※この作品はR-18です。

役満で上がると惚れられる   作:黒岩

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嫁になったキャプテン

 月曜日という平日の始まり。その憂鬱さは……俺にはそこまで分からない。プロって別に土日祝日休みとかないし……休養日、オフとかはあるけど、別にそういうのに縛られないしな。オフシーズンにそれなりに休みがあるって感じで、後は週に1日か2日、まあ忙しい時なんかは全然休みはないが、そういう時ってのは大体対局以外の仕事が詰まってる時である。俺はちょっとしか経験ないけど。

 というわけで世の社会人の方々、サラリーマンの方の苦しみは分からないが……学生だった頃のそれなら理解出来るので、ちょっとは分かる。土日明けの月曜日ってダルくてしょうがない。

 が、今の俺や……美穂子にとって、今この時の月曜日の朝は苦しい時間ではなかった。

 

「はい、あなた。食後のコーヒーです」

 

「ああ、ありがとう」

 

 俺はソファに腰掛けながら、制服にエプロン姿の美穂子から笑顔でカップを受け取る。コーヒーの良い香りが鼻孔を突き抜けた。普段俺、コーヒー飲まないけどな。昔飲みすぎて胃壊したから飲まないようにしてる。

 だが今回は特別。新婚っぽいやり取りをするためにちょっと美穂子にコーヒーが飲みたいと言ってみると、笑顔でコーヒーを入れてくれた。もうすぐで出ないといけないというのに。

 あなた、と呼ばれながら尽くされるのはなんとも心地良い時間だ。久し振りのコーヒーもとても美味く感じる。というかだ。

 

「その呼び方、2人きりの時は続けてほしいんだが……いいか?」

 

「……はい。私も……なんだかドキドキしてしまって。東郷さんにあなたって呼ぶと……その……」

 

「新婚さんみたいってか?」

 

「は、はい……だからドキドキして、でもなんだかふわふわもしていて……足元が覚束なくなるような感じなんです。きっと、これが人を好きになる……好きな人と触れ合うことの良さなんでしょうね……」

 

 隣に座った美穂子がそっと俺の手を撫でてくる。まだまだ初々しい感じで遠慮がち。どこまでやっていいのか分からないのだろう。

 だからまあ、俺は幾らでもやっていいと教えてやる。美穂子の肩を抱き寄せ、

 

「もっと遠慮なく甘えてきてもいいぞ?」

 

「あっ……はい! それじゃあ……えいっ」

 

 ぎゅうっと俺に横から抱きついてくる美穂子。温かくて華奢な身体が左半身に飛び込んでくる。巨乳がむにゅりと俺の身体に押し付けられて気持ちいい。しかも美穂子はすりすりと俺の身体に擦り寄ってきて、

 

「ん……こうやって抱きついたりして触れ合うの、凄く温かくて気持ちいいです。男の人の……あなたの身体、逞しくて、凄く安心します」

 

「あー……美穂子の身体も気持ちいいぞ。柔らかくて最高だ」

 

「んっ、キス、好きです……ああっ、ちゅっ、んっ、れろ……あなた、大好き……」

 

 ソファの上で制服姿の美穂子とイチャイチャする。制服エプロン姿の美穂子の柔らかい身体を抱きしめながらラブラブちゅっちゅ。それがどうしようもなく気持ちいい。というかまた勃ちそうで困る。これだから女の子を堕とすのは止められない。めちゃくちゃ好意を感じて気持ちいい。優越感がはんぱないのだ。何しろこれで5人目である訳だしな……ハーレムを自覚するとなんだか全身がむず痒いような、うずうずとしてしまう。自然と顔がニヤけそうになるというか、全能感すら感じてしまうからヤバい。今なら何をされても許せそうである。最高の気分だ。

 

「そろそろ行かないと……あなたは、夕方からまた来るんですよね?」

 

「ああ、そうだな。今週の金曜日までは風越で練習を見ることになってる」

 

「金曜日まで、ですか……」

 

 ただまあ、現実は色々と制限があるんだよな。美穂子とこうやってイチャイチャ出来るのも限られてるし。明日の朝には親が帰ってくるらしいから家に泊まってエッチというのも難しい。中々悩ましいものだ。

 

「まぁ、しばらくは長野に滞在して別の学校も回る予定だからな。暇があれば会いに来るさ。……デートとかもしたいだろ?」

 

「! デート……はい。あなたとお出かけ、してみたいです。凄く楽しそうで……あっ、その時はまたお弁当作っていきますね!」

 

「ああ、楽しみにしてる。──さて、そろそろ出るか」

 

 邪魔したな、と美穂子に言って家を出る……のだが、エプロンを取って、制服と学校鞄を手にとった美穂子が玄関を一緒に出ようとして……あーヤバい、改めて離れて制服姿を見るとムラムラする。いや、なんか触りたくてしょうがない。というわけで手をのばす。

 

「きゃんっ、んもう、あなた……駄目ですよ?」

 

「最後にちょっとだけ触れ合おうと思ってな。次はいつこんなことが出来るか分からないし……あー、やっぱ美穂子気持ちいい。可愛いぞ」

 

「くすっ、もうあなたったら……仕方ないですね、ちゅっ……」

 

 美穂子のお尻やおっぱい、太腿などに手を伸ばし、制服越しに何度か揉みしだく。こうやって手を伸ばせばいつでも触れる距離感がたまらない。もう俺の女だからこそ出来ることだ。軽くたしなめられるが、このエッチなことをして窘められるだけ、別に本気では怒られない感じもまた心地良い。

 美穂子と軽くキスをして、家を出る。……さて、ここからは普通の距離感でいないとな……残念ではあるが仕方ないと、俺は美穂子と早々に別れて、一度宿泊中のホテルに戻った。

 

 

 

 

 

「さて……どうすっかな……」

 

 ホテルの部屋。備え付けの椅子に腰掛け、俺は今後の予定に少し悩んでいた。

 というのも、長野での滞在にちょっと問題があるのだ。

 それは俺の一応の仕事、依頼である麻雀指導のことなのだが……ちょっと整理しよう。

 ええと、今週の金曜までは風越女子で指導があるからそれは問題ないとして、来週からは噂の長野県代表校である龍門渕高校に指導に行く。そこでの滞在はホテル……なのだろう。詳しいことは分からないが、多分そうだ。

 というのも龍門渕から依頼を出してきた相手方のメールによれば、宿泊先はこちらで用意するから心配ないとのことなので、俺は向こうでのホテルの予約を取っていなかったりする。しかもそのお金も結構とのことで、随分と太っ腹だった。依頼金も通常の5000円どころじゃないしな……最初、その20倍近い金額を提示されて、冗談かと思ったら、一応それは冗談で、その10倍の5万だった。いや、それでも高いというか……まあプロに依頼するなら安いかもしれないが、元プロの指導料金にしては高い。しかし、向こうはそんなに安くてもいいのか? という態度だったので、どうもおかしいと調べてみれば、向こうはどうもお金持ちらしい。というか普通に財閥だった。龍門渕グループとかいう。その辺りの詳しいことはまた後で整理するとしてだ。問題はこれではない。

 実は……後2校程、追加の依頼が来ているのだ。

 そのどちらも再来週──龍門渕高校への指導が終わってGWを越えた翌月の5月を希望している。そして依頼してきたのはどちらも高校の麻雀部……長野県、清澄高校と、同じく長野の鶴賀高校。

 まあ俺が長野で指導しているってことを、実はSNSで軽く載せたからだろうか……それを見て依頼してきたのだろうからそれはいい。こちらとしても想定していたことだ。

 ただ……そうなると滞在の予定を色々考えないといけなくなるんだよな……。

 そして1番面倒なのがホテルの予約だったりする。いや、同じホテルでいいじゃんって人によったら思うかもしれないが、長野って意外と広い。北海道よりはマシだが、何気に今いる風越は長野の中でも南の方だし、ここから行けるとしても清澄高校くらいであり、後は車で1時間ちょっと掛けて龍門渕高校。そして鶴賀高校に至っては長野の北も北。車だと2時間ちょっと掛かるし、出来れば近場か、もうちょっと長野の真ん中辺りにホテルを取らなければ指導に通うのも一苦労なのだ。

 後、何気に宿泊費が結構掛かるし、貯金を切り崩して生活している俺にとっては何とも頭が痛いというか、ちょっと考えなければならないのだ。

 清澄高校は5月初旬から中旬希望で、鶴賀高校は中旬から下旬辺りを希望しているので、一応はそれに応えて予定を組みたいのだが、こうなると1ヶ月以上は滞在する計算になる。そして長期の滞在には金が掛かる……まぁ、1日5000円で、龍門渕からの予想外のボーナスやら、色々考えると、そこまで問題ではないかもしれないけどな。一応安めのビジネスホテルとかならプラマイゼロに出来なくもない。宿泊費以外を考えなければだが。ご飯とか結構掛かるからな……後はガソリン代とか。自分の車で来ているため、レンタル料が掛からなくて済むのは有り難いが、ガソリン代はガソリン代で少し掛かる。それでもレンタカー借りなくて良かったとは思うが。

 

「はぁ……どうせなら一泊か二泊くらい、どこか温泉旅館とかに泊まって息抜きとか……ねぇかぁ……」

 

 別に多少なら良いかもしれないが、そうやって浪費し続けるのもアレなので、諦めて携帯でホテルを探す。一応、再来週くらいからにはなるだろうが、早めに決めておくに越したことはないしな。

 ……でもいつかは美少女を集めて温泉に浸かるハーレム入浴を……ヤバい、興奮してきた、自重しろ。今日は抜いたばかりだから比較的落ち着けるはず。多分。美穂子が大分エッチだったので助かった。

 ただその美穂子で心配があるとすれば、学校で会った時の美穂子の対応だが……多分大丈夫だとは思う。あれで結構強かだしな。学校ではしれっと普通に接してくれるはずだ。

 

「……暇だな。外に飯でも食べに行くか」

 

 そんなことを考えていると、もう何気に昼過ぎになっている。美穂子や風越女子の部員達は皆、当然授業だし、放課後になるまで俺の出番はないのだ。これが金曜日まで続く訳だが……あー、やっぱり美穂子とはしばらく出来そうにないか……? ちょっとお触りくらいなら出来そうだが……どうだろうな。

 

 ──と、俺はそんなクズい心配をしながら、昼飯を外で頂き、頃合いを見て風越女子の部員たちに引き続き指導を行ったのだが、

 

「──東郷さん。私、一度抜けますね」

 

「ん、ああ。なんだ、雑用か?」

 

「洗濯物や買い出しが溜まっているんです。それでは失礼しますね?」

 

「……ああ、分かった。それじゃあ池田、代わりに入れ」

 

「分かりました! ということで、今日こそはボコボコにしてやります!」

 

「はいはい、わかったわかった」

 

 と、池田に適当に応対しながら対局を始める……のだが、本当に普通に接してくるな。いや、そうでないと困るんだが、ちょっとはそれっぽいニヤニヤ出来る反応が見られるかと期待していたので、微妙に残念な気もする。相変わらず雑用をしようとして、1年生の部員らから窘められてちょっと軽いやり取りを交わしているのが微笑ましいが、そういうことじゃないんだよな。

 とか思ってしばらく対局を進める。すると不意に卓を囲んでいる生徒から声を掛けられた。ちょっとした雑談のようなもので、

 

「東郷さんって、結構体型がシュッとしてますけど、何か運動とかやってるんですか?」

 

「……別に何もやってないが……それがどうかしたか?」

 

「いえ、最近弟が太ってきて……なんとか痩せさせるためにダイエットとかさせたいんですけど、痩せてる人はどういった運動してるのかなって気になって」

 

 ああ、なるほど。そういう話か。まあ、麻雀には関係ないが、少しは構わない。ずっと無言で対局ってのも息が詰まるだろうしな。

 と、少し考えて発言しようとすると、池田が話題に反応して、

 

「あー、分かる分かる。うちの妹達もたまにお菓子食べすぎてちょっとぷっくりする時があってなー。まあまだ小さいからそういうのはさせる必要はないけど、大きくなって太ったらどうしようとかたまに考えたりするし」

 

「妹か……まぁ、別に多少なら太ってもいいんじゃないか?」

 

「ええー、でも痩せてる方がカッコいいじゃないですか」

 

「痩せすぎよりはマシだ。それに、痩せてるように見えて腹が出てたりする男も多いし、そういうトラップを身体に抱えるよりは予め明らかに太ってる方が分かりやすくていいだろ」

 

「そういう問題ですか……?」

 

 横からもう1人、吉留が緩いツッコミをこちらに入れてくる。まあ冗談で言ってるからツッコんで貰わないと困るので、言ってくれて有り難いことだ。

 とか言ってると、ちょうど洗濯から戻ってきたのか、美穂子が部室に入ってきた。会話が続いているため声を掛けはしないが、軽く目は合う。一瞬右目も開いたが、すぐに閉じた。……ちょっと法則が分からないが、一応好意的な意味だと受け取っておこう。そう思いながら話を聞いていると、何気に男のタイプの話になっていた。さすがは女子校。意外と肉食系なのか? 

 

「男はやっぱり財力じゃない? お金がないと苦労しそうだし」

 

「見た目は並以上なら後は性格とか」

 

「やっぱり男って言ったら筋肉とか逞しさがないと勿体ないよねー」

 

 おー、色々言ってんなぁ……そういう話題は微妙に混ざりにくい気もするが、さてなんて言ってやろうか……と、一瞬の思考で会話のやり取りの内容を考えてると、その中の1人が美穂子に気づいて声を掛けた。

 

「キャプテンは男の人のどういうところが好きですか? やっぱり筋肉ですか?」

 

「筋肉……」

 

「ちょっ、こらっ! キャプテンにまだそういうのは早いし! 付き合うなら、まずあたしを倒してからに……」

 

「華菜ちゃんはどの目線なの? 父親?」

 

 美穂子に声を掛けて、美穂子が突然の話題に一瞬考え込むと、池田と吉留がいつも通りのやり取りを行う。……また微妙に絡みにくいというか、美穂子へのそういう話は俺が下手に混ざると変な感じになりそうだな。

 いや、見てみたくもあるが、ボロを出させるのも駄目だし、悩ましいところだ。今はとりあえず静観していると、美穂子が素直に、ポンっと手を叩いて、

 

「! ええ、わかるわ……! 男の人の身体って、服を着てると気づきにくいけど、実際に見てみると筋肉質で凄いわよねっ」

 

「えっ? きゃ、キャプテンって筋肉フェチなんですか……?」

 

「なんか意外……でも確かに、テレビとかで芸人とか俳優がいきなり脱いだりすると、地味にドキッとしたりするよね」

 

 って、おい。なんか微妙に危ない話してないか? 周りは特におかしく思ってはなさそうだが、結構スレスレの話題な気がする。美穂子の信頼の高さが窺えるが、人によっては、結構突かれそうな発言だ。実際に見たってどこで? ってな感じで。まあ普通はテレビとかだと思うし、この場ではそうはなってないが、冗談交じりに誰かがそう言うことも十分にあり得る。

 だから何気に危ないな、と思っていると、今度は池田が、

 

「男の筋肉かー……よし、それならここにちょうど東郷さんがいるし、ちょっと見せて貰おう」

 

「……は?」

 

 おい、池田ァッ!! てめぇ、何いきなりふざけたことぬかしてやがる!? いきなり筋肉見せるとかアニメとかに出てくる変態筋肉系キャラくらいしかやらねぇよ! まあ軽く腕の、とかならギリギリ分かるが……、

 

「というわけで東郷さん、腹を見せてください」

 

「ふざけろ」

 

「東郷さんの腹筋……」

 

 おい、美穂子。俺には聞こえてるからな? 小声でちょっと顔赤くして何期待してるんだ? 散々見ただろうが。そういう空気を演出すると、マジで見せる羽目になるからやめろ。もう手遅れっぽいけどな! 

 

「ははーん? もしかして、東郷さんはおじさんみたいなお腹ぷよぷよだったり? それで恥ずかしくて見せられないって感じだったりするならしょうがないし!」

 

「てめぇ、池田ァ……」

 

 なんだそのクソみたいな煽りとにんまりとしたしたり顔は。すげぇムカつく。関節技決めたい。もしくは役満──はアレだから、麻雀でボコボコにして戦犯顔にしてやりたい。

 しかし……くそっ、なんだか乗せられてるようでムカつくが、ここで意固地になって見せないのも気にしてるみたいで嫌だしな。嫌だが、まあしょうがないと、

 

「……少しだけだぞ。くそ……ほら」

 

「おっ……って、バッキバキだし!?」

 

「うっ、わぁ……すごい……」

 

 しょうがないので軽くシャツの腹の部分を持ち上げて、見せてやると池田が驚きの反応を見せ、吉留や、それを見ていた他の部員らも俺の腹筋に注目して声を上げる。微妙に恥ずかしいから勘弁してほしい。

 

「東郷プロって、細マッチョなんですね……」

 

「おー……割れてる……ていっ! うわっ、硬いし!?」

 

「おい、何勝手に触ってやがる池田……」

 

「ええー、減らないからちょっとくらいはほら……好奇心が疼くというか……あー、なるほど、これなら確かに、ボクシングとかでバシバシ殴られても平気な訳だ……」

 

「……いや、まあ、たしかに多少は緩和されるが、別に平気ではないと思うけどな……なんだかんだで腹は人間の急所の1つだし……」

 

 私見を口にしながら頭を抱えていると、別の部員がおずおずと近づいてきながら手を挙げた。何を言うかと思えば、

 

「……あ、あの、私も触ってみていいですか?」

 

「あ?」

 

「あ、私も触ってみたいです!」

 

「なら、私も……」

 

「後学の為に……」

 

「筋肉筋肉ー!」

 

 と、続々と手を挙げて触りたいと表明する部員達。いや、お前ら麻雀しろよ。たかだか腹筋如きで……いや、まあ女子校なら珍しいというか、意外と興味津々だったりするんだろうが、それにしてもどうかと思う。

 

「それじゃあ順番に並んでー。はい、勝手に触ったら駄目だし。そういうのは事務所を通してからじゃないと……」

 

「お前は俺のマネージャーか。……はぁ、もう好きにしろ」

 

 池田がふざけたことを抜かしていたが、なんだか抵抗する気も失せてさっさとしろ、と女生徒達のおもちゃになることにする。順番に女生徒らが俺の腹筋をつんつんと突いたり、軽く触れたりしてくるのだが……なんなんだろうな、本当に。まあ女子高生相手だし、そこまで悪い気がしないのが救いだが……って、

 

「……久保さん、何してんすか?」

 

「……いや、せっかくだし……ふむ、なるほど。確かに硬いな……」

 

 せっかくだし、じゃねぇよ。なんでご丁寧に並んでやがる。ぺたぺたと腹筋に触れてくる久保さんにげんなりする。それでいいのか鬼コーチ。部活中に変なことしてる部員達をいつも通り注意しないのか。そこの池田とか、明らかにふざけてるが。

 一応、触り終わった者から練習に戻っているが……いやなに、この異様な光景……80名近い部員が俺の腹筋を触って席に着いていくのがシュール過ぎる。

 ……いやまあ、もうここまで来たら早く終われって感じだが……それにしても腹筋くらいで大騒ぎするのは女子校あるあるなのだろうか。あー、でもキャバ嬢の中にもやたら筋肉触ってから褒めてくる奴とかいたし、意外と女子ウケするのかもしれない。個人的にはそういう筋肉で相手を堕とすみたいな営業はしたくないのだが……いや、筋肉営業ってなんだよ。変な言葉をナチュラルに使うな。

 

「んっ、東郷さん……」

 

「! 最後は福路か……」

 

 気がつけば美穂子以外の面子は捌けていた。というか、美穂子こそ別にそういうことしなくてもいいと思うのだが、割と興味津々で触れてきているから困惑する。しかも妙に触り方が……こそばゆいというか、ソフトタッチはやめてほしい。なんかエロい。美少女の手つき。こんな可愛い子が顔を赤らめて触れてくるのは、ちょっと意識したらエロくて興奮出来る。ようは勃起しようと思えば出来そうなエロさだ。

 ただまぁ、一応美穂子もあまりやりすぎるのは駄目だと思っているのか、ひとしきり触り終わると、ふぅ、と息を入れ、

 

「……えっと、ありがとうございます」

 

「……おう……」

 

 そこでお礼を言われてもなんと返せばいいのやら……というかマジでムラムラしそうになるから困るな……くそっ、つってもエロいことなんて出来ないしな……。

 この可愛くて美人でおっぱいの大きい美穂子が、今朝には俺の手や肉棒であんあんとよがっていたと思うと中々にたまらないものだが、それを思い出して優越感に浸っても、ここで手を出す訳にはいかないのでちょっとした生殺しであった。

 

「……ふふっ、それじゃあ練習に戻りましょうね、東郷さん……」

 

「! ああ……」

 

 俺の顔をまっすぐに見つめてそう言うが、その瞳の中に好意が隠れているのが明らかに分かってしまってたまらない。というか、なんか色っぽい。女は恋をすると綺麗になると言うが、なんか美穂子の仕草が昨日までよりも、更に女性らしくなっていて、なんともこちらを惑わせてくれる。生殺しで辛い。

 でも、この子を大人の女にしたのは俺なんだよな……と、思うとやっぱり幸せである。あーもう、絶対長野にいる間にまたセックスするからな、と俺は美穂子を見ると、美穂子もまた、両目を開いた状態で流し目を送って、嬉しそうにしていた。またなんとも嫁力高すぎる子を堕としたな……と、俺は劣情をぐっと堪えて練習に戻った。




次回からまた長野編二校目、ということで、龍門渕高校です。龍門渕は残りの二校と比べてそんなに長くならないというか、一瞬で終わる可能性。その後に清澄、鶴賀って感じです。美穂子はまだ今後も絡むので、キャップ推しはお楽しみに。
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