※この作品はR-18です。

役満で上がると惚れられる   作:黒岩

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好きな人

「ち、ちくしょ……くそ……」

 

「待ちやがれ……!」

 

 俺とボブはヤンキー達を程々に捌いてその場から逃げることに成功した。

 まあやられた奴は漫画みたいに分かりやすく逃げるというか、無言で逃げていったし、まだ大丈夫そうな奴はまだ頭に血が上ってるので周りなんて見えてない。だから適当に相手したところで逃げないと本当にボコボコにしないと終わらない。まあそんなのキリがないしやる意味がないので逃げるのだ。

 理不尽に喧嘩を売られた憤りってのは勿論あるが、ちょっとやり返したくらいで満足しておくことにする。

 そうやってなんとか逃げて寮の近くの路地までやって来たところで俺達は立ち止まったのだ。

 

「はぁ……ったく、なんでこうなるんだ」

 

「HAHAHAHA! 全くだ!」

 

 あんなことがあったのにボブは元気である。いつも通り手を叩いて大笑いしていたが、今はそれなりに遅いのであまり大声は出さない方が良いだろう。

 しかしだ。俺が注意するより早く、ボブは自ら声を落としたのだ。そして俺を見て、

 

「そういえば以前から気になってたんだがYO。ブラザー、普段はそうでもないのに棒を持つと強いよな。何かやってたのかYO?」

 

「…………別にいいだろ。それより、さっさと帰ろうぜ。疲れた」

 

「オーウ、そうだった。そろそろ帰らないとパパに怒られる」

 

 と、俺とボブは揃って歩き出す。俺は寮だが、ボブは実家だ。だが途中までは同じ道順である。

 故に夜道を歩いていたのだが、ふとボブが言った。

 

「なぁ、ブラザー」

 

「なんだよ。さっきのことなら答えねぇぞ」

 

「そうじゃなくてYO。ブラザー、好きなガールでも出来たのか?」

 

「…………好きっていうかまぁ、気になる女はいるけどな」

 

「それを好き、ラブって言うんだぜ、ブラザー」

 

 そう、そうだった。こいつ、こんなんで妙に鋭いというか、意外と周りをよく見てるんだよな。

 だからこの時もいきなりそれを当てられて、ただまぁ、好きって言うかも微妙な、単純にヤりたいというだけの思考だった気がするし、普通に答えたんだ。

 すると話は自然にそういう話題になる。男子高校生だとそんなもんだ。

 

「誰なんだ? ブラザーの好きな相手はYO」

 

「教えてほしけりゃお前から先に言え」

 

「隣のクラスの宮本だぜイェア。……いや、その……ほら、ちょっと小柄で可愛い感じだから……」

 

「お、おおう……ボブ、お前、そういう奴が好みだったのか……初めて知ったぜ」

 

「だ、誰にも言うなYO!? 頼むぜブラザーヒェア!」

 

 普段とは少し様子が違って、声を落とし、恥ずかしそうに告げるボブのそれは真に迫っていた。俺は思わず、通り道にあったコンビニの前で、

 

「……じゃあお前、プロ雀士なら誰が好きだ?」

 

「三尋木プロ。ブラザーは?」

 

「はやりん」

 

「……おっぱい星人か」

 

「黙れロリコン」

 

 そう、ボブはロリコンだった。三年目の付き合いで初めて知る事実。いや、うん。別にいいんだけどね、驚きだった。

 

「……まぁでも分かるぜ。三尋木プロの魅力も。膝に乗せて可愛がりたいよな」

 

「おお、さすがはブラザー……いや、オレもはやりんの魅力……魅力……う、ううん……」

 

「分かんねぇのかよ! そこは分かれYO!」

 

「いや、すまねぇブラザー……オレ、自分に嘘はつけない……オレ、身長150センチ以下でつるぺたじゃないと抜けないんだ……」

 

「お、おおう……そうか」

 

 そう、ボブは重症だった。末期だった。いや、うん。頑張れ。超頑張れ。応援する。

 そしてそれを考えると、ボブの好きな人だという隣のクラスの宮本は確かにそれに当て嵌まっていた。

 とかなんとか思っていると、

 

「……はやりんみたいな子がタイプってことはブラザーの好きな人は一年の宇野沢栞かYO?」

 

「なんで知ってんだよ」

 

「ちょっと話題になってたぜイェア。胸が大きくて可愛い一年生がいるってな。まぁオレはどうでもよくて、むしろオレは一年の棚橋菜月ちゃんの方が……」

 

「ほー……今度見てみるか」

 

「あ、アプローチ掛けるなYO? オレがちょっと狙ってるんだぜヒェア……」

 

「おい、宮本はどうした?」

 

「……宮本が駄目だったら……」

 

「お前最低かっ」

 

 いや、うん。俺が言えたことじゃないんだが、ボブもこう見えて普通の男子高校生だった。うん、まあ好みの女の子と触れ合いたいよね。……しかし、190センチ越えのボブと150以下の子ってなるとちょっと大丈夫なのかと思ってしまう。絵面が中々にな……。

 

「まぁ、オレもブラザーの恋を応援するぜイェア」

 

「別に恋かって言われるとどうだかな……ただヤりたいだけのような気も……」

 

「今はそうでも、関わってくる内に内面も好きになっていくかもだぜブラザー」

 

「……そういうもんか」

 

「そういうもんだYO。……それで、先に卒業したら感想教えてくれ」

 

「……お前もな」

 

 ガシッと俺はボブと固い握手を結んだ。性癖や好きな子をバラしあったおかげで、以前よりも仲良くなれた気がした。

 そしてこの時が、俺の中の好きな人を“宇野沢栞”だと定義した最初の日であった。

 

 

 

 

 

「それじゃあサイコロ振るぞ」

 

「はい。お願いします琉音さん」

 

「……始めるか」

 

 三人での三麻。とうとう麻雀が始まり、俺は昔を思い出していた。いやほんと……懐かしいな。ボブとか、ちゃんとやってんのか? 

 確かボブは卒業後、海外にダンサーになる夢を叶えるとか言って単身、欧州に旅立った。いや、ラッパーじゃねぇのかYO! てっきりラッパーとかDJになりたいのかと思ってたが、まさかのダンサーだった。不思議な奴だ。

 だがまあ、過去は過去だ。俺が如何に、栞を過去に好きだったとはいえ、結局は仲が良くなっただけで卒業後はほぼ会わなかったし、その時結んだ約束だって守れなかった。栞や琉音はきちんとプロになったっていうのにな。

 そのことを悪いと思う気持ちはある。あるが、今はそれよりも、過去の思いを、栞とヤることを目的としてきたのだ。

 そのために、俺は二週間という準備期間を経た。態々琉音に文句を言われることを呑んでまで期間を二週間にしたのは、一週間では心の準備が足りないと思ったからだ。

 それだけ、俺にとって栞という後輩は……うん、まあ、そこそこ大きいのだ。

 やっぱ学生時代の思い出ってのが一番デカい。どうも色々と考えてしまうのだ。

 だがそれだけに、期待感も大きい。栞という、学生時代好きだった相手とヤれるかもしれない──そう考えるだけで、俺は異様に興奮してしまい、勝手に股間が硬くなっていく。

 

「おら、地和来い!」

 

「琉音さん、さすがにそれは……」

 

 馬鹿なことを言ってる琉音の隣。俺の右隣には、相変わらず琉音を優しく嗜める栞がいる。

 その学生時代より格段に大きくなった胸や、可愛らしい八重歯。スカートの先から伸びる太腿に思わず目が行ってしまう。

 本当に可愛い。昔よりも魅力的になっているかもしれない。

 そんな彼女に役満。役満さえ上がれば、俺は彼女を惚れさせ、ヤることが出来る。

 そう俺がやるべきことはこの場で役満を和了り、出来ればそれを栞に直撃させることだ。

 何故直撃させることにこだわるかと言うと、そっちの方が確実ではあるからだ。

 北海道での有珠山高校のメンバーとの対局で、俺は役満をツモ和了りしたが、あの時は効果がなかったように見えた。

 しかしその後のロン和了り──ユキに直撃させた役満は、その後、オカルトがきちんと発動し、晴れて俺はユキとすることが出来たのだ。

 だからこそ、俺はロン和了りの方が確実なのではないかと思っている。いや、その前のはやりさんと良子の時はツモ和了りでも成功したため、その辺りの謎が、北海道での最初の役満でオカルトが発動しなかった理由が不明なのだが、直撃の方が確実であることは確かだろう。

 だからこそ、俺は役満を狙う。狙うのだが──そう甘くはないことも理解している。

 

「──ツモ。3000、6000だ」

 

「げ……」

 

「わー、琉音さん、いきなり高め……親っかぶり……」

 

 東一局でいきなり琉音が跳満ツモ。

 琉音の持ち味は火力だからな。この火力で、琉音は三年生の時の夏の大会で、あの宮永照よりも得点を稼ぎ、今もプロでその持ち味を活かして活躍している。

 そしてその次の局では、

 

「ポン!」

 

 栞が俺の捨てた牌からポン。鳴いて牌を取る。だが続いて、今度は琉音が捨てた牌からも、

 

「ポン!」

 

 2副露。また鳴く。

 そして次の手番で、

 

「ツモっ。2000、4000ですっ」

 

「早上がりでその点数かよっ!?」

 

「……ったく、キッツいな」

 

 思わず本音が口に出る。そう、栞だってそりゃ実力は高い。

 栞は副露するようになってから格段に伸びた。宮永照のアドバイスらしいが、それからというもの、栞は全国でも通用し、今年の春からプロになるほどの実力を発揮したのだ。

 つまり、この場で俺が相手にするのは、俺より後輩とはいえ、俺よりも強いプロ二人となる。

 昔とは違う。昔は俺が一番強かったが、今の俺は格下だ。

 この中で役満を上がるというのは中々に厳しい。出来たとしても、相手を選ぶような余裕はないかもしれない。仮に役満張って、琉音から和了り牌が飛び出たらどうしようか。それはそれで悪くはない、か……? 琉音も見た目が悪い訳ではない。三白眼で少し怖い印象を持たれやすいが、琉音だって美少女には違いないのだ。

 ただなぁ……関係性的に迷うところだ。正直、琉音と適当な応酬を出来るこの関係は嫌いではない。

 だから出来れば栞から和了りたいのだが……ここに来て、栞にかつて牌効率や守備に関して教えたことが響きそうでもある。

 それに栞は結構鳴く方だから、それだけ早く和了りやすい。まあ三麻なのでチーは──前の人から順子を副露することは出来ないから少しは楽ではある。……まぁ、栞の“チー”はちょっと可愛いから聞きたいんだけどな。いや、言ってる場合じゃない。

 だからある意味琉音の方が強敵かもしれない。ただ目標は栞な訳で……全力で抗うにしても、役満を狙う余裕があるのだろうか。

 

 ──そんなことを思っていた時もありました。

 

「おいおいどうした先輩よ。もうちょっと張り合ってこいよ」

 

「え、えっと琉音さん。先輩は……えっと、こういう時もありますよ! そうですよね?」

 

「……ああ。栞は優しいな。少しは気を使えよ琉音」

 

「え、あっ、はい……ありがとうございます先輩」

 

「いや、昔そんな感じで煽ってきたの先輩の方だっただろうが!?」

 

 琉音や栞と会話しながらの麻雀。まあガチではないにしろ、皆それなりに出来るのだからレベルは高め。

 俺は最下位で栞がニ位。琉音がトップだ。

 だが俺の手牌には今──数え役満が張られている。

 

 ……ま、マジかよ……え、いや、なんか最近の役満聴牌する確率高くねぇか……? 

 

 まさかこれもオカルトなのか? 確かに、オカルトにはオカルトを成立させるために効果を発揮するものもあるが……どうなのだろう。さすがにまだ断定は出来ないが。役満を見る確率が高くなっている気がする。

 そしてこれもまた……珍しい。いや、まあ役満の中ではある方だ。

 数え役満というのは、役が十三翻以上になれば成立する役満のことだ。

 他の役満のように、ある程度決まった形が存在せず、とにかく役を重ねていって、それを十三翻に到達させればいい。

 今の俺の場合──ツモだと門前で一翻、混一色で三翻、三暗刻で二翻、南と白がそれぞれ一翻ずつ。そしてドラ6で六翻、これで十四翻だ。

 栞がカンをしてドラを増やしたこと、場風が南であること。色々と重なって手が高くなった。例えロン上がりで門前が消えても十三翻である。

 後は七索さえくれば、数え役満──役満が成立する。

 ……いや、オカルト発動するよな? 数え役満も役満には違いない。

 ただ、ルールによっては役満と見做されない場合もある。日本だと、インターハイやプロの試合でも適用されているため、多分大丈夫だと思いたいんだが……いや頼む。マジで頼む。

 塵も積もれば山となる。小さい役をコツコツと積み上げて出来た俺の数え役満。頼む! 実ってくれ……! 

 そう思い、俺はツモ切りをしながらその時を待った。出来れば栞から来てほしいな、と。そう思いながら待ち続け……遂にその時が来た──

 

「! ロn──」

 

 だがその瞬間──明かりが消えた。

 

「っ!?」

 

「おおっ!? って、なんだ!?」

 

「──て、停電!?」

 

 そう、停電だ。俺達がいた喫茶店の奥の個室の部屋の電気が消えてしまった。

 いや、単純に電気が消されたのか? とも思う。ただスイッチは室内にあったと思うんだが……と、思っていると、明かりが点いて、扉が開かれた。外から女の店員さんが、

 

「申し訳ありません。突然、ブレーカーが落ちてしまい……」

 

「あ、ああ……そうでしたか。もう大丈夫なんですよね?」

 

「ああ、はい。それは勿論。大変申し訳ございませんでした」

 

「いえ、いいですけど……」

 

 と、応対しつつ、ペコペコと謝る店員さんを尻目に俺は席に戻ろうとして気づく。

 

「げっ!?」

 

「なんだ、大丈夫なのか……って、先輩? そういえば……あ」

 

「山が崩れちゃってますね……って、先輩……そ、それ、あれ? 数え役満じゃないですか!?」

 

 ああ、うん。そうだ。そうなんだが……その前に停電が起こり、思わず山を手で倒してしまった……のだと思う。

 もしかしたら誰かの膝かなんかが当たった衝撃で──いやまあ自動卓結構重いし、それくらいでは倒れないと思うが、とにかく倒れてしまったのだ。

 この場合、重要なのは犯人や原因探しではない。少なくとも俺の中では。

 俺にとって重要なのは、この役満が成立し、オカルトが発動しているかどうかだ。

 栞の捨てた牌で和了った。和了ったが……手牌は倒しているが、点数の申告はまだだし、そもそも、その前に山が崩れてしまっている。

 こうなると、まあ、俺がやっていたとしてもチョンボだし、そうでなくとももう一度……ということになるのか? いや、ちょっとこういうケースは初めてだから分からん。悪意のないアクシデントでのこういうのは不問になるだろうし、そもそも公式試合でもないこの場合だからな。一応、成立させることは出来るし、成立はさせるだろう。今も栞は点棒を手に取り出してるし、

 

「32000ですね。うーん、まさかの逆転なんて……やっぱり先輩って凄いですねっ」

 

「あ、ああ……いや……」

 

「いや、今の先輩が崩したとしたらチョンボだしな。無しでもよくね?」

 

「役満張った俺が態々山を崩す訳ねぇだろ! ああ、もう、微妙にケチがついたような……」

 

「まぁまぁ……それより、また打ちましょうよ。私、もっと打ちたいです」

 

「……まー、そうだな。役満張ったのは先輩の実力だし、無しにされてもこっちが納得出来ねぇ」

 

「なら無しとか言うんじゃねぇよ……」

 

 と、言いながらも、俺は栞をチラリと横目で見る。するとふと目が合い、

 

「……ど、どうしたんですか先輩? 私の顔に何かついてます?」

 

「! いや……伊達眼鏡、似合ってると思ってな」

 

「あっ、ほんとですか? ちょっと、最近は街で声を掛けられることも多くて……今日は琉音さんや先輩と会う日だったので、目立たないように昨日買ってきたんですよ」

 

「あー、わかるわかる。ファンなのは嬉しいけど、あんまりしつこいと鬱陶しいよな。写真撮ってくれ、とか。こっちははやりさんや栞みたいに卑猥な写真撮ってないんだから自重しろよって」

 

「あ、あはは……でも似合ってるなら良かったです」

 

「ふーん。私も何か対策でも考えるか。──先輩は何かやってるんすか?」

 

「いや、俺の場合はそんなちやほやされる方じゃないし、ほぼ気づかれないから必要ないんだよな……」

 

「あー……そういう……なんか悪い」

 

「……でも先輩。コアなファンは多いって聞いてますよ?」

 

「ん、まぁ……確かに、特に何も発信してないのに、地味にSNSのフォロワーが4桁近くいるが……でも一般人でもこれくらいの奴はいるしな。というかどこ情報だ、それは」

 

 ──と、そういうやり取りをしながら、俺は栞を観察するのだが……正直、分からない。

 前々からこうだった気がするし、ちょっと好意的に見えなくもない。いやでも、普通に先輩として慕ってくれてるのは前からだし……いやどうなんだ。マジで分からん。

 だがユキの時も、途中までは分からず、二人きりになったところで急にきたから、今回もそのパターンなんだろうか……いやでもユキが分かりにくかったのは、単純にそういう子だったからな気がするし……。

 うん、まあ、とりあえずもう少し様子を見るしかない。どの道、もう数日は東京に滞在する。ホテルも取ってあるしな。もし何かあるなら、この後栞の方から分かりやすい露骨なアクションがあるはずだ。

 だから俺は、その後しばらく麻雀を打ちながら二人との会話を楽しんだ──結局、役満の機会はその後訪れなかった。

 

 ──だが、アクションは訪れた。

 

「はぁー、食った食った」

 

「おい琉音。女がそんな食った食ったとか言うんじゃねぇよ。お前、そんなんで大丈夫なのか? プロ雀士はメディア露出も多いぞ」

 

「そういう時は猫かぶればいいだろ、別に。私だってファンの前で下品なことは言わねぇよ」

 

「下品だって自覚はあるんですね、琉音さん……」

 

「え、い、いや、別に食った食ったって言うくらいは下品じゃねぇだろ!? え、大丈夫だよな? これくらいで記事になったり、炎上したりしないよな?」

 

「しねぇだろ。お前、幾らなんでもノミの心臓過ぎんぞ。三尋木プロのSNSとか見てみろ。出た番組や中継に対しての批判的なコメントに全部、“わっかんね~”とか“いや、知らんし“とか、“ふーん、どの辺が~? ”とかで返すんだぞ。あの返しはもう無敵過ぎる。ファンもそれを期待してコメントしてる節あるし、三尋木プロのファンは批判されると全部そうやって返すから会話にならないって評判だ。お前もそれを見習え」

 

「そこまでいくとどうなんでしょうか……?」

 

「あの人、一回話したけど掴みどころのない人だよな……」

 

「でもこの間の国際親善試合の活躍、凄かったですよね」

 

「そりゃ日本代表の先鋒に抜擢され続けるくらいだからな。レベルが違う……っと、着いたか」

 

 東京の夜。琉音の希望通り、肉を食わせるためにステーキハウスに連れて行った帰り道。

 俺は二人と会話しながら歩いて、俺が泊まる予定のホテルにまで辿り着いた。本当は送っていこうかとも思ったが、すぐにタクシーに乗って帰るらしいし、平気だろうと俺のホテルで別れることにしたのだ。

 

「それじゃあまた明日な」

 

「……ん、またな。ほら行くぞ栞」

 

「は、はい。また明日!」

 

「……おお」

 

 ん……? なんか違和感が……いや、気の所為か。

 とりあえず、二人と別れてホテルに入ると、部屋に入って一息つく。今回もビジネスホテルだ。まああんまり良いホテルを取る余裕なんてないしな。

 だが、どうなるか……とホテルのベッドに座りながら、俺は思う。一応、琉音はオフで、栞も卒業を一週間後に控えて学校に登校する必要はほぼないため、明日も約束はしてある。

 だから先程もまた明日と別れたのだが、こうなってくると栞と二人きりになることは中々難しい気がする。

 しかし俺から出来ることなんてそう多くはない。やれることといえば、もしオカルトが発動してなかった時に備えて、麻雀を打つ機会を作ったり、そのための口実を考えることくらいだ。

 

「はぁ……やっぱ栞は可愛かったな……」

 

 ベッドに背を預けて天井を見上げながら呟く。久し振りに見るとやっぱり美少女だったなと。

 ……ないとは思うが、学校で彼氏とか作ってたりしないよな? うん、いやそういう話は琉音や栞からも聞かないし、ないとは思うが、あれだけ可愛いくておっぱいが大きいと不安になるよね。

 あんな子、誰だって彼女にしたいに決まってる。グラビアに載ったり、プロ入りが決まって今話題の選手だし……。

 あー、嫌だ。俺のモノにしたい。ちょっと他の男のモノになるとか考えられない。考えたくもない。

 しかし役満が成立したのかどうかすら、オカルト発動判定に入ったかどうかすら定かではないし、万全を期すなら、やはりもう一度──

 

「あ?」

 

 と、携帯が鳴る。チャットか。誰だ? と俺は携帯を開くと、そこには示し合わせたかのようなチャットがニ件。

 一つは琉音からのチャット──『悪い。明日は急用が入って行けなくなった』……というもの。

 そしてもう一つは……栞。『先輩、琉音さんから聞きました? 明日は二人きりなので……一緒に、遊園地にでも行きませんかっ』──なんて提案。

 それを見て、俺は少し困惑しながらこう思う──()()()()()()()? と。




次回、遊園地デート。原作でももうちょっと出番増えてもいいのよ、白糸台過去メン。でも、そもそも原作の進み遅いから、残りの白糸台過去メンは出るのが絶望的で……まあ自分としてはあわあわのおもちは本当に数日であれだけ成長したのか、実は着痩せしてただけなのか、どっちの説が正しいのかちょっと知りたいところですね。私は爆乳あわあわ派なので(迫真)
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