて入った。
「あぁ……こんな快適なトイレ初めてかも」
ガチャ!
「!?」
「もう、ここ人いる」
声だけじゃあ誰か判断できないけど誰か入ってきた。
「えぇ〜ここも〜」
「それじゃあ屋上行こうよ。どのみちここで吸ったら匂いでバレるじゃん?」
「それもそうだね。それじゃあ行こっか」
緊張でケツの穴が縮こまっちまった。こんなんじゃあクソもできやしねぇ。
仕様がないので教室へと戻った。戻るとさっきよりは落ち着いている。
「どこへ行っていたんですの?」
「男が黙ってどっか行った時はトイレかタバコのどっちかだ」
「失礼な事を訊きましたわ」
セシリアさんのお嬢様口調はなんだかむず痒い。孫の手が欲しくなる。
千冬先生が入ってくるとまだあと数分休み時間が残っているというのに全員席に着いた。
「それでは授業を始める」
……
…
「はじめの授業だったので今日はこれくらいにしておく。ちゃんと復習しておくように」
頭から湯気が出そうだ。ISの座学は覚えることが多くて大変だ。法律だの構造だのわけわかめ。
「どうでしたか?大学生の俊葵さんには簡単でしたでしょう」
「ところがそうはいかない烏賊の金玉。めっちゃ難しかったぜ。別に犯罪犯すわけじゃないんだから法律なんて良いじゃん」
「ふふ、それではいけません。銃は危ないと分かっているから免許や法律があるのです。ISも同じ。使い方を誤れば戦争だって起こせるのですから」
「そんなもんかねぇ〜」
「そう言うものですわ」
「ところでセシリアさんって」
「セシリアで結構、もしくは愛称で読んでいただいでも構いませんわ」
熟考する事なく思い浮かんだことをそのまま口にする。
「じゃあセシリーっていま恋人とか許嫁とかいるの?」
場が凍りついた。
「え、えっと…それはどう言う」
「いやさ、貴族とかお嬢様ってなんか幼い頃から結婚相手が居るみたいなイメージあるじゃん?だから真相が気になった」
「成る程、今の所いませんわ。俊葵さんが私のフィアンセなら大喜びですが」
「オレはやめといたほうがいいよ。IS学園って可愛い子多くて目移りしちゃってるから」
「ですがいずれは私が物にして見せますわ」
穏やかで冗談みたいに言ってはいるが目が全然笑っていない。
……
…
IS学園での最初の授業が終わった。
学園側が便宜を図ってくれたのか一人部屋だ。一夏はお姉さんと同じ部屋に居るみたいだけど俺は親類縁者がいないので寮長の部屋の隣にある予備の寮長の部屋に住むことになった。
他の部屋の間取りを知らないので一概には言えないがこの部屋は広い部類に入ると思う。一人暮らししてた時よりも広いし風呂トイレ別でキッチンもシンクとIHだけじゃあなくて台がちゃんとありオーブンと電子レンジまで完備されている。
「〜♪〜♪」
俺は荷ほどきを終えて鼻歌交じりに夕飯作りをしている。
学食に行こうとも思ったけど昼に食べたしご飯も炊いておきたかったので自分で作ることにした。
「愛しているのさ狂おしいほど♪会えない時が教えてくれたよ♪」
大好きな歌手が女性になっていたのは衝撃だったけど歌自体はあまり変化がなくて助かった。
ハンバーグの種をベチベチと空気を抜いてオリーブ油をひいたフライパンに乗せて中火で蒸し焼きにする。
デミグラスソースも自作したかったが時間がかかるので面倒なので缶詰めのソースを味付けし直して使うことにした。
デミグラスソースをフライパンで熱しながらトマト缶やソースで味付けをする。
一人暮らしの時から一人分だけ作るというのが苦手で今回も二人前くらい作ってしまった。
まぁいつものことだし俺もそのぐらいペロリなので問題はない。ただ俺が更に太るかもってだけ。
深めの皿にハンバーグを移してレンジで作ったホクホクポテトと人参のグラッセをのせて完成。
机に並べて夕食を開始しようと思った矢先、部屋のドアが叩かれた。
「すみません、俊葵さんはいらっしゃいますか?」
綺麗な女性の声がする。まぁ女性しかいないから綺麗な声なのは当たり前なんだけど。
扉を開けるとセシリアさんがバスケットを持って立っていた。
「食堂にいらしてなかったようですので夕食はまだですわよね?」
「うん、まだ食べてないよ。作ったから今から食べるとこ」
「でしたらこちらをどうぞ。私、腕によりをかけて作ってまいりました」
「へー、ありがと。そうだ、一緒に食べようよ」
「よ、よろしいのですが?!」
「もちのロンだよ。折角だし二人で食べた方が美味しいって」
セシリアさんを部屋に招き入れて椅子を出す。
「セシリアさんって料理得意なんですね。めちゃくちゃ綺麗じゃないですか」
「褒めてもらえて光栄です。簡単なサンドイッチしかできませんがどうぞ」
「いただきます。あぁ〜む……うっ」
「いかがですか?」
目を煌めかせながら訊いてくるセシリアさんには悪いけど美味しくない。
パンは汁を吸ってベシャベシャだしなんか変な匂いのするシーチキンが入ってる。ナニコレ?
「実は日本風にしてみましたの。和食とパンの融合ですわ」
「折角作って来てくれたとこ悪いんだけどさ。びっくりするほど不味い」
「んな!?」
「食べてみれ」
セシリアさんも一口含む。しかし顔を青くしてどうにかこうにか飲み込んだ。
「すみません、こんな不味いものを食べさせてしまって」
「良いんだって、気持ちが嬉しいんだよ。それより俺のハンバーグも食ってくれよ」
クソ不味いことを指摘したのはまずかったかな。
「俊葵さんは料理が得意なのですね。できれば私に教えて欲しいのですが」
「えぇ、良いですよ。それじゃあ時々俺の部屋で一緒に料理しましょうか」
「はい!」
この時の俺はとんでもない約束をしてしまったと思ってもいなかった。
あとで知った話なのだがクソ不味いシーチキンはサバの味噌煮(手作り)だった。臭み取りもせず骨も取らず、味噌で煮ただけのものを挟んだらしい。
それじゃあ不味いわけだよまったく。
今回も最後まで読んでいただいてありがとうございます
エロはまだまだお預けです
次回『練習』