北海道の朝は冷える──いや、昼でも夜でも冷えるが? どっちみち寒いっちゅうねん!
ただまあ、これがあれば耐えれる。──そう、ユキちゃんがいればね。
「んー、ぬくい……」
「んっ、先生、そろそろ……」
俺は朝、目を覚ますと、朝ご飯を作ってくれるユキを後ろから抱きしめて、そのおっぱいで手のひらを温めていた。
ユキの体温は高い。ロリっ子だから。ロリっ子は体温が高いって古来より決まってる。古事記にも書いてある(大嘘)。
いや、ほんと馬鹿な思考してしまうくらい、ユキっぱいは温かくてもにゅんもにゅんでたまらん。この手のひらいっぱいに感じる吸い付く中学生Lカップに抱きやすい小柄な身体……はぁ、ほんと、この子、家に持って帰れんかな……?
美少女を抱いて、好き勝手堪能して煩悩を満たしていると、締りのない思考や表情になってしまう。ただただ気持ちいい。昨日までは布団を抱いて、肉棒を布団に擦りつけていたのに、今はユキを抱いて、ユキの柔らかい肌に肉棒を擦りつけている。あー、気持ちいい……。
朝勃ちなのかユキで勃起したのか、分からないが、とにかく一晩経って再びギンギンになった肉棒は、ユキの背中に擦りつけられている。
とりあえず、朝飯が出来たというので、トーストと目玉焼き、ソーセージというシンプルでどこにでもあるような朝食を頂く。いや、どこにでもあるが、これもまたいいものだ。
「美味いな。ユキは料理も出来るのか」
「それほど得意という訳では……これも、書いてあるやり方で作っただけですよ?」
「世の中にはその書いてあるやり方も出来ない人もいるもんだ……それに、ユキが作ったと思うとこの市販のパンや卵、ソーセージだって美味いぞ」
「……先生……ありがとうございます。とても、嬉しいです」
かぁぁっと、頬を赤くして恥ずかしそうに喜ぶユキ。あー、朝から可愛いもん見ながらの朝食、マジで進む。テレビでは朝のニュース番組が、今日のにゃんこのコーナーをやってて和むが、こっちの方が可愛いし和む。今日のユキのコーナー。朝ご飯を褒められて顔を赤くするユキ。可愛い。毎日やれ。
それに、朝ご飯の方だってお世辞じゃない。いやほんと。これ、スーパーで買って作ればそりゃ誰でも食べれるんだけど、その買って作るってのが、一人暮らしの男には、まぁまぁ機会が訪れなかったりする。
いや、作る人は作るだろうし、俺も一時期は毎日の様にご飯を作ってた。ちょっと自分でチャーシュー作ってみたり、残った魚で粗汁を作ってみたり、色々凝ったことをしてみるのは男の料理あるあるじゃないか? カレーとか炒飯とか、自分で作るのが異常に美味い、美味いと感じるのはほんとあるあるだと思う。
ただ、まあ……なんだろうな。ふとした瞬間、唐突に──飽きる。面倒になる。ちょっとそういうのが続くと、今度はあまり作らなくなる。最近美味くて安い店見つけたからそっちでいいや、みたいな感じで、ちょっとずつ作らなくなったりするのだ。
俺の場合、プロの仕事はストレスというか精神力も使うし、外出や遠征も多いから、スーパーで食材を買って置いておいても、腐ってしまったりするので余計に遠ざかった。まあこれからは暇になりそうだから作るかもしれないが、少なくとも最近の俺の朝食はシリアルだ。牛乳掛けて食べるだけでそれなりに健康的で美味しい。割とお勧め。ただ、これも牛乳がなぁ……たまに腐る。
だからこういう朝食は好きだ。実はホテルの朝食バイキングで昨日食べることも出来たが、昨日は和食を中心に食べたし、今日に至ってはユキの家でお泊り。まあ、ある意味ちょうどいいか。普通の朝ご飯を普通に美味しく食べれるってのは小さな幸せだと思う。いやマジで。
しかも女の子が、美少女が作ってくれるというのが最高。何気に普通ってのもポイント高いよね。凝りすぎてると、それはそれでびっくりしない? 実は食べたことないような凝った健康的な食べ物を沢山作るより、食べ慣れた一般的なものを出す方が嬉しい男も多いので、女の子はそれを実践しろ。作ってくれるのは有り難いし、文句を言うべきではないって分かってるからこそ、何も言えなくてフラストレーションが溜まることだってあるんだよって。
何が言いたいかって言うと、サクサクトースト美味ぇ。シャキシャキウインナー美味ぇ。目玉焼きも美味い。いや、実は卵焼き派で、そんなに目玉焼きは、ハンバーグに半熟目玉焼き乗せる以外は食べないのだが、たまに食うと趣がある。それに加えて、こんな洋食の朝は、オレンジジュースに限る。コーヒー? いや、嫌いじゃないんだけど、俺、実は一時期コーヒー飲みまくってたら胃がおかしくなったんでもう飲まなくなった。味も香りも好き。だけどまあ、柑橘系の果物は基本好きなので、子供みたいにコップ一杯のオレンジジュースをゴクゴクと飲むのが爽快なのだ。100%に限るな、うん。
「ごちそうさま」
「……ジュースのおかわりいりますか?」
「貰う」
二杯目。ユキがパックを持って近寄ってきたので、有り難く頂戴する。今度はちょっとずつ。いや、二杯目は味わって飲みたいんだよ(我儘)。
それはともかく、腹が膨れて気力が満たされてくると、少し気分も落ち着いて冷静になってくる。
今日は北海道遠征、そして有珠山高校麻雀部への指導最終日である。今日の夜の最終便で、飛行機で名古屋まで帰ることになっている。これから、朝の10時過ぎくらいにはまた有珠山高校に顔を出すのだが……一回ホテルに戻ってチェックアウトした方がいいか。指導が終わって……そうだな。5時くらいに最後の飯でも連れてってからお開きだ。そっから車で新千歳空港まで。正確にはレンタカーに寄ってからだが、まあ、2時間ちょい、十分間に合う。家に帰るのはそれなりに遅くなりそうだが……まあ、しょうがない。自分で決めた二泊三日の日程だ。
そして後2時間くらいで……いや、一度ホテルに戻るからもう少し早く戻らないと駄目か。だがそれくらいには麻雀部に顔を出さないといけないので、ここでそうゆっくりもしていられない。
食事を取って、我が物顔で真屋家の家のリビングでソファーに腰を預けているが、さて、どうしようか──ムラムラする。
昨日あれだけしたのに、朝になればもう性欲が湧いてくる。いや、本来なら湧いてこないだろうが、ヤれる美少女が朝から目の前にいるっていうのが堪らないのだ。さっきまでおっぱい揉んでチンコ擦りつけてたし。
しかしほんとどうしよう。自由に出来る時間が後1時間半くらいなのだ。その時間でヤるのも……うーん、ガッツリやるのは後始末がな……。
とかなんとか考えていると、ユキが近寄ってきた。しかも抱きついてきた。うーん、可愛い。懐ききった猫みたい。でも猫じゃなくて美少女。可愛いだけじゃなくて性欲だって湧いてしまう。胸に押し付けられたむにゅむにゅのおっぱいを揉み上げながら、俺は聞く。
「どうした?」
「……先生……今日、帰るんですよね……」
おおっと、ここでそれを言われるか。うん、まあ、そうだけど……そんなしゅんとしながら言われると罪悪感を感じてしまうからやめてほしい。困る。いや、俺だって残念だよ。ほんと。ユキとこうやってエロエロイチャイチャするのもそうだが、単純に彼女達、有珠山高校麻雀部の面々には、たった二日、まだ三日すら経ってないのに、ちょっと愛着が湧き始めてるくらいだ。
まあそれも、彼女達がいい子たちだからだろう。プロとしてはゴミみたいな自分の指導を、自ら頼んだとはいえきちんと聞いてくれて、一緒にご飯を食べに行ってくれるほどに慕ってもくれている。まあ、単に飯に釣られただけかもしれないけどな。でもそういうところも可愛げがあって気に入り始めている。可愛げってのは大事だ。別に優秀じゃなくても、ちょっと手が掛かったとしても、可愛げがあればつい面倒を見てしまう。見た目だけの問題じゃない。なんだろうな、不器用でも一生懸命な奴とか見てるとどうも憎めない。迷惑を掛けられても許してつい首を突っ込んでしまう。
彼女達は俺を認めてくれてる……まあたった3日だし、本当のところはどうだか分からないけどな。ただ、少なくとも普通には接してくれている。
それを嬉しくは思うし、何よりユキは……オカルトの効果とはいえ、俺に惚れて、俺がいなくなることを寂しく思ってくれてる。
俺だって嫌だが、こればっかりは仕方ない。だからまあ、こう言うしかない。
「……まぁ、そうだが……そのうち遊びに来るさ。北海道は結構気に入ってるからな」
「……週何ですか?」
「えっ、いや、それは無理だろ……行きつけの店じゃないんだから……」
「……月一ですか?」
「いや、多分……そうだな、半年……いや、4ヶ月……か、3ヶ月に1回くらいなら、まぁ……」
そう言うと、ユキの腕の力が強まった。ソファーに座る俺の上に座り、ぎゅうっと強く抱きついてくる。
「……先生はずるいと思います」
「ん……まぁ、悪いな」
「私、先生の女ですよ」
「ああ。……そうだな。俺が好きなら、これからも頑張ってみたらどうだ?」
「何を頑張るって言うんですか。頑張っても、先生は……」
「いや、例えばだが、ユキが頑張ってインターハイで活躍なんかしてくれれば、俺もこっちに来られるかもだし、ユキだって将来、俺と頻繁に会うことも出来るかもだぞ?」
「! それは……どういうことですか?」
悲しそうだったユキの目が見開かれる。
だから俺は言ってやる。まぁ、下心のようなものだ。良い話でもなんでもないが、
「実のところ、俺はプロの中でもかなり崖っぷちでな。いつプロをクビになってもおかしくないんだが……プロをクビになったら、どこかの高校か、実業団のコーチでも出来ないかと考えてる。どうせプロには戻れっこないしな」
「それは……。あ、でもそれなら有珠山高校に……!」
「いや、有珠山高校の麻雀部は実績も何もないだろ? 外部からコーチを雇う余裕も理由もない。部費だって殆どないだろうからな」
「私、一生懸命頼みます。先生に」
いやいや、そういう問題じゃないだろ、と内心でツッコミを入れる。まあ俺が校長とか理事長ならユキみたいな美少女の頼みは聞いちゃいそうだが、まあ、普通は無理だ。何もしてなければ。
でも、今年は違うだろ? と、俺は言ってやる。
「実績が無ければ外部コーチも雇えないだろうが、実績が……つまり、お前達がインターハイなんかで活躍すれば、話は変わる。コーチの話だって聞き入れてくれる可能性は高いだろうな」
「! ほんとですかっ!?」
ああ、本当だ。それくらいは学校も許可するだろう。
ただまあ……俺を雇ってくれるかはまた別の話だ。全国で活躍するほどの高校。もし今年活躍すれば、多少でも来年からは人だって集まるだろう。学校側だってこうなると欲が出てくる。毎年、インターハイで活躍するような部であれば、入学希望者だって増える。
そうなると、学校側も、むしろ自ら設備やコーチなどに投資するかもしれない。そうなってくると、実績のある元プロなどの人材を選ぶだろう。
だから俺が選ばれるかどうかは微妙なところ。彼女達が俺を慕ってくれている……という部分に賭けて、ようやく半々ってところか。かなり甘く見積もってるが、まあこんなところでいいだろう。
どっちかっていうと、ユキが近くにいたいというなら次の方法の方がいいだろうからな。
「それに……ユキはアイドルになるんだろ?」
「! ……はい。先輩方や先生、励ましてくれた瑞原プロのためにも……」
その部分の想いに変わりはないようだ。なら大丈夫だろう。
「……それなら、アイドルになって……もしくは、牌のおねえさんみたいなアイドル兼プロ雀士なんかになれば、全国を回れるし、俺にだって会いやすいかもだろ?」
「……なるほど」
ユキが頷く。うん、まあ、会いやすくはあると思う。ただ一個問題があるとすれば、
「まぁ、アイドルになったら俺とこういう関係でいるのも本当はよくないだろうけどな。……ただ、ユキはそれでも俺とこうしていたいだろ?」
「はい。アイドルになっても、私は先生が大好きです。だから、悪いとは思いますが、必ず会いに行きます」
うん、問題だけど問題じゃなかった。
俺にしては強気な発言だが、まあ、これはオカルトのおかげだ。ユキが俺にべた惚れしてるって確信があるし、きっとアイドルだろうがなんだろうが関係なく俺のことを好きで居続ける。……それって何気に最高では?
卒業してアイドルになったユキを、人気者になったユキを、俺は変わらず抱き続けることが出来る。皆の人気者になったかもしれないが、ユキは俺の女なのだ。俺がしゃぶれと言ったらその可愛い声を出す小さい口でしゃぶるし、挟めと言ったらそのこれからも成長するであろう男を惑わす魔性のロリ爆乳がぬっぷりと俺の肉棒を挟む。抱かせろと言えば抱かせてくれるだろう。アイドルまんこはすでに俺に売約済み。この身体も心も俺のものなのだ。
しかもよくよく考えれば、これでオカルトによって俺の女になった美少女は3人。将来的には、4Pだって出来るし、はやりさんとユキのアイドルハーレムとかも……ヤバい、想像したら興奮する。
日本の健全な男共のオカズになるような爆乳美少女アイドルは、俺にだけ奉仕し、俺の精子だけを実際には搾り取るのだ。
そのオスとしての優越感は、身悶えしてしまうほどの気持ちよさだろう。想像しただけでもだらしない笑みを浮かべてしまいそうになる。まあそれはそうだろう。まだユキはアイドルになっていないとはいえ、誰もが羨むような美少女であることには変わりなく、彼女も含めた美少女を3人も自分のものにしたのだから。
妄想でしかありえないようなハーレム。現実ではありえない状況を、実際に作っているのは俺という事実。
しかもその気になれば、ここから更に数を増やすことだって出来るかもしれない。男1人に、最低でも3人以上。両手で美女を抱きかかえながら、その下でもう1人に腰を打ち付けることだって出来る。
ああ、最低だが最高すぎる。今からユキと離れなければいけないというのに、野望が俺を昂ぶらせる。いや、ユキと離れなければならないからこそ、それを考えることでその先を考えないようにしているのだろう。
だからこそ、俺はユキに希望を与えるのだ。俺のモノで居続けられるようにと、
「今だってこうしてるし、バレなければ……まあ、ユキはずっと俺の女だ」
「……なら私、頑張ります。先生のためにも負けません」
「ああ、その意気だ。可愛いぞ。そういうところも好きだ」
「はい。私も先生が大好きです……それに、私が一番先生に愛されてみせます」
「え? ……って、ちょ、ユキ……!」
ユキが俺のズボンに手をかけ、下着ごと脱がして俺の肉棒をさらけ出させる。先程から抱きつかれたり、想像でギンギンになった肉棒だ。
そこをユキは握って優しくシコシコと扱くと、服をめくって下乳の谷間だけを露出した。
「瑞原プロよりも……私の方が先生を気持ちよくしてあげられます」
「っ、おお……あっ、着衣パイズリとは……やるな……うぉ」
その下乳の谷間。魅惑のおっぱいホールの入り口に、ユキは肉棒を迎え入れて、しっかりとホールドしておっぱいで肉棒を捕まえる。
その瑞々しい吸い付く乳肌に、思わず腰を浮かせてしまうが、
「気持ちよくなってる先生も、私、大好きです。集合時間まではまだ時間がありますし、好きなだけ先生の大好きな私の大きな胸で……パイズリで気持ちよくなってください……」
「っ、あ、あぁ……! 朝一のユキの着衣パイズリは……やば、い……はぁ、最高……」
ユキが俺が教えたパイズリという言葉を使って、俺を興奮させようとしながらLカップのおっぱいをたぷたぷと腰の上で動かしてくれる。あー、なんというかもう……この子、持って帰りてー!
結局、集合時間までユキのおっぱいで2回。お口でも2回抜かれた俺は、一応スッキリとした状態でホテルへと戻り、3日目の指導に向かった。
──とまあ、俺の心情さえ無ければ良い話に見えなくもないようなやり取りを交わし、俺の北海道遠征は終わると思ったのだが、
「よーし、先生! 200万払うからもう1年だ! ──出世払いで!」
「いや、獅子原。そういうのは詐欺だ──あ、いや、獅子原ならありうるか……?」
「私も払います。──身体で」
「ええっ!? か、身体で払うんですかっ、ユキちゃん!?」
「ユキなら払えるね! なにせアイドルになるから!」
「あ、アイドルと身体の値段って関係あるの……?」
いや、関係ある(断言)。多分、2百万くらい払っても、ユキや、はやりさんみたいなアイドルなら買う奴もいるだろう。
ただまあ、そんな冗談を言うほど、他の面子も俺のことを気に入ってくれてるとは意外だな。もうちょっとあっさりと別れるものだと思っていたが──後、ユキ。その発言は危ない。真顔で言っていたため、冗談だと思って流されたみたいだが、かなりギリギリだ。どう甘く見積もっても、俺相手になら身体で払ってもいいって思ってるように聞こえる。事実なのだろうが。
「はぁ、ほらお前ら、そんなこと言ってないでさっさと打て。今日は5時には終わるんだからな」
「え、なんで5時?」
「昨日まではもう少し遅い時間まで見てくれてましたよね……?」
岩館と本内がもっともな質問をするので、俺は答えてやる。
「……5時に終わらないと、最後の飯に行けねーだろうが! 俺は最後にラーメン食って帰るんだよ!」
「え、もしかして今日も奢り?」
「支払いは任せろー! バリバリ!」
「よくわかんないけど奢りだね!」
いや、そこは、やめて! なんだよなぁ……だが如何にノリが良い連中とはいえ、知らないネタに乗ることは出来ない。口でバリバリって言うの、中々アレなんだけどな。まあいいが。
とりあえず、俺は最後まで、麻雀を打った。一応、役満も狙い続けながら。──全然、チャンスすら来なかったけどな!
ただまあ、なんだろう。久し振りに、麻雀を打って楽しい気分になった。いや、楽しいっていうか……気楽といえばいいのだろうか。凄く肩の力を抜けた気がする。
そうして日が沈み、約束の5時になると、部室を片付けて、学校の駐車場に止めていた俺のレンタカーに皆が乗り込む。するとその車内で、
「……先生。私のこと……いえ、皆を名前で呼んでください」
「……なんだ突然。ユキ、とか、爽~、とか呼べばいいのか?」
「なんで私の名前、そんな気の抜けた呼び方? でも先生なら構わないけどね」
「おいおい、また会えるかどうか分からないってのに、名前で呼んで仲良くか? 微妙に切ないな」
「いや、先生にはまた来てもらう! ──お小遣いが溜まったら!」
「いや、それするくらいなら、皆でお金を出し合った方がいいんじゃないの……?」
「そうですねっ。その方が素敵です!」
「えー、せんせーならタダでもくるでしょ? だって5000円もらったところでただどころか赤字だし」
「それを言うな岩館ェ! 俺も、採算が取れてないのは分かってんだ……はぁ、いや、いいんだけどな」
車の中で、そんな会話。青春真っ只中の彼女達との会話だ。
その一場面に、その思い出に、俺が入ってることが少し奇妙でむず痒く感じる。
「……ま、安心してよ。夏になったら皆で東京行くからさ。先生も来ればいいじゃん?」
と、不意に爽が不敵にそんなことを言う。ははっ、中々面白い。そんな簡単に、口先だけの約束でインターハイに行けたら苦労しない。
……だがまあ、彼女達の実力は俺が……よく知ってるとまでは行かないかも知れないが、ある程度は知っている。
その可能性はあるだろう。いや、あるって俺が信じたいだけかもな。もしかしたら行けない可能性の方が高いかもしれない。
だからまあ、もしインターハイまで来れたら、
「……はっ、そうだな。その時は、お前達を名前で呼んで……ついでに控え室にでも乗り込んでやるよ。コーチ面してな。追い出されないようにどうにか関係者枠にでもねじ込んどけ」
「お、言ったな? よし、インターハイに行く理由がもう一つ増えたぞ!」
「はい。──絶対行きます」
「まぁ、せんせーのお財布事情を考えるとね」
「爽のお財布事情もね」
「そういう約束も素敵ですっ!」
皆が、ちょっとした冗談交じりのようなノリだが、確かにそう言ってくれる。
いや、分かる。彼女達は本気で行く気なんだろう。全国の高校生の頂点を決める大会──インターハイに。
だからこそ、俺なんかを呼んで少しでも強くなろうとした。
それに、俺は少しでも応えられただろうか──なーんて、俺には似合わないな。うん、この思考はやめよう。俺なんかが居なくとも、彼女達は前に進むだろうしな。俺はまぁ、相変わらずクズい思考で自分の為に動くだけだ。
……ただ、少しくらいなら、普通に彼女達の為になるような、そんな普通のことをするのも悪くない。この楽しませてくれた借りの分くらいは。
車を運転し、ラーメン屋に着くと、皆が降りていく中で、最後尾のユキが駆け寄ってきた。そして誰も見ていない瞬間、俺の手を引っ張る。
「先生、約束ですからね」
ちゅっ、と触れるだけのキス。
随分とギリギリな瞬間のキスだ。それをして、ユキは皆の輪に入っていく。
「ははっ……どんな状態だよ、俺……」
傍目には良いコーチみたいだが、その実教え子と隠れて恋愛をしているかのような変な感じもある。どうにもアンバランスだが……当然、俺の立場としては悪くはないな。
贅沢な気持ちを感じながら、俺は北海道の冬空の下で、3日間だけの教え子たちとラーメンを食べる。なんとなく、あくまでもなんとなくだが、俺はこの思い出を忘れないような気がした。
……なーんて、思ってたこともあった。
「あー……帰ってきちまったなぁ……」
俺が住むマンション。その4階。高くもなく低くもない中途半端な階にある、正に俺のような高さに、俺の部屋はある。
スーツケースを押して、鍵を開けて家の中に入れば、3日振りの部屋の中。
久し振りなせいか、家特有の匂いがする。別に臭くはないが、空気が籠もってるか?
「ふぅー……」
俺はベランダを開けて、空気を入れ替えながらなんとなく外を見る。
冷蔵庫から冷えたグレープフルーツジュースと、家に常備しているウォッカを取り出し、グラスに氷を入れると、ウォッカを適当に、まぁ、45ml程度。そしてグレープフルーツジュースを入れて適当に混ぜる。俺がよく、家で1人飲みするときの飲み方だ。
名前としてはブルドッグというらしいが、俺は自分でこれを二十歳の時に適当にやってから飲み始め、後から名前を知った。ソルティードッグの塩無し版といえば分かりやすいかもしれない。
「はー……」
喉を潤す。グレープフルーツの酸味と、ウォッカが混ざりあった、少し苦味もあるこの味わい。
喉の奥から熱くなるような、冬に最適なお酒を飲む。
そうして、傍目にはちょっとハードボイルドに見えなくもないような、感じで飲みながら思うのは……最低なことだった。
……あー、ヤりてぇー……。
セックスである。そう、エッチがしたい。
帰ってきて、思った。なんでユキがいないんだと。
もし北海道なら、このままラブラブエッチである。昨日の夜のような、男として最高の幸せを味わえるのである。
だが家の中にユキはいない。はやりさんもいなければ、良子だっていない。
そう、ヤれる女が、俺の女が3人もいるのに、1人としていつだってヤれる女はいない。
いや、1人も女がいないなら諦めもつくし、こんなにムラムラすることはない。が、俺には最高の女達が3人もいるのだ。
だからこそ、俺の中の性衝動は、肉棒は、女が欲しくてたまらないのである。どうしようもなく猿なのだ。射精なのだ。
マジでホストの振りしてそこらの女を引っ掛けてやろうかと思うが、そこらの女なんかで満足出来る筈もない──と、アルコールが入った頭で馬鹿なことを考える。
「あー、クソ……結局、こうなるのか……」
と、頭をガシガシと掻きながら、その悩みを呟く。欲求不満になると髪を触るというが、ここまで欲求不満になると、髪を掻き毟りたくなるような気がする。
だがこうしていてもどうにもならないのだ。俺は帰り道で立ち寄った、コンビニの袋からツマミにしようと買ってきた柿ピーを皿に開けて、先にピーナッツだけをちびちび食べる。変わった食い方だと言われるが、これが好きなのだから仕方ない。
そうしながら次に取り出したのは雑誌だ。今日発売したばかりの──Weekly麻雀TODAY。
毎週月曜日発売の麻雀雑誌。麻雀雑誌は数多くあれど、一番売れて話題になるのはこの雑誌だろう。
プロの対局、リーグから、高校生、中学生。時には小学生の話題だって載ってるし、女性プロ雀士や高校生なんかのグラビア写真が乗るのもこの雑誌だ。いや、ほんとこの間のはやりさんと良子の水着にはお世話になった。今度、絶対それ着てエッチして貰う。
「さーて、今日は誰かな──っと……」
俺は一応、一ページ目から開いてみたのだが、往々にしてグラビアは最初の方に載っているものだ。
だからまあ、それを最初に見るのは至極当然。そこに写っていたのは──見知った顔だった。
「…………」
俺は無言で、その顔を、写真を、そして煽り文。次のページまで続く水着姿の彼女の説明、記事を読む。
今年からプロになったハートビーツ大宮の若手。高校三年生であった前年度は、名門、白糸台高校、チーム虎姫のキャプテンを務めていた。4月より、本格的なプロデビューを迎える、その大型新人の美麗グラビア写真が──
「はっ、前も撮ってただろうが……」
俺はそれを見て、息を吐いてしまう。気分が盛り下がる。
ただその反面、その美少女の可愛らしいルックスと、そのグラビアに適した出るところが出ていて、引っ込むところが引っ込んでいるいやらしい肢体を見て、興奮している自分もいる。
ただ、この興奮はそれだけではない。自分が一番よくわかっている。この興奮の正体を。
ただ同時に、昔を思い出して気分が落ち込むのも確かなのだ。だから、興奮はしても愉快な気持ちではない。
「チッ……はぁ、あいつも、もうプロか……」
時が経つのは早いな、とジジくさいことを考えてしまう。俺がプロをクビになったってのに、その時にこいつはプロデビューしているし、俺の母校からの出身者はどいつもこいつも実業団やプロで活躍、期待され、俺が知らない現在校生の連中も、特に女子はインターハイ二連覇を達成したらしい。
なんともまあ、羨ましいことで──俺は自嘲気味に、お酒も入っているからか、少し嫌味なことを考えてしまう。
「あー……ほんとによぉ……って、そういえば、俺の事は書かれてるか……?」
と、そこで思い出し、俺は雑誌の後ろの方をパラパラと捲り、小さく載っているプロの解雇者リストを見る──と、そこにはだ。
「書いてんじゃねーか、俺の名前……」
東郷仁──紛れもない俺の名前がそこには書かれていた。
これで世間からも俺がクビになったことは知れた訳だ。いや、まあこんなところを一々見る奴がいればの話だがな。
二軍選手が1人、クビになったところで世間の連中は気にも留めない。憶えすらしないだろう。
だからこれくらいでは何とも思わない。思わないはずだ。クビが、これ以上ない分かりやすい形で現実になったとしても……
「……あ?」
その時、俺の携帯が鳴った。
こんな夜中に、と思う前に、こんな時に、と思う。
今は虫の居所が悪いんだよなぁ、と思いながらも携帯を取る。
「はい、もしもし──」
「てめっ、先輩! プロクビになってんじゃねーか!!」
……と、デカイ声で聞き覚えのある声が聞こえてきた。
俺は思う。コイツかよ、と。そしてぞんざいなテンションで応答することにした。
「うっせーな渡辺。今何時だと思ってんだ。近所迷惑だぞ。罰として、今から焼きそばパン買ってこい。3日までなら待つ」
「どこ住んでるかも分かんねーのに行けるか! それより、クビだよクビ! なんでクビになってんだよふざけんな!」
「冗談だ。つーか、敬語はどうした。俺は先輩だぞ?」
「せ、先輩が敬語じゃなくてもいいつった……んじゃないっすか!」
「それも冗談だ。憶えてるぞ。──なんで敬語使ってんだ琉音。物覚えが悪いのか?」
「ふざけんな先輩! ぶっ潰す!! 今度……って、そうじゃねぇ。今は、そうじゃねぇ……」
相変わらず、良い反応をする奴だな、と俺は後輩の女子からの電話を聞く。
今雑誌に載ってる後輩の一年先輩でもある妙に強気な奴だ。
そんな琉音に、俺はこちらから質問を聞いた。
「……それで? 俺がクビになったって知ったのか?」
「……雑誌に書いてあんだろ。見りゃわかる」
ま、そりゃそうだよな。
だがまあ、そこで俺に電話してくる意味が分からない。俺はそれを問う。
「それで、それがどうした? 別にいいだろ? ムカつく先輩がプロをクビになったんだ。せいせいするだろ。別にいいんだぜ? 笑っても──」
「そんなこと思う訳ねーだろ!! つーか、思ってる奴は私がぶっ飛ばす!!」
「……そうかよ。それじゃあなんの用だ? 飯でも奢ってほしいのか?」
「だから……ああ、くそ。頭がまとまらねぇ……もう簡単に言うぞ」
最初からそうしろ、と言おうと思ったが、また脱線しそうなのでやめた。俺は琉音の言葉に耳を傾ける。
「……さっさと逃げやがって。嘘ついてんじゃねぇよ。栞も、心配してたんだよ」
「……まあ、それは悪かったな。嘘ついちまって。幻滅したか? それなら、こんな奴とはさっさと縁でも切っちまえ」
「別に……そういうんじゃねぇよ。それに……あれだよ、あれ……なんつーかなぁ……」
「なんだよ」
言葉が急に出てこなくなった琉音。まあこいつは感情で話すから途中でこうなることだってある。
その言葉を待っていると、少しして琉音が続きを口にした。
「別に嘘ついたのは許す……が、謝れよ! 直接! 会ってから!」
何を言うかと思えば……、
「……電話越しじゃ駄目なのか?」
「私はいいが、栞は知らん」
「……じゃあ栞の電話番号教えろ。俺、あいつの電話番号知らなくてな」
「は? てっきり知ってると……じゃあなおさら教えられねーな!!」
「なんでだよ。意味不明過ぎてこっちが馬鹿になったみたいな感じになるな」
「感じじゃなくて先輩は馬鹿じゃねぇか。マジでなんでそうなるんだ……」
電話越しの琉音の声は、どうにも呆れ果ててるように聞こえるが……なんだ? 本気で分からん。
俺の行動や言動にこいつを呆れさせるものがあったとも思えないしな。過去も含めて。強いて言うなら嘘ついちまったことくらい。
ただ琉音は、呆れながらもその話をまだ続けるようで、
「……いいから、会いに来い。東京な。クビになったんなら暇だろ、無職先輩」
「次にその呼び方したらマジでお前の腹にホルモンとビールぶち込むからな」
「な、なんだそれ……って、普通の事なのに怖い言い方するのやめろよ……! それに私、まだ未成年だぞ……!」
こいつ、そういえば微妙に怖がりだったな……意外と突然の出来事なんかには弱いし、プロになってからもその辺は解消出来ていないらしい。
だが……と俺は思う。会う、か。色々と諦めていた俺だが、オカルトがある今の俺なら、とも思ってしまう。
それは今更ながら最低な行動だが、もう俺を止めるものもないよな、と思う。そろそろ吹っ切る頃だとも。
「……分かったよ。栞には……そうだな。まぁ、2週間以内には会いに行くとでも言っとけ」
「はぁ? もっと早く来いよ。私も行くから」
「なんでお前が──あ、いや待て。一応お前も来い。あくまで一応な。お前はついでだ」
「すげぇムカつく言い方だな……だけど来るってんなら許してやる。だけど、もっと早く──」
「あー、あー、分かった分かった。そんじゃ来週な。来週くらいには行ってやるよ。そんくらいは待てるだろ?」
「……まぁ、それなら……それじゃあ栞にもそう言っとくからな!」
「おう、それじゃあな」
と、俺は電話を切ると、切った後で即、琉音にチャットを送る──やっぱり2週間後くらいな、と。
そして携帯の電源を切り、ソファへと投げ捨てる。いや、悪いな琉音。こっちにも、ちょっと心の準備が必要なんだ。
何しろ……一応、このグラビアに載ってる栞は──俺が学生の頃に、
というわけで、次回から東京編。と言っても、学生と関わるかは微妙です。道に迷う外人とか生意気な中学生100年生とかとも会いたいけど、主軸はそっちじゃないんだよなって。お楽しみに
皆の熱い感想、待ってる